石原知事記者会見

平成21年2月19日更新

石原知事定例記者会見録

平成21(2009)年2月13日(金)
15:01〜15:24

知事冒頭発言

【知事】私から今日は冒頭申し上げることはございませんが、これね、東京の農林総合研究センターが開発したシクラメンでね、シクラメンて普通、匂いがしないんだそうだがね、かなりいい匂いがするんですよ、これ。テレビには映らないけどな、匂いは。何か質問があったらどうぞ。

質疑応答

【記者】改めてお聞きして大変恐縮なんですけれども、例のオリンピック招致の国会決議の話なんですが、民主党の鳩山由紀夫幹事長が、今回の国会決議されなかったことに対して、政局の道具にしているのは石原知事のほうであるというようなことを言っておりまして、国会決議をどうしてもしたいのであれば、各党を丁寧に説得に当たるべきだというようなことを言っているのですけれども、これについての知事のお考えと、政局の道具ということでちょっと知事の意見をもう一度。

【知事】ちょっと行き違いがあったみたいですがね。既に超党派の、まあ入ってない政党もあるけども、招致議員連盟ができてますしね、スポーツ振興議連もありますしね、そこではね、再三出向いて話をしてるわけですよ。で、要求があれば、こちら資料を持って行きますしね、どういう交渉、主に担当の谷川(健次)副知事がやってくれてたんですけどね、その説明で足りないんなら、幾らでも資料を差し上げたと思うし。それで既に議運という組織があってね、議院運営委員会で決めることですし、議長にも会ってくれって、会いましてね。議長が、上がってきたらやりましょうということを言っていただいたんでね、内容についてもかなりの了解が進んでいると思っていましたがね。うーん、そこら辺の行き違いがあったんでしょうかね。

 それから、政局の道具というのは、これは1つのニュースというか情報ですけども、小沢代表(小沢一郎 民主党代表)が社民党との共闘のためにね、それ本当かどうか、もう少し社民党の意向どうのこうのって。これは選挙の都合というのは、やっぱりあまり本質的に関係ないことだからね。選挙をおもんぱかってね、まあこれ以上のこと言うと、また角が立つからあれですけども、私はそういうつもりで言ったことでしてね。東京都がこれを政局の道具にしようにもないし、どういうことなのか、それさっぱりわからんですな。

 ただ、ここへ来ていろいろ折り合いもついたみたいでね、猪瀬(直樹)副知事も出向いていろいろ説明したり、向こうの意向を聞いたりしてくださったみたいですけど。ちょっと間に合わなかったけども、近々議決にこぎつけると思いますから、私、安心してますが。

【記者】改めて知事が国会のほうに行かれるという…。

【知事】どこへ?

【記者】説得に当たられるべきだというような話をしているのですけれども。

【知事】それは要請があれば行きますけどね、そのために議連があったり、招致連盟があったりするんでね、その人達がそれなりに情報を持ってらっしゃるから、自分の党へ帰って説明されたらいいんじゃないかと思うんだけど。そうなっていると思っていたんですけどね、私。

【記者】立候補ファイルのほうに、きちんと国会決議のことが、必要条件ではないとしても、入らなかったことについて、改めて知事のお考えを。

【知事】近々議決されるだろうということで、私、書き添えてありますけども。

【記者】わかりました。ありがとうございます。

【記者】住基ネットのことでお尋ねしたいんですけれども、本日、総務省のほうから、東京都の知事に対して、参加してない国立市に対してこれに参加するようにという対応をとるようにという指示がありましたけれども、これについて東京都は今後どうするかということについて、あと、これまでの参加しない国立市の対応というか判断について、ご所見をお伺いしたいと思います。

【知事】既に杉並もこのことについて拒否の姿勢をしてて、裁判になって、最高裁でおりましたよね。その事例もありますからね、国が東京に仲介を求めてきたわけで、これは手続の上で、東京都が傘下にある地方自治体に説得する責任があるそうですけども、これは当然言われたとおりやります。

 ただ、いろんな思惑があるみたいでしょうけどね、要するに、プライバシーの情報がですね、管理の上の問題で漏れたりする恐れもあるかもしらんけども、しかし、それはそれで、管理というものをもうちょっと徹底すればいいことだし、しなくちゃいけないことですが、やっぱり余計な税金を食う、それから、ユーザーにとっても便利なことですからね、私は杉並の姿勢に対して下した最高裁の判断というのは妥当だと思いますしね。その事例というものを踏まえてもね、国立は速やかに、一々裁判まで講ぜずに、住基ネットに参加してもらいたいと思ってますけどね。これは結局、市民のためだと思いますよ。

【記者】総務省の今回の指示を受けて、東京都として是正要求を行うということでよろしいんですね。

【知事】そうです、はい。その責任がありますから、取り次いで仲介いたします。

【記者】ありがとうございました。

【記者】麻生(太郎)総理の郵政民営化に関する発言について、小泉(純一郎)元首相が、あきれるぐらい笑っちゃうと。

【知事】国会へ行って聞いてくれよ、そんなものは。こっちへ持ってこずに。

【記者】いえ、知事はそれをどうご覧になったかなというのが…。

【知事】民営化した時にね、4分社にして、それで行き過ぎとか足りないところがあったら、何年か間を置いて、それを見直すというか修正するということは周知のことだと思いますが、どんな問題が、今、如実に出てきているかわからんがね、決してそれを完全に後戻りさせて、元へ戻すということで言ったわけじゃないだろうと思うけどね。あんまり言葉のあやについて、私、詳しく知ってませんが。

【記者】小泉元総理は、首相の発言に信頼がないと、次の選挙も戦えないと辛辣に話をされたみたいですが。

【知事】だから、何ていうのかな、言葉に幅を持たせて物を言ったのかもしらんけど、誤解を生じるような表現はしないほうが、そりゃいいと思いますな。必要だったら、もうちょっと詳しく自分で自分の言動について説明を付して発言したらいいんじゃないかと思うけども。

【記者】ありがとうございます。

【記者】再度、五輪の関係なんですが、理念のところに、平和というお話を盛り込んでいらっしゃったのがすごく新鮮だったんですけれども…。

【知事】新鮮?

【記者】ええ。その辺の理由とご所感をお伺いしたいんですけれども。

【知事】新鮮でもない。平和なんてさんざん言い尽くされた言葉だけども、しかし、世界で眺めれば、あんまり実現はされていませんわな。だからこそね、改めて使ったのと、考えてみればね、その弊害があると、平和ボケなんて言う人もいるかもしらんけど、日本はとにかく敗戦以来、数十年経ったこの過程で、国家全体が危機におびえるようなことをせずに済んできた。

 ということはやっぱり、いろんな条件が揃ってのことでしょうけどね、私は評価されるべきというか、とっても大事な意味合いを持つと思いますよ。だからですね、改めて、ある意味じゃ使い古された言葉かもしらんけども、そういう表現をしたわけです。言うには易しいけど、なかなか実現するには難しいことだ、平和っていうのはね。

【記者】大会期間中に何か平和に関するような行事をするのかという質問で、先ほど河野さん(河野一郎 東京オリンピック・パラリンピック招致委員会事務総長)は、特に今のところは予定はないとおっしゃっていましたが、知事、その辺に関して何かお考えはございますでしょうか。

【知事】まあ民主党なんかの要望ではね、広島、長崎っていう痛ましい事例があるんでね、あそこで何種類かのスポーツをやったらどうだというオファー(提案)は、これはちょっと無理です。IOC(国際オリンピック委員会)のルールに完全に背きますしね。

 ただね、事前に日本に来てトレーニングをするような人達、どの国がどれだけの人間を送ってくるかわかりませんが、そういう時に、ちょっと離れてはいるけどね、広島、長崎ってものを舞台にしてね、準備運動してもらうみたいなことはあり得るんじゃないかと思うけども、これまた選手達の移動に関する評価、煩わしさもあるし、あるいは喜んでやる人もいるかもしらんけども、河野事務総長が言ったみたいにね、殊さらそのために期間中に何をするということはないと思います。

【記者】わかりました。

【記者】都庁舎の施設、改修改築に780億円かかるという提案が出されていますけれども、この都庁舎自身について、鈴木(俊一)都知事の時にできたわけですが、石原都知事はこれをどういうふうに、贅沢であるとか、贅沢でないとか、そういういろんな評価があると思いますけれども、どういうふうに考えておりますでしょうか。

【知事】いや、その前にね、その数字、私、聞きましたがね、建ってからそんなに経っていないんでね、時間がね。そんなに膨大な金をかけなくちゃいけないほど修復のニーズがあるんでしょうかね。詳しく、私、まだ聞いていませんがね。

 まあ部品、部分によってはくたびれてきているのがあるかもしらんけども、ただ、何年間のスパンでその数字が出てきたのか、私、つまびらかにしていませんがね。いきなり数字を示されて、ちょっとびっくりしたんだけども。

 話をそらすわけじゃないんですが、都立の、この間、前川さん(前川國男 建築家)が作ったあの美術館(東京都美術館)へ行ってみましたがね、これはもうかなりボロボロに傷んでいてですね、ライフラインというのが全部だめになっているんで、これは改修の必要が当然あると思った。

 ただ、この都庁舎がそんなに早く傷んでいるんですかね。何をもって、それだけの修理費が要るのか、詳しい報告を聞かなきゃわかりませんけども。それから、総じての印象は、バカでかいわな、これ。これだけのスペースが要るか要らないかというのは、人間も多過ぎるし。

 警察の業務が、人が全然足りなくて困っているということで、警察に100人かな。それから、入管(東京入国管理局)も手が足りないっていうんで、15人サポーターを送ろうと応募したら、何と10倍以上の人が応募してきたんでね、それぞれのセクションの上司達がちょっとためらってびっくりしたらしいけどもね。まあ、まだまだ人が多過ぎる感じがしますね。ということは、建物が大きいから、要らない人間、入れているというわけでもないんだろうけども、まあ、国も役所もどこも、地方も、ちょっとお役人の数が多過ぎますな。

【記者】新銀行東京について、2点伺いたいんですが、まず1点目が、昨日、新銀行東京が第3四半期決算を発表しましたけれども、再建計画より28億円赤字の額が少ない73億円ということなんですが、まずこれの評価と…。

【知事】大変評価しています。大変うれしいし、ありがたいしですね、みんなの努力が実ってきた1つの証左だと思います。

【記者】あともう1点は、今度18日に都議会が開会しますが、その都の提出議案の中に、東京都と地域の金融機関が連携した金融支援を行うという趣旨の条例案が出されていて、あと予算案の中にも、300億円で、融資目標としては500億円ということで、そういうものが都から議案として出されているんですけれども、その条例案の中に、損失の補助という言葉がありまして…。

【知事】えっ?

【記者】損失の補助ですね。その新しい制度を活用して、融資が焦げついた場合には、東京都がその補助をするという、ちょっと文言が入っているんですが、仮に新銀行東京がその制度を活用して、損失補助を都から受けた場合には、昨年400億円の追加出資を受けた上で、なお新たに東京都から公金を使った支援を受けるということにつながる可能性があるんじゃないかと思うんですが、そのあたりの知事のお考えはどうなんでしょうか。

【知事】そうなった場合はそう解釈するしかないでしょうけども、さっき言ったみたいにですね、行員達が努力してね、業績を上げているんだから、今、その必要はないじゃないですか。それは、あなた方得意の勘ぐりだわな。

【記者】現段階では、新銀行に対してはそういった制度を活用させるような必要性はないというふうに、知事としてはお感じになっている。

【知事】それはわかりません、これからのことですからね。今、経済事情でこういうリセッション(景気後退)の中にあるのでね、何がどういう形で破綻していって、深まっていくか、わからない。そんなものを、今から想定するわけにはいかないしね。今ぐらいの段階で済めばいいけど、世の中なかなか、もっと苦しくなってくるんじゃないの。

【記者】まだ都からの追加支援というのは、可能性としてはゼロ%じゃないということなんでしょうか。都議会では去年、付帯決議が出て、400億円の追加出資というのは、もうこれ限りだという…。

【知事】それはもちろん、そのつもりで努力をしてきて、業績も上がってきているわけですから。ただ、やっぱり経済というのはどんどんうねって変動するからね。これからどういう時代が来るかわかりませんよ。今から想定してね、新しく、とにかく小零細企業の金融のサポートのためにやっている案をですな、今からそうやって括ってですね、否定してかかるというのもいかがなものかと思うね、私は。

【記者】すみません、五輪の話に戻りたいんですけれども、改めて平和の話なんですが、知事は、この「IOC提出に寄せて」という内容で、戦後憲法についてかなり触れられていると思うんですが、自民党の場合は、新しい憲法をつくるというのは自民党の1つの目標だと思うんですけども、その差について知事はどういう…。

【知事】えっ?

【記者】つまり、戦後憲法を知事は非常に評価されていらっしゃいますけども。

【知事】いや、そうじゃない。それも相まってだね、平和が続いてきたけどね。私はね、日本の平和をですね、もっと確かなものにするために今の憲法を変えたほうがいいと思っていますよ。それを論じると長い話になるから。まあ私の書いたものとかね、いろいろな議論を読んで評価しなさいよ。

 何も私、今の憲法を絶対と思っていないから。ただ、その憲法の効果もあってだね、とにかく何というのかな、もっともっと複合的な条件が整って、日本は今まで平和で来れたわけだけども、それはやっぱり歴史の事実として大したもんだと思いますよ。

【記者】つまり、戦後憲法の評価は、ある程度は知事としてはしていらっしゃるということになるわけですね。

【知事】している部分もあるし、していない部分もある。

【記者】国内での福岡と東京の代表争いとか、節目節目でいろいろな場面をこれまで経験してこられたわけなんですが、ここにこうして4つの都市に選ばれた中のようやく立候補ファイル、これを今日、日本時間の昨夜ですが、IOCに提出された。これは1つのやっぱり大きな節目とお考えになっておられるのか。さあ、これからだ、いよいよ。日本人はそういうアピールが下手だというお話も、先ほどされておられましたけれども、今年の10月2日に向けて、その今のお気持ちを改めてお聞かせいただきたいと思うんですが。

【知事】それはもう、あなたのおっしゃる「さあ、これから」ですな。さあ、これから、本当に。ランナーとしたらね、どういうのかな、トラックが決まってね、あれですよ、自分の足も位置を整えてね、スタート台を自分で調節して、やっと位置についたという、そんな感慨ですね。

【記者】ただ、悲観的な気持ちはお持ちではないですか。最初から悲観的なものは持って行きたくないと。

【知事】いやいや、悲観も楽観もしていませんがね。さっきの会場でも言ったけどね、世界が非常にね、いつも言っているけど時間的、空間的に狭くなってね、世界で起こっている大きな出来事がもろにかぶってくるわけですね。それがね、それぞれの国がそれぞれの主体性で、自分の国の国益も構えて起こっている現象というものを評価するでしょう。その責任者が那辺(なへん)にあるかということも、おのずと問われるわけだけども、さっき言ったみたいにね、このリセッション、その引き金を引いたのは明らかにアメリカだ。それから、やっぱり世界最大の消費国というものを当てにしてね、物をつくり、売り込んできた日本にしろですね、中国にしろ、そういった経済関係の中での、このつまずき。

 それから、現在、戦火は一応やんだ形になっているけども、あの中東のパレスチナの問題。これは、もうね、話すと長くなるけど、イギリスが実は三枚舌を使って終戦後、嘘をついた。これでもう大混乱になった。こういったものがいまだに尾を引いている。その中でね、文化といいましょうか、宗教の衝突、それも実は同じ種から出た3つの宗教が角逐(かくちく)している。それがいつも火種を抱えている中東でどういう形でまた爆発するのか、くすぶるのか。

 それから、オバマ政権がですな、直接話をするというのでね、イランとの関係というのは、どういうふうに好転していくのか、いかないのか。こんなものが全部絡んでくるわけですね。実際に絡んでくるわけですよ。これはね、本当に読みにくい。もうね、高次方程式を解くみたいなですね、非常に難しい、何というのかな、複合的というか重層的なパズルだと思いますね。

 それにね、どんどん、どんどん世界が刻一刻変わっていく中でね、これから10月までの数か月、半年ちょっと、経済なら経済の予測というのはほとんどつかないしね。なかなかこれは楽観も悲観もできないという感じがしますね。

【記者】だからこそすばらしいリーダーが求められている。

【知事】それはそうですね。

【記者】ありがとうございます。

【知事】まあ、太郎ちゃん、しっかりしてもらいたいね。

【記者】新銀行の決算の件で1点だけ、すみません。昨日の決算で、少し気になった点がありまして、新銀行の決算の中で、111億円の劣後債、資本に組み入れることのできる、いわば借金なんですけど、返済が前倒しでなされていました。これは、まあ別に前倒しで償却しちゃいけないものではないとは思うんですけれども、ただ1年前に400億円を追加出資して、1年も経たないうちに資本に繰り入れられるお金を前倒しで返してしまったというのは、これはなかなか議論のあるところだと思うんですけども、この点について、知事はどう考えますか。

【知事】ちょっとそういう専門的な話はね、専門部門に聞いてくださいよ。私、ここでね、どういうのかな、もう少し銀行に精通していればね、もっと口出しもしたのかもしれないけど、それは銀行法でできませんがね。それはちょっと専門家に聞いてください。

【記者】新銀行に関係するんですけれども、以前より法的責任の追及ということ、旧経営陣に対してですね、これは昨年末までをめどというお話だったんですけども、一定(第一回定例議会)前まで来てしまいましたが、今の状況と見通しについてご見解を伺いたいんですが。

【知事】これ、16日にですかね、弁護士さんと銀行との話し合いがあってね、その結果を17日ですか、私は聞くことになっていますけども。

【記者】その上で結論が出るということ?

【知事】つまり、どういうんでしょうかね、どういう形の裁判になるか、ならないか。そこは結論を出すんじゃないでしょうか。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)