石原知事記者会見

平成23年2月3日更新

石原知事定例記者会見録

平成23(2011)年1月28日(金曜)
15時02分〜15時15分

知事冒頭発言

1 都債格付け変更に関する東京都の見解について

【知事】コメントではないんですが、日本の国債の評価がまた1つ下がった。これは、東京にとっては非常に迷惑な話なんです。1年以上前ですか、評価会社のムーディーズが突然、東京の評価が国よりも1つ上だというのはうなずけないと言って、国家の債券と地方の債券の評価が食い違うのはおかしいから同列にすると言って、非常に憤慨したんですけれど。今度また、日本の国債の評価が下がったことで、それに付随して、今度はスタンダードアンドプアーズ(S&P)社も、東京都の都債の評価を下げた。ただ、スタンダードアンドプアーズの方は、解説をつけていまして、日本の国債格付の引き下げを理由に東京都債の格付も引き下げとなったが、都財政については、自主財政基盤が最も強固で、財政内容の健全性も最高水準と評価はしていると。しかし、中央集権的な地方財政制度は、地方の財政に影響する諸々の税制というものを決めるのは国家ですから、そういう制度の中で、地方財政制度と資金調達方法に鑑みて、都の格付は国の格付の制約を受けざるを得ないという、訳の分かるような分からないような話なんだけれど。別にこれで、東京都がにわかに痛痒を感じることはありませんが、ただ都債を、必要な場合、最小限にしていますけれども、売り出す時に、これがその障害になるというんでしょうか、東京にとっては、非常に目障りというか、愉快でない事態で。国債のランクが下がったということ、総理もとんちんかんなことを言っていましたが、日本がアメリカの国債を膨大に買っている、中国も買っている、日本が公式には63兆円、中国は62兆円、アメリカ全体で出している国債のかなりの分量を日本と中国が買っている。その中国のランキングまで日本が落ちたと。
 一方、AAAの国はどこかというと、アメリカを筆頭にイギリス、フランス、ドイツというところらしいけれども、日本と中国、AA−まで落ちた2つの国に国債を買わせておいて、そのアメリカがAAAの最高ランクにあるというのは、奇妙というか、理不尽というか、東京にとってみると非常に不本意な状況だと思いますけれども。今度のこの格付けについて所感をちょっと述べましたが、以上でありまして。質問があったらどうぞ。

質疑応答

【記者】今の格付けの下げについて、関連して伺いますが、海外の市場等が日本の財政について、かなり厳しい見方をしているということの裏返しだと思いますが、その影響は知事がおっしゃったように、東京都財政にも、かなりの影響を及ぼすものだと思いますが、こういう海外の市場の見方について、お考えあればいただければと思います。

【知事】円高になっても、それを逆手にとって、経済を引っ張り直す手立ても講じない、基本的な戦略が全然立たない国という体たらくです。それで、どんどん借金が増えていって、国民に対する国債という借金が、赤ん坊も含めて1人740万円ぐらいもある。こんな財政状況の中で、高福祉低負担なんていうのは、国民もしがみついているけれども、肝心の財源になる消費税にも言及できない、言えば叩かれるということで、本当に、政治家が政治の責任果たしていないという体たらくですけれど、それは外国から見れば、本当に、とても評価できない、危うくて見ていられないという状況じゃないでしょうか。前も申し上げたけれど、予算全体の国債の依存率、考えれば、仮に日本がヨーロッパのどこかにある国で、これからEUに入ろうと思ったら入れてもらえない。入っていたとしても、それを見れば、もうユーロは使わんでくれというような形になるんじゃないか。そこまで落ちている訳です。国民も危機感がないから、相変わらず「消費税反対」で、言ってみれば耳ざわりがいい、その政党が支持されるというのは、本当に外国から見れば話にならない政治状況と思わざるを得ないでしょう。どなたか質問ありますか、どうぞ。

【記者】先日、東京国際アニメフェアの実行委員会が開かれて、出店ブースの2割がキャンセルされたと発表がありました。委員からは、開催が計画通りできるのかと心配する声も上がっていたそうですが、知事はどのように考えていらっしゃいますか。

【知事】もともと、大会社に依存せずに新人を育てる、そういう場所にしようということで始めたこと。成功したんで、大会社が入ってきてくれたんですけれど、今度の条例に対する誤解というか、本当の理解がなくて。この間も、ある雑誌のインタビュー受けました時に、その出版社も、今度のアニメフェアをボイコットする会社の一つなんで、僕は「おかしいじゃないか」と言ったら、インターネットを見れば、もっとけしからん情報がどんどん流れているのに、アニメだけ、漫画だけ対象にするのはおかしいと、だから怒ってるんだと言うんだけど、これもちょっと違うんじゃないか。インターネットというのは、日本ワイド、全国的な一つのメディアですから、コントロールというのは国がすべきであって、それぞれの都市が青少年の健全育成のために色々腐心して、賛否両論あるんでしょうけれど、今度のような条例も改正している。それに沿って国が本気でインターネットも考えてくれなければ。我々は、我々の範囲内での責任を果たしているだけのことだから。もうちょっと本質的に理解をして、協力してほしいという呼びかけはしますけれども、それがどこまでの理解を得られるかどうか分かりませんが、もう少し冷静に意見交換し合った方がいいんじゃないかと思っていますけれども。はい、どうぞ。

【記者】今日、東京高裁で、君が代、国歌に職員が起立してということを義務として押しつけるというものに対して、東京都の元職員らが裁判を起こした件で、地裁の方は原告側の勝訴となりましたけれども、今日、東京高裁では逆転敗訴となりまして、東京都並びに東京都教育委員会の主張が通ったという形になりました。この件について所見をお伺いします。

【知事】当たり前のことじゃないですか。どこの国でも同じことだと思いますけれど。日本だけちょっと奇異です。国家に関する、国旗に対する国民の反応というか、現象は。大変結構だと思っています、この判決は。ごく妥当だと思います。どうぞ。

【記者】先日、宮城県の村井(嘉浩)知事が、性犯罪の前歴者について、GPSを常時携帯させて行動を監視する条例を検討しているということが明らかになりましたが、都道府県単位で、こうしたことをすること、是非について、知事のご所見をお願いします。

【知事】子供の安全に関する状況に対する危機感の1つの表出でしょうけれど、これは人権の問題とか、プライバシーの問題とか色々な問題にふれてきて、なかなか賛否両論あり得る1つの手法だと思います。その効果がどういう形になって結果として表れてくるか、こちらも刮目(かつもく)していますけれども、この問題聞いた時もちょっとびっくりしましたが。行政というものが、ある前科を持った人間に対して、特別のマークをする、他の犯罪者もいるわけでしょうけれど、特に性犯罪についてのそういう特別の拘束というのか、一種の間接的な拘束でしょう、とるというのは、これはにわかに、私に是か非か問われても、今、答える余裕はないというか、もうちょっと僕も自分自身で考えてみたいと思っていますけれど。非常に、ある意味では思い切った措置だと思います。動物にタグつけて、その研究のため、その所在、生態の把握のために、発信のタグをつけるというのはアフリカなんかでよくやっていることだけれども、それとこれとは、質的に物が違うと思うし、難しい問題だね、本当に。ほかにありますか、どうぞ。

【記者】先だって、中央(卸売)市場から築地(市場)移転に関して、市場業者の支援の大枠の方針が示されましたけれども、知事としては改めて移転の支援について、何をすべきで何はできないかといったことを含めて、お考えをお伺いしたいと思います。

【知事】主に経済問題です。財源にも制限がありますから、むやみやたらという訳にいかないでしょう。当事者達の自己の努力も必要だと思いますけれども、それでもなお、ぎりぎりの経営をしていらっしゃる方々にとっては厄介な問題だと思いますから、出来るだけ、現に大田の市場を作った時もその問題がありまして、出来る限りの援助をした訳ですけれども。それから、これは豊洲にじかに関係ないけれど、移転した後の築地の再開発といいましょうか、これをどういうふうに活用していくかと、これも並行してきちっとしたプランを発表した方が物事はスムーズにいくんじゃないかと思います。

【記者】その築地の再開発に関してなのですけれども、隣接する場外市場なんかを中心に、何らかの魚に関してのものを残してほしいという声も上がっているのですが。

【知事】ですから、そういうものを含めて、これから綿密な分析をして、綿密なプランを作っていく必要があるんじゃないでしょうか。

【記者】一方で、移転予算に関しましては、民主党はまた反対するのではないかと見られるわけですけれども、これについて、まだこれからですが……。

【知事】これからのことです。はい、それじゃ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)