石原知事記者会見

平成21年5月28日更新

石原知事定例記者会見録

平成21(2009)年5月22日(金)
15:03〜15:17

知事冒頭発言

1 新型インフルエンザについて

【知事】最初、1つ申し上げます。例によって風邪(新型インフルエンザ)ですけどね。きのう、おととい、2日連続でですね、米国から帰国した方の感染が確認されました。都のケースは、いずれもですね、米国で感染し、我が国で発病したものでありまして、国内でのヒトからヒトへ感染したケースではありません。

 感染者の行動範囲は非常に限定的でありまして、感染拡大の可能性は低いために、現時点では、都として学校の休校、イベントの自粛等の要請は不必要であると判断しております。

 一方、今回のウイルスは弱毒性と言われていますけども、感染力は季節性のインフルエンザよりも強力とも言われています。そのためですね、都独自の感染症アラートシステム(※疑い例の段階で医療機関から保健所へ報告をもらい、早期に病原体検査を実施することにより、患者の発生を迅速的確に把握する、東京都独自の仕組み)を拡充して、流行を早期に探知するために、保健所による病院や学校などの監視体制の強化を図っております。

 また、都内全保健所に開設している発熱相談センターの受付時間を、平日夜間、休日においても、夜9時まで延長することにしました。それ以外の時間については、都庁内に設置する発熱相談センターにおいて対応し、都民の方が24時間相談できる体制も拡充してまいります。

 都としてはですね、例の周産期医療のトラブル(※脳内出血の症状が見られた出産間近の妊婦が複数の病院から受け入れを断られた2件の母体搬送事案(うち1件は出産後に妊婦が死亡)が発生した問題)がありましたんで、あれを、まあ、何というんでしょうね、あの体験を踏まえてですね、医師会と都とのですね、緊密な連絡組織というものをつくりましたので、それをそのまま適用すればいいわけですから、十分な、診療機関の確保に努めております。

 また、今回のインフルエンザの治療に有効なタミフルやリレンザ(抗インフルエンザ薬)は、繰り返して申しますけど、鳥インフルエンザというものが猖獗(しょうけつ)する可能性があったんで、既に400万人分蓄えておりますが、これは、相手は鳥のつもりだったのが豚インフルエンザになったわけだけどもね、まあ、やっておいてよかったと思いますね。都民の皆さんにもですね、手洗いやマスクの着用など、予防策の徹底と冷静な対応をお願いしたいと思いますが。

 ちょっとこれはね、騒ぎ過ぎじゃないの。私、今週ですね、月、火、水と、ちょっとショートカットして帰ってきましたけれども、韓国、ソウルに行きましたら、マスクしている人間は1人もいなかったね。この中にもいないじゃない、1人も。君らたちが騒いで大変だ、大変だって言っているのに。

 とにかくね、うーん、正直と言っちゃ、正直、上に何がつくか知らねえけども、そのね、感染したという人の患者ね、これ、逐一こうやって報告してる国って、日本ぐらいじゃないのかね。で、発表された、公式の発表の数字って、日本が一番多いことになるの、世界で。

 となるとね、ほかの統計が出てるんですがね、外国からやって来る観光客の数、激減しましたな、日本だけ。それをもって何とは言いませんが、言うと余計なこと言われるから、またね。ちょっとね、騒ぎ過ぎじゃないのかねえ。まあね、季節性のインフルエンザよりはちょっと強力らしいというけれども、うーん、死亡した人、日本にいるわけじゃないしね、どうなんでしょうねえ。舛添(要一)厚生(労働)大臣が張り切ってくれるのは結構だけどもね、うーん、しかし、ちょっと、大変だ、大変だ、大変だと、あなた方(記者たち)も連呼し過ぎるんじゃないの。それは、大変なことは多少はいいんでしょうけど、風邪引いた人たちは、冗談じゃない、この一番いい季節に風邪引いたってことになるかもしらんけど。

 それから、ついでに申しますがね、先ほど申しました、医師会との連携の中での確保している登録医療機関として、町のお医者さんですね。これは今限りで650ございますけれど、この5月の20日過ぎまでにはですね、これを850に増やしましてね、ちゃんとそれも発表いたしますけども、そういった警戒態勢を敷いておりますから、ちょっと懸念のある方は、そのお医者さんに相談されたらいいと思いますが、うーん、ということですな。ちょっと騒ぎ過ぎじゃないのかね。

 ただね、お医者さんにね、「年寄りがかからずに若い人がかかるのはどういうわけですか」と言ったら、「石原さん、あなたも年だから、免疫、既に持ってるんでしょ、ほかの風邪のときに」っていうことを言われるけども、「本当にそうですか」と言ったら、「いや、多分そうでしょう」ということで、これは、やっぱり医者もね、頼りになるところとならないところがあるんだな。ただ、勝手なこと言えないだろうしね。

 ある権威がですな、できるだけ早く、この今はやってる風邪の本体というものを分析して、ひとつ解釈してですね、後顧の憂い(こうこのうれい)というものをなくすわけにはいかんだろうけど、少なくしてもらいたいね。そういう気がします。

 外国の政府も、こんなに、だれがかかった、何人かかったって、いちいち、どこの町で何人かかったって、そういう発表してるの。あなた方メディア。外国の事例見て。どうなの?日本ぐらいだろ、これ。隠してるわけじゃないだろうけどさ、この程度の風邪ならということで、やっぱりその一犬虚を吠えて、万犬実を吠える、伝えるみたいなことになるとね、これ、やっぱりね、厄介ですよ。マイナスが過剰になっている。

 しかし、これ、わからない。私、素人ですからね。このね、病原菌がね、どの時点でどういう形で、強化されて、どういう爆発するかってわからんけども、今の、この状況の中でね、ちょっとやっぱり騒ぎ過ぎじゃないかな。国民の皆さんも、逆に、こういう余計な不安抱えてるんじゃないかという気がしますがね。

 私から申し上げるのは、それぐらいです。質問、どうぞ。

質疑応答

【記者】前回は、ちょっとすぐにこの会場を去られてしまった知事だったんですが、今、知事からもお話がありましたように、いたずらに怖がるなというのが、防災の中でも言われておりますよね。ただ、いだずらに怖がらないのはとても大切なことなんだけども、その一方で、「正しく恐れなさい」…。

【知事】なるほど。

【記者】これは、畏敬(いけい)の念を持ってというような言葉でも言えると思うんですが、そういう意味からいうと、この新型インフルエンザ、いつまでこの新型という言葉が使われるかどうかもわかりませんけれども、その実態がわからない状態の中では、なるほど、十分に実態をまず知ることと、それからそれに対する備えって、どんなふうにしたらいいんだろうか。感染を広めないためにも、あるいは重症者、重体者がですね、出ないようにとか、そういった意味で、結構正しく恐れなければいけない部分があり過ぎたというようなことは言えると思います。ようやく、少しずつ実態がわかりつつあるので、そういうことになろうかと思うんですが。だから、世界各地のWHO(世界保健機関)の、やっぱり様子や何かも、メディアを通じてやっぱり知らされることはとても大切なことでもありますし、そういう意味では、お互いにきちんと注意し合おうと。ただ、マスクが全部売り切れたり何かするというのも、ちょっとね、ええ、ちょっとねという気持ちは、私も確かに感じておりますけど。

【知事】オイルショックのときの買いつけ騒ぎみたいなもんだね。

【記者】ま、そんなふうに、ええ、思うんです。

【知事】トイレットペーパーもなくなったしさ。ちょっと日本人って、こういうトレンド(傾向)があるんじゃないかな、こういうことに際して。だから、戦争なんかもね、適当なときに止めれば止められたって思うんだけどね、1億玉砕まで行っちゃうんだな。その後に一晩明けたら1億総懺悔(ざんげ)だよ。

 まあ、ちょっと私、このインフルエンザの騒ぎ、眺めていると、日本人独特のテンペラメント(気質)が出ててね、何か危ないなっていう感じがしないでもないんですがね。これが杞憂(きゆう)に終わればいいんですけどね。

 高橋さん(記者)みたいに、まさしく、やっぱり年の功だな、いいこと言うね、やっぱり。

【記者】いや、そんなことないですけど。

【知事】ええ。正しく恐れよというのは。

【記者】ええ。それは絶対大切ではないかなというふうに。

【記者】全くそうですよ。

【記者】ありがとうございます。

【知事】はい、どうぞ。

【記者】関連で。東京でも、関西で起きているように、ヒトからヒトへの感染というのが、そろそろ起きるんじゃないかという現実味を増していると。つまり、海外からの渡航者だけじゃなくてですね、国内発生というふうに。

 その場合、政府がもう今までのような一律休校という措置を要請することはないと思うんですけれども、どういうケースが生じるかわかりませんが、知事、現在の考えだと、休校ですとかイベントの自粛等は、一律には行わないということかと思いますが、どういうスタンスで…。

【知事】ま、危機管理の責任というのは都庁にあるわけですからね。皆さんにそれをお願いするのも1つの政策ですけど、今のところはそれを考えておりません。

【記者】それと、例えば限られたエリアでの、何か、あるいはもう、全く何もしない、しないと言うとちょっと言葉があれかもしれませんけど、そのあたりどうですか。

【知事】それはやっぱりさ、何ていうのか、イベントならイベントの主催者の判断の問題だしね、うーん。正しく恐れている人たちが、そこへ行くのか行かないのか、これはやっぱりその人の正しい判断だから、そこまで介入する必要はないんじゃないですか。ただね、これがもっとね、歴然としたパニックというか異常というのが起こったときにですね、これはまた逆の現象が起こってね、自由だとか民権だとかが何だの、個人の自由だとかとなるとね、前にもお話ししたと思うけどね、要するにね、天然痘のばい菌がね、今日は珍しいんだけれども、テロリストによってばらまかれたと想定をしましてね、しかも、何時何分のどの車両に、3つぐらいの地下鉄でそれが散布されたということがわかって、その人たちに、乗っていた人たちの名前をどう発表するか、どう拘束するかという問題をね、想定するとね、既存の法律は全部役に立たない。最後は憲法の問題になっちゃう。

 これもね、かつて、フィラデルフィアとどこでしたっけ、もう1つ、スペイン風邪のときね、もう1つ、どこだったっけな。えー、セントルイスですか、2つのね、町の大都市の首長の判断が全く違ってね、強権発動して制限したほうは被害者が少なかったけど、野放図にやったほうはものすごい被害者出た。そういう非常に厳しい選択をね、その首長が強いられる事態にならないことを望みますけどね、これから先のことはわからん。医者にもよくわからないんだから、政治家にわかるわけはないよな、そんなの。新聞社にもわからないんだから、な。

 ほかにありますか。はい、どうぞ。

【記者】関連で、先ほど知事が外国人観光客の減少がもう既に始まっているというお話をされましたが、都内経済への影響がもう新型インフルエンザの感染によって既に生じ始めているというご認識でいらっしゃいますか。

【知事】わかりません。それは日本経済新聞に聞いてくれ。そこまで私、詳しいデータ持ってませんから。

 はい、どうぞ。

【記者】関連の質問です。今日ですね、政府が感染の広がりの程度に応じて学校の休業とかをですね、自治体が独自に判断できると。対策を弾力化する新たな対策を発表したんですが、知事これ、どのように評価なさいますでしょうか。

【知事】だから、要するに、当事者任せということでしょう。それでいいんじゃないですか。地域によって状況も違うし。

 はい、それじゃ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)