石原知事記者会見

平成20年3月27日更新

石原知事定例記者会見録

平成20(2008)年3月21日(金)
15:05〜15:40

知事冒頭発言

1.京浜三港の広域連携について

【知事】冒頭3つ、私から申し上げることがあります。どうもまだ花粉症が治らなくてね。

 まず、京浜三港の東京、川崎、横浜の広域連携についてですけども、きょう川崎市と横浜市と京浜三港を一体的に管理するポートオーソリティーの設立も視野に入れまして、港湾経営の全般にわたって連携を強化することで合意いたしました。この取組みは、東京湾の中核に位置して、首都圏経済圏を背負っている三港が、今後3年間で実質的に1つの港となることを目指すものであります。

 世界の港湾は熾烈な競争の真っただ中にありますけども、国は、我が国の港湾の国際競争力の強化に向けた手立てすらまだ見出せないままでおります。このため、京浜三港は共通の危機感のもとに、自らの判断と責任において共同して世界の港湾同士の競争に立ち向かっていくこととしました。

 まず、平成20年度は一港分の入港料で他の港も利用できる入港料の一元化や利用手続の統一化、簡素化など、利用者ニーズの高い課題に取り組むことにします。また、船会社や港湾事業者なども参加した京浜港広域連携推進会議を立ち上げまして、京浜港としての港の整備や運営のあり方の指針となる京浜港の共同ビジョンを策定していくつもりであります。詳細については、この後、港湾局から説明をいたします。

 今申しましたように、取り組むべき仕事としては入港料の一元化。つまり、今までね、ものによっては東京で荷揚げして、それから先、今度、川崎で揚げるときですね、入港料を別に払わなくちゃいけない、こんなばかな話はないんでね、それの一元化とかですね、それから、利用手続の統一化、簡素化など、窓口の一本化ですね。これをやっていこうと思っております。

2.認証保育所の認証取消について

【知事】次いで、共産党がしきりに言っています「じゃんぐる保育園」、これは認証保育所の1つですけども、これはいろいろ調査の結果、認証を取り消すことに決定しました。都の調査の結果、この保育所の設置者は、第一に、都に対する認証の申請及び特別区に対する補助金の交付申請において事実と異なる内容を記載して、認証及び補助金の交付決定を受けていたことが判明しました。このため、区と連携して児童の新たな受け入れ先を用意した上で、今月末をもって認証を取り消しいたします。

 認証保育所であろうと認可保育所であろうと、過去にもですね、認可保育所も問題を起こして取り消された例があるようですけども、何れにしろ、どちらであろうと手続の上で要請があり、問題点があれば厳正に対処すべきことは当然でして、今後も都民の期待にこたえるために、認証保育所の質の向上を一層図りながら、設置促進に努めたいと思っております。詳細はこの後、福祉保健局から説明いたします。

3.2008 東京国際ユース(U−14)サッカー大会ついて

【知事】次いで、2008年東京国際ユース。これは要するにアンダーフォーティーンですね。14歳以下の少年たちのサッカー大会でありますけども、前にもお知らせしましたように、都と都のサッカー協会の主催によります国際ユースサッカー東京大会を4月26日から3日にわたり開催をいたします。多摩市と稲城市の会場で予選を行いまして、味の素スタジアムでの決勝戦を行います。

 今回初めての開催でありますけども、日本で初めての開催ですが、サッカー王国のブラジルの有名クラブチームを初め、世界8都市から8つの強豪チームが東京に集結することになりました。次の世代のトッププレーヤーを目指して、2016年の東京オリンピックでも活躍できるアンダーフォーティーンのジュニア選手達が出場して、東京からは2チームが参加いたします。

 一昨年、ベルリンで開かれた大会では、これ、日本が優勝したんですね。それをね、案外、日本のサッカー協会は知らないんでね。僕は、あのとき、川淵さん(川淵三郎 財団法人日本サッカー協会会長)だったか、岡野さん(岡野俊一郎 財団法人日本サッカー協会前会長)だったかに言ったらね、「いや、それはうれしいニュースだな」と言うから、「あんた、どうして知らないんだ」と言ったんですけども、非常に低年齢層の少年たちのあれですがね、これはやっぱり、もうそれからしばらくすればですな、要するにJリーグでも活躍するような選手がたくさんいる訳で、日本はせっかく2年前、ベルリンで優勝しましたんでね。あれも、フイルム見ましたら、あまりそれも放映されないんだけどね、あれ、たしか、決勝戦はフランス(パリ)とやったんですけどね。14歳未満の子どもたちというのはね、圧倒的にその背丈が違うんですよ。フランス国籍のアフリカ系のフランス人なんかも非常に背が高くてね、空中戦では本当にハンディキャップあるなと思ったけど、とにかくその下をかいくぐってね、日本チームは優勝したんで、とても感心したんですが、また今度、東京で優勝すればいいなと思っています。

 また、多摩市の会場では、だれでも気軽に参加できるサッカーゲームのイベントも行いますので、試合観戦だけでなく、この機会にサッカーの魅力を丸ごと体験していただきたいと思っております。

 ちなみに、参加チームは、ベルリン−ベルリン選抜、ジャカルタ−ジャカルタ選抜、これはロンドンのブロードウォーターファームFC、モスクワのスパルタク・モスクワ、ニューサウスウエールズの選抜、パリのパリ選抜、サンパウロ−パルメイラス、ソウルはソウルの選抜、そして東京は東京都選抜とFC(東京)むさし、この10チームが参加をいたします。

 私から申し上げるのはそれだけです。質問があったらどうぞ。

質疑応答

【記者】新銀行東京の関連なんですが、今日、新たに新橋店と渋谷店など、店舗が閉店になることになると思うんですが、中小企業の方などにお聞きしていると、利便性の面とか、普段の顔を合わせたつき合いとかが少なくなってしまう、また、ますます少なくなるのではないかという心配も聞かれたりするんですが、知事はどのように受け止めていらっしゃるかをお聞かせ願いたいんですが。

【知事】これは、こういう財政状態、経営状態ですから仕方ないと思いますけど、やがて再建を果たして、もっと間口の広い営業というものを展開すればですね、同じところに同じ店舗を開催することになるかどうかわかりませんけれども、やっぱり当然、力がついてくれば、ユーザーのために店舗も増やしていきたいと思っております。

【記者】続いて、銀行についてなんですけれども、先週も質問が出ましたけれども、予特(予算特別委員会)の審議の前半部分が終わって、経済・港湾(委員会)、財政委員会と審議してきて、ここまでのところで、都民への追加出資への理解というものは、もう進んだというふうにお考えでしょうか。

【知事】いや、なかなか議会の応答でもね、本質的な問題についての理解が浸透していない感じがします。それはね、何回も申し上げてきたんですけどね、事ここに至ればですな、3つしか選択肢はないんですよ。追資して、低空飛行からとにかく上昇させる。そこでセカンドステージを考えてですね、もっと大幅な業務展開をする。その中にはですね、むしろ外国のファンドなんかが注目しているみたいな東京のポテンシャルを活用した債券の発行とか、いろんなことができると思うんですけどね。それがどういう形で具体的に展開していくか、これからの問題ですけども、新しい東京が持っている潜在能力、これからの業務展開、行政展開というのを踏まえてですね、新しい仕事はたくさんできると思います。

 ですからね、それは次の段階ですけど、その前にね、やっぱり店を閉めればね、非常に大きな損害がね、都に被ってくる。これはまたやっぱり税金でですね、支えなくちゃいけない問題ですから。

 そういうことでね、やっぱり選択肢は追資をしてですね、今までやっていなかった事業も展開してね、足腰を鍛えてですね、再生させる以外にないと思う。

 それから、債務超過になってね、粛々と店じまいする。これはもうべらぼうなお金がかかる訳です。それから、最悪のケースはですね、何というんでしょうね、あっという間にペイオフになってですね、大騒ぎになる。これはやっぱり避けなくちゃいけませんからね。そういう点ではね、いろいろ直接、間接、金融庁の意向も質してきましたしね。当事者としての責任でね、私はやっぱり第1の選択しかないと思いますから、これをですね、議会に理解していただこうと思うんですけど、なかなかその深い理解までいかないですね、残念ながら。

 その議会もですね、これからもう一回予算委員会がある訳ですが、そこでも徹底してそのことを、都の言い分を申し上げてね、理解いただこうと思っていますけども。

【記者】どの点で深い理解につながっていかないというふうにお考えでしょうか。

【知事】これはね、ちょっと情報の提供の仕方もいろいろ考えなくちゃいけないと思って、結局こういうことになったんですけどね。セカンドステージの再建が果たして可能か不可能かというときにね、あの再建案だけではね、やっぱり議員さんたちもね、これで大丈夫かなと思わざるを得ないと思いますね。

 ですけどね、セカンドステージとしてね、どういう業務を展開するかというと、これは手の内を今から明かしちゃうことになるからね。それはちょっとできない節もあるんですよ。

 ですから、まずね、とにかく墜落だけをとめて、その後の、その段階でね、次にどういう業務を展開するかということは、もう少し詳しい報告をしながら、今度は監視体制をしっかりしてですね、東京都も一歩二歩踏み込んだ形で、てこ入れしていきたいと思っていますけども。

【記者】現段階では、ある程度手の内を伏せたまま諮らざるを得ないということでしょうか。

【知事】そうですね。

【記者】そこは、じゃ、都を信頼してもらうしかないということですか。

【知事】そうですね。中でもいろいろ議論がありましてね、私なんかもね、もうちょっと何というんでしょうね、具体的まではいかないけれども、パートナーの問題もあったりするし、これから先のね、詳しいというかな、こういう選択もありますよという説明をしてもいいんじゃないかと。また、そうすると議論の間口が広がっちゃってね、かえって混乱するという意見があったんで、結局今の段階でですね、ああいう議論になっているんですけども、そこら辺の試行錯誤はあったと思いますがね。ということでした。

【記者】わかりました。

【記者】認証保育園の問題なんですが、「じゃんぐる」ではないんですが、先日指摘がありました1食当たり、児童1人36円の食費。極端に安い食費だという保育園があるという指摘だったんですけども、子どもたちを預かる施設で、特に成長と直結、食という問題でこういうことがあったことに関して、いかがお考えでしょうか。

【知事】これはやっぱりちょっとね、値段を聞いてね、食事の価格を聞いてびっくりしましたがね。やっぱりその専門家を派遣してですね、子どもたちに与える給食の影響というものを確かめた上でね、すべき忠言はしなくちゃいかんと思います。

 とにかく、常識で考えてもべらぼうに安い。そんなに安くですね、例えば幼い子どもたちが満足して順調に発育していく給食が提供できる、できないかといったら、私もちょっとびっくりしましたんで、これは精査いたします。

【記者】ご存じでしょうが、36円という数字が調査されているかと思うんですけれども、本当に36円だったというのは、まだ調査段階…。

【知事】それは共産党でしたかな、政党の責任で調べて言ったことでしょうけども、これもですね、現場に行ってね、担当の者が自分で食事してみればわかることだから、大人が食べるのと赤ん坊が食べるのと、赤ん坊じゃなく、幼児が食べるのと、あれも違うでしょうけど、とにかく現場を当たらせて、値段のことも確かめてですね、判断したいと思います。

【記者】これは60円台だったというふうな情報もありまして、そうだとしても、今おっしゃった趣旨というのは基本的には同じですか。

【知事】その30何円なら安過ぎて、60円ならちょうどいいかというのは、これは物価の問題、いろんな問題があるでしょうから、専門家を派遣してですね、チェックします。

【記者】認証保育園、趣旨自体は評価できると思うんですけども、大変。ただ、一方でこういったことが指摘されている。これを受けてどうするべきか、いかがお考えでしょうか。

【知事】ですから、現場を確かめてですね、勧告すべきものは勧告してですね、いい条件を整えたいと思っていますけども。

 子どもたちはやっぱりね、ほとんど無言に等しいからね。こんなものは嫌だとか足りないとか、なかなかクレームはつけないでしょうけどね、これはやっぱり認証とした都の責任でですね、保育園にかなう給食をしているかどうか確かめるのはこちらの責任ですから。

【記者】新銀行の関係なんですが、先ほどの質問のお答えで、もっと監視体制を今後しっかりしていかなければならないというお答えがありましたけれども、この間、知事は、銀行法の壁があって、なかなか経営に株主が口を出すのは難しいということがありましたけれども、その辺との整合性は、ある程度つけられるのでしょうか。また、何か新たな監視機関のようなものを、都なり第三者機関なりのようなものをつくっていくようなお考えもあるんでしょうか。

【知事】これはやっぱり監視機関というんでしょうかね、大株主としての責任の履行がありますからね。

 この間も私はね、大株主の代表というのはおかしいけれども、都知事としてね、「ATM利用率がそんなに少ないなら、やめちゃったらいいじゃないか」と言っただけで、直接じゃありませんけど、「そういうことを発言されるとね、必ず金融庁からお叱りを被りますから、発言を控えていただきたい」と言われて、ああ、そういうものかと口を慎みましたがね。結果として、ATMを自粛して取っ払いましたけども、そういう個人の云々の発言じゃなくて、やっぱり公式のね、事、事態ここに至ったんですから、監視機関をきちんとつくりませんとね。議会にも協力してもらってですね、追資が実現したなら、そういうものを当然設けていくのは責任履行の一端だと思っています。

【記者】チベットの暴動なんですが、きょう杉並区長が北京オリンピックの開会式の知事の出席を再考すべきとの声明を出しましたが。

【知事】まあ、いろいろな意見があるでしょうね。ただ、私はね、チベットに対しては昔から同情的だしね、ダライ・ラマ(チベット仏教の最高指導者)とかなり親しいんです。それから、今度ね、日本の国籍を得たけれども、ダライ・ラマの日本の代表だったペマ・ギャルポ君とも非常に親しくしていますがね。

 やっぱりああいう共産党の軍事政権の独裁国家ですから、情報というものの制限があってですね、私たちが直に見聞することができない情報というのは隠されていると思いますね。そういったものも含めて今度はああいう爆発が起こった訳だけども、どう考えたって気の毒ですよ。民族も違う、文化も違うものをね、1つの国家内に閉じ込めるというのはね。

 私はやっぱりね、議員の頃から問題に関心を持ってきて発言もしてきましたけども、結局あまりに遠い、へんぴなところにあるもんだから、結局世界に見捨てられた形でね、ああいうことになってしまった。やっぱりしかしね、仏教という伝統を踏まえて、独自の文化を持っている人たちにしてみると、自分たちの民族の文化に対する愛着もあるでしょう、哀惜もあるでしょうしね。結局、起こるべき問題が起こったんだなという感じは否めませんな。

 オリンピックに出るか出ないかは、これから先の情勢を見ないと、中国の政府も、今みたいに情報をね、閉鎖することだけでね、世界の理解はなかなか得られにくいと思いますよ。

【記者】現時点では参加する意向ということで。

【知事】ですから、この間も招待状をもらいましてね、何も招待状をもらってみんな大騒ぎする必要はないんでね。状況次第では行きますよといったことでね。この間も、あるパーティーでね、中国の新しい大使に会いましたがね。東京のできることがあったら協力しますよと。「ニューズウィーク」に、東京に住んでいるある中国人がね、東京もいろいろと力を貸してやってほしいというんで、具体的なのを書いてあった。例えば、中国は中国料理の本場だけども、西洋料理がそうおいしいとも限らないしね。それは日本はミシュランが評価したみたいに、特に西洋料理に関してもね、イタリア料理だってフランス料理だって、現場よりおいしいレストランはたくさんある訳だから、そういう西洋料理のコックさんをね、超一流の人を送る訳にいかないでしょう、その人は仕事がある。ただ、やっぱりね、ある責任者をつくってね、コックさんを、チームをつくって送ってほしいというから、それはなかなかいいアイデアだなと思いましたがね。まあ、向こうは向こうのプライドがあるだろうから。

【記者】保育園の話題に戻るんですけれども、じゃんぐる保育園なんですけれども、この後、担当局からも会見はあると思いますけれども、今、補助金を、簡単に言うと騙し取ったケースになるんですけれども、最終的に、例えばこれを法的に返還請求するとは思うんですけれども、返還しないというようなことになった場合に、どういう対応を。

【知事】さあ、これはね、また法律の専門家に相談してやりますよ。しかし、やっぱりね、法律を破った訳だしね、人を騙した訳だしね、不当な、何というのかな、収入を得た訳ですからね。それに対するコンペンセーション、弁償というのは、やっぱり都にとっての責任があるでしょうから、これは法律家の専門家と相談してやります。

【記者】横須賀でタクシーの運転手さんが殺害される事件が起きているんですけども、これにまた米軍の兵隊が関与しているというような報道も一部あるんですけれども、どのようにお考えですか。

【知事】いや、だからそれは事がはっきりしないとね、それを踏まえてね、日米安保を見直せとかね、地位協定がおかしいとかっていうのは、同じことも言ってきたけれども、今度の場合、本当の犯人が米兵かどうかわかりませんから、そういうものを見極めた上で私もコメントさせてください。

【記者】銀行の話に戻るんですが、先ほど知事がおっしゃった監視機関の件なんですけれども、今の取締役会も、従来の銀行の中ではそういう役割が期待されていたものだったと思うんですが。

【知事】そうです。

【記者】知事が考えているのは、そういうものとはまた別種の機関をつくるということですか。

【知事】ここまで来ればね、銀行当事者もね、どういう経営陣になるかこれからわかりませんがね、一新して出直す訳だけれども、今までみたいにね、最初の経営陣のように、監視機関である、言ってみれば監査役ですよね、普通の会社の。そういうボードに情報をほとんど流さなかったということでは済まないと思いますから、取締役会は取締役会でですね、アクティブに動いてもらいたいけど、プラスやっぱり大株主としての責任があるし、また追資をお願いした行政の主体者としてね、立場を踏まえながらね、すべきアドバイスはしていかなくちゃいけないと思います。

 それがまあね、銀行法にどういうふうに抵触するか知らないからね、これからの問題だと思うけども。繰り返し申し上げたように、具体的に言えませんが、やっぱり東京がこれから展開する、要するに事業というものの債券化なんかも出てくるでしょう。むしろ外国のファンドのほうがね、どこで得た情報か知らんけども、これから20年先ね、ほとんどの橋を架け替えるそうですなとか、そういったものを何でもうちょっとアクティブに考えないんだろうかとかね。

 それから、やっぱりほかの事業展開でも、あれ一部出てましたけどね、その再建計画の中にも。今のだと3分の1、3分の1、3分の1という資金繰り、これをゼネコンていうのはいろんな仕事していますからね、そういったものを楽にするためにね、債券にするぞから云々ということもこれから出てくるでしょう。そういったノウハウを、それからまだ決まっていない、あるいは近い将来決まる行政の業務展開みたいなものもね、まあ情報を入れながらどう勘案していくかということは、我々としてもアドバイスできると思います。

【記者】ということは、都が主導で民間企業である銀行を監視する何かをつくるという、そういうイメージなんですかね。

【知事】監視というかアドバイスですね。やっぱりね、こういうものをもうちょっと積極的にやったらどうですかとか、そういう情報はこれから提供していこうと思います。何といったって東京が大株主の銀行だから、それはやっぱりほかの銀行に教える前にですな、あとは経営陣の才覚だろうけども、そういう情報をですね、積極的に流していくのは私たちの責任の履行の一端だと思っていますけどもね。

【記者】それは、都の行政と銀行の経営をなるべく分離するというのは当初あったと思うんですけども、そことの整合性はどのようにお考えですか。

【知事】別にこれ、くっつけてやることないので、やっぱり情報の提供ってことはアドバイスですからね。何も銀行の経営に都が直接乗り出す訳じゃない。あとは経営する当事者たちの判断だと思いますよ、それを斟酌(しんしゃく)するのは。

【記者】ごめんなさい、あと1点。以前、知事は都民によりよくこの銀行の議論を理解してもらうために、Q&Aのようなものを、自分が出るところに出てやってもいいんだというお話がありましたけども、それは今どのようにお考えでしょうか。

【知事】やりますよ。一段落したらね。事と次第によったら。

【記者】メディアに出てという意味ですか。

【知事】ええ。それでやっぱりね、繰り返しになるけどね、本質的な理解をなかなか得にくい問題ですから。それから、そのためにですね、提供すべき情報、すべからざる情報というか、そこの限界はなかなかちょっとね、これからのセカンドステージを考えると難しい問題があったんでね、その斟酌がですね、ある意味じゃ、つまずきというかバリアになっていることもないでもない。ですから、もし追資が可能になったらですね、その段階で積極的に、具体的に私は過去の経緯とこれからの展望について理解を得るべく、私の責任で話したいと思っていますけども。

 まあやっぱり心情論になるのはわかるんですがね。しかし、同時にね、これが完全に破綻したときの損害というものを考えれば、それは都の財政に響いてくるということは、それを通じて都民の皆さんに迷惑をかけることですから、その選択というのはね、冷静に考えていただきたいし、いきたいと思っています。

【記者】引き続き銀行について伺いたいんですが、石原知事はこの3期目を最後のご奉公ということで、今回、今期限りということを去年の知事選でも表明されていたんですが、この再建計画は終わるのが平成23年度ということで、たとえそこで単年度で黒字化したとしても次の都政に引き継がれる部分というのはどうしても出てくると思うんですけども、そのあたりの知事のこの銀行の将来的な展望というか、このまま永続して中小企業支援の役割を果たす銀行として続いてほしいのかどうか。そのあたりを、次の都政に、知事に対してどのような見通しを持っているんでしょうか。

【知事】それも含めてね、さっき質問があったQ&Aの場所でね、申し上げます。ここで言うと、また変な混乱するといけませんからね。やっぱりきちっとした土台づくりをし直してね、次の為政者にバトンタッチしていきたいと、それが私の責任だと思います。

【記者】知事、先日、知事が以前に新銀行に行かれた際に、部屋の中が殺風景だということで、(トーキョー)ワンダーサイトの絵画を勧められたという報道がありましたが、これに関して、知事、そのような、勧めたというようなことがあったというのは…。

【知事】殺風景だから絵でもかけたらどうですかって、買うならね。要するに若い人を育ててみて、ワンダーサイトのあるレベルに達している人たちからあれされたら、あとはワンダーサイトがどういうふうに持ちかけたか知りませんけども。まあ、皆さん、これに対して批判的な、心情的にわかるけどもね、そんなものじゃないんだよ、これ。やっぱりね、ある意味じゃ、ワンダーサイトはものすごく育っているんですよ。どこへも行ってご覧なさい。やっぱり日本のコンテンポラリーアートの、要するにキーというのはワンダーサイトになってきた。ですからね、どんどん育っていってね、日本でも外国でも、画商がついている機会がたくさん出てきました。だから恐らく、あとは今村さん(今村有策 東京都参与)という館長に、私の友人の事業者じゃないです、あれは東京都で働いているワンダーサイトの館長なんだ。彼の推挽で受けた絵がね、今、市場でどれぐらいになったか。恐らく、新銀行東京がやった先行投資の中で一番率のいい投資だったんじゃないかな。

【記者】いろいろ話が出ているのもありますが、一部の都議の方が自分の支持者からの依頼で、新銀行のほうに融資の口利きをしたというような話が出ておりますが、それに関して、知事、どのように。

【知事】これは当たり前じゃないですかね。議員ですからね。自分の選挙区の中の困っている中小企業者からね、せっかく無担保で貸してくれる銀行ができたそうだから、ぜひ取り次いでくれって。それは議員の責任で、するのは当然でね。その先、それが会社がもったかもたないか、それは別の話ですよ。あとは銀行側の主体者がですな、要するにそれを判断して融資する、しないの問題ですからね。よしんば、その議員さんが紹介した融資先が倒産してしまっても、それは議員さんの責任じゃ全くないと思います、私は。

【記者】今の会見でも話が出ましたが、知事、よくセカンドステージということをおっしゃいますが、この前の委員会審議でも多少出ておるんですが、知事のイメージとして、銀行がどういう状況になれば、セカンドステージに入ったというふうにお考えになっているのかということが1点と、これは、先日、記者会見でもおっしゃられたんですが、セカンドステージ等もやっぱり、今もおっしゃいましたが、外国ファンド等のパートナーが必要だというふうにおっしゃいましたが…。

【知事】いや、外国のファンドをパートナーにするかは別ですよ。しかし、外国のファンドからもいろいろヒアリングしました。むしろ彼らのほうがね、東京の商品価値というんでしょうか、債権価値というんでしょうか、そういうものに精通していてね、なるほどなということがたくさんあったから、そういったものを私たちが活用していけばいいことでね。

【記者】それで、パートナー、外資に限らずパートナーということですが、そうしますと、やはり新銀行単独での再建というのはなかなか難しいというふうに、知事としてはお考えになっておられるんですか。

【知事】難しいと思いますね。これはやっぱりですね、もっと幅の広い業務展開をしませんとね、足腰に筋肉がついていないのに一種の理念に駆られてね、弱い中小企業を救うためにも、私はやっぱり幅の広い展開をしてですね、底力をつけないと、当初の志を全うすることはできないと思います。

【記者】それはやはり業務提携に限らず、資本提携も含めたそういう強固な結びつきのあるような企業を…。

【知事】まあいろいろ考えています。これもそのうち、事が決まったら発表しますし、セカンドステージの展開を、要するに議会で追資が認証されましたら、その即日、とにかく私たち、次の段階に差しかかって積極的に動かなきゃならんと思っています。

【記者】では、セカンドステージというのは、追資が決まった後はもうセカンドステージだというご認識でよろしいですか。

【知事】そうですね。

【記者】銀行法の絡みもあって、非常に銀行と金融庁の距離って難しいと思うんですけども、まずこれまで3年間で、金融庁から銀行に対する要請やあるいは指導ということはどんなことがあったんでしょうか。

【知事】さあ、それは、私つまびらかにしません。私はね、間接、直接的にはね、当事者と話してきましたけどね、具体的に経営をこうしろ、ああしろということは話は出ませんでした。それは、むしろ担当の局長なり都の幹部がですな、どういう話をしたのか、これも私つまびらかにしませんけども、何れにしろ、金融庁はかなりはらはらして眺めていたでしょうね。それがわかったのがあまりにも近過ぎたんでね、非常に混乱が生じたと思いますけども、これから先ね、追資が可能になった場合とだめだった場合には、やっぱり金融庁の姿勢は当然変わってくると思います、私は。

【記者】ATMでの口出しというのは、これ、知事に直接あった話ではないんですか。

【知事】いや、私がそれ言ったんです。記者会見で言ったんじゃなかったかな。そしたら、都の当事者からね、「ああいうことを言ってもらったら必ず金融庁からお叱り受けますから、軽々に発言しないで」と言われましたんで、私は控えましたけどね。結局まあATM全部取っ払ったじゃない。

【記者】今後、金融庁の検査を求めるというようなことはあるんでしょうか、都として、あるいは銀行として。なかなか第三者からの評価があったほうがいいんじゃないかと、銀行の実際の経営状況を調べるには、という意見があるんですけども、そこの金融庁に対する都からのアプローチあるいは銀行からのアプローチというのは今後考えられることはあるんでしょうか。

【知事】あるでしょうね。それから、やっぱりね、中期の決算というんでしょうか、3月中に出る訳ですからね。そのときに追資があるかないかによってね、金融庁の関心度合いも違ってくると思うしね。私たちは別に金融庁の指導も検査も拒むつもりもないし、要するに、銀行の財政状態によってそれは金融庁が判断することですから。

【記者】逆に、積極的に金融庁に検査に入ってくれというようなことはあるんでしょうか。

【知事】今の立場ではね、私たちがやっぱり努力することは、追資の問題で議会にお願いしているんですからね、要するに、その成否によってはやっぱり、君が言ったように、こちらの依頼の形も違ってくるんじゃないかな。

 はい、それじゃ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)