石原知事記者会見

 

平成22年8月5日更新

石原知事定例記者会見録

平成22(2010)年7月30日(金)
15時06分〜15時19分

知事冒頭発言

1 熱中症の予防について

【知事】冒頭、私から、2つ申し上げることがあります。
 まず、熱中症ですけれど、連日猛暑が続いていまして、全国で熱中症が多発していますが、この2週間で熱中症が原因とされる死亡者が都内23区でも82人に上りました。その8割以上が、70歳以上の高齢者で、ほとんどの方が室内で亡くなっています。室内で亡くなるというのが問題なんです。今年の夏は、まだまだ猛暑が続くと予想されますが、熱中症は、こまめな水分補給や、室温の調整など、適切な対策をとれば防ぐことができるはずなので、都民の皆さんにも、自らの健康を守るために予防策を徹底していただきたいと改めてお願いいたします。
 江戸の文献にも、夏のことを書いたのがあって、昔の家は、今と違ってもっと風通しがよくて、隙間だらけであったんだろうけれども、それでも、冬の寒さは、江戸の話ですが、何とかしのげるけれども、とにかく暑さは何ともならない、かなわないという記述がありました。
 何年ぐらい前になりますか、パリで、老人が猛暑の中で死んで、問題になったことがありましたけれども、あれも、パリのような古い町は、日本と違って、部屋に冷房もついていない、もちろん暖房はついているんでしょうけれども、中で、お年寄りがたくさん死んで、政府の責任問題になったことがありましたが、日本のように、比較的住居条件が平均化していて、扇風機もない家というのはめったになくなったと思うんだけれども、年配の方が、特に室内で亡くなるというのは大変痛ましい話で、気をつけていただきたいと思います。人のこと言えないけれど。こっちも70歳以上の高齢者だから。

2 地下鉄一元化等に関する国との協議会の設置及び開催について

【知事】続いて、地下鉄の一元化に関する国との協議会の設置及び開催についてでありますが、地下鉄一元化についてですけれども、都が提案してきた地下鉄一元化などに関する国との協議会が始まることになりました。
 第1回の会議を、国土交通省で8月3日火曜日に開催いたします。協議会のメンバーでありますが、都からは、猪瀬(直樹)副知事をトップに、都技監と交通局長が出席しますが、国からは、国土交通省、財務省、そして東京メトロも加わります。
 先般、猪瀬副知事が、メトロの株主総会で申し入れた日本橋駅と浅草駅の連絡通路のシャッターが、先週の土曜日から、従前の時刻よりも早く開くことになりまして、利用者にとっては、当たり前のことですけれど、いささか便利になったと思いますが、こういう小さな問題を含めて、利用者全体のサービスの向上のために、一体的な地下鉄サービスの提供は、非常に重要であると思います。
 今回協議が始まることによって、地下鉄一元化の実現に向けた取り組みが進むことを、大いに期待しております。
 その会議の名称ですが、「東京の地下鉄の一元化等に関する協議会」ということで、メンバーは、国土交通省の鉄道局長、国土交通省の官房審議官、鉄道関係の審議官ですね、それから財務省の理財局次長、東京都からは、猪瀬副知事、東京都技監、東京都交通局長、そして東京地下鉄株式会社の取締役社長が出席いたします。場所は、国土交通省の8階国際会議室、ということであります。
 私から申し上げることは以上ですが、質問があったらどうぞ。

質疑応答

【記者】2点お尋ねいたします。
 まずは、冒頭の発言のメトロと都営の一元化ですが、この協議は、いつまでにどういう結論を出すというようなスケジュール的なものはあるのかどうか伺えればと思います。

【知事】それは、私、つまびらかにいたしません。おそらく、最初の会合で、大方の目安を決めて、議事を進行していくんじゃないかと思います。

【記者】2点目は、すいません、話が飛んで恐縮なのですが、先日、東京都足立区で111歳の方がですね、実は、大昔に亡くなっていたということが判明いたしまして、この件は、東京の高齢化が急速に進む中で、住民基本台帳や戸籍制度や、国のベースとなる制度の信頼性にもかかわりかねないような問題をはらんでいると思うのですが、この件について、知事のご意見があれば、伺えればと思います。

【知事】おっしゃるとおりの、行政の手落ちといいましょうか、怠慢といいましょうか、あるいは不足分といいましょうか、そういったものが、この問題で指摘されたと思います。そういう恐ろしい、自分の肉親に対する処置を、何のためにやったかということになると、年金その他の、物欲、金銭欲ということが、引き金になったとすると、人間も随分落ちるところまで落ちたなという感じがしますし、同じ屋根の、相当広大な屋敷でもないのでしょうけれど、図で見る限り、そこで、それだけ長期間に渡って、死者を葬りもせずに、小金のためにか何か知らないけれども、放置して、孫がようやく気づいたというのは、本当に、ちょっと固唾を飲むような話です。
 台帳の整備といいましょうか、確認といいましょうか、そういったことも、これを起点に、もう少し徹底した整備というものをし直す必要があるんじゃないかという気がいたします。
 聞いてみると、あちこちこういう事例が、これほどの長いタイムスパンでなくても、あったような話もあります。はい、どうぞ。

【記者】今月27日に、流域の1都5県が前原(誠司 国土交通)大臣に、八ツ場ダム事業の2010年度分の負担金の支払いを留保する申し入れを行ったことについて、知事の考えをお聞かせください。

【知事】私の考えどおりやっただけの話。はい。

【記者】来月は、関係する知事で会議を開くということですが、そこで知事はどういうふうに伝えようと思っていますか。

【知事】その場所に、取材にいらっしゃい。みんなと合意していることですから。とにかく、国ははっきり、態度を早く決めたほうがいいと思います、お互いのために。
 はい、どうぞ。

【記者】23区の話なのですけれども、清掃工場で、高濃度の水銀が出てきて、一部がまだストップしている状況ですけれども、そのことについて、知事はどのようにごらんになっていますか。

【知事】詳しい報告を受けていませんけれども、水銀なるものがどこから紛れ込んで搬入されたのか、まずそのアクセスを確かめる必要があると思いますし、水銀というのは、色々な形で、水俣病も含めて、問題を起こしてきましたが、これは、存在がはっきりすれば、それに対する対処というのは、きちっとした方法としてありますから、技術的に。それをきちっと行使して、水銀による汚染といいましょうか、弊害というのは、一刻も早く防ぐべきだと思いますし、その努力をさせます。
 はい、どうぞ。

【記者】28日に、千葉(景子)法務大臣が、死刑執行を2人、判を押しました。亀井(静香 国民新党代表)さんが、そのことについて、死刑廃止論者がそういうことをやっていいのかというふうな、スタンスの問題を突いたようですが、これについては、知事はどういうふうにお考えでしょうか。

【知事】千葉大臣が、選挙で落選しなかったら、菅(直人)内閣がどれほどの長さで続くか分かりませんけれども、不可測な期間、やらなかったわけでしょ、選挙で結論が出ない限り。内閣もいつまでもつか分からないけれど。法務大臣の重要な仕事の1つは、死刑の執行の認可です。そういうポジションに、従来、死刑廃止論を唱えてる人物を任命することも、私は、いささか問題があると思います。
 それから、日本は、法治国家ですから、近代刑法にのっとって裁判が行われ、告発もされて裁判が行われるわけで、死刑という刑が科せられるわけだけれども、昔は、あだ討ちだったんです。このあだ討ちというものを禁止するために、刑法が発足して、日本もそれをアダプト(取り入れ)して今日に至っているわけですけれども、法律の体系の中で、あだ討ちを禁止して構えられた刑の執行というものがある限り、私は、死刑は仕方がないと思います。
 終身刑というのだったら、その死刑に該当する人間を、終身、本当に死ぬまで牢屋に閉じ込めることができるかどうか。それは財政的な負担が多過ぎるから、結局途中でみんな釈放するわけです。そういう事例というものが、1つの体系としてでき上がっている限り、私は遺族、つまり被害をこうむった、自分の親族を殺害された被害者の親族というものの気持ちというのは、当然斟酌(しんしゃく)されるべきだと思います。
 私の親友であります岡村勲弁護士(全国犯罪被害者の会 代表幹事)が、奥さんが代わりに殺された。それで初めて自分は、被害者の親族というものがいかに被害を受けているかということに気がついて、この運動を始めたと言って、私も協賛していますけれども。
 死刑を反対するなら、それを遂行するための死刑の判決犯というものを、完全に終身、牢屋に閉じ込める、そういう手だてをきちっと国家が講じない限り、この問題というのは、論じられるだけで実は、何らの本質的な解決にならないと思います。
 はい、それじゃ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)