石原知事記者会見

平成19年12月27日更新

石原知事定例記者会見録

平成19(2007)年12月21日(金)
15:01〜15:30

知事冒頭発言

「『10年後の東京』への実行プログラム2008」の策定について

【知事】冒頭、私から1つ申し上げます。

 昨年の暮れに発表した「10年後の東京」でありますけれども、これはやっぱり机上のプランだけじゃなしに実際に行っていくために、実現の具体的な計画を立てなくちゃいけませんが、まず当面、3年間の間にどこまで漕ぎ着けるかという形で、「『10年後の東京』への実行プログラム2008」を策定いたしました。

 ちょうど1年前、日本の頭脳部、心臓部として発展してきた東京を、より高い次元へと成長させ、次代に継承するためのワンディケード先の「10年後の東京」を策定して、10年後の東京のイメージというものを描きましたが、3期目の就任に当たって、やはり私にとって最大の仕事は、実現可能な近未来図の基礎固めだと思っております。今回、その道筋をはっきり示したと思います。

 実行プログラムは、「元気な子どもたちを育てる校庭の芝生化」や「海の森や街路樹倍増など緑あふれる東京の実現」など、39の施策を掲げていますが、向こう3カ年の事業費は約1.7兆。平成20年度は、約4,700億円であります。新規性、先進性を持つ取組みや、今後3カ年で加速して進める取組みを揃えまして、「10年後の東京」で掲げた目標に対して3年後の到達目標を明示しました。

 例えば、今後3年間、新たに360ヘクタール、これは正規のサッカーグラウンドの500面分ですね。その緑を生み出したり、街路樹を現在の1.5倍の70万本に増加すること、あるいは羽田空港の再拡張、国際化を見据えたペリメーター(あるエリアの外側の境界部分)規制の見直し。つまり、飛んでいく先が石垣の距離出ないなんてばかな話でね、福田内閣もお父さんの後を継承して、新福田ドクトリンで東南アジアを重視することをうたっている訳ですから、せめて東南アジアまで、ASEANまで飛んでいくぐらいの飛行機を許さないと、国際化した意味がないと思います。

 あるいは、3環状道路を、現在の40%から60%まで整備をします。それから、大規模事業所に対するCO2総量の削減、すなわち節電ですね、の義務化や、住宅用太陽光発電、ソーラーシステムの4万世帯の導入など、本格的な地球温暖化対策に取り組んでまいります。

 やがて来るだろう、いつか来るだろう大地震に備えて、緊急輸送道路沿道建物耐震化を全路線で展開すること、あるいは待機児童の解消に向けて、認証保育所など、入所者数の1万5千人分増加や、障害者雇用1万人を創出すること。あるいは、低所得者の生活安定を図るため、全区市町村への相談窓口の設置や生活資金の貸し付けなど、年間100億円規模の新たな取組みを開始することなどを盛り込んでおります。

 今後、これらの意欲的な取組みを迅速かつ着実に実行するために、区市町村と手を携えて、都民、国民、企業、地域などを巻き込んだ広域なムーブメントを起こし、東京の持つ豊かな潜在力を引き出していきたいと思います。

 また、東京オリンピック開催を実現するためにも、東京を21世紀の都市モデルへと飛躍させ、都市の持つ、この東京の持つはかり知れない可能性を、アジアや世界に向かって発信していきたいと思っております。

 「10年後の東京」と同様、今回も、この3年計画についてのわかりやすい冊子を100円、ワンコインですな、で発売することにしました。都民の皆様にぜひご一読、100円ですからね、3年後の東京はこう変わるぞということで、ひとつお読みいただいてね、またいろんなご協力、知恵を出していただきたいと思います。

 私から申し上げることはそれだけです。質問があったらどうぞ。

質疑応答

【記者】外環をめぐって国幹会議の開催が決まりましたけれども、コメントをいただけばと思います。

【知事】いやまあ、既定の路線です。これはね、その3,000億に関係なしにね、今まで根回しもしてたことですし、できるだけ迅速に計画整備路線にさらに格上げしていってですな、できるだけ着工に向かって進みたいと思います。

【記者】今ちょっとお話に出ましたけども、法人事業税3,000億円の見返りとして、外環の早期着工を求めていましたけれども、その成果があったというのは関係ないとお考えですか。

【知事】これは、もっと前から話していたことでね。ちょっとごめんなさい、のどが痛いので。水だよ。東京水。はい、ほかにどうぞ。

【記者】インターチェンジなど、一部は地上に設置するということになると思うんですけども、この計画は長い間凍結されていたこともあって、このあたりはかなり自然が残っていますけれども、そのあたりの環境への影響というのはどのようにお考えでしょうか。

【知事】それはきりないことでね。どう言うんですかね。むしろそれが整備されることでね、空気の汚染とか何かも、要するに緩和、合理化されていくと思いますしね。木を1本切ることが環境破壊とも必ずしも言い切れない。つまり土地をトリム(整備)することもあって、全体の環境の維持のためには必要なことだと思いますから、これはまあ、周りの方に我慢というか、評価をしてもらって、それで理解していただきたいと思いますよ。

【記者】最小限にするように国への働きかけなども。

【知事】はい。国よりも、やっぱり現場を持ってるのは東京だから、東京の言うこと聞きゃいいんだよ。

【記者】先日、政府のほうで、UFOの存在は確認していないという答弁書が出ましたが、UFOに関する知事の所見をお聞かせいただければと思います。

【知事】私も見たいと思いますけどね。前も何回も言ったけどね、25年前ね、ブラックホールを見つけたホーキング(S・W・ホーキング:物理学者)の講演を聞きましたよ、議員時代。ホーキングはね、質問どうぞということで、ある人が、「地球並みに文明の進んだ、つまり宇宙船を飛ばすような、そういう文明を持った惑星がこの宇宙全体でどれぐらいありますか」と言ったら、彼は言下に200万と言ったの。これはもちろん太陽系の宇宙だけじゃなしに、ずっと40億光年とかずっと向こうに見える宇宙も含めてでしょう。

 そして、だれかが、「そんな数、地球並みの文明を持っている星があるのに、何で地球に向かってもっと進んだ文明の星から宇宙船なり宇宙人が飛んでこないんですか」と言ったら、これはやっぱりホーキングは言下に、「その程度の文明を持った惑星というのは非常に循環が狂って不安定になって、宇宙時間から言うと瞬間的に消滅します」。だれかが、「宇宙時間にとっての瞬間的というのは、地球時間でどれぐらいですか」と言ったら、彼は100年と言いましたな。それから25年たちましたからね、地球はもたないね、このままでいくと。

 この間、バリ島の会議、見てごらんなさいよ。あんなことやったって何の役にも立たないよ。医者が集まってね、非常に転移性の速い悪性のがんをだね、手術するとかしないとか、放射線だ、いや抗がん剤を使うとか、もうちょっと様子見ようとか、血清検査しようとかって、何も決めずに終わったじゃないですか。まさに、ゴア(アルバート・アーノルド・ゴア・ジュニア 前米国副大統領)が言っているとおりね、何かに出てたけど、このバリ島での会議というものの進捗、著しく阻害してるのは、残念ながら私の母国のアメリカですと言ったけど、これまた釈明にならない釈明でね、そんなこと言われたってちっともありがたくない、当たり前のこと、みんなわかってるんだから。アメリカと中国とブラジルとオーストラリアは、そういった多量排出国は京都議定書に入らないで(※)、こんな問題解決するはずないじゃないですか。我々、ポイントオブノーリターンに差しかかってるんですよ。

 まあ、話が逸脱しましたが、ということでね、宇宙船は、要するに地球には飛んでこないでしょう。飛んでくる前に、どこかの星は200万あってもみんなだめになっちゃう。75年後の地球と同じになる訳だ。

※オーストラリアは2007年12月3日に京都議定書を批准

【記者】UFOはあるかないかと言われると、可能性は?

【知事】ホーキングの言ったブラックホールなんかあるもんかと言ったら、実際にあったじゃないの。ああいった天才という宇宙物理学者がそう言うんだから、私は、そこらのハリウッドの映画監督の言うことよりもだな、やっぱりホーキング博士の言うことを信じますね。飛んでこないでしょう。地球もですね、宇宙船を、人間が乗ってどこかほかのプラネットへ飛ばす前に自滅しますよ、このままで行ったら。

【記者】しつこくて恐縮なんですが、ちょっといろいろ調べますと、知事、若かりし頃に、日本空飛ぶ円盤研究会というのに名を連ねていらっしゃったというふうに…。

【知事】これは何かだれかが言ったんだけれども、名前貸してくれと言うんで。むしろその連中はどんなことをやったかといったら、宇宙船の写真をどうやって撮るかといったら、透明の糸で、ぶら下げてね、円盤を、それでホテルか何かの窓を背景に撮ると、さながらもっともらしく見えるんで、そんなことを一生懸命やっている連中だったな。だから、宇宙船を種にした手品かトリックの、そういうマニアで、別に私はその頃からそれを信じた訳では全くありませんし。

【記者】思い入れは強いという…。

【知事】いや、思い入れはないですね。

【記者】ありがとうございました。

【記者】2つありまして、来年はいよいよ五輪の招致競争が本格化すると思うんですが、知事、以前、どちらかの会見で、伏魔殿的な戦いに近いニュアンスの言葉を使われていたと思うんですが、これは多分、申請ファイルをきちっとつくっても、優秀な計画の順番に、半分は政治の世界ですから、順番に勝てる訳ではないという意味だと思うんですけど…。

【知事】いや、もっとどろどろしたものがあるみたいでね。これは私が言ったんじゃなしにね、推進のためにメディアの幹部の方たちに集まってもらったときに、3つぐらいテレビの社長さんが来たけど、そのうちの2人が言ってましたな。「いや、石原さん、そうおっしゃるけども、これは伏魔殿ですぞ」ってね。そこら辺の実感、私、やってみたところが、わからないですからね。しかし、覚悟を持って臨まなきゃしようがないでしょう。

【記者】じゃ、それはそういう計画をきちんと詰めるということと、それ以外の手練手管も含めて来年は競争に臨むという…。

【知事】それはそうでしょうね。しかし、日本人というのは、手練手管はうまくねえんだよね、ばか正直で。

【記者】あと、もう1つ、猪瀬さん(猪瀬直樹 東京都副知事)が来週、夕張に派遣される職員の方を連れて北海道に下見に行かれて、2人の職員の方、来月から赴任ということだと。猪瀬さん自体は就任から大体半年たたれて、参院の宿舎問題とかこういう地方支援の問題とかでいろいろ建言もされてきたと思うんですけれども、半年間の活躍ぶりを見られてどうですか。

【知事】大変評価しています。大変ありがたいと思っています。彼はやっぱり調査の能力があって、それが早いんでね。何でも気になるとすぐ調べるのね。幹部会で出るウナギが何でこんなに冷たいんだってね、みんな我慢して食ったら、彼はパッと調べたらね、お役人たちが、粗相があっちゃいけないって50分前にとるんだって。50分前にとってもらったウナギを食ってもありがたかねえよな。そういうことから、とにかくもっといろんなこと、大きなこと、パッと調べてくれるんで非常にありがたいですよ。

 やっぱり関心の度合いだよね。役所から来た副知事とかそんなものじゃ、それなりの能力があっても、もうちょっと柔軟な幅の広いベクトルというのを持てないから。

【記者】明日で、知事が報道官制度をつくってから1年になるんですよ。

【知事】はあはあ。

【記者】そこにご本人がいる前でちょっとあれなんですけれども、この間、報道官はお二方、交代もされているんですが、報道官制度をやられてみての1年間の評価と、都民への説明責任が果たされているかどうか、ちょっとその辺をお伺いしたいんですが。

【知事】あなた方の評価としてはどうなんだい。あなたが、要するにクレーマーでクレームしてもらいたいな。直すところ直しますよ。どうなんですか。あなたはどう評価しているの。そんな厄介な問題起こっていないからね、おかげさまで。この前選挙を構えて、あることないこと言われましたけどね。

【記者】本当に大きな都政の方向は知事に聞きますし、また、細かい事務的なことは原局に聞くので、なかなか微妙なところがあるんですけども。

【知事】いや、それはオーバーラップしたってさ、私も年じゅうここへ来る訳じゃないからね。報道官があるのは当然必要だと思いますよ。内閣だって、そう毎日総理大臣が出ている訳じゃないからね。まあ、それが好きな人もいるし、嫌いな人もいるけどね。そのために官房長官がいる訳だから。また違っても、ホワイトハウスの報道官もありますからね。いいんじゃないですか、それ。無駄ですか、こういったこと。無駄だと思う?

【記者】そういう訳ではないんですが。

【知事】いいじゃないか、だったら。何を言いたいんだ、君は。

【記者】知事もご存じだと思うんですが、C型肝炎訴訟で和解の協議が進んでいたんですが、昨日事実上の協議決裂となったんですが、それに関して、知事の所見を…。

【知事】僕は、こういうことはあまり詳しく知らないんですがね。薬の会社と与党の一部の政治家のかかわりを役所が気にする節がある。これ、名前言わないから、私、はっきりはね。これは、かつての経世会の御三家というのがあったんだ。要するに、薬の行政というのを狂わせたのはこの連中ですよ。これはやっぱりね、経世会の財源でもあったんだよ。

 だからね、要するに、ミドリ十字の問題なんかも、とにかく役人が世界が狭くなってどんどん情報が入ってくるのに、そういったものをフィルターにかけもせずにね。まあ、だれの意向を介してか知らぬけれども、薬の会社を守るために打つべき手を打たなかったんじゃないですか。私ね、やっぱり、そういう行政の不作為の責任というのが露骨に出てきたと思いますよ。今度の問題だってそうですよ。

 それから、東京でも起こっていた、あのぜんそくの患者さん訴訟にしたってね。要するに、大きなものの流れをわからない政治が対処し損なう。とにかくわかり切ったことなんだけど、まだ大丈夫、大丈夫だということでずるずる引っ張っていって、ああいう大きな惨事になっていく。C型肝炎だってそうじゃないかと私は思いますね。

【記者】原告団のほうは、全員一律救済という和解、大阪高裁の和解案を超える…。

【知事】僕ね、ちょっとその問題はあなたに言われても、判例、要するに、勧告文ですか、裁判所がコメントした文書を詳しく知りませんし、この問題について精通していませんからね、あまり責任のある答えはできません。

 ただ、やっぱり総括的に言ってね、今までのほかの事例を見ても、国の特に厚生省の、かつてはそういう非常に実力を持った御三家なる人たちに気兼ねしてだね、要するに、明らかに過ちを犯しつつある薬の会社に注意もしなかったという、役人のそういう不作為というのは歴然としてあります。それ以上のことは言えません、私。今度のがそれに適応するかどうかわからないけど。

【記者】政治決着を求めていたということですが、具体的には政治決着というのは出てこなかったということなんですが。

【知事】それは、君が自分の記事で書けよ、そんなこと。おれに言ったってしようがないよ。読むか読まないかわからんが。

【記者】実行プログラムについてなんですけれども、さまざまな目標の具体的な数字が盛り込まれていますが、その数値について、実効性のハードルというか、知事はどのようなふうにとらえていらっしゃいますか。

【知事】まずとにかく目的、具体的な目的を設定しなかったら、物事は動かないからね。結果として、それを超えるか超えないかは、それはやってみなきゃわからんですよ。今からそれをあなた方に評価してもらうこともないしね。3年たったとき評価してもらいたい。人を批判するのは簡単だけどさ。ただ、これを目的にしてやるということ。

【記者】来年2月に2回目の東京マラソン開かれますけれども、今後、東京国際女子マラソンとの関係というのを知事はどうお考えでしょうか。

【知事】向こうは一緒にやらせてくれと言うから、結構じゃないですか。そうなってくるとね、マラソンのスケジュールというのは非常にタイトでね。仕方なしに2月にやった訳だけど、向こうがやっている11月に空きができるならね、どっちがいいかということをこれから考えるべきだと思います。

【記者】そうすると、3回目以降は統合を視野にということになりますか。

【知事】それはそうでしょう。

【記者】今回で今年最後の知事会見となりますけれども、先週の会見の引き続きの質問なんですが、今年の都政を漢字一文字であらわすと、振り返ってですね。

【知事】そんなもの言わないよ。考えたこともないから。

【記者】先週の会見で、考えていくのでと、考えておいてくださいと。

【知事】風邪ひいているから、考える暇なかった。咳ばかりして。

【記者】知事、今年ご苦労さまでした。

 それで、ちょっとダブって申し訳ないんですけど、先ほどの質問でもありましたけれども、五輪招致、来年、招致活動、本格化していくということなんですが、例えばやはり五輪招致までには、IOC(国際オリンピック委員会)委員の投票で決まるということがございまして、各大陸ごとの委員に対する何らかのアプローチというのがこれから必要になってくると思いますが、来年以降の戦略等、何かお考えのことがあれば、まず教えていただければと思いますが。

【知事】きめの細かい対処にしなくちゃいけないんでしょうけど。昨日も実は中南米の大使の会議があったんで、外務省に行きまして、資料も提供して、そこで話をしました。それに関して、ギリシャ大使とどこをやったのかな、望月さん(望月敏夫 外務省参与)という人が参与になって、大使の資格で、今プロモートを手伝ってくれていますけども、彼のほうがむしろ詳しくてね、きめの細かいってどういうことですかって質問があったのかないか知らんが、要するに、私の話を受けて、例えばどの国のIOCの委員の奥さんは何が好きかとか、オペラが好きとか、食べ物は何が好き、そこら辺まで考える。これは、まあ、大変なことですわ。そこまでやらにゃいかんのかなという感じがしますが、そういうものらしいよ。

【記者】来年以降、知事のトップセールスというのがいろんな場面で出てくるケースも多々ふえそうだと、そういうふうな見通し…。

【知事】トップセールスをやるなら、それは私が動けば済むことですからいくらでもやりますけどね、そんなものは必ずしも十全に通用するものじゃないらしいよ。あそこの国のIOCのメンバーの奥さんはチョコレートが好きだ、どのチョコレートがいいか、ハーシーじゃだめだ、ゴディバでも、そんなことで、そこまでやってられねえや、こっちはね。それは手分けしてやる以外にないんだろうけど、それぐらい何か神経を使うみたい。あんまりIOCの裁定が非常にラショナル、合理的で、理性的で進むかというと、そういうものでもないらしい。

 例えば今度コンサルタントに迎えましたが、シラク(ジャック・シラク 前フランス大統領)のずっとアシスタントをやった、閣僚もやったある女性がいるんですけど、名前忘れたな、その人に、東京を今度手伝ってくれるように頼みましたけど、その人に言わせると、例えばアフリカみたいなところに行くと、みんなかつての植民地で宗主国が違うというんだ。要するに、オランダがあったり、フランスがあったり、イギリスがあったり、ドイツがあったりする。そういうところに行って、英語が共通語だからといって、向こうは最近独立したばかりなんで、英語なんかよくできない連中に英語で話しても、何でフランス語で話さないとか、何でベルギー語で話さないとか言われるんだって。そこら辺はものすごく厄介で、そこら辺まで気を使うとなると、これは相当手分けしてやらないと、かなり厄介だ。特に日本人というのは、こういうのは難しい、うまくないですからね。

【記者】わかりました。もう1点だけ、済みません。先ほどもちょっと出ましたが、知事、今年最後の記者会見だということです。例年、愁眉の「愁」とか、漢字一文字とか漢字二文字とか…。

【知事】それはあなた方の、要するに勝手な要求で、おれ、そんなことやっている暇ねえよ、咳ばっかりして。風邪が治らないから、イライラしているんだ。一言で言えば「咳」だな、「咳」。(笑)

【記者】どうもありがとうございました。

【知事】あまりありがたくないだろう。

【記者】漢字一文字とはあえて言いませんので、今年の総括、来年の抱負という月並みなテーマなんですが、ちょっとお聞かせいただければと思います。

【知事】いろんなインタビューでも言ってきたし、ここでも言ったと思うけども、これはやっぱり我々はかなりきわどいところまで来ちゃったと思いますよ、環境問題に関して言うと。それは、この間のバリ島のあの会議を見てもね、結局、実に何というか内容のない会議でしかなかった。しかも、日本はアメリカの片棒を担いだ訳だ、京都議定書の国でありながらね。

 そんなに我々は、この事態で待てるのか。例えばこの夏に解けた北極海の海氷の量と、それが復原した量を比べれば、どんどん減っている、要するに、補いきれていない。それをずっと重ねていくと、専門家は明らかに2028年、21年先には、北極の氷は全部融けちゃうと言うんだ。明言している訳だよ。

 そのときに、いろんな事態が派生して出てくるでしょうけど、さっきも言ったな、同じことを今日は話してばかりいるんだな、例えばブータンなんていうようなヒマラヤの途中でひっかかっている国が、上から津波が降ってきて、氷河湖が融けて決壊したら瞬間的に押し流されて、さらにどこに押し流されるか。要するに、下のバングラデシュに行く訳だ。バングラデシュというのは非常に低地帯ですから、1週間で水浸しになると、国そのものが滅びるかもしらんけども。まあ、先進国は、しょうがねえな、おれのことじゃねえや、自然災害だからしようがないで済むかもしらんけども、アメリカがやっぱりそういうひどい目に遭ってくると、オーストラリアなんか実際に今、干ばつが続いて、農民がバタバタ自殺している訳ですよ。それはどういうふうに救済しているか知りませんよ。だけど、先進国でそういう事態が起こらないとわからない。

 そういう点では、やっぱりヨーロッパというのは知的な水準が相対的に絶対値が高いから、ヨーロッパでは非常に危機感を持っているけど、ヨーロッパの、何というか、出先であったアメリカとの意識が、違いが出てきて、やっぱりこの間のバリ島の会議でひんしゅくしているのはヨーロッパでしょうよ。それで咎められているのはアメリカであり、その片棒を担いだ日本であり、そっぽを向いている中国であり、ブラジルであり、オーストラリアだってそういう事態が起こっているのに、京都議定書に入っていないんでしょ、まだあそこ。

 こういう事態をみんなどうするかということになると、生きている間に住んでいる町、あるいは隣の人、会社の同僚に迷惑をかけたら気の毒だ、申し訳ない、責任があるかもしらんが、えらい事態が22〜23年先に起こってくるのが想定されていても、その頃生きていないんだから、我々は。あなた方は生きているかしらんけども。その生きていないような人間が、みんな責任を持ってものを話している。そういう人たちの責任感というのは那辺(なへん)に向けられるかということになってくると、これは難しいですよね。本気で考えないと。

 日本なんかやっぱり知的な水準は高いほうなんだから、メディアの諸君も、そういう問題についてもうちょっといろいろ勉強して、ものを多く言ってくれよ。

 恐らく都は都なりに誠意を尽くしてやろう、今の都民に対するよりも、むしろ30年先の都民に対しての責任の履行で、企業に対するCO2削減、つまり節電の義務化をしたときに、義務化というのはやっぱりペナルティーを加えなかったら、義務化にならないでしょう、必ずこの問題は訴訟が起こってきますよね。起こったほうがいいと思うんだ、僕は。初めて世間の耳目が集まって、何でこんな騒ぎになったのかって、それは問題意識につながるから、そのほうがむしろいいかもしれないけど。かなり厄介な問題ですよ。

 それは水俣病のときに、私も随分苦労しました、大臣でね。だけど、あの時にやっぱり通産省なんかは、完全にこれは有機水銀だという結論を出した委員会の報告ってのを隠しちゃったんだから。僕は、参事官が通産省から来ているから要らないというので、「あの報告書を出せ」とけんかして、1年間とにかくやったけど、ついに出さなかった。そういうことを平気でやる訳だ、国の役所は。厚生省だってそうだよ。今の経産省だってそうだよ。繰り返して言うけど、この間、東京でやった先進国の工業技術の先端技術を持っている専門家たちが集まった会議で、今の経産省が、「この会議の議題は環境問題にするな」と言ってくるんだよ。日本側の発言の内容をチェックしに来る訳だ、「こう直せ」って。一体だれのための忠義立てなの、この役人の。経済界でしょう。点数を稼いだって、何になるのそんなもの、本当に。

 そういうことをあなた方こそちゃんと監視して、この問題なんか西澤さん(西澤潤一 首都大学東京学長)に聞いて、要するに、取り上げてくれよ。環境問題がこういう時代に、何で日本の経産省がそういう国際会議で、そういう横やりを入れてくるの。信じられないね。そういうことが、やっぱり私たち、これからもっと深刻な問題になると思いますよ。

 はい、どうもありがとう。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)