石原知事記者会見

平成20年8月7日更新

石原知事定例記者会見録

平成20(2008)年8月1日(金)
14:58〜15:18

知事冒頭発言

1.豊洲新市場予定地の土壌汚染対策工事に関する技術会議の設置について

【知事】今日はですね、いくつか冒頭に申し上げます。

 1つは、もう皆さん内容についてはご存じだと思いますけども、去る7月26日に、豊洲に関する専門家会議からの現況の土壌汚染に関する報告をいただきました。今後、この報告を踏まえて、土壌汚染対策を具体化するためには、新しい発想や新技術の可能性を含めて、広く考えていく必要があると思っております。

 そのために、東京電機大学の教授の原島(文雄)先生に座長をお願いしまして、環境や土木分野などの専門家、計6名からなる技術会議を設置しまして、技術・工法などの評価・検証を行うとともに、民間企業から広く新技術や工法の提案を公募してまいります。

 その結果ですね、そのメンバーに加えて、こういうのはね、往々ね、新しい技術を使っての大きなプロジェクトの展開というのは、大体予算がどれ位かかるか、何か非常に曖昧な所がありますので。行った事業についての監査というのは公認会計士でできますけども、やっぱりこういうプロジェクトの予算の積算みたいなものの専門家、どういう所なんでしょうかね、商社の財務担当者とか、いろいろ考えられますけど、そういう専門家を加えてですね、新しい工法なら工法を駆使しての、この事業の展開の積算をして、実現に向けていきたいと思っています。

 この会議は、できるだけ早く立ち上げまして、大体メンバーの候補者も出揃っておりますので、会議が開催されて3カ月程度で、その評価・検証を終える予定であります。これらの検討結果に基づいて、速やかに都の土壌汚染対策計画を取りまとめまして、対策工事の詳細や必要な経費及びスケジュールについて明らかにしてまいります。

 実は、この間ですね、ある所でばったりね、ある人に会って声をかけられた。それは築地で仕事をしている人なんですけど、その人はですね、絶対に築地は今のままではだめです、いろんな意味で不可能ですということを言っていましたがね。まあ、それをあんまり強調すると、また余計な風評が立って築地にご迷惑をかけることになるけども、やっぱりそういう認識、見識を持った人もいるんでね。つまり、今の築地じゃだめだ、もう限界を突破している、だから新しい、とにかく豊洲を含めて移転というのは絶対に必要なんだという意見も、中には強力にあるんでね。そういう意見というものを、これからもう少し抽出して、検討の対象にも、論拠にもしていきたいと思っています。

2.北京オリンピック開会式への出席について

【知事】次いで、北京オリンピックの開催に、私、招待を受けましたので、8月8日です、開会式に出席して、翌日、北京市主催のレセプションに参加いたします。今回の訪問に際しては、羽田空港と北京を結ぶオリンピック臨時チャーター便を利用してまいります。

 詳細については、この後、報道官から説明いたします。

3.東京オリンピック・パラリンピック招致大使について

【知事】次いで、東京オリンピック・パラリンピック招致大使ですけれども、今までも星野仙一さん(北京オリンピック野球日本代表監督)など4名の方に招致大使をお願いしてきましたが、このたび新たにテニスのクルム伊達公子さん、萩本欽一さん(タレント)、野口健さん(登山家)、それから、ヤクルトの監督をしておられた古田(敦也)さん、4名の方に就任をしていただきました。この4名のうち伊達さん、萩本さん、古田さんには、早速オリンピックの開催に合わせて8月9日から放映する予定のCMにも出演していただいております。

 従来の方々だけじゃなくてですね、アドバイスもありましたんで、やっぱり芸能界とか、もっと幅の広いジャンルの世界から国民としてよく知られた方々に招致大使になっていただいて、全国の招致運動をさらに盛り上げていきたいと思っています。

 後でその映像をご覧いただきますので、皆さんにもですね、メディアの方々にもぜひ協力をお願いしたいと思います。

4.東京の魅力をPRするDVDとガイドブックの制作について

【知事】それから、東京の魅力をPRするDVDとガイドブックをつくりました。私はですね、観光というのは非常に大きな産業だと、元々思っていました。運輸大臣をしているときに、なぜかね、今でも国は運輸省(現「国土交通省」)が観光の担当をしている省ですけど、これはむしろ通産省(現「経済産業省」)にすべきじゃないかと言ったら怒られたんだけど。いずれにしろ、有力な産業でありまして、国のそういう見解に先駆けてね、都は、観光を飛躍的な成長が見込める産業と位置づけて、観光振興の取組みを進めてまいりましたが、このたび、東京の魅力を海外に向けてさらにPRしていくために、2種類のDVDと観光ガイドブックを制作しました。

 このDVDは、30秒の天才と言われている、コマーシャルなどですばらしい映像をたくさん提供しているカメラマンの高崎さんと、家庭画報で非常に辣腕な編集者だった、今はフリーランサーでやっていますけども、私も一緒に仕事をして感心していましたが、女性の江本さんというエディターに編集を頼みまして、なかなかのものができたと思っております。東京の歴史や将来像を紹介するもの、観光都市・東京の魅力をPRするもの、この2種類で、それぞれ日本語のほかに英語、中国語など多言語で制作をしました。

 観光ガイドブックは、江戸に始まる東京の文化の真髄を、美しい写真によって紹介するもので、これも4言語で、英語、中国語、フランス語、スペイン語でつくりました。

 これらは、今後のオリンピックやパラリンピックの国際招致活動やその他の観光プロモーションに大いに活用していきたいと思っています。

 まず、北京オリンピックの開催期間中、現地に設置される「ジャパンハウス」でこれを上映し、配布して、オリンピック開催都市にふさわしい東京の魅力をアピールしていきたいと思っています。

 DVDの映像は、来週から東京都のホームページで外国語版も含めて配信を始めますので、ぜひ多くの皆さんに見てもらいたいと思っています。

 これも後にですね、ダイジェスト版を会見の後、ご覧いただきます。

5.三宅島バイクイベントの開催について

【知事】次いで、いろいろ賛否両論あったようですけれども、一応の成功をおさめた三宅島のバイクイベントの開催ですが、10月17日から3日間開催いたします三宅島モーターサイクルフェスティバルのツアーチケットが、いよいよ8月19日の「バイクの日」から発売を開始いたします。

 これに先立って、先月6日にお台場で開催されたプレイベントでは、バイクの持つ魅力を十分に発揮し、非常に盛り上がったパフォーマンスになりました。会場では、島民が食と観光のPRを大いに行うことができましたし、バイクを活用した復興イベントの意義も改めて確認をいたしました。ちなみに、お台場の来場者は1万7000人強でありました。

 三宅島のフェスティバルでは、キッズバイク親子体験教室やフリースタイル・モトクロスなどの新しい企画も加えまして、さらにパワーアップして、島民挙げて皆さんの来島をお待ちしておりますので、ぜひ都民の方々に多く三宅島に来島願いたいと思っております。

 私から申し上げることは以上です。質問があったら、どうぞ。

質疑応答

【記者】今日、中国の胡錦濤国家主席が、2016年の東京オリンピックの招致について、日本の人々の希望を理解している、私も東京の幸運を祈っているというような発言をされたそうなんですが、これについてのご感想をお願いします。

【知事】結構なことじゃない。まあ、外交辞令だろうけどね、それは。これからやっぱり日本が、中国も通じていろいろキャンペーンをすることで、中国を含めて、アジアの国の協力も得られると思いますけども。

【記者】知事も北京オリンピックの開会式に出られるということで、東京オリンピック招致を見据えて、どのあたりを見て来たいと思われていますか。

【知事】いや、これは私は1カ所しか行きません、開会式しか。それから、17、18日ですか、ジャパンデー(日本オリンピック委員会主催レセプション)にも行くつもりでおりますけどね。各施設を回ったってしようがないし、それは専門家の意見を聞いたほうが早いはずですし、それから、東京でテレビで見るほうが、いろんなこともよく見届けられるしということですよ。

【記者】場所以外に、どのあたりを参考にしたいとか考えられていることがあれば、教えてください。

【知事】行ってみなきゃわからんね、これは。

【記者】あとは、特に注目している競技というのはありますか。

【知事】全部。

【記者】今日、内閣改造が行われているんですが…。

【知事】知らないよ、そんなことは。関係ないよ。しゃんとした内閣をつくってもらいたい、しゃんとした内閣を。役人に引きずり回されて、政治家が役立たないみたいな、そんな構図をぶっ壊す、そういう内閣をつくってもらいたいね。

【記者】麻生(太郎)幹事長の誕生はいかがですか。

【知事】結構じゃないか。おもしろいじゃない、あの人。

【記者】それは選挙、次期衆院選に…。

【知事】知らない。それは君らの仕事だろう。そんなもの、おれに聞いたって、おれは解説者じゃないんだから、都庁の関係のある質問をしてくれ。はい、次。

【記者】じゃ、ちょっと都政に質問を戻します。

 首都高速道路の絡みなんですけれども、距離別料金制が、政府が先延ばしにする方針を示しましたが、首都高速、阪神高速、大いに関係のある事案で、東京都にも影響は大きい話だと思うんですが、これについて、知事、何かご見解等ありますか。

【知事】これは1都3県の知事の連名で、先般、とにかく料金の体系を合理的にしてくれと申し込みしました。最初の案は、400円から1200円か、ちょっと上限が高過ぎるんじゃないか、やっぱり1000円以下にしてもらいたいと僕は発言しましてね、大方それは国も、相手側ものんだようですけどね。こういう時期になって、やっぱりあれだけ燃料が高くなりますと、ロジスティック、運輸の問題にも影響が出てくるでしょうし、それがまた景気にマイナス影響を与えるおそれもあるだろうから、国が延ばしたいという意向もわからないでもないけど、しかし、日常のユーザーにとってみると、体系そのものが非常に不合理にできていますからね。

 しかし、運輸関係の専門の仕事の人たちってのは、かなり長距離乗る訳ですから、それが今の700円から仮に1000円以下、1000円なり900円になると、いろんな形で響くでしょうけども、これはまあ、ぱっと見、難しい問題だね。でも、今までのままに放置すると、どういうんですか、これはやっぱり大変なことになりますよ。物価上昇だけじゃなくて、インフレで済めばいいけども、世界的に経済恐慌になる恐れもある。

 だから、私は、今だから話しますけども、サミットの始まる前、オリンピックの問題にかまけて、森(喜朗)元総理と総理と3人で、昔の仲だから、割と長い間、いろんな話をしたんだ。そのときに、やっぱりアメリカの市場原理って間違っていますよ。君の所の新聞にも、いつも書いているコラムに、「アメリカは間違っている」とサブタイトルをつけたら、そこは削られちゃったんだ。何の気兼ねか何か知らねえけども。

 やっぱりそれをあなたはサミットで言うべきだと。ヨーロッパだって同じ意見を持っているだろうからね。世界全体のGDPの総量を上回る金がフロートして、それがやっぱり株主のための投機的な使われ方して、それは、どういうのかな、一部の人間は喜ぶかもしらんけども、そんなものは本当に世界全体に不安定なものをもたらしているんだから、あなた、やっぱり主催国で言いなさいよと言ったら、言いますって言ったんだけど、言わなかったな、これ。

 何ですか、あのサミットってのは。半歩前進だって、去年に比べて。これは日本の責任だけじゃないですよ、もちろん。そういうことで、大事なことがあまり討論されずに終わっちゃったけども、そういう状況の中だから、本当にこれからの見通しをどう見極めるか、非常に難しいんだけども。東京だって、国が動かない、ほとんど世界が動かない中で、ヨーロッパに準じて、アジアではアイキャップ(ICAP:国際炭素行動パートナーシップ)に入るべく条例も変えて頑張っていますけどね。やっぱりだれかが、たとえ孤独でも1人の試みってのを続けていかないと、物事は動いてこないと思うけども。

 特に経済問題は、これは国がしっかりしない限り、東京1人でじたばたしてもどうなるものじゃないし、同じような、何ていうのかな、不合理性をアメリカ的な資本主義に感じている国はほとんどだと思うけども、何で今度のサミットで、日本側でそういう案が出なかったのか、私は非常に不満ですな。

 その中でこの問題が出てきた訳でね、これはちょっとにわかにここで結論を出しにくいけども、両者の言い分、それぞれもっともだと思いますが、とにかく魚のたんぱく質を主な栄養源にしてきた日本の国で、漁民が漁に出れなくなる、ストライキをするというような事態ってのは、ものすごく深刻だと思うけども、あんまり国は痛痒(つうよう)を感じてないね。何とかなるだろうと思っているけど。まあ、これは答えになりませんが、その中で二者選択は非常に難しいんですけども、従来の主張を首都圏としては国に申し込んでいくつもりでおります。

【記者】知事が最初におっしゃられた築地の移転の話なんですけれども、公明党は、委員会でも白紙から考え直してほしいということを言っている中で、先ほどまた新しく専門家を集めて検証するということになると、もう豊洲を前提と決めたという判断でよろしいんでしょうか。

【知事】いや、豊洲を前提にもちろんしている話じゃないですか。それをもとに戻してパーにするか、しないかというのは大変な選択ですからね。公明党からだってね、いくつか試案が出てくる様子ですよ。候補も含めてね。

 公明党は、なかなかそういう技術的な新しいことに着目するんで、期待していますけどもね。今日の午後かな、新役員というか、あそこはかわらないんだけども、そのプロトコール(儀礼)があるから、そのときにもそんな話も持ち出して聞いてみようと思うけどね。

【記者】実は新宿に限らないんですけれども、いわゆる中心街におきましては、駅ビル商法、駅ナカ商法というものが今各地でどんどん行われていると思うんですが、その中で地元の商店会というものが、やはりお客さんが駅の中に囲い込まれてしまうということで、危機感を感じている訳なんですね。こういう問題に対して、知事はどういうふうに…。

【知事】ですから、課税の問題はほかの商店街並みにしましたよ。今まで優遇され過ぎてたからね。これはご存じでしょう。知らない?

【記者】えっ?

【知事】駅の構内の中の商店街は、ほかの商店街と同じに課税の対象になるんです。

【記者】ああ、はいはい。

【知事】しかし、これはあとはやっぱり地の利の問題でね、JRだって民営化されて商売しようと思ったら、それは自分のテリトリーの中の売り上げとか考えるでしょうからね。大型店舗法(大規模小売店舗法)が小沢(小沢一郎 民主党代表)、金丸(金丸信 元自由民主党副総裁)のてこ入れでアメリカの言いなりになっちゃって、日本で通った。その後、日本の商店街は潰れていった。それにやや似た事例だと思いますね。

 しかし、これはアメリカの言い分と違ってね、JRはJRでとにかく民営化されて頑張っている訳だから、その連脈の中で構内も拡大して、そこで利益を上げようってのは、これはだれも文句を言う筋はないし、あとは周りの商店街が工夫して頑張る以外にないわな。

【記者】築地市場のことなんですけれども、先日終わったこれまでの専門家会議ですと、会議の中に一般の人の参加も認められて、長い議論になった末に結論が出たと思うんですけれども、今度新しく立てられる…。

【知事】結論というかね、つまり何というか、汚染の状況はどうなっていますという報告があっただけでね。

【記者】あ、そうですね。今度新しくつくる会議でも、そういう一般の人の参加も認めて…。

【知事】これは違いますね。非常に専門的な、技術的なことですから。一般の人に、つまり汚染をどうして解消するか、一番合理的にあの土を取っ払うか、客土(良質の土を運び込むこと)をするか、どうこうするかってことは、あんなの一般の人間はわからない。出た結論について、それは一般の人の意見も聞きますけどね。

 はい、それじゃ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)

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