石原知事記者会見

平成21年11月19日更新

石原知事定例記者会見録

平成21(2009)年11月13日(金)
15:01〜15:29

知事冒頭発言

1 八ッ場ダムの再検証に対する緊急申し入れについて

【知事】冒頭、私から1つ、八ッ場ダムの再検証に対する緊急の申し入れでありますけれども、先月開催されました国土交通大臣と関係1都5県知事の話し合いの中で、前原(誠司 国土交通)大臣は、これまでの方針を転換し、改めて八ツ場ダムの必要性を検証すると明言しました。これを受けて、なかなか鋭い質問が出ました、埼玉県の上田(清司)知事から。「改めて検証するっていうんだったら、公約の中で八ッ場ダム中止するっていうのは、検証をした上ですか、してないですか」っていったら、返事はなかったけれど。いずれにしろ、こういう問題が、こういう形で残って、政府は、この工事を無駄として中止するといういわれをきちっと検証して、関係都県並びに住民にそれを報告することは絶対に必要だと思います。そういう大臣の発言を受けまして、1都5県の知事は、今後、国が実施する再検証に対して共同の緊急の申し入れを行うことにしました。

 具体的内容は、中止を前提とするのではなくて客観的に検証すること。あくまでも客観的に検証すること。それから八ッ場ダムの建設の経緯や利根川流域における洪水、渇水の実態を十分踏まえること。再検証の専門チームは、関係都県知事の意向を反映させて人選をすること。検証結果はもとより、検証の過程においても、情報提供等、協議に応じることなどであります。また、来年度予算案の決定時までに、関係都県や地元の理解を得ることも国に求めることにします。今回の都県知事の申し入れとダム湖を前提にした生活再建を望む地元の住民の声に真摯(しんし)にこたえて、早急にだれもが納得のできる結論を出すべきだと思っております。

 私から申し上げることは以上です。ほかに質問があったらどうぞ。

質疑応答

【記者】オリンピックの件で。先日、新聞紙面のインタビューで、招致の表明、立候補、手を挙げたいという話があって、その後、報道陣にもそういうお答えをされたと思うんですけれども。

【知事】ええ。

【記者】時期的に、ちょっと、例えば再検証ですとか、あるいは費用の面とかの、今回のオリンピックの招致がどうだったのかという検証の前に、知事としてそういうメッセージを発せられた、その意図というか、何かございましたら、時期的なものなんですけれども。

【知事】主に、その再検証といっても、ビディング、つまり招致運動に費やした予算の是々非々についてのことだと思いますが、それも含めまして、私も終わってから知らされたことなんですけども、それを踏まえて、どうこうということじゃありませんが、1964年のオリンピックの前に、東京は1960年のオリンピック開催にも乗り出して招致運動を展開しているんですけど、これは敗れた。そういう経過があったんです。それを踏まえて、つまり頑張って1964年の招致に成功したということなんでしょうけども、今回やってみて、東京都にとってもまさに久しぶりのこと過ぎて処女体験であった。JOC(日本オリンピック委員会)にとっても、代もかわって、処女体験に近かったと思うんですが、しからば、どういう情報が足りなかったということも、終わった後によくわかってきました。

 それから、大事なことは、過去に大阪、名古屋も名乗りを挙げて失敗しているんです。それが、どういう点にあったか、どういう招致運動だったか、どこが足りなかったか、どういう経過で大阪も名古屋まで非常にあえなく敗れたかという、その経験の、いわば遺産、レガシーが全然伝承されてないんです。東京は東京で、今度、私なりに多分頑張ったと思う、随分頑張ったと思います。いろんなこと、言いたいこともあるし言えないこともあるんですが、我々としてみると、後でIOC(国際オリンピック委員会)の関係者のいろんな話聞いてみると、試合には勝ったけど勝負に負けたという感じが否めない。しからば、それを、次の招致の勝利に結んでいくためにどうするかということを、これは東京以外のどの都市が日本から手を挙げても、東京の経験というのはきちっと伝承していかないと、残していかないと、またむだな戦いになっちゃうと思うの、単発的な。ですから、手続きのタイムリミットもありますから、今までの経験でいうと、来年の夏前が1つのタイムリミットだと思ってましたんで、まだ私の任期はあと1年ちょっとはありますけれども、その間に、こういう経験をした東京の責任として、とにかく名乗りを挙げる。それで、それが是か非か、実際にやるかやらないかということは、2年以上先のIOCの総会で決まることですけども、そのための手続きだけはきちっとしておこうということで、名乗りを挙げましたことを申し上げたんです。

 それは、そんなに大したことじゃないというか、議会のほうも、何か全然相談がないという声があるみたい。それはちょっと、議会に相談しないの問題じゃなくて、東京は、この経験の成果というものが、遺産としてきちんと残していくことが必要だと思うから。これは、東京以外の都市が手を挙げて、広島が広島で手を挙げて、例えば広島に決まったとしても、そのためには役立つことですから。組織は小ぶりになるでしょう。きちっと、NPOとしての(東京オリンピック・パラリンピック)招致委員会を残して、それでつなげていく。それが具体的に予算のバックアップでどうやって動くかということは、これから次の東京都の政権が決めることだと、議会が決めることだと思ってます。はい。

【記者】ちょっと個人的な印象ですけど、知事、IOCの総会から帰国された直後は、若干ちょっと疲労の色が見えて…。

【知事】いや、疲労したね。この年になって、夏、4カ月、毎月毎月10日間も慣れないところ行って、慣れない言葉しゃべるのは、ほんとにくたびれたな。

【記者】あのころは、同じような質問に対して、やはり、まだ私たちが決めることじゃないとか、都民の意向を斟酌(しんしゃく)してとかいう言葉があって、今のお話を伺っていると、タラレバ論ですけど、帰国直後に2020年も、もう1回やるんだとおっしゃってもよかったようなというか…。

【知事】それは、そのつもりはありました。ただ、いろんな余韻が残っていたのと、それから、僕は自分自身の言葉だけど失念してたんですけども、福岡と争って、東京が日本の代表に決まったときにも、2016年かなわなかったらどうするんですか、いや、それは当然、知事の代はかわっているでしょうけれども、2020年にアプライ(立候補)すべきだということを、私は言ってるんです。そういうことです。

 世の中の気運も変わってきて、オリンピックなんて、言った日には、実は実現すればよかったなと。やっぱりああいうものが必要ですよという人が圧倒的に多くなってきましたんで、これは皆さんのおかげで、だんだん気運が高まってきて、ちょっと遅過ぎたかもしれないけども、そういうことですから、私は、そういうものの声の背景も踏まえて、この期に及んで、ああいうことを申しました。はい。

【記者】そういう意味では、帰国直後と現在とでは、若干、例えばショックも癒(い)えたというか、あるいは悔しさがずっと込み上げてきているというか…。

【知事】それはあります。ただ、1960年に日本がアプライして敗れたというようなことを、僕自身も知らないわけで、そういう情報が入ってこないんです。それから、終わった後になって、ああいう手もあった、こういう手もあったっていう、IOCのああいう総会の採決のメカニズムについての情報が今ごろになって入ってきても、もう遅いんだよ。そういうものが、おそらく大阪の場合にも名古屋もあったんじゃないですか。そういったものを、情報として残ってないということは、これはほんとにもったいないし、名古屋も大阪もそれなりのお金をかけて努力したんでしょうけど、じゃ、一体、それが、どういう遺産、レガシーになって、日本のかえがたい経験として残っているかということになると、全然残ってないんだ。それはとっても無駄なことだし残念なことだから、そういうものをちゃんと残すためには、これは何も東京のためだけじゃなくて、これから日本の東京以外の都市も、名乗りを上げることがあるでしょう。そのためにも、そういうものをきちっと残すことが必要だと思って、とにかくそのためには、一敗はいたしましたけど、東京がとにかく名乗りを上げておくことは絶対に必要だと思っております。はい。どうぞ。

【記者】都営地下鉄と東京メトロの経営統合の問題について質問をさせてください。11日に東京メトロの梅崎(壽(ひさし))社長が記者会見の場で、統合について話はしていると。それで、課題として都営側の累積欠損の問題などを梅崎社長のほうは挙げてらっしゃったということなんですけれども。現在の話し合いの進捗状況ですとか、統合の時期的な見通しについて、もしくはそれまでにサービスの一元化ですとか、そういったことの話があるのでしたら、そういった道筋についてのお考えもお伺いできませんでしょうか。

【知事】国土交通省が考えてることは、前から、民営化っていう既定路線があるから、そのために早く(保有株式を)売りましょうってことなんだ。この代になって、前原国土交通大臣も、貴重な財源になるから、売ろうと言ってるようですけれど。メトロの会社そのものは、自分たちは、ものすごくもうかってる会社ですよ。こっち(都営地下鉄)は、創業してから時間が足りないし、これから償却も終えて、利益を上げるの少し先になるでしょうけど、お客の頻度から言ったって、必ず黒字を出すきちっとした会社になります。その過程で、相手にしてみると、金持ちが貧乏人と結婚するのは嫌だという、基本的なあれ(考え)があるわけですから。ただ、私たちは何も国が売るから、こっちが売るというような、そういう安易なあれはないし、じゃあ、民営化、民営化というけど、一体だれがその後、社長になるんですか。何か、そこんところ、国土交通省考え方が甘いと思う、この時代に。何かだれか顧問に据えてきたけど、その人が、梅崎君の後、そのまま横滑りして社長になるんですか。そんな時代じゃないと思う。その顧問になる人も、国交省のお役人でしょ。

 これ、皆さん、どういう情報持ってるか知らないけど、東京はいろんな事業してますし、それに、銀行の問題絡めて再三申し上げてきたことだけど、外国のファンド(投資信託会社)、外国の金融機関って非常に関心を持ってます。日本のような安定した社会の中の有力な事業っていうものに投資しようという、虎視眈々(こしたんたん)ですわな。例えば、オーストラリアのファンドが、えっと思ったけども、あの箱根の山走ってる、伊豆半島走ってる「ターンパイク」買った。買ってよくなったし、確かにいろんな施設もできて、事業も充実してきてますけれど。あれに比べれば、とにかくメトロの株に対して、外国のファンド、金融機関というのは非常に大きな関心を持ってます。それで例えば、東京がそういう企業とあれして、国が売り出した株を東京が買ったっていいんだよ。そんな、何か自分たちが売って、どういうつもりでいるのか知らないけど、ちょっと世の中のこと知らないんじゃないかなあ、僕はそう思います。ですから、私は何も国が言われるままに、今、株価がどれぐらいの値がつくかわからない、この時期に東京は売るつもりはありません。

 どうぞ。

【記者】今、国の行政刷新会議が事業仕分けというのを連日やっていまして、かなりセンセーショナル(扇情的)に報道もされてるかと思うんですが、事業仕分けの様子を知事はごらんになって、その手法について、どのようにお考えかということと、都政への影響というものもあるかもしれないんですけど、それについては、どのようにお考えかお聞かせください。

【知事】ものによってはあります。例えば、下水道事業なんかも、これは非常に膨大にお金のかかる事業ですから。また、都市の成熟っていうものの1つの指標でありますから、東京は、今、そういう点で下水道が普及してきましたけど、及ばない地域もたくさんあるわけですが、全国には。こういった事業を地方に委託するというのは結構だ。しかし、国は、日本全体の問題として非常にお金のかかる事業だから、かなりの経済援助してました。財源を確保するために、それを切って、事業だけ地方に任すと、これは勝手な言い分で、そんなことで問題が済むわきゃいかない。こういう形の仕分けは、私は絶対反対、注意しなくちゃいけないと思う。ただ、仕分けは必要でしょう。見てると、ほんとに無駄があるのたくさんあります。ただ、もっと大口なものあるね。例えば、財務省そのものが抱えている、その組織、幾つか事例があるけど、これにあんまり手がつかないみたいなもんで、これ、問題があるんじゃないかな。それから、基本的に、無駄、無駄、確かに無駄があった。その無駄を放置してきた原因というのは、いろいろあるだろうけども、自民党の責任も十分あった。

 ただ、何で会計制度を変えないんですか。こんな、きちんとした財務諸表が出てこない、今の単式簿記、きちんとしたバランスシートのないような国家、近代国家の中でこんな単式簿記やってる国ってのはありませんよ。だから、無駄がわかってこない。東京は、いち早く自分のシステムつくって、ほかの県にもただでお分けして、そのままの方法でやってる県ができてきた。だって、初めて財務諸表がきちっと出てくるわけで、それがない限り、どこに無駄があるかないかで、今ごろになって仕分けするのは大変結構だけども、やっぱりその基本的に、この間も原口(一博)さん、新しい総務大臣が全国知事会でいろいろ質問を受けたんで、私、そのとき申し上げたんだけど、「会計制度を変えなかったら、仕分けだけでは事進みませんぞ」と申したら、「全くそのとおりです」と言ってました。そういうことを、民主党のイニシアチブ(主導)でやってもらいたいです。

 私は、自分がやってきた幾つかに、自分でその自負のあるものもあるし、ないものもあるけども、失敗したのもあるけども、一番大事な仕事したっていうのは、東京都の会計制度を変えたことだと思ってます。これを評価してくれたのは、たった1人、中曽根さん(中曽根康弘 元首相)だけだった。あとの政治家、はははーというだけで、事の何たるかはわかってない。これ、ほんとに明治以来のことなんです。そういうことも、今度の民主党政権にやってもらいたいと思います。会計制度がこんなバランスシートもろくにないような、そんな国で、無駄がわかるわけはないんで、それを放置してきた従来の官庁にも責任があると私は思ってますけども。ですから、仕事の仕分けは結構ですよ。しかし、その根底に、それを何かはっきりあかし立てる手だての1つとして会計制度をきちっと合理的なものにしないと私はとてもだめだと思います。例えば繰り越しなんてできない、そんな事業計画なんてありますか。

【記者】かなり財務省主導の仕分けじゃないかという…。

【知事】そんな感じはありますな。そういう人もたくさん出てきた。でも、財務省も、今までほんとはやるべきことをやらなかった、その責任は感じてるだろうし、その官庁同士のもたれ合いで、放置してきた問題はこの場面じゃ民主党政権の意向を盾にしてやろうということは結構だけども、財務省自身も、自分自身の改革に手を染めないと、これは不公平な感じが否めないと思います。これからの結果を見ようじゃないですか。今の段階で何も言えないと思う。

 はい、どうぞ。

【記者】五輪の話に戻るんですけれども、知事がいつもおっしゃってる機運が高まってきたというのは、具体的にどのようなものを見て、そういうふうにご意見として思ってらっしゃるのかということが1つと、あと…。

【知事】その1つはまず、それ、答えましょう。それは、世論調査見ても、会社によって違うかもしれないけども、私たちのマイナスの引き金になった、IOCが2月にやった世論調査のことは、これは、この数字にびっくりしたんですよ、私たちも。とにかく、持ち上げないかんというか、いろんなキャンペーンしてきました。そのため、いろんなアスリートにも協力願って。ですから、私は、オリンピックに対する関心、機運が高まってきたと思います。今でもそれは続いていると思います。はい。次は。

【記者】それからあと、都議会で多数を占める民主党はトップダウンではなくて、前回はトップダウンだったと。今度はボトムアップでないと納得はできないというような言い方をしてるんですけれども…。

【知事】だから、それはボトムアップするために一応手続きを終えて、資格を得なかったらしようがないじゃないですか。時間切れになってしまって、それから決めたってもう遅いんだから。だから、その前に名乗りだけ上げて、あとは次の政権が考えることじゃないですか。

【記者】その残る知事の任期1年半ありますけれども、その任期の間で、何かボトムアップになるような、近い形になるようなご努力というか、そういったものは何か考えていらっしゃるんでしょうか。

【知事】ですから、私はこの時点で名乗りを挙げたことのわけを、きちっと議会にも話しまして、その上で議会の認証ということをこれから決めてったらいいんじゃないですか。予算の措置があることですから。

【記者】具体的に知事ご自身から、どのような形で説明をされようというふうに思っていらっしゃるんでしょうか。

【知事】それは、議会始まったらします、機会をとらえて。当然のことじゃないですか。はい。どうぞ。

【記者】話が変わってしまうんですが、カジノについてお聞きしたいんですが。来年から、規制の厳しいシンガポールも新たにカジノに乗り出すということで、日本でも、まだ今も地方でカジノに意欲を見せてるところもあると思うんですが、知事として、オリンピック予定地の使い道、これは2020年、出るということなので、それ以外の土地でも、もう一度、カジノに意欲を見せるお考えはあるかと。

【知事】今でも意欲持ってますよ。国が動かないんだから。

【記者】法の壁があるということで、地方からも石原都知事が動かないと、国内の機運もなかなか高まらないという期待の声もあるんですが。

【知事】私が動くんじゃなしに、私だけに言わせずに、地方全体が、例えば全国知事会なんかでも、県によって態度が違うだろうけど、そういうところで、知事会の意向みたいなのにして、多数決でも何でもいいや、全県が賛成するわけもないだろうから。

 それは県単位の問題だけじゃなしに、何もラスベガス式のああいうもんじゃなくて、イギリスとかオランダもやってますが、局所局所で、例えばオランダの空港なんか、ああいう国ですから、幹線が全部飛んでくるわけじゃなくて、トランジット(航空機の乗り替え)が、かなり待つような機会が多い、そういう人たちのために、空港の中に非常に簡単なのがあって、大変な売り上げを上げてますけど。いろんな種類のカジノを考えられると思うんだけど、今までの政権は、何を考えてるか知らん、聞く耳持たなかった。これは、暗黒社会の問題もあるんです。そういうものをどうハンドルするか。暴対法(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律)が厳し過ぎたという声もあるような、ないような問題だけども、そういったものの兼ね合いで、どういう選択をするかということでしょうけども、とにかくこのインターネットの時代に、インターネットでもギャンブル、カジノをする人がたくさんでてきた。

 この間、ある人に聞いたら、何か非常にもうけがあって、払い込みが遅いんで、国際弁護士使ってトレース(追跡)したら、何とそのインターネットのカジノの胴元はパプアニューギニアだったそうだよ。そこまで、もう物事が普遍してきているのに、日本の会計制度と同じように、ちょっと日本はおくれてるんじゃないかね。日本人は100万近い人が、とにかくカジノに行ってます、インターネットのカジノを含めて。そういうお金は全部外国に流出するわけで、私はもったいないような気もしないでもない。はい、どうぞ。

【記者】再びオリンピックの話なんですけれども、知事が今回、名乗りを上げて、JOCが来年の春か夏に、仮に東京でいきたいと。で、東京が選定された場合なんですけれども。

【知事】それ、もうちょっと先のことじゃないでしょうか。事務的な受付が、夏前がタイムリミットだそうですから。その後、どれぐらい間隔置くのかな、過去の事例からしても、東京が名乗りを上げたんで福岡も名乗って、東京と福岡の国内選考がどれぐらい後だったか、ちょっと覚えてませんけども。

【記者】4年前の事例であれば、来年の夏には決まっていたはず。

【知事】いや、そうでもないんじゃないかな。名乗りを上げてから、ちょっと間隔があって、いろんな準備があって、東京と福岡で投票があったと思いますけれど。時間の、ちょっとスパンはつまびらかにしませんけども。それで?

【記者】それで、仮に東京に決まっていた場合は、次の新しい知事が、なかなか手を下げることができない状況になってしまうんではないかと。知事は、次の知事に決めてもらえばいいとおっしゃってますけれども、東京に一本化されてしまうと、なかなか、こう、方針転換できない状況になるのではないかなと思うんですが、どうでしょうか。

【知事】そういうものを踏まえて、政権もかわったんだし、都議会は、マジョリティー(多数派)に近い力を持っている民主党を核にして、この問題を考えたらいいんじゃないですか。ただ、事務的に遅れると、資格そのものがなくなってしまうから、それに間に合わせるように言ったんでありまして。はい。どうぞ。

【記者】オリンピックのことなんですけれども。今回のオリンピックは、結果としては、招致費用も150億かかって、それでもなおかつ失敗してしまったということを考えますと、この次に、2020年のときに持ってきたときに、もっと招致費用も膨らませなくちゃいけないとか、いろいろなことを教訓として残していかなきゃいけないということなんでしょうか。それとも、招致費用とかそういうものはもっと縮小させてでも、成功させられる秘訣があるというふうにお考えなんでしょうか。

【知事】それは、私は、いろんな視点があると思いますけれど。例えば、榮久庵(えくあん)さんという有名なデザイナーがつくった、あの「水引の結び」。あのロゴマークというのは、やっぱりあるお金をかけてつくってもらったんだけど、あれはあのまま使えるんじゃないですか。それから、電通にやらして、私は、自分自身は納得いかないから、最後に社長も出てきたけど、5回、6回、つくり直させたあのポスターだって、そのまま使えるんじゃないですか。ああいうデザインは、基本的にして、そういったものは、費用として、これからネグれる(除外できる)と思うし、そのころ、物価がどうなってるか、経済状況になってるか知りませんけど。費用の問題はそんなに、今ある、ロゴのマークも含めて、ポスターも含めて、デザイン含めて、そういったものはそのまま継承していけますし、そういう点では、私、支出はむしろかからずに済むんじゃないかと思ってます。

【記者】広島と共催でやっていくという1つのオリンピックの理念と結びつけて、開催していくというやり方が、これはまた、今回、この次も絶対必要なことなんでしょうか。それとも。

【知事】必要じゃないの。あなた、必要だと思わないの?

【記者】いや、私も必要だと思うんですけれども。南北問題に関しては、必ず出てくる問題ですから、これは相当な出費を覚悟しなくては…。

【知事】南北問題と、その広島と一緒にやる、共催の、平和の理念って、どういうふうに抵触するのかね。

【記者】今回も環境の問題がありましたけれども、その理念というものが、結果としては、南北問題の、いわゆるリッチな国と貧しい国との誘致の中では、そういう形で南北関係の問題でいってしまったと。で、環境の理念が生かされなかったというふうに考えられるんではないかと思うんですが。

【知事】南北問題と環境問題って、ともにその理念にかかることだけど、あなたの言ってること、よくわからない、僕は。わからない、質問の意味が。わからないこと聞かないでくれよ。もうちょっと自分で整理したらいいんじゃないか。

【記者】理念のオリンピックで、やはりこの次の2020年もやっていくと。

【知事】それはかざした理念もあるでしょう。しかし、理念にかかわりない力学もあるでしょう。その両方をやっぱり踏まえないと、このビディングゲームには勝てないと思う、僕は。はい。

【記者】それから、お金が、どうしてもこれだけかけなければならないオリンピックというものに対して…。

【知事】そのために、財政再建したんです。200億しかない貯金を、みんなで頑張って、人も減らし、給料も減らして、10年間で1兆2,000億も、いわば積立金、貯金をつくった。その金利だけだって、150億というのは賄いましたよ。だからこそ、4,000億の積立金をオリンピックに限ってできたんですし。そこのところを考えてください。かかったお金は、確かに市民感覚からいったら、億の単位のものだったら、かなりのものに聞こえるかもしれないけど、大きな事業をするために、ある経費は要るんだ。それを賄えるだけの財政的な資格を得たからやったんで。

 はい、それじゃ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)