石原知事記者会見

平成20年5月2日更新

石原知事定例記者会見録

平成20(2008)年4月25日(金)
15:01〜15:19

知事冒頭発言

【知事】今日は私から申し上げることは何もございません。質問があったらどうぞ。

質疑応答

【記者】先日の8都県市サミットで、7月7日の一斉消灯の話が出ました。知事は「あんなものはナンセンスだ」というふうにおっしゃったと聞いていますが。

【知事】ナンセンス、センチメントでね、とにかく1回やってそれっきりの。ああいう運動ってのは継続性がなかったらしようがないんですからね。やってしまってそれで終わりというもんじゃないしね。

  戦争中は、自分の身を守るために、みんな真っ暗にして灯火管制をやったんだから、これはやっぱり自分の存在にかかわってくることだからね。そういう、何ていうのかな、例えばいろいろありますな、みどりの日とか海の日とか何とか。そんなもんで海が象徴されきるものでもないし、私はだから非常にちゃちな発想で、本質的なものにつながらないと思います。

【記者】それじゃ、都としては、7月7日はとりあえず中田市長(中田宏 横浜市長、第53回八都県市首脳会議座長)の顔を立ててかどうか知りませんけど、やるんでしょうか、消灯は。

【知事】さあ、それはこれから合議しましょう。それを条例で、例えば都はどこよりも先んじて11時以後ネオンサインを消すとか、デパートも実はそれを喜ぶようだから、今のように8時、9時まで就業するようなことをしないとかね、そういったものをやっぱり規制しようと思っていますから。やることが大事なんじゃないですか。7月7日に全部電気を消せばいいってもんじゃないからね。

【記者】7月7日は、やるかどうかはまだ決めていないと。

【知事】決めていません。

【記者】昨今、硫化水素による自殺で騒動になることが多くありますが、今日も有楽町のペニンシュラ東京で硫化水素による自殺騒動がありまして、宿泊客が避難するという騒ぎがあったんですが、ゴールデンウィークを前に、東京の観光にも影響を及ぼしかねないと思うのですが、知事のご意見をいただければ。

【知事】ご意見といったってねえ。その硫化水素って死にやすいんですか。

【記者】高濃度になれば。

【知事】だけど、臭うんでしょう。非常に臭うんでしょう。腐乱性の臭いで、卵が腐ったみたいな。私はよくわかりませんな、何でそういうものを選ぶかね。この間もNHKで言っていたけどね、とにかく自殺をさせないようなことを対処しなくちゃいけないって、そんなもの行政でできるの。ああいう空々しいことを言わないほうがいいよ、メディアはね。

【記者】先週もちょっとお話が出ておりましたが、今日、例の北京オリンピックの聖火が東京に到着しまして、明日から長野でリレーがあるんですけれども、早くもチベット擁護派であるとか、あるいは中国の留学生が大挙して長野に向かうなど、ちょっと混乱も予想されるんですが、この騒動をご覧になっていて、知事はどのように感じられているか、お聞かせいただきたいんですが。

【知事】こういうオリンピックに限らず、国際的な大きなイベント、行事ってのは必ず政治性を持つんですよ。聖火リレーをやり出したのはヒトラーだそうだけどね。こういったイベントをきっかけに、チベットというもの、非常に不遇な、残酷な、非人間的な存在ってものがクローズアップされたのはいいことじゃないですか。それをみんな知らん顔をしていたんだから。あまりにも遠すぎる国でね。

 これがこの機会にクローズアップされたということは、私は、市民社会というものを求める人たち、それがやっぱり人間的な希求だと思いますから。リレーにとっては、混乱が起こって好ましくないかもしらんけども、人間のこれからの世界の展開のためにはいいことじゃないかと私は思いますね。だれも今までチベットのことを知って知らぬふりをしてきた訳でしょう。

【記者】同じく聖火リレーについてなんですが、長野で出発式に一般のお客さんが入れなかったり、あとは警備の伴走者が多くて聖火リレーが見られないということで、市民にとっては距離感のある聖火リレーになりそうだということなんですが、その点についてはどうお考えですか。

【知事】何か滑稽な話だよね。何のためにやるのか。ただの形式でしかないんじゃないですか。こういったものは本当は和気あいあいとやるべきものがだね、ガードされてだね、市民も立ち会えずに、何か遠く火が走っていくのを見たって何の感興も起こらないでしょう。

【記者】知事が3期目に就任しまして、今週で1年ということなんですけれども、新銀行問題などありましたけれども、この1年間振り返ってどのようにお感じになるのか。

【知事】まあ、それは人間の世の中というのはね、毀誉褒貶(きよほうへん)あるでしょうし、起伏もありますしね。まさかということも、坂もあるしさ、上り坂も下り坂もありますわな。まあ、それなりに私は、正面からそれをとらえて、自分のすべき責任をこれからも果たしていきたいと思っております。まさに、東京から日本を変えるという最初の意思は変わっておりません。

【記者】世間の逆風にさらされるということも、これまであまりなかったかと思うんですが。

【知事】いや、そんなことないよ、年中あったよ。ただ、やっぱりさ、公平な、何というのか、報道してもらいたいね。どこの雑誌と言わないけどね、一方的に訳のわからん、例えば1兆3,000億のばらまきだってね。都市工学もわからないでね。じゃ、反論させる機会があるかといったら、「AERA」の編集長に聞きたいけどね、私、あなたのところが書いた、あのでたらめな記事に反論したいんだけども、私の記事載せてくれますかね。そういうね、やっぱり開かれたメディアじゃなかったらだめだと思いますよ。

 それから、やっぱりこの間のNHKの何だっけ、「クローズアップ現代」だってね、つまりマイナスの要因ばっかり眺めれば、あれ一種のモンタージュだからね。そうすると、やっぱり心情的な印象というのはかなり強くなっちゃうでしょう。そういう形でものを編集したってね、私は決して公正な報道にはならないと思う。

 それから、まあね、何もやってきたことの功を誇る訳じゃないけど、非常に皮肉な話だが、この間舎人線(日暮里・舎人ライナー)開通しましたね。非常にみんな喜んでた。とっても乗客も増えて。あのとき、あの最高責任者がね、「いや、石原さん覚えてますか。あなたが、『工法がおかしい。変えたらいいんじゃないか。地下鉄にしたら金かかり過ぎるぞ。高架にしたら、むしろいいんじゃないか、ゆりかもめみたいに』って言った。あれから検討して、高架にしました。おかげで工費が非常に安くなって、儲かる可能性も増えました」。「いくら工費安くなったの」って言ったら、「400億だ」って。皮肉だね(※)。

※日暮里・舎人ライナーは、平成9年の工事着手後、工事方法の見直しなどにより、当初事業費から約400億円の縮減を図った。

 400に随分関係あるよ、私は。こんな話は全然出てこないんだよ。別にそれで物事を相殺してくれとは言いませんよ。しかし、みんなでいろいろな工夫をして、努力もし、失敗することもあるし、成功することもあるんだよ。そこら辺のバランスとった報道してもらいたいね。

【記者】その400億の増資も、臨時株主総会で正式に承認されましたけれども、今後の再建に期待するようなことは。

【知事】ですからね、再建のための施策をきちっと講じてね。繰り返して申しましたが、セカンドステージではね、ただ融資をするだけじゃなくて、もっと幅の広い業務の展開をしてね、やっぱり銀行そのものに足腰、力をつけなかったら、危ない融資というのはできませんからね。そっちで損してもね、こっちで儲かるみたいな、そういうね、要するに複合的な経営をしなかったらだめだと思います。その機会は十分あったし、要素もあったんだけど、やらなかっただけのことだから。

【記者】実は新銀行について、開業当時、3年前から取材を続けてきてます。当時、仁司(泰正)代表が我々のインタビューに答えて、マスタープランについて、「まず、ほかの金融機関が何十年もかけてやらなければいけないような融資残高を3年間でやらなきゃいけない」と。とってもプレッシャーを感じていたようです。

 さらに仁司さんは、中小業者の団体の集まりでどういうことを言っていたかというと、「ほかの銀行の借金を返すために貸すような銀行になりたい」と。つまり、借金を返すために借金を重ねる。多重債務への道を促すような融資方法になると思うんですけれども、こういうことを公言していたと。

 知事は、こうした事実を本当に知らなかったのか。もし、知らなかったとしたら、これ、1,000億円を出資した都のトップとして、そのことに問題はなかったのか。いかがでしょうか。

【知事】全く知りません。知りませんでした。ですからね、再三議会の中でも言った。あなたも傍聴しましたか。予算委員会。

【記者】あの全部読みました。

【知事】読むだけじゃなくて。

【記者】議事録を。

【知事】実際に立ち会って聞いてもらいたいんですけど、それじゃないと実感がわからんでしょうけどね。僕はやっぱりね、次の機会に、仁司さんなり、そういうかつての実務の責任者という者を参考人にして、呼んでね、皆さんの前で真偽をはっきりさせたほうがいいと思う。あるいは、銀行がこれから訴訟を起こすなら、その場でね、実態がわかってくるでしょう。そうしないと、一方的に心情的なベースの上だけでものを言ったってね、本当の理解にはつながらないと思います。

【記者】東京都として、そういうことを今まで3年間チェックできなかったということで…。

【知事】ですから、あなたもさ、それを専門に、何というのかな、マークしてきたんだったらね、どういう機構で、要するに銀行が運営されてきたか知ってるでしょう。執行部と、それから取締役会という、いわば監視機関があった訳です。これはね、この頃のね、要するにアメリカなのかな、そういったものの一つの会社の特性らしいけどね。

 これは今度の銀行の実質と全然かけ離れたものでね、例えばアメリカのように大きな自主資金のファンドがね、東京とか香港とか、どこか外国で仕事をする。そのためにいろんな人間を見つけてきて執行部として営業させる。それをですね、一方、一種の監査という監視をする取締役会がある。そういう機構なんでしょう。その取締役会なるものは、その会社を営業している、人を雇ってね、業務の執行をしている、その人間を使っているファンドの、要するに何ていうんでしょうね、身内の人間ばかりが取締役会というのを構成してて、だから要するにずっと干渉して、執行部の成績が悪いとすぐ首をすげかえたりする訳ですよ。そういう機能を持ち得ない取締役会をつくってもね、これは私は無理だったと思う。大体最初から私はこの構成にちょっと疑義を呈したし、それは記録にも残っておりますけどね。ですからね、そういったものを総ざらい、複合的に検証しないと、どこに一番大きな責任があるかとか、浮かび上がってこないと思います。

【記者】ただ、これはもともと知事の発想から生まれた銀行でありますよね。

【知事】そうですよ。

【記者】これはもともと金融の専門家でない知事と東京都が銀行を立ち上げたと。そこに無理があったとは思われませんか。

【知事】いや、そうじゃないんだ。こちらは素人だったって、よく知ってますよ、私自身が。ですから、専門家の意見を聞いたんだ。その中には銀行業務に精通した人がたくさんおりました。その人たちに相談をして、機構をつくり、マスタープランもつくった。ただ、マスタープランというのはただのマスタープランですからね。業務やっている人間が、それはどうやって運用するかということは、その人間の能力にかかわってくる訳でね。今のが言い訳になって、マスタープランのせいでがんじがらめに何もできなかったというのは、最初からしきなゃいいんです、そんなことは。自分の能力の限界を示すことじゃないですか。

【記者】ただ、3年間もチェックしなかったというのは…。

【知事】チェックはしてきました。ただ、そのチェックの過程というのは、どういうずさんなものだったか、あるいはそこで行われたチェックそのものに、相手から出してくる報告に改ざんがあったり粉飾があったということはだんだんわかってきたんだ。

【記者】それを3年間見抜けなかったというのは問題ないですか。

【知事】それは問題でしょう。だから問題になったんだ、こうやって。だから、これを、それからもう一回洗いざらいしてね、要するに再建のよすがにしていく訳ですよ。それから、これから訴訟が起こるんなら、そこではっきりしていくでしょう、そういったものは。

 いいですか。執行部の責任がある。それからね、要するに次の段階では取締役会の責任がある。それからですね、それを動かしている株主の、しかも東京都は最大の株主だから、大株主の責任があります。責任の段階というのは1、2、3とある訳だ。それを踏まえてものを言ったほうがいいね。それが常識ってもんだ。

【記者】三宅島の空港がいよいよ明日から再開することになるんですけれども、現地で知事も行かれたときに、ぶら下がりでもお話、聞いたんですけれども、先日、村長とお話をさせていただく機会があってお話しさせていただいたら、観光のキャパ(キャパシティ:収容能力)というのが噴火前と半減ぐらいしているんですけれども、やっぱり村だけで改革するには限界がある、しかも観光を誘致するといっても、根づくにはなかなかハードルが高い。都なり国なりがもっと抜本的な、根本的な解決案を提示してくるなりお願いをしない限り、ちょっと解決のしようがないなというお話をされていたんですけれども、どのようにお考えでしょうか。

【知事】それは全くね、村長の言うとおりでね。だから、国には離島振興法という法律があってですね、いろんな島に、ある意味じゃ本土の部分よりも過剰な、何ていうのかな、面倒を見ている訳ですよ。それはやっぱり今日過疎になってね、下手すると消滅しかねないような集落があちこちにあるけど、それに比べれば、例えば三宅もそうでしょうけど、青ヶ島なんていうのはですね、学校に行ってご覧なさいよ、これ、生徒の数ぐらいコンピュータがあるんだから。こんな地方なんて、日本中ないですよ。

 ですから、三宅も、離島というハンディキャップを持っててね、要するに東京から近いようで遠い、大島よりは遠い。それから温暖といっても八丈よりは寒い。それから、片っ方では非常に活発に活動している火山があってですね、20年弱ごとに噴火をするというハンディキャップがある訳でしょう。

 ですからね、もともと私の選挙区でもあったんで、その頃からなかなかこの島は大変だなと思っていました。それがああいう形で噴火をし、噴火でとどまらずに延々毒ガスを噴いて、何とかある限界まできたんですけどね。これはやっぱりこれから相当の覚悟で知恵出していかないと。

 ただ、やっぱり比較的近い距離に、東京という、首都圏というヒンターランド(後背地)がある訳です、人口の。そこから観光客を引き出してくる、そのための知恵というのは尽くさなくちゃいけないと思うし。だから私、村長と一緒にマン島まで、公道を使ったレースを見に行ったけども、それは非常にマン島と違って、ジグザグが多く、急カーブがあったりしてね、危険なんで、今度は控えましたけどね。しかし、やっぱりある部分、公道を使ってのレースもこれから考えませんとね、もっともっとお客が吸引されるということにならないと思うし。飛行機だって、あの程度の飛行機が往復したって、乗っていく人間の数は知れているんだから、まあなかなかこれは難しいでしょうね。それを覚悟で島民も頑張っていると思うんですけども。

【記者】先ほどの新銀行の件に関する知事の回答の中で、ちょっと確認したい点が。次の機会に実務責任者を参考人として呼ぶべきだとおっしゃいましたが、これは第2(回)定例議会に仁司さんを呼ぶべきだということですか。

【知事】いや、あのね、この間も第1議会(第1回都議会定例会)でも呼ぶか呼ばないかの案があったんですけど、非常に混乱するし、週刊誌ダネみたいな大騒ぎになってもしようがないんでね、焦眉(しょうび)の問題の追資の問題だけをクローズアップしてもらったんですけどね。これからやっぱり訴訟をするかしないか、これは銀行の判断でありますけど、そういった事態が起こってくるならば、並行してやっぱり議会は議会の責任でそういう要求をするかもしれません。それはあってしかるべきだと思いますけども、片っ方でどういうタイミングで並行して裁判が行われるのか行われないのか、これはわかりませんが、何れにしても、もう少しはっきりした形で、機構的にどこにどういう責任があったかということをつまびらかにしませんとね、それは都民に対する、本当の要するに報告にならないと思う。本当の報告にはならないと思います、私は。

【記者】具体的にどこの議会でというふうに考えられている訳ではない訳ですね。

【知事】それは議会の要望で、議会次第でありますから。

 はい、それじゃ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)