石原知事記者会見

平成22年2月4日更新

石原知事定例記者会見録

平成22(2010)年1月29日(金)
14時59分〜15時26分

知事冒頭発言

1 法人事業税の一部国税化を巡る民主党の対応について

【知事】冒頭、私から申し上げることもなかったんですけど、たまたま1つ、ご参考に、いい資料というか、これ、気がつかなかったんですが、民主党がまだ野党時代、平成19年12月26日に発表した、平成20年度の税制改正への対応、民主党の税制改革大綱というのがあります。この中で、福田(康夫)内閣のときに財務省が一方的に決めた、暫定的といって、2年にわたって、あのときの税収の税率からいくと3,000億ずつ、2年間にわたって合わせて6,000億。これ、ちょっと、税収が減ったんで、減りましたが。いずれにしろ、子供(地方自治体)の財布に手突っ込んで、勝手に政府が子供の税収を持っていって、むしり取って、自分たちに使うという、勝手なことを決めた。これも、法的にはなかなか抵抗のしようがないんで、相手がお国ですから。

 ところが、民主党は「法人事業税の一部国税化は税制として矛盾しており、また地方分権の流れに反することから認められない。地方間の財政格差、財政調整制度の調整機能の強化によって対応すべき」と決めてくれまして、これを受けて、田嶋要衆議院議員、那谷屋(正義)参議院議員、吉川(さおり)参議院議員の3人が、国会で絶対反対と言ってくれてるんです。大変ありがたい資料がありましたけれど。

 このおかげで、とにかく、1兆1,000億減った税収の3,000億弱は、この悪法のおかげですけども、菅(直人)副総理に、これ何とかしてくれって言ったら、急だったんで、ちょっとできませんけど、来年度は1年かかって慎重に考えますと言うけど、慎重に考えるも考えないも、自分たちで、大綱をつくってんだから、さっさとやめてもらいたい、こういうばかなことは。ということであります。

 質問があったら、どうぞ。

質疑応答

【記者】新聞報道などでも出されましたけども、江戸川区で、小学校1年生の児童が虐待を受けて死亡したという、実に痛ましい事件がありました。これにつきましては、知事も非常に心を痛められたんではないかと思いますし、二度と同じようなことを繰り返してはならないというようなことをお思いになってると思うんですが、東京都としては、どういうふうに考えておられますか。

【知事】都として考えるも何も、あってはならないことですし、このケースなんか、聞いてみると、若い女の人が連れ子で、若いだんなと一緒になったというのは、こういうケースが幾つかあったけども、これ、自分、夫婦の子供なんでしょう?

【記者】ええ。でも、再婚してるんです。

【知事】連れ子で再婚してるの?

【記者】はい。

【知事】そういうときは、やっぱり、血が通わない子供に、亭主のほうが煩(わずら)わしく、うるさくなって、当たるにつられて、奥さんも亭主大事だから、引きずられて、結局、子供を虐待して殺してしまったというケース、多々ありました、今までも。だけど、自分の産んだ子供、亭主が虐待するのを奥さんが身をもってかばうならともかく、一緒になってせっかんするというのは論外な話です、ほんとに。都とどうこうもないですよね。

【記者】チェックするところも、1つ一体化して、ずっと注目し続けていかなければいけないと。アンテナを張り続けるということですか、やっぱり。

【知事】しかし、先生もそうそう、顔にでも傷があれば気がつくんだろうけども、洋服で隠されてる部分のところにあった傷なんて気がつきませんから。なかなかケースとして発見しにくいんだろうけども、いずれにしても、むごい話で、とにかく、その立場が何だろうと、価値観が何だろうと、生活の態様が何だろうと、それぞれ違うことがあるんだろうが、違いを超えて、人間が垂直に継承していかなくちゃいけない価値観みたいなものが、このごろ狂ってきたですな。

 これは、いろんな見方もあるんでしょうけども、とにかく、総じて社会に起こってる現象を眺めると、この国のたがが緩んできたというか、人間の目先の願望、欲望ばっかりが先行して、それがまた許容される、ある意味で絶対化される、そういう世の中の風潮というのは、これは、地方自治体がばたばたしても、どうなるものじゃないんで、教育のあり方、さらに、それに子供をゆだねてる親の物の考え方なんでしょうけれど、親そのものが衰弱してきてますから、今。

【記者】暴力ということで、実は別な角度、別なことで、ちょっとお伺いしたいんですが、今、相撲関係で朝青龍関の暴力というのが1つ取り上げられていますけども、日本相撲協会の中で理事選が、今度の2月1日に投票が行われるんですが、元横綱貴乃花さんが一応、立候補して、破門とか、こういう動き、流れについては、どういうふうにお思いになりますか。

【知事】僕、あの人のおじさん、初代の若乃花と非常に個人的に仲よかったんです。それで、そんな形で、貴乃花君も非常に幼いころは知ってて、僕はほんとに彼に共感するとこ多いんだけども、彼は非常に一途で、そういうところは、ちょっと珍しく純粋なお相撲さんだな。

 それで、相撲界って、いろんなことがあります。見えない部分、八百長の問題も含めて。これ、完全に淘汰(とうた)された、そんなこと絶対ないよ。みんな見て見ぬふりしてるけど、これはやっぱり、そういうものの上に、非常に営利主義に走った相撲協会が、だんだんたがが緩んできて、ああいうぶざまなことになって、しかも、商売繁盛につながるかどうか知らんけども、外国人の力士を迎えるのも結構でしょう。ある制限があるみたいですけど。

 私の親友の渡部昇一さん、上智大学の教授だった人、この人、なかなかウィッティーな(機知に富んだ)人で、伝統文化が好きなんです。今の相撲の世界のあり方を皮肉って、両国、相撲のメッカだ。「両国とはモンゴル、ロシアのことですか」って川柳つくった。うまいでしょう。「両国とはモンゴル、ロシアのことですか」。もう1つ、「日本人、残るは行司ばかり、のこった、のこった、のこった」と。そういう体たらくになっちゃったんで、それで、中で1人だけ、審議会(横綱審議委員会)でぴりっとした口きいた内館(牧子)さんも、今度、定年でやめられるようだけど、実は、私、都知事になったときに、歴代、青島君(青島幸男 元東京都知事)は違ったみたいだけど、鈴木さん(鈴木俊一 元東京都知事)まで都知事は横綱審議委員会の委員だった。私も言われましたが、2度、断りました。とてもあんなとこ行く気しないし、ほんとうのこと言っちゃうと、物議醸(かも)すから。

 ただ、貴乃花、頑張ってるね。それは、いろんな不祥事があるんでしょうけども、そういうものを淘汰しようということで、お父さんともけんかしたんだから。それ以上のこと言いませんが、相撲通の皆さんは知ってるでしょうけども、兄弟の仲もそれで悪くなったんだけども。

 彼は、そういう点、何ていうのかな。だから、腕こらえて、曙だったか、もう1人、何だっけ。ハワイから来た、ずうたいのでっかい横綱。

【記者】武蔵丸。

【知事】武蔵丸。どっちに勝ったんだっけな。

【記者】武蔵丸です。

【知事】そうか。あの手、痛いのこらえて。あのときに、阿修羅のごとき、ほんとにあれだったな。それは、小泉純ちゃん(小泉純一郎)総理も、あのとき行って、「感動した」と言ってたけれども、見た人間は感動しました。だけど、相撲というのは国技なんでしょう。スポーツは文化ですよね。それで、その文化である、国技であるというスポーツは、何をもって国技とするかといったら、それは完成された、非常に洗練された様式なんだ。その様式は、例えば、賞金をもらうときも手刀を切る。それから、余計なガッツポーズ、派手なまねはしない云々(うんぬん)ありまして、同時に、白鵬はだれに習ったのか、自分の横綱像の理念としてる双葉山が言った「木鶏」。物に動じない、鳥はばたばた動くけれども、木でつくった鶏のように端然として動かない。それを目指してるということだけども、朝青龍なんていうのは、全くそれから外れたあれ(横綱)ですよ。強いのは強いだろう。ガッツもあって。だけど、あれが相撲かといったら、違いますな。それを非難したのは内館さんだけだった。内館さん、今度、定年でやめて、横綱審議委員会も相撲協会も、ほっとしてんじゃないですか。これは、ほんとに好ましくない現象だと思います。伝統文化を守るためにも。今からでもなろうかな、おれ、横綱審議委員会の委員に。内館さんの後から。

【記者】十分なれるんじゃないですか。(笑)

【知事】いや、ノー・サンキューだけどさ。ほんとに、いろんな部屋に、いろんな形で呼び出しとか行司がくっついてる。呼び出しなんかの待遇っていうのは、この間ちょっとテレビで愚痴を言っている人がいたけど、気の毒です。あれだけ繁栄している相撲の中で、下積みの下積みの下積みは一生下積みで終わる。ああいう身分の格差っていうものを、貴乃花は何を改革しようと思ってやってるのか知らないけど、僕は、国民とともに、孤立した戦いになるかもしらんけど、彼は先兵で行ったわけだ、今度、あの古い社会に。僕は支持します。頑張ってもらいたい。どうぞ。

【記者】新銀行東京の件なんですけれども、本日、旧経営陣2人に対して、損害賠償請求を起こすそうですけれども、知事のお耳には入っていらっしゃるでしょうか。

【知事】聞いていました。結構なことじゃないですか。

【記者】当初は、法的責任は112億円という話だったんですけれども、聞くところによると5億円で提訴するということになるんですが、知事のお考えとして受けとめを…。

【知事】わかりません、私は法律家じゃありませんから、銀行に任せてますから、はい。

【記者】これまでは、3年で、累積赤字1,000億円を出した最大の責任者として、知事も含めて、旧経営陣2人の名前を挙げられてきたわけですが…。

【知事】私、経営陣じゃないですよ。

【記者】ええ、わかります。仁司さん(仁司泰正 元代表執行役)と丹治さん(丹治幹雄 元執行役)のお名前を挙げてこられてますけれども、その責任が、1,000億円を赤字にさせた責任が最終的に5億円になるということになるんです。5億円で問われるということについては、知事はどうお考えでしょうか。

【知事】これはわかりません、私も法律家じゃないから。どういうことでそうなったか、法律家の専門家に聞いてください。ただ、裁判を厳粛に見守りたいと思ってます。はい。

【記者】あと、お耳に入ったのはいつごろになるんでしょうか。

【知事】きょうの夕方に日銀で記者会見で発表するという話を、きのうですか、聞きましたけれども、どこかから漏れたみたいですね、それが。

【記者】東京都は大株主なわけですよね。知事としては了承されるとか、どういう立場で受けとめられる…。

【知事】わかりません。これはもう弁護士に相談してやっていることですから。はい。どうぞ。

【記者】改めて相撲の話に戻ってしまうんですが、横綱朝青龍関が暴行事件を起こしたということで大変な騒動になっていますが。

【知事】あんなもん横綱じゃないよ、僕に言わせると。日本の横綱じゃない、少なくとも。日本の相撲の横綱じゃないよ。格闘技ってやつは強いかもしれないけど、それをもって、是とするんだったら、相撲というのはどんどんどんどん形骸(けいがい)化していって、様式の美しさはなくなってくると思う。文化じゃなくなっていくと思います。K−1とか僕、あんまり見たことないけれど、ああいう格闘技が文化ですか。私、そうは思わないけれど。

【記者】何が足りないということですか。

【知事】何か、奥ゆかしさ、美しさ、つまり様式の美しさってないじゃない。相撲っていうのは、激しいバトルの中に、ある様式ってものの中にものが包まれてるから、ゆかしさもあったり、ものの哀れもあったりするんで、だめですな。

 どうぞ。

【記者】先週、名護市長選挙がありまして、基地受け入れ反対派が勝利しました。その後の官房長官の発言等もありまして、民意と国防という難しい問題がクローズアップ(注目)されていますが、知事、ご見解をお願いします。

【知事】これは、国防という非常に国家の命運を左右する、非常に重大な問題ですから、そういったものが、一地方の意思で左右されることはもともとあってはならないと思うけども、選挙の結果見てとか、選挙が大事だとか、選挙次第でって言い出したのは今の政府じゃないの。総理大臣が、何か暗にそういうことを盛んに言ったじゃないですか。右行ったり左行ったりしながら。

 結果ああいう形(基地受け入れ反対派市長の勝利)になって、これが何か非常に大きな拘束力を持つようになると、官房長官も女房役として、援助の手を差し出したかどうか知りませんが。だから、くっつけるわけじゃないけど、今、永住の外国人に限って、地方の参政権だけ与えるというのは、こういうことの危険性だってああいうところにもあるわけですよ。あそこ(名護市)に、何かある1つの価値観を持った、外国人の組織が集団移住してって、あそこで投票を左右したらどういうことになりますか。これは何も基地の問題だけじゃなしに、例えば、昔、(青森県)六ケ所村で下北半島の(核燃料の)再処理の問題なんかも賛否両論あった。ああいうとこの限られた人口の町の重大な問題が一国を左右しかねないときに、そこに一部の組織が集団移住して、ほんとに六ケ所村なんか、どういう人口がよくわからんけども、あの問題を、そういう組織が左右する投票の結果をもたらしたら、これはとんでもないことになるよ。だから、帰化してくれたらいいんですよ、日本に愛着があるなら。

 はい、そう思います。どうぞ。

【記者】三宅島のことについてお聞きします。来週の2月1日で避難命令が解除されてから5年になるんですけれども、三宅島の現状についてのお考えと、あと都としての生活再建への今後の後押しについてどうお考え…。

【知事】あなたは三宅島に行ってきた?

【記者】行ってます。はい。

【知事】いつ行った?

【記者】去年のバイクレースのときに。

【知事】あなたもそこにだけいるわけじゃないだろうから。災害があった直後の島の変わりようというのは、あのガスがじわじわおりてきて、何年かたったら、外輪山周囲の森林だけじゃなしに、もう港のほうの森林まで漂白されちゃった。これは怖いです。今でも続いてるの、部分的に。こういう悪条件の中で島民の方が頑張っていらっしゃるのは、ほんとうに尊いし気の毒だと思うけど、同時に、私、心配してるんです。年配の方も多いですし、あの大きな木がみんな枯れてしまう。それがじわじわ、すっとおりてきた。この地域はガスとして安全だ、安全じゃないと言われてるけども、人が住んでいる地域でも木はもう随分漂白されてますから。こういったものが、いつまで続くかって予測が立たない。

 それからあの島は、実に見事に17、8年サイクルで必ず爆発するの、今まで。ずーっと統計とってみると。そこに住むなとは言えませんが、この自然の、そういう暴力といいましょうか、悪しき影響というのは人間の力で阻止できないんで、これは怖いですし、僕は眺めててほんとにはらはらします。だから、できるだけのことを、都としてはさせていただきますけれども、かといって、東京の都民は三宅島の島民だけじゃないんで、これはそういうもののバランスを考えなくちゃいけないと。これは行政としてほんとうに頭が痛いね。

 日本は、世界最大のファイアリングの上にある、火山脈の上に。皆さん知らないけど、私、三宅の災害起こった直前に就任して、あのとき火山の専門家の学者からいろんなこと聞きましたが、おそらく皆さん知らないし、日本人も知らないだろうけども、ミッドウェー(北太平洋のハワイ諸島北西にある環礁)から真東に、日本に向かって、1,000マイル来たところに、最初に海底活火山があるの。ずーっとそれが、日本列島に沿って、源のアラスカまで走ってるんです。最初の一番南の海中活火山の名前が神武天皇の神武。神武、綏靖、安寧、懿徳、孝昭、ずっと上がってきて、一番最後のアラスカに近いとこの海底火山の名前が、名前忘れちゃったけども、何か江戸時代の天皇の名前だそうだよ。天皇というのは歴代随分続いてきてかなりの数がありますが、江戸時代というのはかなり間近で、それまで海底火山がずっと連なるというのは、これはこんなこと日本人知らないんだけど。そういう地政学的な条件の上にあるんで、三宅もその1つの一端でしかないんですけども、東京都としては何をできるかったら何もできない、地震(噴火)を防ぐことなんて。ただ、そういう予告をする、統計の上で、あと、また10年足らずで地震が来る可能性は、過去の経験から十分ありますといって警告する以外ないでしょう。

【記者】去年1年間で新しく帰島された方が、高齢化して、医療の問題ですとか、あと、若い人でも子供を教育受けさせる場がないということで、ほとんどいないようなんですけれども、今の話を伺ってると、単純に補助金出すような生活再建だけではちょっと苦しいかなということを考えていらっしゃるということですか。

【知事】できません、そんなことは。とてもかなうもんじゃないです。はい。

【記者】そうしますと、三宅はどうなっていきますかね。

【知事】それは君に教えてもらいたい、神様だったら。わからん、これはほんとに。何年先に地震が起こるか。今までの経験だったら必ず起こるんだ、また、ごくごく最近。そういうもの、みんな覚悟で住んでるんだろうけれど。私は代議士やめて、あることの取材で三宅島行ったら、かつての支持者がいまして、「石原さん、何しに来たか知らないけど、もうじきこの島、地震起こるぞ」と言ったら、ほんとに1年経ったら起こった。そういう経験というものは、ないがしろにできないけど、しかしそれに引きずられていたら島の生活もできないでしょう。みんな何かこう、ある意味で覚悟もし、たかもくくって、あそこを選んで住んでるんだろうけど、それは恐ろしいといえば恐ろしい、気の毒といったら気の毒ですよ。それ以上のことできないものかな。はい。

【記者】先週末ですが、都内では島部の(都議会議員)補欠選挙が行われまして、知事は先日、今後を考えるよすがにもなるのではないか、とおっしゃっておりましたが、結果についてはどのようにごらんになりましたでしょうか。

【知事】川島忠一さん(元都議会議長)というのはすばらしい政治家だったからね。島のためにほんとうに大貢献したんで、彼の後援会の大勢が全面的に支持した候補者が通ったというのは、島にとってもよかったんじゃないですか。島に育ったことのない人間が外からぽっと来て、島の独特の事情、さっきの三宅島の話も含めて、わかるわけないんだから、そういうことですよ。それから今度の、国民から眺めれば非常に不愉快、不可解な、政府の中枢の人間たちの金の問題なんかもひびいたと思う、これは。ひびかないわけはないと思うよ。

 はい、どうぞ。

【記者】まちづくりについてちょっと、2点ほどお聞きしたいと思うんですが、1つは東京都の予算にもありますが、開かずの踏切問題なんです。都内にはかなりまだ開かずの踏切問題がありまして、渋滞が結構いろんな箇所であるわけですが、今回は3か所ですか、上程されて、予算がついてるようですが、進まない原因というのはどういうところにあるとお考えになっていますでしょうか。

【知事】それは、あなたは法律知ってるかどうか知らないけど、踏切立体化するときは、そこを走っている鉄道会社というのが、かなりの部分、財政的な責任を負わなくちゃいけないんです。それは、鉄道会社にとってみたら、予期してなかった負担ですから、それは非常に渋るし、工事そのものが進捗しないというのは、仕方がないんじゃないでしょうか。ただ、それで済みませんよ、被害が多いから。特に中央線なんかは、非常に飛び込み自殺が多いでしょう。年中、人身事故で電車がとまるというのは、みんなあれ、投身自殺ですよね。あの踏切が立体化されたら、ああいうことは起こらないんだけど、中央線はそういう、やけに因縁のある路線で。ただ、今言ったみたいに、立体化するためにはそこを走ってる電車の鉄道会社が、ある経済負担をしないと事は進まない。それが、プロジェクトの進捗がおくれてる大きな理由だと思います。

【記者】東京都のほうも、何がしかの助成を出さなきゃならないという状態があると思うんですけれども、そういう意味では東京都のほうもどんどん予算化をそこでやっていくから、鉄道会社にも積極的に取り組んでくれと、こういうふうな形で進める…。

【知事】だから予算には組んでますよ、部分的には。しかし東京が全部出してそれをするというわけにはいかない。もっとほかに優先順位の高いものがありますから、社会的に。

【記者】優先順位の問題だということですね。はい。

【知事】そうです。経済効果とか、その他含めて。はい、どうぞ。

【記者】新銀行東京の話に戻って恐縮なんですが、知事が中小企業を支援したいということで、新銀行を託した仁司さんを訴えるという事態になったということについては、どういうふうにお考えでしょうか。

【知事】これは非常に残念です。私、取締役会が、3人か4人いた候補の中からあの人(仁司泰正氏)を選んだ報告聞いて、ああ、そうですかと、了承しただけですけれども。その後、経団連(日本経済団体連合会)の会長をした奥田(碩)君に会ったときに、彼が、今度行った仁司というのは非常に優秀な人材で、問題があった高速道路の事業団の総裁の藤井さん(藤井治芳 元日本道路公団総裁)がやめた後に据えようと思ったというから、ああ、そんな立派な人物なのかと。だから大事にしてくれと、私も期待してるよといったら、意に反して、ああいう体たらくでした。

 はい、それじゃ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)