石原知事記者会見

平成22年9月2日更新

石原知事定例記者会見録

平成22(2010)年8月27日(金曜)
15時01分〜15時13分

知事冒頭発言

1 名誉都民について

【知事】冒頭、私から2つ申し上げます。
 まず第1は、名誉都民についてでありますけれども、今年の名誉都民の候補者として五十音順に申し上げますと、安達雅一(あだち まさかず)さん、川崎富作(かわさきとみさく)さん、中村芝翫(なかむらしかん)さんの3名を選びました。これは、議会の承認を得て決まるわけですけれど。
 安達さんは、染色家として50年余りの長きにわたって、東京の手描友禅の技法を継承するとともに、絵画的な表現法を取り入れた、「うつし糊絵」という技法を完成されました。また、東京都の伝統工芸全体の振興・発展に多大な貢献をされております。
 川崎さんは、小児科医として長年にわたる診療に励む中で、乳幼児に多く発生する新しい疾患である、いわゆる川崎病を発見して、診断・治療法の確立に貢献するなど、献身的な努力を続けてこられました。また、現在も、川崎病の子どもを持つ家庭などを対象に、電話相談に応じておられます。
 中村さんは、歌舞伎俳優として、5歳で初舞台を踏んで、以来約80年、研鑽(けんさん)を積んでこられて、端正な芸風で知られる歌舞伎界を代表する女方の1人であります。また、歌舞伎界全体の目配りと後進の指導に力を注ぐとともに、日本の伝統芸能の継承と発展に尽力されております。
 それぞれの分野におけるお三方の素晴らしい功績は、都民が敬愛し、誇りとするものであると思います。次の定例都議会で同意いただいた上で、顕彰式(けんしょうしき)を行う予定であります。

2 こども救命センターの指定について

【知事】次いで、「こども救命センター」の指定でありますけれども、本日、都内4病院を、全国で初めて「こども救命センター」に指定をしました。このセンターは、小児科及び小児外科医を常時配置して、他の医療機関では救命治療の継続が困難な小児重篤患者を24時間、365日必ず受け入れてまいります。限られた医療資源を効果的、効率的に活用して、次代を担う子供の命を救うのは、行政の役割だと思いますし、今後とも、東京都医師会、医療機関などと一層連携して、小児医療の充実に努めてまいります。
 子供の治療というのは大人と違って、子供には、効力が効き過ぎるというのか、子供に使えない薬があったり、選択が難しいようですし、それから、外科の手術も、子供の血管というのは細くて、弱いから、格段の配慮といいますか、技術が要るようでありまして、そういう点で、この救急医療センターが、お子さんたちの健康のために、大いに役立つことを期待しております。
 私から申し上げることは以上です。質問があったらどうぞ。

質疑応答

【記者】八ツ場ダムに関連して1問お尋ねいたします。本日の閣議後会見で、国土交通大臣が八ツ場ダムの今後の方向性について発言されまして、1都5県の知事と共通認識を早い段階で持てるようにという旨の発言をされていますが、前原(誠司)大臣側から歩み寄るメッセージというふうにも読み取れますが、この発言について、知事のご所見を伺えればと思います。

【知事】歩み寄るも歩み寄らないも、聞く耳持たないというのは、こちらの要望に対して、正確な返答も返ってこない。八ツ場ダムはやらないという決定の前に検証したけれど、どういう検証したかということ、一向につまびらかにされないわけで、その内容がないから、また検証し直すということでしょう。大変当たり前のことだと思いますけれど。
 このコメントの中にも、とても大事だと思うんだけれど、「八ツ場ダムについても、予断を待たずに検証することとしており、流域の方々にご理解を得る」、これ、どういうことなんですか。「予断を待たずに」というのは、検証もしないで、結果決めたんだ。予断を持って決めて、振り上げた手を、どこでおろしていいか分からない、困っているわけで、これは、もう本当に関係の県にとっても、住民にとっても迷惑千万なことだと思います。
 内閣がどうなって、担当大臣が誰になるのか分からないから、この間も、6県の知事が、なかなかそろいにくく、3県は副知事ということで、それなら、政局の動きもあることですから、延期しましょうということで、それが刺激になったのかどうか知りませんが、早く検証して、その検証の実態を国民に明らかにして、それで結論を出すことを、私たちは要望しようと思ってます。ということです。
 どうぞ。

【記者】今朝の新聞で、宮崎県の東国原(英夫)知事が、来年4月の都知事選への出馬を検討しているという報道がありました。東国原知事については、知事はどういう評価をしていらっしゃるのでしょうか。

【知事】あんまりよく知らないんだ、僕は、宮崎県政。東京で手いっぱいだから。色々な人が立候補するのは結構だと思いますし、東京は、色々な問題がありますから、創意のある人が対処してもらいたいと思っているんで。
 私は、うん……、余計なこと言わない方がいいけれど。(笑)

【記者】東国原知事は、東京都知事としての、候補者としての資格というか、そういったものはあるというふうにお考えですか。

【知事】そんなことは、都民が選挙の時に決めることで、彼が都政を担当しようというのなら、都に対して何を考え、何を思って、何をしようというかということを、選挙は、つまびらかにしなければ。彼は口蹄疫で随分苦労したと思いますけれど、それが一事が万事というわけにいかないと思いますし、あれも、今度の政権が対処の予算、削っちゃったから、あんなことになったので、彼も被害者の1人だと思うけれども、先の先のことじゃないですか、それは。
 どうぞ。

【記者】小沢一郎(元民主党幹事長)さんがこのたび立候補、民主党の党首選に出ることになりましたけれども、政界再編が近づいたというふうに都知事の方はお考えになりますでしょうか。

【知事】この間、ぶら下がりでそう言ったんだ。政界再編成というのは近づいたと思う。はい、どうぞ。

【記者】今日、東京拘置所で死刑の刑場が報道陣に公開されたのですけれど、その公開されたことにどう思われるかということと、死刑ということにどう思われますか。

【知事】亀井静香(国民新党代表)先生に聞いてくれよ。あなた方は興味津々だろうから。今、どういう形で日本は死刑執行している?

【記者】床が抜ける形ですね。

【知事】絞首刑ですな。死刑は、私は今の裁判の形が、つまり無期という形が、実質的無期じゃなくて、20年で、大概の人が出てくるということは、被害者の遺族にとったら耐えられないことだと思います。
 近代刑法は何でできたかといったら、仇討ちを禁止するために、復讐を禁止するためにできたので、だったら、そういったものを踏まえて、死刑に代わる有効な手段といえば、アメリカみたいに、懲役80年とか、べらぼうな刑期で、完全に、終身刑で監獄に閉じ込められるということなら、まだ分かりますけれど、そういった、セカンドベスト(次善)の法律も作らず、対処もせずに、人道上の云々(うんぬん)か、センチメント(感傷)で、死刑廃止というのは、私は、これは被害者の心情になってみると、とても許せないことだと思うし、それを十分に斟酌(しんしゃく)して、この問題を論じるべきだと思います。はい。どうぞ。

【記者】三宅島のことなのですが、来月4日に帰島5周年記念の集いが開かれますが、これは知事は参加はされるのでしょうか。

【知事】そのつもりでいますけれど、ほかにもっと大事なことがいっぱいあるから。5年たって結構な話だけども、これからのことを考えるためにも、バイクレースも色々考えているし、ちょっと違った形で試行しますので、どちらかといえば、イベントよりそっちのほうが大事だと思っているけれども、仕事が重ならなければ行くつもりでいます、はい。

【記者】復興に向けて、山本寛斎さんのイベントなども開かれましたが、三宅島の現状というのは、どのようにごらんになっていますか。

【知事】非常に厳しいと思う。あなた方、三宅島のこと、よく知らないだろうけれど、私の選挙区の一部ではあったけれど、火山活動というのは非常に掌握しにくい、地球物理の所産で、20年足らずで必ず周期的に爆発するんだ、あの島は。今までもずっとそれが続いてきた。これは、覚悟しなくちゃいけないし、なかなか厄介な島です、そういう点では。
 だから、帰島復帰5年も結構だけれども、これから先、もうあと数年に迫ってる次の周期というものを、どういうふうに予測し、準備するかということが大事だし、大きくもない島ですけれど、しかし爆発はあちこちに起こって、違った形で爆発するものだから、被害が色々な形で出て、今度の場合も非常に最悪の1つだと思います。
 その前、阿古の港、近くで、爆発が起こって、行けば分かるけれども、出来立ての学校の体育館貫いて、流岩が流れて、そのままになってるけれど、あの島は本当に、災害の対応が色々変わってくるんで、非常に厄介なんだけれども、「住めば都」ということで、島民の方は頑張ってる。それを斟酌して、都としても、国としても、出来るだけの援助をしなくちゃいけないと思いますけれども。
 はい、それじゃ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)