石原知事記者会見

平成19年9月27日更新

石原知事定例記者会見録

平成19(2007)年9月21日(金)
15:01〜15:37

知事冒頭発言

1.ツバル・フィジーへの出張について

【知事】冒頭、4つほど申し上げることがあります。

 最初は、ご存じのように、9月10日から15日まで、地球温暖化によって深刻な影響を受けているツバル、これはちっちゃな島で、ちっちゃな国ですけれども、人口1万人のそれなりの国家ですが、それと、中継地のフィジー、これも海岸が浸食されているというので、視察をしてきました。

 一番深刻なのは、やっぱりツバルでしてね、これは本当にちっちゃな、ちっちゃな島で、それがいわゆる砂州というんでしょうかね、珪(けい)でできている国ですから、それがですね、一番標高の高いところで5メートルしかない。これがどんどんどんどん水位が上昇して、それによって深刻なのは、国そのものが水没する前に、主な食べ物だったタロイモが、塩水のおかげで育たなくなりましてね。結局、食生活が変わり、主にオーストラリアからいろんなものを輸入しているんですが、これまた業者がなかなかあくどくて、オーストラリアでは食わなくなったようなものが送られてきたりして、そういう不満もあるみたいですが。ですから、今までなかった製品、食品を食べるようになったんで、つまり、包装されているボトルとか缶が、焼却炉もないために捨てられていまして、非常に廃棄物の災害、公害が起こっているという悪い循環になっていました。

 フィジーでも、いくつかそういう海岸線の浸食を見ましたが、これは日本でもどんどん起こっている現実で、例えば、湘南海岸の茅ヶ崎、辻堂の海岸なんかは、かなり砂浜がなくなりましたね。一番松林に近いところに自転車の専用道路をつくったんですけれども、その近くまで波が来るようになって。これは海水の上昇だけじゃなくてですね、河川の護岸が間違っているために、上流の砂が流れてこなくなって、海岸の砂が波にさらわれて浸食という形もあるんですけども、いずれにしろ、他人事じゃない出来事が太平洋に起こっているなという感じを強くいたしました。

 私、昔、行ったことのあるローヌ氷河というスイスの名所があるんですが、このオーバールック、展望台から眺めた景色ががらっと変わっていて、氷河が見えない。この間もどこかのテレビでやっていましたが、日本人のレポーターが行って、向こうの学者に聞きましたら、日本人の学者でしたけど、大体1年間に1メートル、氷河が薄くなっていっているということで。北極でも氷が溶け出して、氷が薄くなったんで、今度はこれもまた非常に悪い循環だと思うけども、アメリカとカナダとロシアの政府が縄張り争いをしてね、それで経済水域を仕切って、要するに、何をやろうとしているかというと、天然ガス、原油という化石燃料を、またそこで掘り出そうということで、これがさらに多量に供給されれば、CO2の排出という形で悪い循環が起こるんですけれども。そういう現象を見ながらツバルを見ますと、人間というのは本当に救われないなという感じがしましたね。

 フィジーでは、ツバルの関係者も出まして、弁務官が出まして、テレビ会議システムを用いて、東京で開催されていた地球温暖化のシンポジウム、これはJICA(独立行政法人国際協力機構)の主催(東京都との共催)ですか、それに参加して、地球温暖化の阻止をする必要があるという訴えをすることもできましたが、このまま水位が上昇すると、東京の下町のゼロメートル地帯も大幅にふえて、非常に危険が増幅される。また、東京都の一部であります沖ノ鳥島や南鳥島などが水没してしまうと、膨大な面積の排他的経済水域が、貴重な海洋資源とともに失われることになりまして、温暖化の問題は決して南太平洋の遠い国の話ではないなという感じが、痛感しました。あのごみの焼却なども、日本の非常に高度でコンパクトな焼却炉のようなものを提供してやると、敷地もないでもないんで、解消できると思うんですが。

 それから、いくつかちっちゃな無人島でできている国ですから、これまた環境派が反対のための反対をするかもしらんけども、そのちっちゃな島を1つ犠牲にして、そこから土を運んでくると、護岸などは日本の技術で簡単にできると思うしですね。国も、随分、国民から眺めれば、わけのわからんODAで金使ってきましたけれども、むしろそれよりも、地球温暖化の象徴的な問題としてフォーカスされているツバルを日本が政府として援助して、とにかく護岸して沈没を救ってやれば、私はやっぱり国家としての大きなプレゼンテーションになるんじゃないかと思ったんですがね。帰ってきて、安倍(晋三)総理に建言しようと思ったら、内閣のほうが沈んじゃったね、これ。

 東京は、地球温暖化対策の重要な柱でありますCO2の発生量の削減。これは誤解されているので繰り返して申しますけど、要するに、節電ですね、節電。その節電を呼びかけて、「カーボンマイナス東京10年プロジェクト」、取り組んで、着実に推進していくとともに、今回の視察も踏まえて、都民や民間事業者と連携して、東京全体で節電を大いに行って、そういうムーブメントを遂行していきたいと思ってます。

 先のニューヨークでの大都市の首長たちの環境対策の会議にも出ましたけども、みんな危機意識を持つのは結構ですけどね、具体的な策というのは、ほとんど行っていない現況でしたけども、東京はそういう意味で相対的に進んでいるなという自負を新たにしてきましたが、ああいう国の首長さんたちもね、それぞれの首都の代表なんですから、政府そのものを動かすためにも、私はやっぱりツバルなんかを見てくるとですね、やっぱり自分自身の目で見て、足を踏まえて眺めてみると、これはやっぱり大変なことが起こりつつあるなという感じがわかると思いますね。

 全体にローヌ氷河が溶けたり、バングラデシュの北の氷河湖が溶けたり、北極の氷が溶けて、海に流れ出る水量が増えているわけですけどね。これは絶対的に増えているわけだけども、専門家によると、水位が上がっているかどうか、まだわからぬと。もっと長いスパンで統計をとらなかったら断定できないという人もいますけども、地球は自転しているわけですからね。球体が自転すると、遠心力が一番かかるのは、一番外側の一番長い周、つまり、赤道なわけで、赤道に近い、そういった島々には、やっぱり、ほかの部分に比べて水位の上昇が顕著に出てくるわけですからね。これは私はツバルはそう長くもたないんじゃないかという気がしました。

 あそこに住んでいるおじいさん、おばあさんの話を聞くと、「自分たちが生きている間は大丈夫だろう」と。何かオーストラリアからいろいろなものが入ってくると同時に、今まではなかったんでしょうけども、マリファナなんか入ってきて、いい年寄りが回し飲みしながら、陶然として、「まあ私たちが生きている間は大丈夫だ」とかね。キリスト教徒が多いわけだから、「モーゼが説いたように、洪水は1回しか来ないから、今来たんで、この次は大丈夫だ」というようなわけのわからん楽観をする人もいたようですけども。

 私としてはですね、文明史観というものを正確に持つための非常にいい勉強もしたし、東京からのそういった危機感にのっとった発言が、日本の政府を動かすことになるかもしらぬし、世界全体にいくばくかの貢献ができるんじゃないかという気がしております。

 長くなりましたけども。

2.第二世代バイオディーゼル燃料を使用したハイブリッドバスの運行について

【知事】次いで、第2世代のバイオディーゼル燃料を使用したハイブリッドのバスを運行します。

 東京都は、新日本石油、トヨタ自動車及び日野自動車と共同で、第2世代バイオディーゼル燃料、BHDの実用化を進めてきました。バイオ燃料は、燃焼するときに燃料として使って、CO2を排出はしても、植物の成長過程で吸収しているために、大気中のCO2を結果的に増加させないということなんですな。よくわかるようでわからない、これ。要するに、そういう植物は成長していくときにCO2を吸って、成長の過程でCO2を吸収しているから、それをまた燃やして出したって、ツーペーで同じだということなんだけども。いずれにしろ、化石燃料というのは、過去に吸収したCO2を排出して汚染を広げるわけだから、それに比べればということですけども。いずれにしろ、第2世代のバイオ燃料は、第1世代と比べて、軽油と混合割合を高めることもできる燃料でして、また、油であれば原料を選ばないなど、将来に非常に大きな可能性を持っているようであります。

 このたび、日本のすぐれた燃料技術と最新型のハイブリッドの車両技術を複合的に用いた、都バスによる世界初の営業運行を実施するわけでして、こうした新しい発想によりまして、従来のバスに比べてCO2を約25%削減できることになっております。

 この10月10日から来年の3月末まで、渋谷と新橋の間をこのようにラッピングされた都バスが走ります。ここに書いてある「明日の地球のために」という言葉は、東京にオリンピックを招致する理念そのものでありまして、オリンピックのためのキャンペーンにもつながると思います。

 このバスは、10月26日から開催されます東京モーターショーでも走らせますので、世界中の人たちに、東京で実現する最先端の技術を体験してもらえると思います。

 詳細については関係局から説明させます。

 なお、温暖化阻止の1つの運動として、いわゆる従来のエジソン型の白熱球、電灯、電球ですね、これを一掃して、電球形の蛍光灯を購入していただきたいというキャンペーンをやってまいりますが、これは、今後とも、気候変動に対する政策を、こういうものを含めて積極的に展開していきたいと思いますけれども、確かに、従来のエジソン型の電球に比べて、電球形の蛍光灯はコストが高いんです。大体同じワット数(明かるさの意)の電球でも、白熱球が100円とすると、価格は、蛍光灯のほうが、つまり電球の形をした蛍光灯ですけど、これは1000円しますけども、寿命は、従来のものが1000時間に比べて、6000時間もちます。それから、コストは、要するに電気代ですね、これはもう3分の1で済むわけで、結果として、購入時は高いなと思われるかもしれませんが、家計ということで踏まえれば、非常に合理的な、家計の支えにもなる試みなので。

 今使っている電球をにわかに捨てろと言っても無理でしょうけども、買いかえるときは、そういう認識を持って、奥さん方に購入してもらえると。そのためのキャンペーンも、コンビニとかスーパーでわかりやすくしてもらうように業界とも約束しましたので、ひとつ、家計を預かる奥様方は、電球購入のときにはそれに注目していただきたいと思います。

3.秋のスポーツイベントについて

【知事】それから3番目は、秋のスポーツイベントをいくつか行いますけども、これから10月にかけて3つほど重要なものを行いますが、その1つ目は、10月8日の体育の日に、駒沢オリンピック公園総合運動場で実施します「オリンピックフェスティバル」であります。

 このイベントは、毎年、体育の日に、多くの方々にオリンピック競技を身近に感じていただくために、JOC(財団法人日本オリンピック委員会)、IOC(国際オリンピック委員会)などと東京都が共催して実施しておりますが、ことしも多くのオリンピック大会出場者が、参加者と一緒になって多彩なスポーツにチャレンジします。

 さらに、今回は、2016年のオリンピック招致イベントとして、有森裕子さん(マラソン元オリンピック日本代表選手)のトークショーなども行います。

 2つ目は、現在、都内の各施設で都とレクリエーション協会主催で実施している「都民スポレクふれあい大会」。オリンピック招致のために、9月30日、東京体育館で、約3000名の方が参加して東京五輪音頭を踊る特別イベントを行います。

 3つ目は、夢の島にあります東京スポーツ文化館で開催される「電動車いすサッカーワールドカップ」でして、これは、7カ国から約170名の選手が集まって行われますが、世界で初めての大会でして、元ワールドカップ男子サッカー日本代表監督の岡田武史さんなど、関係者の尽力で実現いたします。

 この競技は、障害を持つ方が電動車いすを操り、チーム4人でゴールをねらう、なかなか迫力のあるスポーツです。

 ぜひ、スポーツの秋のこの機会に、都民の皆さんに各会場に足を運んでいただきまして、スポーツに親しんでいきたいと思います。

 詳細は関係局に聞いてください。

4.参議院新議員宿舎の建設について

【知事】それから4番目、参議院の新議員宿舎の件ですけども、先日、雨の中、紀尾井町にある参議院の宿舎の建設計画地を視察しましたが、その際に申しましたが、あの貴重な緑をですね、これは所有者が宮内庁だそうだけど、これまた丸抱えにして人を入れないというのもばかな話でね、あんなものは開放して公園にしたらいいんで、公園にする限り、あそこに宿舎を建てるのは、私は反対だし。

 あそこでも言いましたが、東京は、巨木、つまり木の胴回りが2メートル以上の木を巨木と言うんだそうだけど、これは余り皆さんご存じないかもしれないけど、日本で一番巨木の多い県なんですね。その一部が、まさに都心の中の都心であるあそこにあるということは本当にうれしいことで、これは本当に貴重な財産ですから、これをつぶすのは論外の話だと思います。

 調べてみましたら、ぜいたくな衆議院の宿舎というのは、何か遠慮して住まない人もいるみたいだけども、今100戸以上空いてるんですよ。新しい宿舎をつくるんで、足りない分、あそこへつくって、そのついでにもっとぜいたくなものをつくるらしいけど、これなんて、衆議院の宿舎が空いてるんだったら、参議院はそこに住めばいいじゃないですか。だれが考えたって当たり前の話でね、衆議院と参議院の違いの沽券というのはいろいろあるかもしらんけど、それは国民の余り、何ていうのかな、了とするところじゃないし、どういうふうに格式が違うのかわからんけども。

 いずれにしろ、参議院は良識の府と言われてるんだから、みずから、宿舎の建設について、そういった状況も勘案して、主体的に判断してもらいたい。衆議院とも話し合って、空いてる宿舎があったら使ったらいいんで。同じ国会議員なんだから。私はそう思います。

 私から申し上げることは以上であります。

 質問があったらどうぞ。

質疑応答

【記者】今、知事おっしゃられました参議院の宿舎の件なんですが、この火曜日、18日に、建設の差し止めを住民のほうが求める裁判の口頭弁論が開かれまして、その席では、住民側から都のほうに出ていた質問書には、都の方から何ら回答がなかったというような話が出ておったんですが、多分、事務手続上、いろいろ時間がかかっている等もあるかもしれませんけれども、今、改めて反対の意思が示されておりますが、参議院の関係者等々への知事からの働きかけ等々は、その後何かあったんでしょうか。

【知事】あなたの質問の前段の問題ですけどね、都の意思表示といったら、私が最後に決めることですから、その報告が上がってきてない、相談がない限り、担当局がみだりに返事もできないと思いますので、質問書に私自身が目を通して、的確に判断して返答いたします。

 参議院とは別に、ちょっと私も外遊したりなんかしてましたので、話をしてませんけども、これだけ皆さんが関心を持って報道されてるんですからね、私から別にせっつかなくても、議院運営委員長の西岡(武夫)君にしろだれにしろ、自分の足で、目の前に、そこにあるんだから、歩いて見てくればいいんでね。その上で判断するというのは、まさに良識の府の良識ある方々にそういう期待を私は持ってますけども。

【記者】参院宿舎の件なんですけど、知事が視察されたとき、東京都がプレハブを建ててもいいというふうにおっしゃっていたんですけれども…。

【知事】今あるものを建て直すんなら、その間、プレハブに住んだらいいんでね。だけども、調べてみたら、衆議院の宿舎で、今、足りない、足りないと言っている部分の数ぐらいが空いてるんだからね、そこに住んだらいいじゃないですか、同じ国会議員なんだから。参議院だから衆議院の議員宿舎に住めないということもないだろうしね。どういう沽券があるか知らんけどね、空いてるものを使うのは有効なことだし、何の損にもならんと思うんでね、せっかく空いてるんだったら、それを使ったらいいと思いますよ。

【記者】今日なんですけれども、47都道府県が、ゆうちょ銀行の公金の、税金の収納手数料に関して要求書を提出しているんですけれども、この手数料の違いについて知事は…。

【知事】これは、私も余りつまびらかにしなかったので調べましたらね、郵便局の手数料というのは、郵便振替法という法律があって、それに基づいて郵政公社が定めていたようですが、しかし、ほかの金融機関と比べてべらぼうに高い。しかも、じゃ、安いところに行くかといっても、昔の郵便局、特に特殊郵便局というんですか、そういったものは割と不便なところにありましてね、それゆえに郵政の民営化反対の声もあったんでしょうけども。

 だから、なかなかその問題、ちょっと難しいと思うんですけども、私、やっぱり、ほかの金融機関に並んだ料金に当然すべきだと思うし、これは、自分で経営努力をして、手数料を引き下げるべき問題だと私は思います。

 ですから、都道府県が一致してそういう要請をしたというのはごく妥当な要求でね、世間で考えれば当たり前のことじゃないでしょうかね。それにこたえるのも当たり前のことだと私は思いますけども。

【記者】同じくゆうちょ銀行の件ですけれども、きょう、連名で申し入れをしたところ、郵政公社のほうから、余り前向きな答えはどうも得られなかったようなんですが、民営化すると法的根拠は失われるわけで、一般論として、サービスが向上するはずだと思うんですけれども、それができないというのは何か理由があるのか、知事の分析があればいただければと思うんですが。

【知事】それほど今、詳しく分析してるわけじゃないけども、民営化というものはね、常にそういうバリアを抱えて、それを超えることで本当の民営化が行えるわけですからね。つまり、官の組織というのは非常識なことも平気でやってきたわけ。社保庁がその最たるものだろうけども。

 郵政公社もね、せっかく民営化するなら、民間での競争の質というものを考慮して、料金の問題も当然考えるべきだと私は思います。

【記者】もしもこのまま対応が変わらなかったら、次の手みたいなものは考えていらっしゃいますか。

【知事】まだそこまで考えてませんがね。だんだんそういったものは常識的に淘汰されていくんじゃないかと思いますよ。

【記者】昨日なんですが、首都高の新しい料金体系案というのが出まして、東京都であれば初乗り400円で、最大1200円という数字が出ているんですが、これに関して知事の所感を話していただければと思います。

【知事】本当はね、要するに、有料の高速自動車専用道路って、一元的に国家なら国家が行えばいいんだけど、いろんな、つまり、セクターが乱立してだね、継ぎはぎで、継ぎはぎでつくってきたために、非常にわけのわからん料金体系になっちゃったんでね。それがどんどん自動車専用道路が延伸されて、だんだん便利になってくるんでしょうけど、その段階でですね、やっぱりユーザーのための料金体系っていうものを考え直さないと、これは何のための社会資本かということになりますから、つまり、当然のトレンドというか、当然の時代だと私は思います。

 一方、ETC、ああいったものが普遍化していくとね、距離によって、要するに、料金が軽減されたりしているわけでしょう。そういう時代ですから、そういうギャップというのは、逆にETCの敷衍(ふえん)の促進につながるかもしらんけども、しかし、それだけで済むものではありませんし、やっぱり行政の主体が当事者に言って、料金体系を合理的にする、都民感覚、市民感覚で合理的なものにするっていうのは当然のことだと思いますし、また、それを受けなければ、そういった道路の主宰者が国民のニーズにこたえることにならんと思いますね。

 ですから、当然のことが、当然の要求で行われて、当然の結果を私は持つものだと期待していますし、そうならざるを得ないでしょう、また。

【記者】今、一律700円のものが、最大1200円というのが、ちょっと値上がり感があるのではという声もあるんですが。

【知事】そのかわり、短区間で、ジャンクションからジャンクションで行けば、初乗りの料金がいくらになるか知りませんけども、かなり安くなるわけですからね、そこら辺はどういう形で平均化されていくか、交通量によってまた違うでしょうけども、私はやっぱり今までと違って、合理的な体系になっていきつつあると思っていますけども。

【記者】先ほどもちらっとおっしゃいましたが、ETCを持っていない利用者は、最大、上限価格の1200円を入り口で払うという、今はそういう話になっているんですが、それに関してはどうでしょうか。

【知事】さあ、それはどうなんでしょう。私、まだ最終的な結論というのを聞いておりませんけども、それは確かに物が急に高くなったという感じになりますわな。ユーザーが減るかもしらん。そうすると、収益も減るわけですから、当然道路の主宰者としては、それを考えた形で料金を決めないわけにいかんでしょう。ですから、鶏と卵みたいになるかもしらんけど、仮にその新しい料金体系が、そういうひずみを抱えたままスタートすれば、ETCの普遍のためには引き金になるかなと思いますけども、それで事が全部済むわけでもないし、そこら辺のところはね。

 しかし、初乗りがいきなりそのあれじゃないんじゃないですか。ちょっと僕は、そこは詳しくわからんな、まだね。この間もちょっと概略聞いたんですがね。今の技術をもってすれば、要するに、料金を払う車だって、人が張りついているわけですから、どこまで乗る、どこでおりるということによって、料金の軽減というのは当然あり得ると思うし、これは技術的なことでしょうけども、そういうものを考慮してやっぱり新しい体系をつくるべきだし、そういうサービスもすべきだと思いますけど。

【記者】大きく2点伺いたいんですが、安倍首相の辞任について、改めてどのように受けとめていらっしゃるのかということと、この1年の安倍内閣の評価というのはどうされているのか。

 それから、もう1点ですね、あさって自民党の総裁選があるんですけども、今のところ、福田康夫元官房長官と麻生太郎幹事長が立候補されているんですが、石原知事はどちらの候補が総理総裁としてふさわしいと思っていらっしゃるのか。

【知事】それはちょっとあなた、的外れの質問で、こんなところでそんなこと聞いたってしようがないよ。都政について尋ねてくれよ。私は別に国会議員でもないしね。

 それはね、安倍さんに対して気の毒だと思いますね。ただ、今、僕、思うのは、オリンピックについて閣議了解してくれたんで、お礼の電話をフィジーからしましたら、何か元気がないんだね。「まあ、お互いに頑張ろうよ」と言ったら、「いや、なかなか厳しいんです」と言うんで、何を言っとるのかな、弱気にと思ったら、やっぱり健康も悪かったんですね。

 だったら、僕はやっぱりああいうレトリックをせずに、体が悪いんですと率直に言って辞任したほうが、よっぽど物事スムーズだったんだけども、ああいう政治的なレトリックを構えたことで、かえって誤解を招いたというか非難を受けたりして、ちょっと気の毒な気がしますけどね。

 2人のうち、どっちがいいかって、あなた方が決めることだから。メディアはしきりに、好きじゃないか、あっちがいいとか、あっちがいいとか。

【記者】横田の軍民共用化の話と羽田の話をお聞きしたいんですが、まず、横田の話から。

 先日も同様の質問があって日がたっていないので恐縮なんですけれども、その後、軍民共用化の問題については、進展や変化というのはありましたでしょうか。

【知事】ないね。今日、高瀬参与(高瀬保 東京都参与)からもその報告を受けますけど、その後、私の不在中も、どういう会議を持っていたか、つまびらかにしていませんが、やっぱりちょっと物事が膠着(こうちゃく)しちゃったのと、ブッシュ(ジョージ・ブッシュ 米国大統領)そのものがレイムダックになっちゃった。

 それから、向こうもそれにつけ込んで、軍が、こちらが具体的な設計図を出したら、いちいちいちゃもんをつけて、弾薬庫があるとか何とか、反対の反対をしているわけですけどね。要するに、そもそもこのことは、ブッシュと小泉(小泉純一郎 元内閣総理大臣)という両方のサミットが合意して決まったことで、軍がそういうトリビアル(瑣末)な問題で是非を論じるレベルじゃなしに、国家対国家の信頼関係、日米関係というものの健全な維持のために必要なことで、何もあそこを使っているのを無理やり返せというわけじゃないんだ、嘉手納(沖縄県)を返せとは、ちょっと違うわけですよ。

 ですから、それを十分承知して、町村(信孝)新外務大臣も2度目の人だから、ASEANでも、向こうに、ライス(コンドリーザ・ライス 米国国務長官)にも言ってくれたようですし、総理も、安倍さんも言ってくれましたが、アメリカ側はこういった問題をどうとらえているのか。

 アメリカが言っているオープンスカイ、オープンスカイというのは、やっぱり主に首都圏の問題でしょう、どう考えたって。それを満たすためには、自分たちで使っていない飛行場をさっさと返しゃいいんだよ。そうしたらキャパシティーがあくんだから。言っていることが全然矛盾しているんだ、軍の言い分と、要するに、政府全体のオープンスカイの要望と。

 ですから、もう1回、仕切り直しをしようと思って、実は小泉前総理に、ブッシュにひとつ親書を出して、おまえ、話が違うじゃないか、さっさとやるように督励してくれと言ってくれと言ったら、それは自分の立場じゃない、自分はあくまでも前総理であって、現政府がやることで、自分が余計なことをするつもりはないと言う。これはまた、小泉さんの1つの潔いスタンスですよね、現政権をおもんぱかっての。

 そういうことで、近々そういう問題も総括しながら、私はやっぱりアメリカの大使に会うつもりでいます。

【記者】それから、騒音問題などで、周辺自治体で反対があるようですけども、それについての対応策はどのようにお考えになっていますか。

【知事】ですから、これはちゃんと、要するに、1つの環境整備をしますということを口酸く言っているんで、例えば伊丹にしたって、羽田にしたって、そういう問題があちこちにあるわけですよ。しかし、やっぱりあれだけのキャパシティーを持っている飛行場はほかにないし、つくりようもないんだから、自治体は自治体の1つのいい意味でのエゴもあるでしょうけど、それはやっぱり国全体の利益というものを考えて、それぞれの地方のセクターを主宰している首長さんたちに理解してもらいたいと思います。

【記者】続いて、羽田空港のことでお伺いしたいんですけども、29日から羽田と上海の虹橋との間で国際線が就航しますけれども、まず、羽田−ソウルとあわせて、今回の上海線が就航することについての知事の期待をお伺いしたいんですが。

【知事】どんどんやったらいい、そういうことをね。ニーズがあるから、そういうフライトがふえるわけですから、結構なことですし、どんどんやったらいいと思いますよ。

 とにかく羽田は24時間開いてる飛行場ですからね、こういう利点というものを、上海の事情というのは私は知りませんけども、羽田に例えば夜中の2時、3時に着いたって、ダウンタウンまで行くのに30分もかからない。こんなに便利な飛行場は世界の首都にないんですよ。ですから、そういう利点を生かせば、要するに、深夜は東京湾を使えば、騒音の問題もなくて済むんだし、そういうことも、やっぱりもうちょっと国も積極的に考えるべきだと私は思いますね。

 4本目の滑走路というのは、僕と亀井君(亀井静香 衆議院議員)が2人で強引につくったんだけども、それが完成してもしなくても、夜中、開いているんだからね、離発着させたらいいじゃない。これは成田だったら大変な問題になりますけどね。要するに、横浜、川崎という大きな町も向こうにあり、東京のダウンタウンまでわずか2、30分、深夜だったら30分かからないでしょう。そういうものを勘案して、もっと積極的に使ったらいいと思う。

【記者】その4本目の滑走路ですけど、2010年に再拡張が完成して、国際線の発着回数が3万回分ふえるということで、国交省は羽田からの2000キロ…。

【知事】あれはばかな話。全然ナンセンス。そんなもの、通るわけないよ。ASEANまで飛ばなきゃ意味ないんだ、本当に。何てばかなことを言うの、あんなこと。常識で考えたってどこか狂っている。何の気がねか知らんけどね。

 それじゃ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)