石原知事記者会見

平成23年9月15日更新

石原知事定例記者会見

平成23(2011)年9月9日(金曜)
15時04分〜15時27分

知事冒頭発言

1 「国への提言」について

【知事】私から申し上げることはありませんが、新内閣が発足したんで、各省に対しての改めの要望書を都として送りましたので、詳細は資料としてありますから、後で配付してもらいます。質問があったらどうぞ。

質疑応答

【記者】以前、東京都の指摘で不正が発覚しました、いすゞ自動車。あれが、今日、同じ時間帯に国土交通省で記者会見をしているようで、エンジンのほとんどの部品を取りかえるという内容の改善策を発表しているそうです。それについて、知事、どう思われますか。

【知事】どう思うというか、悪いところを指摘されて直すのは業者の当たり前のこと、責任だから、当然のことじゃないか。

【記者】東京都の指摘で始まったこととして。

【知事】立場、立場で人間の目の配り方が違いますから、東京は東京の責任でやったんで、相手がそれを認めたら速やかに改善するというのは当然のことだと思いますけれども。はい、どうぞ。

【記者】先日、安住(淳)財務大臣が東京メトロの株を売却する趣旨の発言をしました。それに対して猪瀬(直樹)副知事は、もう一方の株主である都に相談がなかったということを強く抗議するとともに、もし売りに出された場合は、都の株式保有が50%を超える3.数パーセントについては、すぐにでも買うと、そういう発言をなさいましたが、知事のご意向はいかがでしょうか。

【知事】昔からそれは同じことを言ってきているわけです。猪瀬さんが来る前から。株があまり高くない時代に株を売るばかもないんだろうけれども、売るなら都に売れ、東京が買うからと。ただ、国の役人というのは、共同事業をやっていて、自分らの目下だと思った地方自治体が、大きな事業の展開に、国を差しおいてイニシアチブをとるというのは、彼らの沽券(こけん)に関わるらしいんだな。ちゃんちゃらおかしい話だ、そんなものは。売ればいいんだよ。財源の1つになるんだから。高い値段で売れるでしょう。東京も余裕がありますから。買って、過半数を持って、それで2つの地下鉄の統一もスムーズに進むだろうし。
 この間も、盟友の亀井静香(国民新党代表)と色々話したんだが、あれは、なかなか大蔵省(現財務省)ににらみのきく珍しい政治家だけれど、その時、その話も出たんです。大蔵がイニシアチブをとって抱えているものがいっぱいあるわけよ。今度の郵政の改造の法律も通るでしょうけれど、売るものは売ったらいい、どんどん。それで足りなければ増税だけれど、大蔵は、その自分の手に抱えて、自分の財産じゃないんだけれど、変な同属意識があって、大蔵省というのは変にチームワークあるから。管財なんかも抱えて、余計なものはいっぱいあるわけだ、売ったらいい。それで、足りなければ増税したらいいんで、それでどれだけの財政の補てんができるか分かりませんけれど、大蔵が抱えて離さないものはどんどん売却したらいい。今度の郵政も高いもので、売れるでしょう。会社としても優秀だから。そのほか色々ありますな。法律が絡んでいて、たばこなんかそう簡単にいかないみたいだけれども。いずれにしろ、抱えている無駄なものはどんどん売って、それで財源を補てんして、足りなければ、とてもそんなものでは足り切れないと思いますけれど、これは当然、増税というものに進まざるを得ない。特に高福祉、低負担というのは、成り立ちっこない原理なんだから、それを維持しようと思うなら、社会福祉、社会保障というのを維持するためにも、目的を限った増税というのは当然必要になってくると思います。はい、どうぞ。

【記者】関連する質問で。東京メトロ株の売却なんですけれども、前田(武志)国土交通大臣が、これを片親だけで育てると、卵を産まなくなる可能性があると、メトロは優良な会社で金の卵を産むニワトリなので、2つで育てるのがいいんだという例えをしておりますが……。

【知事】その片方の2つの1つが売るんだったら、売ったらいいじゃないか。買ってやるよ、こっちが。

【記者】そうですか。

【知事】本当は、営団(現東京メトロ)も含めて、2つの地下鉄を一緒にした方がいいんです。これは猪瀬君のした指摘で、ドア1枚隔てたものを、開ければ隣のホームに行って乗り換えが出来たのを、階段上がって下りなくちゃいけないなんてばかなことをやってきたんだ、今まで。これは2つの親のエゴにもならない、くだらない意地が、ドアを1枚隔てて、乗客に迷惑をかけてきたんで。全くナンセンスだね、言っていることは。はい。

【記者】一部報道で、東京都が練馬区の豊島園を数百億円で買収し、帰宅困難者の受け入れを視野に入れた防災公園に整備するという報道がなされておりますが、真偽のほどはいかがでしょうか。

【知事】知りません。担当局に聞いてください。はい。どうぞ。

【記者】知事は以前から横田(米軍横田基地)の民営化について言及なさっていましたが、今回オリンピックに立候補するに当たって、横田を一部活用するとか、そういった進展などはありますか。

【知事】ないね、おそらく、民主党の政権が続く限り。いろいろ私もワシントンの情報をとっていますけれど、難しいでしょう。とにかく、アメリカの軍部というのは、1回取得したものをかたくなに返さないから。まだ共和党の方は、そういう点は日本の立場、理解はあるけれど。物にも書きましたけれど。日本で(サッカーの)ワールドカップをやった時に、日本と韓国と共同主催になった。向こうも、金浦国際空港をかえて、仁川の方に新しい国際空港をつくった。ついでに、横田と前の金浦の飛行場を支配権抜きにして、選手や関係者の行き来に使おうじゃないかといって、韓国と交渉し、韓国ももろ手を挙げて賛成だったけれど、アメリカが何をやったかといったら、それを聞いて、いきなり、向こう50年間使えるような飛行場の舗装を厚くするとばかなことを言い出して、あの時、森(喜朗)総理にも言ったんだけれど、「自分は分からないから」というので、ワールドカップの開催の会長に「何とかしろよ」と言ったら、「困りましたね」と言うけれど何もできなくて、さっさと工事されてふさがれちゃった。そういうていたらくです。アメリカは、結局、いまだに日本を占領しているつもりでいる。あそこに昔は、「日本人と犬は入るべからず」と書いてあったし、「原籍はカリフォルニアの基地である」と。要するに支店の基地だという看板、さすがにそれは外したね。だから、オリンピック絡みで横田が動くということはなかなかね。共同使用だけは最低しようと思っていますけれど。
 アメリカの財界も、僕の友達ではトム・ドナヒュー、今度やめちゃったけれど、長いこと商工会議所の会長をやったんだ、彼なんかもビジネスジェットで、簡単に乗り入れたいけれど、日本は2カ月前に申請しなかったら簡単に飛んでいけないと言うんです。「お前らならファーストクラスで来ればいいじゃないか」と言ったら、アメリカの飛行機会社の飛行機は、VIPだと全部盗聴していると。商工会議所の会長が言うんだ、間違いないじゃないか。ということで、アリの一穴でビジネスジェットも大事なフライトだから、要人が来て大きなビジネスを構えてくれればこしたことはないんだけれど、ただ、あそこの飛行場をあけると、それに付帯して、鉄道つくれとか、幹線道路を広げろとか色々言ってくるんです。これは、旅客機が入らない限りなかなかコストに合わない要求で、そこら辺をどういうふうに交渉をしていくか、これからのことでしょう。
 ただ、外務省は全く腰抜けだな。この問題では、ジアラという前の(国防総省)日本部長と在日米軍の司令官が、シンポジウムのゲストとして来て、今までは国交省も防衛省も外務省も、そこに役人が来て、アドバイザーというんでしょうか、そのシンポジウムの聞き取りに来たんだけれど、今回に限って来なかった。だけど、その前に北米局長がその2人のアメリカ人呼んで、「余計なことを言うな」と。「羽田に4本目の滑走路ができたんで、横田の方は解決して、これは、日本の用になっていないんだ」と、「それ承知して物言えよ」と言ったんだ。それ聞いて、その後、その人が来まして、「どうも外務省の人見ていると、日本側に色々な問題があるんじゃないですか」と言うから、私、激怒しまして、北米局長、前原君(元外務大臣)を大臣室に呼んでいって「大体、今度、なぜ外務省の役人を送ってこないんだ」と言ったら、前原が「地方自治体のやっていることに、一々国が関与する必要はないんです」と言うから、「ばかなこと言うな」と、「お前、なりたての外務大臣で何も知らずに、役人が口々で言っているだけだけれど、そんなもんじゃないんだ。ずっと谷内(正太郎)次官の時代が続いていることで、君、しっかりしろ、どこの大臣なんだ」、「北米局長、どこの国の局長なんだ」と言ったら、「私たち日本の大臣、日本の局長です」と言いました、しゃあしゃあと。そんないきさつがあった。やっぱりだめだね。日本の外務省は、本当にアメリカの国防省に対しては腰が抜けていて、もう情けなくなる。今度の内閣が、どれだけしゃんとするか知らないけれど、そういういきさつがありました。

【記者】それと同時に、世界遺産になった小笠原にも、硫黄島というアメリカ軍の基地があるのですけれども。

【知事】アメリカ軍の基地というかね、時々使っています。

【記者】共用ですよね。あそこには島民が入れないという、いまだに事実があるのですけれども。

【知事】そうですね。これは、防衛上の機密云々ということじゃなくて、アメリカもあんなところで、NLP(夜間離着陸訓練)の練習をしたくないんですよ。遠過ぎるし、人もいないし。なかなか代案がないんだけれども。それから、行っても水とか色々な問題がある。昔は確かに島民がいたけれども、別にあそこに島民が住んで、防衛上の支障を来すこともないと思いますが、あえてあそこへ、ろくな港もないし、島民に戻ってもらっても、なかなか生活難しいし、ということで、小笠原で我慢してもらっていますけれども。はい、どうぞ。

【記者】豊洲の土壌汚染について、ちょっとお聞きしたいのですが。8月29日に、東京都の方では土壌汚染処理対策工事の落札が行われました。約500億円を総額で超えるような金額になっているのですけれども、以前に一部を、東京ガスに汚染処理費用を負担してもらうというふうに、東京都は言っていたようなのですが、それが79億円ぐらいの話なんです。これだけの差があるというのは、これはどういう理由なのでしょうか。

【知事】東京ガスは全然出さない?そんなわけないよ。約束は約束だから。工費の総額は入札で決まったかもしれないけれど、その何パーセントを、どちらがどういう責任で負担するかと、これからの話ですし、基本的に、その路線は変わっていないと思います。東京ガスがこれに1銭も払わないなんて、とんでもない話だ。自分らの責任なんだから。
(※東京ガス株式会社及び東京ガス豊洲開発株式会社は、本年3月の都との合意に基づいて、豊洲新市場予定地の土壌汚染対策費用の一部(両社計78億円)を既に負担しています。)
 はい、どうぞ。

【記者】教科書の採択をめぐる問題ですけれども、沖縄県の八重山地区の協議会で、一旦採択が決まった育鵬社の教科書が昨日の沖縄県教育委員会主導で新たに設置された臨時総会で不採択という、覆される結果となりました。もともと一部の自治体が協議会で決まった教科書を受け入れないということでごねていて、それについて県教委が調停に立ったという格好なのですけれども、県教委の方は自治体を説得する訳でもなく、新たに設置した協議会で決めるという手法に対して批判の声も上がっているのですけれども。

【知事】当然そうでしょうな、ルールはルールだから。誰がどういうイニシアチブで、その教科書を拒否したか知らないけれども、歴史に対する物の考え方というのは、できるだけ冷静に対処した方がいいと思うけれども、日本人というのは、特に沖縄の人というのは、戦争に対して苦い経験がありますから。色々なセンチメントがあるんで、そういったものが非常に拡大して出てくると、今日のような事態になるかもしれないけれど、それは決められたルールだし、その中で決まったことを、その反対の理由をつまびらかにしませんけれども、決まったルールは守らなかったら物事は何も進まないと思います。はい。どうぞ。

【記者】サッカー女子の日本代表、なでしこジャパンが、オリンピックの出場を昨日果たしましたが、これについて、知事、感想をお願いいたします。

【知事】結構です。うれしいですね。みんな喜んでいるよ。

【記者】試合の方はご覧になりましたか。

【知事】相手がこしゃくな国だから、負けたら嫌らしいんで、結果だけ聞きました。残念だったな、本当に。オウンゴールしたやつが帰ったら死刑になるんじゃないか。あの国だと。はい。

【記者】知事は来週、オリンピックの招致について、アスリートの方々と議論する、東京ビッグトークを開催されます。オリンピック招致に向けては、アスリートの方と一緒に盛り上げていくということも、今後、大切になってくると思うのですけれども、前回の招致活動を踏まえて、今回、オリンピックを呼ぼうじゃないかという都民の世論を今後どうやって盛り上げていくか、なかなか秘策はないと思うのですけれども、前回の活動を踏まえて、今回はこうしたいという知事の構想の一端のようなものがあれば教えていただければと思います。

【知事】あまりないね。その大前提に、JOC(日本オリンピック委員会)がもっとしっかりしないと、「何でもかんでもお願いします」と乳母日傘(おんばひがさ)で、東京はそこまでの責任ありません。政府をどうやって動かすか。池田(勇人)内閣の時に東京オリンピックに備えて、佐藤栄作という次の総理大臣、大物大臣が担当大臣になった。それぐらいのことをしないと。それを、政府に依頼して動かすのは、これは東京都の責任じゃないよ。日本体育協会の会長で森君みたいな立派な政治家がいるんだから、そういう人に物を頼んで、総力戦というものを構築していく、これはJOCの仕事じゃないですか。もちろん、できることは東京もできる限りやります。だけど、「よろしくお願いします」ということでは物事は済まないんで、相当JOCがしっかりしなければだめだね。どうぞ。

【記者】五輪招致に関連してなのですが、6日の日にJOCの方で、五輪招致の招致委員会の体制が決まりまして、理事長に竹田(恒和)JOC会長、それから事務総長に水野(正人)JOC副会長の就任が決まったということなのですが、この体制について、どのように評価されますか。

【知事】それも非常に、私にとってみると迷惑千万な話で、体育界の中での根回しというか、相談というか、綿密な合議というのが行われたかどうか分からないんです。つい最近も、今、ニュージーランドに行っちゃっているけれども、森君から電話がかかってきて、「石原さん、これでいいの」と言うから、「いいも悪いもどういうことなの」と、「石原さんがうんと言ったから、これでいきますって」と、「それはおかしいんじゃないの」と。JOCの組織をどうつくるか、どういう配置にするかということは、東京も相談に乗るけれども、政府対の問題もあったり、云々あったりするんで、それこそJOCだけじゃなくて、日本の体育界全体で人材を登用して、盤石なスクラムを組む必要があるんじゃないのと。森君からいきなり電話来て、「石原さん、あれでいいのかね。あなたがいいと言ったから、それで進むみたいなこと言っています」と言うから、「それはちょっと違うんじゃないか」と。私は、JOCの人事なんか全く精通していませんし、どんな人がどんな能力を持っているか知らない。体育界の関係の人たちの中で合議して、最強のチームをつくるんで、サポーターが日本の代表のチームに、あれをフォワードにしろ、こいつミッドフィールダーにしろと言うわけにいかないでしょう。そんなものは。

【記者】知事も会長という位置づけで……。

【知事】会長も結構だけれど、そんなことの前に、もうちょっとね。私は、人材の配置の仕方で足りないところがあると思います。今の限りでも。その注文は出しました。どうぞ。

【記者】関連してなのですけれども、知事は以前の会見で、招致委員会の会長は、私なんかが務めるよりも、もっと国を動かす力量のある方がいいんじゃないかという発言をされておられましたが。

【知事】俺は国を動かす力量がないでもないがね(笑)。ただ、こういう問題については、もっと適材適所というか。僕は大体、IOC(国際オリンピック委員会)のどの男がどの国の人間で、どのスポーツの代表だかさっぱり分からないんで、その人間に向かって、「あの人に向かって握手して、できたらハグしてください」と。初めて会った人間に抱きついて、よろしくお願いして、そんなもんで済むわけないだろう。だったら、精通している人間、最高の責任者が出向いた方がよほどいいと思うんです。

【記者】じゃあ、ご本心では、あまり、その会長になられたことを、よくは思っていらっしゃらないという。

【知事】会長というのが、どこまで何をやるかの話で。会長だから、あれもやれ、これもやれと言っても、私はできません、そんなこと。東京の問題もあって。相手が誰か分からない人間に、握手ぐらいはするけれど、「あなた、それで何の競技の代表ですか」と聞いたら失敬な話だし。サマランチ(前国際オリンピック委員会会長)が、訳の分からん、IOCのメンバー増やし過ぎたんで、非常に物事が混線していますな。はい、どうぞ。

【記者】最後なのですけども、昨日、ロシアの爆撃機が日本を周回しました。それについて、知事、どう思われますか。

【知事】あれは、どれぐらいの距離で飛んできたのかね、本土から。制空権の空域を侵しているんだったらとんでもない話だし。

【記者】制空域は侵していないらしいのですけれども、空中給油はなされたという話で。

【知事】そう。昔は、少なくとも領空を侵犯したときは、三沢から、日米でスクランブル(戦闘機の緊急発進)、何度もやったんです。その間でも三沢を共同使用していたんですけれども。実態は分からないけれど、領空に入ったら、スクランブルかけて追い払うのは、当然、国防の鉄則でしょう。ちょっと外れたところだとしたら、黙視というか、注目する以外ないんだろうと思うけれども。そこで空中給油したというのも、なかなか意図的だよね。
 はい、それじゃ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)