石原知事記者会見

平成22年1月15日更新

石原知事定例記者会見録

平成22(2010)年1月8日(金)
15時01分〜15時28分

知事冒頭発言

1 「首都高速 中央環状新宿線の開通」について

【知事】冒頭、3つほど申し上げることがあります。

 最初は、首都高速の中央環状新宿線が開通します。東京の最大の弱点であります渋滞を解消するために、首都圏三環状道路をはじめとする道路ネットワークの早期の整備が不可欠であるとかねがね言ってきましたが、首都圏三環状道路のうち、最も内側に位置する首都高速中央環状線の、3号渋谷線から4号新宿線までの区間約4.3キロメートルが、本年3月28日に開通をすることになりました。

 この開通によって、東名高速と東北道、常磐道などのアクセスが向上し、例えば、東名の用賀から、東北道の川口までの所要時間が、現在の1時間から、3分の2の40分に短縮されます。また、交通の分散が図られまして、新宿線が整備される前の平成19年と比較して、首都高東京線のピーク時における渋滞の長さが半減いたします。

 さらに、今回の開通によって、CO2の削減効果は年間約3万4千トンでありまして、これは日比谷公園の面積の約200倍の植林と同等の効果に相当します。中央環状線の残る区間であります品川線については、都が、首都高速道路株式会社と共同で、平成25年度の開通を目指して整備を進めております。

 国においては、道路関係予算を大幅に削減しておりますが、この首都高中央環状線や外かく環状道路など、東京の道路ネットワークの整備の効果は極めて高く、必要な予算を確実に確保するように、引き続き強く求めてまいります。

2 FIFAワールドカップ開催都市の申請について

 2つ目は、FIFA(国際サッカー連盟)ワールドカップ開催都市の申請でありますが、次世代を担う子供たちをはじめ、多くの皆さんに夢を与えられるよう、2018年と2022年のサッカーのワールドカップについて、日本招致委員会に対して、それがかなうならば、東京が開催都市となるための申請を行いました。

 試合会場は、既存の施設を活用して、味の素スタジアムと国立競技場の2つを予定しています。2002年に、日韓共催で行われたワールドカップでは、日本国内だけでも140万人を超える観客が観戦するなど、日本全体が非常に盛り上がりました。こうした世界有数のスポーツ大会が開催されることは、東京の魅力を広く世界に発信することにもなって、大変意義があると思っております。

3 東京マラソンファミリーランの開催について

 3つ目は同じスポーツですけれども、東京マラソンは2月の最終の日曜日に行われますが、来月開催する東京マラソンは、今年で4回目を迎えますけれども、今度の大会には3万5千人の参加定員に対して、31万人を超える応募がありまして、東京マラソンに参加したいという要望は非常に多くなりました。1人でも多くの人に、東京マラソンのすばらしさを体感してもらうため、マラソン当日に親子で参加できるイベントとして、「東京マラソンファミリーラン」を開催することにしました。

 小学生と保護者のペア、500組1,000人に、実際に東京マラソンが行われているコースの一部を走ってもらう。せいぜい2キロぐらいのようですけども、次の世代を担う子供たちにもその魅力を感じてもらうことが狙いであります。有明の防災公園事業地をスタートして、東京ビッグサイトのフィニッシュゲートにゴールする2キロメートルのイベントですが、海外では、ニューヨークのシティマラソンのフレンドシップランをはじめ、多くの大都市マラソンで関連のイベントがありまして、これにもならって、東京マラソンでも多くの皆さんに楽しみながら走ってもらいたいと思っております。

 私から申し上げることは以上です。質問があったらどうぞ。

質疑応答

【記者】今、東京都が国とともにやっている「公設派遣村」について、2点ほどお伺いをしたいんですが、1つは、今、派遣村が閉所されて、別の次の施設に移ってるんですけれども、もう大分混乱が起きていて、これは1つには入所者のモラルの問題もさることながら…。

【知事】それはもっと強く言ってもらいたい、メディアは。

【記者】それは、あると思うんですけれども、もともとこれ、国の要請を受けて、東京都がやっている事業であるということを東京都は一貫して主張してまして、その東京都に主体性がないということも原因の1つだということを現場を見ていて思うんですけれども、それについてどう考え…。

【知事】東京都の主体性がどういうふうに欠けてるの?

【記者】要するに、あくまでも我々は国の要請を受けてやっているのでということで、もともと東京都が最初から広報のやり方を、例えば、どこでどういうふうにやるかということを遅らせていたりとか、現場で情報伝達のやり方が非常に悪くて、入所者の人たちが不満も募っているという面も否めないところがあるんですけれども、その辺について、都と国の関係についてどういうふうに思われるかということが1つと、あと、それからそれに関連して、国のほうからは、「公設派遣村」の開設期間中、大臣もさることながら、鳩山(由紀夫)首相も、何度か視察に来られたりということがあったんですけれども、石原知事は視察には来られてないと思うんですが、都の職員が年末年始の期間中休みなしで派遣村で勤務していらしたかと思うんですが、その期間中に視察に1度も来られなかった理由についてお伺いしたいんですが。

【知事】第2の問題について言いますけど、私は、あの程度の行事に、総理大臣が出かけて行くべきじゃないと思う、逆に。もっとすることたくさんあると思いますよ。政治のポピュリズム(大衆迎合主義)の1つの表示みたいに、あそこへ総理や主要大臣が出かけるというのは、外国ではあり得ないんじゃないですか、そんなことは。ですから、私は行きません。やればいいことをやっただけのことですから。そんなものは国がもっと広範囲で、じゃあ、東京都だけでやっていて済むの?

 ほかの大都市でもいろんな人がいるんでしょうから、そういうことを考えれば、東京だけがフォーカス(関心の的に)されて、それで、私もこの間、菅(直人)副総理から、わざわざ電話かかってきたんで、ほかの、僕は注文をつけてたんで、その回答かと思ったら、何のことはない、自分たちがもてあましてた場所を東京が提供したんで、どうもありがとうございましたってことだったけど、これは結構でしょう、それは礼を言ってくれるのは。こちらも努力したんだから。

 今度の問題なんか見ても、あなたもおっしゃったように、入居している人たちのモラルの問題がありますよ。こういったものを、メディア含めて政府もきちっととらえて、ああいうゆがんだ形で事が終わらないように、国は国でしっかり設計図をつくって、もっと大きな取組をしてもらいたいと思います。そういうこと。はい、ほかにどうぞ。

【記者】派遣村の件で、追加でお聞きしたいんですけれども、今大田区の施設は2週間ほどということで受け入れを決めているんですけれども、仮に2週間たって、18日の月曜日だと思うんですが、なかなか行き先が決まらなかったりという人がたくさんいる場合は、あそこは閉じるお考えなんでしょうか。

【知事】期限は延長しません。

【記者】延長しないとなると、これまでもその…。

【知事】しかし、それは、あの限られた人だけじゃなしに、この新宿の都庁の周りだって、ホームレスはいっぱいいます。そんなこと言ったら限りがないというか、これは、地方自治体が右往左往して対応することじゃなくて、かといって、それを何か見殺しにしろってわけじゃないけれども、じゃ、一体、春、暖かくなって、野宿しても心配がない時期までとにかく保護しろと言ったら、これまたもっと大きな問題になっちゃうんじゃないのかね。行政ってのは、そんな簡単なものではないと思います。どこかでけじめつけなかったら。

【記者】これまでも、入所者の方ですとか、あと支援団体の反発があって、ずるずると支援の枠が大きくなってきたという経緯が今回あると思うんですけども、閉めるとなるとまたいろいろ反発があると思うんですが、それでもお考えは。

【知事】そうです。大体どこかの新聞が報道したけど、入居者が、「役人なんていうのは、こっちがおどかし、ごねれば、いくらでも言うこと聞く」なんてうそぶく、そういう姿勢といったら、これ、大きな反省の対象になるんじゃないですか。実はもっと困ってる人たくさんいるよ。

 それから、実際に仕事あっせんしても、「それは嫌だ」と言って、とにかく生活保護のほうが結構だというような人も随分いる。そういう事例というのは事欠かないが、全部抹消されて、何か大きなセンチメント(感傷)でそれくくろうと思っても、この問題というのは基本的に解決しないと思います。はい、どうぞ。

【記者】関連で、長妻大臣(長妻昭 厚生労働大臣)も今回の問題については、不祥事が出たことで残念だと、支援体制の見直しというようなことについて言及しましたが、それについての知事の見解をお伺いしたい。

【知事】そのとおりだと思う。政府は反省したらいいよ、本当に。こっちは頼まれてやったことなんだから。政府の厚生労働省の役人に現場に来て手伝えといったら、国の官僚は気取ってて、そんなことしやしないよ。本当は自分たちが言い出したこと、自分たちでやるべきじゃないか。はい。

【記者】きょうから東京都の新年度予算案の知事査定が始まるかと思いますけれども、大幅な税収減の中で、新年度の予算というのは、どのような形で仕上げていきたいというふうに知事のほうはお考えでしょうか。

【知事】どのような形って、それこそ、きちっと仕分けをして、絶対に要るもの、要らないもの、プライオリティー(優先順位)をつけながら、していかざるを得ないでしょう。1兆円近い税の減収になっちゃったんだ。前代未聞のことですよ、これ。

 ただ、今までも財政再建したんで、決してずさんとは言わないけど、かなり放漫なこともやってきたから、そういったものは削るものは削る、抑えるものは抑えるということで。積立金を崩していったら、きりないことですから、このリセッション(景気後退)は、いつまで続くのか、いろんな見解があるけれども、今年中にどういう形で2番底が来るのか、来ないのか、この点はなかなか予測のつかないものですから。

 締めるところは締めて、精いっぱい締めてといっても、まるで戦争中みたいな、都民に耐乏を強いるわけにもいかないし、みんな、かなり行政のサービスに慣れ切っていますから、にわかに削るっていうのはいかんでしょう。そこら辺の斟酌(しんしゃく)って、とっても難しいと思う、僕は。今度の予算編成というのは、かなり都庁の中でもかんかんがくがくあるんじゃないでしょうか。

【記者】さっきの雇用問題とか、社会不安も高まっている中で、必要な経費というのがあるかと思うんですけれども、その辺をどういうふうに確保していくお考えなのかというのは。

【知事】これは、もうちょっと個々のアイテムについての査定の討論の中で出てくる結果ですから、今から、あれはこう、これはこうって言えませんし。今日から始まるんですけども、結果として、それが放漫に堕さないように、みんなで努力していくつもりでいます。

 とにかく、突然税収が1兆円以上減っちゃったんですから、この責任はどこにあるかったら、どこにあるような、ないような、世界全体の傾向だけれども。しかし、こういう事態になったけれども、景気に底入れして、とにかく刺激して、景気回復するような具体的な手だてのめどが今度の(政府)予算を見るとついていると思わない。非常に還流性の少ない財政出動だから、これ、後になって響いてくるんじゃないでしょうか。はい、どうぞ。

【記者】ちょっと都のこととは関係ないんですけれども、総理、それから民主党の(小沢一郎)幹事長も今、政治と金の問題で、任意で聴取受けるかどうかということで、メディアも注目しているんですけれども、この後の政治の状況等、知事はどのように見られているでしょうか。

【知事】これから予測もつきません。ただ、振り返ってみると、あるところでも言ったんだけれど、戦後に限って言っても、今までの歴代の政権の中で、総理大臣あるいは与党の幹事長が、非常に不透明な、これだけ膨大な額の金の問題で、話題の俎上(そじょう)に乗ったということはあまりないんじゃないでしょうか。

 吉田(茂)内閣のときに、造船疑獄がありました。それで、当時の佐藤栄作という(自由党)幹事長が、吉田さんというのは金を集めるのが全然下手というか、全部やらずに、人にやらせていたんで、そういうことで言われて、ちょうど造船のブームというか、とにかく日本は海運で伸びていかにゃいかんということで、貿易立国というか、そのためのツールであります船というものの増産ということで予算が使われた。その還流にいろんな問題があるということで、問題になって、結局、幹事長を救うために、吉田茂が指揮権発動させて、犬養(健)という法務大臣が責任とってやめた。

 あの出来事なんか、非常に大きな問題だったけれども、あれは、佐藤さんの立場、吉田さんの立場、それに犬養の立場、それぞれはっきりしてて、金の出どころ、流れ方云々(うんぬん)みたいなことが、本当に犯罪性があったかどうかということは不問に付されるままに、そのまま形を閉じたんだけれども。ただ、図式として、私たち、はっきり見えたけれども。

 今度の総理大臣、幹事長の問題というのは、見えるようで見えない。仮に、市中の中小企業のオーナーが、会社の経営がうまくいかなくなって、自分の親族から、融資というか、贈与をされたお金をそれに補てんして、会社を立て直す云々のことに使ったにしても、それを申告しなかったら脱税になるんじゃないですか。私の知っている経営者も、同じようなケースで、たかだか3千万、大金ですけれど、3千万の脱税ということで懲役に行きました。そういうのを眺めてみると、親族だから済むか済まないかの問題を越して、国民は割り切れないものがあるんじゃないのかな。

 それから、贈収賄の事件というのは、これは両方が完全に同じことを言わない限り、なかなか成立しないでしょう。こういったものも、検察のこれからの努力の結果になって出てくると思うけれども、想像し得る政治のメカニズムの図式の中で金が動いたんだろうけど、これ、眺めて、国民がどこまで納得しますかね。結果によっては、私は、いろんなフラストレーション(欲求不満)がたまると思います。ただ、戦後の歴史振り返ってみると、ちょっと、こんなことなかったんじゃないかね。

 はい、どうぞ。

【記者】冒頭から質問が出ていた、いわゆる「公設派遣村」と言われているような生活保護相談についてなんですけれども、現場で取材をしていると、都はちょっと責任感が薄いんじゃないかというような声が聞かれるんです。例えば、年明けになって、活動費ということで幾らかお金を支給して、しかし、その夜には、200人ぐらいの方が外に行ってしまったと。それ、もちろん税金なんですけれども、連絡先とか担保できるようなものが特にないと。それから…。

【知事】あれは都のお金じゃないでしょう。

【記者】国の財源だということですけれども。

【知事】国はそれ、責任持ったらいいじゃないか。役人派遣してきたらいいじゃないか。人が余っているんだから。

【記者】現場で運営しているのは、都がやっているわけですけど。

【知事】東京は委嘱されてやっているだけのことで、だったら、厚生労働省の役人が来てやったらいいじゃないですか。自分たちの金使っているんだから。そこ、はっきりしっかり考えて物を言ってもらいたい。何でもかんでも現場の責任だって。本当は現場を構成するはずの国が何にもしないで、手をこまねいて、総理大臣来たかもしれないけど、「お気の毒で大変ですね」ってことで済むのかね。出てくるんだったら、役人使って出させたらいいんだよ、あそこへ、国が。そうじゃないの。

【記者】これはあくまで国の事業であって、都としては、もう頼まれてやったことであるから、精いっぱい、この間は…。

【知事】そうです。だから、わざわざ菅君が、場所の提供ありがとうと言ってきたと思うんでね。あれ、私が言い出した、都が言い出したことじゃありませんよ、それは。国にしてみると、国有の財産、どこにどういうふうに持っているか知らないけど、ともかく、現場よく知っている、つまり、箱物について精通している東京都に力をかしてくれということで、提供したわけですから。

【記者】モラルの問題というのも、知事も先ほど指摘されていましたけれども、じゃ、どこまで手を差し伸べればいいのかという問題があると思うんです。最初、都はこの事業を始めるときに、求職意欲の高い人ということで、ハローワークで求職登録をしていると、具体的な条件というのを定めていたわけですけれども。知事のお考えとしては、どこまで自立を助けるようなものを行政として手を差し伸べればいいかというお考えがございますか。

【知事】東京は、あなた方どこまで情報として心得ているか知らないけども、随分いろんなことしてきました。それから、例えば、ワンストップサービスのようなことは、東京は率先してやってきました。国の場合には、職業訓練させて、その技術を覚えて就職しようというときに、ここはわからんからハローワーク行けと言う。要するに、ワンストップサービスはなかったんだけど、東京はとっくにやってますよ。

 それでもなお、その仕事は嫌だ、これは嫌だと。いわゆる3K(※「危険(きけん)」「汚い(きたない)」「きつい」仕事のこと。頭文字をとってこう言われる。)と言われたような仕事はみんな忌避(きひ)して、じゃ、どうするんですかと言ったら、生活保護をしてほしいと。それは、手続きがちゃんと法律的に要るわけだ。その時間はどうするんですかと言ったら、とにかく早くやってくれと。それは、ちょっと一種のわがままなんじゃないのかな。制度というものが制度としてあるんだから。ただ、今まで東京は随分長いことあっせんしてきたけど、その仕事は嫌だという、忌避する人は随分います。仕事に貴賤(きせん)はないと思うけど、つらい仕事は嫌だ。それで、これも嫌、あれも嫌で、あげく、生活保護くれというのは、僕はやっぱりちょっと甘えた話だと思うし、どんな仕事でもやってみなかったらわからんし、やってみるべきだと思います。はい、どうぞ。

【記者】昨年から、民主党政権の評価については、予算を見てみるまでは言えないという話だったと思います。年末に骨格が出て、例えば暫定税率を維持するですとか、子ども手当の話もある。改めて、評価、これはどういうふうにごらんなっているんでしょうか。

【知事】さっき申しましたように、財政支出の中の非常に還流しにくい部分が多いという感じはします。これは、そういうくくり方をするのもちょっと乱暴といえば乱暴かもしれない。ただ、過去の事例があって、社会党や共産党が熱烈支持した美濃部(亮吉)都政のときに、典型的なばらまきがあって、財政めちゃくちゃになっちゃった。それが、今度は全国的に敷衍(ふえん)するんじゃないかなという懸念は抱いてますけども、これも、もっと大きな、これからの、今度は菅さんがやるみたいだけども、国家戦略というものを立てながら、財政のかじ取り、経済運営のかじ取りをどうしていくかということにかかってくると思うんだけれども。予算の図式見ただけでも、それがどういうふうに有機的に機能していくかというのは、結果が出てこないとなかなかわからないことですよ。ばらまきったって、高校生に対するああいった補助(授業料の無償化)なんかも、どういうふうに管理をするか、しないのか、いろんな人に言わせれば、あれはみんなすぐ貯金されちゃうと。今度は所得制限つけたみたいですけど。これは結果見なきゃわからないです。

【記者】ちょっと乱暴な言い方かもしれませんが、自民党政権時代は、いわゆる予算の流れというのが、例えば業界団体を通じて最終的に末端に行くみたいな流れからすれば、民主党は、家計を直接支援することでお金の流れを変えようということなので、自民党政権時代の反省も反省としてあるとは思うんです。そのあたりは、ちょっと今さらですけど、今までのやり方がよかった…。

【知事】私、必ずしもそう言っているわけじゃないです。消費というのは、どういう形で支持されてくるのかな。ただ、地域によっても違いますけど、東京にもいろんな格差がありますが、総じて見ると、この首都圏というのはかなり裕福というのか、例えば、この年末、私、昔から逗子に住んでる家があるからずっと年末はそこで過ごしました。近くの海岸眺めてみると、とにかくたくさんの若者がウイークデーでも何でも、今までの風俗と同じようにサーフィンしているわけですよ。こういう連中がどういう生活様式の中で、どういう形で、ああいうレジャーを満喫してるのかなとも考えたけど、わかるようでわからない。その中で非常に大きな格差が出てきた。確かにそうだろう。しかし、それでもなお、この生活の、ぜいたくとは言わないけど、奢侈(しゃし)とも言わない、その絶対値は決してそんなに平均すると低いとは思われないんですが。

 だから、その人たちが、どういう形で、これから消費というものに動いてくれるかも、今度の財政出動がどういう効果を生むかというのは、時間を経ないと結果として見えてこないと思います。小沢幹事長が、随分けちつけるやつはたくさんいて、魔法じゃないんだから、そんな簡単にものができるものじゃない。それは確かにそうだろうと思う、僕は。

 繰り返しになるけど、太政官制度以来続いている中央官僚の全国支配というのをぶっ壊そうということで、これは明治政府だっていろいろ右往左往しながら形をだんだん成していったんだけれども。政治家は政治家で選ばれてきた見識持ってるでしょう。ただ、役人は、いつも言うみたいに1つの継続性、一貫性というものを踏まえた経験と知識だけは持ってるから、それを一切活用せずに、聞くもの聞かずに、政治家だけで、行政というものを支えている官僚の機構というものをスムーズに、合理的に動かしていけるものでしょうか。この辺が僕はちょっと見ものだと思います。はい。

【記者】地域主権を掲げる民主党が政権について100日を超えて、4か月近くになるんですけれども、これまで地域主権という観点から見た知事の評価、達成度など、地域主権の点数をつけるとしたらどのぐらいになるのか教えて…。

【知事】これは、今の言葉じゃないけど、にわかに3か月、100日ぐらいで効果が出てくるもんじゃありません。ただ、象徴的な、表象的な事例がある。例えば八ッ場(ダム)の問題もそうですが、あれ1つ見ても、私は地域の声を反映しているとはちっとも思えないし、最初に言葉ありきじゃないけど、その言葉を形成するためにどれだけの検証、検査をしたかといったら、ほとんど実態がない。こういったものは、非常に軽率で危険だと思います。

 はい、それじゃ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)