石原知事記者会見

平成20年3月19日更新

石原知事定例記者会見録

平成20(2008)年3月14日(金)
15:04〜15:24

知事冒頭発言

食品の原料原産地表示について

【知事】冒頭1つ、私から申し上げます。

 食品の原料原産地表示についてでありますけれども、都民の食への不安を解消し、消費者が食品を選択する上で重要な情報を提供するために、原料の原産地表示について早急に検討するよう関係各局に指示いたしました。

 このことをできるだけ早期に実現するために、既に都には東京都消費生活条例があります、それに基づく独自の表示制度がありますので、これによってですね、原料の原産地を表示するよう、27日に開催されます東京都消費生活対策審議会に諮って、実施を目指していくことにしました。まず都民の皆さんの日常生活に深く浸透している、今回の冷凍ギョーザ問題によって都民の関心が集まっている調理冷凍食品について取り組んでいきます。

 これはですね、ほぼ完成されている料理だから、あと電子レンジにかけて、熱すればすぐ食べられるということで、ユーティリティーが非常に高くて、人気がありますけれども。

 また具体的な表示方法についても、商品のパッケージに直接印刷する従来の方法に加えて、店頭で必要な情報が得られるように工夫したり、ホームページを活用するなど、様々なアイデアを取り入れていきたいと思っています。

 表示制度を実効性のあるものにするために、消費者はもとより、商品の生産、流通を担う事業者や専門家など関係者の意見を聞くことが重要であると思っています。そこでですね、東京都消費生活対策審議会に諮問することにしました。

 前にもですね、遺伝子組み換えの製品について、これは害か無害かという非常に議論が分かれていましてね、結局それは危険ということにはなり得ないので、わかりやすい表示をして、自分はこっちを選ぶという形の簡単なマークをつけさせたんですけど、ああいうふうにですね、わかりやすい、見てもパッとわかる表示にしてもらいたいと思っています。

 本来、食品表示のような制度は、全国的な規制として国が制度のあり方を検討すべきものだと思いますけども、国においても国民のニーズを察知して速やかに取り組むように提案していきたいと思います。

 先に私、テレビを見て驚いたんですがね、調べ直したら、あれでしょう、お子さんが意識不明になったあの一連の製品には、パラチオンが入っていたというんですね。パラチオンというのはものすごい猛毒でね(※)。

※千葉県警は3月13日、中毒症状を起こした市川市の一家5人がはき出したギョーザの皮から3580ppm、具から3160ppmのメタミドホスを検出したと発表した。
 また、日本生活協同組合連合会は2月20日、みやぎ生協(仙台市)が昨年10月に販売した「CO・OP手作り餃子」の袋から、猛毒の1.6ppmのパラチオンを検出したと発表した。

 私、あるものを読んで、自分の小説のヒントにしたことがある、ずっと昔、「化石の森」って。これはね、それをつくり出したアメリカの学者がね、非常に猛毒だというので、解毒剤も備えなくちゃって、それをちゃんとつくってですね、みんなの前でパラチオンを飲んで見せて、それで解毒剤を飲んでですね、効きますと言う、言わないの前に飲んで、解毒剤を飲む前に死んじゃったんですよ。それぐらい毒性が強いものでね。

 これがね、この間のテレビの報道だと3000ppmから出てきたというのは、まさに小説的な出来事だなと思って見ていましたけど、ゆえにですね、どこの国の製品にしろ、そういうことがあってはいけないですから、やっぱり買う場合に、国際的な信用というのは国によって違うでしょうから、国民が、買い手がそれを自分で判断して選ぶという便宜のためにも、そういう表示が必要だと思っています。

 私から申し上げるのはそういうことですが、何か質問があったらどうぞ。

質疑応答

【記者】新銀行東京についてなんですけれども、これまで銀行が重ねてきて、いずれも不調に終わった11社との提携交渉についてなんですが、議会答弁ではつまびらかにされないというお答えだったんですが、知事に対しても、それはどんな交渉だったかというのはつまびらかにされていないんでしょうか。

【知事】一部聞いていますけどね。11社全部については、聞いていません。

 これからの可能性もありますしね。これからやっぱりセカンドステージで何を具体的に構築していくかによって、パートナーも決まってくると思いますしね。

 既に、これは議会を通ることを望んでいますけれども、400億の追資というのが決まる、決まらないの問題の前でしたから、果たして11社なるものとの相談が、400億の追資を議会にお願いすることを決心する、しないの前であったか、後だったかということは、私はよくわかりませんから。また条件が通れば、要するに整備された上での新しい交渉が始まると思います。

【記者】その一部聞いた限りでも、これ以上はだめだと、精いっぱいの努力を銀行側はしたというふうにとらえられた。

【知事】精いっぱいの努力、どんな努力?

【記者】これ以上は期限に間に合わないと。つまり、11社の交渉がいずれも不調に終わり、次の考えに至ったと思うんですが。

【知事】いや、そこら辺のところ、私、直に交渉した訳ではありませんしね、概略の経過報告しか聞いていませんから、担当者に聞いてください、それ。

【記者】ただ、それを総合して、ほかの選択肢はないというふうにはお考えになっている訳ですね。この400億しか。

【知事】それはね、これからね、セカンドステージのものを展開していく上には、パートナーがいることは必須だと思いますね。しかし、そういうものを呼び込むための整備というものをしなければですね、今の段階では債務超過が目に見えている、そんな企業に誰が力を貸してくれますか。やっぱりそのためのこちらの責任でですね、条件の整備をしなきゃならんでしょう。その努力をしてきた訳ですから。

【記者】知事から見ても、じゃあ、そこに至るまでは精いっぱいの努力を銀行側はしてきたというふうに。

【知事】精いっぱいというのはどういう限りでどういうことを言われるかわからないけど、銀行は悪戦苦闘してきましたよ、それは。

【記者】わかりました。

【記者】先程、ミス八丈島とお会いになったときに、佐藤局長(佐藤広 産業労働局長)白い髪っておっしゃられていましたけども議会が終わられ、あちらの審議が終わられた後、佐藤局長にはどんなねぎらいの言葉を。

【知事】いや、それはもう本当にねぎらいましたよね。議会からさ、同じ質問を何回もされて、同じ答弁して、しかも最後はサメまで出てきてね。あれちょっとトンチンカンで、魚に似通っていて、サメじゃないんですね。やっぱりイルカですね。ただ、やっぱり釣り上げた魚を、キンメダイなんか地魚だから、底魚だから、深いところにいるのを釣り上げて、上げていく途中にパクッとやることはある。サメなんていうのは、そこら中にいるからね。去年なんて、伊東の海水浴場に出たじゃないか。

【記者】もう1つお願いします。知事は一昨日とかその前の、初日と2日目のぶら下がりの中でも、黒塗りにしてでも調査報告書を出すべきだというふうにおっしゃっていたのですけれども。

【知事】それは随分質問が出ましたけどね。私は精読しましたがね、やっぱり銀行側の見解でね。これから訴訟もあり得ることで、そのときのですね、要するにバリアになるからね、アルファベットで、黒塗りにしても、会話の前後からいうと、これはこの立場にいたこの人だなんてわかるんでね、そういう姿勢に銀行がならざるを得なかったということは、後で理解しました、私。

 当然これはやっぱりある時点では、訴訟が起こるか起こらないか知りませんけど、ある時点では、やっぱり開示されるものだと思います。

【記者】昨日の予算特別委員会ですが、開始が7時間遅れ、終了時間も相応に遅れ、朝4時までかかりましたが、まず感想をお願いいたします。

【知事】政党は政党の主張があるし、見栄もあるしね、思惑もあるからね。まあ議会というのはあんなもんですよ。国会だって同じことやってるじゃない。

 僕は、最初、生まれて初めて議会に行ったときに、参議院のときにね、最初の通常国会のあれが、ものすごい法案がもつれてね。夏が来て、夏休みが始まっているのにね、8月までかかってさ、再延長して、それで最後の4日間は牛歩だよ、例のばかばかしい社会党の。それで、まあみんな、参議院は、私は若かったけれども、年配者が多いから、ちょうど私ぐらいのね。だから、控え室では酸素吸入器があったりね、医者が何か強壮剤の注射器を持って待っていたりしてね、ありましたよ。まあ、あれに比べれば、一晩で終わったので、ありがたいと思いますけどね。まあ、あのことを思い出したね。

【記者】くたばらないんだよと1日目の終わった後のぶら下がりでおっしゃっていましたが、昨日はどうでしたか。

【知事】いや、案外元気でしたね。でも、やっぱりね、今日12時からちょっと講演があったんでね、それまでに起きなくちゃいけないんで、非常に睡眠時間が短かったけど、これはだんだん夕方になると眠くなるでしょうが、一晩徹夜で終わってよかったと思います。まだ体力あるなと思ったね。後期高齢者だけどね。

【記者】新銀行なんですけれども、開業から3年たってちょっと振り返っていただければと思うんですが、結果論かもしれませんけれども、知事、もしかこの時点で知事がこういう対応をとっておけば、こうならなかったかもしれないなという、何かそういうターニングポイントみたいなのは、今振り返ってみて何かありますでしょうか。

【知事】これはまだ詳細に経緯をつまびらかにしていませんから、今の質問に答えにくいけどね、やっぱり取締役会との意思の疎通というか、風通しがもっとよかったら違ったなあと思いますね。

 いやまあ、これ、今から言ってもしようがないけど、僕はね、今あれがアメリカ式で世界共通の何かあれになりつつあるみたいだけど、これはちょっと日本の株式会社としては違うと思いますね。執行部と要するに監査と2つに分けるのは。それでね、結局、あれだけの人員をそろえながら、今まで古いというか、既存のシステムの中での監査役っていうのはいてもいなくてもいいような存在だった。ただ、これはやっぱり西武の事件では監査役が弁護士だったんで、一躍その存在感というのがクローズアップされて、ああいうことになったけどもね。従来の監査役の存在感の域を出なかったね、取締役会が。これはちょっと残念ですね。

【記者】例えば銀行立ち上げにかなり大きくかかわった大塚(俊郎)元副知事が、副知事としての銀行担当だったと思うんですけれども、それで、大塚さんから知事に具体的な情報が上がってきたようなことはなかったんでしょうか。

【知事】いや、それはどうも大塚さんも薄々、何か焦げくさいというか、「何かちょっと不安定な、不安な感じがしますな」という感じで、それで、「もっと調べたら」と言っているうちに、もう少し幅のある情報がもたらされて、それで、これはこのままじゃだめだということで、執行部をかえた訳ですけどね。

 その後、森田さん(森田徹 新銀行東京前代表執行役)が来て、彼が就任して、積極的に彼がリーダーとして過去の調査をしましたがね、ある時点で、森田氏が就任してから受けている報告が実際は違うということを、彼は顔色を変えて僕に言ってきたね。

【記者】名前は挙げませんけれども、知事の親しい方が役員の中にいましたけれども、なかなかそこら辺からの情報は知事に上がってこなかったんでしょうか。

【知事】いや、その親しいというのか、知己のある取締役は複数いましたけども、はっきり言って、私がこういう人が必要だと思って、日商の中小企業担当の幹部だった、自分で梶原工業を立ち上げた梶原君(梶原コ二 新銀行東京社外取締役)にも私は入ってもらったんですけど、彼はどうもとにかく情報が正確に伝わってこないと。非常にちょっと心外というか、心配というか、そういう考えを漏らしていました。

 今になってみると、それが当たっていたと言うし、しかし、やっぱり組織ですからね。個人の云々じゃなしに、取締役会として機能してもらいたいということを私、言ってお願いしましたけども。

【記者】銀行の調査報告書でも、旧経営陣のトップがということを書いていましたけれども、なかなか風通しがよくならず、知事にもきちんとした情報が上がってこなかった。その理由としては、どんなことがあると考えられるんでしょうか。

【知事】これはやっぱり代表者の個性の問題だろうね。それ以上、私はわかりませんな。

【記者】新銀行の件なんですが、追加出資の是非について、都民には予特(予算特別委員会)を傍聴して判断してもらいたいというふうにかねがねおっしゃっていましたけれども、ここまでの3日間といいますか、4日間の総括質疑で都民の理解は得られたというふうにお考えでしょうか。

【知事】いや、これはなかなか難しいですな。それで、非常に専門的な質問が多過ぎて、隔靴掻痒(かっかそうよう)というか、だから私、非常に乱暴な要約を最後にしたんですけどね、悪い例か、いい例なのかわかりませんが、人が倒れている。それで、駆け寄ってみたら、とにかくもうチアノーゼを起こしたり、それからとにかく心臓がとまりかけていて、やっぱり心臓マッサージするなり、人工呼吸しなかったら死ぬという者を前にして、議論をする余地はないというとこまで来ているということを認識してもらいたい。

 ですから、銀行が死んだらどういうことになるかということは縷々(るる)申し上げた。これは要するに400億の追資よりももっと大きな迷惑を多くの人たちにかけることになりますから。ということをね、本質的な、一番基本的な問題認識を持ってもらいたいと思いましたけども、ある意味で技術的というか、トリビアル(瑣末)というか、専門性のある、恐らく専門家に相談して書いたんでしょうね、要するに民主党なんかの質問は。かなりやっぱり専門性がありましたよ。これは逆にやっぱり議論をそういう局面に追い込んで、本質的な、選択肢が3つしかないんだという状況認識にあまりつながらなかったという感じがしますな。その点は残念でした。

【記者】昨日の予特でもちょっと質問が出ていたんですが、いわゆる400億の追資というのは、清算へ向けての延命策ではないかというような質問が出ていたんですが、知事は、セカンドステージに向けてパートナーを探していくというふうにおっしゃったんですが、そのセカンドステージについては、いわゆるパートナーということですから、業務提携とかそういうことは考えておられますが、パートナーとかに売却するということは、セカンドステージでは考えておられないんでしょうか。

【知事】考えていません。それから先、セカンドステージの銀行の主催者が、どれだけのタイムスパンで、何をどう判断するか知りませんが、そういう選択肢もそのうち出てくるかもしれませんけど、しかし、今からそんなことを考えていくつもりもないし、やっぱり大事なことは、セカンドステージの足腰を鍛え直して、もっと積極的に中小企業への融資のできる力を備えるために、もうちょっと幅広い業務を私はすべきだと思うし、そのためのノウハウのようなものも、過去1年間のヒアリングで、ああ、なるほどなということが随分ありました。どうしてこれをやらなかったのかなというものが多々ありましたね。それをやっていくためにも、やっぱり力をつける必要があると思います。具体的にそれが展開されれば、その段階、段階で皆さんにご理解いただけると思ってますけども。

【記者】今ちょっと俎上(そじょう)に上がっている仁司(泰正)元代表ですけれども、以前知事はここの席で、経済界の重鎮から推挽(すいばん)を受けたというご発言でしたが、トヨタの奥田さん(奥田碩 前日本経団連会長)がそうしたことはないというような否定するようなご発言をされているんですが、改めて仁司代表の登用の経緯というのを、知事の把握されている範囲で教えていただければと思います。

【知事】ですからね、最初は複数の候補者が挙がったそうですよ。それで、それを取締役会が取捨選択して仁司さんに決まったの。このイニシアチブは、取締役会がその決裁権で決めた訳ですね。

 それで、私も、推挽を受けたというのはちょっと乱暴な言い方だったかもしれませんがね、その後で僕は奥田さんに会ったときに、奥田さんから、「あれは非常に自分が期待している大事な人物で、何か政府関係のほかの組織に回そうかと思ったけど、話がかかってきた順がそっちが先だったんで渡したんだぞ」という言われ方はしました。まあ私はそれを推挽ととりましたがね、奥田さんがそういう形で、我々が期待して迎えた代表執行役にギャランティーしてくれたと私は思いましたけどね。

【記者】新銀行についてお尋ねします。仮に400億円の増資が実現した場合に、1,000億の累損を解消するための減資ということが検討課題になると思いますが、累積損失を残したまま増資ということもあり得るのか、もしくは減資ということが選択肢としてあり得るのかについて…。

【知事】それは何か一部の新聞に出ていましたけどね、これは決して追加出資というか、追加にはならない、何て言うのかな、詳しいことは財務局に聞いてよ。さっき私もブリーフィングを受けましたがね、私、そっちの専門家じゃないんで、そのメカニズムってよくわからんけども、図表で説明されて、なるほどと思いました。

 また、その減資について、銀行当局は考えてもいない、そのことは私、よく知りませんし、恐らくそんなことに報告も言及していないと思いますよ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)