石原知事記者会見

平成21年10月22日更新

石原知事定例記者会見録

平成21(2009)年10月16日(金)
14:58〜15:29

知事冒頭発言

1 アジア大都市ネットワーク21総会への出席について

【知事】冒頭、私から1つ申し上げます。11月1日から4日まで、例のアジア大都市ネットワーク21の第8回目の総会に出席するためバンコクに参ります。総会では、危機管理や感染症対策など共同事業の1年間の成果について報告し合うとともに、観光政策や新型インフルエンザ対策についても意見交換を行うことになっております。東京からは、特に地球温暖化対策について、排出量取引の導入やICAP(国際炭素行動パートナーシップ)への加盟など都の先進的な施策を紹介するとともに、COP15(第15回気候変動枠組条約締約国会議)を目前に、アジアの大都市間で改めて危機感を共有して連携した取組を行っていくことを、訴えたいと思っています。

 また、世界的な流行の拡大を見せております新型インフルエンザについては、先日都内で2人目の方が亡くなられました。参加都市の所属するアジアの国々でも既に500名を超す方々が亡くなるなどして、非常に危惧すべき状況にありますが、東京の取組の現状を紹介するとともに、アジアの大都市による連携の重要性も訴えていきたいと思っております。

 私から申し上げるのは以上です。どうぞ。

質疑応答

【記者】今お話に出ました新型インフルエンザなんですけれども、全国的に流行が拡大していまして、心配している都民の方もたくさんいらっしゃいますけれども、東京都の対応としては、何か変化というのはあるんでしょうか。

【知事】いや、従来どおり、かなり先行してやってきたと思いますから、その姿勢は保ちながらですね。ただ、国の役所が、いろいろこう喧伝(けんでん)するんですが、結局、大変だ、大変だと言いながら、新型インフルエンザのためのワクチンもおくれてるし、それから、在来型というんでしょうか、冬にはやる、従来のインフルエンザのワクチンも、聞いてみると出回っていない、そういう点は、ちょっともどかしい感じはします。

 はい。どうぞ。

【記者】鳩山(由紀夫)政権が誕生して1カ月にちょうどなったんですけれども、その評価、特に、もうかねてからいくつか都政に関係して、外環道ですとか、羽田、それから、ダム、もろもろ政権での、トップダウンといいましょうか、大臣の発言等によって都政もかなり影響を受けているケースもあるんですけれども、この1カ月、そういった手法とか、あと、知事おっしゃってました、官僚主導の打破という、その政権が目指す方向性についての、今のところの、1カ月ですけれども、どうごらんになっていますでしょうか。

【知事】いや、まだ1カ月では、なかなか評価というか、その段階じゃないんじゃないんでしょうか。ただ、東京絡みの問題もありまして、今までの国土交通省との話やなんかもありましたが、国土交通省の幹部にいろいろ話聞いてみると、意思を伝えるも伝えないも、事務次官といえども、とにかくシャットアウトされて、大臣に会えないと。せいぜい政務官までということで、何かお役人さんもイライラというか、非常にこう、悩んでいるみたいですけども。

 それは選挙のときは、各政党、華々しく公約を広げてやりますが、選挙は選挙でということと言わないけども、しかし、マニフェストか何か知らんけども、とにかく公約で言ったことのがんじがらめになっても、逆に行政が硬直してくると思います。

 それで、この間、財務大臣になった藤井(裕久)君が何かのテレビでも言ってたけども、その経済と財政というのは相関関係があるから、経済だめになっても財政もたない、財政がもたなくなっても経済がもたない。そういう点で、今度の概算要求なんかを眺めていても、実はもっと、項目だけ出してその裏づけの金目の報告というのはしてない節があるから、省によっては。もっと実質的に大きなものになっちゃうんじゃないんでしょうか。

 それから、そういう社会保障というんでしょうか、福祉というんでしょうか、教育の問題なんかの政府のほうの支出にしても、これは循環しない金ですよ、支出だけ。これは、経済にかなり大きく響いてくるんじゃないでしょうか。公共事業が絶対のGDP(国内総生産)を高める、景気を刺激する素材とは言わないけれども、公共事業だけが。ただ、それはほとんどネグられて(なくされて)しまったときに、どうやってGDPを増やしていくか、そこのところよく見えないとこがあります。これも、予算編成が終わってから言えることでして、今の段階でまだとやかく言える、そのステージではないと思いますけども。

【記者】印象ですけども、個々の大臣が、私見とは言いませんけども、例えば金融のモラトリアム(返済猶予)だったり、それから、(羽田空港の)ハブ空港についてはどうも落着したみたいですけども、そういった、こう…。

【知事】あれ(羽田空港)は、実は前から、内々決めてたことで、Aラン(滑走路)、Cランという2つのただ南北伸びてる滑走路のどっちかも延伸しますし、あそこから一番大きな旅客機で満員、満タンにして、今まで飛んで行けなかったとこへ行けるような、そういう機能も備えようと思ってるし、そのつもりで来ましたから、あれは社会工学的に見ると当たり前のことですけども。

【記者】羽田空港は、確かにそうなんですが、個々の大臣が、好き勝手とは言いませんけれども、わりとこう、個性的な発言がそのまま地方に影響し、一喜一憂というか、わりと反論を余儀なくされるケースが多いと思うんですけども、そのあたり…。

【知事】これは民主党政権が、政権なりに補正もやるんでしょうし、来年の本予算を編成していく過程で、具体的に政権の姿勢が見えてくるわけですから、その段階での論評ということじゃないでしょうか。ただ、やっぱりちょっとハラハラさせる節はありますな。

 はい、どうぞ。

【記者】鳩山政権の取組について質問いたします。鳩山政権が行政刷新会議というものつくりまして、外部の有識者や市民の声で事業の無駄を削っていく事業仕分けというものを導入しようとしているんですけれども、これまで自力で財政再建果たしてきた自治体として、東京都としてこういう事業仕分けというものについて、どういうふうに思われますか。また、今後、事業仕分けとかを取り入れていくようなお考えというのは…。

【知事】これは、実質的にあなたが東京の実態どこまでご存じか知りませんけど、就任してから議会も一緒になって財政再建してきたんですよ。で、あのときに200億しかなかった積立金、つまり、貯金が1兆円超える段階へ持ってきた。その過程では、事業の必要性というのは根本的に見直すということをしなかったらどうにもなんない。それ、やってきました。ですから、眺めていて、その間国は何をやったかといったら、政権は自民党の政権だったけども、赤字国債ずるずる出して、620兆ですか、膨大な借金かさんできた。私たちやった、一種の事業仕分けによって、東京は、8,000億ぐらい無駄なお金を削りましたよ。そういうことを考えると、そのためにはいろんなこともしてきたし、民間の知恵かりるのも結構でしょうけど、しかし、民間の人が選んだ、議会があるわけですから、都民の代表が議会を構成して、その議会と私たちは今まで随分やってきましたから、そういう点では、今、民主党がやろうとしていることは、私たち自主的にやってきたと思ってます。ですから、その努力の中で、8,000億ぐらい絞り出したし。

 それから、この間、原口(一博)総務大臣と全国知事会の会議ありましたが、そのとき私言ったんですけど、1つは、東京都は、会計制度を変えました。国は相変わらず世界で先進国の中で唯一日本だけが、単式簿記。こんなもんで、きちっと財務諸表が出てくるわけないんだ。だから東京は、複式簿記にした。発生主義の複式簿記にしました。だからきちっとした財務諸表が出てきます。それからこれは、法律でうたわれているけども、そこまで積極的にやってるほかの自治体があるかどうかわからんが、国も含めて、外部監査ってどこまでやってんですか、東京は徹底的にやってますよ。ですから、今さら、仕分けだヘチマだと言われても、私やることやってきたんで、そのことを原口さんに言いました。そしたら、「いや、全くおっしゃるとおりだ」ということでした。

 それから、やっぱり国は、福田(康夫)内閣のときに、伝家の宝刀か何かしらんが、一方的に財務省が、法人事業税の分割基準を変えて、東京から暫定的というか、2年間にわたって3,000億ずつ、つまり子供の財布から政府が持ってくんだ。これは、幸いなことに、当時の国会では民主党の何人かの議員が反対という質問をしてくれていますんで、これを踏まえて、今度の政府がこの問題をどう解決するか、そのことも私大臣に言いました。「おっしゃるとおりです」ということでした。

 はい、どうぞ。

【記者】ちょっと追加なんですけど、今後、民間人を入れるかどうかということについては、これまで自力でやってきたし、このままの方向性で、東京都としては大丈夫だろうというお考えということ?

【知事】それから、この、国がやっていることを見ても、優先順位ってのをどうやってつけるんですか。それがさっぱりわからないんだ。それを、とにかく、地方のちっちゃな自治体、区市町村程度だったら、済むかもしれない。東京の予算の案件ってのはべらぼうに数多いですから、そういったものを、どういうプライオリティー(優先順位)でとらえるか。それから、その中から、何と何を選ぶかということも、これ、とても大事な選択基準になると思うけども、それがよくわかりません。で、東京はその必要全くないと思います。今の限りでは。

 はい。

【記者】きょう、前原(誠司)国土交通大臣が、八ツ場ダムの件について、地元の自治体の知事との意見交換の場を設けたいというふうに発言されたようなんですけれども、それについての知事の所見をお聞きしたいんですが。

【知事】結構ですね。それはしなきゃいかんと思います。知事も、選挙で選ばれた知事ですから、それぞれの県の県民の意思を代表して出てきているわけですし、それは、地元の人々と話すのも結構だし、それをしなくちゃいかんと思うけども、もっとリアリティー(現実味)がある話が聞けると思いますが、地元の県知事の意見は当然聞くべきだと私は思います。しかも膨大なお金かけて、7割できている事業をここでとめるってことのロス。だから、例えば国土交通省なんかで、これは半分本気か半分冗談か知りませんけども、ここまできたら、関係の5都県で、自前でやって、ダムつくっちゃったらどうですかってな話もあるけど、それはちょっと、話の筋が違うんで。

 例えば、とっても大事なデータがあるんですけど、利根川水系では、3年に1回渇水が発生していまして、それで、平成8年の渇水を例にとりますと、年間117日取水制限してきたんですよ。もし、これが、八ツ場ダムってものが完成されれば、その取水制限は、平成8年の117日よりも100日少ない、17日前後の取水制限で足りるんです。そういう事例は、歴然としてあったわけです。カスリーン台風(昭和22年に発生し、関東地方や東北地方に大きな被害をもたらした台風)のときどうのこうのって、そんなことよりも、この平成の時代に入って、既にそういう事例があるわけで、年間、3分の1近い期間、取水制限を強いられるというのは、これはなかなか、関係の住民にとったら厄介なことですよ。

 それから、特に千葉県なんかは、聞きましたら、農産物の生産高というのは日本で第2番目の県なんだな。これは、ある時期、時期に応じてでしょうけど、必要な穀物、農産物をつくるための水が足りなくて、往生した。この事例がもう毎年あるみたいで、こういうものの解決のためにも、水道の水ってわけにいかんでしょうけども、ある水量ってものを、水源で確保してあげないと、農業そのものが疲弊してしまうということもあるわけですから。そういったものを踏まえて、前原さんも振り上げた拳、なかなかおろしにくいかもしれないけども、ここは冷静に、行政の最高責任者としてこの問題をとらえてもらいたいと私は思います。

【記者】来週、知事は現場の視察されるということですけれども、どのような点を現場でごらんになるような…。

【知事】1回、2回の現場視察でわかんない問題あると思いますけど、僕は、ヘリコプターでずっとその水系に沿って飛んでみて、全体の把握をした上で、地上でまた、関係の知事さんたちと話そうと思ってますけども、物事をこう、鳥瞰(ちょうかん)図的にとらえていかないと、わからないことあると思います。

 はい、どうぞ。

【記者】1つはオリンピックで、もう一つは外環道のことなんですけれども、オリンピックのほうでは、今回、東京オリンピックは成功しませんでしたけれども、原因に、理念の問題が1つあるんではないかなというふうに思ってるんですが、その理念といいますのは、環境オリンピックということをこちらはテーマにしたわけですけれども…。

【知事】いやいや、環境の整備は要件の1つですから、それは東京が一番進んでいるキャンペーンはしましたよ。それも理念の1つだし、オリンピックがもともとうたっている、その平和、友好、協調という、そういったものは当然、東京も踏まえて、しかも、理念とすると、具体性ということなのかもしれないけど、その最たるものは、選手たちのための便宜っていうものは、一番コンパクトで、一番、選手たちにとって条件のいい整備をしたと思います。あるものに書きましたが、ロンドンオリンピックの推進の会長をしているセバスチャン・コー(ロンドンオリンピック組織委員会会長)という、これ、なかなか誇り高き、うるさい男がいる。彼はもちろん投票の1票を持ってませんけど、オリンピックの関係者、当然あの席にいましたが、私も何度か会って話しましたけど、私探したけど、私もうホテルへ帰ってましたが、うちの(東京オリンピック・パラリンピック招致委員会の)事務総長をつかまえて、「東京の条件整備が最高だと思う、ロンドンも学ばなくちゃいけないところがたくさんあると思う、プレゼンテーションも最高だった、しかるにな」と言って、帰った。なかなかそれは暗示的な言葉だと思いますし、私たちはそれで、すべて満足したわけではありませんけども、そういう点では、理念ったって、理念は結構なんだけど、具体的にそれを表示していかなかったらどうにもなりませんから、その点では、東京はそれを具体的に、整備計画も含めて、オリンピックの掲げている理念を、東京なりに、ほかの都市に比べて、はるかにすぐれた形での、準備はしていたと思いますけども。

【記者】それにもかかわらず、リオデジャネイロに決まったということが、やはり今、世界の潮流といいますか、そういう流れの中では、南北問題っていいますか、先進国、発展途上国との、その問題、ギャップのほうが、むしろ世界の潮流として大きな流れがあって、地球温暖化とかいう環境の問題は、まだまだ成りきっていなかったということが言えるんじゃないかなというふうに思うんですけれども、その辺はどういうふうにお考えですか。

【知事】ちょっとあなたの質問、とんちんかんなところがあるんだ、それ。その南北問題は南北問題であるでしょう。それから、環境は、オリンピックを東京なら東京で主催する要件の1つでしかありませんから、ですから私たちは、IOC(国際オリンピック委員会)の唱えている最低必要条件というものを最高の形で整備して臨んだつもりでおります。その評価もありました。しかし、南北問題っていう、確かに、新しく台頭した世界全体の流れがあった。そういったものは、あの採決というのを具体的に動かしていった。そのための情報の収集にはちょっと足りなかったところがあると思います。例えば、ブラジルの大統領が、これは間違いない、アフリカの代表集めて午餐会をやったときに、20億円ですか、アフリカにとったらかなりのお金でしょう、こういったものを、アフリカの諸国のために、スポーツ振興で用立てる準備があると言った。これは、私が聞いてた初めての要件で、IOCの委員がそれを言ったらファールになりますから、もっと上の国家の元首クラスの人が、そういうことを言っていいんだったら、こっちはこっちで、麻生(太郎)内閣にいろいろ注文つけて、もっと政府の手形を切ってもらうのはたくさんあったと思うんです。そういう情報が、とりきれなかったのはちょっと残念だと思いますけども。

【記者】環境ということで、鳩山総理も会場へ行ったわけですけれども、その環境というものは世界にまだまだ受け入れられるような理念ではなかったということを逆に言ってるのかなというふうに私は思うんですけれども、その件ともう一つ、このたび広島と長崎が、立候補、手を挙げるということの話が出ていますけれども、これについてはどういうふうに、理念というものとの考え方からいきますとどうなんでしょうか。

【知事】広島・長崎は、世界で唯一の被爆国ですから、唯二の、日本だけが本当にそういう被爆の体験を持ってるわけで、その、2つの都市が、平和というものの追求の一つの手だてとしてのオリンピックに名乗りを上げるってのは大変結構なことだと思います。ただ、IOCの構えているいろんなルールがあったりしますし。さっきも実は広島の(秋葉忠利)市長と話をしたんですけれども、私の考えとかいろいろノウハウをお役に立てるなら幾らでも伝授しますよということを申しましたが。例えば北京のオリンピックなんかでも、ヨットの競技では青島という、北京、海ありませんから、かなり離れたところでやった。ですから、私は、2つの都市で共催するって、なかなかワールドカップと違って難しいと思いますよ。だけど、広島が主催都市になって、一部の例えば花形のスポーツ、女子のマラソンとかを長崎が受け持つような形の分担だったら、私は通るんじゃないですかということを申し上げたんですけど、それも検討の段階でしょうが、いずれにしろ、いずれの都市が2020年に向かって名乗りを上げるかわかりませんけれども、東京は東京なりに、今度の苦い経験でかち得たノウハウを、日本の中の相手が競争者であろうとなかろうと、いつでも提供するということはもうお約束しました。

 はい。

【記者】外環道の件なんですが、外環道、予算凍結された形になりましたけれども、羽田のほうが都知事が昔から言ってたように、羽田のほうは、こういうふうな形になりました…。

【知事】これはもう予算がついて、予算執行されて、東京も片棒かついで、現に滑走路はもうじきできるわけですよ。それから、今あるAラン、Cランのいずれかを南北に延伸するということで、あそこらは、一番大型の旅客機が満タン、満員にして、飛んで行っても、今、飛んで行けないワシントンやニューヨークやロンドンまで行けるという整備をしますから、これは、別に公共事業の予算云々(うんぬん)の問題じゃなしに、もう決まったことなんで、既定の路線ですけども。

 外環道は、ほかの公共事業というものをどういうふうに考えるかわかりませんけど、今度の政府が。これはやっぱりコスト・アンド・ベネフィット(費用対便益)ということで言うと、(本年5月に整備計画に格上げされた4路線の中で)一番高い指数を持っているプロジェクトですから、それまでをストップして、一体ほかの公共事業、一切やらないのか、それは、公共事業一切やらない国家というのは、私、ちょっと考えられないんだけども。それこそさっきの仕分けじゃないけども、優先順位ということを考えたら、冷静に科学的掲出すれば、その外環道というのは、何も東京のためだけじゃなしに、日本全体のためになるし、そういう点でも、今までの、方程式の中で一番優先順位の高い指数が出ておるわけですから、これをどう扱うってことは私はとっても今度の政府の公共事業に対する基本的な認識を占う大事な、非常に決め手になると思います。これ、すべきです、日本のためにすべき。東京のためじゃない。日本のためにすべきなんです。前都議会にいた、あの大河原(雅子)さんという参議院議員が、これに強烈に反対していると聞きますけど、私はやっぱり、冷静に考えてもらいたいと思う。東京のためだけじゃない。これ、日本全体のための問題だから。

【記者】そのための、何かアクションというふうなことは、…。

【知事】これから、これから、知恵、かしてくれよ。

 はい、次ありますか。質問、どうぞ。

【記者】すいません、オリンピックの話に戻るんですけど、広島・長崎が、立候補検討を表明したということで、これまでのオリンピック開催都市決定のスパンを見ますと、大体来年ぐらいには国内の招致都市を、JOC(日本オリンピック委員会)のほうで決めなきゃいけないと思うんですけど、東京都として、先週、知事がおっしゃっていました、今回の2016年の招致活動に関する、次の世代に引き継ぐための、報告書の提出というのはいつごろまでにするのが望ましいというふうに考えていらっしゃいますでしょうか。

【知事】それはもうできるだけ速やかに、例えばその、あなたのおっしゃったタイムスパンのリミットがいつごろかわかりませんけど、当然それに間に合うように、その事前に、つまり報告を手にすることでいろんな人が次のことを考えると、東京も含めてでしょうけど、それがやっぱり私の責任だと思います。

【記者】そうすると、1年後にJOCで招致都市を決めるとすると、その前ということ…。

【知事】そりゃそうでしょう。

【記者】半年とかそのぐらいと考えたほうがいいですか。

【知事】これはわかりません。JOCとも相談しまして、それによってこちらのノルマも決まってくると思いますから。

【記者】オリンピックに関してなんですが、2020年のオリンピックについて、先日の取材で、知事は、次の知事が決めることというような発言もされてたんですが、知事在任中に一定の東京の方向性というのは出すお考えというのはあるんでしょうか。また、それはいつごろの時期というのを考えていらっしゃるんでしょうか。

【知事】今、前の方の質問にあったみたいに、そういうタイムリミットがあるんだったら、それまでに、私、在任中のことでしょうけども、東京の姿勢を決めなくちゃいかんでしょう。

 それから、いろんな問題があるんです、これ、絡めて。その、選手村の工事をやるとか、スタジアムの工事やった土地をどういうふうに有効にその間、使うか、使えないか、そういったものの検討も含めて、あるいは、オリンピックのために積み立ててある4,000億のお金を、どういうふうに有効に使うか。それとも、オリンピックを、また東京が名乗り上げるなら、そのためにはとっとかなくちゃいけないもんでしょうから、そういったものはやっぱり複合的な分析、反省も含めた検討、前の質問者が、言われたタイムリミットがあるなら、それまでに間に合うように私はできるだけ急いでしなくちゃいけないと思います。

【記者】先ほどの、秋葉市長とのお話なんですけれども、お会いになられた、あるいは電話で話された?

【知事】電話で話しました。

【記者】それは、先方から何か協力要請というかどういった…。

【知事】いや、それは、広島・長崎が名乗り上げたというので、私、大変結構なことじゃないか、東京は東京で幾らでも協力しますよと。国内の競争があるにしても、ないにしろ、それは別にして、大事なノウハウですから、それは共有しましょうと申し上げたら、大変温かい友情にあふれた発言でありがとうございましたという電話がかかってきたんで、それに答えて言ったことです。

【記者】先ほど例えばマラソン、分散開催みたいな構想をおっしゃったのは、何か求められ、アドバイスというと変ですけども、儀礼的な電話で終わったのか、そういったやりとりが幾つかほかにもあったんでしょうか。

【知事】いや、そういうことは、彼は、そこまで考えてなかったです。ですから、そういうこともありますよ。近々、上京されるときに会いたいというので会って、逐一私たちのノウハウをお伝えしようと思います。東京のときも、あれは、選挙の前でしたっけ、都議会の民主党の議員から、広島とか長崎で、オリンピックが平和というものを念願するイベントなら、象徴的な都市だから、あそこで、幾つかの種目をやらせたらどうだということがあったんで、それは、考えましょうと。決して悪いことじゃないと思うんです。1つの種目ぐらい、一番花のマラソンとか、そういったものを、広島に分割してやるということはいいことですなという話をしたのは、記憶にあります。ですから、そのことをちょっと電話のついでに申し上げたんですけれども、そこまで向こうも考えていないんですが、ただ、IOCもなかなか官僚機構みたいになってしまって、広島と長崎2つの都市で、日本の中で共催するというのはなかなか難しいんじゃないでしょうかな。ですから、オリンピックのヨットも北京と青島でやったみたいに、それのように、私は東京にもしオリンピックが招致できたら、その辺のことはしようかなと思ってました。

【記者】東京が次回また立候補するということになった場合、広島は、国内ですけれども、一応ライバルという形になるかと思うんですが…。

【知事】それは、東京の姿勢が決まってからのことですから。仮定の仮定の話をしたってしようがないでしょう。東京は東京で、全く成否のつかない問題に乗り出すことはなかなか難しいと思うし、東京にとって至難のことがほかの都市にとって易しいということもないでしょうけども、そういった分析をした上で、東京の姿勢を決めなくちゃいかんと思います。

 断っておきますけど、何かわけのわからない数字を挙げてる人がいるけど、ブラジルが実際に招致運動でかけたお金というのは、皆さんどういう論拠でああいう数字を出したかわかりませんけど、東京は、確かにロンドンに比べるとお金、かかったんです。これは、新しい条件が加わったんですよ。6月ですか、ローザンヌであった、あのオリエンテーション、キャンペーンというものは今までなかった。これがあることで、かなり予算が増えました。こういうことはやっぱりご理解いただきたいと思います。

 はい。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)