石原知事記者会見

平成24年2月16日更新

石原知事定例記者会見

平成24(2012)年2月10日(金曜)
15時02分〜15時27分

知事冒頭発言

【知事】冒頭、私から申し上げることはありません。質問があったら、どうぞ。

質疑応答

【記者】オリンピックについて質問します。招致委員会は週明けにも、申請ファイルを国際オリンピック委員会に提出します。招致レースが本格化するわけですが、申請ファイルの手応えの部分と、今後の展望について。また、夏のロンドン五輪に行って、PRして、知事が出席する方向で変わりがないかどうかについて、お聞かせください。

【知事】後段の方はそうですね。私が知事でいる限り、私の責任でロンドンに行きますけれどね。これからの展望なんて、そんなものは非常に重層的なもので、いちいち、これから言っていられないよ、そんなものは。部門、部門で、色々な問題が出てくるでしょうし。僕がいつも言っているみたいに、戦うのはJOC(日本オリンピック委員会)なんだから。ラグビーのスクラムをきちんと組むような、そういうチームを作ってもらいたいですよ。現場に行って、「あの人と石原さん、握手してください。出来たら抱き合ってください」と。初めて会う人間とハグするのは嫌だよ。ヘーシンク(アントン・ヘーシンク 元国際オリンピック委員会委員)が来たら、「ヘーシンク、知っているでしょう」と言う。ヘーシンクはよく知っているが、向こうは、僕を知らないんだから。あんな大男に初めて会って、「都知事です」とハグして、「東京をお願いします」なんてことできるか。もうちょっとしっかりしなさいよ。乳母日傘(おんばひがさ)じゃなくて。自分たちで切り込むところは切り込んでいくような、そういう気概がないと。東京はサポートする立場だから、主催者であっても、実際に遂行して戦うのはJOCなんだから、ということです。メディアもちょっと、監視してもらいたいね。JOCがどこまで変わったかということも。これから、変わっていくだろうか、変わらなきゃだめだ。ほかに、どうぞ。

【記者】亀井(静香 国民新党代表)さんや息子さんの発言に関することで、2つ質問させてください。

【知事】私は新党なんて、発言したことはありません。周りが言ってくださるだけで、彼らの発言については、彼らに聞いてくれよ。

【記者】はい。1つ目ですが、国民新党の亀井さんが、7日の日に、新党構想について話す機会がありまして、その場で、大阪市の橋下(徹)市長との連携については、石原さんがやることだというふうにお話しされたということなのですが、石原さんがやることでしょうか。

【知事】連携って、とっくにしていますよ、大阪とは。

【記者】その新党をめぐる・・・

【知事】そんなことで橋下君と話したこともない。思惑、色々あるんでしょうけれど。その大阪を、私が非常に評価しているのは、彼が(大阪)府知事の時に、一番大事な会計制度を真似したいというんで、東京はただで提供しました、随分お金をかけて作ったものを。それから、名古屋もやり出した、新潟県もやり出した。大事なことなんです。すべて金なんだ。金だというといやらしいけれど、財政がしっかりしていなければ何もできない。何回も言うけど、国民の皆さん、知ってもらいたいね。あなた方が家庭でつけている家計簿よりもっとひどいのが国の会計制度だったら。大福帳の域を出ない、バランスシートがないというのはこの国だけだ、世界中で。単式簿記なんて、馬鹿なことやっているのは、日本のほかに北朝鮮とパプアニューギアニアとフィリピンだけだよ。だから、事業仕分けなんてばかなことやらなきゃいけないんで。大体、財務諸表の出てこない国というのは国の体をなしてない。東京は、会計制度を変えました、苦労して。それをただで、私は橋下君に差し上げました。やりたいと言うから、結構じゃないか。そういうことです。それから、人員整理もやりました。あなたが何年ここにいるか知らないけれど、15万人いる東京の職員の中で、2万8,000人減らしたんだよ、今まで。増やしたのは、警察官と消防だけ。東京だって、どこの自治体だって、役人は多過ぎるんだから、減らしたらいいんだ。財政再建するために、歳費を減らさなかったら。橋下君は大阪府でそれをやったじゃないか。今度は市でやろうとしているわけでしょう。それが東京と大阪の立派な提携じゃないかな。僕は、私の弟子とまでは言わないけれど、弟分で同じことやってくれているから、非常に心強いと思うし、そういう点で、東京と大阪というのは、皆さんの目につかないかもしれないが、ある強い連携を持っているんですよ。これから先、国政やらせるかとか、向こうだって、大阪府より、もっと伏魔殿の大阪市の市長にわざわざ就任して、これからやる仕事がたくさんあるのに、早々、あちこちに色々な手を伸ばすのは、なかなかしにくいんじゃないんですか。そんなことを斟酌(しんしゃく)しないで。それから、周りの人間が3月だと言うが、3月は私は一番忙しいの。予算の議会があって、それどころじゃない。そういうこと。

【記者】自民党の石原(伸晃)幹事長が、テレビ番組の中で、6日の日ですが、石原新党について、「子供から見ると、父は利用されているようにしか見えない」というふうにお話しされたのですが、父から見ると、この発言はどういうふうに受けとめていらっしゃいますか。

【知事】私は誰にも利用されていません。私の行く道、やることは、自分で決めます。彼は彼の立場がある。辞めちまえと言っているんだよ、幹事長なんて。あんな訳の分からない政党にいて、損して。本当にかわいそうだと思うよ、俺は。言いたいことも言えずに。石破(茂 自民党前政調会長)みたいにパッと辞めちゃって、外で言いたいこと言っている方が、よほど人気が出るな。かなり大事な建言をしても、全然やらないね、自民党というのは。はい、どうぞ。

【記者】ちょうど1週間前ですけれども、「たちあがれ日本」の大会で、知事が挨拶されて、「東京でやることはやった。皆さんに命預けるんで、一緒にやろう」というふうな号令のようなものをかけられて。

【知事】「命預けます」って、私の常套文句で。あの時、「この国に命を預けます」と言ったつもりで、そういう連脈だったと思いますが。そういうつもりで言ったんですけどね。

【記者】なるほど。その新党の先頭に立って率いるようなイメージではない発言だったという……。

【知事】あれは「たちあがれ日本」の応援団長として言ったんで、「みんな頑張ってくれ」と言ったわけですから、そこには有象無象の、支部長とか色々な人がいるわけでしょう。そこで、私が大事な話する義理もないし、する立場でもないから、全体的なことを言ったんですけれども。はい、どうぞ。

【記者】新党の話が出たのですけれども、その新党の話をされる際に、石原さんは核論者だということが出ていたのですが、以前、知事が書かれた、寄稿された記事の中で、「非核の神話は消えたのか」というのが「非核の神話は消えた」というタイトルに変わってしまって。

【知事】そうなんですよ。

【記者】核保有論者になったということだったのですが、その時点で、時代は変わり、今は戦略的に、戦術的にも、コストでも、核は割に合わないというふうに書かれているのですが、知事は、いつも会見で、核のシミュレーションをやればいいんではないかという話をなさっていますが、その核のシミュレーションというのは、具体的にどういったものなのでしょうか。

【知事】どういう方法で、どれぐらいの金がかけたら、日本は核兵器を持てるかというのをコンピューターを使ってやったらいいんですよ。やるということだけで、大変なブラフ(威嚇)になってくる。今の世界を眺めて見ると、核を持っている、持とうとしている、核開発をやっている国に発言力があるんです。国連はその体たらくなんですよ。北朝鮮やイランに、みんな何故ハラハラするかといったら、イランの場合はイスラエルとの関係があって、白人社会というのはイスラエルに弱いから、それも加わって、ああいうことをやるんでしょうけれど。それにしたって、考えてごらんなさい。世界の中で国境を侵犯され、あるいは、状況証拠からいったら、同胞を200人近くさらわれて、その3つの国が北朝鮮と中国とロシアだよ。それが、国境を接して、国境を侵犯している、そんな立場にある国、世界でどこにありますか。そういう立場を超克(ちょうこく)しようと思ったら、日本もやるならやるぞという意思表示をしなければ駄目なんだ。核を持つシミュレーションをするということは、核を持つのとまたちょっと違う、その前々段の意味合いなんですよ。だって、オバマ(米国大統領)なんてやつは、「やつ」とあえて言うけれど、世界の核をなくそうとして、ノーベル賞もらった次の月に、アメリカは次の核のシミュレーションやっているじゃないですか。そういうもんなんだよ。ただ、核兵器を持っても、ほとんど使えないでしょう、99%。持つと持たないのとでは違う。非常に奇妙な、ポーカーのゲーム感覚みたいな外交になっちゃった。だから日本はシミュレーションやったらいい。それからもう1つ、本にも書いたけれど、今、アメリカが開発している、新しい戦略兵器。これはコンベンショナル・ストライク・ミサイルというんですけれど。これをやろうと思ったら、日本でできるよ。「はやぶさ(小惑星探査機)」をつくった連中に相談してごらん。彼らはそのつもりはないだろうけれど。ああいった技術を複合的に束ねることで、世界のどこも持ってない兵器を、多分、アメリカと日本が先に持つことできるでしょう。例えば、「はやぶさ」なんていう、あの技術を盗もうと思って、虎視眈々としているのは、アメリカと隣の中国だよ。そういうもんなんだね。そういう戦略技術というものの可能性と、それにどれだけのスピードでどれだけの可能性でアプローチできるかということを、日本人は考えたらいい。これから、先日見て感動した映画のキャンペーンにお手伝いしようというんで、渡辺謙君と対談するんです。彼は見事な日本人を見事に演じてくれた。『ラスト・サムライ』のヒーローだったけれども、彼が演じた「はやぶさ」を造った連中たちは、ひょっとしたら、「ラスト・日本人」だね。私たちはあれに刺激されて、取り戻したらいいんだよ、自信とプライドを。

【記者】では、知事は核保有論者ではないという。

【知事】そうじゃないですよ。どう解釈されようといいんです。

【記者】巷では核保有論者という。

【知事】保有論者か、そういう識別、どうでもいいんだ。私は誤解を全然恐れないから。
それから、佐藤栄作という総理大臣がすごかったのは沖縄返還交渉をやった時、非核三原則なんていうことで、わーわーやっていたんだ。若泉敬(国際政治学者)なんかもそれで苦労したんだけれど。若泉敬は私の友人でした。彼も佐藤さんも、あの頃、アメリカの、日本に対する核の抑止力は実質的にないということをよく知っていたんですよ。佐藤栄作がすごいのは、ジョンソン大統領、ニクソンの前の大統領と交渉し、「日本は核持ちたいから協力してくれ」と言ったら、これは断られた、さすがに。それで、ニクソンと沖縄返還交渉している時に、村田良平という、この間死にましたが、最後、外務省の事務次官やった男が、ドイツ語の達人だったんで、彼が課長のときに命令して、ドイツと一緒に日本は核を開発しようと申込みしているんですよ。ドイツは、東ドイツの問題があったりして、「ちょっと今は具合が悪い」と断るんだけれど、そのかわり彼らは、ドイツに配備させた中距離核ミサイルの引き金を引く権利というのを、条約でうたっている、ちゃんと。日本は何にもせずにきちゃったわけだ、それきり。私は見事だと思うね。片方で、非核三原則と言いながら、密約もし、同時に、アメリカに領土返させながら、「よし、日本は核持ってやろう」と思って、ドイツと相談する総理大臣というのは、見事だと私は思いますね。そういう芸当のできる政治家がいなくなっちゃったね。

【記者】もう1点お聞きします、先ほど、橋下さんの話が出たのですけれども、橋下さんとは、毛沢東の『矛盾論』についてお話ししたという話を以前……。

【知事】私が一方的にしゃべったんですけれど。

【記者】知事がお考えになる、今の日本の主要矛盾と従属矛盾はどういったものかということを。

【知事】それはもう枚挙に暇がないじゃない。

【記者】一例を挙げていただければ結構ですが。

【知事】最たる主要矛盾は、ずっとアメリカの妾できたということですよ。それに甘んじてきたということです。そうして、色々な従属矛盾が出てきた。アメリカの経済的な収奪も、金本位制も諾々入れたし、今度のTPP(環太平洋パートナーシップ協定)だって、部分的に良いところもあるし、悪いところもあるけれど、こういったものを、個々それぞれの分野で激しい討論する力があるかどうかというのは分からないね。その他、この他、そうでしょう、安保条約の地位協定しても、全部、従属矛盾じゃないですか。結局、アメリカのお妾できたから、こういうことになっちゃった。私は、日米関係を全然認めない。嫌いなんだ。日米関係の中で一番嫌いな国は日本だね。私がアメリカの大統領だったら、相手に乗じて、勝手なこと言ってくるなと、言わせますよ。それにノーと言わなかった、その点では佐藤栄作も岸信介(元内閣総理大臣)も偉かったと思う。はい。どうぞ。

【記者】東京電力の電力の値上げについて関連して、今日も九都県市を代表して、都の方で資源エネルギー庁の方に要望書を持っていかれていますけれども、これに対抗するやり方の1つとして、電力の調達先をPPS(特定規模電気事業者)の可能性も含めて入札をするというような自治体も出てきているわけですけれども、東京都の場合、例えば部分的にでも、そういったことをおやりになる……。

【知事】入札する、しないと言っても、相手がいるんですから、多岐に渡って。東電とか関電とかそういう大手の国と結託してやっている電気会社以外の民間のシェアというのは3%ぐらいしかないのよ。それに集中しても日本の、東京の電力需要というのは賄われるわけがないんだし。やがて、東京独自のLNG(天然ガス)を使った発電所も造りましょう。それだって、東京の電力すべてを賄うわけにいかない。しかも、それも東電の持っている配給網に頼らざるを得ない。そういう中で、我々がユーザーとして、相手を識別できるような幅がありませんよ。ほとんど独占事業なんだから。はい。どうぞ。

【記者】先日、原発の是非を問う住民投票について、一部の自治体を除いて締め切りが来まして、必要な数を上回る数の署名が集まる見通しが立ちました。これについて、都知事としては今、どのようなお考えですか。

【知事】手続き出したらいいじゃないですか。そんなものの条例、作れるわけないし、作るつもりもないよ。この間、自分のコラムに書きましたが、人間に一番やっかいなのは、センチメントなんだ。センチメントというのは恋愛と同じで、あんな女に引っかかるぞとか、あの男と一緒になったらひどい目に遭うぞと言っても、惚れちゃったら一緒になって、人生めちゃくちゃにならなければ、分からないんだ。それに、センチメントというのは、犯罪の捜査なんかそうですよ。その時に例に引いたんだけど、九州の事件でも、ストーカーが何とかしてくれといっても、警察は面倒くさいわけだ。傷害事件が起こったわけじゃないから。あまりうるさく言ってくるから、刑事課に任せたら、刑事にしてみれば、もっと大事な犯罪というのはたくさんあるし、未解決があるんだったら、そんな恋愛沙汰に構っていられますかというんで、結局、実質的に棚上げされて、結局、当人じゃなく、おばあちゃんとお母さんが殺されたんでしょう。あれでも、警察は非難されているけど、私は違うなと思いますね。恋愛沙汰に警察が突っ込んでいくというのは、事件が起こらない限り、とてもじゃないけれど、その気になりません。原発もそうなの。原爆のトラウマがあるから、みんな、一種のセンチメント、恐怖感で言うけれど。あなたが読んだかどうか知らない、今度は、吉本隆明(詩人、思想家)までが、「原発反対するのは猿と同じだ。人間の進歩というのは、近代精神というのは、人間が技術を開発することで進歩してきた」と。それが、むしろ歴史の原理だということを言っていて、原発に反対という人は、代案も出さずに言っている限り、センチメントの域を出ないから。「人間の進歩というのを認めないと、人間は猿に戻る」といって、とてもはっきりしたことを言ったけれど、私も同感です。人間の進歩というのは、自分の手で技術を開発し、挫折があったり、失敗があったり、事故もあったけれど、それを体験しながら、克服することで文明が進歩し、今日まで来た、ということです。はい。どうぞ。

【記者】東京スカイツリーが開業するまで、あと100日ほどとなって、電波塔としてはさることながら、観光資源とか、新しいシンボルというようなことで、周囲盛り上がっているのですけれども。知事はスカイツリー、東京の中でどのように感じていらっしゃいますでしょうか。

【知事】あそこに建っているんだよ、あれは。それだけだよ。少なくとも、東京タワーよりも美しいものにしてもらいたいな。あんな醜悪な建物、芝に建っているということは、私はシェイム(恥)だと思うけれど。もうちょっと違う形になったんだろうね、スカイツリーというのは。この間、下から見ましたけれど、工事中に。東京には色々なものがあるんだよ。はい、どうぞ。

【記者】先日、東京都の特産の野菜や水産物を集めたガイド本(「とうきょう特産食材使用店ガイド」)、このようなものを産業労働局の方で出していまして、これについて知事はご存じですか。

【知事】知らない。一々見ていたらしようがないもん。東京には何でもあるんだよ。

【記者】担当の産業労働局の方では、これでPRを一生懸命やろうということなのですけれども。

【知事】いいじゃない、やったら、大いに。今度見てみますよ。あなたが言うから。大体、東京都から出ている出版物というのはろくなもんない、読む気がしない、面白くなくて。せめて、(東京都)広報にましな書き手を入れろと言って、水道橋博士、なかなか文章書けるんだよ。頭もいいし。書かせたら、これがまた硬すぎてね。なぜ都の出版物なんかだと、あれだけ才能のある芸人なのに、四角四面というか、しゃちこばった、肩の張った文章しか書かないんだろう。こっちが替わって書くほど暇もないから。それ、あなたが評価してくれているの?

【記者】なかなかいいかなと思って。これを見て食べに行ったらどうかなと思ったのです。

【知事】じゃあ、伝えておきますよ。担当局に。ありがとう。はい、どうぞ。

【記者】先ほど、知事は例の沖縄返還に触れた話をされた中で、若泉敬という名前をちょっと出されて。今、テレビで『運命の人』というのを山崎豊子さんのドラマをやっています。それと同じように、若泉敬さんの『他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス』というのがありますが、実際に他策はあったと、私ははっきり知っているのですが、その件で……。

【知事】「他に策なかりしを信ぜむと欲す」の「他に策」というのは、有事の時には核を持ち込むという密約をしたということでしょう。

【記者】そうです。

【知事】もともと密約する前に核なんかはあったんだよ。僕、あの交渉をやっている最中にも行きまして、その後も嘉手納基地ありますよ。

【記者】知事のように書けないので、私は、自分の一生の作として、今そういうのを取り上げて書こうとしております。
 話は別ですが、今日2時からイランの大使館でナショナルデーがありまして、たくさんの政財界の人が来ておられました。今、イランと日本との間、アメリカの圧力で石油の輸入から何から、できない状態ですけれども、沖縄であれだけアメリカに押し切られるんだったら、せめて、イランとの間はアメリカを説得して、間に立って行くぐらいのあれを持てばどうかと思うのですが、いかがでしょうか。

【知事】私も全くそう思いますね。日本で一番くだらない役所は外務省だよ、腰抜けぞろいで何にも言えないんだから。横田(基地)の問題で痛感しましたが。イランというのは日本にとって大事な国ですよ。非常に深い関係もあったし。特に、アメリカは実質的にユダヤ系のアメリカ人が支配していますから。イスラエルに対して、ほかの国と違った斟酌をしなかったら、なかなか難しいんだ。だから、ああいうことになる。かつてイランの人たちが、カーター(元米国大統領)の時代に、大使館に踏み込んで占拠したでしょう。これが、ちょっと野蛮な、一種の国際的な黙約を破った行為だったんで、アメリカも非常に憤慨したけれども、これもまた、センチメントの後遺症がすごくあるんです、イランに対して。本当に馬鹿な話ですよ。かつて、湾岸戦争が起こっている時も、イランは日本だけ特別扱いして、船団方式といって、ペルシャ湾のホムルズ海峡の沖で、日本のタンカーが5、6隻一緒になって、隊伍を組んで、ある特別の信号を送りながら行くと、イランは絶対攻撃しなかった。それは、日本とイランの非常に特殊な関係というのを象徴する配慮でしたが。そういったものをアメリカが壊せと言ってきて、日本の外務省がへらへらし出したんで、私は運輸大臣だったけれど、断固反対したんです。そういうことですよ。アメリカの妾じゃいけないんだ。イランの問題だって日本は、ちゃんと自分の独立したものの言い方をしたらいいんだ。はい。それじゃ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)