石原知事記者会見

平成23年5月9日更新

石原知事定例記者会見

平成23(2011)年4月28日(金曜)
15時00分〜15時16分

知事冒頭発言

【知事】今日は、私から、冒頭申し上げることはございません。質問があったらどうぞ。

質疑応答

【記者】東京外郭環状道路の計画についてお伺いしたいのですが、世田谷区の区長選挙で、計画凍結というのを訴えられている候補者の方が、保坂(展人)さんが当選されましたけれども、今まで都は沿線の自治体と協力して、推進について活動されてきましたが、今回のこの外環道の建設計画とあわせて、どのように受けとめられていらっしゃいますでしょうか。

【知事】ナンセンスだね。昔から、ああいう、共産党とか、社会党の左翼は、同じことを言ってきた。何のつもりで、何の根拠で、何の目的か分からないけれども、論外な話です。なぜ反対なの、お伺いしたい。あそこの選挙も、言ってみると、自民党が勝手につぶれて2つに割れちゃったような感じなんだ。かつて、東国原(英夫 前宮崎県知事)さんという人も通った、宮崎の知事選もそうだったし、過去によくそういうケースがありましたが、そういう訳の分からない人間が出てきたんだけれども。「絶対反対」、まかり通らない、そんなものは。着々とやる。どうぞ。

【記者】全国知事会の会長に、京都府の山田(啓二)知事が選ばれましたけれども、これについてどのように受けとめていらっしゃるのか。

【知事】残念だね。上田(清司 埼玉県知事)君みたいな才気のある、ひらめきのある、創造力のある人がならずに。全国知事会は出ないんだ、この頃、ばかばかしいから。眺めて見ると、7割が役人出身なんだ、国の。この連中も、最後、思い切った意見まとめようと思うと、自分の出てきた役所を振り返る。その役所が、結局、最後は、昔の大蔵、今の財務省を気にする。全然ものが通らない。今度も総務省出身だろう。その先輩の片山(善博)君が総務大臣しているんだから、その辺の力関係で見ると、彼がどういうふうな意思をまとめて、全国の知事をまとめて、国にぶつけていくかというのは、あまり当てにならない。

【記者】選挙では25対22という僅差だったのですけれども、それについては。

【知事】しようがないじゃないですか。役人の群衆に負けたんだから。僕は、何も、国の役人、軽蔑はしていません。ただ、彼らが、私がいつも言うことだけれど、私たちの特技は、コンティニュイティーとコンシステンシー、継続性と一貫性、そんなことを言われたら、この変化の時代に、行政が現実についていけるわけないんだ。どんどんものを変えていかなきゃしようがない。早い話が、文部科学省がやった、あの馬鹿な「ゆとり教育」、やって1年でとんでもない結果が出たでしょう。それでも、あいつら、なかなか変えられなかった。その間、気のきく学校は、これはだめだというんで、どんどん無視して、土曜日の授業をやったんです。本当はそんなものは、お上とすれば、なぜ俺の言うことを聞かないのかと取り締まらなければいけないのに、苦笑いしながら黙った。自分たちが言い出したことを、にわかに変えることはできないから。その点で、自民党は歴代の政権でやられてきたんです。大体、自民党も、歴代の総理大臣もほとんど国家の官僚出身だから。かつては、国家の官僚出の政治家といっても、例えば、この人は総理にならなかったけれど、賀屋興宣(元大蔵大臣)とか、岸信介(元内閣総理大臣)とか、椎名悦三郎(元通商産業大臣)とか、大官僚がいました。今、そうじゃない。ちっぽけな官僚がそのまま国会議員になっているから、みんな自分の出身地の言うことを聞いてやるものだから、自民党も結局それなりになってきて、ああいう体たらくで、その場しのぎで、財政なんかめちゃくちゃになった。自民党の責任じゃなくて国の官僚の責任なんです。発想力が全くないから、ましてやそういう人。それをやるのは、政治家の責任なんだ。どうぞ。

【記者】原子力発電のことなんですが、石原都知事は、過去、東京に原発を持ってくればいいという議論をおっしゃっていたと思うのですが、現在でもその考えというものは変わりはないのでしょうか。

【知事】原発というものを、人間の技術で完全にコントロール出来れば、どこへ作ってもいいし、私はそう思います。ただ、今回の福島の第一原発なんかにしても、想定外のことが起こった。それは、言いわけだと世間は言うし、特にメディアは言うけれども、この間も、東大の地震研究所の平田(直)さんという教授に来てもらいましたが、今まで人間の記録の中で、(日本近辺では)9以上のマグニチュードの地震の記録はないんです。19世紀の末期、インドネシアのクラカタウという小さな島が爆発して、これは消滅しちゃったんだけれど、ロンボク海峡の。この時、大津波が大西洋まで押し寄せたという記録はあります。ただ、その頃は技術も進んでなかったし、一体マグニチュード幾つのものが起こったというのは分かりません。ただ、日本の記録の中で、どの時点から、地震というものを数値として計量できるかということは、つまびらかに知りませんが、その限りにおいて、マグニチュード9を超す地震は1回もなかった。ないということの想定で、原子炉も作ってきたわけです。ただ、東京電力の責任もあります。その後できた、他の原発では、海側にある施設を背中に持ってこなければいけないということで、色々な改良も加えられたけれども、そういうことは、福島に関してもすべきだったと思いますが、ある専門家が指摘した。詳しくは分かりませんが、宇宙に充満している、原子力というもののエネルギーの活用というものをしない限り、化石燃料だけではこの1つの大きなプラネット、惑星の、しかも近代化されていった星の全体の経済、産業というものを維持するエネルギーというのは、あり得るんですか。また、それを活力として使うことへの弊害が出てきているのに、原子力というものに対して、私たちが興味を持ち、それを活用することを考えることは、決して基本的に間違っていないと思うし、技術が及ばないとか、管理がずさんであるとかということは、今までの事故や故障にもつながってきたと思いますけれども、福島は非常に大きな教訓になりました。ただ、こういうものを踏まえて、原子力というものをきちんと認識していかないと、福島があったから、原子力すべて反対だということなら、どういう代替案が出てくるかということを、私はお聞きしたい、逆に。人間の技術が完備したものだったら、どこへ作っても構わないと思います。それは作る場所、高さによって、色々なものがありますから。私、原子力、全然否定しません。はい、どうぞ。

【記者】先日もスーツ姿でいらっしゃいましたけれども、今日も防災服は脱がれていますが。

【知事】そんなことどうでもいいじゃない。何を着ていようが。

【記者】ご心境の変化というのはあったのでしょうか。

【知事】心境の変化はしていません、全然。あれ、暑いんだもん。ただ、ネクタイせずに済むから着ていたんだけれど。夏服も作ってくれないかな。

【記者】国の方で、クールビズの前倒しというような話もあるようですが。

【知事】いいじゃないですか。ネクタイというのは本当に弊害だよ。あんなものをしているやつの気が知れない。イランの人間がスーツ着て、国会のある時に、ハイネックのノーネクタイのシャツ着てきたじゃない。イランというのはしゃれていると思った。ネクタイなんか「いらん」よ、本当に。

【記者】都でクールビズを前倒しされるというようなお考えは。

【知事】5月からやるらしいです。どうぞ。

【記者】東京電力の問題なのですけれども、賠償に関しまして、政府は免責せずに一義的にやるべきだと、そういう話になっていますけれども、都も東電の大株主でもありますし、この件に関しては、知事はどのようにお考えでしょうか。

【知事】この間もさんざん言ったじゃないか。君、いなかっただけで。

【記者】その役員給与を50%削減というのは少ないんじゃないかとか、色々な議論があるわけですけれども。

【知事】色々な議論があったらいいでしょう。私が決める問題じゃないから。

【記者】都も大株主であるわけですけれども。

【知事】大株主と言っても、3%ですよ。電力株というのは儲かるから。聞いてみたら、90数万人いるんだ、株主が。その人たちのマジョリティー(多数派)が何をどう考えるかで決まることじゃないですか。国は、あなたに聞かれたからまた同じことを言いますが、原発の故障に対する補償の制度という法律(原子力損害の賠償に関する法律)があるんです。アメリカほど整備されていませんが、ある限度を超した時には、電力会社だけじゃなく、国策として行っていることは、国が責任持たないといけないんじゃないかという論がある。それで、そのリミットラインを誰が決めたかと言ったら、中曽根(康弘 元内閣総理大臣)さんが、科学技術庁の長官の時に決めました。それが残っていますけれども、関東大震災の3倍以上の被害があったとき云々ということがあった。その頃は原発があったわけじゃないですけれど。ただ、全体の被害というものは、それを超した時に、原発も、それに起因としているならば、今度は災害が起こった訳だから、今度の東日本の大災害というのは、計量計算の仕方も色々あるんでしょうけれど、少なくとも、専門家が言うことは、関東大震災の40倍以上だと。当然、国が乗り出すべきじゃないですか。想定外のものがまさに起こったわけで。どうぞ。

【記者】子供たちに対する教育で、今、ちょっと私が悩んでいるのが発生しまして、実は防災をやり続けて、40年ほどやってきたわけなのですが、「稲むらの火」というのが、昔、和歌山の庄屋さんが、いわゆる村人の命を救ったという……。

【知事】あれ、和歌山ですか。

【記者】もともとは和歌山の土地だったのですが。それを尋常小学校の教科書には載せてあった。津波防災という意味で、これはとてもいい教材であったと。それを、戦後、教科書から削除してしまって、津波防災教育がなされていないのではないかというのがずっと言われ続けていまして、私たちはずっと問題にしていたのですが。今回の、いわゆる学校から教科書に、載るようになったのです。津波防災。

【知事】いいことだな。

【記者】はい、いいことなのです。河田惠昭先生(関西大学教授)が尽力をしたということもあるのですが、いいことはいいのですが、今回、東日本の大震災が起きたということで、子供たちがこの津波ということの恐怖をもう心の底から味わっているものですから、まず怖さというものを感じているというようなことがあるというのを、現地から聞きまして、入ってきまして、私たちは原点にもう1回戻らなければいけない。これは何かというと、防災というのは、正しく恐れることは正しい、必要だと。ただ、いたずらに怖がってはいけない。子供たちにもそのいたずらに怖がらせてはいけないのだけれども、だからこそ、子供のうちから津波の恐ろしさというか、現実問題として起きてしまったこと、これを教訓として、将来、ずっとこの後々まで日本は学ばなければいけないのじゃないかということ。どういう風にして、教科書に扱っていったらいいのか。

【知事】載せたらいいじゃないですか。

【記者】やはり載せていくべきだと思うのです。ずっと続けて。

【知事】僕なんかも小学校の時、読みました。何かの時に、先生に指されて、「お前、この教科書の中で一番好きなのを朗読しろ」と言われた。僕は、何年生の時の教科書だかちょっと覚えていないけれども、子供のころ。あれ、小学校の教科書ですよね。

【記者】尋常小学校。

【知事】物書きになったせいか知らないけれど、一番あれがドラマティックな一章だったんで、それを朗読した覚えがありますが、日本ならではの非常に大事な教訓を含んだ、とても小説的でもあり、実際現実でもあったんでしょうけれども、劇的な描写があって、あれを削除する意味が分からない、本当に。

【記者】何故、戦後になって削除していたのか。それがまた復活するということはとてもいいことなのだけれども。

【知事】いいことですね。

【記者】ええ、とてもいいこと。だから、それを正しく学校の先生たちも、怖がらせるために載せたのではないんだということも理解して、教育を続けていただきたいなと。

【知事】おっしゃる通りです。国際的には津波という言葉、英語にもフランス語にも使われているんでしょう。はい、それじゃ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)