石原知事記者会見

平成22年12月2日更新

石原知事定例記者会見録

平成22(2010)年11月26日(金曜)
15時03分〜15時25分

知事冒頭発言

1 「言葉の力」再生プロジェクト活動報告書について

【知事】冒頭、1つ申し上げます。これは、猪瀬(直樹)副知事の肝入りで、彼がリーダーになってやってきたことですけれども、この頃、みんな本を読まなくなった。インターネットで色々情報をとれても、分析までほかの情報に頼るみたいな始末ですけれども、相対的に言語力が非常に落ちてきたというのは否めないと思いますが、それを再生しなくてはいけないということで、東京から。
 今年の4月から、猪瀬さんをリーダーとして、「言葉の力」再生プロジェクトを実施してきましたが、本日、これまでの取組と、今後の方向性を取りまとめた、なかなか興味の深い報告書ができました。これまで、新規採用職員向けの言語力研修や、本を読むことや言葉の大切さを考えるイベントを開催するなど、様々な取組を行ってきましたが、今後は、全ての新規採用職員を対象に言語力研修を行うと共に、都立学校においても言語力を取り入れた授業を展開していきたいと思っています。
 停滞した日本経済に翻弄されて、心理的な一種の「鎖国状態」にある現代の若者たちに対して、「世界基準の言語技術」と、「日本人の感性と情熱」を身に備えることで、東京から「言葉の力」を再生していきたいと、それによって世界で活躍できる若者を育てていきたいと思います。自分の母国語が完璧に習得されてない、母国語による表現力のない人間が、外国語を習ってもしようがないわけですから。なお、この100ページに渡る報告書ですけれど、なかなか内容が面白いんです。都庁のホームページで閲覧することができますので、どうぞ、多くの方々にひとつ活用していただきたいと思います。私から申し上げることはそれだけです。質問があったら、どうぞ。

質疑応答

【記者】12月に提出される予定の青少年健全育成条例の改正案なのですけれども、民主党から賛同の声も出ていますが、知事から見て、前回の案と比べて、どのようにごらんになっていますでしょうか。

【知事】訳の分からない言葉、削除しましたが、実質的には前と同じと言いますか、非常に大事な提案をしているわけで。紛らわしい文言が削られたことで、もっと分かり易くなったと思うんですが、これから、各党に持っていって、そこの判断を仰ぐことになっていますから、私からコメントするのは差し控えさせていただきます。
 どうぞ。

【記者】八ツ場ダムの件についてお伺いします。本日にも、国土交通大臣と流域6都県知事が会談されるのではないかという話もあったようですが、実現しなかったように聞いておりますが、近々また、国交大臣とお会いできるようなタイミングは。

【知事】そうです。今日、担当大臣の問責決議が上程されるみたいなんで、当人がそこにいなければいけないでしょうから、時間もどうなるか分かりませんので、できるだけ近くに、その場を設けて、彼は前の担当大臣と違って、正確な文言を繰り返さないと誤解も受けるんで、停止を前提としないで検証し直していきたいということですから、半歩前進したというか、クールダウンしたんじゃないかと思いますんで、そこで冷静な話し合いを関係知事と話すつもりでいましたけれども、できるだけ早く、会合を持ちたいと思っています。

【記者】国側は、各都県の負担金について、支払ってほしいという要請をされていますが、知事はこの件について、メリットが、確かなものが見えない限りは払う義理はない旨の発言をされていますが、今の負担金支払いについてのお考えをいただければと思います。

【知事】基本的にそうです。買い物に行って、前金払ったのに品物が届かないんだったら、お金を払うばかはいないんだから。ただ、大沢(正明 群馬県知事)さんは辛いと思う。担当の知事は、ちょっと状況が違いますから。県民、抱えているわけだし。それは群馬県プロパーの問題だけれども、それが、ダムの完成の1つの前提になっているわけですから、その辺は、大沢さんは、なかなか難しい立場だと思いますけれど。
 原則的には、私たち、そういうことで、分担金というのは払ってきたわけです、前払いしてきたわけだから。これが出来ないとなったら、それを取り戻すのは、法律でもそういう約束になっているようだし、訴訟の問題にもなりかねないんじゃないですか。
 しかし、内閣もつのかね、そんなもの合意するまでに。仙谷(由人)が、菅(直人 内閣総理大臣)というのは案外使えないなんて言っているそうだよ。すごいね、あの内閣は。誰がナンバーワンか分からない、本当に。色々な情報伝わってくるよ。繰り返して申しますが、あの官房長官は何故、「中国の漁船がまだ尖閣周辺にいらっしゃる」とか、「中国政府におかれましては」とか、サーバント(召使)が主人に向かって使う敬語じゃないですか。対等の国家対国家の問題について、日本で刑法にも及ぶような、暴力行為をやっている人間に対して、敬語を使うとか、政府そのものに対しても敬語を使っていたら、対等の交渉できっこない。しっかりみんなも批判してくれよ、こういった問題を。大きな言葉の問題だ。猪瀬さんのあれじゃないけど、言葉の力がないから、こういうことになるんだ。弁護士か何か知らんけれども。はいどうぞ。

【記者】今の質問、八ツ場ダムに関連するわけなのですが、これは自然災害とはまた別とは言いながら、そこには住民が介在しているわけなので、犠牲を強いられているような、と思いをしている人も多くいらっしゃると思います。そういう点でも、各県知事、あるいは都知事も、頭を痛めていらっしゃると思うのですが、国、あるいは都県の関わる行政も、そういった住民たちのことも決して忘れてはいないと思うのですが、改めてそういった……。

【知事】忘れていませんよ、それはもう。現場に行って、現地の人が、生殺しみたいな状態だから。本当に気の毒だというか、私ならもっとカンカンになって怒る。範疇(はんちゅう)というか、あれは違いますけれど、かつて私も担当して苦労して、住民と話して、色々な意思の疎通を図ったんだけれども、水俣の、ああいう災害、あそこで作っている製品というのは、繊維産業のために不可欠なものだと。そのシェアが圧倒的に高かっただけに、ちょうど経済成長の時に、テキスタイル(織物)というのは非常に大きな引き金になるわけです。それを知っていて通商産業省が物を隠したり、糊塗して、黒を白と言い張ったりして、長い間、住民をほったらかしにしてきた。本質的に行政というもののずさんさというのがあそこに出ていましたけれど。
 今度も、政権が変わったという、1つの大きなモーメントはあるけれども、それにしても、美辞麗句だけで政治ができるわけじゃないし、あれの反対を主張している国会議員なんかに、公聴の場所で、住民もたくさん立ち会ったところで質問すれば、物が言えないみたいな、論拠のなさというのが露呈するわけでしょう。そういうことで、しかもそれを検証と認めるかどうか知らんけれど、検証のせいと言っている。検証してないのに検証したと言い、これからも、検証し直すと言い、さっさと検証したらいいんだ。本当に住民の方は気の毒だと思います。それは、もう重々分かります。

【記者】長い年数の中で、気持ちの上で変わってきて、そして努力しようと思っている矢先に、方向性、変わったりなんかする。もう何しろ住民を守る行政、これがなくてはいけない。

【知事】そうですね。どうぞ。

【記者】東京都から北海道夕張市に長期派遣されていた鈴木直道さんに対して、地元の市民団体が市長に立候補してほしいという要望を出しましたが、知事、どのように受けとめていますか。

【知事】これは、いい話だね。さっき、彼にも会ったけれど、「人生をかけてやります」と。2年間あそこへ行って苦労して、みんなと力を合わせてやってきて、それで、派遣社員というのは異例なことなんだろうけれど、彼も本当に真摯に努力してくれた。それを周りの人間が認めて、大きな期待を彼にかけた。彼も、自分の人生かけてやりますと言っているのは、男として美しい姿だと思う。僕は、本当に、最近聞いたいい話だと思うし、さっきも激励したんですが。あれは、猪瀬さんの発案で、ひとつ人を送ろうじゃないかということで、「結構だな」と言ったら、中の1人そういう決心した。助っ人で、関わりない人間が来て、これだけ一生懸命やってくれるというのは、それにさらに期待しようと。彼、政府の機関に行っていますけれども、そういうところの知識も踏まえて、大いに役に立ってもらいたい。
 なかなか難しいところです、地政学的にも。ただ、色々救いもあるみたいで、この頃、漢方薬ばやりで、普通の西洋医のお医者さんなんかでも、風邪引きかけて、強い薬飲まずに、最初、葛根湯を飲みなさいと処方するそうだから、その漢方薬ばやりの時に、中国が意地悪して、日本の津村順天堂らしいけれども、大きな製薬会社の、漢方薬の原料を渡さんと言い出したんだから。それならそれで、あそこはちょうど気温の変化の激しいところで、そういうものをつくるのに非常に適しているというから、あそこに工場も作って、そういう雇用も進むでしょう。昔は石炭でもっていましたが、今度は漢方薬の素材でもつような、そういうふうになればいいなと、私は思っていますけれど。はい、どうぞ。

【記者】地球温暖化のことなのですけれども、メキシコで、これから(COP16が)開かれるわけですが、京都議定書というやつも2012年で時効になってしまう。2013年からどういうふうになるのか、考えていきますと大変なことだと思うのですが、全体的に世界の景気も悪くなったことと合わせて、地球温暖化対策というものが、各国の取り組みが後退しているように思います。相当に後退しているのではないかと思いますが、その点につきまして、どういうふうに都知事はお考えになっていらっしゃるか。それから、東京都は先進的なCO2の規制を始めているわけですけれども、その世界的潮流にめげずに、それをこれからもやっていくという決意で考えていらっしゃるのか。そういう点を……。

【知事】まさに、あなたが東京を代弁してくれて、ありがとうございます。そのつもりです。それから、オバマ(米大統領)も言っているみたいに、温暖化というものを防止するための産業というのは、産業でありますから、経済効果もあるわけだし、従来の製品というものを製造するだけじゃなく、そういうものに対する、新素材、新技術の開発というものは、私は決して温暖化を防止するための努力が、経済にとってのマイナス効果とは私は思いません。ただ、普通の家を作って屋根を貼るのと、太陽パネルを貼るということになると、コストはかかるでしょうけれど、そういうものをもって、出費がかさんでマイナス効果というのは非常に短絡的で、まだまだ人間が知恵を凝らせば、そういうものに対する努力は経済効果を生むということになるんじゃないかと思いますけれど。私も技術の専門家じゃないから、そう期待をしています。はい。どうぞ。

【記者】昨日のご挨拶なんかにも触れられておりましたけれども、北朝鮮の砲撃事件の関係で、民間人の犠牲も出ているということで、非常に大きな国際問題になっておりますけれども、日本にとっても、どういうふうに対応していくかということも含めて、知事のお考えをお聞かせください。

【知事】そんなものは政府に聞いてくれ。私がじたばたしても、言うこと聞く訳ないんだから。

【記者】朝鮮学校のこともあるかと思いますが。

【知事】これは問題でしょう。我々の同胞を拉致した、そのために加担したグループもあるわけだし。その人間たちの子弟がどういう教育を受けているか、それをつまびらかにせず、同じ子供だからというんで、一種の無償の援助するというのは、私は問題があると思います。それは政府が、たたら踏むのは当たり前だと思う。政府がやらなかったからって、東京が責任でやる必要は全くないと思いますから。はい、どうぞ。

【記者】昨日、民主党の部会で、来年度の子ども手当について、地方負担を求める方向でまとまりました。これについて、知事のご見解をお願いします。

【知事】それも一方的な話で、地方主権とか、分権とか言うけれど、上で物を決めればまかり通るというのは、変な話というか、全然言ってることと、やっていること違います。こんなでたらめな政府というのは、許せない。何党であろうと。

【記者】ということは、もう受け入れられないというか、反発されるということですか。

【知事】それは反発するでしょう。これで賛成する知事というのは、ほかに、全国知事会でいるのかね。いたら、お目にかかりたい、本当に。それも知らずに、知っていてか、強引に事を通すというのも、いささか問題あるんじゃないのか、政府の姿勢として。今年の年末に、おそらく大改造を行うだろう、内閣が。それで、どういうふうに方針が変わるか、変わらないか。その前に予算ができるんだろうけれども。今の政権も、そう長くないんじゃないかな。
 中には、何か国民新党を抱き込んで、亀井静香を総理にするというのは結構だね。俺、この間、亀ちゃんに、「おまえやれよ」と言ったの、そういう動きがあるなら。「お前みたいに乱暴で、強い人間が出てこなかったら、この国だめだよ」と。いいね、おもしろいね、そう考えるやつがいたら利口だよ。ろくなやついないもん。亀井頑張れ、本気になって。
 はい、それじゃ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)