石原知事記者会見

平成21年9月17日更新

石原知事定例記者会見録

平成21(2009)年9月11日(金)
15:00〜15:22

知事冒頭発言

1 IOC総会への出張について

【知事】冒頭、1つだけ申し上げますが、2016年オリンピック・パラリンピックの開催都市を決めるIOC(国際オリンピック委員会)総会が10月2日、デンマークのコペンハーゲンで開かれますけれども、これに伴って、9月26日から10月4日までの予定で、コペンハーゲンに出張いたします。

 現地では、IOC委員に対し、最後の瞬間まで東京招致への支持を求めていくほか、私自身も最終プレゼンテーションのメンバーの1人として、登場する予定であります。

 東京招致を望む都民、国民の熱い思いを胸に、これまで皆さんにご尽力いただきましたが、その労に報いるためにも、何とか招致を獲得してまいりたいと思っております。

 以上です。質問があったら、どうぞ。はい、どうぞ。

質疑応答

【記者】民主党の、国のほうの話なんですが、今年度の補正予算の未執行分について、現在、一時停止をする、あるいは、そういった方針を出しているということがあると思うんですが、これによって、東京都でも、一部、国の補助事業等で影響が出ると見られますが、現時点で、知事はこの件について、どういった考えをお持ちでしょうか。

【知事】公共事業の性格、実施について、いろいろ論議がありましたし、民主党も非常に批判している部分があったと思いますけれども、東京に関係する、国主体の公共事業も、幾つかありますけれど、外環(道)に関してだけは、この文明工学的、都市工学的にいっても、圧倒的に優先度の高いというか、コスト・アンド・ベネフィット(費用対便益)の計算をしても、圧倒的に他の予定されている事業よりも高い案件ですから。私は、これは、絶対に外してもらいたくないと思っていますが、これは、何も、東京のためだけじゃないんですよ。東京の弱点である渋滞を解消するにも必要なことですけれども、何といっても、物流というものをもっとスムースに、合理的に行うためにも、とにかく、これができれば、今、東京(首都高速)に流入してくる、主にトラックでしょうけど、そういう事業者の60%ぐらいが、バイパスで行けるわけですから、これは、お互いにとって非常に大事だし、日本全体の何ていうんでしょう、社会の合理的な運営のためにも不可欠なものだと私は思っていますけども。これは、やっぱり国が、これからどう判断しますかね。

【記者】外環道に限らず、例えば福祉保健局の障害者自立支援の積立金とか、社会福祉施設の耐震化等の積立金なども、補正予算から積み立てをする予定だったものも、今、どうなるかわからないという状況であったり、あと、小笠原の海底ケーブルの工事とか、そういったものについても、今後、予算措置が行かなくなる可能性が出ているということなんですが、広範にわたって影響が…。

【知事】それはあるかもしれませんな。しかし、やっぱり政府の姿勢が、要するに決まる前に、私たちが予測で物を言ってもしようがないでしょう、これは。

【記者】宮崎県の東国原(英夫)知事は、きのうの会見で、法的措置も考えると、訴訟もするだろう、する可能性もあるというようなことを発言されているみたいですが。

【知事】まあ、東京は、その問題だけじゃなくて、いろんな問題があるんですよ。憲政会館でやったシンポジウム(※全国知事会が開催した地方分権改革に関する公開討論会)でも、私、出れませんでしたので、猪瀬(直樹)副知事に行ってもらったんですけれど。福田(康夫)内閣のときに、財務省が、一方的に法人事業税の分割基準を変えて、東京は税収が多いからってんで、暫定的ってやって、2年間にわたって3,000億ずつ、言ってみれば、子供の財布から持っていくわけだ、親が。これは、私は論外だと思います。

 地方分権っていうものを、要するに非常に大事な、何ていうかな、これからの政治の目的と新しい政権がするなら、こういった問題についても、ぜひ考え直してもらいたいと私は思ってますけれど。いずれにしろ、新政府が発足しなきゃわかりません。主務大臣が決まらなきゃわかりませんから、その段階で、私は言うべきことは、担当の大臣あてに申し上げるつもりでおりますけども。はい。

【記者】関連なんですけれども、衆議院選挙終わられたときに、知事、民主党政権に対して、中央、官僚の中央支配を打破するかどうかというのを注目されているというお話でしたが、今度、総理になられるであろう鳩山由紀夫さんに対しての、何ていうんでしょうか、注文ですとか、あるいは期待、個人にですね、民主党という話とちょっと離れるかもしれませんが、鳩山由紀夫さんに対して、何か新総理への期待というか、注文というか、ありましたら。

【知事】いや、これ、やっぱり内閣を主宰する総理大臣というのは、個人の性格の問題もあるでしょうけど、やっぱり、与党になった、民主党並びに、連帯を組んでる他の2つの政党を代表して物を行うわけですから、個人の資質云々(うんぬん)、性格云々というよりも、つまり彼が代表するであろう新しい政権に、私は期待するわけですから。鳩山さん個人の問題というよりも、新しい政権の問題だと思いますし。

 まあ、とにかく、ある意味じゃ、日本は中央集権、官僚支配の、言ってみれば一番成功した社会主義国家だと思いますから、こういったものが、やっぱり弊害を生んできているんで、それが、本質的に新政権によって変わっていくことが極めて望ましいと思います。それは期待したい。私自身も非常に官僚に批判的だったし、いろんなことを言ってきましたけれど、それはそう一朝一夕に変わるかどうかということも、これだけ、司馬遼(太郎)さんの言葉じゃないけども、徳川幕府が倒れて、太政官制度が発足して以来続いてきたことですから、途中に、県知事の選挙も要するにニュースになりましたけれども、しかし、果たして、この日本の今までの政党政治なるものが、実際に政党政治であったかどうかということは、これは、自民党の、私もいましたけどもかつて、責任の問題も随分あると思います。それが、ひっくり返って、ロスが少なくなって、国民の負担が低減されれば、それにこしたことはないと思いますよ。

 そういう、何ていうんでしょうか、国家の体質の転換というのは、これで行われれば、大変結構だと私は思ってます。

 個々の問題についての批判とかで、あるいはこれから、まだ政府の姿勢が具体的にわかりませんから、その段階で、また言うべきことは言っていこうと思ってますけれども。

【記者】ちょっとそもそもみたいな話ですけど、鳩山由紀夫さん、あるいは一郎さん(鳩山一郎 元首相)との知事の接点というのは、何かこれまでに鳩山家といいましょうか。

【知事】これはほとんどありませんでした。ただ、お父さんの威一郎さん(鳩山威一郎 元外相)とは、お互いに初めて閣僚のとき、福田(赳夫)内閣で一緒に仕事しましたので。ということですな。

【記者】はい、わかりました。

【知事】きのう、実は、オリンピックの問題で、鳩山(由紀夫)さんと電話で初めて話しました。かなり長いというか、そう何十分ではありませんよ。どれぐらいだったか、ちょっと正確にははかってませんけれど、こちらから申し上げたいことは申し上げましたし、何てったって、これからは首班指名を受けるわけですから。僕は、新総理としての注文というか、要望を言いましたけども、彼は謙虚に、「まだこれからのことですから」と言っていましたが。

 しかし、やっぱり、時間がお互いにないのと、後で質問受けるかもしれませんけれど、特に前からお話しした皇太子殿下ご夫妻に、是非、コペンハーゲンに国家を代表した形で行っていただきたい。

 この問題も、前内閣には頼んであったんですが、足が地に着かないし、何か知らんけど、どっか行っちゃって、官房長官には言ったけども、ああ、やってます、やってますだけで、どこまでいったかわかりませんが。宮内庁にしたって、要するに、消滅するに違いなかろう内閣よりもですな、次に誕生する内閣から、何を言ってくるかということを待ち受けていると思いますし、その内閣そのものが、まだ発足してないわけですから、これはこれからの問題だと思ってますけれども。

【記者】あの、すいません。せっかくおっしゃったんで、もう少し、その、電話の内容はどのような…。

【知事】いや、これは、お願いするアイテムについてだけ申しました。

 ですから、皇太子殿下の、要するに、ご出張ですね、お願い、内閣としていただきたい。それから、新内閣総理大臣も、特に思い切った、CO2の削減をあれして(※民主党は、2020年までの日本の温暖化ガスの中期目標として「1990年比25%削減」を目指すと表明)、ヨーロッパなんか、非常にショックを受け、喜んでいると思いますけども、COP15(第15回気候変動枠組条約締約国会議)が、12月に行われますが、要するに、ピンチに差しかかっている地球をどうやって救うかって問題。

 この間、私、ドイツに招待されて行って、隣のポーランドも用事があって行ってきましたけども、やっぱりヨーロッパの、要するに、知的な水準の高さというか、ちょっと遅まきではあるけれど、かなり、やっぱり真剣に考え出しているなという感じがしました。そういったものを受けて、やっぱり鳩山次期総理が、あれだけ思い切った発言をした。

 しかし、これは労働組合も反対しているみたいだし、財界も反発しているみたいだけど、いずれにしろ、命あっての物種ですから、地球が滅びて、オリンピックも何もあったもんじゃないんで。そういう点では、私はやっぱり、そういうことを主唱した新総理が、そういうコメントもあわせて、コペンハーゲンに行ってもらえたら、非常にこう、強い印象になるんじゃないかと期待していますけれども。そういうことを申しました。

【記者】細かいことですけど、午後ですか、それから知事のほうからお電話されたということでいいんでしょうか、きのうの電話は。

【知事】そうですよ。電話のアポイントもとって。

【記者】なるほど。はい、わかりました。

【知事】どうぞ。

【記者】昨日、アジアユースパラゲームズがありまして、皇太子殿下と、あと、国際パラリンピック委員会のフィリップ・クレイヴァン会長がいらっしゃったということで、知事もお言葉を交わされていたようですが、差し障りのない範囲で、どのようなことをお話しされたのかというのを…。

【知事】だれと?

【記者】皇太子殿下と。

【知事】いや、そんな話をするひまなかったですな。

【記者】ごあいさつ程度ということでしょうか。

【知事】はい。

【記者】それから、IOCの国際パラリンピック委員会の会長さんも、会話する機会は…。

【知事】それは、控え室に一緒にいましたから、いろんな話をしました。前にも既に、ローザンヌでは会ってますし。

【記者】感触というか、協力の感触みたいのは。

【知事】それは、みんないいこと言ってくれるんだよ。

【記者】すいません、もう1点だけ。あの、すいません、先週もお聞きしたんですが、八ツ場ダムの件なんですけれども、かなり地元のほう、きょう都議会のほうでもですね、1都5県の議員が集まって会議を開いているようですが、かなり中止に反対する動きというのが広がってきています。それについて、どのようにお考えかということと、東京都知事として…。

【知事】いや、これはもう、前に議会でもさんざん言ってきたことじゃないですか、答弁の中で。その、新規のプロジェクトじゃない、もう、大体7割できてきて、あとダムそのものをつくるか、つくらないかって、全部疎開したわけでしょう。道路も鉄道も全部つけかえて、幾ら工費がかかったか、べらぼうなものでしょう。これは、私は、ちょっと中止するという案件にしちゃ、いささか問題があると思いますな。

【記者】都知事として、新政権に対して中止撤回を申し入れたりということは、お考えなんでしょうか。

【知事】いや、そんなことよりも、その、こういう異常気象の中で、今、むしろどちらかというと集中豪雨とか、そういったものに、そういう災害に悩まされておりますけども、これから先、例えばその、どういうんでしょう、とんでもない渇水期が来る可能性もないでもない、こういったものを、占う、予測する、その技術能力ってのはないんですよ。それを防ぐ能力もないんですよ。

  そのときに、たびたび申し上げていることだけど、今、東京にとっては大事な水がめになった小河内ダムをつくったときも、これは反対があった、猛反対があった。だけどつくった。そうしたら、できたときは、こんな要らないものつくっちゃったということで、小河内ダムっていうのは、「小河内」、小さな河の内で、これを読みかえると「しようがない」というあれで、「しようがないじゃん、小河内(しようがない)ダムができた」と言ったら、次の年に大干ばつが来て、あの、要するに水がめがあったおかげで、東京は助かった、首都圏も。

 こういった過去の事例を眺めまして、人口が減っているから水の需要が減る、減らないの問題じゃなくて、人間の使う、使わないの水の量よりも、要するに、異常気象というね、それを動かしているのは天か神様か知りませんけど、天が与える水の量、天の水の量というのは人間には予測できない。しかも、こういう、異常気象の時代に、そういったものを見越して、人口は確かに減ってきたかも知らないけど、私は、しかもですな、着手して、多くの人に迷惑をかけて、ある意味で疎開までしてもらって、あと、ダムをつくるだけの段階に来たその事業をとめるということの意味合いは、私は、これは最後に歴史が裁く、あるいは、自然が裁くのかも知らんけども、非常に、疑義を感じますな。

 はい、どうぞ。

【記者】地球温暖化のことなんですけれども、鳩山さんが総理になる前ですが、25%削減を世界に提言しました。都庁の、東京都のほうは、20%だというふうに私も聞いていますけれども、これだけの差があることについて、それから、産業界が、業界のほうが、この25%について、とても実現は無理だという批判も出ているようですけれども、このあたりについてのご意見、ご感想をお願いします。

【知事】これも、さんざん言ってきたことで、つまり、歴然として、温暖化が進み、異常気象が進み、あちこち大きな被害が起こっているわけ。それで、G8のサミットでも、今年も、去年も、去年日本でやった、この問題についてはほとんど論じられなかった。ましてや、この世界全体にリセッション(景気後退)が進んでくると、もう経済に目を奪われて、この問題が各国の首脳の頭から離れちゃった。

  一昨年のバリ島の会議(COP13:第13回気候変動枠組条約締約国会議)では、専門家が集まったけども、これも全く進歩がなかった。そのたんびに、当事者がこの問題について言ったことは、何とか半歩は前進した。3年で1歩半じゃ、ちょっと遅いんじゃないですか。

 私は、日本は、東京は、C40(世界大都市気候先導グループ)に入っています。世界の大都市が、危機感を持って集まっている、その会議に入ってくれというから入りましたが、ほとんど役に立たない。だから私は去年、東京で、知事や市長が、大変だ大変と言うだけじゃしようがないんで、専門家に集まってもらって、何をするか、どこまで事態が悪くなっているかということを討論しようじゃないかと、去年10月やった。(※平成20年10月22日〜24日 C40気候変動東京会議を開催)

 その結果、集まった専門家の3分の1は、もう、ポイント・オブ・ノーリターン(引き返し限界点=地球温暖化を止めることのできなくなる時点)は過ぎた、間に合わない、地球は多分救われないであろうと、こう言うわけです。3分の2は、あと5、6年が勝負で、そこで思い切ることをしない限り、やっぱり地球は失われるだろうと言っている。こういう事態の中で、私たち、この問題の、要するに、何ていうか、とらえ方というのは、もうちょっと本気で考えないと、あなたと私もいい年だから、もうじき死ぬわな。

  しかし、子供たち、孫たちはかわいそうだよ。私たちが味わったことのない危機にさらされて、そのときに、鳩山さんが言い出した25%削減、これは要するに、基準にする年に差異がありますけど、いずれにしろ、けさの新聞見ると、連合までが疑義を感じて反対しているらしいけども、それは経済界は当然反対するでしょうが、しかしこれは、逆立ちしてでも実現していかないと、子供や孫が救われない問題だろうと私は思います。

 人間は、必ず死ぬんだということを、あなたも私も知っているけど、あなたも私もじきに、自分がもうじき死ぬだなんてこと、だれも信じてないんだ。それと同じで、私はやっぱり、この地球規模の異常気象、温暖化の問題というのは、深刻にとらえるべきものであるけれども、そのあまりの大きさに、何というんでしょうかな、我々はたじろぐというか、眩惑(げんわく)されて、あんまりこう、要するに、実感を伴わずに、論じている節があるんじゃないかという気がしますけれど。

 はい、どうぞ。

【記者】モーターサイクルフェスティバルの名誉会長としてお話を伺いたいんですが、今度、4メーカーが入りまして、新しく3年目になりますけど、その期待と、それから今、参加者の募集が始まっておりますので、その呼びかけをお願いしたいんですが。

【知事】いや、それは、もう、何というんですかな、専門部門の強化を私、呼びかけしていますし、あるメーカーとの間にちょっと軋轢(あつれき)があって、これも解消して、向こうも協力的になってくれました。

 ただ、公道を使うレースそのものは、なかなか問題があると思うけど、やっぱり、一刻も早く、ガスの噴出がおさまって、せめてやっぱり、内輪山、外輪山の間の、あそこでやっぱり、モトクロスでしょうか、そういう、ほんとうのこう、賞金を賭けてやるような競技というものを行わないと、走る人間は、それは、それなりの快感があるから行くだろうけど、それを眺めに、東京から行く人ってあまりいないから。そこら辺のことを考えないと、だから、何ていうんでしょうか、スロープ(傾斜)をつくっての宙返りも、私初めて見ておもしろかったけど、あれ、三宅島でやるよりも東京でやったほうがおもしろいですな、人が集まって。

【記者】そうですね。

【知事】ねえ。

【記者】はい。

【知事】ですから。やっぱりその、三宅島ならではのバイクのイベントってのをどうするかってことは、やっぱりあの土地の状況というものをうまく活用した形でやるとなると、公道はなかなか難しいでしょうね。ですから、やっぱり内輪山、外輪山のあのかつての、要するに、牧草地を何か改良することで、実際にレースをする、そういうこともだんだん考えていかないと、これは、なかなかそう長くは続かないんじゃないかと思っています。

【記者】もうひとひねり工夫がほしいということですか。

【知事】あなた方の、その専門誌のですな、知恵を貸してくださいよ、ほんとうに。

【記者】ありがとうございます。

【知事】それじゃ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)