石原知事記者会見

平成22年4月15日更新

石原知事定例記者会見録

平成22(2010)年4月9日(金)
15時00分〜15時15分

知事冒頭発言

1 東京外かく環状道路事業の推進について

【知事】冒頭、私から1つだけ申し上げます。
 東京の外かく環状道路事業についてですけれども、本日、「高速道路利便増進事業」の制度を改正して、今後外環道を整備をしていく旨の発表が国土交通大臣からされたようですが、あわせて当面の措置として、今年度の予算が配分されたと聞いています。外環道の整備については、国も、いろいろ困って提案してきたんでしょうな。そう放っておくわけにいかないし、一番コスト・アンド・ベネフィット(費用対便益)が高い事業ですから、これをなおざりにするわけにいかないけども、片一方、選挙前ということで、何かそぐわないところがあるのか知らないが、これまでにない制度でもありますので、今後よく国からその説明をすべきだと思います。外環道の効率的な執行とスピードアップが図られるよう、都としても国とよく調整していきたいと思っております。
 いずれにしても、外環道は、東京だけではなくて、本当に広く国全体にその便益が及ぶ重要な幹線道路でありますから、都としても、必要な負担を行い、国の責任において整備すべきだと思ってます。
 今後とも、国と連携して外環道の整備促進に向けて積極的に取り組んでまいるつもりであります。
 申し上げることは以上です。その他質問があったらどうぞ。

質疑応答

【記者】今、冒頭のご発言にあった外環道に関連してお尋ねいたします。
 今回の発表ですと、今年度の事業費は、国は57億円ということで、事業費全体の1兆2,000億円規模にすると、本当に少ない額だと思いますが、この金額に対する評価と、このままの予算額ですと、できるのがいつになったら、わからないという金額だと思いますが、これから事業を進めていくために、どのような枠組みを望まれるか……。

【知事】さっき申しましたように、私、概略についてしか聞いておりませんので、これから、詳しい情報得てお答えしますが、何で国が、こういう大事な社会事業に躊躇(ちゅうちょ)するのかわからないね、本当に。そりゃ費用対効果から言ったって、社会工学的にも一番重要な幹線道路なのに、何をもったいつけてるか知らないけど、予算の額もそういうものとしては非常に小出しでしかすぎないし、しかし、最初は何かとにかくわけのわからない道路つくって、外環なんか触れないみたいな姿勢だったけども、それは大臣といえどもわかるだろうし、国土交通省の役人は全然そんなもの思ってませんから、それなりに苦労したんでしょうけど、とにかく詳しい説明これから聞いてから申し上げます。どうぞ。

【記者】知事が応援団を自認してらっしゃる……。

【知事】あの問題は明日、記者会見するから、その時にしてください。

【記者】わかりました。

【知事】はい。明日4時から、ホテルニューオータニでやるそうですから。私も行きます。
 どうぞ。

【記者】月曜日に、水道局のほうが、海外の水ビジネスの参入に向けて調査の研究会を立ち上げるんですけれども、こういった研究会を立ち上げることについて、知事としてのお考えと、それから都としてどういうふうに、海外ビジネス、水ビジネスに関わっていくべきだというふうにお考えかをお聞きしたいんですが。

【知事】水道事業に限らず、東京が持ってる技術というのは大変なものがあるんですよ。国の役人はそれを知らない、政治家もよく知らないし、私も来てみてびっくりするぐらいのものがあるんですが、水道の技術というのは国の中で完成して、特に東京の水なんか5次処理(高度浄水処理)までいってますから世界一の水ですけど、そういったものの、喧伝(けんでん 広く言いはやすこと)も、商品化して海外で展開することも必要でしょうけども、それだけでなしに、技術が勘案(かんあん)されて、私が就任してから、皆さんご存じだと思うけども、今まで何か成功した事業の表彰したけど、そんなのじゃなくて、新しいベンチャーテクノロジーの表彰してますよ、毎年。そういったものは、製品になるものとならないものとあるんです。それは、国に頼んでもしようがないので、東京都が相手の国とじかにファンドをつくって、その国で活用して商品化するような、そういう試みをこれからしようと思います。今、その根回ししてますけども。
 それと同じように、水は、本当に世界の需要度が高まって、しかも、前も申し上げたけども、水道ひねってすぐその水が飲める国っていったら11カ国しかないわけだから。しかし、それはお金もかかるし、漏水率が少ないというのも、1つの東京の得意技の1つだけど、これはやっぱりそれなりに人件費もかかるし、金もかけてるわけですよ。
 その余裕が、外国にあるかないかは別のことですけども、いずれにしろ、フランスごとき会社が出てきてだね、手賀沼(千葉県の湖沼)の浄水やるなんてのは、私に言わせりゃ、こしゃくな話で、こんなものはとっくに、東京に依頼すればやったのに、そういうところのセールスがだめなんだな、日本人は。東京に限らず。これはやっぱり、国がそういう指導したらいいと思うんだけど、言われたように、ずいぶん地方自治体も上のほうばっかり見てるから、国にそういう意思、自覚がないから、NHKも水のキャンペーンしてくださってるようだけども、水っていうのはこれからもう決定的なものになってくると思います。だからそういう点で、東京が一歩二歩、東京から踏み出すという姿勢をつけるための目途として、そういう研究会を開くというのは大変結構だと思ってます。

【記者】すいません、もう1点だけ。
 先ほど、ちょっと別件で、知事は新党の問題について、明日お聞きしてくれということだったんですが、今日は定例の知事会見であるということもありまして、都知事として、今回、新党に参加する、しないを取りざたされているわけなんですけれども、知事を途中で辞任して、参議院選挙に出るということはあり得るんでしょうか。

【知事】ありません。あり得ません。来年、選挙だったらわからないけどな。当選してすぐ譲って、次の次点上げれば、大変結構だと思うけど、そこまですることもないし、今年はそんな機会もありませんし、何でそんなことしたかということは、明日ゆっくり話しますから、皆さん大勢さん、ホテルニューオータニに来てくださいな。
 どうぞ。

【記者】ちょっと話がまた違うんですけれども……。

【知事】うん、違う話がいいよ、おもしろい話が。

【記者】改めて、前にも伺っていたかと思うんですけど、大阪府が東京都にならって大阪都という構想を打ち立ててますが……。

【知事】ああ、都(と)は困るよな。都(みやこ)は1つしかないんだから。

【記者】そういう話を打ち出している点についてと、あと大阪府と大阪市の関係とかで、政令指定都市についての知事の考え方を……。

【知事】これは、色々ないきさつで出てきたんでしょうけど、県知事の立場からすれば、政令指定都市というのは非常に厄介で、特に大阪なんかは、大阪市議会のほうが、どっちかっていうと威張ってるんだよ。それで、大阪府なんていうのはちょっとこう、霞(かす)んでるんだよね。神奈川県もね、松沢(成文 神奈川県知事)さんかわいそうだと思うけど、川崎市と横浜市と、今度、相模原市できたんでしょう。知事、何をやっていいのか、さっぱり分からないところがあると思うんだ。
 これはこれから、何も県が絶対って言いませんよ。ただ、地方自治というものを、合理的に運営していくために、政令指定都市というのは、ちょっと考えなくちゃいけないんじゃないか。僕は否定も肯定もしません。ただ、傍目で眺めてて、不思議な感じするし、知事にとっては気の毒だなと思うんだけども、どうやって合理化していくかというのは、道州制(行政区画として道と州を置く地方行政制度)と同じように議論のたくさんあるべきことでしょうね。
 幸い、東京都はそういうものがありませんから、一元的に出来ますけれども、23区なんて、人口が多い区はたくさんあるわけだから、もうそれが乱立したら東京なんて訳わからなくなっちゃうし、思い切って、東京全部が歩調合わせて新しい事業展開するということができないでしょう。
 私の見解というのはその程度のことですけども。だから橋下(徹 大阪府知事)君の気持ちはわかるわな。
 はい、どうぞ。

【記者】核軍縮のことなんですが……。

【知事】おお、随分大きく出たね。

【記者】ええ。先日、オバマ(バラク・オバマ アメリカ大統領)さんとメドベージェフ(ドミトリー・メドベージェフ)ロシア大統領との間で、核拡散に対する歯どめをかけるということで、戦略核軍縮条約に調印なさったと、こういうことが報道されてるわけですが、石原都知事のほうからは、どういうふうにこの核の問題を、軍縮やってくことによって世界平和は保たれていくとお考えになるのか、それとも、中国、テロ行為をやっているイランだとか、そういう問題があると、こういうことはどちらかというと大して役にも立たないことなんだというふうにお考えになるのか、ご見解をお願いいたします。

【知事】あの、今度の、オバマとメドベージェフのやった調印というのは、それなりに意味あると思いますよ。ただ、そんなことの前に、核兵器そのものが、今日の世界の情勢の中で、お金をかけてつくった兵器としてのユーティリティーがあるのかね。そんなものはもうなくなってると思うよ、僕。今さらどこの国がどこでどんな核を使うんですか。これ、使った瞬間、その国が逆に報復受けて、とにかく滅びると思う。
 例えば、みんな気にしてるけど、北朝鮮だって、そんなもの使えるわけはない。使ったら、一発で報復されてあの国滅びますよ。と同じように、誰がどこで使うつもりか知らないけど、威嚇のためには効果があっても、実際に使うことは絶対にできないと思う。
 それからもう、地球はそんな状況じゃないですよ。環境問題ってのはもっと深刻で、じわじわ首を絞めてきているときに、私は、そんな問題と総体として考えれば、核兵器の存在価値とか意味というか、もう、どんどんそういったものは限定されてきてるし、作っても、使う国がどこでどういうケースがあるかといったら、私は想像つかないです。あり得ないことだと思います。
 どうぞ。

【記者】やはり、新党……。

【知事】だめ。明日いらっしゃい。

【記者】じゃあ、それとちょっと話をずらして、そういう知事の最近の動きを見る自民都議を中心に、四選(都知事に再度立候補すること)待望論が根強くあるんですけれども、これについてはどうお考えでしょうか。

【知事】ああ、それは無理だね。もう、そんな年寄りをいじめないほうがいいよ、ほんとに。

【記者】ただし、この数日間の知事をつき動かしているのが、憂国(ゆうこく)の思いだというのをあちこちで耳にするんですけれども……。

【知事】それは、国を憂うのは誰だって憂いてるし、今度の老人たちだって、みんな老人老人って、じゃあ、若いやつは何してるんだよ。みんな腰抜けじゃないか、言わせりゃ。君だって戦争の体験ないだろう。僕なんか戦争の経験、体験あるけど、その人間たちには、これは本当にこのまま死ねない、そういう気分になってるよ。大体、大学生の入学式に親がついてくなんてばかな時代になっちゃった。みんなで考えたらいいよ、本当に。

【記者】今、改めて民主党政権についても大変思うところがあると思いますけれども、知事が抱く懸念(けねん)というのをいま一度教えてください。

【知事】それも明日。とにかく皆さんにお話をいたします。
 ただ、世界は見てるなと思ってさ、こないだ市村真一(経済学者)さんの論文に出てたんで、へえと思ったら、みんな知ってるんだな。知ってるか知らないか知らないけども、ニューヨークで働いている日本人たちが、日本の状況を眺めて、おもしろいジョークを言っているそうだよ。みんな知ってるんだろ。……知ってますか、皆さん。おもしろいんだよ、これ。
 日本の東京では、変な鳥が頑張ってると。ああ、あれは、何か知らないけどサギじゃないかと。で、アメリカ人は「あれはチキンだ」と。チキンレースで途中で逃げちゃうチキンだと。そうしたら中国人は「あれはカモだ」と。ヨーロッパ人は「あれはアホウドリだ」と。この後に1つ加わって、おもしろいね。ある日本通のヨーロッパ人が、「あれはだれかに飼われている鵜飼のための鵜だ」と。当人は「私は鳩です」と言ってるそうだけど、やっぱりあれはガンだってさ。ハハハ。でき過ぎてるじゃないか。情けないよ、ほんとに。
 あ、どうぞ。

【記者】もう1点、杉並区の山田(宏)区長と、中田(宏)元横浜市長と……。

【知事】そんなの知らない。そっちに聞いてくれよ。おれに聞いたってわからないよ、そんなものは。

【記者】新党結成という話なんですけれども、地方の首長の声を、何とか国政を変えていこうということなんですけれども、どのように見てらっしゃいますでしょうか。

【知事】結構ですね。結構なことだけ思います。はい。

【記者】知事は新しい新党ということですけれども、賛同する部分というのはありますか。

【知事】こないだ、全国知事会議で、みんなうっぷんやる方なく、とにかく、反対をはっきり唱えたのは私とあと2人ぐらいだったけれども、全ての知事が、外国人の地方の参政権というのはもっともっと慎重に論議すべきだと、憲法の問題なんかも、もう一回真剣に討議すべきだということを言ってましたが、そのとおりだと思います。
 地方の行政というのは国を左右する案件がいっぱいあるわけです。そういったものを、国籍を持たない外国人が決めて、それで国運が傾いていったら適わないよ、それは。地方主権なんてことを今の政党言い出したけれども、地方分権じゃなしに、その地方主権を最も、恐ろしい形で侵害する可能性のある議案を、何か知らないけど、どういう動機でか知らないが言い出して、持ち出すなんていうのはもう論外だと思います。言ってること、地方主権と全然矛盾してるじゃないですか。

【記者】こういう形で、第三極(※民主党でも自民党でもない別の党)という政党がたくさん出てきていますけれども、その状況についてはどのように見てらっしゃいますか。

【知事】当然の傾向だと思います。それはどういう旗の下に束ねるか束ねないかが次の勝負だと思う。はい。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)