石原知事記者会見

平成21年6月11日更新

石原知事定例記者会見録

平成21(2009)年6月5日(金)
15:30〜15:51

知事冒頭発言

1 直轄事業負担金について

【知事】冒頭ですね、2つ、私から申し上げます。

 直轄事業負担金についてでありますけども、先日ですね、5月29日と6月1日にかけてだな、これ、ぎりぎり。5月中っていってたんですけどね、平成20年度直轄事業負担金の内訳書が、明らかにされましたが、まだまだ、わからないところも多いんですな。埼玉県のね、道の駅プロジェクターについては、国土交通省が間違えて東京都に、その負担金についてですね、掲載してきたという報道もあったようですけど、いつになったら、このしっかりしたものが出てくるか、まだよくわからない。いいかげんにしてほしいと思いますな。

 とにかく、埼玉県の事業に、何で東京が金払わなくちゃいけないのかね。だれも、こんなもの納得できるもんじゃないですけど。そして、その直轄事業負担金についてですね、今度の議会でもね、共産党がね、ほかの知事は全部やめろと言ってるのに、何でその東京はそこまで言わねえんだと言うけど、これは問題がありましてね。これね、つまり、全部とにかく負担金なしに、国は国でですね、直轄事業やってくれというと、予算の組み方も変わってくるんだけど、大事なことはね、例えば、道路の建設の優先順位って、だれが決めるかということなると、これ、ますますね、いわゆる族議員がばっこしてね、何ていうのかな、例えば今度の外環道路なんかもですね、これはもうどうやって計算しても、予定されている路線の中でね、コスト・アンド・ベネフィット(費用対便益)の指数が高いです。圧倒的に高い道路なんですよね。で、そういったものまでが無視されてですね、しかもね、いろいろ言いたいことたくさんあるんだけど、かつての建設省はですね、美濃部(美濃部亮吉 元東京都知事)時代に、根本龍太郎(元建設大臣)さんが何をおびえてか、凍結宣言して、それをですな、ほったらかしにしてきたもんだから、私、都知事になって気がついてね、扇千景(元国土交通大臣)さんに頼んで、とにかく凍結の解除、ま、いろいろ根回して、した。

 それまでね、ほったらしにしてきたわけですな。文明工学、社会工学から考えれば、首都の東京、これだけの機能が集中、集積したね、それぞれ大都市に、外環の道路がないってのは論外な話でね、そりゃパリとか、ロンドン、比較してみても、向こうほとんどできてるわけですからね。そういったね、非常に大きなゆがみが出てきかねないんですよ。

 だから、直轄事業負担金なんてのはけしからんからね、全廃しろというけども、それは地方のですね、負担、それで減るかもしれないが、しかし、やっぱり我が身にかかわるですね、大事な事業ってものはね、だれがね、それをどう決めるかっていうことに問題あるけども、いずれにしろね、しっかり議論もしないで全廃だけ言うと、今申し上げたように、国がもう勝手なことをやりかねない。そういう弊害があるわけでね、やっぱり、都としては、道路などですね、都市基盤整備の建設にかかる負担金については、基準の見直しやですね、内訳の明細ってものをはっきり開示して、その上で、是非をですね、議論すべきものだと私は思います。きちんとしたものをですね、早く示してくれれば、都はですね、支払うべきものについては支払うことに決してやぶさかではありません。ただ、やっぱり、ね、ほかの自治体の、事業にかかわるね、それに機材のコストまで東京都が引き受ける余裕は全くないわけですから。

2 少子高齢時代にふさわしい新たな「すまい」実現プロジェクトチームの設置について

 もう1つは、少子高齢化時代にふさわしい新たな、「すまい」をですね、どうやって考慮するかということで、その実現についてのプロジェクトチームを設置しました。これは、「無届有料老人ホーム」など、問題がクローズアップされていることからですね、猪瀬(直樹)副知事を座長として、少子高齢化時代にふさわしい新たな「すまい」の実現プロジェクトチームを設置して、そのことを推進することにしました。

 今後、日本の高齢化は世界にも類を見ないスピードで進展していくと思いますが、特に東京においてはですね、ひとり暮らしの高齢者がですね、非常に多くなってきた。これは、やっぱり、何ていうんでしょうね、核家族というものを助長するような、2DKというんですか、ああいう建物が非常に増えてきたために、親子3代でですね、住む家庭が少なくなってきて、結局はこういうことになったわけですし、そういう状況の中でね、この問題をですね、どういうふうに、こう、解決していくか、何ていうんでしょうかね、こう、お年寄りたちのですね、人生というものを保障する形の住宅政策をどうとるかということは、やっぱり本気で基本的に考えなくちゃいけない問題でありますから。

 ただ、住宅施策をですね、所管している部署と、高齢者のね、実情を把握して、介護サービスなどを所管している部署とが、縦割り行政の中で全然つながっていませんでね、非常に、そういう弊害というのはどこでも見られることですけども、役所のですね、縦割りを排して、横ぐしのプロジェクトチームを立ち上げて、東京の、利点を生かしたケアつき住宅の整備などに取り組んでいくこととしました。

 一方、ちょっと質問にもありましたし、答えもしましたがね、少子対策というものは、この日本の未来を左右する非常に大事な問題ですね。国力というのは、やっぱり人口だということはしきりに感じるんですが、子供をですね、産んで育てようとする家庭の支援策の1つとして、既存の建物などをですね、利活用した新たな住宅政策の取組が必要だと思いますし、高齢者と子育て家庭がですね、安心して東京に住み続けることのできるような、都の持てる力と知恵を結集して取り組んでいきたいと思います。この限りではね、そんなものはわかり切ったこと、抽象的じゃないかというか、やっぱりね、何らかの予算措置をですね、しなくちゃいけないと思いますね。

 フランスはですね、はっきりそれをやってきたことで、かなり長いタイムスパンがかかったけども、今日では人口がどんどん増えて、子供が増えているという非常に望ましい、好ましいですね、うらやましい状況をつくり出したわけで、本当はこれは国のですね、1つの国家的な戦略であるべきだと思うけれども、どうも国がですね、ある限界の中で、ちびちびちびちびしかそれはできないので、東京はですね、かなりの余力のある限りですね、こういった問題にちょっと積極的に取り組む1つのパターンみたいなものをつくっていきたいなと思ってます。

 私から申し上げることはそれだけでありますが、質問があったら、どうぞ。

質疑応答

【記者】先ほどの直轄事業負担金の件なんですけれども、5月29日にですね、来ましたこの資料をですね、この内容についてですね、十分な情報の開示がですね、そもそもされているのかどうかということについて、知事はどのようにお考えになりますか。

【知事】されてませんね。されてませんね、全くね。それからね、幾つかね、写真があるんだけどね、じゃあ、一体これ何にどうやって使うのか、東京に直接かかわりがあるのかないのかわからない。そんなものはもう案件いっぱいありますよ。これはかなりね、ずさんでね、どう言ったらいいのかな。つけ回しか使い回しか知らんけどね、そういう非常にイージーなね、それから、あそこの県困ってるからね、ちょっと東京につけといてやろうかみたいなね、そういうことでやられたら、これは本当にね、いずれにしろ税金の支出ですからね、かなわないと思いますな。

【記者】東京都だけでもですね、30から40ぐらいの項目の疑問点を挙げるぐらいに、疑問点に答えてない内容だというふうに思われるんですけれども、それについてどうでしょうか。

【知事】いや、ですから、これはもっとね、粘り強くですね、執拗(しつよう)にだね、わずかな金額であろうとね、一体これはどういうことなんだと正していきますよ。だってもう払ってしまったものがあるしね、返してもらえるものは返してもらいたいの、たくさんあるよ。だって、こっちが苦労してだね、やっぱりね、徴税率上げてるのにね、払う人はやっぱりそういう苦労をして払ってくれて、とるものとってるけど、こんなのにね、まさにぼったくりバーじゃないけどね、橋下君(橋下徹 大阪府知事)の表現が強過ぎたんでね、とにかくね、この負担金というのは全廃しろという声があるけど、それはちょっとまた問題が私は出てくると思いますよ。

 ということでね、だからやっぱり、理屈の通るもんで払うものは払うから、ただやっぱりわけのわからんね、内容も開示せずにですね、いきなりがばっと額だけ要求してくるっていうのは、これはもう論外な話だし、世間で通らないと思う、そんなことは。

【記者】わかりました。あともう1点お願いしたいんですが、ちょっと都政とちょっと関係ない話で恐縮なんですが、前のですね、宮城県知事でいらっしゃった浅野史郎さんがですね、急性白血病で、今、入院してまして、骨髄移植のドナー(提供者)を待っている状態なんですけれども、知事選挙で知事とですね、かつてはライバル関係にあった仲ですが…。

【知事】そんなことよりもね、私の周りに…。

【記者】エールを送っていただけないかと思いまして。

【知事】白血病の人いましてね、これ、なかなかね、何か、何て言うんですかね、骨髄のパターンが合わないとだめなんでしょう。これはやっぱり一種の血液のがんですからね、それはもう浅野君に限らずね、本当にお気の毒だと思うし、厄介な病気だなと思いますな、これ。

【記者】かつて選挙で、ライバルというか、闘った間なんですけども。

【知事】激しく闘った覚えはないけどね。

【記者】ありがとうございます。

【知事】どうぞ。

【記者】先ほどの都議会でですね、副知事人事同意を得たわけですけれども、ここに来て五輪担当の副知事さんがかわることがですね、招致に何か影響が出たら困るなという声があったりするんですけれども、今回の人事の知事のお考え、知事の専管事項なんであれですけれども、お考え…。

【知事】オリンピックはね、佐藤(広)新副知事に担当してもらおうと思ってます。さっきも言いましたがね、息子からも電話かかってきてね、やっぱりいろんな問題があるんでね、人間の引き継ぎっていうのは必要だから、国との交渉のね、人脈というのをきちっとできるだけ早くつないでおいてくれって佐藤君に言いました。まだ辞令渡してないんだよ。

【記者】招致活動においてですね、谷川(健次)副知事のプレゼンスも(存在)あったかとは思うんですけれども、ここでやっぱりあえてかえるに踏み切った…。

【知事】それは人によっていろんな評価があるでしょう。ただね、さっきもね、ああいう言葉だと、僕も物書きだからね、言葉にこだわるし、何か胸に刺さるんだけどね、かいた汗が報われなかったという言葉はね、人によってとり方ある。私は一番汗かいてきたと思いますよ。その汗をだれがぬぐってきたかとなるとね、わりと何と言うのかな、そういう機能がね、有効に働いたとは思わないね。

 これはだれの責任ということじゃなくて、結局私の責任かもしらんけども、この間もね、理事会(東京オリンピック・パラリンピック招致委員会理事会)でね、これはやっぱりさすがに森喜朗(元首相)ね、森君がね、私の古い友人だけどね、こんなもの(広報東京都臨時号)だれがつくったって言うの。それはね、そうするととくとくとね、いや、これは谷川副知事じゃなしに、担当の局長がだな、これは何十万部刷っててね、都の広報紙でありましてどうのこうのと言うからね、調査委員会(IOC評価委員会)の女性のですね、モロッコの委員長(ナワル・ムータワキル委員長)の大きなクローズアップがあるわけですよ。よほど若くて超美人ならわかるけど、あの人、元美人ではあるけどね、あれ見て、だれが、これはだれだかわからないんだよ。そんなものがばーんと出てきてね、だれが興味持ちますか。それはね、森だって、おれだってね、人の1枚のポスターでもみんな苦労してるんでね。

 やっぱり森君らしいね、指摘がありましたよ。こんなもの、だれがわかるかって。どうせやるならね、石原とね、委員会の委員長が対談してみたら、2人の写真だったらわかるけどね、こんな見も知らない女の顔、ばかっと出してね、だれがこれアトラクトする(人を引きつける)かって。そういう工夫はまあないしね、だから、もう言ってもしようがないんだけど、今、そこらじゅうに立ってる、張ってあるポスターにしたって、勝手に決めてくるからだめだと。全部見せなきゃ。あれ、僕は5回、とにかくね、直させて、最後は電通の社長呼んでね、こんなことだったらって、嶋君(嶋達佳 電通代表取締役社長)が来て、昔から友人で、あ、石原さんの言うとおり、これは恥ずかしいと、直しましたよ。そういう、まあね、緻密(ちみつ)なネットワークは、残念ながらまだできてないね、都庁でも、JOC(日本オリンピック委員会)とのかかわりの中でも。

 だから、ここでね、やっぱりちょっとね、人心一新してやろうと思ったんです。これは谷川君一人の責任じゃありませんよ。うん。全部の責任だけど、やっぱり担当の副知事で、この辺ちょっとということで、大体一段落しました。だから、これからやっぱり、その資料を提げてね、ローザンヌに行きですね、それからね、コペンハーゲンの決戦に行くわけですからね、やっぱり、サッカーで言うとね、ハーフタイムが来たんでね、ミッドフィルダーかフォワードかは知らんけれどもね、とにかくかえるものはかえて進もうと思っております。

【記者】はい。ありがとうございました。

【知事】どうぞ。

【記者】外環道についてですね、与謝野(馨)大臣が経団連(日本経済団体連合会)の会合で、石原都知事から強く要望されたので、従来型の大型公共事業なのに補正予算に盛り込んだと、やや否定的な言い方をされてるんですが、そのときのやりとりを、政府・自民党とのやりとりを教えていただきたいのと、あと、野党の国会議員からはですね、巨額の税金を投入する外環道に対して、道路公団民営化のときの前提を突き崩すものじゃないかと、税金投入して、不採算の路線をつくらないという当時のスキームを崩すものじゃないかという批判がですね、出てるんですが、あと、息子さんの石原伸晃さんの地元を通るんで、選挙対策じゃないかという声もあるんですが、その辺に対するご反論、ご意見をお伺いしたいんですが。

【知事】あなたね、この間も来てたけどね、最近、都庁の記者クラブにね、何の目的か、とにかく入ってきてだね、今までこの問題についての会見て知らないでしょ。私、学校の先生じゃないからね、何度も繰り返すこと、ここであなたにね、一々教える筋はないよ。自分で調べてきなさいよ。例えばだな、東京のね、税収が増えたっていうんでね。財務省がだな、法人事業税の分割基準を変えて、東京から3,000億ずつ、ことしと来年、持っていくんだよ。これね、抵抗しようと思ったって方法がないんですよ。そういうときにだね、私は黙って引き下がるわけにいかないからね、こういうものを、まかり通そうとするなら、こっちは、転んでもただで起きるつもりはないしね、もともとね、これだけ集中、集積の進んだ首都圏のですな、外環道路が、パリやロンドンは100%近くできてね、東京がですね、60%に満たない。こんなですね、不利益はないですよ。だから、これは優先的にやってくれということを言いましたよ。で、これ、どう考えたってね、なみのある道路計画の中で、コスト・アンド・ベネフィット、一番高い道路ですから、どう計算したって、だからですね、国もですね、それはうんと言ったわけでね、ましてや、こういう時代になって、公共事業でてこ入れしようっていうことですから、それが通るのは当たり前の話じゃないですか。選挙運動とか、それとかね、要するに、それは、道路の運営というのをこれからどうやっていくか知らないよ。だけど、やっぱり今限りでね、東京の外環道路というのはですね、東京のためじゃないんだよ。東京のようなハブがだね、要するに、関西から東北へ行くような、そういった、車がだな、一々東京の中を通られたらかなわないからね、バイパスするためにもですね、やっぱり外環道路が必要なんでね、これは、経済効果も非常にありますからということをるる申し上げた。あとは君、自分で勉強しなさい、そんなことは。

【記者】じゃ、猪瀬副知事と意見交換されて、当時の道路公団民営化のですね、前提が崩れるというお話は出なかったんでしょうか。

【知事】そんなもの知らない、僕は。どう考えたってな、日本の首都の東京が外環道路ないという理由は通るのかい、それは。どんなことがあろうと、北海道のだね、夜は熊しか通んないみたいなつくるよりも、東京の外環道路あったら随分違うじゃないですか。頭使って考えろ、そんなこと。質問になってない、君の言ってることは。はい。次。どうぞ。

【記者】新銀行東京についてお尋ねいたします。新銀行東京が近々、津島代表(津島隆一 代表執行役)に次ぐ新たなトップを選ぶやに聞いております。民間出身、メガバンク経験者ということですが、こういう人選について知事のご所見をお願いします。

【知事】まあね、なれない仕事をね、津島君以下やってきたわけですからね、トップがですな、こういった問題に精通したね、いわゆる好ましいプロをですね、迎えるということは、私は結構だと思うし。ただ、詳しい人事について正式に聞いておりませんから、発表があったらまたコメントいたします。はい。どうぞ。

【記者】きょう、都議会が終わりまして、都議会もこれから都議選モードに入っていくと思うんですけれども、石原知事として、今回の都議選はですね、各候補者の例えば支援に当たったりですね、応援に行ったり、また、その辺についてどのようにお考えでしょうか。

【知事】行きますよ。はい。

【記者】具体的な要請とかはあるんでしょうか。

【知事】幾つかあります。

【記者】マイクを持って、街頭で。

【知事】ま、どういうふうな様子になるかわからんけどね。当然でしょう、仲間の応援するのは。はい。どうぞ。

【記者】副知事人事の話でちょっとお伺いしたいんですが、今回、退任されるですね、谷川、山口(一久)両副知事なんですが、谷川副知事、オリンピック担当、で、その前はまた、財務、都政における財務を担ってきたりとか、いろいろその中核を支えてきた副知事の一人だと思うんですが、前半振り返ってですね、改めて、一言何かございましたらお伺いしたいんですけれども。

【知事】いや、それはやっぱりね、ご苦労さまと、もうそれに尽きると思います。

【記者】あと、山口副知事なんですが、今、都政の政策決定プロセスをつくる段階におきまして、初代政策部長という重責を担ってですね、知事本局長等をされて副知事業務を遂行されてきたんですが、また一言ございましたらお願いできますでしょうか。

【知事】いや、これはやっぱりご苦労さまですしかないね、それはね。余計なこと言わないほうがいいんですから。

【記者】ありがとうございました。

【知事】はい。どうも。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)