石原知事記者会見

平成21年1月22日更新

石原知事定例記者会見録

平成21(2009)年1月16日(金)
15:00〜15:30

知事冒頭発言

1 平成21年度予算原案の概要について

【知事】冒頭、2つ。

 1つは、予算原案がまとまりましたので、それについて説明いたします。

 世界的な金融危機の影響が深刻化しまして、将来の展望が描けない閉塞感と先行きの不透明感から、都民、特に小零細企業の不安は日増しに高まるばかりであります。こうしたときだからこそ、都は、萎縮することなく、自らのなすべき役割を確実に果たしていくという力強いメッセージを発信していくことが重要だと思います。

 という意味合いからも予算の編成に腐心いたしましたが、こうした認識のもと、財政の対応力を駆使して、都民に安心をもたらし、希望も指し示す予算とすることを基本として予算編成に当たりました。

 予算の第1のポイントは、都民の不安を受けとめ、それを取り除くための手だてを確実に講ずることであります。

 主な取組としては、雇用環境へのきめ細かい対策の実施に151億円、小零細企業制度融資に2,250億円、新型インフルエンザ対策に172億円、周産期医療対策に22億円など、二度の補正予算から切れ目なく、さらに一段の積極的な支援を実施してまいります。

 また、経営環境が悪化している小零細企業に対して、地域の金融機関と連携した新たな金融支援や機械・設備を担保とした融資など、多様なメニューで資金繰りを支えてまいります。

 さらに、雇用問題とも関連して、都政の将来を担う人材の確保に向けて門戸を拡大し、平成22年度新規採用を増やすことにいたしました。ただ、これは新人ということじゃなしに、ある部分は中途採用を積極的にしていきたいと思います。当初の586人の予定から860人というものを目指していきたいと思いますが、やはり技術職は非常に新陳代謝が激しいので、そういった人材を中心に採用を心がけていきたいと思います。

 このほかに、23区の固定資産税などについて、近年の地価上昇による税負担を緩和するために、新たな条例減額制度を実施するほか、既存の3つの軽減措置を継続いたします。

 第2のポイントは、危機克服への新たな活力を生み出す先駆的な取り組みを推進することであります。

 主なものとして、「カーボンマイナス東京10年プロジェクト」の推進に365億円、羽田空港国際化に195億円、学校などの耐震化に215億円など、環境施策を通じた先進技術の支援による産業の活性化や東京の活力を高める施策を実施してまいります。

 また、「東京版環境減税」の実施など、税制も積極的に活用しまして、都民、企業の意欲的な取り組みを後押ししていきたいと思います。

 第3のポイントは、東京の将来を創りあげるために必要な中長期的取組を着実に実施していくことです。

 主なものとしては、鉄道の連続立体交差化に524億円、「緑の東京10年プロジェクト」に414億円、子育て環境の充実に56億円など、「10年後の東京」計画の実現をはじめとして、東京の未来につながる戦略的な投資を行ってまいります。

 一方、21年度の都税の収入は過去最大の減収となるなど、都財政にも深刻な危機の影響が及んできています。今後起こり得るさまざまな変動に備えて、そうした中でも、施策を支え得る財政基盤を確保していくことが重要であると思っています。そのために、基金を極力維持するとともに、新たな公会計制度も活用した事業内容、執行方法の見直し、歳入確保などに全庁挙げて取り組んでおります。

 また、行政改革についても、「行財政改革実行プログラム」の定数目標を達成するなど、引き続き行政改革の歩みを続けてまいります。

 本日発表しました平成21年度予算は、経済危機の荒波から都民生活を守り、我が国を牽引する東京が危機克服に向けた活路を開いていく予算として、都民の皆様の期待に十分応えられるものと確信しております。

 また、オリンピック・パラリンピック招致の実現を目指す東京が、21世紀の都市モデルへの歩みを着実に進めていることを内外にも明確に示す予算となっているとも思います。

 なお、この機会に、例の法人事業税の暫定措置について一言申し上げておきますが、昨年度、国が自らの責任を棚上げにして、都市と地方の対立をあおり立てて、地方を助けると称して東京から3,000億円を結果として奪ったわけですが、しかし、大幅な税収減によって地方の困窮が一層深まる中、国は地方交付税総額自体が不足している現実を認めて、結局、赤字国債の発行によって1兆円を復元せざるを得なくなったわけですね。

 このことは、都市の財源を当てにしていた小手先の手法では何らの問題の解決にならない、地方の財源不足は国が自らの責任で解消すべき課題であることを改めて証明したわけです。

 東京は、危機の時こそ日本の牽引役としてこの役割をしっかり果たさなきゃならんと思っておりますが、その東京が今、7,500億円もの税の減収に見舞われて、このままではいずれ行政需要に十分応えられない事態にもなりかねない状況です。無責任な国の尻拭いをする余裕など都にはない。法人事業税の暫定措置は速やかに、直ちに撤廃すべきであると思います。国がこのままみずからのツケを都市の住民に回し続けるならば、都としてもしかるべき対抗手段、これは今のところ考えていますけども、それを積極的に考えていかなくちゃならんと思っています。

2 オリンピック招致に関する世論調査の結果について

【知事】次いで、オリンピックの東京招致に関する世論調査でありますが、昨日発表しましたけども、2016年のオリンピック・パラリンピックの東京招致に関する世論調査を行った結果、全国で70.2%の支援がありました。1年前の6割から、今回、7割を超える方々の応援をいただくことができました。環境や平和という招致計画のコンセプト、大会開催により子供たちが健全に育つ環境が整っていくことが理解されてきた結果であると受けとめております。

 特に、若い世代から多くの応援をいただいたのは非常に心強い思いがします。夢を一緒に見ようという呼びかけに若い人たちが率直に答えてくれたものだと思っています。今後さらに多くの都民、国民の理解を求めていきたいと思っています。

 残る9か月を戦い抜いて、10月にはコペンハーゲンから大きなプレゼントを日本に持ち帰りたいものと思っております。

 私から申し上げることは以上であります。質問があったらどうぞ。

質疑応答

【記者】予算とは関係ないんですが、築地市場の移転のことでお伺いします。

 技術会議の提案を受けての都の試算では586億で土壌の汚染の除去ができる、全部の移転、開場が2014年の12月という予定、目指しているということなんですけれども、これについて知事は、試算額というか、除去費用、高い、安い、どのように見ていらっしゃるかということと、あと、当初よりも2年近く開場が遅れることについてどのように見ていらっしゃるか、教えてください。

【知事】まず、開場が遅れたのは仕方ないですね、やっぱり。精密に調査したら、ああいう非常に膨大な量の汚染があるということがわかったわけですからね、これは誰だって猪突猛進するわけにいかんでしょう。これを除去してですね、新しい市場を作るということで、実は今まで日本になかった新しい合議方式をとりましてね。技術の専門家と、それをさらに検討する多角的な専門家の会議を2つに分けて持ちましてね。

 その結果、実はこれはひそかに私は予測したことですけどね、うんまあ、皆さんが侃々諤々(かんかんがくがく)やっていただくのは結構なんだが、ためにするみたいな足を引っ張る議論もあったけども、まあね、あるゼネコンの、複数の、あちこちの社長を含めた幹部から、東京の市場をめぐっての何ていうんですかね、是々非々を論じている議論はいささか滑稽ですなと。現代の技術を知らない人たちがやっているんでね、まあね、私たちから考えると、もっと迅速に、もっと早くできますよということで、その内訳については、うっかり話をすると、一種の企業秘密にもなるかもしらんし、同時に、どこの技術者も同じことを考えてないんでしょうかねというですね、まあね、そういう議論も、意見も聞きましてね。

 それで2つの会議を設けて、しかもですな、例えばベンゼンならベンゼンというものの除去のためにも、バイオの要するに細菌を使った方法など格段に進んでいますから、そういったものを束ねてね、非常に重層的に、複合的に事を進めていけば、予想しているよりも短期間に、はるかに安い価格でできるという目途がつきましてね。昨日その最終報告じゃありませんけど、まあ最終報告に近い中間の報告を原島座長(原島文雄 東京電機大教授)以下、最終検討をしてくださった先生方から聞きました。

 これはやっぱりね、人間っていうのは非常に保守的でね。つまり、非常に旧弊な発想体系しか持たないからああいうことになるんで、ほんとの専門家に委嘱してやればですね、こういう結果が出たんでね。これは今までなかった、例えば公共事業に関するチェックの新しいシステムができたと思うんでね、これは東京だけじゃなしに、これを範としてね、地方の自治体がこういう問題に遭遇したときに、こういう形の合議機関をつくって二重、三重にチェックすれば、もっともっと合理的な結論が出るということを確信いたしました。

【記者】額は当初の見積もりよりはかなり圧縮したんではないかとは思うんですけれども。

【知事】そうですね。半分近くなりますね。

【記者】それでも、そもそものもとの所有者だった東京ガスのほうには、支援というか、額…。

【知事】それはこれからの問題でしょうな。昨日、警察の優良警官の表彰式があってね、私、都知事として行きました、来賓で。向こう側の、東京都の公安委員長の安西さん(安西邦夫 元東京ガス(株)社長)が来ていましたんでね、「あなた、心配したろうけどね、少しは安くなったよ。しかし、責任だけは果たしてもらうことになる。これはこれからの合議だな」と言ったら、安心したような顔で笑っていたね。結構じゃないですか、やっぱり。

 噂が噂を呼んでね、何か非常に絶望的な、何ていうのかな、ためにする議論が、足の引っ張り合いがあったけども、これはやっぱりあれだけのオーソリティー(権威)が二重、三重にチェックしてこの結論が出たというのは、私は日本の技術を信じていますから、報告のとおり、短期間に、はるかに安いコストで新しい市場ができ上がると思います。都民の方はぜひ安心していただきたい。

【記者】予算についてなんですけれども、今回の予算、かなり税収減の中で厳しい編成になったと思うんですけれども、一番苦労した点というか、腐心された点というのはどの点だったかということと、それから基金が1兆3,000億ほど残されたということで、今後の税収見通しの厳しさを感じるところがあるんですけれども、今後の財政事情について、知事としてどのようにご見解を持っていらっしゃるのか、お聞きしたいんですが。

【知事】これはやっぱり何ていうんですかね、今ね、世界を襲っているこの津波みたいな経済恐慌のあおりを食っているわけですからね、その波がいつ引くか、引かないかって、これ、予測がつきませんよ。つくんだったら、誰も苦労しないんでね。つくんだったら、それに則って、こちらは計画を立てたらいいわけだけども、世界中だっていないんじゃないですか。

 ルーズベルト(第32代アメリカ合衆国大統領)の時代の恐慌だってね、ニューディール政策(世界恐慌時にルーズベルト大統領が行った経済政策)が成功したって、あんなものは違うよ。歴史が検証しているから。あれ、ヒトラーと日本と戦争を始めたから、戦争という大消費の中で経済が刺激されたんでね。かといって、今、戦争を始めるわけにいかんでしょうし、アメリカもヘトヘトだろうから、あっちこっちね。いかんでしょう、そうなると、一体これ、どういうことになるんですかね。

 それからまあ、オバマさん(第44代アメリカ合衆国大統領)が変革、変化と言うのは結構だけども、アメリカ人がやっぱり分際を忘れてね、クレジットで先物買いして贅沢な生活をする、ああいう人生の哲学っていうのかなあ、生活の信条ってものを変えなければね、世界中があおりを食ってね。

 しかも、アメリカはもう権威が落ちたらそれはできないかもしらんけど、ドルをどんどん刷ってですね、自分たちのGDPよりも上回るみたいにドルがフロー(流通)しているっていうのも、これは不健全な話でしょう。日本もね、何かあおられて、利回りが一応5%保証されているから、たくさん国債を買っているけども、アメリカの。この国債の活用の仕方なんかだって、これから考えていかないといかんと思いますよ。持っていたら紙くずになっちゃったらしょうがないんでね。

 しかも、アメリカはレーガン(第40代アメリカ合衆国大統領)のときにね、社会保障っていうのを全部投資信託に切りかえたから。これ、やっぱり株が下がったりすると、現に橋本龍ちゃん(橋本龍太郎 元総理大臣)がだな、総理大臣のときコロンビア大学で講演して、「もう日本も財政多端なんで、少しアメリカの国債を売りたいんだ」。あのころアメリカの株は右上がりに上がっていたんだ。次に5%ガタンと落ちたでしょう。みんな青くなってね、それで口をふさいだんだ、橋本君の。

 それぐらいアメリカの経済は実はもろいんだよね。だからね、まあ、この間も中国の大使とメシ食っていろいろ話したけども、お互いに何か知らないけどね、何を見込んでいるか、とにかく日本なんかは政府は隠しているけど、民間のケツをたたいて、日本が持っているアメリカの国債の総額ってのは100兆単位以上のものじゃないんですか。中国はどうか知りませんがね、こういったものの活用ってのをね、考えなくちゃいかんのじゃないかなって話したら、「まあそうですな」とか言っていたけどね。

 私、このことをちょっと昔、2年ほど前にアメリカで口にしただけで非常に反発されましてね。後で注意も受けたけどね。注意されてやめるわけにもいかないけど、私は自分の所信を言ったんだけど。まあやっぱりアメリカのああいうセルフィッシュ(自分勝手)な生活の姿勢、態様ってのがどこまで続くかね。それを変えない限り、僕はやっぱり世界中迷惑すると思うし、アメリカに引きずられてまた大きなけがをしますよ。

【記者】都の予算、都の財政としては。

【知事】これはだからね、その大きな動向の中で、こっちはしょせん大海の中に浮いている木の葉だからね。やっぱりね、それはどういうのかな、鈴木さん(鈴木俊一 元東京都知事)の時代にね、割と備蓄があったけど、どんどんなくなっちゃって、最後のときは、私が就任したときは、積立金ってのは200億ぐらいしかなかった。何とか克服してきましたがね。

 これだってやっぱり急場に備えての積立金ですから、まあこれがどうやって食い止められるか。しかし、今ここで極端な緊縮財政を引くと非常に不安も募るしね、そこら辺のところは社会心理学的にいろいろ考案してこういう予算にしましたけども、都で苦労したことは、まず歳出と歳入だけはですね、極端に洗い直しました。

 それから、これに幸いしたのはね、誰も評価してくれないけどね、国に先んじて東京が、他の県もやり出したけども、発生主義の複式簿記をとったことですよ。きちっと財務諸表が出てくる。そうすることでね、要するに長期の戦略も立てられるしね、身構えもできる。

 やっぱりかつての時代にはね、バブルの崩壊のピンチのときに、大変だ、大変だというんで、家の貯金をどんどんおろして使っちゃった主婦みたいなことをやったわけだから、これはやっぱりね、その非を悔いてですね、私たち慎重にというか、そこら辺のことは十分考えて、積み立てのお金の使い方も考えていかなきゃいかんでしょうな。つまり、これがね、1〜2年で終わるのか、5年、10年になるのか、予測がつかない、これは。

【記者】新年度予算について、今回の予算で都内経済の浮揚効果、立て直し効果をどのようにお考えになっているか。

【知事】それは結果見なきゃわからない。これでよしと思ってやっていることだから。自信のほどは財務局長に聞いてくれ、そこにいるから。

【記者】築地のさっきの費用について1点だけ教えてください。580億円という金額は、高濃度の汚染物質が見つかる以前の670億円という対策費よりも安くなっているんですけれども、これは以前の対策費の見積もりが甘かったということでしょうかということと、それから、金額、安いほうがいいとは思うんですけれども、金額が安いと、本当にこれで安心・安全が保てるのかといった声も出てこようかと思うんですが、その辺、どのようにご説明をされていくかということ。

【知事】2番目の問題について、私もですね、素人ですから、かすかな疑義があるから座長、座長代行に詳しく聞きました。それから、それぞれの分野についての専門家にも聞きました。

 それで、バイオの専門家はですね、まだ方法はほかにある、もっと安くなると思うけども、それが非常に効果的であるという検証を得るためにはもう少し時間がかかる、しかし、それをやっていると恐らくこのプロジェクトの展開に間に合わないでしょうから、今ある限りの技術というものの適用を考えたので、ということを言っておられました。

 ということですから、大事なことはね、過去の積算が甘かった、甘くなかったとか、インチキだとかいうことじゃなくてね、やっぱり技術というものに対する期待とか信頼というのが知的な意味で欠けてたんだね。だからね、古い発想で古い技術を使って、そういうものでしか積算しなかったからああいう数字が出てきたんですよ。

 これはやっぱりね、担当の者たちの要するに教養の責任だと思います。発想の責任だと思いますね。

【記者】2点、オリンピックで伺いたいんですが、都議会の民主党が今の計画に納得できないということで本部のほうにもかけ合ったようですが、それについてのご所感と…。

【知事】昨日、僕、田中君(田中良 都議会民主党幹事長)に言ったんだ。君、どうかしてるんじゃないかと。それでね、あんなものを小沢君(小沢一郎 民主党代表)のところに持っていったって何になるものでもないしね。それから、東京の都議会の中にもですね、オリンピックをやろうじゃないかという議員が沢山いるわけだよ。何のつもりか知らんけどね。しかも、IOC(国際オリンピック委員会)のルールというものを読んだか読まないか知りませんがね、そんなものを無視してね、今の神宮のあそこにIOCの基準におさまるものを作れっていったって、物理的にできっこないんだから。

 それから、広島・長崎というもののキャンペーンは必要でしょうね。だけど、できるだけコンパクトな、そういう地域でオリンピックのほとんどの種目をやれというIOCのルールから言うとですね、種目によって長崎とか広島でやるというのは、これは財政の上でも負担になるし、それから、肝心の長崎・広島がそれを引き受けるかどうかわからんし。ですから、他の意味で、やってくる選手たちの練習とか、そういう施設というもののために広島とか長崎を活用するということならできますがね。何を言ってるかわからんね、あの人の文章というのは。

【記者】もう1つ、70.2%なんですが、やっぱりまだまだ物足りないのかと思いますが、その点を。

【知事】物足りないですね。はい、物足りないです。だけど、ニューヨークはもっと悪かったみたいだね。

【記者】成人年齢の引き下げに関する議論について、今週、成人の日がありまして、各地の成人式の会場でまた今年も混乱が見られたようで、最近の新成人はちょっと子どもっぽいのではないかと言われる…。

【知事】全くおっしゃるとおりだね。

【記者】そんな中、民主党が、今年中に成人年齢を引き下げる法案を提出するということを明らかにしまして、知事のこの成人年齢引き下げに関するご所見をお伺いしたいんですが。

【知事】これは面白いね、歴史は繰り返すというかね。私、最初の参議院に出たときに、全国区でね、キャンペーンの1つが、選挙権を18歳まで引き下げるということを言ったんだよ。それでね、これが非常に間違ったということを、刻一刻、今、社会情勢が知らしてくれるしね。

 これについて、そのキャンペーンの大会というかイベントを自民党の講堂を貸してやらせてくれと私が参議院のときに言いましたらね、当時の田中角栄幹事長に怒鳴られた。君は何を言ってるんだとね。それでね、とにかく18歳の選挙権、バカなこと言うな、25歳でいいんだ、25歳でと言われたけどね、本当にそのとおりだね。

 私、斎藤環君という非常にすぐれた精神病理学者と親しいんだ。彼に言わせるとね、「我々精神病の学者から言わせると、日本の若い人たちの成熟、成人というものの何ていうんですかね、合理的な基準ってのは、我々学者から言わせると31歳だ」と言いましたな。

 大体、成人式に騒ぐからね、父兄が伴って来るって、成人式じゃないよ、こんなものは。幼稚園の入園式と同じだよ。それよりもひどいよ。私はナンセンスだと思うし、間違っていると思う。ただの人気取りの政策で、党派を離れて、私はですね、もうちょっと自重したほうがいいと思いますな。

【記者】実はですね、23区の繁華街のことなんですが、やはり繁華街の活性化というのはオリンピックを前に控えまして大事なことではないかと思うんですが、その繁華街の1つに歌舞伎町があるわけなんですね。

 で、今、歌舞伎町は、コマ劇場が閉鎖されまして、これから建築計画が5年にわたって作られるということになっているんですが、どうもそこの劇場街を目指している地元の考え方と、東宝が今、新しく建て直すんですが、東宝の考えている中身とがどうもなかなか一致しないわけなんですね。要は、やはり歌舞伎町という1つの特性のある繁華街のまちづくりに、やはり新しく作る建物というのは合致するような内容に、できれば用途規制みたいなものがですね、かけられないものだろうかというふうに考えるんですが、知事の所見をお願いいたします。

【知事】さあ、それはやっぱり私よりも新宿の区長と都市計画、都市整備局に聞いてくださいよ。私はそもそも基本的に言って、あの歌舞伎町、好きじゃないしね。あそこだけの街の態様ってのはね、何かやっぱりちょっと民度が低いような気がしますな。ネオンサインの色を1つ見てもね。日本じゃないような気がする。あれがこの東京にマッチしたものかどうかわからんね。

 まあね、劇場がせっかく作り直される。劇場を中心にしてどういう文化性のある街ができるかということは、これからの問題でしょうけどね、私に聞かれてもわからんね、そんなことは。まずやっぱりあそこの住民が真剣になって考えることでね。あそこで幅をきかせている日本と違う国籍を持った連中の何か言い分もいろいろ「ニューズウィーク」(アメリカの週刊誌)なんかに出ているけども、ナンセンスだと思うね、私は。

【記者】知事が冒頭で触れられた法人事業税の関係なんですが、当初、知事は暫定措置として2年という数字を挙げられていたと思うんですけれども、最近…。

【知事】いや、向こうが言ってきたんだ、暫定措置としてね。

【記者】向こうが。

【知事】うん。それで、やっぱりね、社会保障の負担分っていうのをね、国が半分に上げるということだったら、とてもそんな財源はないから、消費税の問題になってくるだろうということでだね、私もまあ2年ぐらいかなあと思っていましたが、このままだと、ズルズル、ズルズルね、恒久化もしかねない。これだったら、やっぱりそれを阻止しなくちゃいけないしね、まあいろいろな方法を考えていますけどね。

【記者】知事は、新年の確か職員への挨拶か何かの中で、法的措置とかもいろいろ考案したけれども、無理だったという話をされていましたが。

【知事】あの時はそうでしたけど、やっぱりこれ、本気に考えないとね。敗戦覚悟で戦わなくちゃいけないことがあるかもしらない。1つのマニフェストとしてね。

【記者】というと、考えられているのは法的措置になる…。

【知事】まあそれも含めて今考えています、いろいろ。

【記者】いつごろ。

【知事】そんなことはわからんよ。これからの作業だ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)