石原知事記者会見

平成20年1月24日更新

石原知事定例記者会見録

平成20(2008)年1月18日(金)
15:00〜15:28

知事冒頭発言

1.平成20年度予算原案について

【東京都知事】平成20年度の予算原案がまとまりました。およそ13兆4,000億ぐらいのものですが、都財政は、税収の先行きが非常に不透明な状況にあることに加えまして、これは皆さん古い方はご存じでしょうけど、過去に本当に、日本の経済の、全体の経済動向でも非常に税収が左右されて、非常に苦しんだことがありますが、そういう状況がこれからもやって来ないとは限らぬ。今の動向を眺めましても、非常に難しい時代になると思いますけれども、また加えて、今回の法人事業税の暫定措置によって、平成21年度、22年度の両年で大体6,000億円の減収が見込まれます。

 この予算の課題は、こういう厳しい状況の中で、喫緊の課題への対応を図りつつ、いかにして「10年後の東京」という近未来の東京づくりというものを見据えて、集中的な取組みを本格的に展開していくか、また同時に、状況変化の中にあっても、そうした取組みを安定的に進め得る財政基盤をいかに築くかであります。

 そのために、政策を積極的に展開する「攻め」と、その攻めを支えるための「備え」の両面からの取組みを、平成20年度予算と平成19年度予算の最終補正予算で一体的に行うことを基本として予算編成に当たりました。

 予算の第1の柱は、山積する諸課題に真正面から取り組んで、都民の負託にこたえていくことであります。「10年後の東京」への実行プログラムの初年度として、積極的にこの施策の展開を図り、東京の近未来図の実現に向け、確かなアクションを起こしつつあります。

 具体的にいくつか例を挙げますと、「カーボンマイナス東京10年プロジェクト」など、環境分野における先進的な取り組み、あるいは東京の最大の弱点であります渋滞の解消に向けた首都高の整備や鉄道の連続立体交差化、あるいはテロ・組織犯罪対策の強化や、震災の初動態勢など、災害対応力の向上であります。あるいは生活改善の意欲を持つ低所得者への支援策などもあります。

 第2の柱は、「10年後の東京」に向けた取組みを安定的に実施していくために、強靱な財政基盤を築くことであります。

 大規模施設の集中的な更新をはじめ、これは橋とか、非常に耐用年数の過ぎつつある、もう10年以内にはどうしても改修の必要なのがたくさんありますが、今後見込まれる財政需要に積極的に対応するために、社会資本等整備基金などに積み立てを行ってまいります。

 このように、平成20年度予算は、財政構造の弾力性を高めるとともに、一般歳出の額を3年連続で伸ばすなど、積極的な施策展開を図る予算として編成をいたしました。

 同時に編成した平成19年度最終補正予算では、新たに「法人事業税国税化対策特別基金」を設置しまして、今年度の税収増及び歳入歳出両面の洗い出しによって確保した財源を積み立てまして、可能な限り今回の暫定措置による減収への備えを講じました。

 今回の予算は、将来の東京の発展を目指す予算として、都民の皆様の期待に十分こたえられるものと確信しております。また、2016年オリンピックの招致を目指す東京が、さらなる成熟した都市の姿を築いていこうとする姿勢を内外に明確に示す予算になっていると思います。

 我が国経済を取り巻く環境が厳しさを増しているが、そうした中にあればこそ、なおさら我が国を牽引する首都東京の役割は重要となると考えています。今後とも首都東京の先進的な取組みを積極的に進めるとともに、都政の改革を徹底して行っていくつもりであります。

 皆さんもご存じのように、アメリカがですね、主導権を持って世界の経済を攪乱している訳ですけれども、アメリカそのものは、マネーゲームに徹することでグローバライズする、新資本主義と言うんでしょうか、市場原理主義というものを新資本主義とうたって世界を席巻していますけれども、これは非常に不健全な動向でして、世界の、要するにGDPの数倍のお金が、ともかく世界に流れて、売ったり買ったりのゲームをやっている。

 よく言うんですけど、昔、落語に「花見酒」というのがあって、長屋の八っつぁん、熊さんが、花見で人がたくさん出ているから、1升か2升買って、1合ずつ売って、金儲けようじゃないかというんで出かける。途中、のどが乾いて、「ちょっと、おれ、1杯飲みたくなった」と言ったら、「いや、それはただでやる訳にいかねえよ」「じゃ、金払うよ」って払うと。「わかった」。1合飲む。今度、八っつぁんのほうが「おれも、のど乾いた。飲ませろ」って、さっきの金払って、売ったり買ったりしているうちに、1升買った酒がなくなっちゃって、元手もすっとんとんになっちゃった。こういうばかな実態が、今、現に世界に横行しつつある訳です。

 私は、宮沢喜一(元内閣総理大臣)以来、ビッグバン、ビッグバンではしゃいで、あまり財政能力のない大蔵大臣が歴代、アメリカの言いなりになって、結局こういう体たらくになったと思いますよ。

 私はそれは市場原理、自由競争というのは基本的に結構だけれども、やっぱり人間の物欲というのは際限がないんで、こういったものを、ある良識というものが規制していく、過剰な統制経済というのは私は嫌いだけれども、そういう必要があるんじゃないかということを、今改めて知らされていますが、これはやっぱり日本人全体がこれをどう受けていくかという問題で。こういう経済の動向の、非常に大きく変わりつつある、しかも、日本のように技術を持ち、力を持ち、意欲を持って、新しい製品を開発して、つくっていく能力を持っている国が、むしろ、つまり軽視されて、そういった力を発揮できずに、市場原理主義のマネーゲームの中で溺れようとしている訳でね。

 東京に限らず、日本全体の動いている物件の売り買いを眺めていますと、全部背後に外国のファンドがありますな。これは、やっぱり持っている金の総額が違うからね。皆さん、ポーカーなんてあまりやらないだろうけど、私は昔、時々やりましたけど、ポーカーなんていうのは、一種のブラフ(虚勢)が効いて、キャッシュを持った人間が絶対勝つ、必ず。そういうゲームというのが横行しているというのは、私は、世界の衰弱につながるのではないかという気がしますが。まあ余計なことを申しましたけれども。

 そういう中で、国はそれに便乗して押し流されるだけで、結局、財政不如意になって、東京のポケットに手を突っ込んできた。

 これは野党も訳のわからぬ質問をしていましたけれども、私の政治力とかに関係ない。過去に2回やられたけど、法体系からいって、だめだと言えない仕組みになっているんだから。だから、それならば、転んでただでは起きまいということで条件をつけていますけどね。

 しかし、それでもなお、これはやっぱり消費税を含めてきちっとした税制改革というものをしないと、こんなものが5年、6年続いたら、東京も干上がっちゃいますし、東京が倒れてしまったら日本がどうなるかという、その自負だけあってもどうしもようもない。

 そういう中で、非常に際どい予算編成をしたと思います。

2.平成20年度職員定数・組織について

 次いで、平成20年度の職員定数、組織についてでありますけれども、来年度の職員定数については、全庁、都庁全体で1,102人削減いたします。これにより4,000人の削減目標に対して、2年間の合計で2,267人、約57%達成することになります。東京もやっているんだからね、国もやってもらいたいね。国の役人、多過ぎて、政治家の数も多いよ。そういうことを全然せずに、とにかく人の財布を当てにすることになっちゃうと、本当に国の沽券ってのはどこにあるかという気がするけども、何れにしろ「10年後の東京」への実行プログラム事業など、都政の重要課題への対応に必要な体制、人員を措置します。

 具体的には、東京オリンピック招致に向けた推進体制や、地球環境の改善に向けた執行体制を強化いたします。今後とも一層効率的な行政運営の実現に努めていくとともに、人材の精鋭化に向けて、職員一人ひとりの意欲を引き出し、人材の育成を強化したいと思っています。また、高い志と能力を持つ若者にとって魅力のある職場を構築し、首都公務員としての力を結集して、行政サービスの水準の向上に努めていきます。

 次いで、三宅島空港の問題ですけれども、これは全日空も非常に意欲的に取り組んでくれまして、私の人脈もあって、いろいろ説得して、積極的な姿勢を示すようになってくれましたが、都と全日空は、本年4月26日に航空路を再開することにいたしました。昨年8月、都と全日空は、平成20年度春の再開に合意して、火山ガス情報提供システムの構築、保安体制の整備や空港の地上要員の確保・教育訓練などの準備を進めてきました。これによりまして、航空機の安全な運航環境が整ってきたことから、国による空港検査などを経て航空路の再開を行うことといたしました。

 当面、火山ガスの影響のない東側の風の際に、羽田空港から1日1往復で開始をいたします。今後さらに、西側の風での火山ガスの影響等を検討して、需要が増えれば結構なんですけども、就航率の向上にもつなげ、噴火前の1日2往復の運航を目指したいと思っています。

 航空路の再開は、島民の皆さんの悲願でありまして、また観光、産業の振興に大きく寄与するものであるから、復興により一層の拍車がかかるものと期待しております。

 私から申し上げることは以上であります。質問があったら、どうぞ。

質疑応答

【記者】都知事公館についてお伺いしたいんですが。今回、売却を決定したということなんですが、以前、知事は、次の知事のことを考えると売れないというふうにおっしゃっていたんですが、今回、売ることになった理由というのを。

【知事】これは調べてみましたら、公館なんか持っていない県も政令都市もたくさんあるんだね。私自身はあそこを使う気はないし、それから、どなたが使うことになるのかわからんけどね、あんな居住地域が全体の4分の1しかなくて、あと会議室ばかりのところにだれが住みますか。あんなところで会議をやられたら、プライバシーがあったもんじゃないよ、本当に。

 ああいうばかな建物を何でつくったかね、本当に首をかしげるけど。何れにしろ次の知事がだれになるか知りませんけど、東京のどっかに住んでもらえばいいんで、ほかの地方のセクターを眺めたって、首長さんの公館が立派に構えられているというのは、むしろ半分に満たない。そういう状況を考えて、とにかく国からもえらいお金をふんだくられた訳だし、その少しの穴埋めにもなりゃいいと思うんで、売っ払うことにしました。

【記者】先ほど外資の話がちょっとありましたけど、それは売り先は外資でも構わないですか。

【知事】ええ、構わないですよ。ただ、この間、貸してくれ、借りてくれるということで、条件をつけてやったら、イタリアの食品の会社があそこをオーダーしたんだけど、結局、商売を始めたんだね。非常に周りからひんしゅくを買って、もう出てもらったんですけども、とにかく置いておくのは無駄ですから売ります。

【記者】すみません、質問なんですが、東京オリンピックのオフィシャルライセンスグッズが今日から発売になったんですが、知事はご覧になりましたでしょうか。

【知事】見ていないね。あまり安心できないね。役所に任せると、ろくなものをつくらないからね。ポスター1つ見てもセンスがないから。また、エージェントに頼んでも、電通だって、博報堂だって、たまに来るようなお客のところへろくなあれはつけないんだよ。一流のスタッフは全部一流のクライアントについているからね、片手間に何か変な仕事をされて、だめだねえ。

 今度のポスターを見たって、バッジ1つ見たって、何でもごちゃごちゃ、ごちゃごちゃ書き入れるけどね、そんなもの、みんなつけているか。あれを見て何か書いてある、虫眼鏡で見なきゃ見れないよ、こんなもの。あんなの、日の丸1つポンとつけりゃいいんだよ。そういうセンスがないから、だれがイニシアチブをとってやっているか知らんけど、グッズを見てみなきゃわかりませんわ。非常に不安ですな。

【記者】これからチェックをされますか。

【知事】します。

【記者】日本製紙の話なんですが…。

【知事】はあはあ。

【記者】その他製紙各社の再生紙などのエコ偽装の問題が今起きておりますけれども、環境問題に取り組んでいかなきゃいけない企業の姿勢というのがあると思いますが、知事の今回のエコ偽装に対するご所見をお伺いできますでしょうか。

【知事】東京は大体1年間に10億枚、それから額にして5億円ぐらいの紙を使っているんですが、これは要するに40%の限界を突破して、古紙が過半使われているのはちょっと問題ありますよ、紙の質として。そうじゃないんだ、これ。つまり、古紙そのものがなくなってきて、古新聞を持っていったら窃盗になるぐらい、そういうものが今枯渇していて、全部中国に行っちゃっているんだよ、そんなものが。プラスチックもそうだし、建材の廃材なんかもそうですがね。

 ですから、これはもうちょっと、内容に何か虚偽の表示があった云々ということだけで、ほかの食品の内容表示が中身と違っているというケースとはちょっと違うんですね、これはね。これはもうちょっと頭を冷やして冷静に考えないと、とんでもなく粗悪な紙を使わされているなら、これはまた問題があるけれども、そうじゃなくて、それはまた環境問題で深刻な問題があって、要するにどんどん、どんどん木が切られている訳でしょうから、使っていって、この間も何か裁判が起こったらしいじゃないですか。積んであった古新聞を持っていったら窃盗になる、ならないって。持っていった人間がどういうふうに思ったか知らないけどね、そういうふうに、リサイクルしようと思っても、そのターゲットそのものがなくなってきた。そういう非常に不思議な現象が起こっている訳ですけど、これは再生紙をつくるといったって、古紙そのものがなくなっちゃっているんでね。ちょっと微妙な問題ですな。

【記者】あと、東京都のほうでも、再生のコピー紙とかを含め利用しているということですけれども、今回…。

【知事】ですから、再生の紙を使っているんです。ですがね、規制か何か知らんけども、何%だったっけな。ある程度のパーセンテージ、古紙を使いなさいという規定があるみたいだけど(※)、それはもう廃品利用は結構なんだけど、利用する廃材の古紙そのものがないんだからね。それはやっぱり純粋の紙に近いものを使わざるを得ないんじゃないでしょうかね。ある限りの古紙は使っていると思いますよ。

※コピー用紙は古紙100%、印刷物等は古紙配合率70%以上

【記者】現在の実態調査というのは、都庁内では行っていく方針ですか。

【知事】いや、実態調査も何もないんだ。とにかく社会的に見て、古新聞を束にして持っていったら窃盗になるみたいな時代って、今までなかった訳ですからね。こういう状況の中で、再生紙をつくるったって、再生紙そのものが困難になってくるから、結局、古紙使ってない、非常に少ししか使ってない紙が横行している訳でしょう。それでもってね、内容の表示が偽造だということになかなか言い切れない。それは何か責任問う前に、もっと違う問題があるんじゃないでしょうかね。

【記者】新年度予算原案についてなんですが、基金の積み立てが1.6兆と、過去最高に上るようなんですけれども、やはり将来の需要があるといっても、地方、国から見ると、どうしてもまた、東京富裕論というのが首をもたげてくると思うんですが、その辺に対しての反論というものがございますでしょうか。

【知事】たくさんありますな。これからの東京が被らなくちゃいけない行政需要というのはどこにあるかといったら、橋は古くなって、10年以内に全部つくり直さなかったら、アメリカみたいに、結構新しくつくった橋がバタンと落ちるみたいなこと、ああいうずさんな工事は日本はしてないと思いますけどね、これから起こってくる訳です、耐用年数が過ぎれば。そういったものを考えればね、これぐらいの積立金でですね、とてもそういう行政需要に対応できないね。だからね、どうなのかな、やっぱり木を見て森を見ないというような、そういうものの考え方で事をとらえたら危ないと思いますね。

 都はね、とにかく何れにしろ、今、不交付団体なんですよ。ですからね、どんな状況でも、自前に対応しなくちゃならない。それが東京都の宿命なんだ。また、東京が交付団体になったら、日本全体が自信を失うでしょうしね、日本全体に響いてくると思いますからね。

【記者】同じく都の予算原案なんですが、昨年は産業関係の目新しい施策があまりなかったと思うんですが、今年のものを拝見すると、外から東京に出たいという企業があった場合には、情報提供などで積極的に招くというような面が多いと思うんですが、ほかの県だと、有力な企業が出たいということになれば、場合によっては、知事や市長が頭を下げても来てもらうというのもあるし、逆に出ていきたいというところがあれば、引き止めにかかるというケースも多いですが、これは、東京も企業が多いからって安閑としていられない時代になってきたというような知事の認識なんでしょうか。

【知事】もちろんそうですね。ただ、先ほど申したように市場原理主義か何か知らぬけどね、物をつくるという健全な経済の体質というのも失われてね、小手先の金のやり繰りで利益を上げるという、そういう経済動向というのは、私は好ましくなくて、だから、なおやっぱり日本は技術も開発して、いい製品をつくるという努力をしなくちゃいかぬと思うけど。東京だってね、三多摩、三多摩と言いますけど、あそこでキャパシティは限られている訳でね、私はもっと大きな目で見てもらいたいんだけど、例えばつくば新線というのができた。あれは従来なかった、全く人の住んでなかった、しかも、日本で一番肥沃な可住面積の関東平野を縦断する鉄道が初めてできたんですよ。あの周りは空き地だらけで、これはどう見込んだか知らないけど、業者がどんどん買って値段つり上げていますけどね。僕はやっぱりこういう経済動向の中で、東京だけじゃなしに国全体が、しかも首都圏の中に、日本の中で便利なことは一番便利なんですから、外国の企業を誘致しようと思ったら、関東平野が空いているじゃないですか。そういう大きなね、田中角栄(元内閣総理大臣)だったらやったと思うね、勘のいい人だから。それだけの人が、でっかい風呂敷広げる人がいなくなっちゃったね。アップアップしてて。

 そりゃ東京だって安閑としてられませんよ。ただ、やっぱりね、企業そのものをどういうのか、体質変えていかなくちゃいけないし、前に何度か申しましたけど、私の選挙区の品川、大田というのは、昔は、今は「そんな言葉は古い」と言われるかもしれないけれども、今のイルミネーション、要するに豆電球の一番の生産地だった。これが香港に追い上げられてあっという間につぶれた。しかし、そういう企業が全部新しい製品をつくる。技術を生かしてね。そういう努力は日本もしなくちゃいかぬけど、そのためにも、東京は東京で安閑としてられないと思いますから、いろんな努力をします。

【記者】杉並区の和田中学校の夜間授業について改めて伺いたいんですが、東京都の教育委員会が、1回、7日に指導した後、改めて公教育の破壊につながるということで、生徒が学校の先生よりも塾講師のほうを信頼するようになってしまうということで、ちょっとそういう執拗な指導というふうに、区のほうでは受けとめている向きもあるみたいなんですが、この都教委の指導について改めて。

【知事】先ほど教育長に聞きましたらね、東京の教育委員会としては、杉並の教育委員会に、いくつか、あなたのおっしゃったことも含めて質問を出してます。その質問が23日に来るそうです。それを受けて、東京都の教育委員会がすべきアドバイスをするとか、了承すべきものは了承するということになると思います。これはやっぱり、最後は杉並区が決めることですから。

【記者】その自主的な取り組みを支援すべきだという知事のお考えな訳ですか。

【知事】私はそう思いますね。しかも、授業の単価というのは、塾に行くより安いんでしょう。結構なことじゃないですか。しかしね、塾に行けない子ども、それはいるだろう、やっぱり。そういう格差は、当然ありますよ、人間社会の中では。だから、やっぱりね、どの子どもも公立の学校があてにならぬからというので、授業料の高い私立にだって、親が無理してでも送るんだからね。そういうものを全部均一化しろって、そういうのはできっこない、そんなものはね。私なんか、これは原則で結構だと思います。大体、とにかく日本の教養水準、学業の水準が落ちてきているんだからね。

【記者】今国会でガソリン税暫定税率の件が問題になっていると思いますけれども、その行方によっては、今後の道路建設等にもさまざまな影響が出ると思うんですが、これについて知事はどうお考えでしょう。

【知事】出ますね。私は原油が高くなったので、ガソリンの単価そのものが高くなってますけどね。それにつられてね、どの政党が何言っているか、つまびらかにしないけれども、やっぱり現にスタンドのガソリンの値段が、軽油の値段が上がれば、ユーザーは困りますよ。

 しかしね、そういったものは今までどういう財源になってきたかということを考えれば、じゃ、ガソリンが安くなるんだったら、道路をつくらなくてもいいということで済むかどうかね。そんな問題を複合的に考えるなら、これはやっぱり国民だってみんなアマチュアですからね、これは政治家の仕事だと思うけれども、選挙というものを意識せざるを得ないんだろうが、あんまり政策の上でのポピュリズムをやられると、後で大きなツケを払うことになると思う。

【記者】昨年の年末に出された東京都産業振興指針の中で、若手ファッションデザイナーの育成が方針化されたことを大変注目をしています。ところで、近年、韓国や中国、タイなどが、ソウルや上海、バンコクといった大都市を中心に、国家的な力を入れて、ファッションの振興に力を入れています。これに関して知事のお考え、また、東京でファッションビジネスを振興する意味について、お考えがありましたらお聞かせください。

【知事】ファッションは一つの感覚の問題ですしね、やっぱりそれが優れていれば、国籍を問わずに、国境を離れて、非常に国際的に流通する大きな、大きな商品ですし、産業だと思いますよ。そういう点では、日本は、三宅一生さんとか、コム・デ・ギャルソンとか、何人かすばらしいデザイナーがいて、外国で大きな仕事を上げられているんだけれども、何で日本の政府はこれに冷たいのかね。

 私はね、成田とか羽田とかね、これから国際空港になっていくところにね、テナントとしてね、要するにほかと違って割安で、日本を代表するそういうデザイナーの店を置くべきだと思うけど、そういうことには、全然、もう無頓着ですな。だから、むしろ三宅一生にしろ、コム・デ・ギャルソンにしろ、あと何人かいますわな。そういう人たちというのは、外国では有名だけども、日本ではあまり知らないんだよ。これは本当に滑稽というか、残念というか、惜しい話だと思いますけどね。

【記者】三重県の北川(正恭)前知事や、宮崎県の東国原(英夫)知事が、今週末に政策集団を立ち上げて、各政党に政権公約とか政策について明確化していくように求めるような活動をするということが明らかになったんですが、恐らく総選挙とかにも影響を及ぼすと思われますが、知事の所見を。

【知事】いいことじゃないですか。そういう研究会がどんどんできていくのはね。ただ、やっぱり現場を持っている知事さんですからね、裏の変な学者なんかよりもはるかに地に足ついた案が出てくることを期待してますよ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)