石原知事記者会見

平成19年11月15日更新

石原知事定例記者会見録

平成19(2007)年11月9日(金)
14:30〜14:55

知事冒頭発言

1.「東京オリンピック開催基本計画発表会」の開催および「ふるさと特使」の任命などについて

【知事】冒頭、私から3つほど申し上げます。

 1つは、東京オリンピック開催基本計画の発表会を開催します。併せて、各県出身のオリンピアンのアスリートたちに、それぞれの故郷の県で、ひとつオリンピックのキャンペーンを願いたいということで、ふるさと特使という形でご協力願うことになりました。

 最初の基本計画でありますけれども、来年1月にIOC(国際オリンピック委員会)へ提出する申請ファイルのベースとなります東京オリンピック開催基本計画について、広く発表しまして、招致気運を一層盛り上げるために、招致決起集会を兼ねた計画発表会を11月19日にグランドプリンスホテル赤坂で開催いたします。

 発表会では、計画の取りまとめにご尽力いただいた建築家の東京オリンピック招致委員会理事であります安藤忠雄さん、それからIOC(JOC(財団法人日本オリンピック委員会))の常務理事であります福田富昭さんの2人が開催基本計画の概要を説明いたします。政財界、スポーツ界など関係団体を広くお招きしておりまして、多くの方に出席していただきたいと思っています。

 次いで、ふるさと特使ですけれども、これも各県にすばらしいアスリートがそれぞれおられますが、各都道府県出身のオリンピアン、オリンピアンとはオリンピックに出場したことのあるトップアスリートですけれども、それを1人ずつ任命して、各地域における招致気運の盛り上げにご協力いただくものでありまして、東京都からは体操の塚原直也さんを任命させていただきました。なお、このふるさと特使は、先ほどの基本計画発表の際にも紹介させていただきます。

 それから、大江戸線の各駅で、このオリンピック招致の気運を高めるために、全庁挙げた取組みの中から、非常にユニークなプロモーションとして考え出されました。現場に行っていただくとわかりますけど、写真の絵柄で見てもなかなか面白いんで、スクリーンがあって、一種の電子装置でね、関係のない人が、ある台の上に立つと、目の前のプールのような写真に波が立ってね、北島(康介)選手の気持ちが味わえるとか、あるいは実際のバレーボールのネットを張って、そこにボールが据えてあって、それに向かって飛び上がっても、多分、私もそうでしょう、皆さんも届かんだろうけども、いかにバレーボールの選手たちが高く飛び上がって、高いところで空中戦をやっているかという実感を味わってもらうとか、オリンピック種目の29競技を疑似体験できる、そういう展示を、大江戸線の各駅のコンコースを使って展開することといたします。

 その中には、福原愛ちゃん(卓球選手)のスマッシュを、何か自分が、どうやるんですかね、受けられるか受けられないか試せるとかね。いろいろトップアスリートたちの最高のパフォーマンスを、駅という身近な場所で、間近で体感していただけることができるような、それとを通じて、オリンピック、パラリンピック招致の気運、期待感を高めていきたいと思っています。

2.地方分権の推進について

【知事】次いで、地方分権の推進についてでありますけれども、本日、地方分権改革の推進に向けた都の考え方を提言書としてまとめまして、国の地方分権改革推進委員会に提出しました。内容としては大きく3つです。

 第1に、現場感覚のない国は、地方の事業に余計な関与をすべきでない。例えば、東京なら東京を走っている国道のどこを修理するかというのは、そのニーズというのは、現場で仕事をしている東京の職員が一番わかっているんだけれども、国が一方的に決めてくると、その工事に従って都もある部分、負担を持つという妙な仕組みになっておりますが、そういった都なら都の交通体系の中で国道に関しても、どこにどういうニーズが生じているかということは、現場を預かっている東京の職員が一番わかっている訳ですから、余計なことを言うなと。国に、任せておけと言うことを申し上げる。

 それから、国はもうちょっと地方に権限を持たせたらいい。例えば、東京都は、東京という大都会の特異性に応じて、働くお母さんのために、通勤の途中で子供をパッと預けて、帰りにまた引き取って帰る認証保育所というのを、JRの協力も得て駅の近くでやっていますけど、これはいまだに国は認可という形で認めようとしないのですが、こういったものを随分提案しても、まあ国のどんな沽券(こけん)があるのか知らないけど、厚生(労働)省というのはいろいろ問題の多い役所だけども、全然動こうとしませんな。

 だから、解決能力のある地方に権限を譲ったらいいので、何もかも認可にしろという訳じゃありませんから、そういった判断は東京なら東京の福祉(保健)局がやったらいいと思うんですけども。

 それから、第3に、地方が自立するためには、権限に見合った財源の確保が当然不可欠ですね。例えば、法人2税の見直しのような小手先の方法をとることなくて、非常に公平な、西欧では敷衍(ふえん)し切っている消費税のようなのを何で本気で考えないんでしょうかね。政治家が選挙を怖いのはわかるけどもね。だったらやっぱり地方自治体がこの推進力になって、万民が納得する新しい税の措置というものをつくることで、税源がパイとして膨らんでくる訳ですから。

 分権委員会は近く中間のとりまとめを行うようですけれども、東京都の提言を受けとめて、地方の自立の実現に向けて、審議を尽くしていただきたいと思います。詳しくは、知事本局に聞いてください。

3.三宅島のバイクイベントについて

 それから、三宅島のバイクイベント。これは最初のことですから、どこまで成果が上がるかわかりませんが、期待しておりますが、とにかく三宅島の、本当にもう落ちるところまで落ちちゃったあの三宅島の復興に向けた観光振興の起爆剤として、三宅村と三宅島のNPO法人が主催するモーターサイクルフェスティバルが、今月16日から18日の3日間開催されます。

 イベントでは、クラシックバイクやサイドカーなどの走るツーリング・プロ(ツーリスト・プロ)や、全日本選手権として行われるドラッグレース、これは直線の距離を、短期間ですけれども、瞬間的にどれだけのスピードでオートバイが走るか。競泳で言うと100メートル、あるいは陸上トラックで言うと100メートル、要するに、それに似たレースを行います。いろいろアトラクションも含めてメニューを用意しておりますから。私も当日、三宅島に行きまして、ライダーや観客とともにイベントに参加するつもりであります。

 また、このイベントのスペシャルゲストとして、俳優の岩城滉一さんとマン島TTレースの優勝ライダーでありますイアン・ロッカーさんが参加することに決まりました。イアンさんは、文字どおりトップライダーで、今回マン島TTレースの公認親善大使として来日されます。島に行く前にぜひ2人に会って、今回のバイクイベントやモータースポーツの今後についての意見をお伺いしたいと思っています。皆さんもぜひこの機会に三宅島にいらして、復興のために、ひとつメディアもいろいろ協力していただきたいと思います。

 私から申し上げることは、これだけです。ちょっと私ね、3時…、4時かな、4時に総理と大事な話し合いをしますので、間に合うように終わらせたいと思いますから、よろしくお願いします。この後、ちょっと庁内の仕事がある。大体、できたら3時に会見を終わらせてほしいな。

 はい、質問があったらどうぞ。

質疑応答

【記者】先ほどの地方分権に絡んでなんですけれども、きのう発表された増田プランで、いわゆる特別枠を設けて、東京や愛知などから税目交換によって得たものを地方へ配分する、そのことに対する評価と、もう1点、今日の午前中に知事会の地方分権推進特別委員会が開かれたようなんですけれども、そこで各県の知事さんから、これだけの税収格差が生じているのは、第一には、交付税の削減によるものなのだが、それをずっと言っていても現実的ではない。あえて言うならば、いわゆる総務省案の法人2税と消費税の入れ換えを行うべきではないかというような声が結構上がっているんですが、来週の知事会に向けて、東京都の意見というのを、どのように知事会の意見として反映させていくのか、その辺のお考えをお聞かせ願えますでしょうか。

【知事】先ほども関係局とブレーンストーミングをしましたが、ここでちょっと詳細まで申し上げられませんけどね、やっぱり増田君(増田寛也 総務大臣)が言ったのはだめ。これは結局、国家の官庁のお先棒担いでいるだけで、本当の地方分権につながりませんよ。その反論は詳しく後で述べますから、それをマークしてください。

【記者】各県の知事から、そういう総務省案に乗るような声が上がったことについてというのは。

【知事】それは、当座だれでも少しお金が欲しいからね。取れるものは取っちまえということかもしれないけどね、税制の格差というものが必ずしも本当の格差じゃないんじゃないですか。行政の格差がある訳でしょう。

 例えばね、いくつかの税収の上で非常にボリュームのある都道府県、県もほかにありますけどね、大阪に比べたって、東京は昼間人口、370万、人が増えるんですよ。その人間のライフラインの確保というのは、全部東京都がやっている訳だから。光熱、水道、治安を含めてね。あるいは、通行の便もそうですよ。道路の修理もね。こんな行政需要というものの格差をね、どうやって埋めるんですか。それじゃ、ほかの県でやってみろってんだ、本当に。増田君は増田君で東京の都知事やってみろっていうんだよ、本当に。そういう現実的なことなしに、国の役所がつじつまを合わせてね。それは総務省と財務省というのは対立しているだろうけどね、しかし、やっぱり対立したって所詮国の役所でね、自分たちの窮状を打破するため弱い者いじめ。結局、地方は地方でしかないんだから。東京にねらい撃ちして、取れるものは取れというその魂胆はね、まあ姑息というか卑しいというか、非常に小手先で、結局、最後は国全体の被害に降りかかってきますよ。

【記者】今の話なんですけれども、税収格差問題で、町村(信孝)官房長官のほうが、特定の自治体に税収が集中する構造に見直しが必要なのは、石原慎太郎都知事らもわかっているというふうに…。

【知事】わかってないね。全然わかってないね。

【記者】そういう話じゃなく、きちんと議論すれば、一定の答えが出ると。

【知事】町村君は非常に優秀な政治家なんだからね、税収の格差、すなわち、それとね、要するに行政需要の格差が重なっているんだ、実際に。だからこそ、東京都がその需要に応じているんで。税収の格差だけとって、格差を絶対としてですな、それの痛みは東京も理解するなんて、できないね、それは。だめ。町村君によろしく言っといて。

【記者】知事、先週の会見で、ちょうど民主党の小沢一郎代表について、昔と随分言っていることが違うとか…。

【知事】違うね。

【記者】もしくは、嫌なら出ていけというのは乱暴だみたいなことをおっしゃって、この1週間の間に、小沢一郎代表が辞意を表明して、それを撤回するということになりましたけれども、どのようにご覧になっていましたでしょうか。

【知事】いいよ、それは個人的なことは。随分あなた方メディアが、あちこち街頭の声を拾っているからさ、大体それに集約されてるんじゃないの。

【記者】環境問題についてなんですけれども、大規模事業者に対してCO2の削減義務を設ける条例改正案を検討されていらっしゃると思いますが、改めて方針の意図と、経済界が随分と、自主性に任せてほしいということで反対をしているんですけれども、それに対する知事の見解をお聞かせください。

【知事】やっぱりこれはね、結局大きなタイムスパンで考えればね、人間の死活にかかわる問題ですからね。企業は企業で社会的責任を持って会社を運営し、その責任も感じているだろうからね。でも、やっぱり自主判断に任せたら、結局だれもやらないのよ。だから、国民とか都民の総意というものを集約としてね、条例でね、大きな力の企業に、あるノルマをかぶってもらう、背負ってもらうということはね、事態がここまで来たら、私はせざるを得ない措置だと思いますよ。

 日本人というのは非常に知性度の高い国民だから、ほかの国の国民に比べたら、どことは言いませんけれどね、相対的に話せばわかる、そういう何というのかレベルにあるとは思うけど、しかし、この環境問題ね、「まだ大丈夫だろう。まだ大丈夫だ」といううちに取り返しがつかないことになるね。

 つまりね、アクセル踏み過ぎているとね、あるリミットを突破すればですね、急にブレーキ踏んだって、そう簡単に車が止まらないということ。この間対談した山本さん(山本良一 東京大学生産技術研究所教授)というんですか、東大の専門家の学者が言ってたけど、学者によっては企業の先棒を担いでね、まあ地球の全体の歴史を考えれば、今まで第4氷河期まであったらしいけども、次の氷河期の前の前兆でしかないと言うけど、「次の氷河期いつごろ」と言ったら、「1万年先だ」と言うんだ。1万年先まで人間生きていたら、おめでたい話だよ。だからね、つまりそういう意識を企業に持ってほしいということですよ。

 国はだめだ。役所もだめだ。官僚はそういうものに敏感じゃないから、やっぱり民間の人間が鋭敏な感覚でね、物事をとらえてもらいたい。企業は営利追求というのは大事かもしらないけど、それで済むような時代じゃなくなったんじゃないですか。

 この間、東京でね、首都大学東京の学長の西澤(潤一)先生が主宰する日本工学会(国際工学アカデミー連合)というんですかね、要するにそれに関する先端技術の会議が、東京で国際会議をやった。私も主催者(来賓)として出てあいさつしたけどね、後の報告を西澤さんから聞いたら、驚いたね。

 経済産業省などは、あらゆる妨害したね、これで。とにかく「環境問題を主題にするな」とかね、それから「この種の論文を発表するな」とか、「するなら、事前に経産省に見せろ」とかね。こんな感覚で事をとらえたらね、この国だめになっちゃうよ、本当に。結局自分たちで首絞めているんだから。詳しくは西澤さんに聞いてごらんなさいよ。私はあきれ返っちゃった、本当に。

 そんなもので統制がきくものですか。何を守ろうとしているんだろう、そういう役人というのはね。しかも、世界の学者が集まって、画期的なとってもいい会議だって、みんな喜んで帰られた。その報告も受けてますけどね。

 それ見て、経産省がどういうふうに評価しているか知らんけどね、やってる最中、「こういう論文を発表するな。発表する論文に目を通させろ」とかね。あれは本当に官僚の統制ですよ。しかも、やろうと思ったら、人間の生死にかかわる問題についてね、トップの学者たちが知恵出して何か考えようというときに、「余計なことをするな。環境問題主題とするな」とか、どこのどいつがどういう権限で言えるんだ、そんなこと。あきれた話だね、これは本当に。

【記者】猪瀬(直樹)副知事の私設秘書のことなんですけれども、今日専門委員に選任された。その理由を教えてください。

【知事】彼はね、あなたもご存じだけどね、政府税調(税制調査会)の委員をやったりね、分権委員会(地方分権改革推進委員会)の委員をやってくれるとか、国とのかかわりが非常にあるんですよ。道路の整備の問題になんかにしてもね。だから、独特の働きをしてもらっていますしね、それについていちいち、忙しいから私に対する報告を彼が出向いてするよりも、専門委員としての彼のアシスタントが、東京都や私のために、その報告を詳細にしてもらうために私は任命しました。

【記者】これまでの専門委員の方々を見ていますと…。

【知事】いや、これまでって、今は時代が違うんだから。それなりの専門性を持った人間が都政にとって必要だったら、私はいつでも採用します。そういうこと。

【記者】教育委員に関して3つ伺いたいんですが、まず1点目は、瀬古利彦さん(元オリンピック マラソン選手)を12月の定例会に人事案を提案すると内定されたというふうに伺ったんですが、瀬古さんに対する期待、これがまず1点と、あと2点目なんですが、その前任というか、まだ任期は12月まであるんですけれども、米長(邦雄)さんなんですが、米長さんのこの8年間の教育委員としての役割、米長さんがお務めになる中で、国旗・国家の指導とか、あるいは伝統文化の教育というのがかなり進んでいったとは思うんですが、ただ、先生の中の一部にはそのことに対して強い批判もあったりするんですけれども、それについて、石原知事のお考えを伺いたい。

 あと3点目ですけれども、知事が3期目に入って、これで教育委員が2人交代している訳で、多かれ少なかれこれからの委員会の運営の風向きが変化していくとは思うんですが、知事としては、これまでの2期目で、教育委員会の構成が変わって、やはり石原都政での教育改革というのが進んだ面もあると思うんですけれども、もちろんその土台の上で、これからの教育改革に当たってほしいのかどうか。以上3点です。

【知事】一番最後のはその通りでしてね、とってもよくなってきたと思いますよ。やっぱりだれもが考えている「そうだな」ということを、教育委員会が都民を代表して言っていただいて、国の教育行政にも随分いい影響を与えてきたと思うし、米長さんも、その1人として、とってもユニークな仕事をしていただいたと思います。

 瀬古さんは、皆さんもよくご存じのように、日本の代表的なトップアスリートで、それから、自分のお子さんもたくさんつくって、それを立派に育て上げて、そういう父親としても、あるいは今エスビーの監督ですか、としても、優秀な選手を次々育てている。つまり、リーダー、教育者、おやじとしての役割を教育委員として果たしてもらいたいと思っています。

 この間ね、ちょっと話がそれるかもしれないけど、これはやっぱり教育の問題で実は昨日会合がありましてね。その話をしたら、みんな唖然として、ああ、やっぱり相当我々も頑張らなきゃだめだなという声が漏れたんだけど、先日、つい1週間ほど前、私の大学の同窓会がありましてね。年に1回やるんですけれども、大体仲間はもう年ですから引退して、でも、悠々自適というか、元気でいる。

 時間もあるし、体力も余っているから、近くの学校で英語をボランティアで、ただで教えようということで申し出たら、非常に喜ばれてやって、みんな、それは商社の社長までなったり、大きなメーカーの海外の支店長を務めたりして、生きた英語ができる連中だから、それで、そういうことならお役に立てると思いますと言った。文法、文法の英語よりもそういう英語のほうがいいからね。

 ということで、校長も喜んで迎えてくれた。私のクラスにも2人いた。おれもそうやっているんだと。最初に「おれはこうやっているんだよ」という話をしてくれた人間が、「実は石原ね、私、ボランティアの教師として就任して、校長も喜んで迎えてくれて、最初に校長が『どうもありがとうございました。本当によろしくお願いします。ただ、1つお願いがあります。これだけは守ってください』『何ですか』と言ったら、『生徒は叱らないでください』と言った」。

 バカな話だね。そうしたら、もう1人の同じことをやっている仲間が「おれも同じことを言われた」って。校長が先生に「生徒を叱らないでください」と言って、これ、どうしてなのか。教師の大事な役目は、生徒を褒めること、生徒を向上させることもあるけれども、場合によったら、叱らなかったら、自分の教えている教えが伝わらないしね、生徒の能力だって向上しないでしょう。

 校長がね、とにかく「生徒を叱らないでください」ということをまず最初に言い渡す神経ってのは、神経の問題だね、これ。見識じゃないね。どうかしちゃったね、これ。そういう事態に東京の教育委員会というのは割とノーマルでいい仕事をしてくれていると思いますよ。

【記者】じゃ、いずれにせよ、これまでの基本路線というのは、委員が2人代わりましたけれども、継承しながら、それを発展させてほしいということになるんでしょうか。

【知事】私が別に、教育委員会は独立していますからね、皆さんの良識に訴えて、また、私と教育に関するものの価値観なんかでアイデンティファイすることのできるような人を選んでいますよ、私も何人かの中から。それは結果として私の人選というか、依頼がよかったなと今でも思っています。お宅はご不満ですか。

【記者】いえいえ。ちょっとこれから福田(康夫)首相に会うということなんですが、これは訪米前に、横田の軍民、民営化のことで打ち合わせをするということなんでしょうか。

【知事】その他この他。

【記者】ほかには何か。

【知事】オリンピックもあるし。

【記者】2016年の東京オリンピックの計画なんですが、会場が一部変更になりましたけれども、これはよりコンパクトにするためという認識でよろしいんでしょうか。

【知事】そうです。ですから、今、半径8キロからはみ出している大事な会場もあったんですが、それを移すことで、その中に閉じ込める。

 例外はありますよ。例えば射撃場なんか、私は東京に射撃場がないというのはおかしいんでね、海のスペースがあるんだから、やったらどうかと言うんだけど、風が強いところはだめだと言うんだね。風のないところで射撃するっていうのは、よほど恵まれている条件でね。そんな射撃ってあんまり役に立たないんじゃないかね。ハンティングに関してはね。

【記者】そのための整備費として三百数十億円増えるということなんですが、この点については。

【知事】それは、しなくてよかったリニューアルもしなくちゃいけないということも含めたあれじゃないでしょうか。

【記者】東京都のほうは、肝炎対策等を国に先んじてやっておられますが、今、大阪高裁等で裁判が進んでおりまして、国と原告の協議等が行われるんですけれども、国の肝炎対策について、石原知事はどう思っておられるか。

【知事】あれに限らず、例のエイズの問題なんかもね、これだけ、いつも言っているみたいに世界が狭くなって、情報が簡単にき交う時代に、アメリカでもう数年前、ものによったら10年も前に「これは危険だ」と言って使用禁止になったり、自粛されている薬品を日本だけが何で使うのか、その神経ってのがわからんね。これはやっぱりね、名前は言わないけども、ある政治家たちが厚生行政をだめにしたんですよ。自分たちの利権のために薬品会社と組んで。だから、役人も、それを受けると、やっぱり上を慮(おもんぱか)って、薬の会社にあんまり大きなことが言えなくなったんだね。僕は多分それが一番の原因だと思います。ほかに役人が自主性に欠けるところがあるんだったら、これはもっと論外の話ですけどね。

 とにかく厚生行政の中で、薬業に関する見えない部分というのはものすごくあるね。だから、これはその上にいた政治家はだれとだれか知らんけども、しかし、やっぱり基本的に人の命を預かる問題なんだから、役人はそういう自覚を持って、上が何と言おうと、これはおかしい、これは中止しましょうと建言するのが、要するにケンゲンがまた違うけど、権限を持った役人の良心というか、私はやっぱり責任だと思いますよ。

 今、言を左右して、一番権限のある役所が全然動かずにほったらかしにして、人をこうやって見殺しにしてきた。その責任が国にあるか、ないかと言ったら、まさにある訳だから。それじゃ、どうも。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)