石原知事記者会見

平成22年6月24日更新

石原知事定例記者会見録

平成22(2010)年6月18日(金)
15時00分〜15時15分

知事冒頭発言

【知事】私から申し上げることはございませんので、質問があったらどうぞ。

質疑応答

【記者】間近に迫る参議院選挙に関連して、1点伺いたいと思います。各党が掲げている選挙公約の中に、税制の見直し、消費税率の引き上げについて触れる政党が多いですが、知事は先日の記者会見でも、新政権に財政再建を望むということで、各党、主な政党の選挙公約はそれにつながる要素を含んでいるように見えますが、こうした動きについてお考えをいただければと思います。

【知事】いかなる政権であろうと、誰がなられても、日本の財政というのはピンチに瀕しているので、これを建て直すのは、為政者の最大の責任だと思います。だから、税制の改革も含めて、色々なことがあるのでしょうけれど、一番分かりやすいのは、税制の改革だと思います。
 菅(直人)君、なかなかずるいね、うまいよ。話はちょっとずれるかもしれないけれど、私のいささか後輩の弟分の連中が、生命を賭してやっているので、「たちあがれ日本」のために、名前をつけたし、応援団長を買って出ましたが、何をすると言って、小さなこと言うなと。強い日本つくるのだと、そのために強い経済、強い外交、強い教育をやって、強い若者をつくるのだと。それだけでいいじゃないかと言ったら、パクられてしまった。強い日本をつくるために、強い経済、強い福祉というのは、よく分からないね、これは。確実な福祉なら分かるけれど。
 いずれにしろ、今の福祉を維持するために、強い経済、強い財政つくらなくてはだめなわけですから。「たちあがれ日本」、ぼやぼやしていたら、いいところパクられてしまったな。まあ、結構でしょう、それも。
 福祉を含めて、増税というのは、誰も満額忌避したがるし、政治家も弱いからということで、結局、自民党が言い出した揚げ足をさらって、「赤信号、みんなで渡れば怖くない」という形で、自民党の言い出したことを参考にして、それをうまくかすめて、一緒にやりましょうというのは、なかなかタクティカル(戦術的)で、前の鳩だか何だか分からない総理大臣よりは、なかなかそこら辺の駆け引きというのは巧妙だなと。よく言えば巧妙、うまく言えばずるい、なかなかしたたかだと思っていますけれど。ただ、実際にやれるか、やれないか。
 それから自民党も、こういう持ちかけかたされると、苦しい。言い出したことで、協力して、自民党も一緒にやろうじゃないかと言われたら、実現して財政が安定すれば、それをやった現政権の得点になってしまうので、なかなか、うまいボールを投げたなと思ってますけれども。
 はい。

【記者】今の話に関連することなのですけれども、いわゆる第3極というのが、今回の参議院選挙では、春先にはすごく注目されていたのですけれども、最近少し存在感が薄くなっているかなと思っているのですが。

【知事】そうですね。何をもって、民主党そのものに対する支持率が上がってきたのか、分かりませんが、これが、日本人のそういう浮薄(ふはく)なところで、表紙が変わったら、中身も変わったように勘違いするというのは、非常に危ない選択だと思いますけれども、結果を見せる前に選挙をやってしまおうというのも、1つのタクティクス(戦術)で、そういう点では、けんかの駆け引きというのは、今の自民党よりも相手の方が一枚上のような気がする。

【記者】いわゆる第3極、新しくできた政党が、この選挙で、何とか、存在意義をアピールしないといけないと思うのですけれども。そのあたりは、知事はどう……。

【知事】それは両方の言ってないことを言ったらよろしいので。分かりよいことをもっとはっきり言ったらいいと思います。例えば、尖閣諸島が日本の領有であることは間違いないのだけれど、今の政府、歴代の政府、おどおどしてきたし、思い切ったこと言うなら、尖閣に自衛隊を駐留させたらいいようなこと、どこか、第3極が言ったらいいのじゃないか。反対する日本人はいないと思うし、あれは日本の領土で間違いないのだから、日本の領土に、自衛隊が、それを守るために駐在するというのは当たり前のことだと思いますけれど。
 その他、この他ね、あっと思われるような提案をすることは、むしろマイナーな第3極の小さな政党の責任、役割だと思います。山椒は小粒でもぴりっと辛いという存在にならなかったら、パラサイト(寄生)した大きな政党を離れて、新しい政党をつくる意味ないじゃないですか。どうせ、切り込み隊なのだから。それで、政界が再編成されないといけない。それは結構なことだし、政治のダイナミズム(迫力)というのは、そういうところから出てくるのじゃないの。
 それから消費税の問題と、もう一つ、僕は選挙制度を変えなくてはいけないと思います。これは、本当に悪い制度にした。僕は前から言っていることだけれど、どの政党が採択するか、いつ主張されるか分からない、イギリスはそういうことになったけれど、ドイツはもともと、緑の政党なんか別にしても、3大政党だった。A、B、Cがあって、AとB、BとC、AとCという取り合わせで、1つが野党になりながら研鑽するという形で、それプラス緑の党なんかありましたが、今みたいになってしまうと政治家が小さくなってしまって、小さなことしか考えなくなって、国政を預かっている人間として非常に頼りないし、スケールも小さいと思うし、発想がちゃちになってきたから、これは政治の活力がなくなる由縁(ゆえん)の1つだと思います。
 はい、どうぞ。

【記者】参院の東京選挙区が、定員が多いこともあって、全国的に注目の選挙区だと思うのですが、都政与党から3人立候補してますし、あとは「たちあがれ日本」、それから山田宏さんと、知事とスタンスの近い方がたくさん立候補されているのですけれども、参院選の選挙区選挙に向けて、どういった支援のスタンスで望まれるのか、お願いいたします。

【知事】是々非々だね。まだそれらの候補が何言っているのか、よく分からないから。どうぞ。

【記者】青少年健全育成条例(東京都青少年の健全な育成に関する条例)なのですが、9月にまた案を出されるということなのですけども、今回、文言の変更では民主が全然話に乗ってこなかったのですが、次は内容の変更まで踏み込むのでしょうか。

【知事】それは分かりません。もう一回、論議の中で、第一党の民主党がどういう意味合いで反対してきたか、もう一回はっきりさせないと。
 とにかく、反対の理由というのは、よく分かるようで分からない。つまるところは、ああいうものを構えると、書き手というか、芸術家と言えるかどうか知らないけれど、創作をしている人間たちが無言の制約を受けて、圧力を感じて、書きたいことも書けなくなるみたいなことなのでしょう。それ以外、何か理由があるの。
 その連中、芸術家かどうか知らないけれど、そんなことぐらいで、書きたいものが書けなくなった、そんなものは作家じゃない、本当に、言わせれば。ある意味で卑しい仕事をしているのだから、彼らは。そうだと思う、僕は。あの変態を是とするみたいな、聞けば、そういう人間がいるから、その商品という需要があるのだろうけれど、話にならない。そんなものにおもねって、反対するというのは、政治の世界だったら数ということで、正当なもので通ってしまうけれど、普通の社会ではあり得ないことです。
 はい。どうぞ。

【記者】高速道路の料金の改正の問題なのですが、今国会では見送られたという形になったわけですけれども、これによって、外環道の予算が見通しが見えなくなってきたというふうな、見合いのような関係で言われているわけなのですが、こういう流れに関しては、どういうふうにお考え……。

【知事】あなたの言った、高速の無料化の先送り、ペンディングと外環道路の予算措置という問題は、相関関係にあるところとないところと、色々論があるでしょう。ただ、今度の民主党のマニフェストを見ると全部先送り、都合の悪いことは全部棚上げ。曖昧模糊(あいまいもこ)。八ツ場ダムのような、非常に高く手を振り上げたものを、どこにおろしていいか分からないから、マニフェストを読んでみると、とにかく先送り。全部ほおかぶりという感じが否めません。
 じゃあ、一体どこに争点があるのかということになると、争点が非常に見えにくい選挙になったら、これは、非常に上っ面の、変な風の吹き回しで事が決まってしまうみたいな、ある意味では非常に危険な選挙になると思いますよ。
 はい。どうぞ。

【記者】東京メトロと都営地下鉄の統合問題に関して、猪瀬(直樹)副知事が九段下駅を視察されたりという……。

【知事】それは、もう前から私も言っていることで、その裏打ちで猪瀬君が行ってくれまして、例えば、この間ちょっと映像が映ったけれども、2つの会社の電車が着くところのホームの仕切りというのは、ドア1枚になっている。鍵を開けたら、普通、そこはすっと隣のホームに行って違う電車に乗れるのに、1回改札出てまた入ってくることによって、2分も3分もかかる。ラッシュの時はもっと時間がかかるでしょう。こんな、ばかな運営というのが、いまだに行われている。
 誰がそそのかしたのか、多分財務省なのだろうけれども、なかなか財政多端なものだから、少しでも金を儲けたいのだろう。(株を)売る売ると言っているけれど、きちんと統合すれば、もっと迫力が出てくる、明らかに都営の方だって、今どんどん、利益を上げているわけです。経営状態向上してきているわけですから。
 だから、今日の2,000億よりも、明後日、明々後日の5,000億のことを考えたらいいので、今、一番株の安いときに売るばかはいない、東京は売りません。国が売るのだったら、その株買ってやってもいい。東京に一人任せてくれたら、着々と2つの会社を統合してやってみせます。
 安いときに売るばかなんかいない。2つ一緒にしたら、みんなのためにもなるし。乗り継ぎすることで、また初乗り運賃を払わなくてはいけない。それは合理的じゃないから割引しますと言っても、つなげれば1つのことで済んでしまうのだから。おかしな話です。
 一番象徴的なシーンだと思ったのは、猪瀬君、いいところに行って、いい写真を撮らせたと思うけれど、仕切りに鍵がかかっているんだ。鍵が開いて通過で行けたら、ホームの反対側に着いている、都営なりメトロなり、違う会社の電車に乗れるのです。それが今のしきたりは1回改札を出て、また戻る。こんなばかなことをお客に強いている営利事業ってあるのかね。国も東京都も大株主なんだ。だから一緒にしようと言っているのに、こういうくだらないことは、いかにばかばかしいか、都民に迷惑をかけているか、映像で見せるのが一番いいと思うから、やってくれよ。
 はい。

【記者】公示前の最後の会見ということもありますので。

【知事】関係ありませんね。

【記者】参議院選挙に、応援団長として、「たちあがれ日本」に立つスタンスでいらっしゃいますけれども、参議院選挙に立候補されるお気持ちはないということでよろしいでしょうか。

【知事】それはあなた、気持ちがあっても、今ごろ出たのではしようがないじゃない。表面で見れば分かることでしょう。裏なんか探らなくても。

【記者】今回も応援団長ということで。

【知事】もちろんそうです。はい。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)