石原知事記者会見

平成22年7月29日更新

石原知事定例記者会見録

平成22(2010)年7月23日(金)
15時07分〜15時25分

知事冒頭発言

【知事】私から、冒頭申し上げることは何もございませんので、質問があったらどうぞ。

質疑応答

【記者】築地市場移転問題に関連して、昨日行われました豊洲新市場予定地の土壌汚染の対策実験(に関する技術会議)について伺います。土壌の汚染、地下水も含めて、対応可能であるという内容の見解が、座長をはじめ示されましたが、これについてのまず知事のご所見をいただければと思います。

【知事】大変結構だと思います。日本の先端技術を駆使して、ケースによっては、人工的に20万倍の土もこさえてやった結果、汚染の除去可能だということは、最高権威の方々が、その実験の結果というものを是としてくださったので、大変心強いと思っていますけれども。

【記者】それに関連して、豊洲新市場の土壌汚染に、対策の目途がついたことが、今、都議会の特別委員会で議論されている現在地再整備の議論に、何らかの影響を与えるものであるかどうか、その辺の見方について伺いたいと。

【知事】もともと、今の市場というのは、旧弊化して色々な問題がありますから、アスベストの問題もあります、潜在的に。ですから、一刻も早く移そうということでこの案が出てきたところへ、ああいうふうに数万倍の汚染があるということで、こっちは腰抜かしたわけだけれども、時間もかけ、経費もかけ、先端技術を駆使して、何通りかの実験やって、それぞれの効果あって、汚染が駆除できるということになったので。
 私たちは、まず日本人が開発した技術というものを信用しなくちゃいけないと思うし、それをギャランティー(保証)された、学会の権威というものを信用しなかったら、何も事は新しく進まないと思いますから、ぜひ議会も、こういったものを慎重に斟酌(しんしゃく)して、移転に賛同していただきたいと思います。
 はい、どうぞ。

【記者】同じ築地の件なのですけれども、盛り土が汚染されているという話が今回議題になっていますけれども、また新しく解決しないといけない課題が出てきたのかなと思いますが、そのあたりどう思われますか。

【知事】盛り土の中に検出された有害物というのは、客土した時には、ちゃんと手続きを踏んで調べていますから、なかったものが、盛り土したことで、何で毒性があるかということは、地下にある毒性のものが、雨の後で、しみ上がってきたということなので、地下に埋蔵する、もっとはるかに大きい倍数の毒物が新しい技術で解除できるということですから、同じ手法で、その客土した盛り土も、清浄化できると思いますし、すべきだと思います。それをそのまま放置するつもりはありませんよ、別に。

【記者】その地下水から、まだはっきりとは分からないようなのですけれども、地下水からしみ上がってきているということになると、なかなか土壌の対策を進めても、地下水の対策をしないと、いたちごっこみたいになってしまうんじゃないかと、素人目には思うんですけれども。

【知事】素人の意見は一々斟酌しようがないから、専門家の意見を聞いて、専門家の分析で私たちは事に対処していこうと思ってます。ただ、憶測で物を言っても困るんだよ。
 君らは、そうやって大きなメディアを持ってるんだから、憶測で物言われたら混乱が混乱を助長するだけでね、しっかり、冷静に物事をとらえて、報道してもらいたい。
 はい、どうぞ。

【記者】この前の参議院選挙の結果についてちょっとお聞きしたいと思うんですが。

【知事】さんざん、コメントしたよ。ひと月前の新聞読んでくれ。

【記者】1つは、「たちあがれ日本」を応援なさった石原都知事の党の票数が、それほど伸びなかったというふうに、見られています。この件については、何が足りなかったのかということと……。

【知事】力が足りなかったんだろう。色々、複合的に。ということですよ、それは。

【記者】「みんなの党」が伸びましたわけですけれども、これが伸びたということの中には、財政危機という問題がまだまだ国民の中にしみ渡っていないということと、それからやはり消費税というものに関して、まだ国民の理解としては十分行き渡ってないのではないかというふうに思うわけですが、このあたりはどういうふうにお考えになるのでしょうか。

【知事】平和が長く続いて大変結構だと思いますが、その間、国家全体が強い危機感を持つような出来事はなしに済んできた、大変結構なことだと思いますけれども、経済も上がったり、下がったりしましたが、それでも一応、社会保障も随分無理をして行って、高福祉低負担ということを続けてきたわけだけれど、もうそろそろ限界に来たと私は思います。
 その間、国民は、行政の方に安住し過ぎたと思います。国民にとっての、今の一番大事な価値というのは、しょせん金銭の問題になっちゃったんだ。これは本当に残念です。自分の身銭切るの嫌だ、増税嫌だという形になってきて、とにかく自分が自分の生活、人生支えていくために、国民として税を通じてどれだけを負担するかという、そういう認識、自覚がなくなっちゃった。
 だから消費税は唱えられるたびに非常に強いアレルギーで反応されて、消費税を口にして、選挙して、成功した事例ありませんよ。とても怖い現象です。私は、そのツケは、そのうちにはっきり来ると思います。
 財政の再建というのは、増税だけじゃないだろうけれども、しかし一方では、今日のこういう世界全体の経済の流通というものを考えれば、日本に対する外国の会社の投資がどんどん少なくなった。しかも日本の法人税がべらぼうに高い。こういうハンディキャップ抱えながら、私は、日本の経済というのはなかなか立っていくのは難しいと思います。
 そこで、税金の問題を本気に考えなくちゃいけない時期が来るでしょう。だから、読売(新聞グループ本社代表取締役会長)の渡邉恒雄さんが言っていたけれど、あの人がいろいろ斡旋した、かつての自民党と民主党の大連合をもちかけた小沢一郎氏(元民主党幹事長)が、何を思ってしようとしたのかなと聞いたら、「それは憲法改正と消費税だろう」と、渡邉さんは、私に言いました。
 小沢一郎は、大連合を組んででも、消費税やろうというのは、1つの見識だなと思って、私、感心したけれど、どうも同じ民主党の中で、今度は小沢一郎は今度の選挙の中で、菅(直人)さんが、消費税を口にしたことを批判しているみたいだけれど、そこのところの兼ね合いは私、よく分かりませんが、当人に聞いたわけじゃないけれども。
 ただ、私は、菅総理は、ある意味で勇気があったと思います。誰かが口にしなくちゃいけないし、いつか本気で大連合でも組んでおかない限り、「赤信号みんなで渡れば怖くない」で、そんなことでもない限りできません、ということ。
 はい、どうぞ。

【記者】今週のはじめに、金賢姫元工作員が来日しまして、横田めぐみさんの家族はじめ、家族会(北朝鮮による拉致被害者家族連絡会)の方たちと面会をするといったことがありましたが、知事は、この件、どのようにご覧になっていらっしゃったでしょうか。

【知事】私は、金さんが、どういうことを述べたか詳しく存じませんから、にわかにコメントできませんけれども、むしろ逆に、あなた方が情報を持っているんだったら、どういう、大事な発言をしたか聞きたい。何かあったんですか。

【記者】確定的なことはあまり明らかにされなかったというふうに聞いておるのですが。

【知事】ジャーナリストが聞いてなくて、俺に聞いたって分かるわけないじゃないか。第一線の記者が取材してきて、俺に教えてくれよ、そんなものは。

【記者】元工作員が来日するにあたって、ヘリコプターで移動したり、国賓級の扱いを受けているということでまた批判も出てきたりしているのですが。

【知事】そうじゃないんじゃないですか。彼女が非常に大事な情報を持っていたら、こういう時代ですから、日本で暗殺されたら大変なことになるじゃないですか。そういうものに対する警護だと思います。何も、かつての容疑者を、国がちやほやしたわけじゃないのに、あなた、そんなこと考えなさいよ。そういう時代だよ、今。
 はい、どうぞ。

【記者】明日、東京メトロが、始発列車から浅草駅と日本橋駅の連絡通路のシャッターを、早目に開けるということになりましたけども。

【知事】当たり前のことだ。猪瀬(直樹副知事)さんが指摘しなかったらやらなかった。役人がやっている事業ってみんなこんなだ、サービスが悪くて。

【記者】今後、これは一元化のスタートだと思うんですけれども……。

【知事】一元化になるかどうか分からないけれども、当たり前のことをやるべきで、当たり前のことやらなかったんだから。扉だけは一元化したわけだよ。

【記者】今後の展望であるとか、働きかけについては……。

【知事】「隗より始めよ」でしょう。やがては一緒にしなきゃだめ、2つを。別に借財抱えているけれど、都営の地下鉄だって営業の状況はすごくいいんですから、こういったものを一緒にしない限り、それはユーザーにとっては失礼です。そういう発想がないんだよ、役人がやっている仕事というのは。
 はい、どうぞ。

【記者】すいません、先ほどの質問とちょっと関連するのですが、大連立の話なんですけれども、国会が間もなく始まりますと、今度は与党は衆院で3分の2持っていませんので、物事が決まらない、停滞するような政治状況も生まれてくると思います。「たちあがれ日本」の与謝野(馨)共同代表も、大連立で話し合って物を進めていくべきではないかということもおっしゃってますが、知事としては大連立へのスタンスと、大連立について、後押しをしていくような、そういうような姿勢はおとりになるんでしょうか。

【知事】後押しって、私は当事者じゃありませんから。まあ、そういうことにならない限り大事な法律は決まらないし、大事な政治イシュー(論点)というのは実現化しないと思います。非常にそういう点で厄介な時代になったと思う。
 ただ、政権というものをつくっている民主党なるものが、大連立を構えてなお、とても賛同しにくいような案を出してきたら、それは通らないと思うし、そこら辺のところは密々の話し合いというものを、与党も野党もする必要があるんじゃないでしょうか。
 はい、どうぞ。

【記者】築地の話にちょっと戻るのですが、3月の中間報告の、発表の仕方について、当初、結果のみを示して、実験前の初期値のデータを都としては特に公表していなかったと、そのことについて、昨日、原島(文雄 首都大学東京学長)先生も、誤解を与えるような公表の仕方は、まずかったのではないかというふうにコメントをされておりまして、知事のお考えとしては、どのようなお考えでしょうか。

【知事】私、そこの問題はあんまりつまびらかにしないのですが、大体、概略のことは聞いてますけれど、それは原島さんの言うとおりだと思います。
 はい。

【記者】すいません。来週の月曜日にパンダの導入をめぐって、中国の北京で調印式が行われると思いますが、そのパンダの導入について、改めて知事の意見、お聞きしたいと思うんですが。

【知事】パンダの好きな人にとってはいいことじゃないか。

【記者】知事はどうでしょうか。

【知事】どうでもいいよ、そんなものは。ちっともかわいいと思わないし。

【記者】以前、パンダについては高い買い物だみたいなことを……。

【知事】高い買い物だよ。

【記者】おっしゃっていたと思うんですけれど。来週、調印式を迎えるという……。

【知事】それでも見たい見たいという人がいて、動物園の売り上げにつながるならいいじゃないですか、それで。

【記者】知事も上野動物園に来たら……。

【知事】行くつもりないね、全然。好き、嫌い、人の勝手だよ、それは。
 はい。

【記者】もう1点すいません、追加でちょっとお伺いしたいんですけれども、参院選が終了しまして、次の都内の大きな選挙といいますと、来春に控える知事選ということになるかと思うのですが、解散総選挙があれば、また話は別ですが、節目として、一度、知事のお考えが、その後お変わりないかをですね……。

【知事】出るぞ、次は。出るかもしらんぞ。ケセラセラ(なるようになる)。
 はい、ほかの質問、どうぞ。

【記者】築地の話に戻って恐縮ですが、盛り土の件で教えてください。この何日かで、盛り土からも汚染がありましたですとか、搬入したときの検査の回数が基準を下回って甘くなっておりましたというようなことが次々出てきているのですが。先ほど、搬入したときにちゃんと調べてらっしゃるとおっしゃいましたけれども、内規で決まってる基準を緩めて、運用していたりということが分かってきていますけれども……。

【知事】そんなこと聞いてないね、僕は。

【記者】2,000立米に1回というのを、実際は1度に搬入するごとに1回というので、大変基準を下回る緩い基準で、回数で検査をしていたということも報道されていまして、こういうことが次々明らかになっている現状について、どう思いますかというのを改めて教えてください。

【知事】土壌の汚染というのは非常にデリケートな問題ですから、検査の頻度が落ちていた、足りなかったというのは、それはけしからん話です。いずれにしろ、出てきているものは、地下に埋蔵されている毒物と同じようなものらしいですから、外から運ばれたにしろ、中からしみ出たにしろ、それに限って言うと、この間検証いただいた技術で、完全に除去できますから、どうぞご安心くださいませ。

【記者】それで、続けてすみません。昨日、技術会議が開かれまして、その盛り土についてどうしたらいいかというのも、今後提言をもらうということで、8月2日を待つことになったのですけれども、本来であれば専門家会議というのが対策を考えて、その効率性とか技術を技術会議が考えたということを考えると、専門家会議をもう1回開くということはお考えにならないでしょうか。

【知事】あり得るでしょう、それは。しかし、今まで色々な技術駆使して、結果が出たことですから、地下から掘り出すんじゃなしに、表面に盛ってある浅いところの土だったら、汚染を除去するのはもっと簡単なんじゃないですか。やることをやったらいいと思います。

【記者】それで、最後にリスクコミュニケーションのあり方として、なかなか……。

【知事】何だ、リスクコミュニケーション。日本語で言ってくれ。

【記者】危機管理といいますか、都民に理解を、移転予定地の理解を得るにしても、なかなか初期値も出さないですとか、次々と後からこう、汚染が明らかになるということ、こういう都のリスクの管理の仕方が甘いのではないかという指摘もあるんですけれども。

【知事】それはやっぱりお役所仕事でしょうね。だから、それはもう精密に、手に手を重ねてやるべきだし、手抜きをすれば、都民の猜疑心を増長するだけだから、すべき手だてちゃんと講じて、こういった問題は綿密に対処しなきゃいけないと思います。
 はい、それじゃ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)