石原知事記者会見

平成23年8月11日更新

石原知事定例記者会見

平成23(2011)年8月5日(金曜)
15時02分〜15時24分

知事冒頭発言

【知事】私から申し上げることはございません。質問があったらどうぞ。

質疑応答

【記者】先日、猪瀬(直樹)副知事をトップとする天然ガス発電所のプロジェクトチームができました。これに対して、以前から村山(寛司)副知事をトップとする「電力需給対策推進本部」というのもありますけれども、この2つの位置づけはどのように考えていらっしゃいますか。

【知事】これは、一番私が上にいて、戦略を立てて、その一つとして、天然ガスによる発電所も、これ100万キロワットベースのことですから、ほかに、水道とか下水道の局それぞれが発電所を持っていますが、これはその単位からいっても小さなものですし、包括的には私と猪瀬君が責任を持って管轄する、東京全体のエネルギーに関するプロジェクトチームの中にそれが包括されるべきものだと思います。2つじゃない、決して。プライオリティー(優先順位)かというのは問題にならないからね。ただ、100万キロワットの発電所を、早く作らないといけないと思います。国のエネルギー政策がどうなるか分からないけれど。アセスメントなんかを含めて、結構時間がかかるんで、そういうものをどんどん省略して、迅速に事をと思っていますけれど、電気をどういう対象に、どういうふうな形で配電するかというのは、これからの問題。それから、相変わらず東京電力がしゃしゃり出てきて、「電気配っているのは俺たちだから、その回線を使用するのにこれだけの金払え」と言って、それがせっかく作った電力のコストを上増しするみたいなことにならないように、これから国との協議と言いますか、国全体がエネルギーの民営化の時代になったということを踏まえて、法律の改正なり、その他のことを考えなくてはいけないと思っていますけれども。
  ほかにどうぞ。

【記者】終戦記念日も、近くなるわけですけれども……。

【知事】終戦記念日じゃない、敗戦記念日。

【記者】敗戦記念日ですか。

【知事】日本人は、なぜ敗戦を終戦と言うのかね、そんなレトリック(修辞)でごまかしてもしようがないんだよ。

【記者】石原都知事は靖国神社参拝を今年も決意して……。

【知事】決意じゃない、当たり前のことで行くんだ。私にとってのルーティンです、人生の。

【記者】それについて何かコメントすることは。

【知事】全くないね。君、行くか?靖国行ったことある?いい年なんだから、行けよ、君も。行ったことないのか。

【記者】子供の時には行きましたけれども。

【知事】敗戦になってから行くんだよ、ますます。

【記者】それからもう1つ、核兵器についてなのですが、原子力発電、原発というものが、一つは核兵器にいつでも転化しやすいというふうに言われているわけですけれども……。

【知事】そうですよ。

【記者】そういうことを考えますと、石原都知事は日本が核兵器を持つべきだということと、原発があるということで、もう既に持っているじゃないかと、こういうふうな……。

【知事】全然それは違うでしょう、あなた。

【記者】言葉との整合性はどういうふうに……。

【知事】核兵器というのは、まず、ニュークリアー・ワーヘッド、核弾頭を作って、それをどうやって運んで、相手に場合によったら落とすかという、その2つが揃わなかったら、戦略兵器は成り立たないんです。オバマなんか格好のいいこと、「Yes We Can」と言って、世界中の原爆なくそうとノーベル賞をもらった、ノーベル賞は実にいいかげんな賞だけれど、その後、「but we don't」じゃないですか。アメリカは新しいニュークリアー・ワーヘッドのシミュレーションやったじゃないですか。コンピューターを使って。日本だってそれぐらいのことやったらいいんだ。持とうと思ったらいつでも持てますよと。3カ月で、シミュレーションできます。プルトニウムは山ほどあるんだから。そのことについては詳しく、今度、私が出した本の中に書いていますから、暇があったら読んでください。ここでくどくど言わないけれど、日本は強力な軍事国家にならなかったら、絶対存在感を失うんだ。ただ、今までの体系だと、核兵器を持たなかったら、マージャンだと一翻つかずに上がれなかったんだけれど、新しい戦略兵器をアメリカが開発しだしたし、これはコンベンショナル・ストライク・ミサイルといって、正確なGPSを活用して、かなりの長距離から、核弾頭なんか積まない、そういった兵器を撃ち込むことで、ものすごい破壊力を持つ。これは、日本の宇宙開発の技術からいったらできます。これができる国はおそらくアメリカと日本でしょう。これは核に関係ないんだ。そういうものを持つことも考えたらいいんじゃないの?日本ほど、北朝鮮と中国とロシアと、日本の領土をかすめ取ったり、かすめ取ろうとしている国で、しかも核を持って日本に歴然たる敵意を持っている国に、こんなに間近に囲まれている国は世界中どこにありますか。日本だけだよ。こんなに危険な政治的シチュエーションにある国は。だったら、それに対抗することを考えなきゃいけない。経済力なんかは、とても通用する時代じゃなくなった。日本人の開発した宇宙開発の技術、どこかの訳の分からない政治家が日本のスーパーコンピューター、「なぜ2番目じゃいけないか」と言って、失笑を買ったが、結局、今年見たら、日本のスーパーコンピューターは世界一じゃないですか。その計算指数というのは8千兆幾つで、中国が2位になったけれど、中国は2千兆そこそこです。このスーパーコンピューターを駆使したら、原爆のシミュレーションなんかすぐできる。それもやったらいいんだ。同時に、そういうものを駆使して、新しい戦略兵器を、しかも核に関係ないものを日本がつくる努力をしたらいいじゃないですか。これはすごい話だと思うよ。私の詳しい、今の本を読んでください。
  そうすると日本はそれなりの存在感を持つだろうし。例えば、小惑星探査機「はやぶさ」という、60億キロ飛んで帰ってきた、ああいう技術というものを持っている国は世界にない。あの技術を、戦略というものを踏まえて、一番、よだれをたらしながら欲しくて見守っている国はどこかといったら、アメリカと中国だよ。それを、もっと国際政治なんかで活用していく、そういう発想力が今の政治家にも官僚にもないから、宝の持ち腐れになっているけれど。お互いに皆で勉強しようじゃないか、もう少し。
  はい、どうぞ。

【記者】2001年でしたか、東京総合防災訓練というのを以前行いましたよね。その後は行われていないのですよね、確か。

【知事】いや、毎年やっている。

【記者】規模が縮小していると思うのですけれど、一番最初の時が一番大きかったと思うのですけど……。

【知事】そうでもないけれどね。同じようなことをだらだらやっているんです。あんなもの、もうやらない。やっても何の役にも立たないんだもの。アメリカの兵隊まで連れてきて、軍艦持ってきて、帰宅困難者を運ぶ、そんな段取りまでして、肝心の時に忘れちゃって、東京の危機管理監が、何も手を打ってないものだから、何のための演習なんだと。あの時、もし、アメリカの軍艦なり自衛隊の軍艦が来て、帰宅困難者を運んで、ジグザグに東京湾行って、横浜と川崎、千葉におろして、少なくとも、東京へ通勤していた人は助かったと思うんだけれど、やらないんだよ。やらない演習なんかしてもしょうがないんだから。この間怒ったの、管理監に。「しっかりしろ」と。なり立てだから継続がうまくいかなかったのかもしれませんけれど。もうちょっと違う演習を考えなければだめですよ。

【記者】新しい、いわゆる東京プロジェクト、2020ですよね。次の10年に向けてのプロジェクトというのを最近検討しているようなのですけれども……。

【知事】どんなものが出てくるかね、私は私でいろいろ考えもあるけれど。しかし、この巨大な集中が進んだ東京という大都市の防災訓練なんて、口で言うのは簡単だけれど、そんなにできるものじゃない、簡単に。第一、木密(木造住宅密集地域)というのは一番の弱点で、火がついたら本当に大きな犠牲がでると思うけれど、住んでいる人たちというのは、あまり危機感を感じていないんだから。実に住みやすい人情の細かい町で、声かけたら隣の家の、その家族に声が通じる、そういう家並みです。それはそれで非常に良さがあるんだ。だけど、災害には非常にひ弱な地域ですが、これがどういうことなのか、いつも言っていることだけれど、「石原さん、絶対地震は来るよ」と言うので、「あなたのところ、危ないんじゃない?」と言うと、「うちは大丈夫」と、何故か言うんだ、みんな胸張って。困っちゃうの。

【記者】東京に直下型地震が来た際に、知事は立川に知事室を移して、指示に当たるという……。

【知事】いや、それは誰かが言ったんです。昔、金丸信(元自民党副総裁)が、国会の下で地震が来て、これが潰れたら、立川の体育館でも借りて国会やろうなんてことを言った。それが、どんどん変なふうに拡散演繹(えんえき)して、首都移転の問題になって、三重県だとか東北が手を挙げて、訳の分からない委員会が出来て、やっとこれをつぶしたんだけど。だけど、東京が23区から多摩にかけて、全滅するような地震というのは、とんでもない規模の地震ですから、滅多に起きないと思うけれども、千年に1回ということもあるわけですから。でも、本当にこの頃、地震多いよな。どうぞ。

【記者】今の流れにちょっと関連するのですが、防災訓練というものは、その訓練そのものをやればいいというものではなくて、防災訓練をやったことによって、幾つもの確認事項ができると。窓口になっている人が、2年、3年で人事異動などで代わったりしていると、その引き継ぎといいますか、継承されていることが、途切れてしまいがちであると。そういったことを常に確認すること、それから担当者、食料、非常食などを預かっている人間は、どこに鍵があって、そういったことを確認する上でも、防災訓練というものは常にやっておくことが必要で、東日本大震災も津波があれほど大きなものであったということを、教訓として訓練を受けていた人たちは、逃げています。

【知事】そうですね。

【記者】実際。こういったものが必要であることと、これは継続していくこと、新たにもうやめてしまって、また新たにつくり直すというときは、ものすごいエネルギーが必要ですから、続けていくことと、それから毎回、意味合いをきちんと確認しておくことが必要であろうかと、私は思い続けているのですが、いかがでしょうか。

【知事】それはおっしゃるとおりなんですけれど、やっている訓練だって意味のあるものとないものとあるわけね。新劇の舞台のセットみたいな家つくって、そんなの燃やして消火しても、何の役にも立たないんだ。消防なんかのレンジャーが、高いビルから人を抱えて下ろす、そういう練習というのは、あちこちでやった方がいいと思います。だけど、車持ってきて、わざわざ潰してその中に人形を置いて、それをのこぎりで切って救い出すみたいな練習というのは、別に、どこか警察なり、消防が、自分の構内でやっていればいいことで、一種のショーみたいなことをやっても意味ないと思います。年中そういうことやっていてくれて結構なんだけど、色々な人が出てきて、患者になる人、なってみせる人、その手当てをする役割、一種のショーアップの、別に芝居とは言わないけれど、それは何かの役に立つでしょう。でも、それを繰り返しても、何も安定するわけじゃないし、まず「自助」と言うんでしょうか、私なんかも、関西地震(阪神・淡路大震災)の後は、自分の枕元にザックを置いて、新しいスニーカーと懐中電灯置いといたけれど、そのうちどこか行っちゃったんだよ。この間の地震で反省して、また探し出して、枕元へ置いていますが、日本のような、こういうある意味で非常に変わったというか、危険な地政学的条件の中にある国民が、それを心得て、いつも心の準備をすることは必要だと思いますけれども。

【記者】おっしゃる通り、ショーのようなものだけをやってもいけませんし、ショーを見に来た人たちは、きっと彼ら、精鋭部隊がやってくれるんだといって安心して、自分たちがやらないといけないことであって、品川区の八潮団地の防災訓練などは、実際にマンションのベランダの隣の家の人たちと、こうやって逃げていく場合に障壁になる壁、これをフライパンなどで割って、破って、こうやって逃げられるんだよというような具体的な訓練をしてみたり、それから消火活動を実際に自分たちがやってみる、AED(自動体外式除細動器)も使ってみる、こうしたことを具体的に市民というか、住民が参加するもの、これがどうしても必要であろうかと、常に思い続けているのですが。

【知事】そうですね。簡単なようで、「てにをは」というのは実は大事で、まず身の回りの処置というものをしなければしょうがないんで、自分の身を自分で助けることと、それから、出かかった火は隣近所一緒になって消すとか、そういう共同作業、ごく自然なチームワークというのは、いつも保たれてなくてはいけないと思います。だから、私は、もう一回、隣組のような連帯感を、マンションというのは住んだことないから分からないけれども、かえって出来やすいのか、できにくいのか知らないが、一戸建ちの家なんかが密集している地域なんかでも、案外、隣だれが住んでいるのか、さっぱり分からないんですよ。「あの人どうしている、大丈夫かな」というのは、そういう日頃の心がけが必要だと思います。私の近くに、ごく年配の老夫婦が住んでいらっしゃる家があって、その人が、自分の庭を開放して、特別な花が咲くと、「とても見ごろですから、皆さんどうぞ勝手に入って見てください」というような、自分から働きかけるコミュニケーションというのはありがたいし、いいなと思いますけれど。昔はそれがあったんで。はい。どうぞ。

【記者】セシウムに汚染された牛が見つかりまして、東日本の4県で牛が全頭出荷停止という、一種の異常な事態になっているかと思うのですが、東京の食肉市場というのは、日本でも一番、和牛の取扱量が多いと伺っておりまして、それが全国の指標にもなるような、重要な立場と伺っているのですが、都として、今の事態についてどう思うのかと、今後どうしたいと考えているのかを……。

【知事】それは局に聞いて。私に聞いても分からない。万全の対策をしていると思いますけれど、具体的には担当の局に聞いてください。
  はい、どうぞ。

【記者】地震の話に戻りますけれども、この前の3月の東日本大震災では、東京都の東部5つの区でも液状化の被害が起きたということですけれども、知事として東京都の液状化について、被害についてどう思われているか、あるいは対策についてどういうふうにとっていくべきかというのを、お話を伺いたいのですが。

【知事】それも局に聞いてくれ。液状化というのは、ある強度の地震が来たら、地盤の構成の仕方によっては当然起こることなんです。起こることそのものはちっとも不思議なことじゃなくて、私も関西地震の時に、ポートピア行ってみて「なるほど」と思ったけれども、今度は東京のあちこちでも起こったし、豊洲でも起こったから、あそこ大丈夫かっていうけれど、それは埋立地で物が建っていれば起こるの当たり前なんだよ。それをこれから、どういうふうに生かして、どう防いでいくか、どういうコストをかけて、一番効果的な方法で、それを未然に防ぐ措置をするかということは、更地と建物が建っている場合で条件も違ってくると思いますけれど、専門的なのは局に聞いてください。
  どうぞ。

【記者】震災関係ですけれども、JR東日本から、知事から質問されまして、回答が届いてましたが、あの回答については知事、どういう見解をお持ちでいらっしゃいますか。

【知事】大変申しわけなかったと。企業の1つとしても、くどくど言いわけしていたけれど、駅にいる職員が、どれが大事がどうかなんていうのは調べても専門性ないんだから、あいつらさっさと帰っちゃったわけだよ。あれが、JR東日本の組合の体質ですよ。依然として、かつての極左が、隠然として組織を牛耳っているみたいな、そういう企業というのは、結局ああいうときに素質が出てくるわけね。そこまで彼は付言していなかったけれども、非常に申しわけないということでね……。

【記者】非常に文面がくどくどしく書かれていたような気がしたのですが。

【知事】それはそう、恥ずかしいし、言いわけをくどくどしているだけの話で、自分は自分の立場あるだろうし、あまり強い反省をすると、今度は組合に何かまた嫌なことされるんじゃないかな。そういう体質は残っているね。前の松田(昌士)会長は本当にだらしなかったよね。論外な話です、ほかの企業に比べれば。企業なんだから、お客あってなんだから。
  どうぞ。

【記者】昨日、民主、自民、公明の3党で子ども手当の修正案が決まりました。これにより低所得世帯では児童手当と比べて増収になります。知事は、去年、子ども手当の支給が始まった時に、還流しないお金の配布はばらまきで、経済の刺激にならないと話していましたが、今回の修正案をどのようにごらんになりますでしょうか。

【知事】基本的には還流しない金だよね。それを、どういうふうにとらえるかというのは、いろいろ人によって違うでしょうけれども、形が小さくなっても、ばらまきはばらまきなんだ、本当に。もっと戦略的にマクロな観点で、金を使わないと、その場の人気とりにはなっても、結局、子ども手当をもらう家庭にとっても、結果としてはいいことにならないと思います。
  はい。

【記者】知事、(東京都公式ホームページの「知事の部屋」)「都民のみなさんへ(7月)」というので、夏休みについて触れていまして、みんな実は遊びたいな、休みたいなと思ってやっているんだから、堂々と休めばいいと。

【知事】そうだよ。

【記者】その関係で、有給休暇の取得とかが増えると雇用の創出とかにつながる一方で、中小企業にとると、結構コスト負担が大きかったりすると思うのですが、もっと休みたいと思っている人たちに休めるような経済政策とか、何か施策的にみんなでもっと休もうというようなこと、何かお考えないでしょうか。

【知事】ないね。自分が何をやって、どうやって休むかは、それぞれ考えたらいいんだ。一律にそんなことできるわけないよ。
  はい、それじゃあ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)