石原知事記者会見

平成21年4月9日更新

石原知事定例記者会見録

平成21(2009)年4月3日(金)
15:00〜15:19

知事冒頭発言

【知事】私から申し上げること、ございませんから。質問があったらどうぞ。

質疑応答

【記者】明日が4月の4日という日にちを迎えるに当たりまして、政府もですね、非常に緊張感を持って、北朝鮮の人工衛星と称するロケットについて注目してるようなんですが、前回の時にも石原知事は、どこにどういうふうにして飛んでいくかわからないし、何とも言いようもないというようなお話もされておられましたけれども。東京の都民の皆さんもですね、わからないとうろたえたりとか、そういうような心理的なものもお持ちの人もいるかもしれません。リーダーとしてですね、やっぱ、ここはこういうふうに落ち着いてほしいとか、お考えもおありかと思うんですが、その辺、いかがでしょうか。

【知事】これはまあね、いろんな見方もあるんでしょうけども、相手が相手ですしね。つまり、その、先進国、高度の技術を持った、何ていうんでしょうな、国はともかく、前回も失敗したわけですね。で、まあね、その相手の持っている技術の精度ということからすると、長距離ね、ミサイルの実験するんだったら、目の前に日本列島があるわけですから、我々のね、いずれかの頭上を飛び越して太平洋へ行かざるを得ないんでしょうけども。それがですね、途中で空中分解するとかね、どこら辺で墜落するってことになると、ほんとに、成功の予測よりも失敗の予測のほうが難しいわけですね。そういう点ではね、政府は政府でね、情報の収集、つまりレーダーを使って云々の作業ってのは怠りなくやるでしょうから。しかもそれがですね、万が一の時に危険度があるものなら、いち早くそれを敷衍(ふえん)して伝達する、そういうシステムありますし。これはまあ、私たち、ほんとにね、固唾を呑んで見守る以外にないんじゃないでしょうかね。

 それは、抗議をする、しないったって、そんなもんでへこたれる相手じゃないしね。仮にこれが打ち上げられた後もですね、国連の安保理にかけたって、国連なんてのは、そんな決定権、力、ありませんからね。やっぱりこの核時代に、何であろうと、核というものを搭載し得る、長距離を飛ぶ兵器を持っているということは、やっぱり1つの、ポーカーで言えばワイルドカード(切り札)になるわけですからね。そういうね、何ていうんでしょうね、技術文明ってのがもたらした、外交に関する状況ってのは、非常に好ましくないですな。日本なんて、持とうと思ったらすぐ持てる国だけども、持たずにいる。しかも、仮に幾つかの国は持ったとしても、この現代のね、世界の中でそれを実際に使って、どっかの国をですね、核兵器で、要するに破壊する攻撃をかけるってことは、私はあり得ないと思う。そしたら、直接、もう、もろな報復を受けるわけでしょう。

 だからね、北朝鮮ってのは非常にブラフ(はったり)の強い国で、うまい国でね、そういうはったりの1つとして、こういう実験をする、つまり、その代償に、彼らは何を求めるかということでしょうけど、それ、まず封じて、そういうはったりがですね、通用しないってことをね、やっぱり世界中に示すことが大事じゃないでしょうかね。

【記者】ちょうど、時まさにですね、ロンドンで行われましたG20の、金融サミットの中で、麻生(太郎)総理は、世界各国の首脳に日本の立場を、位置関係も含めてですね、説明をし、了解を得られたということを確認できたということで、包囲網がこういうふうに、少し、こう、でき上がりつつあるということは、北朝鮮に対して、いいことなのか、悪いことなのか、こういう手段しかとりようがないのか、この辺、いかがでしょうか。

【知事】それはね、麻生総理がどんな人とどんな会話をしたかわかりませんが、たくさんの人間に会ってね、日本の立場、こういった、私たち、杞憂(きゆう)ってものを訴えて、よくわかりますと、それはけしからん、お気の毒です、言わない相手はいませんよ。そんな言葉がね、じゃあ、どれだけ拘束力持つかったら、持ちゃしないよ、そんなものは。

 それから、やっぱりこういう機会にね、日本人も考えたほうがいいのはね、万々、万が一の事態が起こった時に、アメリカがね、日本という友好国と称している、彼らにとってはかなり大事な国だと思うけど、その国のためにね、実力行使して日本を防衛する、報復をする、日本に代わって報復をするなんてことは、まずないでしょうな。

 それはね、私、自分の功を誇るわけじゃないけど、参議院の頃に、日本の政治家で初めてNORAD(北アメリカ航空宇宙防衛司令部:North American Aerospace Defence Command)行ってね、あのころ喧伝(けんでん)された、それは、あれは冷戦時代ですけど、ロシア、ソビエトのですね、各国に対する、アメリカの日本に、のための抑止力がないということは証明したわけで、行ってみればわかることですから。NORADの司令官そのものはっきり言うんだから。そういうふうにね、日本はいまだにね、ちょっと科学技術の体系が変わってきて、ああいう国でもね、短距離のミサイルを開発するようになった。ただ、そのミサイルの成熟度がどれだけか知りませんけど、そこにウォーヘッド、核のですね、弾頭をつけてですね、どこそこを攻撃する能力を持つに至っているかどうかといったら、これはちょっと、やっぱり難しいんじゃないでしょうかな。

 というとね、やっぱり、自分たちの保身のための、経済協力をとりつける、援助をとりつけるためのブラフでしょうね。そこら辺をやっぱりね、見越した上でこちらはどういう姿勢に出るかということ、これからの問題だと思います。

【記者】そういう危機意識だけは、やっぱり持ち続けていながら、冷静に対応すればいいということですか。

【知事】はい、そうですね。

【記者】ありがとうございます。

【知事】どうぞ。

【記者】すみません、新年度迎えたということで……。

【知事】新年度?

【記者】今年度、今年度ですね、迎えたということで、幾つかの新しい政策がスタートしている、していますけれども、太陽光発電なんですけど、ソーラーパネル、パネルのですね、購入に当たって助成なさるということで、これの、どのような、この政策によるその効果というか、どういうことを期待されているのか教えてください。

【知事】それはね、いろんなインセンティブつけてもね、にわかにどこの家庭も、それじゃね、ソーラー発電にしましょうというわけになかなかいかないと思うけども、仮にですよ、これが今の数十倍に敷衍すればですね、節電になるということ、CO2の削減につながるわけですし、要は、温暖化という気象異常の元凶に対する、危機感の持ち方だと思いますね。

【記者】もう1つ。横田基地の共用化の件なんですけども、先日、オバマ政権になってから、都の担当課がワシントンに行かれたと聞きました。その報告を受けていれば、どのような報告があったのか教えてください。また、オバマ政権に変わってから、共用化に向けて、政権が交代したということで、何か影響があるのかどうか教えてください。

【知事】いや、まだまだこの政権はね、落ちついていませんしね、横田の問題に関する最高責任者もノミネート(指名)はされてるようですが、議会でまだ認証を受けてませんからね。具体的な、要するに交渉を持ちかける段階にまで至ってないと思う。ただ、沖縄返還の時に活躍してくれた高瀬教授(高瀬保 京都産業大学名誉教授)、東京の参与としてね、足しげく行ったり来たりしてくれますんで、その報告を待ってますけど、しかしやっぱりある時期に来たら、私自身が出向いていってですね、東京側のメッセージを伝えるということがもう1回、この問題を新しい政権との間の話し合いを始める糸口になると思います。

【記者】また別の話で恐縮ですが、森田健作(千葉県)知事が5日、6日にも就任されることになります。知事とはですね、かなり古い仲で、同じ認識のもとで首都圏を担っていこうということだと思いますが、松沢知事(松沢成文 神奈川県知事)をはじめ、上田知事(上田清司 埼玉県知事)も基本的には石原さんと同じお考えだと思っております。そうした中で首都圏連合というものが、今後どう具体的な活動をされていくのか。

【知事】いや、それは既にもう実績があるわけでね。前の堂本さん(堂本暁子 前千葉県知事)もですね、首都圏としてのね、広域行政には参加してくれてましたし。いろいろ微妙な立場の違いがあるにしてもですね、例えば治安対策情報の連絡網、あるいは、例の排気ガスの、ディーゼルエンジンの排気ガス規制の問題、あるいはですね、コンビニのお店でのですね、成人向けの雑誌に対する飾り方の規制の問題とか、幾つかですね、共同作業でやってきましたから、広域行政の1つの新しいパターンをね、千葉県も含めて、神奈川、埼玉、そして東京都でつくってきたんでね、これは変わることはないし、あれでしょうね、森田さんが就任されても、新しい問題が出てくればですね、彼だって積極的にそれに参加してくれると思いますよ。

 ただ、この間も話したんですけど、僕は前からの主張でね、レインボーブリッジせっかくつくったんだけどね、高過ぎるんでね、あれを首都圏、首都高速……。

【記者】アクアラインですか。

【知事】アクアライン。アクアラインもですね、首都高速並みの料金にすればですね、随分違ってくるし、千葉県っていうのはね、この間も、彼、言ってたけど、水産と農業の生産高っていうのは日本で2位と3位かな。そういう実績があるんですよ。それからね、非常に豊穣な自然も持ってますしね、いろんな形で手つかずの地域がたくさんあって、これはやっぱり彼の言うように、まさに千葉のポテンシャル(可能性)だと思いますね。これは何も千葉県だけじゃなしに、つまり東京にとってのね、新しいリゾートというのかな、娯楽地というかな、そういう形の可能性はたくさん持ってると思う。その前に、やっぱりモータリゼーションの時代だから、あれですね、自動車によるアクセスの料金というものの体系をもっと合理化すればですな、私は特に千葉県と東京とのかかわりというのはかなり変わってくると思いますよ。

【記者】東京マラソンで心肺停止、一時心肺停止になった松村邦洋さんが、退院、無事退院されて、マラソンの事務局としてですね、医療、救急医療の、万全な体制がもたらされた結果だと思いますけども、松村さんの、今回の一連の騒ぎについては、どう思われますか。

【知事】あんなデブは出ないほうがいいんだ、マラソンには。もう言ったんだ、松村に、おまえ無理だと。そしたら、去年ね、完走できなかったからね、減量して15キロぐらいやせたらしいんだけどね、それで出たんでしょう?15キロも減量するってことそのものがちょっと無理があってね、まっちゃんはね、本当に危なかったね。もう助かってほっとしましたけども、あれだけ太った人で走った人いないんじゃないかな、ほかに。芸人さんというのはね、上からの命令があるとつらいことしなくちゃいかんかもしれないけども、やっぱりあの体では、ちょっと自分で考えたほうがよかったと思うな、本当に。人騒がせだよ、あいつ。

【記者】ありがとうございました。

【記者】オオト川ダムが、予定されていたダム建設が中止、凍結という形になりましたけど。

【知事】どこのダム?

【記者】大戸川。あ、ダイト川というんですか。

【知事】君、時々間違えるね、大事なことをね。どこにあるんだ、それは。

【記者】それは大津市ですね。大津。

【知事】はあ。

【記者】ええ。それで、国交省(国土交通省)のほうでダムを凍結するということになったわけですけれども。そのような、あそこは3知事が反対しましてですね、そういうふうな結果になったわけですが、そのように予定されたものが、公共事業がですね、中止されるというふうなことについては、どういうふうに都知事は評価なさいますでしょうか。

【知事】いや、それは一般論としてはにわかに言えませんな。だめなのはだめでやめたらいいしね、やるべきはやらざるを得ないんじゃないですか。ただ、やっぱりね、国の役人が現場の感覚もよくわからずにですね、設計する、企画するね。例えば諫早湾のですね、干拓なんてばかげたことですよ。これはね、本当に最初からあんなものはあり得ないことだけども、やったわけだ。結局いろんな弊害が出てきた。しかし、またダムは場所によってですね、それは本当に有益、無益ということがあるだろうから、一概にですね、その大戸川のダムについて、私はつまびらかにしませんから、それをもってね、公共事業が途中で中止する、しないの是非ということは論じられないと思うね。

【記者】すみません。上野動物園のことで伺おうと思うんですが、速報値で上野動物園の昨年度の入場者が300万人割ったということですが、知事はどういうふうに見ていらっしゃいますか。

【知事】知らないね、そんなもの。工夫が足りないんじゃないの。何もパンダがいなくなったからってね、客が減ったっていうのは、それは短絡的なあれでね、北海道とか、いろんな動物園っていうのはいろんな工夫してね、今までなかったパフォーマンスしてますよ。そういうことを考えたほうがいいんじゃないの。

【記者】知事はパンダの件については、1億円かかるから来なくてもいいというようなご意見でしたが、それは今もって変わらないですか。

【知事】高いもんね、うん。

【記者】値段なんですけれども、今回、有料で入ってる人が25万人減ってるんですよ。で、1人六百……。

【知事】じゃ、君なんかどうなんだ、朝日新聞は中国お好きなんだろうけどさ、どうしたらいいんだい。

【記者】僕はいてもいいかなと思うんです。

【知事】いてもいい。1億円払って?

【記者】あ、1億円なんですけども、つまり、それは17万人入ればペイできる数字なんですよね。17万人っていうのは、パンダの集客効果を考えると、あるんじゃないかなと思うんですけれども。

【知事】ああ、そう。

【記者】そのあたりはどうでしょう。

【知事】ああ、じゃ、計算し直して考えましょう。ただね、やっぱりほかの動物園でやってる新しい試みっていうのは、なかなかね、見ものでね、僕はパンダ見に行こうと思わんけど、ああいうものだったらね、出かけて見たいと思うのがたくさんありますね。北海道とか、愛知県の動物園の試み。この間もテレビでやってたけど、なるほどなと思った。もうちょっと頭使ったらいいんじゃないの。何もパンダ様々じゃねえよ。

【記者】関連です。同じ動物園なんですけど、一応現場でもですね、いろいろ展示方法とか工夫しているようなんですけども、ただ、やっぱり今おっしゃった旭山とかですね、ああいったところに伍していくためには、ある程度、投資も要るようなんですけども、なかなか指定管理者になって、そういう費用もですね、なかなかままならないようなんですけど、知事、その動物園、上野に限らないんですけども、都立動物園について、てこ入れするようなお考えはありますでしょうか。多分、知恵は、多分結構絞ってるんじゃないかと思うんですけども。

【知事】いや、どういう知恵を絞ったわけなの。どういうところにコストがかかるからね、なかなかできないっていうような、そういう報告があれば報告、私は聞き取りますけどね、そういう相談っていうのは、今まで1回もありませんな。

【記者】五輪招致の関連で、ちょっと1つ、お伺いしたいんですが、IOC(国際オリンピック委員会)による視察がですね、シカゴから始まりました。で、東京もですね、来週か再来週か、あ、来週の週末にIOCの視察が来ると思うんですけれども、準備のほどといいますか、今のところどういうふうな認識でいらっしゃるのかというのをお伺いしたいんですが。

【知事】いや、これまで、今までやってきたことをね、十全に披瀝(ひれき)する以外にないんですけども、今日も実は、この近くのビルでね、IOC関係のね、外国人の評価委員というんですかな、一種の、何ていうんでしょうね、リハーサルやったんですよ、その人たちの意見も聞きながら。で、私もね、ま、何かね、英語のスピーチをさせられるんだよ。ただね、こっちも忙しくてね、今まで目を通し切れなかったんだけども、夕べ初めて読んで、自分で朗読してみた文書は、だめだね。やっぱり私は自分の言葉でね、自分のメッセージを書いて、それをね、英訳してやらないとね、だめだと思った。

 そういう点でね、どこにオーソリティー(権威)がいるか知らないけどね、日本は日本の特性があるわけですからね。そういう話はしました。それを含めてね、準備万端でお客様、迎えたいと思ってますけども。

【記者】はい、ありがとうございました。

【知事】はい、それじゃ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)