石原知事記者会見

平成22年9月24日更新

石原知事定例記者会見録

平成22(2010)年9月17日(金曜)
15時00分〜15時12分

知事冒頭発言

1 映画分野の新たな取組について

【知事】冒頭、1つだけ申し上げます。
 東京として、映画分野の文化振興のために新しい取り組みをしようと思っていますが、福原(義春 (社)企業メセナ協議会会長)さんを、座長(東京芸術文化評議会会長)にした東京発の文化発信に取り組んでいますけれども、その一端として、今回、映画分野における人材育成プログラム「ネクスト・マスターズ」という名前にしたらしいけれども、次の世代の、アジアの優秀な人材を東京に集めまして、既に世界の第一線で活躍している映画監督やプロデューサーたちによるワークショップを行います。世界的なネットワークを構築する場所を提供することで、東京から世界へ羽ばたいてもらおうというプログラムですが、同時に、海外発信にも取り組みまして、海外での人気や需要の高い、日本の旧作の映画ですけれども、それに、スーパーインポーズ(字幕)、英語をつけて、海外の映画祭などでの上映を促進する取組みを行いたいと思っています。
 いずれの企画も、世界の新進気鋭の監督などの、独創的な作品紹介に積極的に取り組んでいる映画祭「東京フィルメックス」と連携して実施しますが、貴重な文化資源であります日本映画を積極的に海外に発信することで、日本文化の一層の普及、浸透を図っていきます。
 この「東京フィルメックス」というのは、海外では認められているグループで、私も同感なんだけど、毎年、日本でやっている東京国際映画祭というのは全くくだらないね。ほかの外国の映画祭の猿まねで。釜山(国際映画祭)の方がよほど人気があって、だから私は主催者に言ったんだ。それまでベルリンとか、カンヌとか、ニースとかある映画祭で、優秀な、表彰された作品だけに限って、日本の審査員が、各映画祭で色々賞をとってきた、どの映画が改めてナンバーワンかというオーソライズをするようなものにしたらどうだって。相変わらずだらだら同じことやっている。これに愛想をつかしたグループらしいけれども、これが外国に推薦する映画が、非常に向こうで当たりまして、なかなか、この推薦者であるフィルメックスというのは、クレディビリティー(信頼)を得ているようですけども。
 日本の映画の巨匠というと、黒澤(明)さん、小津(安二郎)さん、成瀬(巳喜男)さん、それから溝口(健二)さん、そのほかにも、例えば大島渚君の若い時の作品とか、色々あります。篠田正浩のいい作品とか。そういったものを、もう1回、リバイブ(よみがえら)せるためにも、新しい作品だけじゃなくて、日本の、かって映画の世界で興行的にも成功した、成功しなかったけれども評価された、例えば「羅生門」なんて、誰も評価しなかったんだ。フランス系のディーラーが、あの映画を勝手に、ヴェネツィア国際映画祭に送ったんです。それでグランプリとったんで、みんなびっくりしたんだけれど。識者の目にはとまっても、なかなか一般の大衆にとまらない、黒澤さんの「羅生門」は本当に凱旋して初めて評判になって、黒澤さんもあれで、巨匠の一歩を歩んだわけですけれど。
 そういう試みの延長で、東京都もそういった動きを援助できればと思っております。
 質問、あったらどうぞ。

質疑応答

【記者】本日、行われます内閣改造について、2点伺えればと思います。人選の中で、総務大臣に前の鳥取県知事の片山善博氏が内定しておりますが、夕張市のような財政破綻も含めた結果責任を含めて、分権していくべきだという、かなり思い切った分権論者というふうに言われておりますが、この人選について、知事のご所見をいただければと思います。

【知事】鳥取の知事は、個人的に少し知っていますけれど、なかなか変わった人で、面白い存在だったけど。しかし、鳥取県というのはごく小さな県ですし、そこでの経験というものがどれだけ、日本全体の地方の行政に生かされていくかということは、これからの問題だと思います。前、岩手県の知事(増田寛也)も閣僚になったけれども、あんまり変わらなかったね。

【記者】2点目は、国土交通大臣が、八ツ場ダムの事業を中止された前原(誠司)大臣から交代されますが、この大臣交代が、八ツ場ダムの今の現状を……。

【知事】それは知らないね。当人に聞いてくれよ、君。なりたての大臣に聞いても分からないし、私に聞いたら、なお分からないね、そんなことは。これからの問題だよ。
 ほかにない?

【記者】東京都が観光のホームページを作成しているのですけども、それを、9年間に渡って、東京の観光財団((財)東京観光財団)に随意契約で委託していたということが分かりました。これが過去5年間で……。

【知事】それ、質問書が出ているみたいで、やっているのは、そういうことを得意にしている民主党の議員だから、議会が始まりましたら、その質問書を踏まえて、議論を行うので、その議論の前に私に聞いてもだめなの。だから、あなたも、議会をずっと傍聴なさいよ。委員会も傍聴なさい。

【記者】ホームページが2つあって、一元化できることも、考えられるべきだと思うのですけれども。

【知事】そういう問題もこれから討論の対象になるでしょう。それから、観光の案内なんてずさんなもので、私に言わせると。オリンピックの時に、「TOKYO COLORS」という、これは非常に傑作の、私の知っている女性が、立派なプロデュースをやったので、みんなびっくりするものができた。それを早速、観光庁が黙って使おうとしたので抗議して、コピーライト(著作権)の問題あるから、もちろん結果としては快諾して、お渡ししましたけれど。
 観光のキャンペーンというのは、実に簡単のように考えるけれど、難しいんだ。本当の、才能のある、センスのある人間に任さないと、ろくなものができない、随分お金もかかっているみたいだけれど、かといって、それを告発している議員がどれだけセンスあるか分かりませんよ。しかし、客観的に眺めて、いいもの、悪いものは見れば分かることだから、整理していきましょう。はい。

【記者】今後は、見直されるお考えは、知事としては……。

【知事】だから、議論を見て、現物も見て。
 はい。

【記者】先ほど、映画の話が出ましたのですが、例えば新宿の歌舞伎町の映画館なんかが、どんどん、今、つぶれているわけですね。上映館がどんどん、一方では、町の中から消えていっているというのが今の東京の現状ではないかと思うのですけれども、文化を発信、高めていくということからも、上映館に対する援助といいますか。

【知事】そんなものはできない。他のジャンルの商売だってみんな言えることだから、みんなそれぞれ、意図を持ってやっているんだろうけれど、流行り廃りというのは自分たちの責任だし、特に映画に関しては、流通の機構が変わってきました。あなた、TSUTAYA(レンタルビデオチェーン)、行ったことある?僕、TSUTAYAの会員だけれど、あそこに行くと、驚くほど安価に、レンタルで、しかも、家のテレビが大きくなりましたから、自分の個人の試写室で見ているぐらいに、新しい映画も古い映画もどんどん見られるんだよ。もう映画館に行かないんじゃないかな。ただ、映画は、物によっては、巨大なスクリーンで見ることが、あの映画のエクスタシーを感じさせるものがあるし、作品によっては、別にばかでかいスクリーンで見なくてもいいものがあるし、作品の質によって、商品の流通するツールというか、場所といいましょうか、インフラが変わってくるんじゃないでしょうか。だから、映画もそれ考えて、作ったらいいと思うし、今度出た立体的な画面というのは、見たことありませんが、ああいったものは映画館でこそ迫力があって、技術も生きてくると思うんだけれども。
 町の映画館が淘汰されていくというのは、ある部分しようがないんじゃないですか。そんなもの一々、行政が援助するわけにいかない。自分らが工夫したらいい。現に、今、そうじゃないですか。映画館というのは、ばかでかい映画館なくなって、せいぜい200人か300人で、ゆったりしたりして見ているじゃないですか。僕時々そういう映画も見に行くけれど、それはそれで非常に、コンファタブル(快適)で、昔みたいに、立ち見までいっぱい見た、ああいう雰囲気というのは当然なくなってきました。
 はい、どうぞ。

【記者】知事は、来月、中国を訪問されるという話がありますけれども……。

【知事】まだ決まってない。中国の姿勢次第だ、これは。
 はい、どうぞ。

【記者】カリフォルニア州のシュワルツネッガー知事が、11月に開かれる環境に関する(「第3回知事地球気候サミット」への出席を要請した件について)……。

【知事】分からない、これも、予定次第。あんな会議、あちこちでやってもだめ。大変だ、大変だと言うだけだ。具体的なことをやらなきゃだめなんです。東京は具体的にやっているんだから。それを知りたいのなら、こっちに来て勉強したらいいんだ。あんな国際会議やって、皆で大変だと言っても、何にも出てこないんだから。
 まだ分かりません、行くか行かないか。向こうから注文があったら、答えるために私が行くか、専門家が行くか、分かりませんけれど。何か国際会議やれば、世の中、解決するという問題じゃないんだ。特に環境啓発で、散々あちこち行きましたが、ろくな会議ないね。行ってごらん、君。
 はい、それじゃ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)