石原知事記者会見

平成20年5月29日更新

石原知事定例記者会見録

平成20(2008)年5月23日(金)
15:33〜15:54

知事冒頭発言

「海の森」植樹イベントについて

【知事】冒頭1つだけ申し上げます。

  「海の森」の植樹イベントでありますが、東京都は「緑の東京10年プロジェクト」における施策の1つとして「海の森」の整備を行っています。今月27日には、安藤忠雄さん(建築家)の友人で、安藤さんからの紹介ですけど、国際的なミュージシャンであります「U2」のボノさんをお招きして植樹イベントを開催します。ボノさんには、ごみと残土の島を緑あふれる島に生まれ変わらせるという「海の森」の趣旨に非常に喜んで賛成していただきました。環境に関心が高く、国際的発言力のあるボノさんに今回の植樹イベントに参加していただきまして、国内外に「海の森」を強くアピールしていきたいと思っています。

 また、世代を超えて、国境を越えて、多くの人々が手を携えて、かけがえのない緑を育てていくという理念のもとに、東京の小学生や都内のインターナショナルスクールの小学生にも多数参加してもらいまして、当日は私も、ボノさんや子どもたちと一緒に苗木を植えるつもりであります。

  このイベントを皮切りに、「海の森」において、31日には植林活動に取り組む環境問題の専門家であり、2004年のノーベル平和賞受賞者でありますワンガリ・マータイさんもお招きしまして、植樹イベントを行います。

 また、秋には2,000人規模の都民による大規模な植樹イベントを開催して、緑のムーブメントを盛り上げて、環境都市東京を国内外にアピールしていきたいと思っております。

 私から申し上げることは以上です。質問があったらどうぞ。

質疑応答

【記者】新銀行の件なんですけれども、昨日、関西のほうの信用組合が新銀行の支援を名乗り出ましたけれども、これをどのように受け止めていらっしゃいますか。

【知事】まだ詳細は聞いていないんですけどね。まあ、いろんな知恵やいろんな力を借りるのは結構だと思うけども、何か抽象的なことしか聞かされていないようですな。

【記者】提案の中身は別にしまして、支援を表明する金融機関が現れたということについては。

【知事】支援、支援といったって、メンタルなものじゃしようがないんでね。具体的にどういう施策を講じて、どういう力になってくれるかということを検討しないとですね。まあ協賛してくれるのは結構ですけど、それで事足りる訳じゃありませんから。

【記者】都の担当者は、突然のことで戸惑っているというような話をされていますけども、この信用組合に支援を求めるということも考えられるんでしょうか。

【知事】さあ、わかりませんね。具体的に相手が何を、要するにプロポーズしてきているか聞かない限り、私たちは私たちのセカンドステージの考えを持っていますから、それに支障を来たさない形での協力なら歓迎しますけども。これはやっぱりもうちょっと話のすり合わせが必要じゃないですか。

【記者】確認ですが、事前に水面下で話をされていたということは一切ない。

【知事】全くありませんな。

【記者】青木会長との面識というのはあるんでしょうか。

【知事】ありません。

【記者】わかりました。

【記者】続けて同じ質問なんですが、向こうの信用組合側は、都からの反応を待ちたいということを言っていたんですけれども、今後は都側から、今、知事がおっしゃられた話のすり合わせなどをやる予定はあるんでしょうか。

【知事】だから、その提案そのものが具体性がなかったらですね、教育、マナーを教えるとか、そんなことは別に他人様の知恵借りなくても、こちらはわかり切ったことだしね。そんなもので事が足りるものじゃありませんよ。

【記者】つまり、再度向こう側が、より具体的な案を持ってくれば、すり合わせをしたいとか検討したいということになる訳ですか。

【知事】いや、私、その相手方、当事者からも詳しい報告は聞いていませんけども、かなり漠然とした話でしかなかったんじゃないですか。それなら検討するもしないも、それをどうとらえるかということ。こういうものはやっぱり具体案がなかったら、どうにもならないからね。抽象論、精神論で話してもしようがないことですから。

【記者】中国の地震についてお伺いしたいんですが、先日、知事、台北でも四川の核施設の話をされておりましたが、その後、核物質が32個行方不明になって、30個は回収したけど2個は行方不明だというような話も出たり、結構中国の管理のずさんさというものも浮き彫りになっているんですが、そうした中国側の地震に対しての備えの状況について、改めて知事のお感じになられることというのを、ちょっとお聞かせ願いたいんですけども。

【知事】他人様のことだからね。私は別にあそこに住んでいる者でもないしね、直接東京とかかわりがあるものじゃないけど、日本人は、核の問題に関しては、発電所も含めて、例えば放射線と放射能の違いがわからなかったりね。それから、IAEA(国際原子力機関)なんかもね、日本の核物質の管理というのは世界最高だと言ってくれている訳ですよ。そういう状況からすると、紛失した3つのものがどの程度の、どんなものかわかりませんけど、それがにわかに日本にまで環境の上で影響を与えるものでもないだろうけども。やっぱりああいう軍事政権というのは、腐敗しているし、先に行けば、ああいう形で官僚の汚職が絶えない訳だからね。そういう点では、中国の人は気の毒ですな。それ以上言いようがないね、本当に。

【記者】すみません、もう1点お伺いしたいんですが、この地震を受けて、文科省は、小学校の校舎の耐震対策を前倒しするとか、ちょっといろいろ国内でも動きが出ているんですが、都の耐震対策で、今回の地震を受けて、何か改めて計画の見直しであるとかいう可能性はあるんでしょうか。

【知事】学校の耐震性というのはとっても大事だと思いますね。私、台中の地震が起こったときに、あのときの李(登輝)総統から頼まれて行って、郭茂林さん(建築家、元新宿・新都心開発協議会主査)という、都庁の前の京王プラザを設計した台湾出身の有名な建築家です、その人が私と一緒に行かれた。それで、台中の非常に被害の多い街路を歩いていて、同じようなつくりの建物で、倒れているのがあったり、なかったりするんですよ。

 そのときに、あそこは暑いもんですからね、2階が張り出して、1階がそこのところだけ削られて通路になっている。まあ何というのかな、アーケードみたいになっているんですけど、その柱が折れたもの、折れなかったものがあると。折れたものを見て郭先生が「石原さん、これを見なさい。これは規格だと10本なきゃいけないのに、鉄芯が6本しか入っていない。これは手抜きだ」と言っていました。

 やっぱり手抜きっていうのは怖いなあと。だから、姉歯の(耐震偽装)問題なんかもああいうふうにクローズアップされたんでしょうけど。そのときにやっぱり学校が倒れていましたね。ただ、あれはデイタイムじゃなくて夜中でしたから、起こった地震がね。これは時間帯がそれでよかったけども、生徒を詰め込んで授業を受けている時間だとえらいことになったと言っていましたけども、往々、学校というものにそれほどの注意が払われているかどうか、建築の上でね。

 これはやっぱり日本の場合もちゃんとした基準に沿ってつくっているはずだけども、もう一回測定し直して、少なくとも、今、耐震性の測定というのは有料でやっていますけど、学校は無料でどんどん進めて、足りないものはやっぱりやっていかないと。ああいう事故っていうのを「他山の石」としませんと、ただ同情して大変だったなあということじゃ済まないと思います。

 そういう点では、痛ましいことだけども、中国の事例というのは、非常に東京にとって参考になったと思いますし、早速、校舎の耐震性っていうのは本気で取り組まなくちゃいけない問題だと思っています。

【記者】校舎以外というのも何か今後、都としては…。

【知事】それはやっぱり企業は企業で自分の建物に十分責任を持ったらいいしね。特に学校というのは、高校は違うんでしょうけど、ほとんど義務教育で行っていて、あのいたいけな子どもたちが、とにかく非常にコンパクトな形で限られた建物の中に詰め込まれている訳だから、これはもうやっぱり社会の将来のことを思ったって、とても大事な問題だと思いますね。

【記者】台湾に訪問されたことについてお伺いしたいと思います。馬総統の就任式に出席されて、総統としての馬英九さんの印象についてお伺いしたいと思います。

【知事】まあ私は昔から彼を知っていますからね。彼はなかなかデリケートな立場にいると思いますよ。

 しかし、長いスピーチの中で「日本」の「に」の字も言わなかったね。私はそのことを、帰ってくる途中、日華懇(日華議員懇談会)の今代表をしている平沼君(平沼赳夫 衆議院議員)、私のまあ弟分だ、彼に「『日本』の『に』の字も出なかったな」と言ったら、「ああ、確かにそうでしたな」と。彼、早速、馬総統との昼食会で、「あなたは『日本』の『に』の字も言わなかった。この次のスピーチでは必ず日本のことにもっと言及してくれ」と言ったんですよ。ところが、その次の日に、私ね、現地の大使、日本では今代表かな、と話しましたら、彼は中国語が堪能だから、聞いていて、平沼さんの肝心の質問は、通訳が通訳しなかったって。

 まあしかし、大陸とのかかわりというのは、やっぱり大陸の動向、それから主に経済ということで、ウィン・ウィン、相互に利益のある形で進めたいと繰り返し言っていたけども、中国の経済ってのは果たしてこれからどうなるんですかね。そこがとっても大事な問題だと思いますな。

【記者】すみません、続けてもう1点なんですが、先ほど日本の名前がなかったという話もありましたが、これまで…。

【知事】その後、記者会見で日本の記者が「何で『日本』の『に』の字も言わなかったんだ」と言ったら、「いや、関係している国がたくさんあるから言い切れなかったけども、実質的に日本とこれからも大事な関係は維持していきたい」と言ったそうだけどね。私はそれはその場にいませんでしたが。

【記者】東京は、アジア大都市ネットワークなどでも台北とかかわりがあったり、いろいろあると思うんですが、今後の協力体制について、どういうふうに知事は考えていらっしゃるか、お聞かせください。

【知事】今後の協力体制って何ですか。

【記者】例えばこれまでと変わらずに…。

【知事】変わらない。変わらないよ。向こうが変わらない限り、こっちは変わる必要はないんだから。あくまでもやっぱり開かれた市民社会ってのを維持してもらいたいですね。第2の香港になってもらいたくないね。

 あれだけ小さな国であっても、どこに行ってもインフラが整備されていて、市民の意識も非常に高くて、教養の水準も高くて、ああいう国家としての体をなしている国って、日本のほかにいくつありますか。やっぱり韓国、台湾ぐらいでしょう、アジアでは。それはとっても貴重な存在だと思いますよ。それは台湾のためだけじゃなくて、アジアにとっても、世界全体にとっても、台湾は市民社会というものを維持していくことは絶対に必要だと思います。

【記者】羽田空港についてお尋ねします。羽田の再拡張後に国際定期便の発着枠が大幅に増えるような提案が政府からなされましたが、これについての受け止めをお願いします。

【知事】あれは、私もいろいろ今まで画策してね、根回しもしてですね、内々打ち合わせしてきたことで、それが一応、まあ八分どおりぐらいのところで表現されたけど、もっと先のことも考えてますよ。都としても、国としても。

【記者】市場の豊洲移転の件でお伺いします。この間、19日、専門家会議もあって、対策では、これまで都が考えていたよりもかなり大幅な基本方針が決まりました。先日知事も、これまでよりもかなり膨大な対策費がかかるんじゃないかとおっしゃっていましたけれども、この対策費用に関しては、汚染源者である東京ガスにも協力を求めていく方針があるんでしょうか。

【知事】うーん。これはまあ、あそこの汚染の質がはっきりした段階でね、これから先、東京都と東京ガスの話し合いの問題だと思いますね。向こうにしてみてもね、とにかくびっくりしたような数値が出てきた訳だし、それは彼らの責任だと思うけども、それはこれからの問題でしょう。

【記者】かなりの費用がかかるということで、費用対効果なんかとの見合いもいろいろあると思うんですけれども、現在地での再整備という選択肢というのはあるんでしょうか。

【知事】それはさんざん論じられてきたことなんですよ。もう目一杯の仕事をしてる訳ですからね。一部どこへ移して、その間どういうふうに直していくかということは、専門家で検討してもとても無理だということで、豊洲への移転が決まったことだけれども。まあ、あるいはね、予算のことも含めて、これからそれが1つの検討の主題になるかもしれない。ならないかもしらない。これは、今ここでにわかに申せません。

 それから、やっぱりその汚染除去の工法にしてもね、今までの既存のものだけじゃなし、新しい、つまり技術があるのかもしらないから、そういうものもひとつリサーチしろということで言ってありますしね。それはやっぱりその関係者だけではなくてね、もっと技術界というんでしょうか、工業界というんですかね、そういうところに思い切って相談することで案外の活路があるかもしれない。日本の技術って大変なものですから。これからもまた新しい課題がいくつか出てくるでしょう。

【記者】先週も質問させていただいたんですが、東京都と多摩28市町が共同で計画した調布市の都市道路計画について質問です。この道路計画の見直しを訴える住民の会が署名運動をして、約8,000名の署名を集め、先日、21日、調布市長へ手渡されました。その署名のあて名は調布市の長友市長と石原都知事あてとなっております。この件について、都知事は何かご存じでしょうか。

【知事】あまり知りません。ですけどですね、この間の質問からちょっと調べましたらね、都がですね、東京都における自然の保護と回復に関する条例で、緑の保全地域に指定した土地にはかかりません、計画は。それからですね、これ、事業主は調布市ですからね。やっぱりね、市が適切に対処していくものだと思います。

【記者】かからないというの、ちょっと僕、調べている中で、調布市のほうから、その辺のかかる、かからないという線引きはあいまいな返事のままだったんですが、それは…。

【知事】都は東京都で調べたら、かからないようです。私に言ってもわからんから、担当の都市整備局に聞いてください、それ。要するにその是非はね。是非というか、黒白は。私の受けている報告ではかからないそうです。

【記者】わかりました。

【記者】豊洲の質問なんですけれども、先日の専門家会議の中で、平田(健正)座長、専門家会議の座長の方が、今の土地に対して新しい技術、知事は先日の会見の中でも新しい技術、今のお話でも新しい発想とかいうことをすべきだ、そういう可能性もあるかもしれないとおっしゃったんですけれども、専門家会議のほうとしては、そういう新しい方法論をそこで試すにはあまりにもリスクが高いというのを、先日、私どもの会見の中で出てきているんですね。

【知事】だれが?

【記者】専門家会議の平田座長です。

【知事】ああ。

【記者】そういう発想については?

【知事】その専門家会議の座長ったって、その人の専門性というのは相対的にどんなものかわかりませんからね。もっとほかの、つまり可能性もですね、技術的なことをリサーチするのは私たちの責任だと思いますよ。いたずらに金かけることで済むものじゃないからね。

【記者】羽田の国際化の話に戻りたいんですけれども。

【知事】戻らなくていいじゃない。さっき言っただろう、もう。本当に。

【記者】計6万回の話なんですが、知事としては、将来的にはさらに…。

【知事】もちろんもっと飛ばす。

【記者】例えば、日中の3万回は、今後5万回とか6万回とか、知事の頭の中にある数字は何回ぐらいなんでしょうか。

【知事】そんなこと言ったらね、要するに反対出たり非常にごたごたするから、言わないよ、そんなこと。当事者とも話している節があるしね。だんだんわかってくることだ、そんなこと。

【記者】築地の件なんですけれども、新しい技術を取り込んでということをおっしゃっているのは、ある意味、今後当初の予定計画よりも遅れるということを見越してだと思うんですけれども、知事の中で、例えば何年までという、何か具体的な締め切りの時期とかというのはあるんでしょうか。

【知事】いやそれはね、そう簡単に言い切れるものじゃないじゃないでしょう、あなた、物事考えたって。物事は複合的、重層的にできているんだからね。思いがけない突破口が、新しいベンチャーテクノロジー技術で保証されるかもしれない、されないかもしれない。あなただって、私だって知っていることに限りがある訳だから。だから、そういう状況の中で、こういう技術がありますよというある啓示があれば、私たちその可否について検討しますよ。お金できるだけ少なくするため。

 今から年限仕切ってどうこうなるものじゃないよ、それは。何もオリンピックだけタイムリミットじゃない。

【記者】すみません、築地の関連で、仮にの話になってしまうんですが。

【知事】仮にの話だめ。仮にの議論は全く意味ない。

【記者】すみません、聞いていただければと思うんです。2016年までに、築地市場の移転と、築地でのプレスセンターの完成が間に合わなかった場合は、ほかに、豊洲のスペースにつくるとか、そういった案もあるそうなんですが、そういった案も含めて、オリンピックへの影響は、今の状況でどうお考えでしょうか。

【知事】これがもしオリンピックに間に合わないようだったらね、再工事が必要であったら、かなり厄介な問題ですからね、予定してたのに、プレスクラブの、何というんですかな、施設はほかへつくらざるを得ないでしょう、そりゃ。

 選手が一番近いところにいなくちゃいけないけども、かなり離れたところでプレスセンターを設けてもね、それは選手の問題じゃないんだから、報道陣の問題だから。何も報道陣のためにオリンピックやってる訳じゃないんだからね。それは仕方がないかもしらない。しかし、まあ当初の計画どおり進行させたいと思いますけども。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)