石原知事記者会見

平成21年12月17日更新

石原知事定例記者会見録

平成21(2009)年12月11日(金)
15時00分〜15時14分

知事冒頭発言

1 「子ども手当」の地方負担に関する要請について

【知事】冒頭2つ、私から申し上げます。

 1つは、「子ども手当」の地方負担に関する問題ですけれども、民主党は、従来子ども手当の財源は所得税の配偶者控除と扶養控除の廃止で対応することをマニフェストに明記していましたが、現在、雲行きがあやしくなって、地方負担が求められる動きがあります。こうしたやり方は、国政に対する地方の信頼を大きく損なうばかりでなくて、地方財政を破綻させるものだと思います。旧政権が法人事業税を一部国税化したことと同じようなもので、これは許されないと思います。この暫定措置についても直ちに廃止すべきだと思います。

 これまで、12月8日に全国知事会が、10日に全国知事会を含める地方の組織・団体が合わせて6つ、子ども手当の地方負担、つまりつけ回しに反対する緊急声明を出しております。いずれにしても、巨額の費用を要する制度の創設や見直しを国策として実施する場合には、国が責任を持って全額負担すべきであると思うし、地方の分担ということを一方的に決めずに、これは事前に、地方と慎重な話し合いを行った上での合意を得ないと、すべきでないと思います。

2 直轄事業負担金の見直しについて

 次いで、直轄事業負担金の見直しについてですけれども、政府はワーキングチームを結成して、直轄事業負担金について検討してきました。これまで維持管理に関する直轄負担金については全廃すると国土交通大臣も発言していましたが、維持管理負担金の中にある「修繕費」、東京都の分は41億ですけれども、これについては、維持管理費でないから負担金として残せと言い出しています。

 また、河川の「流水占用料」についても、水力発電がある地方の県の収入と思っていましたが、それだけでなくて、流水占用料等ということで、「等」がいつの間にか入っちゃった。これはもう霞が関の独特のレトリック(修辞)でして、この「等」というのはなかなかあやしいんで、その「河川敷地占用料」についても、国はその占用料を都道府県から取り上げるつもりのようで、これは断じて許されないと思います。

 維持管理については、都はかねてから、直ちに廃止しろと言ってきましたが、国は早く、廃止の方針を明確に打ち出すべきものだと考えております。

 私から申し上げるのは以上です。質問があったらどうぞ。はい、どうぞ。

質疑応答

【記者】冒頭の子ども手当に関連してお尋ねいたします。神奈川県知事が、万が一それでも地方負担を導入された場合は裁判で闘ってでも争うですとか、町村会の全国の会長さんは、給付事務のボイコットも辞さないというようなお話をされていますが、もしそれでも地方負担を入れる形で制度が導入された場合に、都として、そういう国と争うようなお考えというのはおありになるかどうか伺います。

【知事】あり得ると思います。かつて、法人事業税の分割基準を変えて、東京から、税収も減ったんでちょっと額が違ってきましたが、いずれにしろ、あの当時で、目安で、2年間暫定的と称しながら6,000億かっぱらっていくこと決めたんだけど。前にも申し上げたかもしれない、これ、弁護士に相談したんですが、その一種の訴訟を起こして、反対の意思表示をしようと。ただ、これはもう負けることは間違いないんで、向こうにその権限あるわけですから、昔の代官の年貢の率を一方的に上げるのと同じように。

 それでも、こんなこと許せるかということを、福田(康夫)内閣のときだ、言おうかなと言ったら、総額6,000億を対象にして、石原さん、訴訟起こして、僕はそれ気がつかなかったんだけども、証紙を6億貼らなきゃいけないって言うんだ。負けるの覚悟で6億証紙を貼るのちょっと考えて、そのかわり、外環(道)だけはしっかりやれって話で、やむなくのんだんですけど。

 今度の場合にはもっと規模が大きいし、これは政治の基本姿勢の問題ですから、そういった問題が起こってくると思います。片っぽうで地方主権とか分権とか、大変言葉としてはありがたいなと思ったら、地方主権も分権もあったもんじゃない、全然地方の意思を忖度(そんたく)せずに、その、自分たちの掲げた公約の実現のために、その分「地方も持て」と言ったって、地方の立場がありますし、それはちょっとまかり通らないと思います。松沢君(松沢成文 神奈川県知事)が怒るのは当たり前だと思うし、そういうものを考慮した上で、私は全国知事会含めた6団体が物言ってると思います。

 はい。どうぞ。

【記者】デンマークで開かれているCOP15(第15回気候変動枠組条約締約国会議)で、発展途上国のCO2の排出削減などをめぐって、先進国と途上国、また途上国同士の中でも、新興国とそれ以外で対立が表面化していますが…。

【知事】これは前からだね。改めて今度のことだけじゃなくて、とにかく京都議定書のころから、途上国は、こういう事態を招いた先進国は、化石燃料を使って文明を発展させたかもしらんけども、それで自分たちがのし上がってきたら、今ごろになって、後からついていくおれたちにもそのノルマ課すのはおかしいじゃないかと、分担の比率が違うじゃないかということを言ったのは、それは道理として、なるほどなという節がないでもないけれども。ただ、この問題が深刻化していくと、先進国も後進国も途上国もあったものじゃない。人類そのものがもたなくなる話ですから、そういう意識を各国の人たちが持つか持たないかという問題になってくるんで、大げさに言えば、これ、哲学の問題でしょうけれども。ですから私はその問題も含めて、COP15というのはなかなかそう簡単にまとまらないと思います。非常に期待はしてますけれども。

 中国が、例えば日本を非難する、日本の言っていることを前提にほかの国もやればということでほかの国やるのかといったら、日本だけやったって追いつかないことだろうと。こんなものはリアリティー(現実性)がないというのも、アメリカとか中国自身の動向を眺めても、中国は途上国側で、先進国になったかどうかわからんけど、あれだけの経済容量をもって、間もなく日本を抜いて、とにかく世界2位の経済大国になろうとしているときに、1番のアメリカも、この問題についてはどこまで握っているかいないかよくわからないところがある。なかなか今度の会議大変だと思います。はい。

【記者】来週には、知事の代理という形で猪瀬(直樹)副知事が「コペンハーゲン市長気候サミット」に参加されますが、副知事に期待することというのは、どういったことでしょうか。

【知事】いや、だから日本の言い分通してくれと。とにかく東京も国に対して物を言ってるし、日本は日本で、東京都も先鞭つけて、大きな企業体、発電所とか、そういうものに対しては、国が管轄する。東京は、地元の現場意識、そういったものを踏まえて、在住する企業に要求をしていくという、2つあわせての推進体制をとろうとしてますけれども。

 ほかの国がこれやるかどうかわからないけれども、とにかく、そういうことを言ってもらうつもりですし、猪瀬さんというのは、私なんかよりもはるかに数字に詳しいし、そういう点で、私もたまたま議会中ですから、行けませんけども、強い主張をしてもらいたいと思っています。はい、どうぞ。

【記者】暮れも迫ってきて、この時期、今年の漢字というのが毎年選ばれるんですが、今年は新しいという、「新」という字だったんですけれども。

【知事】新政権、新型インフルエンザ、どっちなの。私に一言言わせりゃ、「衰」だね、衰亡の衰、衰退の衰、衰弱の衰。これ、何も新政権の問題だけじゃなくて、歴代自民党にも責任ありますよ。とにかく物を言う前に、消費税を上げませんという、ばかなのりとを掲げて、一体、この高福祉低負担の体制はいつまで続くんですか。それは国債連発して、そのうち塩漬けにする、借りかえ、借りかえてるうちにわかんなくなるぞって、そういうことを、政府の役人も揚言してはばからない、政治家もそれに便乗する。きちんと運行されている国見れば、みんな、かなりの額の消費税払ってますよ。消費税は、何も生活必需品にかけなくたっていいんだ。随分議論があったけども、議論そのものがタブー視されて、北欧の国なんか大体、消費税25%でしょう。所得税も60%以上、それでもみんな耐えて、政治ってものを信頼してるから、そういう形の中で、それなりの発展をし、安定もしてるけども、こんな、そのGDP(国内総生産)比に比べて、国債の占める比率が高くなって、かつてイタリアを眺めてはらはらしたけども、とっくにそれをオーバーしちゃったわけだから、日本は。どっかアフリカの何とかという国の次に日本が悪いんでしょう、世界の中で。こんな状況続けるわけはありませんよ。

 国民は何でもよこせ、よこせと、ただにすれば喜ぶかもしらないけど、「そうはいきません。あなた方も負担するものはしてください」というのが何で言えないんだろう。役人が言うべきことじゃない、これ、政治家が言うべきことでしょう。消費税を上げずに、どうやって、とにかく財源というものをまかなっていくの?結局国債発行するしかないじゃない。全部ツケは人に回っていくわけだから。あなた方もしっかりしてだな、ちょっと政治、督励して言ってくれよ。国民は、それは、高い福祉を受けるのは当然でしょうと。しかしそのためにはある程度の負担をしないと、だからお医者さんも荒廃してるし、いろんなことで、人間の生命を維持する医療そのものが、もう何か衰弱、荒廃してきた。全部これ、高福祉低負担のものじゃないですか。こんなことがまかり通る国って、世界にどこにありますか。日本だけじゃないの、平気でやってるの。もう破綻が見えてるけど、みんな怖がってそれ言わない。余計なことまで言ったけれど。

 はい、どうぞ。

【記者】さきの本会議で、民主党から、五輪招致のプレゼンテーションの際の映像制作費に5億円がかかったと、それは高いんじゃないかという指摘がありまして、渡航前に、石原知事も、映像については不満を述べられていたかと思うんですが、その映像についてはどのようにお考え…。

【知事】随分、手直しさせましたけれど。ただロンドンならロンドンの、そのキャンペーン費用に比べて、1つのアイテムに関しても東京のほうが高いというのは、これは言われてみりゃ、それは高いわな。これ、どうして高くなったかと、電通にしかと私も質(ただ)しますよ。そうしなかったら、都民も議会も、私だって納得できない。

【記者】電通に対して、値下げ交渉をするという形になるということですか。

【知事】それは、だから、どうしてそれだけの費用がかかったかということをはっきりつまびらかにしない限り、こっちはやりませんけれど。あちこちから同じようなことを言われますけど、私たちにすれば、いいものをつくらせようと思って、金に糸目をつけないなんてこと言ったことないけれども、リーズナブル(合理的)な理由で、ものをつくって提供してくれると思ったけど、案外電通も力がなくて、私は再三注文して直しました。直した分だけお金がかかったというのは、これは通らない理屈だから。そもそも何で、そんな程度のものしかできなかったかというのは能力の問題だけど、それを直されることで金がかさんでいったというなら、これは世の中通らない。それはこれから、一々検証してまいります。

 はい、それじゃ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)