石原知事記者会見

平成21年4月2日更新

石原知事定例記者会見録

平成21(2009)年3月27日(金)
15:37〜15:54

知事冒頭発言

【知事】今日は、冒頭、私から申し上げることはございません。質問があったら、どうぞ。

質疑応答

【記者】北朝鮮が人工衛星を打ち上げようとしているようでございますが、仮に東京都に落ちてくるかどうか全くわかりませんが、東京都としての備えというか、対応を教えてください。

【知事】彼らが発表している軌道をねらって打ち上がったものが東京に落ちてくるなんて論外な話だからね。東京に向かって落下物が落ちてくるときに、それを途中で迎撃して破壊する能力があるか、やってみなきゃわからん。やっぱりやらないわけにいかんでしょう。だから、朝霞ですか、東京の近郊にも幾つかパトリオット(地対空誘導弾)を装備したみたいだけどね。

【記者】東京都として何かこう、日本海側の県ではないので、これといったことはないかもしれませんが、何か想定していることはあるんでしょうか。

【知事】東京が囲いをするわけにいかんでしょう。政府任せにする以外ないじゃないですか、あなた。外交と防衛というのは、大体政府の責任だよ。

【記者】ありがとうございます。

【記者】今のに関連してなんですけれども、北朝鮮がミサイルを発射することについてはどのようにお考えですか。

【知事】これ、なかなか難しい問題でね。ミサイルというのは、まあ何か、強力な弾頭もあるだろうけど、そもそもはやっぱりこの核時代に、核弾頭というのを搭載することを目途としてつくられているんでしょう。だけど、この時代にね、大陸間弾道弾を含めて、長距離を飛ぶミサイルをつくって、核を搭載してね、相手を攻撃するなんてことできますか。そんなことをしたら、仮にだね、北朝鮮がそういうことをしたら、瞬間的に、まあ何ていうのかな、報復されますよ。

 アメリカのもともと核戦略というのは、報復ということを一義にしていたから、自分から攻撃することはないという建前だった。多分そうだろう。しかし、もし仮にアメリカや日本のどこかに、あるいは近隣のどこかにね、ましてアメリカという広大なターゲットに一発でも核を打ち込んだら、その瞬間、アメリカというのはね、その場で核の報復するよ。

 僕はアメリカの持っている核の能力からいったら、それは核のニュークリア・ウォーヘッド(核弾頭)の破壊力というのは、国によっていろいろ違いはあるでしょう。だけど、水爆を用いなくたって、今日の原爆だったら、それは一発で、北朝鮮のような国というのは壊滅しますよね。そういう危険を冒してまで、北朝鮮がそんな引き金を引くばか、さすがにないと思うけどね、僕は。

 ただやっぱり、外交交渉の中でね、とにかく核を持った国だけが、何か特権を行使する、わがままを行使する、つまり、ポーカーを諸君やるかやらないかわからない、ポーカーにもいろいろルールがあるんですが、ワイルドカード(切り札)というのをつくることがあるんですよ、そのワイルドカードを持った人間だけがね、ブラフ(はったり)を含めてポーカーを牛耳れば、それはやっぱりね、おりる人間はすぐおりてしまう。これは外交で済む問題じゃなくて、ゲームで済む問題じゃなくてね、外交交渉の中でね、核を持っているということのアドバンテージ(利点)というのは、非常に露骨なものになってきましよ。

 それから、日本がこれからアメリカと交渉しなくちゃいけないのはね、この間、田母神さん(田母神俊雄 元航空幕僚長)と話したときに、なるほどなと思ったのはね、そういう認識というのは僕は持たなかったんですけども、NATO(北大西洋条約機構)に入っているヨーロッパの国々はアメリカの核の装備に精通していてね、アメリカの核兵器の操作に、参加することができるんだってね。つまり、だからね、何をこうやってこうやったらミサイルが発射されて、場合によったら、その搭載されているのがどこかで爆発する、その決断、オペレーション(操作)にも参加する権利を持っているんだって。これは日本はないわね。日本は完全に蚊帳の外だ。任せるのは、とにかく核の戦略展開というのはアメリカに任せられるということで。

 例えば、アメリカは原子力潜水艦にサブロック(アメリカ海軍の潜水艦攻撃用ミサイル)のような核兵器じゃなくてね、3年ぐらい前ですかな、核を搭載した巡航ミサイルを搭載しました。これは、知っている人は知っているんだけども、巡航ミサイルというのはレーダーでとらえられないからね。アメリカは何かの形で、中国に報復という形でその引き金を引いたら、それは中国は防ぎようがないです。それを中国もよく知っての上でいろんな交渉をしているわけでね。その程度の能力って、とても北朝鮮はありませんからね。

 これから、一体何を目途としてあれするのか。ただ一種のポーカーのブラフみたいに、北朝鮮は、おれはワイルドカード持ってるぞ、持ってるぞ、持ってるぞということで、果たしてそれが本当のワイルドカードかどうかわからない。しかも、仮にこれがかなりの距離を飛んだ長距離ミサイルのモデルとしての実験だとしても、それが本当に破壊力を持った、どの程度の大きさのミサイルかわかりませんけど、それに非常に収斂(しゅうれん)し切った小型の強力な破壊力を持っている核弾頭搭載を、あの国がするまではかなり時間がかかるでしょうな。

 ただ、やっぱり、そのステップを積ましてはいけないということでね、国連はそれを抑止しようとしているわけだけど。それが狂って、東京に落ちてこないことを望むだけだね。まあそれほど拙劣(せつれつ)な技術で、彼らは周囲の反対を押し切ってまでばかな実験はやらないでしょう。やるとしたら、かなり飛ぶものを飛ばすんじゃないかな。

【記者】今回、ミサイル発射の前に、政府は破壊措置命令を決断いたしました。その政府の決断についてと、そして、そのイージス艦やそのPAC3(パトリオットミサイル3)での迎撃を考えているようですが、その能力についてどうお考えですか。

【知事】これはもう、私は知らない。政府の中枢の人間でしか知らないし、自衛隊の当事者しか知らんかもしれん。これだけの準備をしていて、来たら落とすぞということは、実際に、それから、中途半端なものが落ちてくる可能性があったら、途中で、中空で破壊するというのは、それはそういう操作っていうもののために税金を積んできたんだから、やらなかったら、政府の責任問われると思いますよ。

【記者】現在、北朝鮮は、秋田上空あたりを飛んで、日本上空を飛んで、太平洋域に着弾させようと考えているようですけれども、発射角度が1度変われば、東京の上空を飛ぶ可能性もございます。鳥取県などは、J−ALERT(全国瞬時警報システム)と呼ばれる、総務省所管の、まあ消防庁所管の警報システムの訓練をやっておりますけれども、東京都として…。

【知事】あれを装備している県というのは、わずかしかないんだよね。非常に誤報が多くてね、余りリライアビリティー(信頼性)がないからね。東京の場合には、常時、災害対策で使っている緊急情報のシステムを使って都民に警告しますけれども。しかし、「飛んでくるぞ」って、どこへ逃げたらいいんだ。地下鉄に乗るぐらいしかないじゃないか。

【記者】そうした意味でも、今回都民への避難経路の策定とか、何か4日ってちょうどミサイルが発射することもありますので、ミサイル着弾に向けた取り組みというか対策というのは、4日に向けて何かご検討なさることはあるんでしょうか。

【知事】それは東京のやることには限度ありますけどね。やっぱりね、そういう何万分の1か何か知らんけども、危険が我々の間近にあるということの認識を持つことが必要だと思いますね。

 それから実際に、そういうことを言うと怒られるかもしらんけどね。非常に稚拙な技術で彼らが打ち上げてね、変なものが例えばね、間近に落ちるなんてことがあったほうが、むしろ日本人というのはある危機感というか緊張感を持つんじゃないかな。「まあ大丈夫だろう、まあ大丈夫だろう」で来たわけだから。

 それはやっぱりね、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で日本が優勝するかしないかというような、その際どさよりもっと深刻なものだと思うよ、本当に。

【記者】オリンピックの件なんですけれども、4月14日からはIOC(国際オリンピック委員会)の評価委員が東京視察をしてくる。それからまた5月になると世論調査を開始するというふうな話なんですが、都知事としては、IOC評価委員の人、東京視察の中で、やはりこういうところはぜひ見ておいてほしいんだとか、そういうものがある箇所があれば、そういうことも教えてもらいたいと思います。

【知事】それはないよ。予定地見せるしかない。時間いっぱいなんだ、ぎりぎり。非常にタイトなスケジュールで来るんでね、銀座で一杯飲みましょうなんて、そんな時間ありませんからね。見るべきものを見てもらう。

 しかも、本当はね、割とコンパクトな設計になっているから全員に見てもらいたいけども、とてもそれは間に合わんということで、あるところから2班に分けて受け持ちの部分を見てもらうんでね。なかなか十全の視察になるかならないかも。どこの国もそうらしいけども、非常に時間が限られてますんでね。もう1日多ければゆっくり見てもらえるところもありますけどね、それはルールで決まってるみたいで。

 しかしやっぱりね、どういうのかな、限られた範囲だけども歩いて見てもらったら、天候が非常に悪ければ別の話ですけどね、東京のよさというか整備、機能さというのはわかってもらえるんじゃないかと思いますよ。ちょっといろいろ趣向を凝らしてね、「うん」というような技術も見せて、充実した視察になるような準備もしてます。

 それ以上はまだ言えない。秘密だから。

【記者】ああ、秘策ということになるわけですね。

【知事】そうなんだ。

【記者】その世論調査が5月から始まるというふうに聞いてるんですが、その世論調査の支持率の問題なんですが…。

【知事】やってみなきゃわからない、そんなことはね。今ごろ変な水ぶっかけないでくれよ。だんだんだんだん支持率上がってきてるんだから。読売の調査は74%までいったんだから。一説にはどこか知らないけどね、もう既にやっちゃったという話もあるけどね。そこら辺のところ、わからんですな。

【記者】経団連が支持を出したということになっておりますけれども、都知事としてはあとどういうふうな団体とか、国会では参院のほうもあるとは思いますけれども…。

【知事】いや、衆参で決議したよ、両方とも。あなた、何言ってるの。新聞をよく読みなさいよ。自分の新聞に載ってないかもしれないけども。

【記者】団体のほうは、経団連というふうなもので、商工会議所…。

【知事】そんな問題じゃないんだよ。経済界全体もね、まあね、それは商工会議所は昔からもう賛成してくれているし、経団連は幾分の支援をしてくれてますからね。その支援先にも説明に行ったわけですけども。

 どこの団体とか、国会の決議とか、そんなものじゃないんだ。やっぱり国民全体が盛り上がってやろうという機運にならないとね。だから、僕はとってもいい兆候だと思ったね、あのWBCでの日本人の全体の熱狂の仕方がね。いざとなりゃ、みんな興奮するし、期待するんだよ。

【記者】東京メトロの梅ア(壽(ひさし))社長が国交省できょう会見を開きまして、来年度中の株式の上場を目指すと、一元化については中長期的な目標だと、このように述べたんですけども、都知事の先の選挙戦でも、都知事は地下鉄の一元化、地下鉄は2つ要らないという部分を選挙公約に掲げておりましたけども、この株式上場が与える一元化への影響や今後の一元化のスケジュール等についてはどのようにお考えですか。

【知事】あのね、一元化はいろいろありましてね。まずやっぱりサービスの一元化。それからね、組織としても1つになることが望ましいと思いますね。やっぱりそのステージステージ、ステップステップを踏んでいかなくちゃいけないわけでね。しかし、それにしてもね、この株が低迷してるときにね、どういうつもりでかは知らんけど、私は今この時点で持ってる株を売るつもりはございません。

【記者】三宅島のバイクイベントの件なんですけれども、昨日の発表で、ホンダを含む4社が今年は協賛をするという話で。昨年会場に伺ったときに、知事はかなりホンダの件をおっしゃっていましたが、この協賛でそのわだかまりというか、そういったものはなくなられたんでしょうか。

【知事】まあそうですね。向こうも条件をつけてるみたいでね、公道レースをやらないならとか。まあ、今とにかくその整備もできてませんしね。ただね、三宅の道路事情というのはそんなにいいとも思わないからね、専門家は専門家で危惧を感じるんでしょうけども、かといって例えばマン島の道路の条件がパーフェクトかというと、そんなことは絶対にないですよ。

 ただね、火山の活動がどういう形で、どれくらい将来におさまるか、それにもよるけども、私はやっぱりね、一種の公道レースをしなかったらだめだと思う。それはね、今ある島民が使ってる道路というんじゃなしに、つぶれてしまった内輪山と外輪山の間の砂漠ね、あそこを使うことで、私は非常に住民にも迷惑をかけない、それから非常にエキサイティングなね、もちろんレースですからある危険性もあるでしょう。ただし、それは整備すればいいので、日常使う道路をつくるよりもずっと道路の整備はコストがかからないと思いますんでね。

 やっぱりただオートバイを使ってのショー、アクロバットのような宙返りもこの間やったけど、それだけでは私は人は集まってこないと思いますね。ですからね、あの砂漠を活用しての、公道といったって人間が年じゅう入っているところじゃありませんからね。そういうスペースを構えてのレースというものを、三宅島ならでは、というものをこれからつくっていかないと、とてもじゃないけども人が来て困るぐらい、島民以外の人があの遠い島まで出かけてはくれないと思いますな。少しいろいろアイデアを出そうと。ただ、やっぱり火山の沈静次第でしょうね、これから先。

 ただ、まあ今のところはメーカー側も行ってくれてるし、確かにいきなりあそこでレースをやるということはかなり難しいと思いますよ、専門家に聞いても。だから、それは考えてませんけども。しかしやっぱり近い将来、あの上の砂漠を、昔は牧場だったんですけども、活用することを考えないとだめだと思うね。

 それから、一部、外輪山の上へ上がったり下りたりする道路ができてますからね、ああいうものをうんと使ったらいいんじゃないかと思うけどね。

 はい、それじゃ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)