石原知事記者会見

平成19年12月13日更新

石原知事緊急記者会見録

平成19(2007)年12月11日(火)
10:28〜10:52

知事冒頭発言

【知事】お聞き及びかもしれませんが、土曜日にうちの財務・税務(主税)両局長が財務省に呼ばれたのかな、それで「国の意向としてはこういう形で法人事業税をいじります。つまり地方税である法人事業税を国税に変えて譲与税という形にして地方に補填をするぞ。」と言われた。それで、その意向もこちらなりに正してもね、さっきも官邸行ったけど、泣く子と地頭と政府には勝てないんだ。過去にもね一方的にやられたんだから。抵抗する術ないんですよ。要するに東京にしたって愛知にしたって対象に、大阪も神奈川もですか、割り食うな。まあ大阪なんか交付税で補填されるから、いずれにしてもそのときにうちの局長たちが「そんなことじゃとても石原は了としません」、国が「これから先、首都東京の、国の心臓部・頭脳部としての機能を維持あるいはさらに増進のために全ての手立てを尽くす、それを約束します。」というから、役人の約束なんて当てにならないので、「総理に一筆書いてもらいたい」って言ったら、「総理の一言は金よりも重いので、そんなもの書かせる訳にいかない」、それはやっぱり役人は守るわな。総理の言ったことだって役人は後でひっくり返しますしね。そしたらうちのスタッフが「一回総理に直に石原を会わせてもらいたい」って言ったら、総理もよろしいということで、今日9時半に官邸で会いました。3、40分話し込んできましたけど、今の総理とは私も独特の関係があってね、お父さんの福田内閣が私に無派閥にいて登用されて閣僚になりましたが、その前の喧々の角福戦争に私は参加して角さん倒した訳だけども、その後ね、三木なんていい加減な総理大臣きて内閣出来てね、かなり国、ズタズタにした後、福田赳夫さんが総理になった。今でも覚えてるんですけど、ある有名なお坊さんが、お経にあるんだけども、福田(ふくでん)を買うといって、豊かな田んぼを買うという言葉があるんだけど、福田赳夫は福田を買わずして貧田を買ったといわれたんだけど、まさに貧田でしたね。ただね今度の康夫さんはお父さんよりもっと貧田だね。これはもう貧田というより荒地だな。それは本当に総理としても気の毒というか苦しいシチュエーションで窮余の一策というか、最終的には総理も仕方なかろうということで、「なんとか了解してほしい」ということでしたから、「わかりました」と。ただ東京は日本の頭脳部であり心臓部であるんでこういったものの機能の維持が衰微していくと国力の衰退にもつながりますよ。だから東京は東京なりにいくつかの考えているこれからの政策もありますが、オリンピックは別にして、そういったものに積極的に国は理解して協力してほしい。例えばいくつかの規制の緩和などもあってしかるべきだと思います、といくつかそんな話をしました。それで、総理だっていちいち、細々としたことを精通している訳ではないですから、それに関係する省庁とね、都側の実務者が、新しい機構を作って、それで積極的にポジティブに話すことにしましょうということで、それをいかに運用し、都の活力を維持するかという具体的なアイテムについても、基本的に総理に了承してもらいました。総理が了承しても、出来ることできないこと、役人の反対もあったりする訳で、例えば、羽田の国際化のときにね、国交省は成田の問題に気兼ねして、年に3万回と、石垣しか飛んでいかないやつでね、そんな馬鹿な話、あなたもね、新福田ドクトリンかざしてASEAN重視しているときにね、とにかく、成田経由でいったらべらぼうな時間がかかる訳で、羽田からだったら、ASEANだったらポッと飛んでいけるんだから、やっぱり、年に3万回とかね、石垣の、1700km以遠は飛ばないとかねそんな馬鹿なこと、どんどん日本の国際会議減っているし、東京の国際会議減っているんで、そういうもの増幅するためにもね、こういったもの、積極的に考えてくださいといったら、わかりましたということでした。それからまた、これから民営化の問題が動き出てくる訳だけれども、東京にある2つの地下鉄もね、片方は民営化して、株売りに出るんだけど、そのあと東京が抱えているハンディキャップを負った、もう一つのメトロもですね、これやっぱり今の規制取っ払って、もっと自由に、そういう規制を取っ払って運輸審ですか、そういうバリアも取っ払ってもらいたい。それから、これはまあ根回ししてやってきたことなんですが、首都の致命的な機能の欠陥である、外環と圏央道、こういったもののプライオリティを、社会工学的に考えて、オリンピックも副次的にある訳だけれども、いずれにしろ、オリンピックがあろうがなかろうが、首都としての一番のマイナスである、交通渋滞というものを、とにかく取っ払うために、こういったもののプライオリティを考えてもらいたい。これからですね、幹線道路の会議がある訳ですけれども。そういったものも、わたしたち、見守るというか、すでに、根回しというかな、やってますけどね。あるいは認証保育所という、厚生(労働)省が頑なに国の基準を構えて、容認しない。しかも最初の年には7か所であったのに、今300何か所になって、それでも需要がとにかく満たしきれないという、こういった認証保育所、つまり都市の機能に沿って、駅で子どもを預けて、帰りに通勤の帰りにお母さんが拾って帰る、こういうものを何でつまり、国が正式な認可の対象にしないのか。こういったものを、役人の硬直した考え方でしかないんでね。これを認可して、国なら国の補助を正式にしてもらいたい。また、その他この他のことを話しました。お手元にもリストを配っているようですけれども、それから、オリンピックの招致に対する全面的な支援、なにも本当にお金出してもらうつもりない。ただやっぱり財務の保証って言うものを国が責任を持ってやるってことを明言してもらわないと、とても戦いに勝てませんから。これは総理も良くわかっていまして「わかりました」と「それはもう全面的にやります」と。要するに、私は何も物質的な援助をしてもらうつもりはないし、ただまあねえ、これから先、どういうんでしょうねえ、東京にある国際競技に耐え得る規格に満ちたメインスタジアムが国立でなくて都営、都立であるということでいいのか悪いのか、そこらへん国の沽券の問題もあるだろうけども、そういったものの建設費の問題も国のメンツも含めて考えてもらいたいという話をしたんですがね、その他この他ねえ、大まかですね「わかりました」と。「やっぱり私も東京というのは首都として集中集積が非常に進んだこの国の頭脳部であり、心臓部であると思ってますから、それが衰退することは、国家の衰退につながるし、どういうのかな、大変なことだと思いますから、その責任はきちっと自分が、少なくとも自分が総理大臣でいる間は果たします」と言ってくれました。

 さて、この決して好ましくない新税法っていうか、税制の改革、改正、改悪ですけどね、「これは当然時限立法でしょうな」と言ったら「もちろんそうだ」と、とにかくみなさんもご存知のように、年金の国庫負担というものを要するに50パーセントに増やすという、国の負担分をですね、50パーセントに増やすという約束を既に内閣としてしてる訳だから、これを破る訳にはいかないし、これはねえ、消費税をいじらならなければ絶対できませんよ、こんなものは。やっぱりね、それが実現するまでということで。総選挙はどういうタイミングで行うのか知りませんがね、その結果今の自民党が与党として残るのか、残らないのかわからんけども、いずれにしろ、もう一旦した約束を、年金の問題深刻ですからね、高齢化時代に何党が与党になろうとほったらかす訳にはいかんでしょうし、消費税、あの税源の確保ためにもね、消費税というものはとにかくやらざるを得ない。日本は変なトラウマがあってね、国民もそれに扇動されているけれど、こんな公平な税はないんですよ。みんな知る人は知ってる訳だけどなかなか言い出せない。ただやっぱりそのねえ、年金に関して既に政府がしている約束の建前から言ったってせざるを得ないんでね。そりゃやっぱり、一両年かかるんでしょうな。それまでのことだということですからね、そういう限りの時限立法ですねと念を押して帰ってきました。

 とにかくこれ国が言い出したら逆立ちしたって勝てないんだから。これはねえ、法人住民税ということなら、私もねえ、企業の立場に立っていろんな訴訟も起こし、いろんなこと考えたけども、過去にもですね、法人事業税の分割基準、2回も一方的に変えられましたがね、それだって一方的に押し切られ、これだって太刀打ちできない、まさに泣く子と地頭と政府には勝てないんだよ。ただその時言ったのは、東京は東京なりにね、行革もやりね、余裕も少しできてきましたけど、その結果。ただ、他の県のこといちいち斟酌(しんしゃく)する私、立場じゃないが、やっぱり愛知なら、愛知、ターゲットになっているのは大阪、まあ神奈川県もですねそれぞれ言い分があるでしょうから、それはやっぱり県によって窮状も違いますし、そういったものを斟酌してあげないとだめですよというのも申しました。

 私からご報告するのはそういうところですな。

質疑応答

【記者】あの最後にですね、他の有志連合を組んでいた府県のことがございましたが、こちらの府県からもいろいろ要望はあると思うんですけども、それは都と国の協議組織の場では一緒に取り上げていくのか、あるいは個別にやってもらうという形になるのか。

【知事】今日話したことはやっぱり東京プロパーの問題ですからね。総理もそれは基本的に理解した。わからないことは逆に質問されましたけれども。他の県がどんな問題をですね、国にもちかけるか、私そこまでわかりませんから。あの、それ統合してね、どういう会議の機構を作るかっていうのはこれからの問題ですから。少なくとも東京は、東京プロパーの問題に関してはですね、政府と直に実務者の協議をする、そういう体制をとっていきます。

【記者】先ほど知事のお話の中で、国と都の協議機関を作ると、個々の案件に対して、関係の省庁との協議の場を作るのか、一括した国と都とのパイプ役みたいな…

【知事】これはやっぱりね、ものによったらね、要するにねラインまたいだ問題もあるだろうからね。それをどういう風に組み立てていくか、これからの両者の協議の問題。こちら側が出したリストを向こうが全部のむかのまないかはわからないし、その過程で決まっていくと思います。ものによってはやっぱりね、非常にマルチな構成になると思うし、ものによってはねバイラテラルな(二者間の)交渉になると思います。

【記者】知事はこの問題に関して既に、東京の財布に手を突っ込むですとか、強盗のようなものですとか、いろいろとおっしゃっていましたが、その認識は変わらないという…

【知事】変わりないじゃないですか。やっちゃいけないことだよね、これ本当にね、地方自治というものを壊すんだから。窮余の一策っていったって限界があると思うけど、よほど策が無いんだね国には。これは何も福田さんの責任じゃありませんよ。役所全体の問題。例えばね、秀直さん(中川秀直 自民党元幹事長)が言い出した埋蔵金の問題だってね、はっきりしてもらいたいね。ああいうもの吐き出させたらいいんだよ。すぐにそうすると族議員がかばうけどね。国は一体ね、どれほどの行革をやってきましたか。国の役人の数どれだけ減りましたか。役人あるいはね、政治家の歳費はどれだけ減りましたか。東京はね、切り詰めてやってきたよ。5万人も整理したんだよ。こんなことやらずに、相変わらず、要するに人事院勧告だってのっぺりしたもんでね、それをまあ鵜呑みにしてきて、ようやくね、最近になってやっとそういうものを軽減するべきだって案も出てきてのんでいるけれども、今まではどういう風な兼ね合いだったか知らんけども、人事院そのものはあまり国に対しては、あまり強い勧告しなかったじゃないですか。みんな役人がコントロールしてるんだよ、こんなもの。自分達の身にものが及ぶから。本当見事に官僚支配の国家になったなこの国は。だから渡辺喜美君(内閣府特命担当大臣)がだな、親父以上の迫力でやってるけどね、みんな言うこと聞かないじゃない。政治家が結局ね、その肩持たないからだよ。

【記者】今回の法人事業税の税収、実際には、規模は4000億位が地方に移ることになるんでしょうか?

【知事】東京だけだと3000億強でしょうね。まあね、愛知、大阪いろいろネゴあるみたいで、国が言ってる800億を400億になるのか、云々てありますよ。神奈川県がチャラなのかな。大阪は交付税で補てんされるから、実質何十億でしたかな、その程度で済むのか、済まないのか。それは他人のことだから、わかりませんが、東京に関しては3000億強。

【記者】そのことで東京都にとって財政的な影響はありますか。

【知事】そりゃありますよ。やることはたくさんあるんだから。

【記者】東京都民にこのことについてどう理解いただくか。

【知事】理解も何も一方的に言われてるんだから。怒るか、我慢するしかないだろう。理解できないこんなもの。これは、まさに国家権力の一方的な発動ですよ。自分の責任を棚上げした。片方では地方分権、分権って言いながら、まあ、地方の財布に手を突っ込んでくる。他に困っている県もあるだろうけどね。その県が、今までどれだけの内部努力、東京並みにしてきたか。あんまりね、他の県で人員整理したとか、財政の縮減したとか、僕は聞きませんな。

【記者】先ほどの時限立法というところですが、知事の認識は年金財源が確保されるまでというのは、具体的には何年先までという認識でいらっしゃいますか。

【知事】僕は、そこまで国のやりくりって詳しく知りませんがね。とにかく、約束したんでしょ?年金の国庫負担の分をパーセンテージ上げるっていうのは。それは、とにかく時限としても約束したんじゃないですか。明言したんじゃないですか。その予算を組むためには、パイを増やさないとできっこない訳だから、結局、消費税に付加する以外ないでしょう。あなたがたが調べればわかることだけど、おそらく2年ぐらいじゃないでしょうかね。そのなんていうか、国が国庫負担を50%に上げる約束の内容が時限的にどうなってるか、私、知りません。ただやっぱり、その縛りがある限り、とても実現できないんだから、パイを増やさないと。その時点で消費税をいじる以外ないんじゃないでしょうか。

【記者】その時点でまた、元に戻すということですか。

【知事】そうですね。だらだら続けられたら、たまらないよ、こんなこと。

【記者】今回東京は、幾ばくかの見返りが得られる見通しになったんですが、石原さんが、問題提起をされたおかげで、かなり過疎地の自治体にメリットがあっても筋が悪いという世論が相当広がった訳ですけれど、今回これは緊急措置として、今後もっと強力に地方分権、地方への税源移譲に石原さんとしては今後訴えていって、東京がメリット、対価を得たからこれで…

【知事】東京が満足できる対価が得られるかどうかわかりませんよ。あとはやっぱり政府の姿勢次第でだね、役人の約束なんて、本当にそれはね、女郎の起請よりもっと当てになんないよ。

【記者】協議するというだけで実際なにも来ないことも考えられる…

【知事】まあそうはさせないね、そりゃあ。そうなったらもうあれだな、暴動になるねこりゃ、静かなる。まあ総理もやっぱりそれは心配してるしね、そのね、その東京の機能が低下しっきりで、上がってこなかったら東京の問題だけでない、国の問題になりますから。

【記者】今回の国との話し合いで福田総理と初めて会って話をされたと思うんですけども、心情的にはあれですか、致し方がないという、納得はしてないけれども、もう致し方ない処置であるという東京都としての判断だと、そういうふうなニュアンスでしょうか。

【知事】いや致し方ないとは思わないね。もうちょっと知恵を凝らして努力すりゃいいんだけどね、努力もしないでだね、内部努力もしないでね、いきなりかぶせてくるってのは、これ何も総理の責任じゃないけどね、ただ僕はそのやっぱりね、福田康夫って人がね、本当にお父さん以上に名前の通り福田でなしに貧田以上の荒地を継がされたってのは気の毒なことだと思いますよ。まあだから、そういう心情だ。これしかし心情で済む問題じゃありませんから。やっぱりその論理という筋の通らない、まさに自民党の中にもこの税改正ってのは非常に筋が悪い、これ専門用語だよな、あなたがたはわかるだろうけど、要するに筋が悪い、こんな筋が悪い税法無いいってみんな言ってんだから。それを敢えてやるってことはね、どの程度の覚悟か知らんけど、こっちだってそこに付け込む訳じゃないけども、とにかくそれならそれでちゃんとやることやってくれということですな。

【記者】これで税収が3000億減るということなんですが、来年度の予算編成はどういうふうに…

【知事】もうこれ織り込んでせざるを得ないでしょうね、そりゃ。

【記者】ある程度行政サービスが落ちてしまっても止むを得ないと。

【知事】さあこれはわかりません。まだね、東京都に余裕は少しありますからね。これにわかにそういったねマイナスの要因が露呈してくるってことは避ける努力をしますけれども。行政のサービスっていくらでもありますからね。その何て言うのかな、その橋建て直すとかね、要するに何ていうのかな地震のための、耐震強度化の事業のいろんなものだってその行政の責任でしょ。こういったものはボリュームとしたら落ちてくるざるを得ないわな。はい、どうもありがとう。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)