石原知事記者会見

平成21年6月18日更新

石原知事定例記者会見録

平成21(2009)年6月12日(金)
15:08〜15:20

知事冒頭発言

1 国際ピアノコンクールで優勝した辻井さんについて

【知事】えー、今日、私から申し上げることはございませんが、質問を受ける前にね、私、ちょっとこれ驚いたんだけどね。この間アメリカでですね、クライバーンのね、記念のピアノのコンテスト(ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール)で優勝した辻井(伸行)さん、全盲の。あの人が帰ってきてね、どこの記者だっけな、質問してんだな。これね、メディアの諸君というのは、それぞれ力を持っているわな。要するに、会社を背負って。だけどそれは、何も諸君がだね、すぐれた人材であるとかね、ということの証にはならないんでね。これ、ちょっと無神経というかね、傲岸(ごうがん)というかね、生まれたときから、目が見えなかったこの人物にこういうことを聞いているんだね。
  「もし目が見えたら何が見たいか。」こんなの設問にならないじゃない。そうしたらね、「両親の顔を見たい」と彼は答えてるわけだよ。それで、「今はね、心の目で見ていると満足しています」と笑みを浮かべたと。これ、失敬千万というかね、傲岸というかね、無神経というかね、これ、質問になってないということとして、当人わからないんじゃないかな。この伝のことが随分多いね、この頃ね。
  僕、都議会のある政治家に紹介されてね、福島智さん(東京大学先端科学技術研究センター教授)という、これ、前例がなかったんだけど、東京の、かつての都立大学、初めて門を開いて、全盲ね、全ろう、つまりね、子供のころからだんだん目が見えなくなって、ついに両方の耳も聞こえなくなったと。18歳のときにね、完全にろうあ者になったんだ。これ、ヘレン・ケラーと同じだけどね、ヘレン・ケラーは生まれたときからですがね、これはもっと深刻な問題抱えながらね、非常にすぐれた人物、都立大学がね、点字で授業を受けさせて、それで、その後ですね、金沢大学にね、教授として赴任していって、それで戻ってきてね、東大の先端技術の研究所のコミュニケーション、限られた、ま、あれでしょうね、立場の人たちのためだろうけど。それでね、つい最近、教授になられた。この人物に会って、ものすごい私、ショック受けたんだけども。彼に言わせるとね、やっぱり健常者というものがね、同情はしてくれるけど、ほんとうに障害を負った、しかもね、深刻な障害を負った人間というものはなかなか理解できない。で、ほんとうのね、コミュニケーションというのは、なかなかね、そういう人たちととりにくいんだということを言っていましたがね、これなんかいい例だね、大新聞の記者がね、どんなつもりかしらんけどね、生まれたときから目が見えないとわかっている人間にだね、目が見えたら何を見たいか、ばかな質問じゃないか、これ。おごりだよ、これ、おごり、メディアの。と私は思いました。非常に憤りを感じますね、これ。
  当人は、これ、いい記事書いたつもりでいるかもしらんけどね、そういうところが、やっぱりね、私は、記者としての資質を問われるべき問題だと思いますよ。
  はい。質問があったら、どうぞ。

質疑応答

【記者】都議選についてお尋ねいたします。昨日から品川の方へ応援に行ってらっしゃると思いますが、都議の候補のご本人の応援という意味と、やはり宏高さん(石原宏高 衆議院議員)のですね、応援の意味もあるという見方もあるんですが。

【知事】それは、それはあなたの見方でしょう。私は別に。

【記者】どう、お考えをお聞かせいただきたいんですけども。

【知事】別にそのね、息子の選挙区じゃなくても私が都政にとって大事な政治家だと思ったら、都議選を応援に行きますよ。

【記者】ま、それはうわさ込みですけど、品川というところで知事の・・・。

【知事】昨日は、たまたま品川、初めてでしたけど、その前に僕はあちこち行ってますがね。はい。あなたが知らないだけの話でさ、あんまりこじつけた解釈しないほうがいいんじゃないかな。
  はい、どうぞ。

【記者】まず、新型インフルエンザの件なんですけども、WHO(世界保健機関)が今朝、フェーズ(警戒水準)6、世界的大流行というのを宣言しまして、世界的な機関がですね、パンデミック(世界的大流行)というものを認定したことになると思うんですけれども。さらに東京都内で初めて学校で集団感染が起きたりとかしていまして、かなり、収まったように見えて、意外と広がりつつあるんですけれども、東京都としては特別な措置はとらないという対応で変わらないと思うんですが、知事のこの現在のですね、状況の見解をちょっとお聞きしたいんです。

【知事】そうですね、基本的にはですね、東京の体制は変わりません。ということは、それなりにですね、十全のことをしてると思いますし、これがですね、フェーズ6に上がろうと上がるまいとね、この時期にですね、熱を出したら厄介な病気ですからね。ただ、やっぱり、これはパンデミック、まさしく大陸横断型のね、病気だなというのがわかったな。今、南半球は冬ですからね。オーストラリアでかなりこれが猖獗(しょうけつ)し出したというのは、やっぱり、このインフルエンザのですね、性格というものを暗示するというか、表示するですね、大きな現象だと思うんで、WHOがですね、これに対してこういう判断をしたということは、ごく妥当だと思います。北半球から南半球へ飛んでいったわけで。
  あのね、(WHOの)事務局長をしてるマーガレット・チャンというのはね、日本の実質的なWHOの代表の田代さん(田代眞人 国立感染症研究所インフルエンザウィルス研究センター長)というドクター、私、この人にいろいろ聞きましてね、お目にとまったかどうかね、去年、これは鳥インフルエンザの警告のために『文藝春秋』の本誌で対談してもらったんですけどね。
  この人がね、鳥インフルエンザの予兆ができて、また、香港がね、完全に大陸に吸収にされ尽くす前の、言ってみると香港の政府の厚生大臣していたマーガレット・チャンがですね、鳥がばたばた死にだしたんでね、非常におびえて相談したときに、この田代先生がね、やっぱり、もうね、即座に鳥を殺しなさいということで、40万羽ですか、彼女も非常に迷ったけど決心してですね、判断して殺した。で、それが蔓延せずに済んだんですけどね。そういう経験持つ人ですからね、やっぱり非常に神経質になっているというか、慎重になっているというか、私は、しかし、季節が完全に違うんで、南半球でね、これが、要するに、またはやり出したというのは、これ、またはね返って、こちらが冬になったときにね、北半球に及ぶんじゃないかという、その覚悟はやっぱりせざるを得ないんじゃないでしょうかね。そのためにも、今、東京もとってるね、特に医師会の先生方に理解を得て体制をつくりましたから、限られたところだけじゃなしにですね、対応は少なくともほかの都市よりは早くできるんじゃないかと、そういう体制はやがてどこのまちも敷くでしょうけども、そう思ってます。

【記者】もう一つお願いしたいんですが、千葉県の森田健作知事なんですけども、きょう、今朝ですね、東京の大田市場でですね、千葉県の青春すいかというものを売り出しにですね、トップセールスをしましてですね・・・。

【知事】あちこちの知事がやるね、同じことをね。宮崎県はマンゴーだったり。

【記者】先週、就任から2カ月を迎えたそうなんですけれども、アクアラインに関してもですね、公約どおり順調に進んでいるみたいですし、この2カ月間を見てですね、知事からごらんになって存在感といいますか、どのように…。

【知事】それは、まあね、どういうのかな、そんなことなんかで判断できる問題じゃないし、森田さんが腕まくりしてやっている、結構なんじゃないですか。アクアラインの料金はね、僕は前から言ったことでね、やっぱり、首都圏というもののね、全体の繁栄を考えてもね、間近なところに非常に自然が残っている千葉県というのがあってね、こういったものを、何というのかな、観光としての観賞がアクセスで阻まれていたけども、あれが安くなると随分違ってくると思いますよ。そんなこんなでね、もっとほかのことで、いろいろ話したいこともあるんですがね。千葉県がですね、何か首都圏に向かって、県そのものを開いていく大きなきっかけになると思うので、僕はやっぱりアクアラインを含めたね、あの環状線というのは、東京都内並みにね、統一料金でやったらいいんじゃないかと、かねがね言ってました。前の知事のときも言ったんですけど、彼は頑張ってね、時代も時代で、何というのかな、実現したというのはとてもいいことじゃないでしょうかね。彼はついてると思います、それは。

【記者】ありがとうございます。

【記者】選挙の関係なんですけども、総選挙も近くなりましてですね、国政で1つ、世襲の制限は是か非かというようなことが問題になっているんですけれども、否定的な意見がある一方で、人物本位であればいいんじゃないかという意見もあるかと思うんですけれども。この政治家の世襲について知事のお考えをいま一度改めてお伺いしたいなと思いまして。

【知事】さあ、これはなかなか難しい問題でね。結局、人物本位だと思います。私もたまたま東京でね、息子が2人代議士しているから誤解されるけど、私、息子の名誉のために言っておきますけど。長男のは全然違う選挙区で出ました。三男のほうもですね、私が世襲を薦めたらですね、興銀(旧日本興業銀行)でね、あるスペシャリストになると言ってたのが、そのうち会社がつぶれちゃったんでね、他のね、政党の強力な候補者が出ているところ、あえて出たんでね。これは、ちょっと世襲とも違うと思う。
  で、そういったものはね、何というのかな、政治家に対するへんぱな価値観をつくってしまうとね、例えば日本の政党ぐらいじゃないかな、総理大臣の孫、総理大臣の息子、それが何かね、特別のね、人材に考えられてね、わりとイージーに担がれてね、一党のリーダーになるというのは外国じゃあんまりないことだね。これは僕はね、世襲というもののね、もたらした、悪い、要するに結果の1つだと思います。しかし、いい結果もあるでしょう。これは、もうやっぱりね、人物次第だしね、お父さんの後を地域を継いだですね、人間はですね、その地域の特性にどれだけ精通して、地域のためを通じてね、国家全体にどういうね、仕事を果たすかということをやってくれると思うんでね。ただ、やっぱり、確かにね、政治家の子弟が多いということは日本独特の現象じゃないでしょうか。

【記者】わかりました。一概には言えないということですね。わかりました。ありがとうございます。

【知事】どうぞ。

【記者】本日、総務省の鳩山(邦夫)大臣が郵政トップの人事をめぐっておやめになりましたが、これについて、どうお感じになったかということと、大型選挙が地方選、国選ともに近い中でこういう動きがあることについて、影響についてご所見があればお願いいたします。

【知事】あんまり所見ないですな。よくわかりませんな。それから、かんぽの(宿)ね、ああいう、要するに売却というのは是か非かということもね、僕は専門家でもないし、それからやっぱり西川さん(西川善文 日本郵政株式会社社長)ですか、というのはですね、あの価格で諾とした1つの理由は、抱えている事業に、そのままですね、要するに投資をして使うということでしょう。これはね、人件費がね、べらぼうなね、要するに財政の素因だということはね、私も東京都知事になってね、やっぱり給料の削減、それから人員のね、カットということでね、やっと財政再建できましたけどね。国がやるべきことやってこなかったわけだ。
  その中でね、こういうしかも経済状況の中で、人間を手放さずにですね、守りながらね、それが条件であの格好に落ち着いたってのは、これは是か非かと、私は専門家じゃない、軽々に言えませんが、ということですね。それもう少し、やっぱりね、専門家、財政の専門家なんかにね、相談してですね、きちっと、数値といいましょうかね、もう少し科学的、論理的に検証したらいいんじゃないかと思うんだけども。非常に大まかな議論しかないからね。しかし変に鳩山君は張り切っているね。
 はい、どうぞ。

【記者】フリーの横田…。

【知事】あ、君の書いた記事、ちょっと違うんだよ。この間読んだらね。私がね、環状線をですね、やっぱり強くとりもって申し込んだらしいという。当たり前じゃないか、君。それおれの責任のことだよ。あの外環ができたときに、どういう効果があるか、検証したことがあるのか。あれができるとだな、年間ね、やっぱり20万本のね、ペットボトルでいったら噴煙(SPM)ね、あれがさらに減るんですよ。その他この他ね、それは当然、反対する人もいるでしょう、賛成する人もいるでしょう。その中でね、行政が選択してね、しかも国はだね、あの外環っての優先的に選んでくれたと。私はね、文明工学的に妥当なことと思ってますから。あなた、何か私がさも悪いことをしたみたいに書いてあるけど、あんなものね、君、何の皮肉にも、何にもならんよ。もうちょっとやっぱりさ、都市工学勉強して、道路のこと勉強して物を書いたほうがいいんじゃないかな。

【記者】いや、与謝野(馨)さんが慎重な発言をしていたものですから、その対比で紹介させていただいたんですが。今日はですね、名古屋市の河村(たかし)市長が水余りということで徳山ダムの利水事業からの撤退を表明されましたが、八ッ場ダムについてもですね、東京都は水余りにもかかわらず利水分を負担しようとしています。で、猪瀬(直樹)副知事はですね、慎重論を、最新のデータを使うべきだという慎重論を口にされていますが、なぜ見直しをされないのか。国交(国土交通)省のぼったくりバーに入ってですね、超ばか高いミネラルウオーターを頼んだようなものじゃないかなという気もするんですが、その猪瀬副知事の慎重論を押し切って推進の結論を出されたいきさつ、理由について。

【知事】別に私はそのことを猪瀬さんとはですね、議論した覚えはありません。彼がね、そういう持論を持っているかどうかも定かでありませんが、彼が就任してくる以前から、私はですね、このダムはですね、もう既に着工して進んでるしね、ここまできて放り出すわけにいかないし、それからこれだけの天候異変が起こったと、続いている中でですね、いつですね、どんな異変が起こってね、東京がですね、水がね、枯渇して、要するに渇水に襲われるかどうかわからない。そういうものを見越してですね、ま、人口も減りつつあるかもしらんけど、しかし、かつてのですね、これを立案されたときにね、そのときの推計ということで、万万万が一に備えたわけで。
  あなたは小河内ダムって行ったことある?あれをつくったときにね、随分君らみたいに、反対したんだよ。できるとき、小河内と読むとな、確かに「しょうがない」と読めるんだな。で、しょうがないダムだって言われたけどね。その次の年に大干ばつが来てね。あのダムつくったおかげで助かったんですよ。これから先ね、この天候異変が続いてる中でね、アメリカはね片っぽでは局地豪雨、片っぽでは干ばつ、オーストラリアなんか大干ばつにさらされてるわけだ。これが続くとだな、東京も温暖化でね、いや、日本も温暖化でね、北海道もね、二毛作になるんだって人もいるけど、しかし、その反面、そういう状況が到来したときに、水の問題はどうなるんですかね。私は、多分、つくっといて良かったということになるんじゃないかと。世界全体を襲っているね、この天候異変なんかでね、あの選択というのはいろいろ疑義があったかもしらんけど、結果として、私は、やってよかったということになるんじゃないかと、ま、期待もしておりますし、推測してますけども。

【記者】ここ数年の需要予測がことごとく外れてですね、右肩上がりの東京都の予測が外れてですね、実態は、横ばいか、水需要が落ちてるという現実もあると思うんですが、その現実があってしても、まだ見直さないということ。

【知事】だから、この天候異変というのは予測がつかないんですよ。

【記者】ええ。

【知事】ねっ。その中でね、私はね、やりかけた仕事だったら、やっぱりやらざるを得ないし、やったほうがいいと思います。そういうことです。はい、どうぞ。

【記者】オリンピックのことで伺いますけれども、先般、東京新聞で都議選の世論調査をしまして、その中で、五輪招致についても伺ったんですけれども、その結果、賛成61.6%、反対30%という結果が出たんですけれども、ちょっと、この点について。

【知事】まあね、新聞はね、いろんなメディア、いろんな立場でいろんな推測をしてね、いろんな調査をしますがね、違ったですね、オリンピックの支持も出てますんでね、それについて論評するのはあなた方が勝手にやったらいいの。そんなのいちいち気にして、これだけの大きなプロジェクトのね、かじ切りはできませんよ。はい、どうぞ。

【記者】知事がですね、もう都議選の応援には動き出されてると思うんですが、まだ日程決まってませんけれども、衆院選でですね、宏高さんの応援に入られるご予定がおありかどうか。前回は蟄居(ちっきょ)するということで控えられたと思うんですが、今回、どうされるご予定でしょうか。

【知事】ああ、まあ、行くとろくなことないし、君らが余計なこと書くからね。息子のために行きませんな。やっぱり、こういうのは自分で、自力ではい上がってくるしかないじゃないですか。

【記者】宏高さんの選挙区の情勢について、知事はどのようにご覧になってますか。

【知事】大変だと思いますね。なかなか強敵がいて。はい、どうぞ。

【記者】温暖化ガスの問題でお聞きしたいと思っているんですが。麻生さん(麻生太郎 首相)が15%削減値を出しました。東京都は以前25%という数字が出ていたと思うんですけれども、いろいろな団体やいろいろな政党でいろんな削減値が出てますけれども、それぞれ見てまして、どういうふうにお考えになっておりますか。

【知事】それはね、あなたと同じ心境でね、いろんな立場のセクター、国も含めてですね、世界の大都市、いろいろなこと言って数値を掲げているけどね、そのいろんな思惑があってその数字の違いが出てくるんですよ。ただね、何だろうとね、言い出したらやっぱりやることだね。15%でも22%でも。やっぱりそのためにね、具体的に何をやるのかっていうことをね、政府がね、15%って言い出したのは、数値についてのいろんな賛否はあるでしょう。だけど、とにかくまず、それをほんとうに実現する努力を具体的にするかってことを、私たち、見守んなきゃだめだと思いますね。数字を掲げるのはだれでもできるということです。はい。それじゃ。

【記者】すみません、もう1点お伺いいたします。

【知事】はい、どうぞ。

【記者】先ほどの、うちの東京新聞の世論調査でですね、都議選にどちらに投票するかということについて、民主党が自民党をかなり上回る32%と…。

【知事】君、何を言いたいんだ。新聞に書いたの、君、読めばいいじゃないか、それ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)