石原知事記者会見

平成23年7月21日更新

石原知事定例記者会見

平成23(2011)年7月15日(金曜)
15時03分〜15時27分

知事冒頭発言

1 宮城県への物資輸送体制の強化について

【知事】冒頭、1つ、申し上げることがあります。被災地への支援物資が、なかなかスムースに配達されていないので、本日、東京路線トラック協会と宮城県への援助物資の配達について新たな協定を結びました。来週から、宅配業務のプロである民間の協力を得て、都民・国民の善意で託された援助物資を、被災地の6カ所程度のターミナル、これは仙台等ですけれども、他の県でも考えられると思います、これから先。6カ所程度のターミナルで小分けをして、最も必要としている避難所あるいは福祉施設に直接、輸送する体制をつくります。この仕組みは、集積地での物資の滞留や配送に困っていた宮城県のニーズを東京都の現地事務所が汲み上げてきて報告して、こちらで合議して考えましたが、民間の知恵と力を活用した、今回の輸送システムは、災害に強い物流の新しいスキームにもなると思います。
 詳しい内容は、所管局に聞いていただきたいんですが、この協力してくれている東京の路線トラック協会は、全国80社で構成していまして、ヤマト運輸、日本通運、佐川急便、第一貨物など大手企業が中心になって、これらの会社が仙台に仕分けを行う発着ターミナルを持っていますので、それを活用するわけでありますが、現在のそれぞれの倉庫に保管している物資は、宮城県では倉庫の17カ所分、東京都では倉庫2カ所分が滞留しているということでしょうか。新たな仕組みを使って配送する場所は300カ所ぐらいということで、わりときめの細かいニーズに応じた配達ができると思っています。
 他の県からもニーズ、要求があったら、当然考えますし、どこの都市に、今言ったような大手のトラック配達会社の仕分け拠点があるかは分かりませんので、要望があったら、それを踏まえて、他の県にもこういったお手伝いをしたいと思っています。
 私から申し上げることは以上です。質問があったら、どうぞ。

質疑応答

【記者】ソフトバンクの孫(正義)社長が主導されている「自然エネルギー協議会」というのがありまして、今週の水曜日に第1回総会が開かれたのですけれども、東京都は参加を表明されていませんが、その理由についてちょっとお伺いを。

【知事】この間、黒岩(祐治 神奈川県知事)君から誘いがありましたが、それはそれでやったらいい、やりたい人間は。東京はもっと効率のいいことを考えているし。1,000万戸に、菅(直人 内閣総理大臣)が言ったみたいに、ソーラーが一体どれぐらいの時間で、どれだけ出来るか分かったものじゃないし、それを提唱している孫社長なる人物は、ソフトバンクの主宰者でもあるけれど、NTT系の携帯に比べて、電波の波及率が非常に低いんでしょう。そんなこと考えて、全国でソーラーでの発電の伝送を考えているのかもしれないけれど、ソーラー発電をどこでどれだけやるかは知らないけれど、それを全国に配るほどの発電量があるかどうか、これから専門家は検討したらいいし、東京はそんなまだるっこいことするより、もっと手っ取り早く、近々発表しますけれど、最低100万キロワットの発電所をつくります、自分で。

【記者】その件も含めて、今おっしゃられたように、自然エネルギーとの自治体として、今後、つき合い方というものについて。

【知事】結構じゃないですか。それで、東京みたいな大きな経済産業地が、経済活動を十分に賄えるのなら、ソーラーも結構。とてもそんなわけにいかない、常識で考えても。頭冷やして考えてみてくれよ。できっこない、そんなことは。
 はい、どうぞ。

【記者】東京マラソンについてお伺いします。前回から始まったチャリティー枠というのが、今日からまた受け付けを開始したということなのですが、まず、これについての思い入れといいますか。

【知事】思い入れもへったくれもないんだよ。参加する人にたくさん金出してもらって、そこの部分を困っている人に差し向ける、被災地に支援するのはいいことじゃないですか。

【記者】今回は前回よりも長い期間の募集となると。

【知事】そう。たくさん来てもらって、枠も広げて、余裕のある人はお金を出して走ってもらうということはいいんじゃないですか。

【記者】知事も水泳はされるということですが、今回、走ってみるというのはいかがでしょうか。

【知事】年を考えなきゃ、年を。余計なこと言うな。俺に死ねと言うのか(笑)。
 はい、どうぞ。

【記者】IOC(国際オリンピック協会)のロゲ会長が、昨日の会見で、オリンピック開催地の大陸ローテーションについて否定的な見解を示しました。東京、日本にとっては追い風と思いますが、いかがお考えでしょうか。

【知事】ロゲさんも、日本に来たらそう言うだろうさ。それをまともに信じて、喜んでもしようがないから。色々な意見があるみたいですが、韓国に冬季オリンピックが決まったら、急に悲観的になって、JOC(日本オリンピック協会)の誰だか知らないけれど、悲観的なことを言うけれど、そういうところはだめなんだ、JOCというのは。もうちょっと根性入れて、死んでもやるんだというぐらいのつもりでやらなかったら、こんな競争勝てないよ。
 それから、JOCそのものにそういう人が出てこないと、国も動かないし、今の政府では、オリンピックどころじゃないだろうけれども、総力戦をする。開催地でお金出すのは東京かもしれないけれど、あくまでも、実質的な主催者といったらJOC、体協(日本体育協会)でしょう。その連中が、もうちょっと国際政治を考えて、金も工面して、うまい使い方も考えて、あの手この手でやらない限り、あんなに、綺麗に見えて汚い世界はない、はっきり言わせると。FIFA(国際サッカー連盟)の見ただろう、あの様。ああいうことがまかり通っているんだ、スポーツの世界で、コマーシャリズム(商業主義)入ってきたから。そういう中でオリンピック獲得しようと思ったら、あの手この手、相当のことを考えなかったら、綺麗ごとで絶対来ません、これは本当に。この間のビディンゲームで、初めてのところで行きましたが、つくづく痛感しました。そういう世界です。だから、相当な根性でやらなかったらだめだよ。どうぞ。

【記者】オリンピックなのですけれども、明日、日本体育協会100周年の祝賀式典が開かれて、知事もお話をされるかと思うのですが、非常に注目集まっているかと思うのですけれども……。

【知事】明日、気合い入れていくよ、気合いを入れてやるよ。

【記者】JOCからは何か、確約する文書がいただけないかというようなお話もあるようですけれども。

【知事】確約?

【記者】はい。立候補を確約するような文書を。

【知事】とっくにやっていますよ、私は。言った限り、責任あるから、場合によってはやめなくちゃいけないなら言わないよ。たいまつは消さないということで言ったんだよ。あとは、車の両輪なので、JOCがよほどしっかりして、もうちょっと強いチームつくらなきゃだめだ。
 はい、どうぞ。

【記者】大阪府知事と会談しまして、大阪府にある程度の権限を移譲するというような話が報道されているのですが。

【知事】大阪に?

【記者】ええ。大阪に大阪都をつくって、東京の機関をある部分補完するというような報道がなされていますが。

【知事】いや、それは向こうの思い込みだろうし、別に、東京の機能を大阪に持っていって、にわかに通用するもんでもないし、具体的に彼らは、東京の代わりに何を請け負って、何をするつもりなんですか。僕が言ったのは、副首都というつもりでやってくれと。東京だけじゃなく、大阪のようなナンバーツーの大都会が、あまり景気がよくない、活力がないというのは日本にとってもマイナスだし、あそこは、市政と府政とがばらばらになっていますから、大阪の知事になってもやりがいがないようなあるような話らしいけれど、今度、聞いてみたら、橋下(徹)君は市長になるんでしょう。ですから、そこから、2つの行政のアンバランスを変えていこうという、それがとても私は大事なことだと思います。
 加えて、大分先になるだろうけれども、リニアが、葛西(敬之 JR東海会長)君がやると断言しているし、彼とも親しいので、色々な話をしていますが、名古屋だけじゃなく、着工した時に、大阪側からも用地を決めるなり、測量するなり、調査をするなりしないと、1回、名古屋でとまって、次は大阪までという形では、変なストロー現象になっちゃうよと。だったら、僕は、名古屋のためにも、いきなり両方からやるというわけには、財政的に難しい問題だろうけれども、ちょうど小里貞利という、なかなかしたたかな政治家が、九州新幹線つくる時に、福岡じゃなく、起工というのを鹿児島からさせたんです。これはかなり強引で、普通、九州第一の大都市の福岡から、作業を始めるのが常識だけれども、彼は強引に鹿児島からしたわけだ。結果として、つながりましたが、それも1つの非常にサジェスティブな方法で、JR東海の財政運用にもよるでしょうけれども、大阪が必ず東京と55分でつながるんだという、明らかな証拠というものを示すためにも、僕は、東京から名古屋までの着工と並行して、何らかの作業というものを大阪から発信してやるべきじゃないかということを橋下君に申しました。
 その結果、私は、とてもいいことが日本に起こると思います。東京と大阪という大都市がドア・トゥ・ドアで55分でつながったら、今の新幹線ももっと違った意味で生きてくるし、太平洋側の産業ベルト地帯というのはものすごく活力を呈してくるし、それから、あとは電力の問題がこれはどういう風になってくるか分かりませんけれど、いずれにしろ、日本の企業が採算合わないから、外国へというのを食いとめるためにも、太平洋沿岸の大都市圏ができるということは、ものすごい吸引力になると私は思いますけれども。

【記者】大阪に、ある程度の物を移すとか、そういう発言はなされていないということですね。

【知事】そんなこと考えていませんよ。大阪は大阪でしっかりしろと言っているだけの話だから。どうぞ。

【記者】税の一体改革ということで、消費税が14、15、16年ということのうちに10%上げるということを条件に、閣議決定まではいきませんでしたけれども、そういう方向が打ち出されているようなのですが、この消費税アップについて。

【知事】遅過ぎるね。まだるっこいね。こんなもので、とても日本の財政というのは支え切れません。亀井静香(国民新党代表)にすると、あいつは反対なんだ。亀ちゃんは、「絶対に役人は隠している金があります」と。「それを摘発しましょう」と言うから、「やれ」と。「お前は警察(出身)なんだから」。消費税上げずに済むんだったら、そんな金、ほじくり出したらいいじゃないか。確かに、何回も言っているけれども、国の会計制度というのは単式簿記ですから、いくらでもごまかせる、隠せるんだ。財務諸表のない近代国家なんて世界中ないです。日本だけだ。あと、北朝鮮とフィリピンとパプアニューギニアだよ、近くでは。だから、会計制度変えれば、おのずとそういうもの出てきます。財務諸表に出てくるけれども、そういうことやらないんだから、おそらく、役人は巧みにものを隠しているんでしょう。僕はそこまで分かりません。
 亀井が自信を持って断言するなら、亀井さんに出してもらおうじゃないか。しかし、彼も、与党やめて野党に行くなんて言っているから、この期に及んで、もっと残って頑張って、与党の重要人物として、彼が断言している、役人が隠した金を、事業仕分け、あんなまだるっこいショーなんかじゃなく、彼が、お金ほじくり出してくればいいじゃないか。それが、なるほど彼の言っている膨大なものだったら、それをまず使うことで、消費税の税率のアップというのは控え目にしてもいいかもしれないけれど、今の財政の中で出来ますか、本当に。できないよ。そのうち、国債だってデフォルトするし、大変なことになるよ。はい、それだけ。どうぞ。

【記者】女子のサッカー日本代表がワールドカップで次々と強豪を破って、決勝戦進出を果たしました。競技選手に高い成績を期待する知事にとって、とてもうれしいことだと思うのですけれども、どのようにお考えでしょうか。

【知事】女は強いですな、つくづく。男はだらしないけれどね。結構なことじゃないですか。ただただ、私はもう称賛して、彼女たちに「ご苦労さん」と。最後に、アメリカにだけは勝ってもらいたいな。そうしたら、日本人は溜飲下げるよ。アメリカは日本に負けろと言ってくるかもしれないけれど。そんなばかなことしないだろう。とにかく、こてんぱんにやっつけてもらいたい。俺なんか、古い人間だから、65年の遺恨というのがあるわけだ、戦に敗れてからの。君ら、全然痛痒を感じていないだろうけれど。何か、いい話ないかね。はい、どうぞ。

【記者】先週末から今週にかけて、福島産の放射性セシウムを含んだ牛肉というのが、東京都を含む全国で出回っているということが問題になっているのですが、これについて、知事、どのようにごらんになっていますでしょうか。

【知事】これは本当に、具合悪いですね。日本のプレステージ(名声)を引っ張り下げる大きな要因になりかねない。特に外国人にとってみると、野菜とか魚、肉というものの食事における存在感というのは違いますから。大変残念なことですが、ああいう事態が起こると、返す返すも、本当の原因がどこにあったか知らないけれども、菅総理なるものが、それなりの思い込みはあったんだろうけれども、ヘリコプターで現地の上を飛んで視察するということで、ベントという作業が遅れた。これは、水素爆発があって、中に立ち込めている、放射能をちょうど風向きがいいから吹き飛ばして、開けて、海へ拡散させようと。アメリカは、当然、それを日本はやると思ったわけでしょう。だから、日本を助けにやってきた空母ジョージ・ワシントン号は1回Uターンして、沖へ帰ってしまった。僕はけしからんなと思ったけれど、その訳が分かった、今になってみたら。当然、日本の政府がベントやって、あの放射能を海へ逃がすだろうと思ったら、菅が飛んで行くんで、2、3時間待たせているうちに風が変わって、当然やるべき仕事としてのベントというのが遅ればせになったために、とんでもない方へ飛んでいったわけです。それで、北西の側の多くの人たちが、30キロ圏内どころじゃない、たくさん被曝して、その時は、どれだけの放射能が漏れているかって、みんな知らないんだから。その時に、空気吸ったり水を飲んだりして、内部被曝をした方々は、この間も、テレビで1人、若い奥さんが3人目の子供を産んだばかりだけれども、自分はその間、内部被曝したから、母乳はとても子供に与えられないということで、わざわざ牛乳を赤ちゃんに飲ませていたけれども、本当に、あのお母さんが心配というのは分かりますよ。私は水俣で苦労したんで。水俣病の水銀の汚染をした人は、ほとんど死んだ。ある一族なんか、全部死んだの。おじいさんもおばあさんも夫も子供も兄弟も。1人だけ生き残ったお母さんは妊娠中だった。そうすると、妊娠の作用の中で、お母さんが摂取した有機水銀というのは、全部お腹の中の赤ちゃんの中にたまる。お母さんは全然、何にもなしに助かったんだけれど、生まれてきた子供はものすごい奇形な、かわいそうな子が生まれてきた。私はその子を見ました。もう随分大きくなっただろうけれど。そのお母さんにしてみると、その娘を、まさに自分の命を助けた神様だというんで、本当に大切にしたけれども、同じ現象が起こるんです、体内被曝すると。その奥さんは、ちゃんとそれが分かっているから、もう自分の母乳は子供に飲ませられない。わざわざ、ミルク溶いて飲ませていた、十分母乳が出るのに。
 そういうケースが牛にも起こったわけでしょう。ですから、菅が、どのつもりだか知らないけれども、その時に東京電力がベントという方法を考えていなかったのか。当然、専門家の集まりだから、班目(春樹 原子力安全委員会委員長)とか何とかいう人間は知らないけれども、あれだって素人じゃないんだから、水素爆発が起こったら、ベントをするだろう。しかし、その時、総理が飛んで行くのを、ちょっと待ってくれと言ったのか言わないのか、それとも、俺は行くと言ったのか、分かりません、そこのところは。だけど、あの菅総理が防護服もつけずに飛んで行った、あの失われた数時間というのは、ものすごい多くの数の人に一生つきまとう、とんでもない被害を与えたわけです。これは、実際にどういういきさつで行われたのか。いずれにしろ、ベントというものを、水素爆発が起こっていることを知っているんだったら、当事者たちは考えただろうけれども、考えていながら、総理が飛んでくる時に「いや、この作業がありますから。」ということを言ったのか言わなかったのか、聞いてでも総理が行ったのか。これは分からない。全く藪の中で。
 今度の牛の事件を見ても、当然起こるべきことが起こった。何故かといったら、あの時に、数時間の時間をロスして、ベントをやらなかったからです。ちょうど風向きがよかった。それを一番よく知っているから、アメリカの当事者は、ジョージ・ワシントン号に、ベントで放射線が飛んでくるから、少し沖合まで下がれというんで、ずっと下がったわけだから。
 私は、小さな事例で、ハイパーレスキュー隊を行く行かないの問題で、官邸というのは、本当に情報が錯綜していて、誰がこれを統御するか、さっぱり分からないと思ったけれど、今になってみると、あの事故が起こった最初の段階で、すべきベントを、どこに責任があるか知らないけれど、あそこの管理者がしなかった、できなかった。どっちか知らない。少なくともしなかったということは、これから先、色々な恐ろしい形で出てくるだろう、あの過失というものの。その責任を、誰がいつとるんですかね。はい、それじゃ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)