石原知事記者会見

平成22年11月25日更新

石原知事定例記者会見録

平成22(2010)年11月19日(金曜)
15時03分〜15時25分

知事冒頭発言

【知事】今日は、私から別に申し上げることはありません。質問があったらどうぞ。

質疑応答

【記者】本日、発表のありました新銀行東京の中間決算について伺います。最終利益が5億円という結果になりましたが、新銀行の中間期の経営成績と、今の新銀行の経営の状態について伺えればと思います。

【知事】非常に良くやってくださって、やっと病域を脱して、病人でいうと、床に起き上がって、おかゆを食べるところまで来たという気がします。これから、セカンドステージというものを積極的に考える時期だと思いますが、私も横からサポートしようと思って、ある外国との交渉を考えていたんですが、相手の姿勢が良くないので、先延ばししましたが。普通の銀行がめったにやらない、リスケジュール(条件緩和)という、これ、面倒くさいんです、こういうふうにしてみると。大銀行はおごっているから、こんなものつぶして、倒産させても別にこたえないということでほったらかしにしたのを、新銀行東京は、非常に綿密に、債務を延ばして、その間、こういう条件で再建を図れば債務を延ばしますという形の、割りと、きめの細かい相談に乗ってやって、立て直しを図ってきた。
 ですから、そういう点では、非常に、最初の目的にかなった努力をしてくれていると思いますけれど。ただ、扱う件数のなかの小零細企業のポーション(割り当て)は少ないという意見があるかもしれない。これは、しかし、銀行を死なさずに済むために今の状況を当分続けざるを得ないんで、社長以下の限られた人間でしかありませんけれども、実に綿密に、きめ細かい、本来、中小企業、零細企業というものにシンパシー(共感)を抱くなら、金融マンがしなくてはいけない努力を、あの銀行はよくやってくれていると思います。

【記者】今、知事からお話がありましたセカンドステージのことなのですが、知事の3期目の任期中に、セカンドステージの道筋をどの辺までおつけになるお考えがあるか、今時点で伺えればと思います。

【知事】本当はこの10月、12月に、某国に行って、さしで話そうと思ったんだけれども。相手は中国だけれど、尖閣のばかなことをやったので。これは向こうの期待に沿ったことだったんです、本当言うと。もう少し時間を置かなくてはいけないでしょうし、なにも相手は中国だけじゃなしに、例えば、オーバーラップする部分、しない部分もありますけれど、東京の水道の技術とか、下水の技術みたいなものが認められて、あちこちから引き手もありますけれど、そういったものを踏まえながら、日本、東京の優秀な、しかもその先端の技術を抱えて持っていながら、商品にでききれずにいる、そういった企業というものを、外国との提携の中で育てるということは、相手にとってもありがたいと思う。言っちゃ悪いけれど、中国だって、インドだって、そうろくな技術があるわけじゃないから。技術を盗むのは得意かもしれないけれど、特に中国は。それでもいいんだ。とにかく物になっていけば、人が潤うわけですから、そういうことを、これから考えていかなくちゃいけないと思います。
 それにしても今の政府、困るね。東京も相談を受けて総合特区、「総合特区」って妙な名前なんだ。考えてみると。総合であり、特区なんだから。総合性があるような、無いような話だけれど、東京にも依頼を持ちかけて来て、色々こちらも検討しましたが、これは今の内閣にとっては目玉商品で、内閣が胸張ってこれやろうと言っていた矢先に、事業仕分けで枝野(幸男)幹事長代理がこんなものは無駄だと切る。どうなっているのかね、今の政府は。政府が言い出して、これは目玉商品だ、こちらも期待して、手も貸して、色々なことしようと思ったら、こんなものは無駄だという、とにかく支離滅裂というか、しっかりしてもらいたい、本当に。
 あまつさえ、色々なものが出てきます。僕は、この間、入間で起こった事件というのは、象徴的だと思います。天下の代議士か、なりたてか知らんけれど、そいつが威張りくさって無茶なことを言ったら、自衛隊員が「それは困ります」と言った。そしたら、そいつの胸ぐらつかんで、「俺は誰だと思っている。天下の代議士だ」と言ったわけだ。
 それで、その後、無理して車を戻させて、その隊員が2度ほど「お前なんか来るな」と。大した高級将校じゃないだろう、その現場にいた、車の整理して。その自衛官が、この国を動かす中の1人であろう国会議員に向かって、よほど腹立ったのか、「お前なんか2度と来るな」と言ったのは、これはすごいことだ。昔なら下克上だけれど、そう言われても仕方ない。政府のていたらくです、尖閣にしたって、何にしたって。これでは、自衛隊員だって、海上保安庁の人間だって、大きな摩擦の中で国のために体張って戦う気にはならない。本当に同情する。
 まして、仙谷(由人)がああいうばかなことを言う。「中国の漁船、今でも尖閣周辺にいらっしゃる」と言ったんだろう。何故中国の、侵犯している漁船に敬語を使うんだ。「中国の政府におかれまして」というのを聞いた、僕は仙谷の話で。「何なの、この言葉」と言った。国対国のつき合いと言ったら対等なんじゃないんですか。いつの間にか、日本にとっての中国は宗主国になったんですか。もう言葉遣いを考えてもらいたい、本当に。官房長官ともあろう人間だったら。みんな国民、そう思っていると思います、本当に。皆さん、そうじゃないですか。はい、どうぞ。

【記者】普天間基地の移設問題で2点ほど、お尋ねしたいと思います。現在、告示期間中の沖縄知事選で、仲井眞(弘多 沖縄県知事)さん、伊波(洋一 前宜野湾市長)さんの有力の2候補が、いずれも沖縄県外への移設を主張していまして、どちらが勝っても県内移設というのは難しいと見られます。この状況をどう受けとめられるか、普天間問題の解決策について……。

【知事】今までのいきさつもあって、2人の候補者もそう言わざるを得ない節があるだろうけれども、これを、どこら辺で妥協点を見つけて、辺野古に移転させるか、しないか。結局、それが埒が明かなかったら、普天間の位置はそのまま戻るわけですから。これは、住民にとったらかなわないかもしれないけれど、アメリカにとったら、それはそれでよしということになりかねない。地形から言っても、私は辺野古に移すことが妥当だと思うし、その方が、色々な意味での合理性があると思います、選択肢だと思うけれども。ああいう形になって、鳩山(由紀夫 前内閣総理大臣)がばかなこと言い続けて、あの問題こじらせてしまったから、結局、候補者も、選挙へ出る時に、「いや、普天間でいいんだ」と言うわけにいかないでしょう。売り言葉に買い言葉じゃないけれど。選挙の難しさというのはそこら辺にあるわけで、選挙の論争の対応と、それから出てくる、また結果というのは当然、違ってしかるべきだし、違ってくるだろうと思いますし、というところです。

【記者】2点目なのですけれども、民主党は、沖縄の知事選では候補者擁立も、推薦も出せずに、県選出の議員の、内閣の方針といいますか、に背く形で、そろって伊波さんを支援しているという状況なのですが、この方針に背くことを黙認している民主党ですとか、菅(直人)政権についてどうお考えでしょうか。

【知事】それはあなた方の論法で結構で、私は、それについて一々つまびらかにしませんし、沖縄選挙にそれほど熱心な関心があるわけじゃないから。ある程度の関心はあります。具体的なことは良く分からんし。ただ、あの大事な問題を抱えている沖縄で、民主党が、真に、何を考えているか分からない。みずから擁立する候補を立てないということ自身、今の内閣の無能さというか、無責任さというか、とにかく前代未聞、あきれ果てた。自民党も、褒めたものじゃなかったと思うけれど、本当に国民は大迷惑だ。はい、次。

【記者】昨日の参議院予算委員会で仙谷官房長官が、先ほど自衛隊の話も出ましたけれども、「暴力装置」という表現を使いました。このことに関しての受けとめと、あと野党側から、例えば渡辺喜美さん(みんなの党代表)からは、「昔の左翼の時代のDNAが図らずも明らかになった」という言い方、昔の左翼時代のDNAが図らずも明らかになったという表現をされていますけれども、このことについてコメントをお願いします。

【知事】明らかになるもならないも、もともとそのDNAをはっきり持っている人だから。僕は弁護士の世界知りませんけれど。「暴力装置」というのは法律用語であるんですか。あるの?ないの?それぐらい調べてこいよ、質問するんだったらな。

【記者】法律用語ではないのですけれども。

【知事】ないの?彼のレトリック(修辞)なんだ。

【記者】マックス・ウェーバーの暴力装置という言葉を使ってだと思うのですけれど。

【知事】ペダンティックに(学者ぶって)使ったわけだ。しかし、適切じゃない、それは。ドイツ語の言語は知りませんけれども、翻訳した、その日本語の語感というのは、極めてラディカル(過激)なものだし、下手をしたら暴力団と自衛隊重ねて、想定するみたいなイメージにつながりかねないんで、軽率というか、ばかというか、甚だ好ましくない発言で、陳謝したそうだけれども、陳謝で済むものかね。自衛隊そのもの、非常に傷ついたと思います、そういう言われ方して。はい、どうぞ。

【記者】国の話が、今、先ほどから出ているので、もう一つ、また国の話をちょっとさせてもらいたいと思うのですけれども、12月2日にサッカーのワールドカップの、2018年、22年のその開催地が決まるのですけれども、その22年に日本は立候補しています。またアメリカも立候補していまして、韓国、オーストラリア、カタールが立候補都市として名前が挙がっていますが、ここに来て言われている問題というものが、非常に日本とアメリカ、特に政府保証の問題が弱いのではないかとか、2002年から月日がたっていないのではないかとか、そういうふうな状況で非常に今、決して有利とは言えないというのが現状なのですけれども、16年五輪招致を、先頭に立ってやられてきた石原知事の目から見て、このサッカーワールドカップの22年招致について何かご見解があれば一言いただきたいのですが。

【知事】それは誰でも、日本に、ワールドカップ呼んできたいし、オリンピックも呼んできたかった。日本の場合には、オリンピックに関しては随分苦労して、結局、政府保証というのを曲がりなりにもあの時取りつけたと思うんだけれども、あいまいな形で。アメリカは、ばか正直に言って、銀行の金融云々と言ってやりましたが。今度の場合、政府が非常にあいまいだし、それを、日本の弱点になっているという論評があるけれども、こんなものは、政府が、空手形切ったらいいんだ。それが政治判断というもんだ、本当に。それぐらいの芸当できなくて、外交交渉、出来っこない。はったりというか、ジェスチャーというか知らんけれど、サポートになるんだったら、大分先の話だ、どうせその時、今の内閣続いているわけないんだから、自分で切った手形、ほかに落とさせるのに苦労するかもしらんけれど、まず、呼び込むことが大事なんで、私だったら政治判断で経済保証しますと言います。それが大所高所にある政治家の、腹の見せどころというか、腹見せないで見せるっておかしいけれど、度胸じゃないのか。そういう政治判断が出来ないというのは、今の内閣の、限界だと思います。

【記者】それに関連してなのですけれども、20年五輪の立候補有無のことが、また東京はどうするのだろうというような話も出ておりまして、来春、立候補表明、する、しない、来春の問題とか、色々あると思うのですけれども、現在のところでも、この問題においては次の知事が判断することであるというお考えに今のところお変わりはないのかなと。

【知事】僕は、東京に、五輪招致したいと今でも思っていますけれど。その前に、チームの編成しなきゃだめだ。JOC(日本オリンピック委員会)が今の形じゃだめだ。プッシング(押しの強い)な、もうちょっと推進力のある。JOCが、一応統括しているであろうはずの国内の様々な運動の協会の、束ね方も弱いし、IOC(国際オリンピック委員会)というところへ、どういうプッシングな人間を送り込んでいくかということも、その人材がいるのかいないのか、私はここであえて言いませんが、いないでもないけれども、果たしてその人間が、JOCの代表としてIOCに行けるか行けないかの問題もあるし、あの中にも小さな政治があるわけです。私は、東京に限らず、どこでもいいんだ。この日本にオリンピックを持ってくるためには、JOCそのものを、強化しないとだめだと思います。
 はい、どうぞ。

【記者】進めていらっしゃる航空政策の中で、横田基地のビジネスジェットでの利用というのがございますけれども、普天間の混乱ですとか、現在の政府のところを見まして、軍民共用化の交渉に向けて影響はあるでしょうか。

【知事】普天間の問題と横田のビジネスジェットの問題、大分質も違いますし、意味合いも違うんで。何といっても、日本にまだビッグビジネスがあるわけだし、これからもあるでしょう。それを交渉する場所というのは、当然、東京を中心にした首都圏にほかならない。名古屋という場合も、自動車関係であるかも、大阪にも特殊の企業はありますけれども、大阪は幾つか空港があるけれども、そのスペースはあると思わない。彼らが一番熱望しているのは東京で、ビジネスジェットで乗り着けて話したい。トム・ドナヒューという、今でもアメリカの商工会議所の会長していますけれど、私の知人ですが、彼なんか一番、とにかく早くビジネスジェットのキャパシティー空けてくれと。ただ、羽田が24時間ということになっても、なかなかそこに、ビジネスジェットをたくさん入れるということになると、また、色々な問題出てくると思いますが、やるなら横田が好ましいんですけれど。アメリカも、それなら共用するかもしらんが、まずアリの一穴として。
 その前に、横田の問題、もう一つありまして、今度、Dラン(滑走路)を作ったことで、航空管制ものすごく難しくなるんです。管制官は、本当に頭痛めて、ハラハラしているの。アメリカが、横田の共同使用云々の前にでも、なかなか離さない、あの管制空域をもっと開ければ、もっと楽な管制ができるんだけれども。私が在任中、何とか交渉して西に行く、東海道みたいなところを、一車線往復だったのを二車線往復に変えさせたのも、人が死に損なって大けがしたんだから、正面衝突の。アメリカは本当にもう嫌なやつらで、私に言わせると、握ったものは離さない。今度も、羽田で事故起こらなければいいと思います。起こりそうになって、それで彼らが覚醒すれば、日本に来る乗客、日本人だけじゃない、同国人もいるわけだから、そのために、管制空域をあけようということになれば好ましいと思うんだけれども。
 それともう一つ、さっき言いかけた問題は、ビジネスジェットで来るお客は知れているわけです。ところが、この交渉の中で彼らは色々な条件で出してきたんだけれども、とにかく横田は、ああいう形で、アイソレート(分離)されているからアクセスが非常に悪い。あの横、走っている国道16号線、あれも非常に不便だし。それから、電車も来ていない。それで、とにかくビジネスジェットでは横田をあけますよと。それは自分たちの国のビジネスマンのための話だった。日本人で、そんなビジネスジェット持っているわけじゃないんだから。その時に、ビジネスジェットだけは横田に入れてやるから、日本のビジネスのためにもなるんだから、電車よこせ、道路を整備しろと、これは、なかなか採算に合わない。この辺の、バランスをどうとるか。金持ち、ジェットで来るんだから、その後に自分のヘリコプターで飛んでくりゃいいじゃないかというわけにも、それはいかんでしょう、なかなか。そうすると、普通のアクセスで電車なり自動車で、おそらく自動車でしょう、都心に出てくる時に、そんなに便利なところじゃない。このインフラというものを、どういう条件でどこまでやるかということは、これからの進捗状況にかかっていると思いますけれども。アメリカのビジネスマンに、「そんな急いで大事な用事があるんだったら、おまえらの国の飛行機会社、たくさんあるんだから、ファーストクラス借り切って、会議してこい」と言ったら、「アメリカのファーストクラスは重要な人物だったら全部盗聴されている、俺たちは嫌だ」とアメリカ人が言うんだから、そんなもんだろう、ということです。はい、どうぞ。

【記者】都政の話で、青少年健全育成条例の改正案につきまして、12月議会に提出されるのかなと推察しますけれども、お考えを。

【知事】今、整備しています。ですから、二十何日かに議会と話しするそうですけれども。その結果聞いてください。

【記者】まだ、正式には決めていないということになりますか。正式には、まだこれからということですか。

【知事】だから、修正案を提示するわけです、これから。はい、それじゃ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)