石原知事記者会見

平成20年12月4日更新

石原知事定例記者会見録

平成20(2008)年11月28日(金)
15:00〜15:13

知事冒頭発言

【知事】私は、今日、冒頭申し上げることはございませんから、質問があったらどうぞ。

質疑応答

【記者】参院宿舎の件なんですが、改めて知事のお考えをお聞きしたいんですが。

【知事】お考えというよりもね…。

【記者】現在地で建て替えるべきだということですか。

【知事】そんなことよりもね、この1月に、いろんな問題があるし、区が決めた地区計画もあるようだから、できればそれをいかすように、もとの場所に建て替えたらどうというオファー(提案)はしまして、向こうはそれは満足しないで、今のとおり進めたいというんで、なかなかそうはいかないんじゃないかと。折衷案というんですかね、新しい案を出してもらいたい、それを踏まえて、東京もそれに応えてこちらの意見を述べますよと言って、待っていたんですけど、ずっと来なかったんですよ。

 それで、私がマレーシアに行っているときに向こうから、何というのかな、容積率というんでしょうかね、階数も減らした、あるいは樹木も何%増やすといった案が出てきまして、帰ってきたら、25〜26日までに返事してくれと。これはちょっと勝手なんじゃないか。世の中の交渉ってのはそんなものじゃないんだから。そこら辺のところが、やっぱり常識から外れていると思うしね。

 前も、新銀行東京についての参考人の招聘についても、佐藤君(佐藤広 東京都産業労働局長)という最も忙しい局長の一人を、委員会のある前日に、明日の3時に来てくれんかと言う。こういう、何というのかな、招致というのは、世間を通らないんじゃないですかね。何のオーソリティー(権威)を信じているか知らないけどね。

 ですから、私は、参議院の今度提示した案は、まだまだ不満ですし、基本的にね、多少不便かもしれないけれども、元のところへ建てたらどうだということを言っているわけだし、区が決めたあの側を商店街にもしたいという、アーケードにしたいということもあるようですから、あわせて、こちらの意見を申しますけども。とにかく話し合いを今までやってこなかったんだから。それで25日、26日に、持ってきたペーパーをもって、これで決めろと言ったって、何様か知らないけど、そんなもの、通るわけはない、世間はな。ということですよ。

 だから、月曜日に西岡君(西岡武夫 参議院議院運営委員長)に会います。そこで話をします。その結果は、あなた方が取材したらいい。

【記者】その場で結論が出るということになるんですか。協議が続くというのは。

【知事】それは、向こうが、私たちの案をのめば、結論がつくでしょうな。なかなかそうはいかないんじゃないですか。

【記者】東京都が示す案というのは、現在地で建てかえるということでよろしいですか。

【知事】基本的にそうですね。

【記者】知事としては、いつごろまでに結論を出したいというのがありますでしょうか。

【知事】それは別に立派な宿舎が建っているんだから、あそこに住んでいりゃいいわけだ、10年でも、20年でも。それじゃ嫌だというわけなんだろう。もっとぜいたくなところに住みたいと、この時代に。宿舎はあちこちでがら空きなのにさ。あそこであんな公園をつぶしてね、高いビルを建てて、何かの過程で強引にそれが成就されても、ちょっと議員さんとしたら、やっぱり心理として、なかなか遠慮があって住めないんじゃないんですか。そんなところまで斟酌されたらいいと思いますよ。

【記者】今の話の続きなんですけれども、建設場所をめぐっては、現予定地か、あるいは今ある場所なのかという、なかなか折衷案を出すことは難しいと思うんですが、この場合は、参院側が現予定地を譲らなかったらば、知事としてのお考えはどういうことに…。

【知事】そんなね、仮定の仮定で私、西岡君とこれから初めて話すわけだからね。あなた方の想定をベースにしてね、ここで答えろと言ったって答えにならないからね。余計な質問しないでもらいたいね。今の段階で。答えられないでしょう、あなた、そんなもの。相手があることなんだから。

【記者】先日、国交省のほうで車交通量が13%平均減少しているという統計が出ているようなんですが、これが都道に与える影響とか、そういうものはどう考えますか。特に、圏央道につきましては、あそこには高尾山のスギや木を切るんじゃないかとかいうことで自然保護の運動が起きているようですけれども、そういうものに対する影響は出てくるんでしょうか。

【知事】いや、環状線は既定どおりつくらなかったらね、確とした経済効率が上がってきませんからね。通行の総量が減ろうが減るまいが、要するに道路を完成することが、はるかに経済効果があるわけでね。これはやっぱり文明工学の一つの原理ですよ。

 それで、今、交通量が減ったのは、いろいろな理由があるでしょう。それはね、通勤のラッシュの時間を除いてデイタイム(昼間)にだね、走らなくていい車が走っている節もある。ちょっとした買い物に車を使って行くよりもね、こういう時代になればガソリン代もかかることだから自転車で行くとかですね。もっとありがたいのは、都心に乗り入れる車が少なくなって、せっかく完備されている世界で一番稠密な地下鉄ネットワークをもうちょっと利用してもらいたいと思いますけどね。

 環状線については、これはもう都市の機能として絶対要るもんですから、よくまあ今までほったらかしにしてきたなと思うものでね。だから、まあ(国土交通大臣が)扇(千景)さんのときに、こちらが頼んで凍結を解除させて、完成を目指して進みつつあるわけですけれども、高尾山が何だろうが、とにかく別にあの森林を切るわけじゃなしに、地下にトンネルを通すだけのことですからね、これはやっぱり理解してもらいたい。反対のための反対も幾分あるでしょうけども。

【記者】今日の午前中に発表がありましたが、都立日本橋高校の入試の件。類似といっていいかどうかわかりませんが、神奈川県平塚の県立神田高校でも、外見等を判断基準にしてというものが発覚しまして議論を呼んでいるところですが、知事のそういった問題に対するご見解を。

【知事】入学試験というのは試験でありましてね。これはやっぱりね、特にペーパーテスト(筆記試験)に限っては公正に採点されるべきだと思いますが、前に問題を起こして一回退学、自発的にしたのか、させたのか、つまびらかにしませんけれども、かなり問題のあった子どもがね、志を立て直してもう一回学校へ行きたいと受験してきた。それをね、厄介な子どもは困るというんで採点の上で手加減して振り落とすというのは、私はまことにフェアじゃないと思うし、教師としてあるまじきことだし、つまり自分の、よし、おれならあの子どもを再生してみせるぞ、立派な教育を施してみせる、じっくり話し合って、あの子を立派に育ててみせるという自信がないから、そういうことを言うんでね。つまり、そういうことをする先生というのは、本質的に先生という資格がないと思うね、僕は。

【記者】その上でですけども、なかなか問題行動という、私も日本橋高校のケースがどういうことかよくわかってませんけども、他県で恐縮ですけど、神奈川の高校等では、それを実際どうすればいいんだろうかという議論も教育現場で起きてると思うんです。そのあたり。

【知事】一方では、子どもを立たせるだけでも体罰だといってね、モンスターペアレント(学校に対して自己中心的で理不尽な要求を繰り返す保護者)なんかが跋扈(ばっこ)してだな、中には子供が風邪引いて休んでたら、給食費払ってるんだから、学校の先生が昼食を家に届けにいけ、とかばかなこと言う親が出てくるんだ。こういう事態で先生たちが苦労するのはわかりますよ。物事の価値観、考え方が変わってきたので。

 つまり、親に自分の子供を育成してくれる先生に対する感謝の意がないからそういうことになるので、昔はやっぱりお医者さんとか先生といったら、神様とは言わないけれども、親にとってとてもありがたい存在だったけど、そういう認識、価値観がなくなっちゃったからね、勝手気ままな親が出てきた。

 だけど、そういう状況の中で、先生が子供を厳しく鍛え直すことは非常に難しくなったんだろうけど、それでもなおやっぱり、教師という職業を選んだんだったら、その使命感だけは忘れてもらいたくないと思いますね。それで、面倒くさいから見えないところで採点を加減してその子供を切り落とすというのは、これはもう言語道断だと思います。しかるべき措置を教育委員会としてとるでしょう。

【記者】世界金融の混乱に端を発して大企業の業績下方修正が相次いでいますが、企業の業績悪化が来年度の都税収入に与える影響を現時点でどう見ていらっしゃるか、教えてください。

【知事】かなり深刻ですね。かなり深刻です。大変なものになると思いますね。だから、やっぱりその備えのためにも、どこかで支えるために補正をまた組んだりするんですけどね。まあいろんな批判があるでしょう。しかし一方では円が高くなって、日本の経済全体がダイナミズムを欠いてくるのかな。

 しかし、一方では、今日もほかの用件で東芝の社長に会いますが、東芝が(2006年にアメリカの原発メーカーの)ウェスティングハウスを買収したって、これは画期的なことでね。これからの新エネルギー時代に、環境問題のときに、原子力しかないですよ、活路はね。

 こういったウェスティングハウス、大体世界の原発の7割ぐらいをシェアしてるのかな。そういうところを東芝が買って、ほかの外国の原子力機関というのは、ほとんど日本の企業が買った。これはやっぱり画期的なことですよ。とても大事なことですよ。日本の国家戦略というのも、こういうものをベースにして積極的に考えていってもらいたいけども、どうも何か政府を見てると、大変だ、大変だ、大変だと言うだけで、まあまだ民間のほうがしっかりしてるなと思うけども。

 こういったものは、やっぱり政府も踏み出して、どう言うんでしょうね、これをまあ要するに1つのいい機会にとらえて、日本の存在感というものを、実力というものを培っていく必要が私はあると思います。

【記者】麻生(太郎)首相が、言葉遣いの言い回しや言葉の言い間違いでいろんな意味で話題を呼んでいますけれども、同じ組織のトップで会見とかも出られる立場として、知事はどのように見られているのか。

【知事】彼は彼なりのキャラクターで話をしてるのでね。でもね、言葉が足りないところがあるような気がするし。

 昨日、実は久しぶりに総理と会ってね、昔から知ってるから話しましたよ。なかなかまだやっぱりあの人のキャラクターはとても強くていいなと思った。それは、前の総理大臣みたいに気の抜けた炭酸みたいな人だったら困るものな。それに比べれば、はるかに存在感があっていいよ。だけど、やっぱりちょっと言葉が粗雑なところもあるんだろうさ。

 何で君、医者のこと言ったの、あなたの病院(麻生総理の親族企業グループが経営する病院)というのはうまくいっていないのか、それは経営の責任じゃないか(と聞くと)、そんなことない、ものすごくうまくいってるよ(と麻生総理は言っていた)。

 何でといったら、一種の専門ばかということを言いたかったんだろうね。それは社会常識の欠落とはちょっと違うのでね。お医者さんも忙し過ぎるし、つまり何て言うのかな、病院のことで頭がいっぱいなら世間話をする暇もないだろうから、そういうことの斟酌がちょっと足りなかったかもしれないけど、でもいいじゃないですか、やっぱり。言いたいことを言ったらいいし、彼の表現があるんだろう、やっぱり。ま、漢字は正確に発音したほうがいいわな、それは。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)