石原知事記者会見

平成22年6月4日更新

石原知事定例記者会見録

平成22(2010)年5月28日(金)
14時59分〜15時23分

知事冒頭発言

【知事】冒頭、私から申し上げることはございません。質問があったらどうぞ。

質疑応答

【記者】青少年健全育成条例(東京都青少年の健全な育成に関する条例)改正案につきまして、都議会民主党は、今日、この後、都に、撤回して、出し直すような申し入れを行うと聞いております。議会最大会派のこのような動きに対して、撤回、出し直しということを検討するような考えはございますでしょうか。

【知事】ない。部分修正すればよろしいので、趣旨は正しいと思いますから、撤回する必要ないです。何で議会は自分たちの手でリペア(修正)して、よりいいものにブラッシュアップする努力しないんですか。

【記者】民主党は、撤回されない場合は、大幅に変えた修正案提出であるとか、または否決なんかも検討しているようなんですけど、これに対してはどういうふうに対応しようというふうに……。

【知事】もともと表現が悪かったり、訳の分からない文言があったりしたので誤解を招いたので。繰り返し申しますけれど、子どもの目にするところに置くなというだけの話ですから。それは誤解されるのなら、誤解を解くように文章を直したらよろしいので。あれが表現の自由とかというものを棄損していることは絶対違いますから。よく読んでくれたまえ、君も。

【記者】民主党の修正案については、中身を……。

【知事】出してきたらいいじゃない。議会の議論の中で。日本語できるのだろう、与党も何党も。
はい。どうぞ。

【記者】先日、知事会が開かれて、沖縄の問題が、話がなされたわけですけれども、改めて、沖縄でなければ抑止力というものは機能しないのかどうかということについてのご意見を伺いたいのが1つ。それと、橋下(徹 大阪府)知事が、大阪は基地の負担をしていないので、何かあればやる覚悟でいるということを申しておりましたけれども、それについて東京都知事としては、どういうふうに評価をなさいますでしょうか。

【知事】東京だって負担はしているし、日本中の色々な地方自治体が色々な負担をしているわけです。それに比べて、大阪、関西の大都市圏が、全く負担をしてないというのは大変心苦しいと。日米安保によって、享受している平和ってものを、ただ乗りしているような気がするから、おっしゃっていただくのなら協力いたしますというのは、殊勝な言い方で結構なんじゃないか。
 ただ、抑止力というのは、陸海空、海兵隊も含め4軍、色々な形で展開するわけで、例えば、三沢には、日本とアメリカの空軍の主要な基地が今でもあります。これはロシアが、冷戦構造を構えている時に領空侵犯してきて、たびたびスクランブルをかけて追っ払っていました。これはロシアという北の方の日本で国境の近い隣国の危険な行動に対する牽制というのを果たしたわけだけれども、アメリカが同時に持っている沖縄の基地というのは、これは東南アジア、日本を含めて、かなり広範囲のアジア、日本ももちろん含めてるはずなのでしょう、安危(あんき)に対する備えという形であるわけですが。
 私が昨日、基本的な質問をしたのだけれど、あなた方、どこまでご理解いただけたかどうか分からないが、抑止力と言うけれど、本当に抑止力あるのですか。これは機能の問題だけじゃなくて、それを保有している、軍事力を持っている、当事者の意志の問題がある。
 繰り返して申し上げますけど、14〜15年前、クリントン(元 米大統領)が二度目の選挙を終わったばかり、橋本(龍太郎)君の内閣が総選挙終わったばかりの時に、モンデールという大統領の候補にもなった大物の駐日大使がとんでもないことを言った。これは諸君だけじゃない、都民、国民の皆さんに聞いてもらいたい。みんな知らない、あるいは忘れちゃっているんだ。時あたかも、香港の活動家と称する中国人、これは明らかに軍人です。DIA(アメリカ国防情報局)の情報で間違いない。それが、尖閣諸島に上陸して旗を立てて、「ここは日本の領土ではない、我々の領土だ」と言ってわめいた。海上保安庁が行って追い払った。かなり色々な摩擦がありまして。それで、強引に退去させた相手側の1人が、船にすがっているうちに、おぼれて死にました。自業自得としか言いようがない。
 同時に、沖縄本島では、黒人の海兵隊員3人が、小学校5年生の女の子を輪姦して、その後、この家はどうなりましたか、彼女の一生もめちゃめちゃになったでしょう。あまりに無残な事件なので、みんな怒った。同時に、尖閣では、そういう非常にホットフラッシュ(一触即発、危機的な事態)が起こった。確かワシントンポストだと思ったけれど、そのモンデールという日本の大使に、これ以上、尖閣での摩擦が激しくなった時には、日米安保発動するのですかと言ったら、モンデールは言下にノーと言ったのです。ところが、選挙が終わって、みんなぼーっとしているから、気がつかなかったんだ。私は、国会に愛想尽かしてやめた後だったし、暇でしたから、それを眺めていた。
 その前にもう一つ言いますと、ケント・カルダーという知日派とされた男が珍しく、日本の大使に日本通として補佐をする特別補佐官という公式の肩書で日本に来た。私は日本の政治家の中でたった一人だけですけれども、有楽町のフォーリン・コレスポンデントクラブ、外国人記者クラブのメンバーです。それで、ケント・カルダーの話を聞きに行った。適当なことを言っていた。外国人の記者が、「あなたは一体どれぐらい任期で、この日本におられるのですか」と言ったら、カルダーが、「私はモンデールさんがやめるまでいますから、多分2、3年はいるでしょう」と言った。
 ところが、その後、私は、モンデールの言動にかみついて、「尖閣に火がついた時に守らない安保だったら要らないじゃないか、一体何のために米軍は、日本に基地構えているんだ」と言って非難したら、当時野党だった共和党の議員やそのスタッフたち、学者たちが「石原の言うとおりじゃないか、こんなばかな発言した大使がまかり通るなら、日米安保は非常に危機に瀕するぞ、大変なことになるぞ」と言って、批判をして、カルダーが来て1週間後にモンデールは更迭されました。
 その後、1年半、フォーリーが来るまで、日本にいるアメリカの大使というのは不在だった。これだけ大事な友好国・友人の国に、もうその頃、私は政治家じゃないけど、1人の批判が、大きな火をつけて、大事な大使が更迭されて、その後、1年半も人選に手こずったかどうか知らないけれども、日本に大使を置かないというアメリカの外交の姿勢も、随分日本を見くびったもんだと思います。
 普天間の問題、大騒ぎしてるけれども、昨日、鳩山(由紀夫 内閣総理大臣)君が長ったらしい、訳の分からないあいさつの中で、幸か不幸か知らないけれど、今、緊張を生んでいる。哨戒艦(しょうかいかん)を、北朝鮮が小型潜水艦で撃沈した。これは、全く濡れ衣だと向こうは反発しているようだけれども、アメリカのDIAとか、専門家が分析して、間違いなく北朝鮮が撃沈したという結果が出たわけでしょう。
 100%とは言いません。しかし、その結論が出て、非常に緊張が高まっている時に、北朝鮮に対するこれからの挙動のために抑止力において、「沖縄、大変必要でございます」と言っていたけれど、そんなことの前に、肝心の日本の領土、沖縄の県下の目と鼻の石垣島の、わずか先にある尖閣諸島を、モンデールが言ったように、アメリカ、同じ民主党の政権になって、かつてと同じように守る意思がないというのだったら、普天間の問題、議論したってしょうがないじゃない?何のためにアメリカ軍が日本に駐在しているのですか。
 皆さんに知ってもらいたいことがある。アメリカが正式に沖縄を返還しました。占領中、あの尖閣諸島を爆撃のターゲットにして、あそこに爆弾を落として射撃していた。その間、あれは日本の領土で日本の持ち主だから、尖閣諸島の持ち主である古賀花子さんという人がいた。これは、順天堂の婦長さんをされて、沖縄の人と結婚して那覇に住んでいた。その人にずっと使用料というのを払っていたのです。私たちは、古賀花子さんに、尖閣は非常に微妙な問題になってきたから、青嵐会として、あの島ひとつ使おうじゃないかということで、みんなで借金して、あそこに小さな灯台を建てた。その後、青年社という右翼がお金持ちなので、後を継いで立派な灯台を建ててくれた。灯台としても立派なものだけど、ちょっと足りないところがあるから、私は、いました運輸省の水路部に言って調べさせて、足りないところがあったので、完璧な灯台にさせますから、出来たらチャート(海図)にきちっと記載してくださいと言って、直した。
 ところが、自民党政権下の外務省は腰抜けで、中国が、尖閣の問題、くちゃくちゃ言っているものだから、あそこに、日本の領土に日本人が、尖閣に立派な灯台建てて、この灯台を灯台として、チャートに記載するのを時期尚早と言っている。何が時期尚早なんだ。ずっとほったらかしにしていたんです。僕らヨット乗りで、今みたいに、航海機器を完備する前は、自分が嵐の中でどこにいるか、発見しにくかった。そのとき灯台は非常に有力なよすがだった。灯台というのは、色々な所にあります。色々な発光信号があって、発光の仕方が違う。たまたま、尖閣に私たちがつくった灯台の発光と、その近くにあるどこかの灯台の発光の形が似ていたら、嵐のときに、本船なら別だけど、大した航行機器持ってない船だったら、自分がどこにいるかということを勘違いして、尖閣にのし上げることもありかねない。
 その話を日本の政治家にしても分からないけれど、たまたま、沖縄や横田の問題で向こうに行った時に、ウォルフォウィッツとラムズフェルドという国防副長官と、向こうのペンタゴン(国防総省)の長官と会った時に、その話をしたら両方とも同じこと言った。それは非常に危険じゃないか。立派な灯台が出来ていて、チャートに記載されてなかったら非常に危険ですと。そんなばかな話があるかとたまげていました。それで、どういうふうに機が熟したのか、ちょうどタイミングが合ったのか知らないけれど、やっと、2、3年前、皆がつくったあの尖閣の灯台が正式にチャートに記載された。
 その話の連脈でいうと、モンデールの事例もあるし、同じ政権が今、アメリカは支配している。この時期に、普天間が戻って来ているんだ。しかも、尖閣は、つい最近、中国は、本当は俺達のものだという領有権を主張したんでしょう、正式に。そして、日本の保安庁の船を、軍艦じゃないけれど、向こうの船が来てやって、おまえたち、領海から出ていけという信号を送った。どういう訳か知らないけれど、保安庁の船は抹殺してはいけないというので、相手も軍艦じゃなかったのだけれども、そうですかということで領海を離れた。変な国だ。
 それで、私は、非常に厄介な民主党の政権がアメリカにできて、かつてモンデールが、民主党の大統領候補にもなった男が来て、そういう所信を発表したので、あなた、もう1回、政府として、アメリカの政府に、尖閣でホットフラッシュが起こった時に、安保発動して守るのですか、そのために沖縄の基地もあるのでしょうということで言ったらどうですかと言いましたら、驚くこと言った、総理は。諸君、聞いただろう?聞いて、どこが問題だと思った?

【記者】これから中国と領土権について話し合うと。

【知事】そうだ。まさにそう言ったんだよ。こんなたわけたことを言う総理大臣、世の中にいますか。もともと正式に返還されて、日本人が住みついて、あそこにはかつて人も住んでいて、カツオの工場まであった。その領土を、今、非常に不便になったから誰もいない。それを中国が、海底資源ということにかこつけて領土を主張してきた。そうしたら、その問題に触れたら、抑止力あるかないかの問題の別に、尖閣の主権についてはこれから日中で協議しますと。私はこういう総理大臣、認められない。これは自分の国土というものを売るんだ、中国の言いなりになって。協議するということは、もう半歩、日本は下がったことじゃないですか。どういうことなんだ。
 知事会議だから、そのレベルのことであんまり問題にしなかったけど。メディアがこの問題をちゃんとフォーカス(焦点化)してくれ。日本の領土なんだぞ。我々の先祖が、手かけて育ててきた、整備もした、水路もつくった。その島が、拡張主義の中国が、チベット、モンゴルと同じように、あそこも俺のものだと言ってきて、結局、スプラトリー諸島という、フィリピンの間近にある、本当に難しい位置にあるのです、南沙諸島というのは。あれに結局、中国がどうしました。アメリカが、マニラのベース(基地)を取り払った後、たちまちやってきて自主的に占拠してものをつくったじゃないか。これは怖いことです。私はこういういわれのない領土の拡張主義、認めるわけにいかない。
 それを防ぐために防衛力があり、それでは事足りないから、アメリカとの安保条約があって、色々な犠牲も払っているけれど、その相手のアメリカが北朝鮮の紛争や中国の紛争だったら、日本の領土から出かけて、どういう実力行使するか分からないけれど、肝心の日本の一番目と鼻の先にある尖閣諸島に対して、今度の大使が言っているわけじゃない、ただ、前の大使は同じことを言った。それについては確かめろと言ったら、その対象になる尖閣諸島の主権は、これから日中で協議するって、こんなばかなこと言う総理大臣、どこにいるか、本当に。怒るの当たり前でしょう。昔だったら「怒るの当たり前でしょう」という歌があったけれど。怒らない国民はどうかしてる。
 聞いてみたら、誰の責任か知らないけれど、上海でやっている日本館だけ国旗が上がってなかったんだって。上海の万国博覧会、平和のためのああいうイベントの中で、日本がたくさんの出資をしてつくった、日中友好のためだろう、これも。日本の国威発揚もあるかもしれないけれど、その大きな設備投資に、日本の国旗が翻らない、日本の国旗を上げることができない、上げることを憚かってるっていう、誰なの?あそこの責任者、堺屋太一か。本当にこれはおかしな話です。君ら若い人は、何で石原さん、あんな怒るんだ、血相変えてと言うが、僕ら戦争の体験があるから。残念だ、これは本当に。残念というか、恐ろしい。
 質問ありますか、ほかに。どうぞ。
【記者】先般、JOC(日本オリンピック協会)の竹田(恒和)会長が、都議会のオリンピック・パラリンピック招致特別委員会に呼ばれまして、発言される機会があったのですが、その中で改めて2020年オリンピックへの東京の再チャレンジを願っているというお話がありました。知事、この後、どのようなアクションを考えられるでしょうか。

【知事】発言としては当然だと思います。どういう闘いをしたか、一番、内情を彼も知ってるから。そういったものの反省も含めて、今、IOC(国際オリンピック協会)の中で色々ささやかれている、ルーモア(噂)でもないけれど、次の予測云々(うんぬん)のことも情報としてたくさんありますが、そういうのを踏まえて、JOCの会長である竹田さんが代表として、次にチャレンジしたいというのはむべなるかなと思うし、私も大いに賛成です。ただ、これは東京都の主宰者が決めることでありまして、私はもう任期がわずかですから、次の知事がこれをどう忖度(そんたく)するか、次の政権の問題だと思います。私は外にいますけど、あえて協力を惜しみません。

【記者】先日、「たちあがれ日本」の東京選挙区の候補者が決まりまして、出馬会見されました。31歳、小倉麻子さんですが、若い候補者で、知事は候補者としての資質をどのようにごらんに……。

【知事】まだお目にかかったことありません。この間、瞬間的に写真を一緒に撮りまして、他の候補者と一緒に。話しをする暇もなかったので、1回、ゆっくり話したいと思うし、東京の実情もお教えして、いいキャンペーンをやっていただきたいと思ってます。

【記者】青少年育成条例の方に、ちょっと話を戻したいのですけれども、知事としては文言、分かりにくいところは直せばいいというふうにおっしゃられていますけれども、その直せばいいというのは、あくまで議会のほうで、修正したいところがあったら修正してもらってと。都として修正して改めて提出し直すというお考えはないという……。

【知事】議会の討論を経て、理事者側としても、こちらが提案したのだから、その責任がありますから、直すものは直しますけれども、そのヒントとして、議会の議論が参考になったら、それを斟酌(しんしゃく)することはやぶさかでない、当然斟酌すべきだと思います、ということですよ。
 どちらに責任があるかということじゃないんだ。君、例えば、実物見たことあるか、実態を。それが今まで放置されていいと思うのか、思わないのかね。
 会社の意見、聞いているんじゃないの。個人の意見を聞いているんだ。

【記者】実物を見れば、当然問題があるものも多くあると個人的には思ってます。それとは別に、文言修正ということであれば、議会の議論を待って、筋が通ったものであれば、都からまた提出し直すということもあり得るということでよろしいのでしょうか。

【知事】一緒に直したらいいんじゃないですか。提出するのはこちら側の責任ですから。都議会の意見を受けて、修正して提出するのは私たちのやるべき仕事じゃないの?ということです。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)