石原知事記者会見

平成21年6月4日更新

石原知事定例記者会見録

平成21(2009)年5月29日(金)
15:34〜15:52

知事冒頭発言

1 立候補都市によるIOC委員に対するブリーフィングについて

【知事】冒頭幾つかありますが、これ、わざわざ言わなくてもやがてわかることだろうけどね、こんなの。

 6月14日から20日までの出張期間で、スイスのローザンヌでのですね、IOC(国際オリンピック委員会)に対するブリーフィング(要点説明)に立候補都市として出席します。これ、あの、前はなかったんですがね、ロゲ会長(ジャック・ロゲ 国際オリンピック委員会会長)の代になってね、審査に手を尽くすということで、こういうことになったらしいんですがね。しかし、説明を尽くして、それを本当にベースに評価されればありがたいんだけど、なかなかこの選考ってのは、もっと難しい問題が絡んでくるみたいで、いずれにしろですね、当地ではブースを設置して、IOCの委員やですね、マスメディアにいろいろ説明をいたします。

2 京浜三港の広域連携について

 それから2つ目は、これもね、やがてわかることだけども、京浜三港の広域連携についてですけどね、本日、都と横浜市と川崎市は京浜三港の港湾管理者で構成する京浜港連携協議会と東京港埠頭株式会社、横浜港埠頭公社による京浜港事業提携委員会を年内に設立することにしました。これによってですね、ポート・オーソリティ(※港湾委員会の形態で自治体、地元経済界が一体となって港湾を管理・運営する組織体)設立に向けた一港化への取組が加速されると思います。

 こんなことはね、国がぼやぼやしてるから、とっくに早くやってなくちゃいけないことなんだけども、今非常に熾烈(しれつ)なですね、国際間での港湾の競争がありまして、日本はどんどんどんどん、いいとこ取られているわけだけども、これをですね、国内で合理化することで、少しその仕事の流出を食いとめて、日本もですね、地政学的に格好の場所にあるんですから、荷役の仕事でですね、稼ぐものを稼ぐということしたいと思ってます。

 ちなみにですね、繰り返して申し上げるけれども、今ね、世界で有数の港湾になったシンガポールってのは、これはただトランシップ(※積荷港から荷卸港まで同一船舶で運送されずに、途中の中継港で積替えされること)でね、全部その荷さばきをするだけなんだ。ところが、そのソフトもハードも全部日本製。埠頭に行ったら人なんかいやしねえ。管理センターでね、十五、六人の人間が動かしているんですけど、実に見事なもんですが、驚いて見たら、全部日本製だ。それがね、何で日本で運営されないかってほんとうわからないんだけれども、少しでもそれにキャッチアップする(追いつく)ためにですね、頑張りますわ。

 詳細についてはですね、あと、港湾局から説明をいたします。

3 新公会計制度導入支援のための大阪府との職員相互派遣について

 3番目は、東京都が既にですね、発足して手がけております、新しい公会計制度の導入支援のためにですね、大阪府もぜひ一緒にやりたいということで、職員の相互派遣をしてですね、国がやっていない、きちっとしたバランスシートづくり。東京も始めましたけどね。やっぱり財務諸表がきちっと出てくるんで、どこに無駄があるかね、非常にわかりやすかった。こんなこと、ほんと国がやらなくちゃいけない。

 ちなみに申しますと、先進国の中で複式簿記・発生主義の会計制度をとってない国は日本だけです。都からは職員1名がですね、大阪府のプロジェクトチームに参加して助言を行いますし、また、府の職員1名を都の会計管理局が受け入れまして、平成20年度決算の取りまとめ作業を実際に担当してもらい、財務諸表作成のですね、実務を理解してもらうことになっております。

 大阪のような大都市が率先して新たな公会計制度に取り組むことは、本格的なですね、複式簿記・発生主義会計の普及への弾みとなるんで、これは大いに歓迎したいと思います。

 きのう、実は関東(地方)知事会でですね、東京のソフトをですね、差し上げまして、研究して、ぜひ活用していただきたいということを申しました。

4 直轄事業負担金の情報開示について

 最後は、直轄事業負担金の情報開示ですけれどもね、4月30日に国土交通省から平成21年度の直轄事業負担金が通知されました。しかし、実にいいかげんな内容で、不明な点がですね、多々あることから、国土交通省には都民が納得する内容を早急に示してもらいたい旨、翌日、つまり5月1日の記者会見でも発言しましたが、ところが今日、平成20年度の直轄事業負担金内訳が各都道府県に情報開示されるようでありますけども、4月30日には記載されていた事業費の内容や内訳はですね、車両費や広報費の内容があらかじめ示された今回の書式には全く示されていないなど、どうも非常にこの、ずさんなもんでしかないという気がします。このためにですね、都としては、このまま情報開示が進まず、都民に対する責任が、説明責任果たせないことになると、これはもっと強くですね、大きな決心をして対峙(たいじ)せざるを得ない。国交省に対しては、再度、情報開示の改善を求めるつもりでおります。

 詳しくは、資料が届いた後ですね、また後ほどコメントいたします。

 私から申し上げることはそれだけ。質問があったらどうぞ。

質疑応答

【記者】よろしくお願いします。

 今日、新銀行東京のですね、ことし3月期の決算が先ほど発表されたんですが、計画よりも赤字幅が少なかった一方でですね、まだちょっと収支の均衡がとれないという弱点もあるんですけれども、この決算について、知事の受けとめ方、それから今後の展望などをですね…。

【知事】みんなね、新しいスタッフがね、歯食いしばってやってくれてますんでね、大方の銀行が赤字出して、それもですね、予測よりも大きな幅のものになっている中でね、新銀行東京は、とにかく、まだ起死回生とまで行きませんけどね、努力の結果として、いい成り行きを見せているということはね、とっても嬉しいと思うし、ここは歯食いしばって頑張ってね、早く単黒(単年度黒字)を出すようにですね、なってもらいたいと思ってます。

 前にも申し上げたけどね、世界のね、経済情勢がこんなですから、期待してた外国との提携がぽしゃったりしてね、相手の銀行がつぶれちゃったんでは、これしようがないんで、まあね、こういった状況ってのが克服されると、東京の持ってるポテンシャル(潜在力)ってのは、外国のほうがむしろよく精通してますから、そういう認識の中でね、新しい提携をすることで、今、低空飛行で少し上昇しつつあるようだけども、角度を上げてですね、上昇するという、そういう素地をできるだけ早くつくりたいと思ってます。これはもう東京、日本だけがばたばたしてもどうなるもんでもないんで、世界全体のリセッション(景気後退)がですね、上向きになってくれば、その時期にあれだけのスタッフが努力してるから、必ずそれは相乗効果になってね、上昇してくると思ってます。

【記者】総体として、上昇への道筋はついた決算であるというふうに評価しますか。

【知事】私は思います。

【記者】ありがとうございます。

【知事】どうぞ。

【記者】関連でお尋ねいたします。今、知事がリセッションが世界的に直った後に、改めて必ず相乗効果があるというお話でしたが、当面単体で、新銀行単体での再建を目指された後に、さらに業務提携を今、お考えになっていらっしゃるということでよろしいんでしょうか。

【知事】そうですね、はい。それを想定してセカンドステージっていうことを申し上げたんですけどね、フランスとドイツの銀行、ちょっとここで名前言えないけども、言ったっていいんだけどね、皆さん、わかってるんだろうがね。いろいろ協定の約束上、向こうのメンツもあるけども、例のサブプライムローン(※中低所得者を対象としたアメリカの住宅などのローン)でぶっ倒れちゃって、国家管理になっちゃったんでね、中の、1つなんかはね、業績よかったから本国のほうで、おまえら日本で独立してやっていいぞと言われているらしいけど、そのために東京から金貸してくれって、これは立場逆の話だな。ま、こちらも苦笑いですけどね、なかなか世界中苦しんでいるってのが現況ですね。

 はい、どうぞ。

【記者】オリンピック招致でですね、海の森を整備する一方でですね、同じ規模の東京近郊最大の里山の南山をですね、つぶしてニュータウン開発せよという事業に都が48億円投入しようとしている(稲城市・南山東部土地区画整理事業)と。これが環境オリンピックと矛盾するんではないかと。国連の、あの…。

【知事】あなたね…。

【記者】平和大使のポール・コールマン(環境活動家)さんが手紙でオリンピック招致のマイナスになるんではないかという手紙を知事あてに送られているんですが、南山開発に対するご見解、あるいは…。

【知事】東京のことをよく知らない外国人がね、口を入れてくるのは、あなた自身がだな、要するにその人間に肩持ってものを言うならね、東京の10年計画(緑の東京10年プロジェクト)ってのは知ってるのかい、緑に関する。

【記者】ええ…。

【知事】知ってる?

【記者】いや、里山開発について…。

【知事】いや、だからだね、たまたまオリンピックと重なっているけれどもだな、東京は2年前から10年計画でね、緑を増やしてますよ、ね。しかし、この里山はあなた行ったことあるの?

【記者】はい、行きました。で、「フライデー」で記事も書きましたが、スタジオジブリの高畑(勲)監督も、外国人だけじゃなくて、日本人のスタジオジブリの高畑監督もこの計画はおかしいと。石原知事は海の森をつくる一方で、何で今の里山を破壊するのかと、矛盾しているというふうにご指摘になっているんですが。

【知事】里山に対するね、周りの住民のノスタルジー(郷愁)というのはありますよ。ただね、里山がね、魔の山になっちゃ困る。既にあそこで子どもがね、2人生き埋めになって死んでる。ね、あそこで砂をとっててね、その後が荒廃したままね、民有地ですからね、これはやっぱりね、持ち主がね、手を入れないためにですね、どんどんがけ崩れが起こってね、その後、しかも1人が生き埋めになって、これは気がついた人早かったんで救出したわけでしょう。そういう事件が次々と起こればね、周りの人間って不安だしね、これはやっぱり合理的にですね、要するにトリム(手入れ)してですね、活用するっていうのは当然の行政の責任でしょう。私はね、あの計画は間違ってないと思う。しかもですな、周囲の住民のね、多数の合意を得て行っているプロジェクトですから、私はね、緑は増やすべきだと思うけど、同時にですね、放置したままでね、人を殺すような山林ってものは、私はね、やっぱり危ないと思います。あなたにぜひ見てもらいたい、この問題。

 例えばね、東京の水源地であります森林ありますよ、三多摩の。これが民有地のためにね、手を入れることできずにね、持ってる人だってお金かけるの損だから、そこがどんだけ荒廃しているかね、必要だったら今度ヘリコプター飛んで見せてあげるけど、やっぱり緑はね、トリムを、手を入れなかったらだめなんだ。放置しただけだと、やっぱり子どもを食い殺すことになる。私はこの計画は結構だと思います。

【記者】いや、その辺は知事がリーダーシップをとって整備しながら環境保全を両立する代替案の検討とかですね、とりあえず現地を見て、今の現況を把握されるということはなさるご意向はないんでしょうか。

【知事】私は知ってます、現地。見てます。

【記者】その上でも今の計画を見直す必要はないというふうに…。

【知事】いや、だから、あの、山のあの荒廃を見たらですね、周りの人たちが不安に思うのは当たり前じゃないですか。ね。だから、私はね、合理的にあれをですね、要するに再生されるということでね、あのプロジェクト間違いないと思いますし、あそこにはですね、保育園をつくるとかね、介護施設でもつくるとか、そういったことでね、あの土地はね、あの地域としてやっぱり再生されて生きていくんじゃないですか。

【記者】ポール・コールマン氏は国際オリンピック…。

【知事】いや、ポール・コールマン、知らないわ、外国人は。どうでもいいんだ、そんなのは。

【記者】国際オリンピック委員会にも直訴すると言って、おっしゃっていますが、マイナスにならないというふうにお考えになっているんでしょうか。

【知事】いや、それはこちらはこちらでですね、質問があったらちゃんと説明いたしますよ。

【記者】はい、わかりました。

【知事】で、ま、オリンピック委員会ね、どういう人がそれを受けるか知らないけれども、だから、来て見てみりゃいいんだよ、それをもって東京の是非を判断するんだったら。

【記者】いや、ロードレースのコースになってですね、里山破壊の赤茶けた斜面が映像で映し出されて、環境先進都市だ、東京だと思っていたら、環境破壊都市だったと、世界中に発信するということになりませんか。

【知事】だから、物事は完成されてから見てもらいたいんだ。やっている途中は、そりゃはげちょろけだろうよ。一体だれの立場でもの言ってるんだい。住民なのかそれとも何人なんだ、君は一体。もういいよ。

 はい、次、質問どうぞ。

 おっ、久しぶりだな。

【記者】23区の繁華街に、やっぱり共通する課題なんですけれども、繁華街の中でですね、核文化施設として存在していたものがですね、今度新しく建てかえられてしまうという。

【知事】核文化施設。

【記者】核になる施設ですね、文化施設。

【知事】ああ、コア(=核となる)のね。

【記者】例えば、簡単にいえばですね、歌舞伎町の例をとればですね、嫌がるかもしれませんけれども、コマ劇場なんですよね。コマ劇場の周辺には劇場街がたくさんあるわけですが、今、コマ劇場が閉鎖されて、その後にですね、どういうビルができるかまだはっきりしませんけれども、オフィスビル、劇場はつくらないという方針ははっきりしているようです。そういう形でいきますとですね、まちの活性化のためにどういうふうなものをつくったらいいのかということを考えますと、やっぱり劇場街は長い歴史の中でですね、歌舞伎町がつくられてきたということがありますもんですから。

【知事】そうかなあ。僕はコマ劇場ができたときを知ってるけどね、別にね、コマ劇場ができる前からね、歌舞伎町は歌舞伎町ってあったし、せっかくの劇場ができても、その後はヤクザが事務所を構えたりしてだな、言ってみれば、東京の中であまり好ましくないまちの1つになっちゃったじゃないか。

【記者】あの、コマ劇場ではなくて、周辺にも映画館がありますね、東京ミラノ座とかですね。いろいろ映画館もあるんですけれども、その全体通じて劇場街って言うわけなんですが、その劇場街がなくなっていくと、歌舞伎町がどんどんさびれてくる。こういう問題はですね、繁華街の中でも、歌舞伎町に限らずですね、今まで核施設としてあった文化施設なり何なりが、改めて建てかえなきゃなんないときになったときにですね、それなりの景観指定じゃないですけれども、何かこう規制の網をかぶせて容積率を例えば、誘導していくとかですね、何か方策は考えられないものなんでしょうかね。

【知事】それはやっぱりね、東京都が上からものを言うんじゃなくてね、そのまちならまちがある区長さん、区の区長さんがですね、区民の方々と話し、地域の方々と話してね、やっぱりそのまちの再生の計画というのをつくられるべきじゃないでしょうか。それはまちによっていろんなふうに条件が違いますからね。

【記者】つくっておりますけれども、劇場街をやっぱり復活していきたいということがですね…。

【知事】しかし、今、劇場そのものがね、映画そのものもね、このインターネットで鑑賞されたり、テレビでね、見ればですね、スクリーンも大きくなっていろんなものが簡単に見れるような時代にね、私はやっぱり映画館も含めて劇場のあり方そのものがね、時代の変遷にさらされているんでね、私はやっぱりなかなか、劇場中心のまちっていうものがですね、存続するかしないか、これはやっぱり文明の流れの変化の中でね、大事な問題としてとらえられるべきだと思ってますけども。はい。

【記者】それでですね、劇場の、劇場自体の何ていうんですか、中身も変わってこなければならないのかもしれませんけれども、それとあわせ、ただですね、繁華街の今まで劇場があった跡にですね、オフィス、マンションビルみたいな、どこにでもあるような建物が建てられるというふうな形になってきますと、今まではどこにでもあるような繁華街、個性のある繁華街というものは全く生まれなくなってしまう。そういうことをですね、ある程度、いろいろな角度から縛りをかけていくといいますか、同時に誘導策を講じていくというふうな考え方があっていいんではないかと思いますが。

【知事】それはあなたの意見として拝聴しておきましょう。はい。

 はい、それじゃあ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)