石原知事記者会見

平成19年7月5日更新

石原知事定例記者会見録

平成19(2007)年6月29日(金)
15:01〜15:17

知事冒頭発言

【知事】私から申し上げることは何もありません。質問があったらどうぞ。

質疑応答

【記者】東京大気汚染公害訴訟の和解勧告について、都が今回受け入れるという方針を伝えられましたが、まだ首都高(首都高速道路株式会社)のほうが5億円ということで拠出に折り合いがついていないようですけれども、その辺はどういうふうに…。

【知事】再三言ったじゃない、その話は、だから。あなたも調べてわかってることだろうけども、あのね、要するに、首都高そのものの企業としての売り上げというのは膨大なものですから、利益もかなり出てるんだし、それを何年かに分けて払って払えない金じゃないんでね、ほかは全体合意してるんだから、首都高はね、往生際よく、ちゃんと和解に応ずるべきだと思いますね。

【記者】具体的に知事が行動を起こされるというようなことはお考えですか。

【知事】要するに、それは何社かが被告になって、裁判所の和解勧告で決まったことですからね、東京がひとり、何もみんなの間に入って走り回ることじゃないですよ。むしろ、やるとしたら政府が主導すべきことじゃないですか。国交省が管轄している団体なんだから。どなたかほかにないですか。どうぞ。

【記者】きょう、知事ももらわれたと思うんですけれども、皆さん、公務員の方のボーナスの支給日で…。

【知事】あ、そう。

【記者】知事のボーナスの金額も拝見いたしましたけれども…。

【知事】そうですか。

【記者】ところで、不祥事が多いということで、社会保険庁の職員に対して、上から下からというか、横からなのかわかりませんけれども、ボーナスを一部でもいいから返上しろというような話が随分沸き起こったわけですけれども、それについて、直接ということじゃないんですけれども、どうお感じかなということを一言聞かせていただければと思います。

【知事】やっぱり国民の心情としたらね、ペナルティーを払うのは当たり前だろうという気持ちはわかりますけどね。それをもってすべてを代償、弁償させられるものでもないし、そこら辺はやっぱり当事者たちの自覚の問題だと思いますけども。

 繰り返して申し上げるけど、あそこは本当に組合そのものの体質が一番でたらめなんですよ。かつての国鉄以上にひどくて、しかも、国鉄は国鉄プロパーの幹部がいたけど、これがいるようでいなくて、上のほうは、厚労省から来てもすぐ替わっちゃうし、やっぱりこれじゃ、この機構そのものはもたないぞという危機意識がない、それを変えようとするリーダーもいなかったから、このていたらくになっちゃったんでね。

 繰り返して申し上げるけど、国鉄の場合、国労、動労、鉄労ですか、3つあった。動労と国労が問題があったわけだけども、とにかく、それを命がけで、制圧してでも合理化しようと、国民のために組織を変えようというリーダー達がいましたよね。それがいないことがやっぱりあの組織の悲劇だと思いますね。

 だから、そういう人間たちが仮にいればね、今あなたがおっしゃったみたいな、要するに、ボーナスを返上することで自分たちの姿勢を示すぐらいの意欲が出てくるだろうけどね、まあ、だめだね。

【記者】昨日、元公安調査庁の緒方さんが逮捕されまして、一連の朝鮮総連の本部の売却話の騒動なんですが、いろいろたどっていくと、2001(2003)年でしたか、東京都が課税を始めたというところから始まっていると思うんですが、知事、今回のこの騒動をごらんになって、どのようにお感じになっているか、ちょっとご感想をお聞かせいただきたいんですけれども。

【知事】元の公安調査庁の長官の逮捕に至るというのは、やっぱり非常に厄介な、複雑な、国民から見れば、あっては困るような出来事だと思いますけど、その素地になっている朝鮮総連のあり方そのものはね、さまざまな活動を見ても、それは過去の歴史に対する遺恨があるでしょう。向こうの言い分もこっちの言い分もそれぞれあるだろうけども、しかし、非常に不透明で不合理で、しかし、なぜか日本の戦後の政府が、あるいは行政の主体者が、東京都庁もそうだった、一時期、見て見ぬふりをしたり、わがままをまかり通させた、やっぱりそういう恨みがあると思いますね。

 繰り返して言うけどね、君ら調べてこいよ、本当に。神谷町の飯倉の交差点のすぐのところにね、大阪経済法律(法科)大学というのがあるんだよ。立派な建物だよ、朝総連が持ってる。大学ということだから固定資産税がかかってない(※)。

※地方税法上、学校法人等がその設置する学校において直接保育又は教育の用に供する固定資産は非課税とされている。

 人が入ったところなんか見たことないよ。あれを学校と称せるのかね。8階建てか9階建ての立派なビルでね、人の出入りなんかないですよ。大きく「大学」と書いてあるけどね。あの建物、何に使ってるんだろう。ひょっとしたら、あそこに朝総連の本部が移ってくるんじゃないのかな。あそこを追い出されたら。

 そういうふうに不透明で、日本の社会の中で日本人がやってることだったら、たちまち司直の手が伸びたり、税務の手が伸びたりしてね、正当な課税が行われるみたいな事例が、相手が相手だと、結局、泣き寝入りというか、ほったらかしというか、厄介事を避けて通ろうということで通ってきたわけだけどね、それが結局、ずるずるそうしてつけ込まれて拉致問題になったんじゃないんですか。私、やっぱりその因果関係というのはかなり濃厚にあると思いますよ。

【記者】都が行った温泉施設の電話調査の結果が出まして、9割を超える施設でガス検知器を設置していなかったりですとか、そういった結果が出ました。知事、この結果を見て、どのようにお感じになられましたでしょうか。

【知事】それはあってはならないことで、非常に怖いことですけどね。そもそも、みんな、緑、水豊かな、ほかの惑星に比べれば、生命というのがどんどん繁茂していく地球という星の上に住んでてね、これが当たり前だと思っているけども、宇宙物理学というのか地球物理学というのか、何と言うか知りませんけどね、地球というのはいまだに火の塊なんですよ。それがまた美しいところもあるわけだしね。

 ですからね、そういう基本認識というものが欠けていた。今までは、そういうものを持つ必要もない程度の技術だったけど、それがどんどん開発されていくと、日本人が非常に好きな温泉が非常に安価に手に入る時代になったときにね、やっぱり自分たちが住んでいる国土あるいはこの地球そのものがね、どういう実態であるかということを知った上で対処しないとね、技術は備えてあるわけですからね。そういう点では、目先の利益だけで必要な設備投資を行ってこなかった、その報いじゃないかと思いますね。

 早い話が中国もそうですね。かつて新日鉄が宝山の製鉄所、今でも恐らく中国随一だと思うけど、あれを協力してつくってやったときに、「これプラスアルファ、公害防止の施設が要りますよ」と建言したら、「一体それはどれぐらいかかりますか」と言って、「大体これぐらいのコストがかかるでしょう」と言ったら、「アイヤー」ということでネグられちゃったわけだ。いまだにそこから垂れ流しの、要するに煙が飛んで酸性雨になって山陰地方に、日本の風光明媚な松を枯らしているので。やっぱりそういうふうにね、ものに対する基本認識というものを、まあ大丈夫だろうと欠いてしまうと、自分自身も毀損されるし、はた迷惑で済まないような事態が起こってくるんじゃないでしょうかね。

【記者】それから、きのう、知事、保育所の視察をなさっていたと思うんですけれども、西新宿のあたりに認証保育所というのがないんですが、知事、このあたりで保育所の整備ですとか、何かそういったお考えってないんでしょうか。

【知事】それは私にじかに言うよりも、福祉(福祉保健局)のほうに言ってもらえばね、そういうニーズが地元の人に多いんだったら、建物も探すなりしてあっせんしますけども。

【記者】昨日の視察はいかがでしたか。

【知事】まあ、あれはやっぱり、最初のものと2度目のものとかなり性格が違う。片方は、資生堂という大きな会社が自分たちの社員のためにつくったもの、片方は、新しい住宅地の中に周辺の住民のニーズにこたえてね、一般の企業が、要するに、それを専門としている会社、法人が、もう既に20近い認証保育所を経営している、その人たちがやってくださったことで性格が違いますけど、それはやっぱりそれなりに非常に完備されてすばらしいものだと思いましたね。やっぱり子どもたちは生き生きそこで過ごしていますしね。親たちも非常に便宜を感じているし。だから、この間、御手洗さんにも見てもらったわけですけどもね。

 やはり、厚労省が相変わらず、認証、認可の、要するに規格というものを、壁をつくっていまだに国家の補助というのはしないとかたくなな姿勢でいる限り、結構コストかかるんですよ、実際に認可保育所に比べて。ですからね、都会なら都会ってものなんかは特殊性があるんですから、そういうものを考えて行政が、それこそ規格を柔軟に変えていくということがきめの細かいサービスになるんじゃないのかしら。それを非常に硬直した、自分たちの先人がつくった規格が絶対だとしてね、いまだに、これだけ需要の多い認証保育所を認可保育所じゃない、要するに国は認可しない、援助もしないという国の姿勢というのは、片方では子育て、子育て、人口が減って大変だと騒いでいるくせに、肝心の子育ての問題について、厚労省って何考えているかってことじゃないの。

 あなた方、もう少ししっかりしなさいよ、メディアが、ねえ、本当に。国がやっているのはばらばらじゃないかと、厚労省は何考えているんだということを質問してほしいよ、本当に。

【記者】2点あるんですが、1点目がボーナスに関連して、知事、財政再建の姿勢を示すということで10%カットされているようなんですが、あるいはこれを3期目も今後とも継続するおつもりなのかどうかということと、もう1点が、作家としての知事の考えを伺いたいんですが、去年は大体2冊ぐらい本をお出しになっているんですけれども、ここ最近のご自身の作家としての生産力というか作品を生み出す意欲というものをどのように自己評価されているのかという、この2点なんですけれども。

【知事】後半は余計なお世話だね。前半はね、それは続けますよ、その姿勢は。やっぱり財政再建はまだまだ途上ですから。

 作品のほうはね、随筆とか論文てのは簡単に書けるけどね、小説ってのはそんなに生半可に書けるものじゃないんだよ、時間がないとね。私は今、ある非常に長い長編小説を連載してきまして、そろそろ大終章に差しかかったので終わりますけどね。これだって、ブラッシュアップするのに時間がかかるでしょうし。

 しかし、物を書くということは政策の発想というものを柔軟にするために非常に役に立つと思っていますね。だから、私はやっぱり時間のある限り、物も書きたいし、書くことで、行政というものの幅が出てくるんじゃないかと思っていますけども。これは大脳生理学の問題ですが。

【記者】先週は始球式には残念ながら出られなかったようで、そして、現在もちょっと喉がつらそうな語り口調なんですが、いわゆる猪瀬(直樹)副知事が正式に就任されまして、こうして車が4輪そろったような形ですよね。副知事4人がすべてそろいました。いよいよ石原都政として、こういうふうにやっていこうというときに、4輪がすべてそろったところで、それぞれにやっぱり活躍してもらいたいと思われるんだろうと思いますが、リーダーとして、改めて、どういうふうにやってほしいか、これを都民の皆さんに、メッセージとともにお願いしたいと思いますが。

【知事】既存の3副知事はね、それぞれキャリアを踏んできた都行政のベテランですからね、これは非常に深い専門性を持って、見識もある立派な副知事だと思いますけどね。これから東京が構えるいろんな問題、国との摩擦もあるでしょう。そういった問題について交渉する、要するに、世論に訴えながら東京の主張を通していくということになると、やっぱりそれはそれなりのエキスパートというのは必要だと思うし、これはなかなか速成でできるものじゃありませんしね。そういう点で、猪瀬さんに大いに力になってもらえると思っております。

 まあ、野球で言うと、先発のピッチャーが3人いて、大事なときにピシャッと相手を抑える。そういう言い方をすると、猪瀬君、「何だ、おれは主戦投手じゃないのか」という顔をする。やっぱりまあ、1つの例えですけどね。そういう形で一種のフリーランスの副知事として、まさに彼は「神出鬼没にやる」と言うけど、大変心強く思っています。

【記者】神出鬼没と同時に、24時間働くつもりでやるとおっしゃっていました。

【知事】それは24時間考えるということですよ。

【記者】1分でも成果が上がれば仕事だというふうに言っていました。

【知事】はい。

【記者】ありがとうございました。

【知事】はい、どうも。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)