石原知事記者会見

平成19年12月13日更新

石原知事定例記者会見録

平成19(2007)年12月7日(金)
15:01〜15:18

知事冒頭発言

1.地方法人2税の見直しに対する四都府県緊急アピールについて

【知事】冒頭、2つ申し上げます。

 既に資料はお手元に配付したようですけれども、例の地方法人2税の見直しに対する東京、神奈川、愛知、大阪の4都府県の緊急アピールをいたしました。お聞き及びでしょうけどね、来年度の税制改正に向けて、与党の税調(税制調査会)などで議論が大詰めを迎えていますが、国が税収の格差の是正という名目で、都を初めとする大都市から法人2税の財源を強奪し、地方に配分しようとすることを依然として考えているようですが。三位一体改革の怪しげな、改革と言えるかどうかわからんけども、国のご都合主義で、つまり国そのものの財源の確保のために、従来ついていた地方交付税を大幅に削減した訳でね、地方財政も途端にピンチに陥った訳ですけども。

 国は、自分自身は行財政改革を満足にも進めていませんな。国の公務員の数が減ったと聞かないし、今も特殊法人、とにかく問題があり過ぎるから削ろうと思っても、渡辺担当大臣(渡辺喜美 内閣府特命担当大臣・行政改革担当)は悪戦苦闘しているけど、どの省庁も、これ削ります、これ直しますというオファーをしていないみたいですし。そういう責任というものを履行せずに、それを棚に上げてね、相変わらず地方間の財政調整によって地方に責任を押しつけようとしている訳で。

 これまでも東京都は、神奈川、愛知、大阪の3府県と協力して、全国知事会などで、法人2税の見直しが地方税の原則に反する。あるいは地方自治体の税源涵養努力を無にするという、地方分権に逆行する極めて乱暴な、愚かしいものだということを主張してきました。

 加えて、東京都に関して言いますとね、昼間(流入)人口が一番多いときは370万、今でも350万。350万というと、単一の地方自治体の中で一番人口の多い横浜市の人口に匹敵する訳ですよ。そういう人たちが東京にやってきてね、とにかく仕事をするのは結構だけども、そのためのライフライン、水や電気あるいはアクセスや治安も含めて、私たち、それを都の行政として賄っている訳だから。そういった非常に特異な東京の実情を全く斟酌(しんしゃく)せずに、東京は税収の量が一番多いから何とかしろというのは、とにかく言語道断というか、国はですね、つまり国の権限で一方的にこういうことを地方に押しつけて、何でもまかり通るというのはどういうことなのかね。ちょっと考えられない、よく考えてみると。国だから、国の権限でやるんだから黙ってついてこいということじゃないでしょう。

 税制改革の議論が大詰めを迎えております今、4都府県はですね、地方自治の死を招きかねない、そうした国の姿勢を正すべく、昨日、緊急アピールを発表しましたが、本日も4都府県で、副知事を先頭に、関係機関へ申し入れを行っております。国は、緊急アピールの意味するところを酌んで、後世に禍根を残さないように、真っ当な、国民が聞いても納得のできる議論をしてもらいたいと思いますね。

 ついでに言いますと、東京は独善、独行だと言われるけど、そうじゃないので。いろんなことをしていますが、小さなことですけども、夕張市に諮りましたら、是非ということでね、優秀な職員を2人派遣します。こういった形で、今までも、警察とかあるいは入管に人を送ったり、協力してきたんですが、それもひとつ皆さんに、ことさら評価しろとは言いませんけど、ご理解いただきたいと思います。

2.オリンピック招致に関する世論調査結果について

【知事】それから次は、オリンピック招致に関する世論調査がわかりましてね。オリンピック及びパラリンピックの2016年東京招致に関する世論調査を行いまして結果が出ましたが、昨日の招致委員会が発表したとおり、12月1日から3日までの3日間、都内1,000人、全国で3,000人を対象に、インターネットによって調査しました結果、賛成は都内で60%、全国で62%でありました。

 主な賛成理由としては、経済効果であるとか、一流の競技を間近で観戦したいとありましたが、賛成の割合は、これは、まあ、しかし私の知事選で随分マイナスキャンペーンを張られたから、会社によっては。その結果、非常に結果が低かったけども、あれは選挙を絡めての妙な動きの1つの証左でしょうが。

 いずれにしろ、これは都民、国民にオリンピックの開催意義を、あるいは経済効果などを説明してきまして、かなり積極的にPRを展開してきたことの表れだと思います。今後さらに招致機運を盛り上げまして、目標としている7割以上の賛成を目指していきたいと思ってます。

 なお、できるだけ正確な数値を把握するために、現在、同じ規模で、同じ質問内容で、もう一度調査を実施しているようですが、結果についてはまた追ってお知らせします。

 また、世論の動向を把握するために、これからもこうした調査を節目節目で実行するように指示をいたします。都民、国民の皆様のさらなるご支援をお願いいたします。

 私から申し上げるのは以上であります。質問があったらどうぞ。

質疑応答

【記者】2つお尋ねします。

 先ほど冒頭で言われた件なんですけども、法人2税の論議に関してはいろんな報道が今なされていますけれども、東京都としては、最後まで、どんな形であれ、都から財源を奪っていくような案については最後まで了承しないということでよろしいのかということ…。

【知事】いや、理由が立つものならね、理由が立つものならね、それはね、要するに納得はしますけど。ただね、国家の権限というものは絶対的でね。とにかく過去もですな、2回も法人事業税の分割基準って変えた訳でしょう。それと同じ伝で今度もやるんですか。どうも仄聞(そくぶん)するとですね、譲与にする、しないのものがあるみたいだけど、過去にもそういう事例が、大分昔に何かの例があったようですけどね。まあ、それはどんなものだかよく知りませんがね。

 しかし、国が決めたら、筋の通らないものでも全部まかり通るのかね、これ。こういう事態っていうのは怖いね、僕はやっぱり。それは貧すれば鈍するかもしらないけどね。しかも、政府自身がですな、要するに内部努力してきましたか。してないじゃないですか、全然。給料は減らさない、とにかく人員も減らさないでやってきてね、それであっぷあっぷになってね、今度、東京の財布にいきなり手を突っ込んでくる。とにかくおれは国だから、おまえは地方だから黙ってついてこいというものじゃないんじゃないかな、これは。

【記者】理屈の通るものであれば受け入れる可能性はあるということですか。

【知事】いや、理屈が通るものを示してもらいたいね。今聞く限りでは、そんなもの、理屈通らないじゃないですか。

 だってね、この間も増田君(増田寛也 総務大臣)も、立場は違うけど、彼だって改革知事でやってきたんだけどね、大臣におさまっちゃったら、二律背反で板挟みなんでしょうけども、「やっぱり東京だって大変ですよね」って。過去のね、要するに法人税の税額というのは知ってて、私が就任したときなんか、今の半分くらいだったんだから。東京は土俵を割りそうになってね、下手したら交付団体になるはずだったんですよ。それはとにかくいかんというのでね、みんなで努力して、内部努力してきたでしょう。まあ景気の動向もあって盛り返してきましたけどね。

 増田さんなんかちょっと知っててね、ですから「やっぱり東京が用心するのはわかりますよ」と言いながらだね、うーん。党の税調がどれだけの権威があるか知りませんよ。しかし、とにかくそこにいる連中がだね、地方の窮状、地方の窮状というけど、やっぱり自分自身の責任でもあるんじゃないの、そんなことを言っているのは。今まで一体何をさせてきたんですか。

 早い話がだね、その頃、私も国会議員だったけど、小沢(一郎)幹事長のときにだね、金丸(金丸信 元自由民主党副総裁)と組んでアメリカの言うことを聞いて、ずたずたのことをやったじゃないですかね。やっちゃいけない工事を、8年間で400兆、430兆やったの、国債発行して、訳のわからない道路をつくって。こんな結果が今になってあっぷあっぷしているのに、東京は税収があるからおまえの金をよこせって、まあたびたび申し上げているけども、子どもの財布に親が手を突っ込むみたいな。じゃ、親はもうちょっと働けという話だ、本当にこれ。

【記者】もう1点すみません。五輪の世論についてなんですが、これまでも常々目安を7割という数字をおっしゃっていましたけども、今回の結果の6割という数字に対しての評価というのはどういうふうにとらえていらっしゃいますか。

【知事】だんだんよくなってきたと思いますね。意識が高ぶってきたというのか、こちらのキャンペーンも効果を奏してきた。お宅の会社なんかにも大分いじめられたけどね、当初は。

【記者】参議院のほうで議員宿舎に関するプロジェクトチームがつくられているみたいなんですが、改めて参議院の議員宿舎の建設についてのご所感をいただければと思います。

【知事】だから、あそこの木は切らせない、貴重な財産だから。絶対に切らせないということですよ。だったら、衆議院と一緒に住めばいいじゃないですか。笹川君(笹川堯 衆議院議院運営委員長)なんかだって住めばいいと言っているんじゃないの。ところが、住みたくないのか、何の理由か知りません。100室空いているんだから。

 それから、今のは手狭でどうのこうのというんだったら、建て直したらいいけど、その間、プレハブに住んだらいいじゃない。新潟で被災した人たちはね、あの寒さの中、風も入ってくるプレハブに住んでますよ。何で東京で議員がだね、議員様だからね、建てている間プレハブに住んじゃいけないんだ。あるいは、国が少しお金を出してだね、普通の賃貸のマンション借りたっていいじゃないですか、できるまで。

 とにかく、貴重な財産であるあの緑をだね、とにかく切らせることは絶対にしない。都の環境問題を考えないで、どこの何様か知らんけどさ、どこから出ている参議院議員か知らないけど、とにかくあそこに来て、周りを見てみろというの、本当に。

【記者】温暖化対策の関連で、今バリ島でも気候変動の新たな枠組みづくりというのをやっていますけれども、東京都として、今後、大規模事業者へのCO2排出削減の義務化というのを銘打ってやっていかれる訳で、その中で、産業界からの反発も一層、今後明確化されることによって反発も強まるんじゃないかと予想されると思うんですが、これに対して、知事の、東京都としてやっていくというその決意といいますか、その意見というのを改めてお願いできますか。

【知事】いや、改めて言わんでも、今まで言ったとおりのことですよ。

 ポイント・オブ・ノーリターンが5年後に来るというのは、大体、専門の学者の共通した意見ですな。この間も、東京で行われた工業技術の先端技術の世界大会でも圧倒的にその論があったけども。しかし、それまでにどれだけのことができますかね。やっぱり国によって、地方によっても、いろんな力量の格差がある。その中で、自分の身を切って、何十年先になる問題か、あるいは努力すれば何十年先に実ってくるかわからん努力をみんながするかと言ったら、目先の利を考えたら、多分しないでしょうな。

 東京が強い規制を設けても、裁判が起こったり何かしてね、私は、このままでいくと、残念ながら地球は救われないと思うね、本当に。それは刻々迫ってくるけど、多分おれの生きている間は大丈夫だと思うだろう。今の私たちの子どもたちが、もう子どももいい年になっている人もいるでしょうけども、さらにその孫たちが、本当の危機感を持って、これは大変だというときにはもう間に合わない。

 学者はそれを警告している訳だけれども、場合によっては、経済界に肩を入れた論拠のない発言をする専門家なる学者もいますけれども、再三言っているみたいに、「ちりも積もれば山となる」で、やっぱり相当の覚悟で、できる努力を堆積していく以外にないと思うし、それが大きな効果になるかならないか、これはわからない。

 この間のアジアの大都市ネットワーク21にも出ましたし、5月にありましたニューヨークの、世界の大都市の首長の会議にも出たが、みんな口では危機感、危機感と言うけど、何をするかと言えば、何も言わないね。口を違えたお経の文句じゃない。それで救われるものじゃないんだな。これはやっぱり何かやらなかったら、実際にものを積み上げていかなかったら、どうにもならないと思うけども。

 「何か石原さん、小説家としての妄想とか想像力」と言うかもしれない。しかし、一時期、日本で終末論がはやったことがあるんですね。野坂昭如(作家)なんかも雑誌なんかつくってた。あの頃は僕は奇異な感じがしてそれを見ていたけれども、彼らにどれだけの予見性があったのか知りませんが、その後、雲散霧消しましたが、今やっぱりそういう危機感が現実の形になって、どんどん、どんどん露呈されてきていますよね。

 これはやっぱり有無を言わさぬものがあるんじゃないんですか。アメリカも今年も、州ごとに、こっちで干ばつが起こって、山火事が起こって、こっちで大洪水。そういう現象は今までなかった。これがあと1年、2年続いたら、アメリカのような国でもある危機感を持つでしょうね。しかし、アメリカひとりが動いてもどうなるものじゃないし、中国なんか、この問題、どう考えているかね。ブラジルやオーストラリア。オーストラリアなんかも干ばつで苦しんでいるけども、人口も少ないんで何となくその場をしのいでいますけども。

【記者】オリンピックの世論調査の件なんですけれども、目標としていた7割台に乗せるために、今後、東京都としてどのようなことをしていこうというふうにお考えでしょうか。

【知事】いや、何かいいアイデアがあったら教えてよ。とにかく今までコツコツやってきた結果がこう上がってきたと思うんだけども、これからやっぱり同じものを含めて、プラス何かいい方法があったら。だんだんその手だても増やしていますけれども。

 それから、やっぱり星野チームがああいうふうに優勝したことも1つのインパクトになるでしょう。これから東京や日本で各種の国際大会が開かれる。それで日本の選手がいい成績を上げてくれれば、「よし」という気持ちになるけど、あまり日本のスポーツ、この頃振るわないし、そういうことも自覚して、選手たちも頑張ってもらいたいね、本当に。

 オリンピックで惨敗して、「楽しんできたからいい」なんて言うばかがいたけどね、こんな選手がいる限り、日本は本当に絶対勝てない。そんな楽しむなら自分の金で行きゃいいんだ。「すみませんでした」が当たり前じゃない、日の丸しょって税金で行っているんだから。何かそこら辺がちょっと昔のアスリートと、全部とは言わないけど、かなりいい加減なアスリートも出てきたね。ならむしろ出ないでもらったほうがいいな、本当に。日本選手が惨敗する姿を見せられるんだったら。

【記者】すみません、法人2税の話にちょっと戻るんですが、昨日の党の税調で与謝野さん(与謝野馨 自民党税制調査会小委員長)が知事のところに…。

【知事】今日来ますよ。

【記者】どういったお話をするんですか。

【知事】さあ知らない。これから。話がわかったら、こっちが「来なくていい」と言うかもしれないし、聞かなきゃわからんから。これからなんだ、これから。

【記者】ありがとうございます。

【知事】それじゃ、どうも。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)