石原知事記者会見

平成20年6月5日更新

石原知事定例記者会見録

平成20(2008)年5月30日(金)
15:02〜15:40

知事冒頭発言

三宅島バイクイベントの開催について

【知事】最初1つ、私から申し上げることがあります。これは三宅島のバイクイベントですけども、三宅島の復興に向けた観光振興の起爆剤として昨年開催しました。大いに盛り上がったあの「モーターサイクルフェスティバル」が、今年もさらに内容を充実して開催することになりました。

 開催日は10月17日から19日の3日間で、三宅村と三宅島のNPO法人が主催することになります。フェスティバルでは、クラシックバイクやレーシングサイドカーなどが都道を走り、「ツーリスト・プロ」や全日本選手権最終戦として行われる「空港ドラッグレース」のほか、一般参加型の新しい企画やフリースタイルのモトクロスなど、見て楽しい、参加しても楽しい三宅島ならではの演出が計画されております。また、この中で、噴火で失われた緑を取り戻す緑化の取組みを行っていくつもりであります。

 さらに、今年は7月6日にですね、お台場でこのプレイベントとして行事を行いますが、このプレイベントでは、昨年三宅島で走ったドラッグマシンなど、エキシビションのほか、これは短距離でありますけどね、あれは1キロぐらい走るんですかな(※)、ものすごい勢いで走ってね、あとパラシュートですか、ブレーキかけてとまるんだけど、これ、あんまりね、私も初めて見ましたが、見たことない人が多いと思うので、これは認識してもらうとなかなか面白いんでね、迫力あって。よし、じゃ、三宅まで見に行こうかということになると思いますから、プレショーというんでしょうかね、そういうものが必要だと思います。

 お台場でそれをやりますが、そのドラッグマシンのエキシビションのほか、フリースタイルモトクロスなどの競技や新車試乗会などですね、魅力のあるメニューを揃える予定であります。もちろん入場料は無料でありまして、バイクファンを中心に多くの方々が集まることで、さらにその三宅島のフェスティバルと観光を大々的にPRできるものと期待しております。

 フェスティバルの詳細は後日、主催者から発表されますが、皆さんもまずはお台場のプレイベントに足を運んで、バイクの楽しさとその迫力を知っていただきたい。そして、10月には大勢の皆さんに、ライダーだけじゃなくてですね、観客としても三宅島に行っていただきたいと思っております。

 私から申し上げることは以上であります。

 質問があったらどうぞ。

※ドラッグレース公式戦での走行距離は4分の1マイル(約400メートル)。

質疑応答

【記者】昨日、アフリカ開発会議のレセプションで知事も出席されて、五輪招致のPRをされていましたけれども、あの挨拶の後に、各国首脳ともお話を懇談の中でされたと思いますが、終えての感想を教えてください。

【知事】それはやっぱりね、ああいう外交の席で、一国を代表してくる人たちがソシアブル(社交的)でない訳はないんでね。「わかりました、やりましょう」と言ってもらっているのを何から何まで信じたって、そう試合は甘いものじゃないと思いますから。しかし、みんなに好意を持ってもらっているし、それを踏まえてですね、あとはきめの細かい準備をしていく必要があるんじゃないかと思いますね。

【記者】やってみての満足感というものはあるんですか。

【知事】何の満足感?

【記者】首脳と会って話を交わしたということで…。

【知事】満足って、君、何なの? 会うことで満足したら安いもんだよ、そんなものは。「こんにちは」「さようなら」みたいなものだからさ。

【記者】すみません、関連なんですけれども、2016年のオリンピックがいよいよ来週、5都市程度に絞られますけれども、改めてそこに残る自信の程をお聞かせください。

【知事】いや、自信がなかったら、それはとっくにやめていますよ。まあ第1次予選は大丈夫だと思いますがね、いろいろ内情もサウンディングして。その後の詰めがですね、これはやっぱり非常に多角的な努力が要るでしょうし、うーん、これはまあ、なかなか目に見えない部分もありますから。

 ただ、フランスが取り残し、取り逃したフランス語圏のかつての植民地、そういった国々に対するアプローチはいろんな特異な人材を通じて、まあまあとにかく我々なりにやってきましたけども、それぞれの国が1票ずつ持っている。それぞれの国ったって、昔の植民地だった国が多い訳だけど、そこら辺がやっぱり宗主国の言葉とね、IOC(国際オリンピック委員会)の戦いで使われる言葉の、まあロンドンなんかはそれで勝った。フランスはちょっとそこら辺のところをあれしたみたいで、その反省というのを私聞かされて、非常になるほどなと思いますけどね。まあ、これはなかなか先の見えにくい戦いだね、複雑で。

【記者】何か秘策のようなものは?

【知事】そんなものないよ。あったら君に言う訳ないじゃないか、そんなもの。つまらねえ質問するな、本当に。

【記者】続けて、ちょっと北京五輪についてなんですが、実は今、水泳の問題で水着の問題というのがありまして、イギリス製の水着を着ると飛躍的にスピードが上がるということで、今、国内メーカーにも水連(日本水泳連盟)のほうが同じような水着をつくれないのかと。実は今日、そのプレゼンが行われるんですが、知事、この話はご存じでしたか。

【知事】いや、知ってますけどね、日本の水連が契約していない会社がエージェントを持っているんでしょう。

【記者】ええ。

【知事】それで、そこからは買うなと。その水着を着たら、要するに認めないぞ、オリンピックも行けないぞという拘束というのはよくわからんね、僕は。何かやっぱり、あっちゃいけないコマーシャリズムが出ててね。それはメーカーのいろんな形で、有形無形の協力は必要でしょうけども、やっぱり1つのツールとして画期的なものが出てきたときに、そこの企業と提携していなかったらその国の組織はそれを使えないというのも、選手にとったらむごい話じゃないですか。

 それは、僕はとっても面白かったのはね、その水着というのは浮力を増して、それで極端な話、人間が素っ裸で泳ぐよりもずっとそのほうが推進力になるんだってね。人間の体っていうのは、素っ裸で泳ぐと水を吸収してね、非常に滑りが悪くなって重くなるというのかな、そこら辺の兼ね合いというのは本当に、陸上で言っても0.0何秒差みたいなものでしょうからね。それはやっぱりトップアスリートたちはね、合法的にそれが許されるなら、よりよいツールを使いたいと思うでしょう。まあやっぱり水連はそこら辺のところを工夫したらいいんじゃないですか。

【記者】選手はかなり藁をも掴むような思いだと思うんですが。

【知事】それはそうだよ。僕もそう思いますよ、それは本当に。

【記者】2つ質問します。1点は、成人を18歳からにすべきということを検討している法制審議会が、今日高校3年生からヒアリングを行っているということなんですが、知事は以前、会見でも、18歳を成人にすることに関して反対ということをおっしゃっているんですが、改めて今どうお考えでしょうか。

【知事】いや、だから私自身前に申し上げたようにね、参議院に出るときは18歳から選挙権を与えようというキャンペーンをやったけども、その後の社会の推移とか実態を眺めますとね、他人の言葉を借りて逃げる訳じゃないけども、斎藤環さんという私の親友の優秀な精神病学者がね、「我々学者から見れば、日本の成年というのは31歳です」という話をしていました。現にね、成人式のある二十歳の誕生日に自治体がお祝いしようと思ったら騒ぎが起こるんでね、親がついていくって、こんなばかな話はないじゃないですか。親の付き添いがなかったら行事ができないような、そんなものは成人とは言えないんでね。

 私ね、そのことのキャンペーンで自民党のホールを使おうと思ったらね、当時の幹事長の田中角さん(田中角栄)に怒られた。あの人はだみ声で「何してんだ」と言ってね。「25歳、25歳でも成人が危ないんだ。つまらんこと言うな、君。後で君、後悔するぞ」と言ったけど、後悔したね、これ、私は。

【記者】もう1点聞かせていただきますが、中国の地震についてなんですが、今日のニュースになっている話なんですが、日本が中国に自衛隊機を派遣しようという話があったのが、一転して、今日見送りになったという話があります。背景には、中国の国民感情を考えてというようなことも言われていますが、これに関して、知事はどうご覧になっていらっしゃいますか。

【知事】仄聞(そくぶん)ですけどね、向こうの何らかの調査といいましょうかね、意識調査みたいなもので、やっぱり拒否反応が強くて、過半でね、だいたい、是とする者が45、否とする者が55というような、そういう心情というものがわかってきたので、政府もやめたということのようですよ。どこまで確かな情報か知りませんけど、私は外交筋からそういう話を聞かされましたけど。向こうから断ってきたんじゃないの。

 気持ちとしたら、僕はわかるね、やっぱり。あれだけ江沢民(中国前国家主席)がね、反日感情の教育をやってきてね、過去の体験というものがいろんな形で脚色されている部分もあるし、真実の部分もありますけどね。それが浸透している世代にとってみるとね、救急のためか何か知らんけども日本軍がまた来るのかってね、それはやっぱりある種の警戒心というか拒否反応があるのはしかるべきだと思うし。それも斟酌(しんしゃく)してですね、向こうの政府がノーサンキューと言ってきたんなら、まあそれはそれで受けたらいいじゃないですか。ほかに方法もあるでしょうから、援助する方法はね。

【記者】築地の関係なんですけれども、市場の関係者が知事に陳情したというような話を聞いているんですけれども、その内容と受け止め方について…。

【知事】いや、それは当局に聞いてください。何か陳情があったそうですけどね、あの5団体(水産仲卸を除く築地市場の主要団体)からは。

 ただね、私もこの間、担当の局長に言ったんですがね、それがどういうふうに伝わっているかですな。インターネットにね、日大の名誉教授をしていらっしゃる、これは海洋工学の専門家ですけどね。要するに、土壌の汚染をどうやってクリーンナップするかということじゃなくて、もっと違う発想でものを考えたらどうだと。それは、一回その土地をどこかに全部、土を持っていってね。それで、それを違う方法で焼くとか何かして汚染をとる。

 一方、あの跡地に、土を全部さらっちゃった後、地下2階ぐらいですかね、その構造を詳しくは、私、専門性はわかりませんけども、3メートル、2メートル、1メートルか、そういう段階の、要するに箱ですね、コンクリートの。どういう構造になっているか、私、わかりませんが、概略の図はありましたけど、それを埋め込むことで、その上に、市場としてのインフラを支える、そのほうがずっと安くて早く終わるんじゃないかということでしたね。

 土壌汚染をどうして回復するか、そういう発想だけじゃなくてね、思い切ってものを取り替えるみたいな、違うベクトルというものを考えたほうがいいと、私、かねがね言ったけど、それがどう伝わったのか、そういうサジェスチョン(示唆)、プロポーズ(提案)もありました。

 こういったものがいくつか出てくるでしょうからね、それを斟酌して、要するに、当局が説明しているような方法だけじゃなくてね、もっと画期的な方法があるんじゃないか。そうすると、みんなが安心して、納得するような手だてが発見されるかもしれない、そういう期待を持ってます。日本はいろんな技術を持ってますからね。

【記者】教育再生懇談会というのが福田総理に対して、ある種、教育の見直し的な方針をいくつか出したんですけれども、そのうちで2点ばかり知事のご所感をお聞かせいただければと思います。

 1つは、小中学生には携帯電話を持たせないほうがいいんじゃないかということ、もう1つは、小学校3年生から英語を必修化しようと。いろんな方針がほかにもあるんですけれども、その2点について、知事のご所見、何かご感想がありましたら、お願いしたいんですけれども。

【知事】私は、小学生に携帯は必要ないと思いますね。やっぱり余計な情報が入り過ぎるしね。それを制限した機材をつくれったって、なかなか業界はそんなものを好んでつくらんし、子どもだって、もっと便利な、万能性のある機械を買いたがるでしょう。だったらね、私はむしろ禁止したほうがいいと思うし。禁止と言うと大げさになるけど。

 親の言い分はね、この頃、誘拐とかいろんな事件がある、そのときに子どもと連絡取りにくいと言うけど、それはそれで別に特殊の機材をつくったらいいじゃないですか、簡単なものをね。どこにいるかというのは、ポッとボタンを押せばGPSで場所がわかったり、しかるべき人と緊急連絡がとれる、そういう機材というのは簡単にできるし、コストも安いと思いますよ。経費もかからないし。

 それから、英語は、私、必要ないと思うね、これは。こんなものは、やろうと思ったらいつでもできることでね、もっと日本語の勉強をしてもらいたいよ、子どもたちに。

【記者】バイクの関係なんですけれども、お台場のプレイベントなんですが、以前、お台場では場所が狭くてやりにくいという話もあったと思うんですけれども、実際どういった形でやることになった訳なんでしょうか。

【知事】それは、私、知りません。とにかくお台場でやろうということでね。ドラッグレースをどの距離でやれるのかな。それも、モトクロスというか、オートバイで宙返りしたりするとか、そういう曲芸的なドライビングもやりたいということですから。まあ、飛行場と同じ長さの道路があそこで設けられるかどうかはなかなか難しいと思うけども、たとえ部分的でも、主催者が知恵を凝らしてやるんでしょうが。

【記者】新銀行東京の再建について検証作業を進めて、番組をつくっている最中なんですけれども、その中で1点お伺いしたいんですが、新たに出資された400億円、この400億円が毀損された場合、つまり再建ができなかった場合、石原都知事としてどのように責任をとられる考えなのか。現時点でお答えできる範囲で結構なので。

【知事】それはお答えできないですね。つまり、できないかもしれないという想定をどこかに踏まえて物事はできませんよ。私の責任は、まずね、付帯決議というものを守るように、付帯決議に反しないように努めることがまず当面の責任だと思います。

 そのために、ここでちょっと申せませんけどね、議会の答弁の中で言ったセカンドステージが来ましたから、今までやらなかった営業というものをしないと。ただ、かつての銀行がやってるみたいに、小零細企業にお金を貸すだけでは、日本の金融事情からして、とてもじゃないけど銀行がもつ訳がない。やっぱり足腰つけるために何がやれるかということ。そういうもののノウハウというのは、1年間、私、随分勉強してきましたしね。

 むしろ、日本の当事者よりも、外国のファンドのほうが東京の実力や東京の可能性を知ってましたね。どうしてこういうものを優良な商品にしないのか、そんなことも言われましたが、そういったものを斟酌してね、今までやらなかったことをやっていこうと思ってます。

【記者】金融庁が検査に入ってもう2週間たっていると思うんですが、その作業を待ってということなのかもしれませんけれども…。

【知事】いえ、違います。金融庁の結果はもうわかっていると思いますしね。それから、これは定例の検査でありますからね。とにかく、発足して3年たって、金融庁が調査をするというのは当然のことですから。これまた良い分析をしてもらえば、我々の手の届かなかった、目の届かなかった事実が発見されれば、それがプラス要因であろうと、マイナス要因であろうと、それを踏まえて再建に努力しなくちゃいかんと思ってます。

【記者】1000億の出資責任という点ではいかがですか。

【知事】株主として責任はありますよ。しかし、それを預けた経営陣がどういう姿勢で経営したかというとね、これは何回も繰り返しになるけど、マスタープランに拘束されたと言うけど、経営者ですからね、ものを委託された。しかもですね、あの銀行が持ってるいろんなライセンスを全然使わずに、限られたことしかしなかった。しかもそれは、繰り返して申し訳ないけども、ちょっと非常識なことをやってああいう結果になったんでね。その監督責任というのはやっぱり取締役会にあるでしょう。それをさらに監督する責任は大株主たる都にありました。それは感じております。

 ただ、取締役会も、アメリカなんかにあるような形の、質の取締役会じゃなくて、寄せ集めで、役員としてのアイデンティティー(存在意義)を持たない。ですから、どういうんでしょうね、出された報告が実は粉飾が多かったんだけど、そういったものを本気になって精査する、そういう作業もあまり行われなかった。そういう結果、大事なお金が毀損された訳ですから、非常に反省の材料としては大きなものですけどね。それを踏まえてこれから再建に努めます。私の当面の責任はそれだけだと思います。

【記者】今日発足しました東京都テロ警戒推進本部についてお話を伺いたいんですが、もちろん、私たちが望むのは平和であります。ところが、平和ぼけのあまりに、危機がもしかしたら迫っているかもしれないということを知らないでいるのは一番不幸ですね。そうした意味では大変大きなスタートだと思うんですが、これは都民の皆さんにも協力をしていただきたいということなので、改めて今ここで、設置した理由、意味合いと目的、それから、どういうふうにしていきたいかということをお聞かせいただきたいんですが。

【知事】先ほどの大会というんでしょうか集会でも言ったんですがね、これは災害対策と同じなんですね。災害対策のために年に1回、9月1日にやってますけども、所詮、まず自助ですよと。それから、隣組、町内の協力の共助、そして公助、つまり、都なり国が乗り出してくる。

 それと同じでね、日本人と同じ顔をした異端者がですね、とにかくあれだね、オウムなんていうのは我々と同じ日本人がばかなことをやった訳だけど、いわゆる国際潜伏テロというのは、日本人がどういうふうに加担するかわかりませんけど、しかし、何らか不穏な動きがあるでしょう。それをやっぱり身近にいる人たちが感知して通報する、あるいは、疑義を持って監視するという以外ないんでね。そのことを先ほども強く申し上げた。

 あんまり戦々恐々とする必要もないけど、しかし、そう安閑(あんかん)ともしていられない。だって、現にオウムの事件が起こったり。私もたまたま9月11日にワシントンにいましてね、昨日行ったペンタゴンがカーテン引いたら目の前で燃えてる。片っ方では、ニューヨークでツインタワーが2つとも崩れた。ああいうものって想像の域を超えたものですから。かといって、ロンドンのときに、スコットランドでやってるサミットの隙をついてロンドンでテロが起こった。同じパターンをだれが繰り返すかわかりません。繰り返さないかもわからないが。

 日本でサミットが行われるときというのは、やっぱり日本がフォーカスされますからね。それはテロリストにとってみたら一種の晴れの舞台でしょうよ。ですから、私たちは普段以上に注意しなくちゃいけないと思いますけども、しかし、忘れた頃にまた災害が起こってくるかもしれませんからね。

 こういう世界情勢の中で、しかし、日本が他国のテロリストに民族問題をもとにして狙われる理由というのは、私は他の国に比べて少ないとは思うけども、これは用心するに越したことはないということですな。気持ちの域以上のことは…。

【記者】ということは、疑心暗鬼になるなど、いたずらに怖がるのではなくて、正しく恐れて備えておこうということでしょうか。

【知事】そうですね。まさにおっしゃるとおりですね。それからね、日本の既存の法律体系は全く役に立ちませんぞ、こういうものには。結局、その地域の責任者、東京全体では私、あるいは市長さん、区長さん、そうした人たちが自分の全責任で判断して事に臨まないと、お伺い立てるところなんか全然ないですよ。

【記者】リーダーシップの大切さですね。

【知事】そうですね。いくら法律を勉強しても、こんなもの、とても適用できないしね。だから、さっき申し上げたんだけど、天然痘のばい菌を、めったに持ってない、アメリカとロシアが持っているらしいけども、テロリストが地下鉄でばらまいたことを想定したシミュレーションで、危機管理の専門家を呼んで、僕は判断を迫られたけど、全部法律違反ですな。最後は憲法にひっかかってきますよね、個人の自由とかプライバシーとか表現の自由とか。しかし、これはね、やっぱり一旦緩急のときはだれかが責任を持って拘束しないと、もっと無制限に被害が広がっていく。シミュレーションですけれども、そういう経験をしました。

【記者】教訓を大切にしたいと思います。どうもありがとうございます。

【記者】築地の移転の関係なんですけれども、仲卸業者の方々の中には、豊洲のところ、汚染が出たところには移転はふさわしくない、中央卸売市場が行くのはふさわしくない、やっぱり地元での、築地での再整備が必要だという声が以前からあって、一方では、先ほどの質問にもありましたけれども、業者の団体で、ぜひとも豊洲への移転を推進してほしい、こういう地元の業者の方々の声を知事はどういうふうに受け止めていらっしゃいますか。

【知事】どういうふうにって、あなたと同じで困ってる訳だよ、こっちは。仲卸業者というのは800人ぐらいおられるそうですけども、築地の移転に反対しているのは200人ぐらいの方だそうですな。そういう意味では、反対の人の数というのはマイノリティーなんでしょうけど、しかし、やっぱりその人たちの懸念が全部間違っているとは言いませんよ。ただ、やっぱり、プラスアルファ、自分たちの経済状況みたいなものがあってですね、要らざる経済負担をしたくないという理由もあるらしいし。これはやっぱりいろんな憶測がありますけどね。

 じゃ、今の築地で、そこで働く者として、築地を代表して、都民に対する衛生管理、危機管理の面ですべての責任を果たせるんですか。あそこにはですね、塗り込められているけど、アスベスト、いっぱいありますよ。そういったものをみんな知っててですね、それが例えば大地震が来て崩壊したときに、恐らくその回収ってすごい手間取るでしょうよ。築地は閉鎖されざるを得ませんな。そういう震災がいつ来るかわかりませんがね、できるだけ早くどこかに移転しようということになったんだけど、今度、移転先にとんでもない汚染があってですね、それをどうするかということで。

 だから、できるだけ早くですな、安く回収できるための、何ていうんでしょうね、技術がないかと探してたら、さっき申し上げたみたいに、全然違うジャンルの方々からいろんな発想が届けられる。これからもあると思います。今の首都大学東京の学長の西澤(潤一)先生、これはもう科学技術の泰斗(権威)ですから、あの人を通じてですね、我々の考えられない方法がないか、いろんな領域の技術者に意見を聞いてます。

【記者】昨日の関東知事会の中での件で1つお尋ねします。知事が第2東京タワーの活用で、首都圏のローカル局のネットワーク化について提案されていますが、この提案の真意を教えていただければと思います。

【知事】私、大田区に住んでいるんでね、神奈川県に近いものですから、横浜と神奈川県がやっている2つチャンネルは、割とよく見えるんですよ。WOWOWというのは、ほかの、どういうんでしょうね、大手の、何ていうんでしょうね、テレビ局が放映しないみたいな、非常にきめの細かいね、例えば本場のジャズとか、横浜の、そういったものとか、いろんな放送があります。なるほどと思うもの。

 もう、見飽きてるからね、芸人が出てきて、何かやるクイズには、こっちは。だから、ああいうものを放映したらいいと思うんだけど、やっぱり力がないから届かない。隣の世田谷区に行ったら、もうそんな放送は届かない。だったらですね、今度、台東区ですか、江東区ですか、要するにものすごい大きなタワーが建つ訳だ(※)。あれだったら飛ばす力がある訳ですね。

 ところがね、今の法律ではね、ローカル局はその局が、例えば横浜の局は、川崎の局は、神奈川県のタワーしか飛ばせないんですって。ですからね、今度できるタワーというのは非常に大きいでしょう。それだったらやっぱり関東一円に飛ぶ訳だからね、ひとつそういう集合体をつくってね、要するにプログラムを共通のものにして、そこから飛ばしたらいいんじゃないかということを言ったの。

 あなた、昨日、いた?

※2011年、墨田区に建設予定。

【記者】すみません、ちょっといませんでした。

【知事】ああ、そうか。なんだ。もっと大事なことを言ったんだけどな。だれも質問してくれねえやな。まあ、いいや。

【記者】オリンピックのところでちょっと聞き忘れてたんで、すみません、ちょっとお伺いします。

 2016年の、来週、候補都市が絞られるということで、先ほど知事の認識の中では、まあ、なかなか最終までの厳しい戦いになるだろうという所見をいただきました。まあ、それまでの戦いの中で、今回、東京都が、小中高生向きの五輪の副読本を作成して、強制ではないんですが配布をして、五輪というものを勉強してもらおうというような案を検討してるんですけれども、この点について、知事、いかがでしょう。

【知事】どこがやっているんですか。

【記者】招致委員会。東京都の招致委員会がそういうふうな案を構想で今、作成中だということなんですけど。

【知事】テキストを?

【記者】はい。

【知事】結構なことじゃないですかね。

【記者】50ページくらいで、非常にドーピングの問題からオリンピックの歴史から、小学生、中学生、高校生に分けて内容を詳しく記載されているらしいんですけど。

【知事】ああ、そうですか。それは歓迎ですね。私もその委員会で会長しているんだけど、知らなかったな、それは。結構なことでしょう。

【記者】それに関連してもう1つなんですけど、その16年の五輪招致の起爆剤の1つと知事もおっしゃっています東京マラソン、来年3月開かれます。これ、来年から賞金化レースになるということなんですけれども、これによって、これまで以上に世界のトップランナー、非常に名前のある有名ランナーも集まる可能性があるんですけれども、それについての所見をちょっといただきたいんですけど。

【知事】私ね、その賞金の問題というのは知らなかった。出しちゃいけないのかと思ったら、ほかのマラソンは出しているそうですからね。去年だって今年だって、使ったお金の割に非常に経済効果もありましたから、そういったものを乗せて賞金を出して、すごいランナーが来て、すごい記録を出してもらったら、ますます東京マラソンのプレステージが上がる訳だからね、それは私は許されるなら大いにやろうじゃないかと言いました。

【記者】いきなりニューヨークとかロンドンのような賞金はなかなか出すことはできないということらしいんですけども。

【知事】ニューヨークやロンドン、どれくらい出してるの?

【記者】1,300万円くらいらしいんですけれども、それに準ずるような形で勝負をかけるとか。

【知事】それは産経、出してくれよ。

【記者】いえ、とんでもございません。(笑)まあ、会社の上司に相談してみます。

【知事】それよりさ、ちょっとこれ、聞いてもらいたいんだな。むしろ要するにカメラを通じて皆さんに聞いてもらいたい。

 これ、鳥インフルエンザというのは、皆さん、どういうふうに感じられています? 僕ね、この間ね、国立感染症研究所の所長さんじゃない、第3部門の部長さんかな。これ、日本のWHO(世界保健機関)の代表で行っているんですけどね、この人から話を聞いたんだけど、同じ研究員の中にも随分異論があるみたいなんだ。

 それで、これ、皆さん、ジャーナリズムだから知ってらっしゃるでしょう。アメリカ大統領の命令でこの3月にね、全国民に行き渡るようなワクチンつくりましたね。スイスはですね、とっくに、全国民たって人口は知れているんだろうけど、しかしやって来ている観光客に渡るようなワクチンの備蓄を完成した。そのゆえんはですね、これは非常に恐ろしい病気だろうと。やっぱり死亡率が非常に高いと。どういう根拠か知りませんがね、科学者の推定では、それぞれの国では20%以上だ(※)。

※2007年に米国保健省が行ったパンデミック(汎流行)机上訓練では、「国民の30%が感染し、その20%が死亡する」とされた。

 日本はね、今、2,000(万)人分、それからもうじき(臨床試験を)6,000人分に増やして、来年は警察官のために1,000(万)人分つくるそうなんですよね(※)。何でそれで済んでいるのかといったら、日本の死亡率の推定というのは2%弱なんだ。これはね、論拠がよくわからない。アメリカなりスイスはかなり進んだ国でしょう。日本はですね、アメリカなんかと違ってワクチンの製造のインフラがきちっとしていましてね、つくろうと思うと非常に早くたくさんできるんですよ。ところが、その必要がないということらしい。

※今年度6000人に対して臨床試験を行い、次年度、医療従事者や社会機能維持者1000万人への事前接種を検討する予定。(厚生労働省:第7回新型インフルエンザ専門家会議)

 これは僕、ちょっと怖い話でね。地球の温暖化にも関係があるんだけども、昔のスペイン風邪ね、たくさん人が死んだ。地球の人口も知れてたんですけども。それで死体の処理ができずに、ある国では氷河があるところ、その氷河の中に捨てたんだ。そのまま凍結されてずっと来たけど、この頃温暖化で溶けてきてね、スペイン風邪で放り込んだ死体が露呈してきた。それを取り出してとにかく調べたんだ。スペイン風邪というのはあくまでも紛れもなく水鳥の運んだウイルスだった。それがわかった。

 しかし、今、同じ水鳥が運んでいる鳥インフルエンザのウイルスというのはもっと進歩してね、低病原性弱毒型から高病原性強毒型になって。そのスペイン風邪なんかですね、肺と腸だけが汚染されて発熱するんだけど、新しい強毒型のウイルスというのは、腎臓から何から、内臓全部とにかく汚染して高熱を出す。そうすると、皆さん、お聞きでしょうけどね、若い人ほど死ぬというんだ。何で若い人がそんなに死ぬかといったら、若い人のほうが発熱しやすい、体が柔軟だから。そうすると、全部体じゅうが燃えてですね、四十数度の熱が出たら、それは人間、もちませんよ。年寄り、何で助かるかったら、あまり熱が出ない。しかし、それで全部生き残るのかといったら、そうじゃないんだね。やっぱり四十何度の熱が進むと、年寄りは生き残るけど頭が馬鹿になっちゃう。

 そんなことでね、どうもそれが通説らしいんだけども、まあ日本は楽観というかね、何でその楽観の根拠というのは、死亡率の推定というのは非常に低いんですよね。これはね、もうちょっと確かめてね、国が動かないんならね。まあ、銀行では大損したしね。しかしまあね、私が言い出して舎人線(日暮里・舎人ライナー)は工法を変えさせたんで、同じ400億浮いた。まあ、東京はそれなりに財政の能力がまだありますからね。これはね、やっぱり東京だけでお金出しても、都民のためにワクチンつくんなきゃいかんかなと思っているんですけども、皆さんからいろんな情報、欲しいんだな、これ、メディアから。そうでもしないとですね、東京みたいにこんな狭小な地域に昼間人口400万増える。埼玉、神奈川、千葉からやってきて。それがこんな限られたところで仕事しててね、一番閉鎖空間ですから、感染がもう早く進みますよ。東京はやっぱり日本の心臓部、頭脳部ですからね、これが麻痺してしまったら、この国は滅びますよ。

 だからね、経団連(社団法人 日本経済団体連合会)もね、気がついて言い出したね。経団連は温暖化に関しては非常にリラクタント(前向きでない)でね。この頃、世界の趨勢(すうせい)ならということで動き出したけども。経団連は今度何か政府に申し込むんでしょう。それで、もっとワクチン増やせ。そのためにはとにかく経団連、金出すぞと言う。東京も金出していい、3,000億ふんだくられたけども、何に使うかわからないがね、国が出さないというなら、東京、出してでもですね。

 ただ、多分厚生労働省はこれ、嫌がって反対するだろうな。しかし、そのとき、大いに議論しようと思うんだ、僕、本当に。どうしてこんなに楽観が続いているのかわからない。その論拠をはっきりしてもらいたいのに、なかなか発表しない。これはまたなんかね、要するに厚生労働省というかその研究所の中、いろいろ人脈の問題がありましてね。それで、どういうんでしょうね、正確な討論が行われているのか、ある情報があるのかないのか、よくわからない。ただ、やっぱり確かなことは、それだけ万全の準備を終えたアメリカとスイスに比べると、日本の当事者、つまり厚生労働省の死亡推定率は非常に低いと。その論拠はよくわからない。これはね、皆さん、特に都民の皆さんね、ご自分のことになるかも知らん。考えたほうがいい。

 はい、終わります。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)