石原知事記者会見

平成22年2月18日更新

石原知事定例記者会見録

平成22(2010)年2月12日(金)
15時00分〜15時16分

知事冒頭発言

1 上野動物園へのジャイアントパンダ導入について

【知事】冒頭、1つ私から、地元からも非常に強い要望がありまして、それを受けて人を派遣してたんですが結論を出しました。上野動物園のパンダについては、具体的条件等、中国側と交渉を進めてきましたが、今般、大筋で合意しましたので、平成23年の早期に、つがい1組を導入することになりました。料金も決して安いものじゃないので、値切りました。向こうも折れてくれましたし。

 上野動物園は昭和47年に贈られたカンカン、ランランに始まって、一昨年まで36年間にわたる飼育、繁殖の実績と技術を持っておりまして、これを生かして、このたびの導入に伴って、今後、さらなる繁殖研究などに中国と共同で取り組んでいきます。

 この研究に当たっては、中国での野生動物の保護事業に対して、大体これ100万ドルになるんですが、5万ドル値切りまして、年間95万ドル(約8500万円)を支援することになります。また、パンダを導入することによって東京だけでなくて、全国の子供たちに希少動物保全の大切さを伝える教育効果も期待できると思います。東京都としては、生物多様性を始めとする地球環境の保全に今後とも力を入れていきたいと思っています。

 私から申し上げることは以上です。質問があったらどうぞ。

質疑応答

【記者】今のお話なんですけれども、知事、以前、パンダについては、受け入れるのもやぶさかではないが、もうちょっと上野動物園もいろいろ努力しろというお話があったと思いますが…。

【知事】そうそう。ほかのアイデアでもね。ほかの動物園はいろいろ考えてますから。

【記者】このたび、最終的に知事がオーケーされたと思うんですけども、そこに至る、ご自身の中のお考え、もう少しありましたら。

【知事】知恵出せ、出せといったって、ないところから出てくるわけでもないし。せっかく、(パンダは)吸引力ある商品だったらしいし、統計も見ましたけども、上野動物園の営業ということも考えなくちゃいかんのと、それから調査しましたら、パンダの生息地で、この間、(中国の)四川省で大きな地震ありました。まだ、街の復旧やパンダの保全にかなりの支援が必要だということがわかりましたので。また、動物園の専門家によって繁殖技術の共同研究の意味も十分あると思いますし、世界中で愛されて珍しがられてる動物ですから。なかなか、ああいう野生の動物を動物園へ連れてきて、どこが成功した事例があるか、つまびらかにしませんが、東京でも、そういう努力をしてみようということで、非常に強い要望があちこちからありましたので決めました。

【記者】費用面で、100万ドルがどうなのだという話もあったかと思うんですけども、確かに今、昔に比べると円高局面にちょっと振れてますし、知事の中でも95万ドルというのは、妥当というか、お金についてはどういう。

【知事】これはなかなか、計量計算のできるものじゃありませんし、高いお金出してブランド製品買って満足する人もいるし、それを軽蔑する人もいるかもしれないけども、特に子供たちが非常に関心集めて、子供たちの人気が集中する商品のようですから、それを備えることもやぶさかではないということです。はい。

【記者】上野動物園も大分、「アイアイのすむ森」ですとか、あるいは夏季の開園時間を延長したりとかして、入場者数がかなり戻ってきてる数字があると思うんです。そのあたりも評価されたのかなとは思ったんですが。

【知事】その一助になれば、さらにいいと思いまして。しかし、年間1億円ですか。決して安い買い物じゃないと思います。それだったら、そこで、繁殖に成功してもらいたい。日本製のパンダもつくったらいいんじゃないか。トキなんか努力して成功したわけですから、と思います。

 はい。どうぞ。

【記者】きょう、杉並区の議会のほうで、区民税を減税する条例案が提出されたわけなんですけれども、東京都内の23区の自治体で、こういう減税の動きがあるということについて、知事のお考えをお聞かせください。

【知事】これ、直接どういう影響与えるか知らないけども、(特別区)財政調整交付金の問題があるわけです。それだけの余裕があるなら、東京から何も財政の援助の支出する必要ないんじゃないかという声も出てくるんじゃないかと思います。

 それから、10年後というのは、私よくわからない。税金というのは、住んでる人間がそこに地方税を納める。納めることで、その受益をしたいわけで、その期待というのは、すぐにとは言わないけど、10年先というものじゃないと思います。これは、名古屋市なんかは、2年後ということで踏み切ってますけども、それなら納得できるけども、例えば、私の選挙区でもありました品川区というのは衆議院のワンセッション(1任期)というのは4年間になってますけど、大体今まで平均は2.5年で解散があったわけだけども、いずれにしろ4年間で、調べてみたら住民の25%が入れ替わってるんです。

 杉並がどういう状況か知りません。しかし、人口の流入・流出の激しい東京で、住民が10年先に自分のつくった税金が何のためにどうやって使われるかということについては、疑問を持つというか、期待もあるだろうけど、それを必ずしもかなえるもんじゃないと私は思います。いろんな問題、これから出てくると思う。

【記者】一義的に自治体のほうで考える減税については、基礎自治体のほうで考えることだとは思うんですけれども、都として杉並区との間でいろいろ調整とか話し合いをする可能性というのは今後あるんでしょうか。

【知事】今のところありません。ただ、ある種の疑義は感じます。払う住民にとってのメリットというか期待というものを、どういうふうにかなえられ、かなえられないかという問題は、だから税に関する非常に本質的な問題じゃないかと私は思いますけども。はい、どうぞ。

【記者】おととい、群馬県のお年寄りの施設「たまゆら」の事件で理事長が逮捕されたということがあったんですけれども、あの事件で亡くなった方の多くは東京の方だということで、東京の人も非常に関心が大きな出来事なんですけども、この事件と、あと東京のお年寄りのすまいについての知事のお考えを改めてお聞かせください。

【知事】ですから、猪瀬(直樹)副知事が発案して、新しいケアを要する老人たちのためのハウジングというもののプロジェクト(少子高齢時代にふさわしい新たな「すまい」実現プロジェクトチーム)をつくってやってもらいましたから、それを大いに参考にしてください。非常に有益な、ためになることだと思います。はい。

【記者】その猪瀬副知事のプランなんですけれども、なかなかすまいがないお年寄りもまだまだたくさんいるわけで、ほんとに大丈夫なんだろうかということも改めてこの事件、逮捕されて一気に注目され、そういう関心も高まってると思うんですけども。

【知事】そのとおりだよ。だから、こちらも努力してるんだ、いろいろ。ただ、やっぱり、金がないものはない。財源にも限度もありますし、行政が手がけなくちゃいけない問題、たくさんあるわけですから、そういった問題、センチメント(感傷)としては非常に深く重いものがあるかもしれないけど、それだけを最優先するというわけにもなかなかいかないでしょう。それは行政にとっての選択って、なかなか難しい問題ですから。はい。どうぞ。

【記者】凍結国道の都内3路線が復活なりましたけれども、あと、検討中になってるのが外環道になるんだと思うんですが、この辺はどう…。

【知事】道路予算、今度、概要発表されましたが、その具体的な内容、細かいことについてはわからないんです、まだ。これは東京だけじゃなしに、日本中の地方自治体が迷惑してる。つまり、予算を組むのに予算委員会も開かれ、定例議会も開かれようとしてる中で、その具体的な内容がわからないと予算の組みようがないんで。ほんとに迷惑千万です、これ。

 はい。どうぞ。

【記者】トヨタ(自動車)のリコール問題について伺います。トヨタというと日本の技術の象徴みたいなところあったと思うんですけれども、東京もものづくりの力を世界に発信していこうという政策の過程にあると思うんですが。

【知事】トヨタと東京の技術というのはちょっと関係ないんじゃないの。トヨタはトヨタでやって、東京は東京で、ちゃんとやってますから、ただ、アメリカのメンタリティー(心理状態)として、自分たちがつくり出した自動車を、とにかくあっと言う間に日本に抜かれた、腹立たしい気分があるだろう。これが(米国自動車メーカーの)フォードとかGM(ゼネラル・モーターズ)の問題だったら、ちょっとこんな騒ぎにならなかったんじゃないかなって気がします。アメリカはそういうところは、なかなかしたたかでずるいんだよ。

 とにかく、アメリカは日本の航空機産業の復活を絶対許さない。第2次世界大戦、君ら若くて知らないだろうけど、あの緒戦で、世界一の戦闘機つくったの日本だから。それで手こずったわけだ。こういったもののトラウマ(心的外傷)あるから、日本の航空産業というものの台頭を絶対好まない。だから、アメリカの軍用機、高級な旅客機、セスナみたいなものは違いますけど、そういったもののコックピット、全部日本製ですよ。それに業を煮やして、クリントン(ビル・クリントン 元アメリカ合衆国大統領)政権の末期のときに、ある調査団が来て、その引き金になったのはちょっと違うマイクロチップの問題ですけど、ついでに、京セラを含めてセラミック、それから液晶体をつくってる日本の産業のかなり深部まで、普通は外部の人を入れないところまで強引に入ってって調べたけど、日本にかなわないってことであきらめて帰りました。

 自動車も、そのていたらくで、これは、もうちょっと航空機よりもレベルの低い技術体系なんだろうけども、それでも、この省エネの時代に、トヨタがああいうプリウス(ハイブリット車)という新しいメカニズムの自動車をつくった。その発展途上の技術でありますから、瑕瑾(かきん)あるでしょう。ただ、あれで大きな事故が起こった、死人が出たって例はないわけで、つまり不具合、不安って感じでしょう。それが、針小棒大に喧伝(けんでん)されて、ここぞというばかりに日本をたたく。しかし、問題を起こしてる車というのは日本にもあるけども、アメリカ人がトヨタという名前の名目でつくった自動車じゃないか、自分たちも開発したんじゃないか、それを。そこら辺のことは、頭冷やしてもうちょっと考えたほうがいいと思う。日本人もあんまりこうやってびくびくしないほうがいいよ。はい。どうぞ。

【記者】明日から、バンクーバー・オリンピックが始まりまして、選手団も現地入りしてますが、知事として、期待のほどを。

【知事】期待しているよ。それだけです。だから壮行会で言ったんだ。「楽しむだけじゃだめだぞ」「必ず勝ってこい」って。「勝たにゃ国民満足しないよ」って。どっかの選手が、オリンピックで、「私は後悔しておりません、楽しんできました」って。それなら自分の金で行きゃいいんだ、そんなものは。国費を費やして養成した選手が、惨敗して、楽しんできましたじゃ、これ、国民報いられないよ。ますます予算つかなくなるよ。

【記者】特に期待してる選手とか、もし…。

【知事】知りません、あんまり。私、スキーもスケートも苦手なんで。はい、ほかに。

【記者】今のオリンピックのことなんですけれども、2020年のオリンピック目指して、(東京)商工会議所が、ぜひやってくれという要望書が出されたということなんですけれども、これで大分、都知事もはずみがつくのかなというふうに考えるんですが、その意義についてお話をお聞きしたい…。

【知事】それは、オリンピックの招致に対する、ある限られた人々の意見でありまして、これがすべて絶対と思ってませんが、つまりこれから、やがていつか日本にオリンピック呼んできたいなと願ってる人間にとっては非常に心強いサポートだと思います。これはすなわちすぐ、2020年、2024年の招致につながるかどうかは、あとの当事者の判断のよすがにはなるでしょうけれども、それが物事を決定的に決めるってまではなかなかいかないんじゃないのかな、それは。はい、どうぞ。

【記者】たびたびすいません。オリンピックの話に戻らせていただきたいんですけども、期待されてるメダルの数は?

【知事】そんなもの知らないよ。君らのほうがわかってるんじゃないか。そんなこと聞くな、おれに。文部科学省行って聞いてこい、そんなものは。はい。

【記者】細かい質問になるんですが、パンダの話に戻りますけれども,知事、最初におっしゃられた平成23年の早期というのは、22年度中に呼んできたいということになるんでしょうか。

【知事】さあ、それはどういうことなりますか。向こうの体制もあることでしょうし、そこまで詳しく私、わかりません。大体大まかで、それでいいだろうということは、認可しましたけども。はい。

【記者】新年度予算案には、95万ドルはのってこない。

【知事】それはちょっと財務局へ聞いてくれ。はい。

【記者】あと、さまざまなところから要望があったという、さまざまなところ、というのはどんなところからなんでしょうか。

【知事】それは幼稚園、それからお客さんたち、お客様さまざまな人がいるわけだから、ということです。はい、それじゃ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)