石原知事記者会見

平成21年2月12日更新

石原知事定例記者会見録

平成21(2009)年2月6日(金)
15:03〜15:19

知事冒頭発言

「豊洲新市場予定地の土壌汚染対策工事に関する技術会議」の報告及び今後の新市場開場のスケジュールについて

【知事】冒頭、1つ、豊洲の例の新市場予定地の土壌汚染対策工事に関する技術会議の報告が、今日ありました。それに沿って、今後の新市場開場のスケジュールについて申し上げます。

 本日、技術会議の原島座長(原島文雄 東京電機大教授)から、豊洲新市場予定地の土壌汚染対策に関する提言がまとまって、いただきました。提言の内容は、公募で寄せられた提案の評価をもとにですね、技術会議独自の検討も加えて、市場用地としての高いレベルの安全・安心を確保するとともに、環境にも十分配慮したものとなっております。

 対策の具体化に際しては、世界に誇る日本の最先端技術を最適に組み合わせることで、一般的な技術・工法に比べて大幅に経費が縮減されまして、土壌汚染対策費は586億円となっております。

 報道されていたベンゾ(a)ピレン、不透水層の問題は、これまで検討してきた対策で十分対応が可能であり、影響は全くないと聞いております。今後、この提言に基づきまして、都民や市場関係者が安心できるように土壌汚染対策を確実に実施しまして、平成26年12月に豊洲新市場を開場したいと思っております。

 詳細については、この後の原島座長ほか技術会議の何人かの先生方から説明していただきますので、その場で、事の安全・安心について確認していただきたいと思います。

 加えて申しますとですね、報告では、221もの新技術の提案というのがありましたそうで、専門家の先生たちもびっくりしておられましたがね。

 ただ、原島座長が繰り返しておっしゃったことですけれども、技術というのはですね、非常に硬直したものじゃなくて、非常に幅のあるですね、トレランス(許容範囲)というものがあるんだと。ゆえをもってですね、何というんでしょうね、例えて言うと建物の耐震性のようなものですけども、かなりのアローアンス(許容差)、トレランスがあってですね、さらに、不測の事態はあり得ないと思うけども、そういったものに十分対処できる技術というものを選択したということをおっしゃっていましたが。

 まあ、日本のですね、最高の先端技術について、また、最高の権威の学者の方々が綿密に討論していただいたんでね、非常にこれはよい結果を得たと思っております。

 この後、専門的な質問がありましたら、ぜひ座長並びに関係の先生方からお聞きしてください。

 私から申し上げることは、それです。質問があったら、どうぞ。

質疑応答

【記者】その築地の関係なんですけれども、昨日、仲卸業者の理事長選がありまして、移転に反対派と賛成派が半々で、2回選挙をやったんですけど、2回とも同数で、理事が今のところ決まっていなくて、来週の月曜日にもう一度やり直すということが決まっているようなんですが、仮の話をしてもあれなんですけれども、それについて知事はどういうふうに思われるかということと…

【知事】これは1つの組織のことですので、私はね、それについて言及するのはやっぱり避けるべきだと思いますがね。まあ、選挙をやるならね、この報告が出てからやってもらいたかったと思いますね。これを市場関係の方々も聴取されてね、質問、疑問があったらね、先生方にだめを押してですね、その上で移転についての賛否というものを論じて、その代表を決めるのが、私は好ましいんじゃないかと、第三者としては思いますけども。

【記者】仮に来週の月曜日の選挙の結果、反対派と言ったら変なんですけれども、移転反対の理事が決まった場合というのは、今後どうされる…

【知事】さあ、それは想定の想定ですからね、ちょっと今お答えできませんがね。いずれにしろね、選挙を少し延ばしてもね、関係者がこの報告をね、熟読、熟知してですね、自分たちの大事な働く場所ですから、それをどうするかということをね、選挙を通じて意思表示してもらいたいと思いますな。

【記者】今日出た提言をきちんと踏まえた上でやるということですね。

【知事】そうですね。やっぱり専門的なことですからね。どういうんでしょうね、かなりの時間をかけてもね、専門家にただすものをただしてですね、新しい可能性について考えてもらいたいと思いますな。

【記者】あと、もう1つお聞きしたいんですが、実は今日で大阪府の橋下(徹)知事が知事に就任して、今日でちょうど丸1年になるそうです。橋下知事が昨日の会見で、今の霞が関の支持率はゼロ%であると。何の支持も受けていない霞が関の役人の意思に従う必要はないというような発言をしているそうなんですけれども、石原知事は間もなく知事になって10年目を迎えるかと思うんですが、東京、地方と霞が関との関係ですとか、あるいは知事職としての先輩から見て、この橋下知事の発言と、1年を迎えた橋下知事に対してのご感想をお聞きしたいんですけれども。

【知事】いや、たった1年ですからね。彼が強く主張していることは誠に妥当でですね、私は全面的に支持しています。

 ただ、国の役人に対しての評価というのは人によって違うでしょうからね、まあ100%とは言わないけどね、現場感覚、現実感覚がないね。それは東京の首都官僚のほうがよっぽど現場ってのを踏まえて、生々しい現実を知っていますからね。

 人によってまた異論もあるだろうけども、例えば現場っていうものをどれだけ調べているか知らんけど、諫早湾の干拓などというバカなことを国費を投じてやってね。普通、地方の行政組織だったら考えませんよ。そういうのがみんなもうペーパーカンパニーになっちゃったんでね、そこで何ていうのかな、机上の空論で物をやられてもね、それは血が通ったものにならないと思うしね。橋下さんが弁護士の体験を通じて府民を代表して知事になられたわけだけれども、国に対してそういう強い不信感っていうか、マイナスの評価を持つというのはね、私はやっぱり非常にうなずけますな。

 それから、地方がやっていることを、全然、国が踏襲をしないでしょう。それはとってもおかしな話だね。

【記者】かなり国に対して過激とも言えるような発言が最近相次いでいるんですけれども、それについてはどうでしょうか。

【知事】まあ彼は彼のレトリック(修辞)を駆使しているんだから、いいじゃないですか。

【記者】東京オリンピックの招致に関してお伺いしたいんですが、国会決議のほうが、民主党の態度も鮮明にしないこともあって、まだ宙に浮いた状態になっていますが、間もなく立候補ファイルの提出も期限が迫っていますが、知事は今どのようにごらんになっていらっしゃるでしょうか。

【知事】いろんなね、まあ誤解というか何かね、討論を待つまでもなく、こちらの説明を聞いてもらえればいいんだけども、それも不徹底なところがあるのかな。しかし、私はそうは思わないんですがね。まあ反対される理由がよくわからないんだ。菅君(菅直人 民主党代表代行)なんか「時期尚早」と言っているみたいだけど、この間、私、彼と電話で話しましたらね、ちょっと言っていることのニュアンスが違うね。

 それで、何かこれは例えば東京の提出した資料っていうものをね、国会が討論すべき問題なんですかね。これはやっぱり当事者っていうのは東京都であり、東京都は財源から3,000億ものお金を2年かけてかっぱらわれてだね、それで紙1枚、財政保証についちゃ出してもらうことになったけども、そういう政府の姿勢が決まっているのに、なお国会は何をこれから、どういうんですかね、忸怩(じくじ)として足踏みをしているのかさっぱりわからないね。

 先ほどね、西岡議運の委員長(西岡武夫 参議院議院運営委員長)と先日も会いましたけど、電話がかかってきましたよ。参議院は本当はこれを先議したっていいんだと。参議院先議でね。ところが、衆議院のほうがね、何かまたゴタゴタしているみたいだなと言うから、僕はそれは初めて聞いた話でね。参議院はとにかく、12日までに衆議院をあげてですね、それまでにこの問題プロパーで会議を開くってのはなかなか難しいとは思うんだけど、とにかく議題はこれだけのことですから。

 そうしたら、西岡さんはね、来週の10日にでも参議院はやろうと思っていたら、肝心の衆議院のほうが何かモタモタしているみたいって僕は初めて聞いたんでね。聞いたら、一部の報道で、菅、何だありゃ、代表?副代表?代表代行?何かしらんけども、あれがね、どういう思惑ですか、あれは東京都出身なんでしょう。東京都出身の国会議員ってのはやっぱりあれなのかね、何の立場か、オリンピック反対なのかね。反対なら反対ってはっきり言ってもらいたいんだな、何が反対なのか。

【記者】直接話をされるとか。

【知事】いや、直接話すって、こんなものは国会全体の問題だからね、疑問があったら、僕に直接聞いてきたらいいんだよ、彼が。彼だって都連の会長をしているわけだろう。

 要するに、民主党はこれに反対なんですか、オリンピックに。私はわからんね、これ。7割以上の国民が支持して、やろうとしてるのにね、次に政権を目指す民主党がオリンピックに反対なんですか。はっきりしてもらいたいな、これ。

【記者】これはIOC(国際オリンピック委員会)とかに立候補ファイルの提出期限は12日に迫っていて、間に合わない可能性があると思うんですが、そういった場合はどんな影響が考えられますか。

【知事】だから、西岡さんは、わざわざ衆議院が先に立ってね、衆議院が先に決まった後で、12日に間に合うように参議院で頑張ろうというので、しかも10日にするつもりでいたら衆議院がそういうことになってるという話ですけどね。

 いずれにしろね、議長も結構だろうと言ってくれてることでね。まあ、議長が裁定することじゃありませんから、これは。議運が決めて、上がってきて、採決というか決議するんでしょうけどね。だけどね、本筋はそういうことになると思うから。

 私は、ねじれ現象が起こっている参議院でもね、野党の議運の委員長がわざわざそういうこと言ってくれてる。衆議院はどうなるかわかりませんよ。ただ、僕はやっぱり結果が見えてることだからね、それを説明して、12日に決議をされたとは言えないけど、近々決議されるだろう、されることになってるということで報告しようと思ってますけども。どうぞ。

【記者】先だって、石原都知事のほうから、私どもの新聞で出ました座談会のことでいろいろ評価いただきましたけれども、政治と文学との関係ということのテーマだったんですけれども、その中で、猪瀬さん(猪瀬直樹 東京都副知事)と与謝野さん(与謝野馨 経済財政担当大臣)、坪内さん(坪内ミキ子 女優)が出て話し合ったわけですが、ご印象に残ることとかそういうことがありましたら、石原都知事の政治観として私どもは受け取りたいと思うんですけれども。

【知事】別に政治のことは話してない。文豪の息子、子供がどう感じてるか、それはそれなりに面白かったけどね。なまじ政治のことが出てないほうがよかったんじゃないですか。はい。

【記者】そうですか。

【記者】環境確保条例についてちょっと伺いたいんですが、2010年からの二酸化炭素の削減義務化について、これはまだ正式には発表されてませんけれども、6%から8%の削減義務を課すという方向でご検討のようですけれども、これは10年間で大体2割ぐらい減らさなきゃいけない中で、6%から8%、なかなか評価の難しい数字だとは思うんですが、この点についてどのようにお考えですか。

【知事】まず隗より始めよというかな、とにかく取っかかりで物事を少しでも積み上げていかないとね、物は動かないと思いますね。最初から100%を実現する、その目標を立てるにこしたことはないんだけど、それはやっぱり我々が今までやったことのない試みをするわけですからね。手近なことでできることを積み上げていくということで、その数値が出たんだと私は思ってます。

 とにかく、とにかく口火を切らなかったらどうしようもない。とにかく始めなかったらどうしようもないということですよ。とにかく、残された年月はわずか5〜6年しかないんだ。これはもう、何ていうのかな、この間、C40(世界五大陸の40大都市で構成する、世界大都市気候先導グループ)の専門家会議をやってても、一部の専門家はポイント・オブ・ノーリターンを過ぎたと非常にペシミスティック(悲観的)だったけど、まあ、あとの学者さんたちは、専門家の見地からして、5〜6年、とにかくこれからが勝負どころで、頑張るしかないという、そういうコメントをしてましたな。

 まあ、世界もだんだん、事の重大さに気づいてきたのかもしれないけども、しかし今、経済状況がこういうことになってきますとね、そことの見合いで、むしろ何か新しい産業を興すんだというつもりで温暖化対策をやれば、これはまた別の活路が開けるかもしれないが。

 とにかく前も申し上げたけどね、私たち、子孫に対する責任からしたって、ルターが言い、ゲオルグという東欧の詩人が書いたみたいに、「明日たとえ地球が滅びるとも、君は今日リンゴの木を植える」「明日地球が滅びるとも、君は今日リンゴの木を植える」という、その志というものを積み上げていかないと、事はもうとてもじゃないけど、どんどんどんどん深みにはまっていって、人間は救われないと思いますな。

【記者】知事はこの6〜8%という数字そのものについては評価しているという?

【知事】評価も評価、とにかく妥当な、できる可能性のある数字から始めなかったらしようがないでしょう。おれは今度のシーズンにホームランを60本打つとかね、打率4割打ってみせると言ったって、そんなことで大言壮語したって、打てないことだってあるんだから。やっぱり、優れた打者なら、まず何ていうのかな、最初のシーズンにある打率を想定して、それを超えたことで弾みをつけるということになるんじゃないでしょうかね。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)