石原知事記者会見

平成22年5月13日更新

石原知事定例記者会見

平成22(2010)年5月7日(金)
15時00分〜15時15分

知事冒頭発言

【知事】冒頭、私から申し上げることはございません。質問があったらどうぞ。

質疑応答

【記者】昨日の議会総務委員会で、青少年健全育成条例(東京都青少年の健全な育成に関する条例)の改正案に対して、都が業界関係者に説明を行っていると報告がありましたが、現行案での合意に向けて、知事はどのように考えていらっしゃいますでしょうか。

【知事】ちょっと説明不足のところがあるのと、例えばあの中に、「非実在青少年」なんていう言葉があるんだよ。アニメに描かれている子どもっていう意味なんだよ。そういう、訳の分からない言葉。それから、よく読んでもらうと分かることなんだけど、本当に描いちゃいけない、読んじゃいけないというより、とにかく子どもの目につくところに置くなということだけの規制をしようとしているでしょう。それを、長々、ぐだぐだ、法律にしてやるから、かえって分かりにくくなるので、そこのところ、もうちょっと簡素に、分かるように、説明する時に言ったんです。ですから、随分誤解があったみたいだけど、特に、作家のほうからの色々な大きな懸念が披瀝(ひれき)されたみたいだけど、そんなものを制限するつもり毛頭ありませんし、そんな内容じゃありませんから。よく読んでからおっしゃってくださいということを議会にも申し上げているということです。
  どうぞ。

【記者】今のに関連しまして、知事もちょっとわかりにくい表現があるということをおっしゃいましたけれども、そういった表現を若干修正してということは、検討されてないということですか。

【知事】そうですね。修正したらいいですよ。誤解を受けるような、訳の分からない、「非実在青少年」なんて、誰がどう解釈しても、幽霊の話かと思っちゃう、本当に。描かれたものっていうことなのだから、そういうふうにそれを書けばいいんだよ。

【記者】それは、前の一定で出したのをそのまま、二定でも検討するのではなくて、都側もそういった文言を若干修正して。

【知事】そうです、どんどん変えたらよろしいと思う。誤解を受けているのだったら、誤解解くために、文言が悪いのだから、文言を修正したらいいじゃないですか。特に役人がつくる言葉なんていうのは、くだらない、常套語(じょうとうご)があって、世間に通用しないこといっぱいある。僕なんか読んでて分からない。「これ、どういう意味?」ってよく聞くんだ。はい。

【記者】このほどまとまった統計で、東京の人口が初めて1,300万人を超えたというのがありました。別の統計では、子供の人口が減る中で、東京だけは子供増えてるというのもありました。東京の存在感といいますか、役割、増していると思うのですが、知事のご見解をお願いします。

【知事】それはありがたいような、ありがたくないような話で。そういうと色々、異論もあるかもしれないけど、東京は東京で、例えば福祉、障害を持っている人の福祉なんかやってると、それ目当てに他県から移住してくる人、随分いるんです。僕の知ってる人3、4人いたよ。それで、ありがた迷惑な話だなって冗談言ったんですが。とにかくこれだけ集中、集積が進むと、物事が便利になるし、それが都会の魅力ということなのかな。人口が増えるということ、またそれとともに、色々な機能が集中、集積するということは、決して僕はいいことじゃないと思います。これだけ小さな面積の中に、1,300万を超す人が住んでいるだけではなくて、昼間人口も他県から流入してくる。それは、住みやすいわけがないので、それでもなお、定住者が増えるということも、分かるようで分からない、結局、都会の持つ便宜性ということなんでしょうけど。ちょっと飛躍するような話で、この間も、サルコジ、フランスの大統領が言っていた、グラン・パリという新しい一種の国土計画。パリっていうものを、もっと拡大して分散する、そういうデザインを、どこまでやるか分からないけれども、特定のデザイナー、優秀な建築家に、発注してやらせてるそうですが。そのために1つの要素としてのアクセスの問題の研究に担当の大臣が来ました。長いこと話しましたが、私、そのときに言ったんだ。とってもうらやましい計画だと。例えば、皆さん、どれほど、どういう興味をお持ちか分からないけど、秋葉原から筑波まで行ってる、つくば新線(つくばエクスプレス)に乗ったことありますか。あれ、乗ってみると、周りは、ほとんど林野、農地です。関東平野っていうのは日本で一番大きな可住面積なんだけど、そこがあれだけ、がら空きになってて、東京に人が集中している。しかも、場所が、筑波というベンチャーテクノロジーを開発している代表的な都市で、こっち側はそれを受けた色々なツールを売ってる秋葉原でしょう。私も逗子、葉山に住んでて、大学のころ、国立まで1時間何十分も通ったけども、湘南地方というのは通勤者が多いんですが、大体1時間で東京に着く。つくば新線は、急行だと、秋葉原からつくばまで1時間弱。普通で行っても1時間ちょっとですが、その周りは、がら空きの関東平野なんだ。田中角栄みたいな一種の天才がいたら、とんでもないこと考えつきます。そういう発想力っていうのは、政治家が持たなきゃいけないんだけど、役人にはそんな発想力ない。また、持つ必要もない。だから、役人に、何を調査して、何をさせるか政治家が考えたらいいんだけど、そういう発想力も、今の政治家はなくなっちゃった。僕は、あのつくば新線の沿線を眺めていると、東京がとんでもない負担を強いられてて、あなたのおっしゃった統計というのも、さっきも報告で聞きましたが、やんぬるかなという感じはするんですけれども、本当は、国に大計を立てられる、かつての後藤新平みたいな政治家がいれば、つくば新線っていうものをつくるときに、いろんな発想で、いろんな計画立てたと思うけど、それがないです。そういうことで、東京に人口を含めて集中してるけど、これ以上進むことは私は歓迎しませんし、日本にとっても、東京にとってもいいことじゃない。だったら、あのつくば新線を、もうちょっと活用するみたいな、大きなプロジェクトを、誰が考えるかなと、当面いないな、そんな政治家は。もうみんな夢がなくなっちゃった。これは、半分、都知事としての愚痴でもありますけど。はい。

【記者】日本の政治状況なんですけれども。
都知事は、今、民主党の中核にいる小沢一郎さん、この方に対して、ある人はファッショ的なやり方でよくないとか、いろいろな意見もあるわけですが、都知事自身はどういうふうにお感じになってますでしょうか。

【知事】それは、あんまり言うと怖いから、私、言えないです。

【記者】怖いということですか。

【知事】ただ、前もちょっと話したんだけど、読売のナベツネ(渡邉恒雄 読売新聞グループ本社代表取締役会長)さん、昔からの先輩で、非常に親しくしてるんだけど、あの人は、小沢君が持ちかけてきた大連合(大連立)の話を内々聞いてた。延べ3回か4回会ったんでしょう。それで、その話を度々聞いてましたら、結局、あのときの福田康夫総理は随分注文つけて、小沢君もそれ全部飲んだそうだけど、結局持ち帰ったら、若い連中が反発して、大連合まとまらなかったんだそうですよ。結果的にそれは良かったのか、悪かったのかわかりませんが。一体、渡辺さん、小沢は何を目的として大連合を持ちかけてきたんですかねって言ったら、それは憲法改正と消費税だろうって言ったの。ということは、これは、とても大切なことで、今みたいに、各政党がポピュリズム(民衆主義)に走ってて、人気取りで、不人気になる増税のことなんかとても言えない時代に、日本の財政っていうのは、どんどん傾いてて、船でいうと、もう機関室まで水が入ってきちゃったんだ。こういう財政状況の中で一番的確な、財源の確保っていうのは、それ消費税しかないです。こんなに消費税の安い国はないんだから。それから、国際時代になって、外国の投資がどんどん外へ回って日本にやってこない、それは法人税が高過ぎるから、日本みたいに高い国ないんです。こういったものも安くする。それを補てんする、ほかの財源というのは増税しかない。一番妥当なのは消費税でしょう。今、安すぎるのだから。これは、福祉っていうものに限って、それを使うっていう形の目的税にして、かつても自民党でその議論もありました。生活必需品を何にするか。米屋に行って米を買ってくるのは、非課税だけど。コンビニで、でき上がってるお握りを買うのは、これは消費税の対象になる云々の議論があったけど、どっかに飛んじゃった。どんどん船が沈んできて、喫水線が上がるぐらい水が入ってきた。この時期に消費税、誰がやるかっていったら、誰かやらなくちゃいけないけど、単独の政党ではできない。だったら、大連合を組んでやろうということで、小沢がこの話を持ちかけた。僕は、一種の国家の大計を踏まえた提案だと思いました。本当だとしたら。そういうことで、ああそうかと感心はしたけども、結局、実らなかったんだけども、彼も彼なりの政治家だから、いろんなこと考えてるんでしょう、それは。だけど、結果を出してみなくてはいけないのと、それにまつわってカネの問題が出てくるけど、これは、国民に対してはっきり説明をしないと、何で、政治家がやたらあちこちに土地買って、不動産を増やすかということ、僕はよく分からない。そういったものも、一国をリードしようと思ってる、大黒幕とするなら、金銭に関する説明は、国民にきちっとする必要があるんじゃないかと思いますけど。それ以上のことは私は分かりません。

【記者】消費税を入れるときに、国のほうは、政府はもっとこう、リストラしていかなくちゃいけないと。その中で、初めて消費税というものが理解されるであろうという、民主党なんかもそういう考えではないかと思うんですが、消費税導入については、何か前提条件というものが必要だと。

【知事】いっぱいあるんでしょう。例えば、国の財政に外部監査を入れないんだよ。組合にも入れたらいいじゃないかと。外部監査入れないんだから。人事院勧告なんていい加減なもので、これが障壁になっているから、あれがあるからいいというエクスキューズ(弁解)になっているんです。外部監査入れたら、とにかく、役人の数は多過ぎるし、給料も高過ぎる、議員の数だって多すぎる。そんなもの、どんどん外部監査で、監査人に、会計の合理性の上から、どんどんそういうものを提言させたらいいので。いろんな問題があります。組合の問題もいろいろ今になって馬脚が出てきているけど、組合だって全然外部監査入れないんだから。全然入れてません。東京だけです、きちっとした外部監査入れているの、法律で決まっているのに。地方自治体で、東京以外に、外部監査きちっとしている県がどこにありますか。言っちゃ悪いけど、松沢(成文 神奈川県知事)君なんかも非常に熱心にやっているけど、そういうものがないから、神奈川県ではとんでもない事例が出て、副知事2人辞めたんでしょう。ああいうものの、体制としてきちっとしないと。もう一つ、事業仕分けなんて、またスタンドプレーやっているけど、あんなものは丹羽(宇一郎 伊藤忠商事会長)さんが議長をやって、うちの猪瀬(直樹)副知事もやっていた、委員会(地方分権改革推進委員会)の中で出ている結論をそのままやったらいいじゃないですか。もう結論は出ているんだから。それを斟酌(しんしゃく)せずに、また政治家が同じことをやったって、同じ結論が出てくるにしたって、時間の無駄だし、丹羽さんの委員会でやったことをさっさとやったらいいじゃないですか。なぜやらないんですか。役人が反対するんだって、その役人を押さえつけるための新しい政権ができたんだったら、今の政権が自分の責任でやったらいいじゃないですか。それを自分たちでもう1回やり直すということ自身も無駄だし、それから会計制度が間違っているから、先進国だけ、度々言うけど、日本だけが単式簿記でやっているから、これ、複式簿記、発生主義でやったら、財務省がちゃんとあるから無駄はたくさん分かるんだ。やることをやらないんだ。やらないで、ワーワー騒いでいるから、無駄に時間が費やされるし、きちっとした結論が出てこないんじゃないの。だから、ジャーナリズムがしっかりしたらいいんだよ、みんな。本当にやってもらいたい。何で、人事院勧告だけで、国全体の財政に外部監査入れないんですか。組合に外部監査入れないんですか。やれば、組合費と集めている金がいかにめちゃくちゃに使われて、政治利用等に使われているかって、よく分かります。そういうこともしないで、何か上っ面だけの議論で来ているから、この様になっちゃったんだ。言いたいことはいっぱいあるけど。

【記者】先ほどちょっと、怖いという発言があったんですが、民主党の内部の人たちも、小沢さんに意見を真っ当に言えないと。これは、先ほどおっしゃった怖いというものと共通するものがあるんでしょうか。

【知事】そうでしょう。僕なんか、とっても怖くて力があったけど、田中角さんに反抗しましたら、あの人なんか小沢君よりははるかに陽気だったけど、とにかく青嵐会が血判までして、金権に反対したんだから。田中さんが失脚したのは、ロッキードじゃないですよ。ロッキード事件というのはもっと後になって起こったの。アメリカが、この男は必ず復活するだろうと。そしたらまた、とんでもないことするぞと。その走りは何かといったら、原子力のウラニウムの購買ルートをアメリカに依存せずに日本が独自のものをとっていこうって、彼が走り回ってカナダに行って、その後どこに行ったのかな。アメリカはそれに非常に怒って、あのロッキード事件という訳の分からない事件を起こして、あの裁判はむちゃくちゃな裁判だった、考えてみると。失脚したんだけど、角さんが総理大臣をやめたのは、僕たちが金権反対で、私が最初に「君、国売りたまうことなかれ」と論文を書いて、これは告訴されました、私は。その後、立花隆君と、児玉隆也君が2つ論文を書いて、それで児玉隆也君の、「淋しき越山会の女王」という、田中派の金庫番をしてて、絶対の権力を持っている佐藤昭子さんという女性をターゲットにして、この人を、若い諸君は知らないだろうけど。それで参考人に呼ぼうじゃないかということを参議院で決めちゃったんだ。それで角さんはすぱっとやめたんです。ですから、僕ら、金権がよくないと思ったら必死で闘った。そこで言うと、民主党の議員、度胸がない。腰抜けばっかりだ。国を思うんだったら、わけの分からない金というものは、はっきりしてもらわなきゃ困ると。政治そのものを不信されたら、国政が立っていかないということを思ったならば、民主党の若い議員たちはもっと声を挙げるべきじゃないですか。それは、政治家の責任だし、小沢幹事長に恩義があるなら、その恩義を返す恩返しになるんじゃないか。相撲と同じだ。
  はい、それじゃ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)