石原知事記者会見

平成22年1月28日更新

石原知事定例記者会見録

平成22(2010)年1月22日(金)
15時29分〜15時57分

知事冒頭発言

1 平成22年度東京都予算原案について

【知事】平成22年度の予算原案がまとまりましたので、その骨子について説明いたします。

 今回の予算編成は、都税の収入がわずか2年の間に、1.1兆円もの大幅な減収となる中で、いかにしてその現下の閉塞(へいそく)感を打破し、将来を切り拓く手だてを講じていくかという、非常に難しい課題に取り組む作業となりました。同時に、二番底のおそれもありました。今後も厳しい財政環境が想定される中、強固な財政力をいかに将来にわたり確保していくかが、もう一つの大きな課題でありました。

 そのため、新たな公会計も活用しまして、より厳しく事業のありようを見定め、むだを排する観点から、歳入歳出、両面にわたり徹底した洗い直しを行いました。その上で、都債については、この間、発行を抑制することで高めてきた発行余力を積極的に活用いたします。基金についても、福祉や環境など目的を定めて積み立ててきた基金は、最大限活用することによりまして、財政調整基金の活用を最小限にとどめました。これによって、今後への備えとして1兆円を超える基金、預金の残高を確保をしました。

 このように、みずからを厳しく律して、将来への憂いを取り払うことで、今日、都がなすべき役割を確実に果たしていくために、知恵を絞り、汗をかいたのが今回の予算編成でありました。

 この予算の第1のポイントは、都民の雇用や生活への不安にしっかりと対応することであります。主な取組としては、中小企業の受注や雇用創出につながる道路・河川の維持管理などの公共事業の推進に1,236億円。介護資格取得や離職者の再就職に向けた集中支援などの総合対策の実施に401億円。制度融資など中小企業への金融支援に3,360億円など、依然として厳しい雇用や中小企業をめぐる状況を踏まえまして、引き続ききめの細かい施策を継続・拡大してまいります。なお、23区の固定資産税等につきましては、小規模非住宅用地の減免など、既存の軽減措置を継続します。

 第2のポイントは、重要な諸課題に対して国を先導する都独自の戦略的な取組を行うことです。主な取組としては、東京が都型の学童クラブの創設など、少子化打破に向けた先駆的な取組に347億円。ケアつきすまいの整備など、東京の特性を踏まえた少子高齢時代にふさわしい「すまい」の実現に21億円。NICU(新生児集中治療管理室)の運営支援の拡充など、周産期医療体制の拡充に31億円など、現場を持つ東京だからこそ発信できる、独自の戦略的かつ実効性のある取組を進めます。

 第3は、東京の将来を切り拓く活力創造に向けた取組を行うことです。主な取組として、東京外かく環状道路の整備に77億円。鉄道の連続立体交差化の推進に504億円。中小企業の省エネ促進・クレジット創出のプロジェクトなど、先進的な環境政策の推進に132億円。新たな需要の創出にもつながる病院や学校などの耐震化促進に197億円など、東京が将来にわたり日本を牽引していくために、「10年後の東京」計画の実現をはじめ、東京の可能性を引き出す戦略的な投資を行っていきます。

 以上、これまで申し上げたとおり、平成22年度予算では、大幅な税収減に直面する中にあっても、都財政の健全性を堅持するとともに、東京の「現在」と「将来」に対して、今、東京がなすべき役割を積極的に果たす予算として、都民の皆様の期待に十分こたえられるものと確信しております。

 この予算を原動力として、東京がその底力をいかんなく発揮して、都民生活を覆う閉塞感を払拭(ふっしょく)するとともに、東京の新しい活力の創造につなげていきたいと思っております。

 最後に、2つ申し上げておきたいんですが、1つは、法人事業税の暫定措置についてです。これは、福田(康夫)内閣のときに財務省が一方的に決めまして、とにかく、当時の税収のレベルでいくと、暫定的って2年間、1年間に3,000億ずつ、東京の財布からふんだくっていくことを決めたんですが、これは、当時の国会では民主党の何人かの議員が強烈に反対をしてくれましたが、反対のしようがなく、まかり通っちゃったんですけれど。この平成22年度の法人事業税の減収のうちの2,000億円近くは、この制度によるものです。都税の収入が2年間で1兆円以上落ち込む中で、なぜ東京の財源が、毎年2,000億円も国に奪われなくちゃいけないのか、全く理不尽ですなこれは。申し上げますが、決めた当時は、民主党の議員は3人、4人、猛烈に反対してくれたんですけど、その議事録持ちまして、菅(直人)副総理に会ったときに、これは何とかしてくれって言ったら、後で電話がかかってきて、急だったもんで今年はどうもなりませんから時間かけて来年度は考えますっていうことでしたが。これはもうほんとに、都議会にあっては、すべての政党が挙げて協力して反対してくれた。国会では、皮肉なことに、東京の議会では第一党といったら、自民党ももちろん反対したんですが、民主党も強力に反対してくれて、今、力の配分が逆転しましたけども、これは、東京の将来にとっては欠かすことのできない問題でありますから、この姿勢を、引き続き、都議会を挙げて保っていただきたいと思ってますけれども。都財政をめぐる厳しい財政環境は、今後も当分続くものと見込まれますし、その中にあっても、我が国を牽引し続けていくことが都政の役割であると思いますが、そのためには何としてもこの不当な制度を直ちに撤廃して、2,000億円を取り戻さなきゃならんと思ってます。幸い、現在も過去も、都議会挙げて応援してもらってますので、しっかり手を携えて、今まで以上に強く国に働きかけていきたいと思います。メディアの諸君も、これは、理解して協力していただきたいですな。とにかく、財務省が決めたら、一晩にして法律が変わって、有無を言わさず子供の財布から親が膨大なお金を持っていくというのは、こんな行政というのは私はないと思います。

 もう一つは、豊洲新市場の整備についてですけれども、築地市場の老朽化は、先日の崩落事故、これは(東京では)震度2でしたかな、わずか震度2でも屋根が落ちた。先日のその崩落事故に見られるように、既に、相当老朽化が進んでおります。これだけの人口を抱える東京で、仮に中央市場の機能が麻痺(まひ)してしまえば、都民生活に与える影響が甚大であります。したがって、新市場の整備は市場関係者にとって切なる願いであるだけではなく、東京ひいては日本の食を支えていく上で一刻も早く実現しなくてはならない課題であります。もとより、本事業の推進は、土壌汚染がきれいになることが明らかになることが前提であります。これは大前提ですが、そのために近々、土壌汚染対策の有効性の確認実験を開始します。今回、適用を予定している土壌汚染対策の工法は、既に、もう複数、成功事例もありまして、十分な有効性を持っております。その結果を確認した上で、速やかに、(平成)26年度中の豊洲新市場の開場に向け、事業に着手するつもりです。

 平成22年度予算では、そのために必要な経費を計上しております。議会の中には、「現地で再整備すべきだ」という意見もあるようですけれども、妙案があるというならば、今後、論議することはやぶさかではありません。ただ、築地市場の現状を考えますと、我々に与えられた時間はあまり多くない。これから始まる第一定例議会においては、真摯(しんし)に、密度の高い議論をしていただきまして、政治として、責任のある判断をしていきたいと思っております。

 私から、予算に関して申し上げることは、以上です。質問があったら、どうぞ。

質疑応答

【記者】まず、予算全体のお話、繰り返しになるかもしれませんが、1兆円という基金を残されたということですね、絞って言うと、将来というお話で。知事、もし今期限りで引退されるようでしたら、もう一回ぐらい予算編成ということで、先々に、このお金を残すバトンタッチという意味もあると思うんですけれども、その基金を1兆円残した、あるいは、都債の発行を抑えてきたということに対してのねらいというんでしょうか、改めてですけど…。

【知事】都債は、ある程度発行することになりますが、これは、国と違って非常に健全なポーション、比率ですから、何ら、忸怩(じくじ)たるものございませんが、ただ、せっかくみんなで、財政再建してやってきた「貯金」、これはそう簡単に使わないほうがいいと思うんで。これ、取り崩すと、海岸につくった砂の城みたいに、あっという間に、どんどん波にやられてなくなっちゃうんで。私の前任者、前々任者の特に最後のころっていうのは、景気も悪くなって、これ(基金)、使い込んでいったために、私が就任したときはとにかく200億しかなかったわけですから。これは、ほんとにぞっとしたんだけども、そういう思いは、やっぱり後継者にもさせたくないし、それから、都民自身は、東京の財政にそれほど精通はしておられないだろうけど、これが破綻してきたときに、行政そのものがこけてきますから、それで、急に迷惑をかけるわけにいかない。この言いわけもつかないと思うんで、できるだけ節約をしていくということで、せっかくの貯金ですから残すようにしました。

【記者】それと、一方で、歳出への切り込みというところで言うと、財務(当局)がかなり削られたようなんですけれども、これは、十分というか、ちょっと乱暴な議論ですけれども、どの程度、知事、達成感、今、持っていらっしゃいますか。その精査という部分で。

【知事】それほど、パーセンテージから言うと、べらぼうなのを削ったわけじゃないし、前年に比べても、そんなに見劣りしない予算だと思いますが。いろんな経験をしましたんで、民間に依頼してやった事業そのものは必ずしも、プロパーの役人(都庁職員)だけでやるのに比べて合理的だと思わないものがありましたから、そのうちわかってくるでしょうけど、そんなものは、精査した上で廃止するとか、条件つきで一応、計上したものはありますが。

【記者】それと、最後、築地の問題、議論ですけども、はっきり言うと、先ほどのメッセージは、民主党に向けられたメッセージかなと私は受け取りましたけども…。

【知事】これは初めに言葉ありきじゃ、八ツ場(ダム)じゃないけど、また混乱するんで。公約が何だろうかんだろうと、やっぱり私が扱わなくちゃいけない現実ですから。その現実をどう乗り越えていくか、整理していくかということのために、公約で論拠のないものとは言いませんが、いずれにしろ、当事者の大多数の声聞けば、とても今のままじゃもたないと言うし、この間の地震で、ちょっとした地震であれだけの崩落があった。これ、例えば震度5とか6なんか来たときに、どうなるかといったら、僕は築地は全部閉鎖になると思うし、何が起こるかといったら、にわかにあんな大きい市場をつくるわけにいきませんよ。ただ、今の現代の技術からいくと、もう流通機構も変わってきてますから。例えば現地直産とか、インターネットで発注する量も増えてきた。それから、コンビニとか大きな店舗は、企業ごとでいろんな契約してますし。私は、市場というものに頼らない流通というのは、一気呵成(いっきかせい)に進む可能性だってあると思います。このまま放置したら、壊滅したら。案ではなくても、そうせざるを得ないという形で、全然違う流通機構ができるかもしれない。それはいいか悪いかは別にして、せっかく、とにかく伝統のあれ(市場)ですから、築地の名前が廃(すた)れるのは怖いというのは、豊洲を新築地にしたって目と鼻の先なんだから、私は、変なノスタルジー(郷愁)、センチメント(感傷)で、この問題は片つかないと思う。何といったって、人間の、都民の健康にかかわるような食品の問題ですから。私はだから、一刻も早く代替地を見つけて設定して、できるだけ早く建物をつくる。しかも、日本の技術というのは世界で最高のものだから、その成功の事例もありますし、それじゃ当てにならんと言うんなら、現場でやってみて、26年に間に合うような形で急いで、しかも、予定した予算よりもずっと安くできるというんだから、私はそれやってみるのは、政党を超えた何か、政治家としての一番合理的な都民に対する姿勢じゃないかと私は思いますけれども、それは、じっくり議会で議論しようと思います。

【記者】今おっしゃった意味というのは、要するに、例えば地震が起きて、築地がちょっとどうにかなっちゃった場合には、流通機能が発達してるので、ほかのエリアの市場に取ってかわられてしまうと。そうすると、東京に食を支える市場がなくなってしまうと、そういうようなことで…。

【知事】いや、それは、どういう形で出てきますかね。東京は東京で大きな需要がありますから、それを、できるだけ現場を踏まえて賄うというか、かなえていくような方法というのは出てくるかもしれない。今、インターネットの中での流通というのがどれだけあるか、生鮮食品はわかりませんけれども、これもっと拡大すると、つまり、石油を扱ってる取引所なんてのは、この部屋ぐらいのとこでやってて、世界中の石油を動かしてるわけですから。ああいうメカニズムというのが流通に、生鮮食品に働いてきたら、私たちがやってる議論というのは、あるいは、あるいはですよ、陳腐なものになるかもしれない。そういった、文明の進捗状況を踏まえてみると、形は古いのかもしれないけれども、ああいう大きな市場を、一応設定したんだったら、できるだけ早くそれを再生したらいいと私は思います。

【記者】都議会の構成が変わって、今、民主党が多数ですから、共産党さんやネット(都議会生活者ネットワーク・みらい)さんと組めば、予算も、もしかしたら(否決)という話はあるんでしょうけども、そういう意味で、今回の予算で、例えば民主党の予算要望ですとか、あるいはマニフェストですとか、そういったものを知事なりに、どこを配慮したとまで言いませんけども、考慮に入れ…。

【知事】これから、それは議論することで、予算の復活折衝もあるわけですから、そのときに、例えば築地の問題に対して民主党がどういう復活折衝をしてくるか、これは、これからのことですから、それを一々憶測しても、憶測し切れるものじゃありませんから。こちらが大義名分踏まえたつもりで、しかも、いきなり移すんじゃなしに、移すための絶対必須条件としての、汚染というものが除去できるかできないか、技術的に、そういったものを実験するわけですから、これは数か月で済むわけですから。その結果を踏まえて、次のステージの議論はあってしかるべきだと思います。日本が持ってる技術を信用せずに、そんなもの当てにならないから実験させないというんだと、これは、もうちょっと論外な、議論にならない議論じゃないでしょうか。はい、どうぞ。

【記者】関連で1点だけ。築地の関係なんですけれども、実験が6月末まで予定されていまして、だけども予特(予算特別委員会)は3月であるというところで、6月後の補正でもいいのではないかという意見も議会からは聞こえてくるんですが、それに対しては、土地取得は6月以降に…。

【知事】いや、実験は早くやったほうがいいでしょう。26年、開場のために。議会がいつあるとか別にしても、どんどん実験しなかったら、結果、出ないじゃないですか。

【記者】土地の取得費を盛るのが、その実験の結果を受けて…。

【知事】取得じゃない。それは取得するかしないかを、まず実験で決めるんですから、予算よく読んでください、それは。はい、どうぞ。

【記者】鳩山(由紀夫)政権になって初めて東京都のほうの予算を組んだということになるかと思いますけれども、まず、国の予算編成の影響というのをかなり今回、受けたと思うんですが、今回の都の予算編成をしてみて、国の影響を受けた部分について、知事としてどのようにお感じになってるかというのが1点目になるんですが。

【知事】大まか決まってて、その内容がわかんないもの、幾つかあります。それから、そういったものは、できるだけ早くはっきりしてもらわないと、東京に限らず、地方も、予算の正確な執行ができないということの憂いはあると思いますけれども。

【記者】それから、外環道なんですけれども、77億円を計上されたということなんですが、これ、国のほうが、都の要求する300億円の予算を組んだ前提で組まれているというふうにお聞きしているんですけれども、道路予算がかなり減る中で、都の要望どおりいかないんじゃないかというような話も出ています。外環道について、今回の予算計上についての知事のお考えと、今後、国に要望したいことというのをお聞きしたいんですが。

【知事】インフラの整備というのは、国にとっても、地方自治体の行政にとっても、非常に大きな意味を持つ大事な仕事です。それで、これを一切やらないで済むような国も地域もないわけですけれど。国全体で考えたら、コスト・アンド・ベネフィット(費用対便益)、これ全然無視した、ばかなプロジェクトも今までやってきた。再三、申し上げてるけど、諫早(湾)の干拓とか長良川の河口堰とか、ああいう、わけのわからん事業じゃなしに、コスト・アンド・ベネフィットということを考えたら、外環ほど、有効性の高い事業がほかにありますか。そのプライオリティー(優先順位)というものを、国がわからないんなら、これは、だれがそれを是とするか知らないけど、おそらく担当の国土交通省でそんなこと考えてるのは1人もいないと思います。その役人の意見を聞かないのが、今度の内閣の何か特質らしいけれど。それで、官僚が今までの経験、知識というものを踏まえて、心得てるその優先順位というものを、政治家が否定する論拠というのがあるのか。それがあったら聞きたいけれど。あったらこちらも黙りますが、どう考えても、日本で一番(有効性の)高い、単に東京のためだけじゃない、日本全体のためになるこういうプロジェクトを、予算が足りないから全体に縮小するというのはわかるけど、公共事業だからやらないということは、ほとんど立ち行かないし、そんなことあり得ないと思います。これは、東京のためじゃなしに、日本全体のため、早く、一番急いでやるべき仕事だと思います。そうじゃないと言うんなら、理由を示してもらいたい。政府のどなたか知らんけども、おそらく担当の前原君(前原誠司 国土交通大臣)だって、とてもそんなこと考えてないと思う。

【記者】今回の予算は、そういう意味での知事の強い決意を感じる、外環道の予算計上は…。

【知事】強い意志も何も、これは、文明工学的に自明なことだから、考えればわかるよ、こんなことは。数字並べてみたら、結果で出てるんだから。はい。

【記者】あと最後に、オリンピックなんですけれども、今回、基金のほうは4,000億残しましたけれども、一般会計の予算上は、オリンピック関連予算ありませんでした。知事のほうが再度の招致の意欲を示されていると思うんですが、その辺のお考えについては、どのようなことで…。

【知事】これは、国民とか都民の民意を反映して、次の担当者が決めることだし、私の在任中でも期限が来れば、都として考えなくちゃいけないことでしょう。それは論議を尽くしたらいいですし。ただ、皮肉なことに、残念ながら挫折したときになって、いろんな調査してみても、「やりたかった」、「やればよかった」という声が多くなってきた。世相の何か雲行きもあるけども、じゃ、これから、とにかくこういう世相が続く限り、経済状況が続く限り、力があっても、とにかくほかに使うんで、オリンピックは日本で一切やらないんだと、日本にはオリンピック要らないんだと言い切れる政治家いるのかね。そういうことです。だからやれとは言ってませんよ。それはみんなで考えたらいいことで。どうぞ。

【記者】今のオリンピックの話にも絡むんですけれども、基金が来年度で1兆円になります。その中で4,000億円を持ったオリンピックの関連基金というのが、非常に存在感というか、存在が高まってきてると思うんですけれども、知事の在任中はこの4,000億円には手をつけないつもりなんでしょうか。

【知事】つけないで済ましたいですな。とんでもない、船がほんとに間違いなく沈むといったら、そんなこと言ってられないでしょう、あなた。そこのところ、みんなお互いに常識で判断して考えたり質問したらいいと思うんだ。白か黒かというようなものの判断じゃないと思う。物事、どんどん移り変わっていくし、それを着実に反映していくことが行政の手腕じゃないですか。はい、どうぞ。

【記者】土壌汚染のことなんですけど、築地市場なんですけれども、汚染処理の費用というものはどういうふうな形で、例えば東京ガスのほうには、どういうふうに負担をしてもらうというふうに考えていますでしょうか。

【知事】これ、とってもいい質問で大事な問題で、人に物を売っといたんだけど、売る約束したんだけど、こっちもどうしても買わざるを得ない事情があって、買う約束したら、それがとんでもない製品だった、代物だったときは、これは売る側の責任だって当然あるでしょう。これ、普通の社会の商取引の中での常識だと思います。これは、今も話してるようですけど、これからも積極的にというか、考えていかざるを得ないと思います。私たち、知りませんでした、知らないで売りましたということで済むもんじゃないと思う、これは。企業、しかも立派な企業なんですから、企業というのは責任あるでしょう、それは。今まで自分たちがどういう経営、どういう作業したか知らないけど、その結果、とんでもない汚染が一部であるけど堆積してるということ、それを知らずに売った、知らずに買っちゃった。こっちも腰抜かしたわけだから。その責任、とるべき人間がとらなかったら、世の中、物事通らないんじゃないですか。どういう形でそれをつけるかって、これからの話し合いだと思いますけど。向こうも腰抜かしたと思うよ。大分どんどん変わってるんだろうし。しかし、一番の被害者は、一番驚いたのは東京ですよ、それは。

【記者】予算と関係のない質問で大変申しわけないんですけれども、来月、大阪の橋下(徹)知事が、就任2年を迎えるということで…。

【知事】2年ぐらいで人の評価なんかさせないの。それはあなたがおもしろいかも知らないけど、当人に聞きな、当人に。

【記者】ええ。就任されて、まず最初に知事のところに…。

【知事】大阪キャンペーンして、牛若丸みたいに頑張ってるよ。僕は非常に評価して、頼もしく思ってますけれども。

【記者】当時、知事が官僚だと、役所に気を使うというようなことを最初に言われてましたけれども、これまで、直轄事業負担金など、国に対しての発言というものに関しては、他の知事と比べて評価するべき点があるんではないかと思うんですけど、知事から…。

【知事】全国知事会なんてのは、官僚出身の人が多いから、どうしても出てきた本家を振り返って、政府に向かって物言うのは恐れ多いところあるけど、橋下君はそういう点じゃ、何か暴れまくってていいんじゃないですか。ただ、ちょっとフライングじゃないかというような気もあるけれど。それは大阪の空港で、関西空港で、普天間(沖縄県にある米軍普天間飛行場)引き受けるなんていうのはできっこない、そんなことは。はい。

【記者】また、予算からまた離れて恐縮なんですが…。

【知事】予算の関係のあることやってくれ。政治に関係あることを。

【記者】先週、民主党の小沢(一郎)幹事長の元秘書が逮捕されまして…。

【知事】あなた方が詳しいんじゃないの、それ。

【記者】今週、小沢幹事長の事情聴取をするとかしないとかで連日ニュースになってますが、知事の感想をお願いいたします。

【知事】だから、国民や何かがやっぱり納得してないというのは、それは圧倒的な意見じゃないですか。私もそうだと思います。だから納得するようにしたらいい。白か黒かは、それは判断するべき人がするんであって。はい。

【記者】予算に関連してなんですけれども、知事も冒頭申されてたとおり、新年度予算というのは、まず第1に、都民の雇用の不安にしっかり対応していくものにしたいということをおっしゃってましたけれども、それで、1つのアプローチとして、公共事業もしっかり盛り込んでいくというようなお話もされてましたが、その一方で、今週の月曜日まで都が運営していた、いわゆる派遣村というような取組もあったりして、要するに仕事…。

【知事】都が運営したんじゃない。あれは国がやったんだよ。国に頼まれて都が場所を提供したんだよ。国がやる仕事なんだ。都の役人駆り出して、ほんとは厚生労働省の役人が長妻君(長妻昭 厚生労働大臣)と一緒にやるべき仕事なんだよ。あなた、それ勘違いしないで、それ。はい。

【記者】そういう問題点のようなものも出てきた、いろいろ初めての取組だったんで、結局、雇用対策の一環として国はやりたかったんだけれども、結果としては生活保護を…。

【知事】雇用対策なんてほかにやることいっぱいあるの。それから、データも出てますけど、あそこに入ってた人たちにどういうクエスチョン(質問)して、どういうふうに彼らが答えて、結局随分提供した職を彼ら、ほとんど選ばなかった、みんな。そういう実態等を聞いた上で、あなたは、雇用の問題、話しなさい。それから、失業保険の問題もあるだろうから、国はそういうものの沽券があるんで、なかなか手放さないけれど、ハローワークなんかも地方の自治体に任せたほうが、現実性があるんですよ。それを全部抱えてて、しかもワンストップサービスもせずに、授産した後で、せっかく勉強した仕事、技術使って、どこか仕事ないですかっていったら、ハローワークへ行けって。そこで相談もできない、そんな仕組みの雇用対策はないよ。厚生労働省行って、君言ってこいよ、そのことを、ほんとに。はい。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)