石原知事記者会見

平成19年8月20日更新

石原知事定例記者会見録

平成19(2007)年8月15日(水)
15:16〜15:28

知事冒頭発言

【知事】ちょっと私、治療で入院していまして、前回失礼いたしましたが、私から申し上げることはありません。質問があったらどうぞ。

質疑応答

【記者】今日、知事、靖国神社のほうに参拝に行かれましたけれども、今年は何か閣僚が参拝を控える傾向があったようですが、その点について何かご感想、コメント等はありますか。

【知事】知らないね、それは。閣僚どもの言うこと、何を考えているか、私、そこまで憶測する必要もないし、責任もないし。

【記者】参院選、この前、ありましたけれども、それが終わりまして、ちょっと改めてお伺いしたいのですが、新しく建設が予定されている参議院議員の宿舎の件でお伺いしたいのですが、現在、風致地区条例に基づいて協議の途中ということですけれども、知事はこの宿舎の建設について、どのようにお考えでしょうか。

【知事】この間ね、実は私の手元に、ある東京都が作ったペーパーが回ってきましてね。この問題についてのいろいろ経過報告があって、知事は建設了承というふうに書いてあった。これは違います。何の責任で、どういうことでこういうものを作るのかと、私、叱責しましてね。その文書は撤回させましたがね。

 新任した猪瀬(直樹)副知事が非常に問題に関心を持ってくれてね。特に、この間、参議院が、選挙が終わった後、4日間、国会開催して、開かれましたね。その間ね、新しい議長の江田(五月)君と、それから議院運営委員長ですか、議運の委員長になった西岡(武夫)君とは、電話で話したのかな、これは。江田君とは会ったそうですけどね。自分も新任早々でよくわからないということのようだった。それから、西岡君は、「ああそうですか」という応答で、2人とも、つまりこの問題について正確な報告も受けていないし、新任早々のことですからね、いたそうですがね。どうもそこのところが役人の通弊で、4日間で全部話を回して、参議院が了としたということでやろうとしているならば、これはやっぱりちょっと問題があると思いますね。9月にも臨時国会が開かれ、それはたっぷり時間があるわけですからね。参議院のこの事態でのきちんとした意向というものを、そこでやっぱりある時間をかけて確かめてね、それを受けて、こちらも考える必要があると思います。

 それから、こういう事態になる前の自民党の議員会長だった青木(幹雄)君なんかの意向もですね、野党の動向を見てという感じだったし、それから現に、どこかに立派な衆議院の宿舎ができたけれども、問題になっているのでね、入居する人がいないような現況の中でね、私も参議院のときに一時期、場所が神奈川県なので近過ぎるということだったのが、最後に入居者がいなくなった部屋を借りて、半年ぐらいあそこへ、忙しいときは泊まったことがありますけどね。それに比べて、はるかに大きな部屋のようですしね。

 それから、高さの問題も、周りは大体30メートルぐらいのものが並んでいるみたいだけども、横にあるプリンスホテルの高層の建物、要するに何というか、その相対関係の中でね、最初は60メートルが、今は何かいつの間にか68メートルという数字が出ている。これもだれがどの判断で決めたか、さっぱりわかりませんのでね。

 私自身もね、昔は隣の敷地の参議院宿舎にいましたけど、これは小ぢんまりした、1人で泊まるには便利なあれだった。だけど、一回、私自身もあそこに歩を運んで、近いところですからね、状況を見てみようと思いますよ。

 それから、参議院そのものの意向がね、こういう時代にいろんな批判がある中で、しかも衆議院の宿舎をつくっても、入居者が遠慮して、ないような状況の中でね、今までの宿舎の数倍のものでしょう。ワンフラット。そういうものをつくる必要があるのかないのか、これは参議院の判断の問題だからね。要するに、彼らに考慮させて、参議院のその結論、この事態での結論というものを聞いた上で、こちらも判断します。

【記者】終戦記念日に合わせてお伺いします。知事が3月10日にも行かれた横網町の公園に、東京大空襲の犠牲を中心とした平和祈念館をつくるという構想が、9年ぐらい前にできていて…。

【知事】9年?鈴木さん(鈴木俊一 元東京都知事)のころからあったみたいですね。

【記者】ええ。それが98年、99年ごろから事実上凍結になっている。これについて、もう知事自身、正式に取りやめにする、あるいは再開して推進するとか、随分長い間凍結状態が続いていると思うのですが、どうお考えですか。

【知事】どう考えるも、こう考えるもね。仄聞(そくぶん)しますと、中にどういう資料、どういう価値観で並べるかということで、いろいろ議会を構成している会派の間に異論があったみたいでね。それがまとまらなかったということも聞いていますし、これはやっぱり議会が決めることでしょう。ですから、それを受けて、財政が復活してきて、余裕ができてきたから、つくったらどうだと言うけど、これは財政が豊かになったからつくる、つくらないの問題じゃないと思うんだね、やっぱり。やる限り、どういう理念というか、どういう価値観にのっとってそういうものをつくるかということは、これはやっぱりまず議会の判断でしょうから、その討論がこれから行われるかどうか知りませんけども、それを受けてのことだと思います。

【記者】作家の早乙女勝元さんを館長とする資料センターみたいなのをつくられていますけれども、本来的には、これは民間ではなくて、都なり国なり、公の責任で記録をとどめていくべきものと私は考えるんですが。

【知事】あなたはそう考えるけど、これは都民の代表の議会が決めることだから、あなたはあなたの意見としておっしゃるのは聞きますけどね、別にそれを右から左に私は議会に取り次ぐ必要もないし。

【記者】知事ご自身は、これは公がやるべきこととお考えになりませんか、民間ではなく。

【知事】戦争の?…。

【記者】東京大空襲のどういうふうな犠牲が都民にあったのだということを記録して、とどめておくということ…。

【知事】それはいろんな例えば、それを思い出して、いろんな人がかいた絵とか、それから「赤い雪崩」かな、あれは非常に迫真力のある被害者の回顧録でしたけど。こういったものはやっぱりどこかにとどめるべきだと思いますよ。

 それから、あの空襲そのものが、日本のもう制空権がなくなった時に、アメリカの中でも随分議論があったみたいだけど、ルメイ(カーチス・ルメイ)という空軍の要するに総司令官というのかな、あれがマッカーサー(ダグラス・マッカーサー)だよ、陸軍で言えば。これがだね、日本は汚いから焼いちまえっていうんで、めちゃくちゃなことでやって、皮肉な話、敗戦の後、自衛隊が空軍を持つようになったときに、その指導をしたというんで、ルメイに勲章をやってんだよ。私はばかな国だと思うね。

 それで、私たちが撃って届かない、高射砲も届かない高空の飛行機雲ってのは、子供のころ初めて見た。あれがB29だ。成層圏に近い、亜成層圏を飛ぶ飛行機に高射砲は届かなかった。そのB29が超低空で、200メートルの低空でとにかく焼夷弾をばらまいて、非戦闘員を殺したわけでしょう。東京裁判の冒頭で、この裁判の正当性があるか、ないかって、日本側の戦犯の弁護人だった、イギリスとオーストラリアの弁護士の資格を持つ外人の弁護士が、ジュネーブ協定ってのを参照してみると、この裁判の正当性はあるんだろうかって、ウェブ(ウィリアム・ウェブ 東京裁判裁判長)っていう裁判長は慌ててね、途中で通訳、切っちゃったんだ。しかも、最後の報告では、それ、カットした。

 そういういきさつってものを私は私なりに反発しながら記憶にとどめていますけども、仕方がないという人がいるのかもしれん、どっかの長官みたいに。あるいは、まあアメリカでも異論があったみたいだけど、まあそういうことですよ。だから、これはやっぱり都民の代表の政治家たちが議会の中で討論して決めることじゃないですか。

【記者】靖国参拝なんですが、どういった立場で、どのようなお気持ちで行かれたのか、教えていただけますか。

【知事】毎年同じこと言ってんだよ。君は初めて来たから、聞いてないのかもわかんないけどね、もういいよ。去年も、おととしも言ったんだから。私の家内のお父さんもそこにいますしね、私の親戚の人たち、いとこも何人もいますしね、敗戦の日に私がそこにお参りするのは、何ら私は悪びれることもないし、人間として当たり前のことじゃないですか。

【記者】2016年の東京オリンピック招致を実現させるためには、中国を初めとしたアジア諸国の支援、協力が欠かせないと思いますけれども、今回の靖国参拝がオリンピック招致に与える影響というのは、どのようにお考えでしょうか。

【知事】ないね。あっちゃならないと思うしね、中国がそんなことで東京そのものを評価する、しないというのは、それはおかしな話でね、まさにそれは公私混同というか、政治と私的な人間の感情というものがごちゃごちゃにされて、それほどばかげた国じゃないと思いますけども。

【記者】話は随分変わるんですけど、大変暑いんですが、知事は暑さには強いほうですか。

【知事】昔は強かったけど、今は弱くなったねえ。

【記者】何か暑さ対策をご自分でされているということはございますか。

【知事】まあ暑いときは思い切って汗を流したほうが、逆にリフレッシュされますけどね。

【記者】ヒートアイランド現象みたいなことが言われてて、東京都ももちろん、「10年後の東京」の緑化計画とか、この間の省エネ対策など随分やられていると思うんですけども、そういうヒートアイランドをおさめるために、都としてさらに予算を組んでいったりとか、あるいはこういう対策をもっと考えていかなければいけないみたいなお気持ちは、どこかおありでしょうか。

【知事】それはね、都が予算をかけて克服できる問題じゃないと思いますよ。やっぱり都市の構造、特に地面だね。こういったものに余裕がなくなったというか、むき出しの土がなくなった。しかも、それが吸湿性のないアスファルトで覆われていると、照り返しってのは非常に激しくなりますし、これを都ひとりが地面張り替えて克服するって、とてもそんな余裕はないし、やっぱり国も一緒になって考えることだと思いますけどね。

【記者】ありがとうございます。

【知事】はい、それじゃ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)