石原知事記者会見

平成22年9月30日更新

石原知事定例記者会見録

平成22(2010)年9月24日(金曜)
15時03分〜15時21分

知事冒頭発言

1 北京出張の中止について

【知事】冒頭、こんなことを言うつもりじゃなかったんですけれど、10月に開催される「都市の持続発展に関する北京フォーラム」への参加招待を受けて、行くつもりでいましたけれど、今回の訪中では、中国側の求めによってフォーラムに参加して、東京の環境戦略を披瀝するだけでなく、中国経済団体との交流や政府要人との会談も計画しておりました。国が、東京の零細企業の持っている技術というものを評価せず全然斟酌(しんしゃく)しないので、色々、根回しをしてきたんですけれども、東京都が、中国政府とさしで、ある協定を結ぶつもりでおりましたが、これも延期になりました。
  とにかく今回の尖閣諸島での、あの中国のやり方、私は本当に言語道断と思います。ちょっと許容できない、後で個人的な見解を申し上げますけれども、こういう状況の中で、仮に訪中しても、目的を達成することはできないと思うし、東京と北京は、大分前から友好都市になっていますけれども、都市間の友好といっても、政府そのものがこういう居丈高なやり方で出てきては、本当に友好も何もあったもんじゃない。
  ただ、その前の「タンロン・ハノイ建都千年祭」の式典には、呼ばれていますので、ハノイに10月8日から11日まで出張いたしますが、詳細については係官から話していただきたい。

質疑応答

【知事】今、聞いたニュースは、処分保留ということで、中国の船長を釈放したの?

【記者】これから。そういう方針なのです。

【知事】方針?だって、おかしいじゃないですか。シー・シェパード、クジラの問題で妨害して、けしからんことしたのは、捕まえて、裁判しているんでしょう。処分保留というのは、裁判もしないということなんですか。

【記者】どうやら起訴をしないということです。そして、処分保留のまま釈放する方向と。これは極めて政治的な判断と見られます。
これは観光、日本人の観光旅行客とか、産業に与える影響とか、そういったものを配慮したのではないかと、一応見られているということです。

【知事】観光とか、経済交流で上がってくる利益というのは大事かもしれないけど、国家にとっての、価値というのはもっとほかにもあるわけで、こういったものを無視して、現に、向こうが衝突してきたと言われている、海上保安庁が称している時の事故のビデオがあるんでしょう。あなた方が頑張って公開させなさいよ、日本のために、国民のために。おそらく、外務省は、圧力かけて、保安庁から発表させないだろう。国民は知る権利あるんだから、日本の領土が侵犯されてる時に、中国という国が居丈高に、やくざのやり方と同じだ、本当に。
あちこちに防犯カメラがあって、万引きなんかも、捕まえてやっている時に、歴然とした視覚的な証拠があるんだったら、発表すべきだと思う、僕は。しっかりしてもらいたい、菅(直人)君の政府は、本当に。本当に国民怒っていますよ。メディアが要求するのが、あなた方の責任じゃないんですか。政府が、衝突起きた際、国内法に沿って告発もすると、裁判にかけると言っていたその論拠の衝突自体のビデオを、国民に見せるべきだと思う。どうですか、これ。反対の諸君、いる?この中にメディアとして。はっきりしてもらいたい。
  私はあの尖閣には、色々個人的な思い入れもありまして、代議士の時に青嵐会の仲間と図って、あそこに関西の冒険部の学生たちを頼んで、1週間頑張って、手製の灯台つくってもらった。みんなでお金を集めて。それは小さな、バッテリーにポールを立てて、裸電球に少しかさつけて、明かりのともる小さな灯台でしたけれど、それでも彼らはあそこに10日間ぐらい頑張ってやってくれたんだけれども。
その後、右翼の青年社が、やりましょうということで、彼らはお金持ちだから、立派な灯台をつくってくれた。私は運輸省の水路部に話して、公式の灯台として足りないところがあったら言ってくれということで、2点ぐらい指摘されて、彼らはすぐそれを補てんして、立派な灯台をつくった。
  それを、チャート(海図)に記載しようということで、運輸省の水路部も、チャートに記載しようとしたら、外務省が、時期尚早と言って、止めたんです。それから長いこと、あの灯台は灯ったまま、チャートに記載されなかった。
僕は小さなヨットもやりますから、大きな船ならともかく、小さな船舶があそこに時化あった時に、発光物があって、それがチャートに記載されていないから、かえって危ない。こんなことは、常識で考えたら分かることなんだけれど、それを外務省は無視して、ずっと抑えてきたけれど、やっと、3年、4年前か、正式に、これを記載することを外務省が認めたんだけれど、その前に、私、9.11(米国同時多発テロ)のあった時に、ちょうど、横田の問題で向こうに行っていまして、前日、ウォルフォウィッツ(米国防副長官=当時)に会って、その次はラムズフェルド(米国防長官=当時)に会って、ライス(国家安全保障問題担当大統領補佐官=当時)も会いたいと言うので会おうと思ったら、その次の日にペンタゴン(国防総省)が燃えたんだけれども、ウォルフォウィッツに会って、その話を苦笑いでしたら、彼の方が身を乗り出して、石原さん、せっかくつくった灯台が灯っているのに海図に載っていないのは危ないんじゃないですかと。外国の、役人だって分かること。外務省が、それを無視して、何を慮ったか、とにかく今まではよかった。
  今度も、おそらくアメリカは絶対に尖閣を守るつもりではない。クリントン国務長官が明言しても、やりっこない。現に、繰り返しになりますけれども、大分前に、モンデール駐日大使が来て、黒人の海兵隊員3人が小学校5年生の女の子を凌辱して、ちょうどその時に香港の活動家という、これはもう政府の特殊部隊、これが、あそこに上陸して旗を立て、保安庁は、強制退去させて、1人が慌てておぼれて死んだ。香港では大騒ぎになったけど、こちらにしてみれば、当たり前のことじゃないかと思っていましたが。
  アメリカの新聞記者がモンデールに、これ以上の緊張が高まって、大きな紛争が起こったら、アメリカは日米安保を発動して、自衛隊と一緒にあそこに出動いたしますか、日米安保を発動しますかと言ったら、言下に彼はノーと言った。日本でこれにかみついた人間は、不思議なことに私1人だった。私は担当として、こんなばかなことを言っていいのか、高い金払って維持している日米安保の役に立たないならやめちまえ、こんなこと言わせていいのかと言ったら、あの時は共和党が与党でしたけれども、知っている国会議員とその政策スタッフたちが石原の言うとおりだというので、モンデールは私が記事を書いてから、1週間もたたないうちにクビになりました。
  ケント・カルダーという、親日派の学者か何か知らないけれども、正式な駐日大使の補佐官ということで就任してきて、私も外国人記者クラブのメンバーだから、時々講演もするけれども、彼がスピーチするので聞きましたら、ある記者が、カルダーさん、あなたの任期はどれぐらいですかと聞いたら、カルダーが、私はモンデールさんと一緒にいますから、多分2、3年いるでしょうと言ったら、その5日後に首になった。当たり前のことだ。
  それから、日本には駐日大使、1年半来なかった。フォーリーが来た。それで、フォーリーは、そのいきさつ知っているから、私に会いたいというので、知事の公邸に来てくれと、私は用事がない、別に。あんたが用事があるなら都庁に来なさいと言って、彼、来ました。そうしたら、それが伝わったら、アメリカの国務省が、私、その記事を書いてから、それから知事選に出たんだけれども、成り立ての知事ごときのところへ、大使が行くのはけしからんといって怒られた。フォーリーはなかなかしたたかな政治家だし、長いこと、議長もやったんですか、いずれにしろ、激戦戦ってきた知事に、政治家として共感抱くから、敬意を表してなぜ悪いんだって、国務省は黙っちゃったんだけれど、そういうていたらくです。おそらく今度も、クリントンは、国務長官で見得切ったけれど、アメリカの上院から圧力があったんでしょう。とにかく泣けと。アメリカも迷惑千万だから、日本は泣けということで泣いたんだ。
  だからせめて、こんな理不尽な横暴がまかり通るんだったら、中国の政府の真意実態というものを知るためにも、尖閣で、向こうから体当たりしてきたと称している保安庁の言い分が正しいかどうか、保安庁が持っているビデオを公表してもらいたい。公表させることは、あなた方メディアの責任です。都民、国民の皆さん、そう思いませんか。みんなで声合わせて、今の政府、保安庁が持っている資料を公表しろと。
  この頃、法的な権威というのは、今度の検察の問題も含めて分からなくなってきたけれども、私たち、国民全体が、この尖閣の問題、非常に強い屈辱感を感じ、怒りを感じてる時に、政府は、自分の出処進退というものを、論拠を示すためにも、このビデオというものを公開すべきだと、私は思います。実は、日本の政府の作りごとだったら、これは問題あるかもしれないけれど、いずれにしろ、ある資料を出してもらいたい。それがありながら、何で裁判しなかったかということになりかねないんだから。
  ということです。本当に腹立つね、この問題は。島が中国の領土だという論拠は全くない。彼らがそう言うんだったら、沖縄が返還された後、アメリカは戦勝国で日本を統治しながら、あの尖閣諸島を爆撃演習のターゲットに使ったんです。その間、その慰謝料を払うために、当時の持ち主だった古賀花子さんという、順天堂の婦長さんしていた、この人が結婚して、旦那さんが、沖縄の人で向こうへ住んでた。その古賀花子さんに、慰謝料払った。で、青嵐会が、灯台を建てるついでに、島を1つ買って預かろうじゃないかということで、私が古賀さんに会いに行きました。そしたら古賀さんが残念ながら、要望があったので、大宮のある家族に、言われたので売りました。その人に連絡して、島1つ売っていただきたいと言いに行こうと思ったら、人に会いたくないというの。政治家に。政治家一切不信だから嫌だと。
  調べたら、私の死んだ母親の、まだ存命中でしたけども、親友の奥さんと、名前は忘れましたが、家族の家長である老婦人が親友だというので、そのつてで会いに行きました。そしたら、丁寧に断られました。大きな土地持ちで、戦争中、中島飛行機のために一方的に政府から土地取られたり、区画整理だということで自分の、この屋敷の一部を、大きく削られて、本当に政治不信で、私は政治家信じませんから、石原さんは、知己の知己ですけれども、残念ながらその気はございませんということで、帰ってきましたけれど。そういういきさつもあるんです。
  中国は、あの領土が自分たちのものだという由縁というのはどこにあるのかね。メディア、調べて聞いてきてよ、本当に。スプラトリー(諸島)と同じことになるよ。ベトナム、フィリピンも切歯扼腕している、スプラトリー、あれはどうやって中国が勝手に基地つくったかというと、まず秘密部隊が夜中に行って潜って、海の中へ物を投げる。中国の古銭、それから土器の破片。それで、次の調査団というのが潜ってみたら、昔住んでた証拠があるよ、お金が出てきた、銅器の破片が出てきたということで、これはもともと中国の領土だったということで、あそこに基地作ってしまって、フィリピンもベトナムも力がないから、泣き寝入りだったんだけれど。
  尖閣ではそういうわけにはいかないでしょうが。あるとしたら、あそこに、日本人がつくった鰹節工場の跡地があるんだ。そのために作った入江もある。そういうことの中で、彼らがあそこを領土だという由縁というのは歴史的には全くないんです。そういう時に、この政府が、この様だ。日本はこのまま沈むよ、このままでいたら、ということ。言いたいこと言いましたが。
  どうぞ。

【記者】それに関連するかどうかまだ因果関係がわからないんですけども、フジタの社員4人が、今現在、取り調べを中国政府から受けているということが伝わってきているのですけれども、この件に関しては、知事はどのようにお考えでしょうか。

【知事】分かりません。これは、実態がよく分かりませんから、みだりに発言できませんから。当人たちは、不本意な思いしているんじゃないかと私は憶測するけれども、これも、帰国したとき事情を聞いたらいいし、暴力団の縄張りの拡張の同じやり方だ、本当に。これ、東アジアの国が息を詰めて眺めていますよ。日本が、アメリカと力合わせて、毅然としてあの国を、あの島を守ろうとしなかったら、全部に及ぶということで、これをきっかけに、日本とアメリカの存在感もアジアからだんだん薄れていくだろう。政府は非常に間違った判断をしたと私は思います。
  はい、どうぞ。

【記者】先ほど、那覇地検が、会見の中で処分保留にする理由を、我が国国民への影響や、今後の日中関係を考慮したということで捜査を終結させるというふうに会見で述べたのですが、それについてどう思われますか。

【知事】こういう措置をとった論拠というのは我が国の利益でしょう。利益というのは金目の問題だ。しかし、それ以上に大事なものがあるんじゃないか、国家としては。民族にとっても。そういうものを考え直す時期に来たと、私は思います。
  どうぞ。

【記者】築地移転の問題についてなのですけれども、先日、現地再整備の再試算結果が出て、多少の変動はあったようですけれども、ここでも工事にかかる総額に関しては豊洲移転とほぼ変わらず、工期のほうも11年以上かかるという結果が出ました。これを受けて、都知事のほうは、豊洲移転のほうに動くというふうに見られているのかどうかということを。

【知事】まだ詳細聞いていません。詳細を聞いた上で判断します。はい。 どうぞ。

【記者】先ほどの尖閣問題に戻るのですけれども、東京都と中国との間の交流というのは、様々あると思うのですが、その中の1つとして、現在進行形で、来年春のパンダの協定がありますけれども、これに影響は特に。

【知事】パンダもらって尖閣渡すのかね。そんなもの、考えたら分かることだろう。はい。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)