石原知事記者会見

平成23年6月9日更新

石原知事定例記者会見録

平成23(2011)年6月3日(金曜)
14時58分〜15時23分

知事冒頭発言

1 いすゞ自動車の新車における排出ガス規制逃れについて

【知事】冒頭で1つ申し上げます。これは、企業の犯罪とも言えると思うんだけれども、いすゞ自動車の新車についての排出ガスの規制逃れ、インチキですけれども、昨年から、ポスト新長期規制に適合したディーゼル車がいろんなメーカーから販売されておりますけれども、今回、東京都の環境科学研究所の調査で、いすゞ自動車のフォワードという4トントラックが規制に適合しているかのように見せて、実はインチキな車であることが判明しました。これはコンピューターの制御によって、規制に適合するため、試験のときには排気ガスの中のNOxは基準に合っているんですが、実際には、走行時にはNOxが3倍以上出るという実態の車です。都は、いすゞに対して、早急に対策を講じるように指示をしましたし、国はこのような規制逃れを許さない厳正な対応をしなくてはいけないと思います。これは、環境省と国土交通省の責任ですけれども、こういう新車の検査が非常にずさんで、東京のように、実際に台の上に乗せて車を走らせてみて、その実態を把握することをしないで、通り一遍の調査で済ましてきたからこういう体たらくになった。かつては、アメリカでフォードという会社が同じことやってばれまして、数百万ドルのペナルティーを課せられたようですけれども、いずれにしろ、その結果、いすゞはこの車を既に出荷停止して、販売されている車を修理することになりましたが、今後、このようなことが繰り返されないように、国は禁止規定の整備を厳密に徹底するということをしなくてはならないと思います。また、今後も環境科学研究所での車の性能検査を継続していますが、これは当然、リコールされるでしょう。私が初めて行った研究所で、例のペットボトルに入っている排気ガスのすすが1日12万本出ている。私はびっくりして規制に乗り出した。そういう経験があったからこそ、今度、こういう摘発ができたと思うんですが、いずれにしろ、国交省も環境省も、もうちょっとしっかりしないと、この環境問題が重視されている時代に肝心の国の責任がほとんど果たされないという体たらくが暴露されたと私は思います。詳しい、どういうインチキやったかということは、環境局に聞いてください。実に巧妙なコンピューターの操作で、こういうインチキをやった。私は企業の犯罪だと思います。はい。
 質問があったら、どうぞ。

質疑応答

【記者】昨日のことですが、衆議院の内閣不信任案をめぐる動きで否決という結果になったのですが、直前の民主党の色々な動きとあわせて、どのようにお考えになったでしょうか。

【知事】あんなもんだね。国会の政党同士の駆け引き、政党の中の内紛。せっかく、手にした政権という宝物を、そう簡単に手放すわけにいかんだろうから。結局、国民から見ると、ばかみたいななれ合いというか、ああいう結果になったんでしょうけれども。もうちょっと政府がてきぱきやってくれれば、国民も安心していられるし、ああいう騒動も起こらなかったと思うけれども。節電の問題にしても、なぜ具体的な指示をしないんですか。そういう責任も権限もあるわけだから、単に25%と打ち出しただけで、パチンコ業界も自粛して、この間、ある幹部がやってきて「25%以上節電します」と言い、自動販売機の業界も25%節電すると言ってきました。これは、私に言ってもしようがないんで、国民に向かって、政府通じて言ったらいいんで。政府が具体的に規制をしない。この間も仙谷(由人 内閣官房副長官)に、首都圏の4人の知事で会った時に、「君、具体的に物事を主導したらどうなんだ、やってくれよ。そうじゃないと国民はまごつくだけだよ、指示だけ出したってだめだよ」と言ったんだけれど、「はいはい、やります」と言うけれども、やらないね。やることは大事だと思うし、政府の責任果たすことになる。それで初めて、そういうふうに権威も出てくると思うんだけれど、今の総理大臣に対する不信か何か知らないけれども、あいつのためになることはやらないというんでは、これは、内閣の官房の中にいる政治家の責任を果たしたことにならないと思います。はい。どうぞ。

【記者】今の質問にも関連するのですが、その菅(直人)総理、一定の目途がついたら辞任をするという意向を、昨日表明して、ただ、その一定の目途がついたらというのはいつの時期だというのがいまだにはっきりしないわけですが、今回の菅総理自身というのは、知事はどう……。

【知事】そんなことは切りがないし、さんざん言われていることだから。一定の目途というのは、正確に言ったら2年先だよ。任期満了だよ。決まっているよ、そういうふうに。
 どうぞ。

【記者】来週の月曜日から、東京都庁版のサマータイムというのが試験運用されるということなのですが、まずそれについて知事、どのように。

【知事】再三言っているみたいに、東京都だけやってもしようがないんで、日本全体でやったらいいんじゃないの。前も言ったと思うけれど、かつてやって効果のあったサマータイムが、何故、最近になって出来なくなったかというと、国際線の肝要な空港であります成田が騒音問題で割食っているというんで居直って、10時以後は飛行機入れないと言い出したんです。こうなってくると、11時まで延ばせばサマータイムができるんだけれど、そうすると飛行機の料金とか便の予定が狂ってきて、色々な都合があるんでしょう。それで、結局、実質的に成田のおかげでサマータイムできなくなったんだけれど、羽田空港が国際化されて、新しい滑走路もできて、成田は客とられては大変だということだから、今度は11時まで結構だと言い出した。だから、これを機に、サマータイムやったらいいじゃないですか。そういうこともやらないんだ。いきさつは、国交省の役人は知っています。だったら、役人の言うこと聞いたらいいんだけれど、役人の言うこと一切聞かないというんでしょう、今度の政府は。だから、事務次官会議も開かない、みんな役所もばらばらで、こんな大災害対策、横串通すやつがいないもんだから、この体たらくです。

【記者】東京都以外でも、千葉県とか、他の自治体でもまた導入する動きがあるみたいなのですが。

【知事】一律に日本全体でやったらいいんじゃない。そんなものは、別に、被害でも何でもないし、命令でもないし、みんな国民、納得する。年配の人は覚えているんだから。何故やらないのか分からない。片方では節電、節電なんてワーワー言っているけれど、具体的な案が出てこないというのは、よほど知恵がないんだな、政府の政治家に。

【記者】多くの都の職員は朝早く来て早く帰るという生活パターンになるかと思うのですが、どうでしょうか。知事も早く出勤されるというお考えは……。

【知事】私、あまり早く出てきたことないですから、痛痒を感じませんけれども(笑)、やったらいいんじゃないですか。全国でやらなければ意味ない。かえって、混乱が起こると思う。企業を含めて、セクター同士の関係があるでしょう。そこで、ここの組織は夏時間やっている、向こうはやっていないというと、色々な齟齬(そご)を来すんじゃないかな。国が言ったらいいんです、そんなこと。別に金がかかる問題じゃないんだから。なぜやらないか分からない、本当に。分からないことが多い内閣だけれども。
 ほかにありますか。どうぞ。

【記者】厚生労働省の集計で、合計特殊出生率が前の年から0.02ポイント上がって1.39になりました。東京は去年と同じく全国最低の1.12ですが、この数字をどのようにごらんになりますでしょうか。

【知事】残念だな。東京でもどんどん子供が増えてきたらいいと思うんだけれど、東京はやることが多くてね。同じ東京でも小笠原へ行くと、小学校、満員なんだ。この間、復帰記念のパレードやったら、小学生がたくさんいて、とても楽しかったけれど。あまりすることないから、あそこは、娯楽もないし。東京は、色々な、パチンコ含めてごちゃごちゃあるから、なかなか子どもをつくる暇もないんじゃないかな。
 はい、どうぞ。

【記者】大地震対策のことなのですが、繁華街における、ビルの屋上にある広告塔ですとか、それから建築物の屋上に乗っかかっているクレーンですとか、非常に大地震のときには落下物としての危険性を感じるわけです。こういうものをもう少し規制をして厳しく調査していくということは考えておられるでしょうか。

【知事】それは確かに必要だと思います。それの指導もしていると思います。その現場、現場で、特にクレーンなどは作業中のものでしょうから、地震も含めて、それが倒壊して落下するということのないような配慮は当然、業者はしていると思います。そういう指導していると思います。ただ、既にある看板は、前、新宿かどこかであったけれども、落ちてきて、人けがしたこともあったけれど、これは各店舗の責任において、再確認する必要があると思います。そういう指導はこういう時節ですから、するにやぶさかじゃありませんし、しましょう。
 はい、ほかに。

【記者】原発について質問なのですけれど、都知事は既に天然ガスの発電所について関心を持たれていることは表明されていますけれども、原子力発電所を11年前に東京都につくろうという……。

【知事】いや、東京にも出来るよと言いました。それはやっぱり管理の問題で、あなた、フランス行ってごらんなさい。フランスはほとんどの電力というのは、原子炉で供給しているけれど、日本みたいな、あんな事故起こしたことない。管理の問題なんです。それから、今度の福島の第一原発はその後の対策で、正確な情報を政府が流さないで疑心暗鬼になっていますけれど、これは、決して言い逃れではなく、最初は想定外の震災が襲ったと思います。そんなこと言っても1,000年前の古文書に、昔の仙台のここまで水が来たという記録あるじゃないかと言うけれど、近代に入って色々な記録が出てきて、それをリファー(照会)して、色々な対策をしている時に、そこまで手が及ばないし、少なくとも、今までの記録に残っているものの中で、マグニチュード9の地震というのはなかったわけです。それに伴う津波も想定されなかった。これは、人災と言うにはかわいそうだと思います。でも、その後の措置は、いろいろ問題があるでしょう。これは、今、指摘されている通りしようがないところあるけれど。フランスがやって出来ていることがなぜ日本でできないか。それから、日本の原発関係者の良くないことは、第1は、アクシデントじゃない、インシデント、事故とかちょっとしたトラブルを隠す。隠すからだんだん疑心暗鬼になってくる。それから、2つ目は、非常にずさんで、慣れてくると、例えば東海村で起こった臨界の問題なんか、中性子というのは、離しておくと何でもないんだけれど、くっつけると途端に非常に危険なものになる。一緒にしてバケツで運んだんでしょう。あんなものをバケツで運ぶ人はいない、世界中に。慣れというのは本当恐ろしいと思ったんだけれど。
 原発というのはこれからの大きな議論の対象になるでしょう。誰それが、太陽光発電とか風車と言っているけれど、確かにそれで賄っている国、あるいは北欧なんか行って、林立してる風車があるけど、日本の場合には思ったほど風がない。それから、落雷が多くて、非常に故障が多い。そんなこんなで、私は、太陽光も今ワーワー言われているけれど、それで日本の経済産業というのが賄えることはとてもないと思います。ですから、原発をどうするか。川崎(天然ガス発電所)の事例を見ても、単価からいっても、1基250億円ぐらいでできる、しかも土地は、東京は埋め立てをたくさん持っていますから、あそこへ原発つくるというと、きっとアレルギー起こすだろうけども、あそこへLNG天然ガスの発電所を作るということは、東京なら簡単にできますし、ちょっとその話をしたら、世界中のファンドマネジャーがコンタクトしてきて、東京がやる電力発電所だったら喜んで協力いたしますと。そりゃそうでしょう。電力というのは売れないわけないんだから。ですから、これは必ずもうかります。地下鉄と同じだ。だから、東京は悠々と相手探して、土地は埋め立て地があるわけだから、ただで使えるわけだから、やります。原発も、結構管理の問題がありますが、天然ガスの発電所だったら、単価も安くできるし、土地をそんなにとらずに済むし、それから出力もほとんど、スタンダードの原発と同じぐらいの40万キロワットですか、1基が。容量がありますから。しかも、この頃あちこちで天然ガスが発見されているが、これは比較的、CO2の排出量は大体石油を燃料にする発電に比べて、60%ぐらいで済みますから、環境問題にも非常にやさしいと思います。今まで、自民党の政治家と通商産業省と東京電力となれ合いで、一種の独占体制敷いてきたわけだけれど、ソーラー発電を含めて、各家庭でやりなさいという時代になってきて、基本的に電力の民営化というのが是認される時代になったら、東京は独自で発電所つくってやります。すぐできちゃうもん。金なんかすぐ集まるし、東京も余力あるから、東京がやるんだったらと、僕のところへ今、十幾つ来ているな、外国のファンドマネジャーからオファーが。そんなものです。
 ついでに言うと、日本の役人は言わないけれど、東北の被災地の復興なんかも条件次第で、アメリカのファンドを使ったらいい。そういう才覚が日本人ってあまりないんだ。外国人の手を借りるのは嫌だという、変な、もの慣れないというか、おどおどした姿勢があって。私は、これをどういう風にとるか知らないけれど、少し時間の余裕が出来てきたら、被災地の3人の知事さんに、優良な外国のファンドを紹介しようと思います。それで、条件をつけて、金を調達したらいいんで。見てごらんなさい。現金一つにしても、赤十字が幇助してやるから、そうすると、あそこは変な建前で、公平に公平にと言うけど、全然配られてないんだよ、皆さんの誠意の義援金というのは。こんなばかな話ありますか。被害の優劣をどうやって決めるかという基準もないもんだから、困っている人の所へお金が届かない。日本の行政の組織というのは、何も民主党の政権のせいだけじゃないけど、昔から国の役人が威張って硬直しているもんだから融通がきかない。早い話が、皆さんの義援金というのは、赤十字にプールされて一向に配られてないんです。もう2カ月もたっているのに、ということです。
 はい、どうぞ。

【記者】先週ですか、知事の会見後に、東京都で「東京緊急対策2011」とか、その他3つの大きな要件を発表しましたけれども、その数字というのは、東京の方が政府の行う行政よりはるかに上の水準をいっていると思うのですが、その辺についてどう思われますか。

【知事】それ、何?評価なの?

【記者】ええ。評価しているのですけれども。

【知事】そんなもんだよ、それは。だって、国の財政の評価と東京のやつはランクも違うんだから。

【記者】東京のほうが上という……。

【知事】上ですよ。
 はい。

【記者】被災地にも都から職員の方、たくさん出されていたり、今度、夕張にも出されると。都市と地方の財政格差が開く中で、こういう風に東京都から人を送るというケース、今後も増えていくのかなという気はするのですけれども、今のように、都が独自の判断で費用負担して、人を送るということを続けるのか、一方で、知事は、かねて批判的だと思うのですが、やはり都と地方の自治体内での財源の再配分の問題を考えざるを得ないのかなという気もするのですが、その辺、いかがお考えでしょうか。

【知事】それは非常に色々な問題を含んだ質問で、結局、日本はまだお上が牛耳っているんだ、国の役人が。それに政治家が使われているの、国会議員も。自民党もずっとそうだ。今までもそうです。民主党はそれ知っているから、役人を使わない。逆にいうけど、使う時は使ったらいい、経験があるんだから。能力はどうか知らんよ。しかし、知識はあるんだから。
 地方分権とか主権とかの問題出てきますし。話があちこちいくみたいだけれど、もうじき出るコラムに私、書いたんだけど、財務省が一方的に税法を変えて、地方税であるものからふんだくっていくような、法人事業税分割基準というのは、暫定的といって福田(康夫)内閣が勝手に決めやがって。今年で終わりのはずだけれど、この間、菅君に「その話、どうするんだ」と言ったら、にやにや笑って答えない。あの時は民主党、猛烈に反対したんだ、野党の時は。そういう体たらくですから、地方の格差云々ということは確かにあるでしょう。努力次第だけど、その努力が報われない節もあるし。一番いいのは、地方にアメリカの各州みたいに、ステートというのは一種の独立国みたいなとこがあって、どういう点で独立性持っているかといったら、税法を決める権利持っているんだ、地方は。それぐらいのことしないと、地方は立っていきません。地域に応じた事情があるでしょうから。そういうことも踏まえて、考えないと。東京はできるだけの力は、こういう時代ですから、送りますし。例えば、東京の中に限ってだけど、かつて治安が非常に困った時に、手が足りないというんで、2年間、200人の職員を募集したら、よほど暇なんだな、彼ら。人が余り過ぎていて。3倍ぐらい応募があって、上役はみんな苦笑いしたんだけれど、それで2年間行って、お手伝いさせた。例えば、免許証を取りかえに来た時の視力検査なんて、あんなの誰でも出来るんだ。そういうことを含めて。それから、入国管理事務所に人が足りないというんで、2年間、数十人の人間を送って、色々な盲点が出てきて、建言して、あの時の危機管理監が、いいこと言ってくれましたというんで、大分それで入国管理が合理化されたんだ。そういうことありますけど、まだまだ人が余っていると思う。人が余っているんだったら、国の役人はもっと余っているんだから、政治家だって余っているんだから、首切ればいいんだ、あんなものは。東京だって、3万人、人減らしてきたんです。だから、経済も、財政も合理化されてきたんで。やらないじゃないか、国は。今度も、こういう時代だから給料減らすって、当たり前のことだ、そんなものは。人を減らせばいいんだ。人を減らさないで給料なんか減らしたって、本当に小手先のことしかないし、だんだん格差は広がってくる。これを埋める手だてはあると思うけれど、国の役人は隅々まで自分の手が及ばないと満足しないから、この体制は変わらない。

【記者】菅首相の件についてなのですけれども、今、話題になっているのが、誰が菅首相が辞めた後になるかと、「ポスト菅」ということがすごい話題になっているのですが、昨日、緊急で1,000人以上にアンケートをしたところ、都知事が「ポスト菅」に一番ふさわしいという意見が多かったのですけれども……。

【知事】結構ですね。

【記者】それについてはどう思われますか。

【知事】あの人はちょっと年取り過ぎているね(笑)。与党の中じゃ亀井静香(国民新党代表)がいいんだ。菅は嫌がって使わないんだ、できる人間は。亀井を据えたらいいんだ、亀井を。亀井を総理大臣にしたら、ぱっと世の中、変わるよ。静かじゃないんだから、あいつは。
 はい、それじゃ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)